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特許6985379波面補正なく自由空間光信号を復調するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985379
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】波面補正なく自由空間光信号を復調するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/67 20130101AFI20211213BHJP
   H04B 10/11 20130101ALI20211213BHJP
   G02F 2/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H04B10/67
   H04B10/11
   G02F2/00
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-516435(P2019-516435)
(86)(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公表番号】特表2019-535180(P2019-535180A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(86)【国際出願番号】US2017053667
(87)【国際公開番号】WO2018064139
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】62/400,359
(32)【優先日】2016年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】コワレヴィチ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】グラチェフォ,ゲイリー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ドルギン,ベンジャミン,ピー.
【審査官】 鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0226300(US,A1)
【文献】 特表2015−532030(JP,A)
【文献】 特表2010−534970(JP,A)
【文献】 特表2013−523007(JP,A)
【文献】 特開平05−091047(JP,A)
【文献】 特開2003−309520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/67
H04B 10/11
G02F 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号受信器であって、
複数の領域、光信号エネルギが入ることを可能にする開口、および、光信号エネルギの一部分が放射されることを可能にする出力、を画定する少なくとも1つの光共振器であり、
前記開口を介して光信号を受信し、少なくとも各領域の中で共振光信号エネルギを累積し、各領域と関連する前記放射される光信号エネルギが定常状態の出力値に近づくようし、かつ、前記受信した光信号の遷移の際に各領域と関連する前記放射される光信号エネルギを乱す、ように構成されており、
1つまたはそれ以上の共振波長において前記累積された光信号エネルギの位相アライメントを生じさせるための少なくとも1つの寸法を有している、
少なくとも1つの光共振器と、
前記出力と整列された検出器であり、
前記領域のうち1つまたはそれ以上からの前記放射される光信号エネルギに対する乱れを検出し、かつ、前記乱れに基づいて、前記受信した光信号における前記遷移の特性を決定する、
ように構成されている、検出器と、
を含み、
前記少なくとも1つの光共振器は、互いに対向する反射性側面を有する第1反射面および第2反射面を含み、
前記第1反射面および前記第2反射面は、異なる振幅反射率を有している、
光信号受信器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光共振器は、複数の光共振器を含み、
前記複数の光共振器それぞれは、前記複数の領域のうち少なくとも1つを画定している、
請求項1に記載の光信号受信器。
【請求項3】
前記光信号受信器は、さらに、
前記出力と整列され、かつ、前記検出器に対して集束された光信号を提供するために、各領域と関連する前記放射される光信号エネルギを集束するように構成されている、集束光学系、
を含む、請求項1に記載の光信号受信器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光共振器の各領域は、前記受信した光信号における位相遷移に応答して、前記放射される光信号エネルギの強度において一時的な変化を生成するように構成されており、かつ、
前記検出器は、さらに、結合された前記複数の領域の全てから放射される光信号エネルギの強度における結合された一時的な変化を検出し、かつ、前記結合された一時的な変化に基づいて前記受信した光信号における前記位相遷移を決定する、ように構成されている、
請求項1に記載の光信号受信器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光共振器の各領域は、前記受信した光信号の振幅変動に応答して、前記放射される光信号エネルギの強度において変動を生成するように構成されており、
前記検出器は、さらに、結合された前記複数の領域の全てから放射される光信号エネルギの強度における結合された変動を検出し、かつ、前記結合された変動に基づいて前記受信した光信号における前記振幅変動を決定する、ように構成されている、
請求項4に記載の光信号受信器。
【請求項6】
記第1反射面は、前記開口の少なくとも一部分を形成しており、かつ、前記少なくとも1つの光共振器の外部から到着する光信号エネルギに対して部分的に透過性であり、光信号エネルギが前記少なくとも1つの光共振器の中へ入るのを可能にし、
前記第2反射面は、前記出力の少なくとも一部分を形成しており、かつ、前記少なくとも1つの光共振器の中の光信号エネルギに対して実質的に反射的であるが、部分的には透過性であり、前記光信号エネルギの部分が前記少なくとも1つの光共振器の外部に放射されるように、前記少なくとも1つの光共振器の中へ入るのを可能にしている、
請求項1に記載の光信号受信器。
【請求項7】
前記光信号受信器は、さらに、
前記放射される光信号エネルギを電気信号へと変換するように構成された光−電気コンバータを含み、
前記電気信号は、前記放射される光信号エネルギの強度を示す振幅を有しており、かつ、
前記検出器は、前記電気信号を処理することによって、前記放射される光信号エネルギに対する乱れを検出するように構成されている、
請求項1に記載の光信号受信器。
【請求項8】
光信号において符号化された情報を検出する方法であって、
開口部の複数の領域において光信号を受信するステップと、
少なくとも1つの光共振器の関連領域における前記光信号からの光信号エネルギを累積するステップであり、前記関連領域において累積された光信号エネルギの定常状態に近づく、ステップと、
前記累積された光信号エネルギから光信号エネルギを出力するステップであり、各関連領域からの出力光信号エネルギの強度は、各関連領域における前記累積された光信号エネルギに比例する、ステップと、
結合された出力光信号エネルギを検出するステップであり、前記結合された出力光信号エネルギは、複数の前記関連領域からの前記出力光信号エネルギの結合である、ステップと、
検出された前記結合された出力光信号エネルギに基づいて、受信した光信号の変調特性を決定するステップと、
を含み、
少なくとも1つの光共振器の関連領域における前記光信号からの光信号エネルギを累積する前記ステップは、
2つの半反射性表面の間において前記光信号エネルギを部分的に反射するステップ、を含み、
前記2つの半反射性表面は、それぞれに異なる振幅反射率を有している、
方法。
【請求項9】
検出された前記結合された出力光信号エネルギに基づいて、受信した光信号の変調特性を決定する前記ステップは、
前記結合された出力光信号エネルギにおける強度変動に基づいて、前記受信した光信号における位相変動を決定するステップ、を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、さらに、
前記受信した光信号の変調特性に応答して、前記少なくとも1つの光共振器の中で破壊的な干渉によって前記光共振器の前記関連領域における前記累積された光信号エネルギを低減するステップ、を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記受信した光信号の変調特性は、位相変調と関連する位相遷移である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、さらに、
前記結合された出力光信号エネルギを電気信号へと変換するステップ、を含み、
前記電気信号の振幅は、前記結合された出力光信号エネルギの強度を表している、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記結合された出力光信号エネルギを電気信号へと変換する前記ステップは、
複数の前記関連領域からの前記出力光信号エネルギを集束させるステップ、を含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
光受信器であって、
2つの半反射性の表面間で複数の領域において光信号エネルギを少なくとも部分的に累積するように構成されており、かつ、光信号エネルギが入ることを可能にする開口、および、累積された光信号エネルギの一部分が前記複数の領域から放射されることを可能にする出力を有している、少なくとも1つのエタロンであり、
前記複数の領域それぞれからの出力光信号エネルギを、それぞれの領域における入射光信号エネルギの位相遷移に基づいて、一時的に強度を変化させるように構成されており、
前記2つの半反射性の表面は、それぞれに異なる振幅反射率を有している、
少なくとも1つのエタロンと、
前記複数の領域から前記出力光信号エネルギを受信し、かつ、前記出力光信号エネルギを電気信号へと変換する、ように構成されている光−電気コンバータと、
前記電気信号を受信し、かつ、前記電気信号に部分的に基づいて前記位相遷移に関する情報を決定する、ように構成されている受信器と、
含む、光受信器。
【請求項15】
前記少なくとも1つのエタロンは、複数のエタロンを含み、
前記複数のエタロンそれぞれは、前記複数の領域のうち少なくとも1つを画定している、
請求項14に記載の光受信器。
【請求項16】
前記光受信器は、さらに、
前記電気信号をアナログ形式からデジタル形式に変換するように構成されているアナログ−デジタル変換器を含み、
前記受信器は、前記電気信号の前記デジタル形式を受信する、ように構成されている、
請求項14に記載の光受信器。
【請求項17】
前記少なくとも1つのエタロンは、前記エタロンが特定の波長の光信号エネルギを少なくとも部分的に累積するように選択されたノミナル寸法を有する、ように構成されている、
請求項14に記載の光受信器。
【請求項18】
前記少なくとも1つのエタロンは、データに関連して期待されるデータレートに適応するように、特定のレートで光信号エネルギの累積を発生させるように選択されたノミナル寸法を有する、ように構成されている、
請求項14に記載の光受信器。
【請求項19】
前記電気信号は、拡散コード、擬似ランダムコード、ブロックコード、および、畳み込みコードのうち少なくとも1つと相関している、
請求項7に記載の光信号受信器。
【請求項20】
前記受信器は、前記電気信号を、拡散コード、擬似ランダムコード、ブロックコード、および、畳み込みコードのうち少なくとも1つと相関させる、ように構成されている、
請求項14に記載の光受信器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光波は、その振幅、位相、周波数、波長、等といった、光の様々な特性を変化させるように、光源、しばしばレーザ光源、を変調すること(modulating)によって情報を搬送するように作られてよい。光波は、可視スペクトルバンド、赤外スペクトルバンド、または電磁スペクトルの別の領域において存在してよい。いくつかの事例においては、ラジオ周波数信号(radio frequency signal)といった、基礎をなす(underlying)信号が、振幅、位相、または周波数変調、もしくは、それらの任意の組み合わせを介して変調されてよく、そして、光源は、基礎をなす信号によって変調されてよい。光受信器(optical receivers)は、光波を受信し、そして、振幅、位相遷移、等といった、光波の特性または変動を測定し、そこから基礎をなす信号および情報を回復することができる。
【0002】
光信号の位相変調は、有用な情報を伝達し得る。位相変調において符号化された情報(information encoded)は、送信された通信データを含んでよく、または、他の情報を含んでもよい。光信号のソース(source)、光信号のオブジェクトとの相互作用、光信号がそこを通じて伝搬する光チャネル、及び/又は、光信号が相互作用するオブジェクトに関する情報、といったものである。典型的な振幅変調受信器と比較して、位相変調受信器は、著しく、より複雑であり得るものであり、精密光学系、局部発振器、ファイバブラッグ格子(Fiber Bragg Gratings、FBG)、及び/又は、遅延線干渉計(delay line interferometers、DLI)等を必要としている。
【0003】
変調された光波のための受信器は、取得された信号電力が正確な検出のために十分に高い、十分な大きさの領域から信号を収集すべきである。従来、望遠鏡(telescope)は、光源に向けられてよく、そして、望遠鏡の断面積、つまり開口(aperture)は、受信器において、どれだけ多くの信号電力が収集され、そして、集束(例えば、フォーカス)されるかを決定することができる。そうした光が位相変調(phase modulated)されるとき、全ての光線が(望遠鏡の断面にわたり)単一の波面として一斉に検出器に到着して、光線のオリジナルの位相関係の整列(alignment)を維持している場合に、最適な受信が発生する。従来の光集束システム(light-focusing system)においては、波面補正(wavefront correction)が必要とされ得る。例えば、大気中をいくらかの距離だけ移動する光波について典型的なように、光線が、経路に沿って変動している媒体を通して伝搬してきたか、あるいは、歪められ(skewed)、遅延され(delayed)、錯乱され(aberrated)、等されている場合である。そうしたシステムは、光線をオリジナルの位相関係に補正しようと試みるために適応光学系を使用し得るが、それらは複雑で、壊れやすく、かつ、コストがかかるものである。
【0004】
関連出願の相互参照
本申請は、2016年9月27日に出願された、タイトルが”SYSTEMS AND METHODS FOR DEMODULATION OF FREE SPACE OPTICAL COMMUNICATION SIGNALS IN A TURBULENT ENVIRONMENT WITHOUT WAVEFRONT CORRECTION”である、同時係属中の米国仮特許出願第62/400,359号について、適用可能として、米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、かつ、PCT第8条に基づく優先権の利益を主張する。当該出願は、あらゆる目的のために参照によりその全体がここにおいて包含されている。
【発明の概要】
【0005】
ここにおいて説明される態様および実施例は、高価な臨界集束光学系(critical focusing optics)または波面補正、もしくは局所的にコヒーレントクロック源を必要とすることなしに、自由空間光信号から位相符号化された(phase encoded)情報を復調(demodulation)するためのシステムおよび方法を提供する。特に、本システムの所定の実施例は、ファブリ−ペロー(Fabry-Perot)フィルタ/共振器といった、光共振器を有する受信器を含んでいる。自由空間の開口部にわたる位相符号化された光信号を、振幅変動を処理することにより一般的に集束され、かつ、受信され得る強度符号化(intensity-encoded)された光信号へと変換するためであり、それによって、受信システムのコストおよび複雑さを低減している。さらに、光共振器は、受信器の特性を修正する必要なしに、広範囲の変調レートにわたって機能し得る。加えて、受信した信号から振幅および他の変動を通過させるように1つまたはそれ以上の光共振器が使用されてよく、それらを強度符号化された出力信号へと変換し、それによって、高次変調方式(例えば、位相、振幅、周波数)を可能にしている。従って、ここにおいて開示されるシステムおよび方法は、波面補正またはコヒーレントクロック源を必要とすることなしに、様々な符号化技術および様々な変調レート(例えば、ボーレート(baud rate))に適合するためのフレキシビリティを提供することができる。
【0006】
1つの態様に従って、光信号受信器が提供され、複数の領域を画定する少なくとも1つの光共振器と、光信号エネルギが入ることを可能にする開口と、光信号エネルギの一部分が放射されることを可能にする出力とを含んでいる。少なくとも1つの光共振器は、開口を介して光信号を受信し、少なくとも各領域の中で共振光信号エネルギを累積し、各領域と関連する放射される光信号エネルギを定常出力値に近づくようにし、かつ、受信した光信号の遷移の際に各領域と関連する放射される光信号エネルギを乱す、ように構成されている。少なくとも1つの光共振器は、1つまたはそれ以上の共振波長において累積された光信号エネルギの位相整列(phase alignment)を生じさせるための少なくとも1つの寸法を有している。出力に整列された検出器であり、領域のうち1つまたはそれ以上の放射される光信号エネルギに対する乱れを検出し、かつ、乱れに基づいて、受信した光信号における遷移の特徴を決定する、ように構成されている、検出器を含む。
【0007】
いくつかの実施形態に従って、少なくとも1つの光共振器は、複数の光共振器を含み、複数の光共振器それぞれは、複数の領域の少なくとも1つを画定する。
【0008】
いくつかの実施形態は、出力と整列され、かつ、検出器に対して集束された光信号を提供するために、各領域と関連する放射される光信号エネルギを集束するように構成されている集束光学系を含む。
【0009】
所定の実施形態において、少なくとも1つの光共振器の各領域は、受信した光信号における位相遷移に応答して、放射される光信号エネルギの強度において一時的な変化を生成するように構成されており、かつ、検出器は、さらに、結合された複数の領域の全てから放射される光信号エネルギの強度における結合された一時的な変化を検出し、かつ、結合された一時的な変化に基づいて受信した光信号における位相遷移を決定するように構成されている。加えて、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの光共振器の各領域は、受信した光信号の振幅変動に応答して、放射される光信号エネルギの強度において変動を生成するように構成されており、そして、検出器は、さらに、結合された複数の領域の全てから放射される光信号エネルギの強度における結合された変動を検出し、かつ、結合された変動に基づいて受信した光信号における振幅変動を決定するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施態様に従って、少なくとも1つの光共振器は、互いに対向する反射性側面を有する第1反射面および第2反射面を含み、第1反射面は、開口の少なくとも一部分を形成しており、かつ、少なくとも1つの光共振器の外部から到着する光信号エネルギに対して部分的に透過性であり、光信号エネルギが少なくとも1つの光共振器の中へ入るのを可能にし、第2反射面は、出力の少なくとも一部分を形成しており、かつ、少なくとも1つの光共振器の中の光信号エネルギに対して実質的に反射的であるが、部分的には透過性であり、光信号エネルギの部分が少なくとも1つの光共振器の外部に放射されるように、少なくとも1つの光共振器の中へ入るのを可能にしている。
【0011】
所定の実施形態は、また、放射される光信号エネルギを電気信号へと変換するように構成された光−電気コンバータも含み、電気信号は、放射される光信号エネルギの強度を示す振幅を有しており、かつ、検出器は、電気信号を処理することによって、放射される光信号エネルギに対する乱れを検出するように構成されている。
【0012】
別の態様に従って、光信号において符号化された情報を検出する方法が提供される。本方法は、開口部の複数の領域において光信号を受信するステップと、少なくとも1つの光共振器の関連領域における光信号からの光信号エネルギを累積するステップであり、関連領域において累積された光信号エネルギの定常状態に近づくステップと、累積された光信号エネルギから光信号エネルギを出力するステップであり、各関連領域からの出力光信号エネルギの強度は、各関連領域における累積された光信号エネルギに比例するステップと、結合された出力光信号エネルギを検出するステップであり、結合された出力光信号エネルギは、複数の関連領域からの出力光信号エネルギの結合であるステップと、検出された結合された出力光信号エネルギに基づいて、受信した光信号の変調特性を決定するステップと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、検出された結合された出力光信号エネルギに基づいて、受信した光信号の変調特性を決定する前記ステップは、結合された出力光信号エネルギにおける強度変動に基づいて、受信した光信号における位相変動を決定するステップを含む。
【0014】
所定の実施形態は、受信した光信号の変調特性に応答して、少なくとも1つの光共振器の中で破壊的な干渉によって光共振器の関連領域における累積された光信号エネルギを低減するステップを含む。受信した光信号の変調特性は、いくつかの実施形態において、位相変調と関連する位相遷移であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの光共振器の関連領域における光信号からの光信号エネルギを累積する前記ステップは、2つの半反射性表面の間において光信号エネルギを部分的に反射するステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態は、また、結合された出力光信号エネルギを電気信号へと変換するステップを含み、電気信号の振幅は、結合された出力光信号エネルギの強度を表している。結合された出力光信号エネルギを電気信号へと変換する前記ステップは、複数の関連領域からの出力光信号エネルギを集束させるステップを含む。
【0017】
別の態様に従って、光受信器が提供される。本光受信器は、2つの半反射性の表面間で複数の領域において光信号エネルギを少なくとも部分的に累積するように構成されており、かつ、光信号エネルギが入ることを可能にする開口、および、累積された光信号エネルギの一部分が複数の領域から放射されることを可能にする出力を有している、少なくとも1つのエタロンであり、複数の領域それぞれからの出力光信号エネルギを、それぞれの領域における入射光信号エネルギの位相遷移に基づいて、一時的に強度を変化させるように構成されている少なくとも1つのエタロンと、複数の領域から出力光信号エネルギを受信し、かつ、出力光信号エネルギを電気信号へと変換するように構成されている光−電気コンバータと、電気信号を受信し、かつ、電気信号に部分的に基づいて位相遷移に関する情報を決定するように構成されている受信器と、を含む。
【0018】
所定の実施形態において、少なくとも1つのエタロンは、複数のエタロンを含み、複数のエタロンそれぞれは、複数の領域のうち少なくとも1つを画定している。
【0019】
いくつかの実施形態は、また、電気信号をアナログ形式からデジタル形式に変換するように構成されているアナログ−デジタル変換器を含み、受信器は、電気信号のデジタル形式を受信するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、受信器は、さらに、電気信号を、拡散コード、擬似ランダムコード、ブロックコード、および、畳み込みコードのうち少なくとも1つと相関させるように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態に従って、少なくとも1つのエタロンは、エタロンが特定の波長の光信号エネルギを少なくとも部分的に累積するように選択されたノミナル寸法を有するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態に従って、少なくとも1つのエタロンは、データに関連して期待されるデータレートに適応するように、特定のレートで光信号エネルギの累積を発生させるように選択されたノミナル寸法を有するように構成されている。
【0023】
さらに他の態様、実施例、および利点が、以下で詳細に説明される。ここにおいて開示される実施形態は、ここにおいて開示される原理の少なくとも1つと一貫性のある任意の方法で他の実施形態と組み合わされてよい。そして、「実施形態(”an embodiment”)」、「いくつかの実施形態(”some embodiment”」、「代替実施形態(”an alternate embodiment”」、「様々な実施形態(”various embodiment”」、「一つの実施形態(”one embodiment”)」等への言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、かつ、記載される特定の機能、構造、または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すように意図されている。ここにおけるそうした用語の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照しているわけではない。ここにおいて説明される様々な態様および実施形態は、記載された方法または機能のいずれかを実行するための手段を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
少なくとも1つの実施形態に係る様々な態様が、スケールどおりに描かれることを意図されていない、添付の図面を参照して以下に説明される。図面は、様々な態様および実施形態に係る説明およびさらなる理解を提供するために含まれており、そして、この明細書の中に組み込まれ、かつ、この明細書の一部を構成している。しかし、本開示の限定を定義するものとして意図されてはいない。図面においては、様々な図面に示されている、それぞれ同一又はほぼ同一なコンポーネントは、同様の数字によって表されている。明確化の目的のため、全てのコンポーネントが全ての図においてラベル付けされているわけではない。
図1図1は、ここにおいて説明される様々な実施例を用いた使用のための概念的な光送信器に係るブロック図である。
図2図2は、ここにおいて説明される様々な実施例に従った、光受信器に係るブロック図である。
図3図3は、光共振器の一つの例に係る概略図であり、光共振器の受信信号位相のグラフおよび出力強度のグラフを含んでいる。
図4図4は、図3の光共振器の一つの例からの光入力位相および出力強度のグラフである。
図5A図5Aは、光線伝搬の例に係る概略図である。
図5B図5Bは、光線伝搬の例に係る概略図である。
図6図6は、光共振器を利用している光信号受信器部の一つの例に係る概略図である。
図7図7は、光共振器を利用している光信号受信器部の別の例に係る概略図である。
図8図8は、ここにおいて説明されるプロセスの様々な実施例を実施するように構成され得る計算システムの一つの例に係る機能ブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0025】
自由空間光通信に対する高ビットレートアプローチは、しばしば、位相シフトキーイング(phase-shift keying)変調フォーマットを使用する。部分的には、強度変調の直接検出と比較して、信号対雑音比(SNR)における改善、典型的に2-3dBのオーダー、をすることができるからである。情報は、光信号の位相において符号化されるので、波長の一部(a fraction of)のオーダーにおける波面収差(wavefront aberrations)(例えば、変動)は、そうした光信号が、例えば、光ファイバへの結合のために、集束されるときに、著しく破壊的な干渉(例えば、信号フェーディング(fading))を生じ得る。波面補正は、収差を除去し、そして、単一モードファイバへの光信号の非破壊的な集束を可能にし、そこから信号は、任意の数のコヒーレント技術によって復調され得る。これらの事例においては、適応光学系(adaptive optics、AO)が、波面補正を実行するために慣用的に使用されている。例えば、AOは、シャックハルトマンセンサ(Shack-Hartmann sensor)または自己参照干渉計(self-referencing interferometer)といった、任意の数の波面センサを伴う変形可能なミラー表面を利用することができる。フィードバック制御を用いて、そうしたシステムは、数ミクロンの歪みを毎秒数万回の補正の速度で補正することができる。しかし、そうしたシステムは、高価で、複雑で、かつ、壊れやすい。
【0026】
様々な態様および実施形態は、波面収差に適応し、かつ、従って、従来の波面補正を必要としない、位相符号化(すなわち、位相変調)された光信号の復調のための改善されたシステムおよび方法に対して向けられている。所定の実施例において、システムは、受信した位相符号化された光信号を強度変調出力信号へと変換する、ファブリ−ペローフィルタ/共振器といった、光共振器を含んでいる。態様および実施形態は、検出器および変換器エレメントとしての光共振器といったものを含む受信器に対して向けられている。1つまたはそれ以上の光共振器の入力開口部にわたる波面変動の存在を許し、かつ、その存在下で動作可能なものである。
【0027】
上述のように、特に、光信号が位相変調を含み得るアプリケーションにおいては、光信号のコヒーレンスを維持(または回復)すること、または、コヒーレンスの欠如を補償することが望ましい。大気の摂動(perturbations)は、光信号の空間的コヒーレンスを侵食し、そして、最終的には破壊する傾向がある。例えば、空気の摂動によって引き起こされる、波面変動を補償するための適応光学系に係る従来のアプローチは、大きなサイズおよび重量を含む、いくつかの欠点を有している。さらに、適応光学系システムの全てのエレメントの正確な位置合わせ、および、適応光学系の正確な制御が、許容可能な動作のためには一般的に必要とされる。しかし、適応光学系は、波長の一部のオーダーにおける変動を物理的に補正するために、そうした高精度で光線に直接的に作用しなければならないので、達成するのが困難であり得る。ここにおいて説明されたものに従って、態様および実施形態は、直接的な補正なく、光共振器の隣接する、及び/又は、他の領域から実質的に独立した光信号について作用する領域を有する光共振器を提供することによって、波面収差を収容する。そうして、波面収差は、1つの領域から次の領域への著しく破壊的な干渉を引き起こさない。光共振器は、共振器の様々な領域で、光信号における位相符号化された情報を、出力光信号での強度符号化された情報へと変換する。エタロン(etalon)の様々な領域によって、位相変化が強度変動へと変換された後で、出力光信号が集束され得る。
【0028】
位相符号化された光信号は、多数のソースから来てよく、かつ/あるいは、多数のプロセスによって生成されてよい。位相符号化の検出は、従って、多くの目的のために有用であり得る。レーザビームといった、コヒーレント光信号は、光信号における通信情報を符号化するために、例えば、データ通信送信器によって意図的に変調されてよい。タイミング及び/又はタイムスタンプ情報といった、他の情報は、位相変調として意図的に符号化されてよい。多数のプロセスは、コヒーレント光源を位相変調することができ、そして、位相変調された光信号の適切な復調(例えば、解釈(interpreting))によって、そこからプロセスに関する情報が回復され得る。例えば、様々な測定システムは、光信号を送信し、そして、寸法、移動、欠陥、等を判断するために、反射信号を分析定することができる。位相変調された光信号の復調が有益であり得る様々なシステムの実施例は、ターゲットデジグネータ(target designators)、レーザ誘導システム、レーザサイト(laser sight)、レーザスキャナ、3Dスキャナ、ホーミングビーコン(homing beacons)及び/又は測量システム、並びに、通信システムを含んでいる。これらの様々な実施例において、光信号は、自由空間信号経路(例えば、自由空間光通信、free space optical、FSO)、またはファイバ、もしくは他の導波管(waveguide)システムを介して到着することができる。ここにおいて開示される態様および実施例に従った、位相変調された光信号の復調のためのシステムおよび方法は、位相符号化を有する光信号から有用な情報を受信、検出、回復、等するために、上記の実施例の光学システムまたは他の物いずれかに対して有益に適用され得る。
【0029】
ここにおいて説明される方法および装置の実施形態は、以下の説明において明らかにされるか、または、添付の図面において示される構成およびコンポーネントの配置に係る詳細に対する適用に限定されるものではないことが正しく理解されるべきである。方法および装置は、他の実施態様において実施することができ、そして、様々な方法で実施され、または、実行することができる。具体的な実装の例は、ここにおいて、例示の目的のためだけに提供されるものであり、そして、限定することを意図するものではない。また、ここにおいて使用される表現および用語は、説明目的のためのものであり、そして、限定するものとして理解されるべきではない。ここにおける「含む、有する(”comprising”、”having”、”containing”、”involving”)」及びそれらの変形体の使用は、それ以降に列挙されるアイテム及びその均等物、並びに追加アイテムを包含することを意味している。「または(”or”)」への参照は、包括的なものとして解釈されてよく、そうして、「または」を使用して記述される任意の用語は、記述された用語のうち単一、1つまたはそれ以上、および、全て、のいずれかを示すことができる。表と裏(front and back)、左と右(left and right)、上と下(top and bottom)、上方と下方(upper and lower)、および、垂直と水平(vertical and horizontal)への参照は、説明の便宜のために意図されたものであり、本システムおよび方法またはそれらのコンポーネントを、位置的または空間的配向の任意の1つに限定するものではない。
【0030】
この開示の目的のために、そして、当業者によって理解されるように、用語「光(light)」、「光信号(light signal)」、および「光学信号(optical signal)」は、ここにおいて互換的に使用されてよく、そして、一般に、所与の媒体を通って伝搬する電磁信号を参照する。媒体は、虚空(empty space)、例えば真空、であってよく、または、大気、例えば空気、もしくは、例えばファイバまたは他の光学コンポーネントといった、他の媒体であってよい。用語「光」、「光信号」、および「光学信号」は、周波数または波長、帯域、コヒーレント性、スペクトル密度、品質係数、等といった、光のあらゆる特定的な特徴を含むように意味するものではなく、そして、電波(radio waves)、マイクロ波、赤外線、可視光、及び/又は、紫外線電磁放射、または、光学分野において慣例的に処理される他の電磁放射線を含んでよい。
【0031】
多くの光受信器(例えば、コヒーレント受信器)は、受信した信号に対して復調プロセスを正確に実行するために安定なクロックを必要とし、そして、特に変調が光信号の極性化(polarization)における情報の符号化を含む場合には、また、90度ハイブリッド(90-degree hybrids)、位相シフタ、等といった、精巧な光学系を必要とすることもある。対照的に、ここにおいて開示される態様および実施例に従った、光受信器は、従来の光受信器と同じ受信器能力を達成するために、ローカルなコヒーレントクロック源または重要な光学コンポーネントも必要としない。この利点は、少なくとも部分的には、コヒーレント基準源(coherent reference source)なしに、位相変動といった、変調遷移(modulation transitions)を検出することができる光共振器を含む光フロントエンドによって達成される。光共振器は、さらに、変調、例えば位相変調を、潜在的に電気領域において、簡素化された処理を可能にする強度変調へと変換する。
【0032】
送信器の一つの例(例えば、光送信器100)に係る機能ブロック図が図1に示されており、そして、受信器の一つの例(例えば、光受信器200)に係る機能ブロック図が図2に示されている。図1に示される送信器は、本開示の利点を与えられた当業者とって直ちに明らかなように、通信アセンブリの一つの例を提供するために、図2に示される受信器と組み合わされてよい。
【0033】
図1に示される光送信器100および図2に示される光受信器200の例示的なコンポーネントは、ブロック図において個別のエレメントとして示され、かつ、説明されてよく、そして、特に指示されなければ、「モジュール(”module”)」、「回路(”circuitry”)」、または「回路(”circuit”)」として参照されてよいが、コンポーネントは、アナログ回路、デジタル回路、または、ソフトウェアインストラクション(例えば、既定のルーチン)を実行する1つまたはそれ以上のマイクロプロセッサ、のうち1つ又は組み合わせとして実装されてよい。特に、ソフトウェアインストラクションは、デジタル信号処理(DSP)命令を含んでよい。そうでないものと指示されなければ、光送信器100のコンポーネントと光受信器200のコンポーネントとの間の信号線は、個別のアナログ、デジタル、または、光信号線として実装されてよい。処理オペレーションのいくらかは、光送信器100、光受信器200、コントローラ、または他のコンポーネントによる計算または決定の観点で表現され得る。値、または他のエレメントの計算および決定に係る均等物は、任意の適切なアナログまたはデジタル信号処理技術によって実行することができ、そして、この開示の範囲内に含まれる。そうでないものと指示されなければ、制御信号は、デジタルまたはアナログのいずれかの形態において符号化されてよい。
【0034】
図1を参照すると、光送信器100の一つの例は、データペイロードを受信するための入力102、前方誤り訂正(forward error correction、FEC)モジュール104、拡散モジュール106、マッピングモジュール108、パルス整形フィルタ110、光源(例えば、レーザ)112、変調器114、および光学系116、そして、光信号出力を提供するための出力118、を含み得る。
【0035】
送信器100において、FECモジュール104は、ブロックコードまたは畳み込みコード(convolution code)を用いてデータに対して冗長性(redundancy)を加えることによって前方誤り訂正を実行する。例えば、FECモジュール104は、伝送媒体(transmit medium)が伝送される信号波形において有し得る効果を低減するために、データペイロード内で1つまたはそれ以上のビットを繰り返してよい。従って、様々な実施例において、光送信器100は、ノイズが多く、または、損失が多い媒体を通じてデータペイロードを送信することから結果として生じ得るエラーを制御するために、FECモジュール104を含んでよい。
【0036】
送信器100は、拡散モジュール106を含んでいる。拡散モジュールは、受信器内で信号コンポーネントを識別し、そして、処理するために有用な拡散コードをデータペイロードに対して適用し、そして、シンボル間の干渉(inter-symbol interference、ISI)の影響を低減する。例えば、拡散モジュール106は、疑似ランダム符号発生器(pseudo-random code generator、PRCG)を含んでよく、そして、当技術分野で既知であるダイレクトシーケンススペクトラム拡散(direct sequence spreading spectrum、DSSS)技術を適用してもよく、一方で、送信器または拡散モジュールに係る他の実施例は、拡散の他の形態を適用してよい。
【0037】
マッピングモジュール108は、送信器によって使用される変調のタイプ、例えば、位相、振幅、周波数、または、これらの任意の組み合わせ、に依存して、特定の位相および振幅配置(amplitude constellation)の様々な位置といった、特定の変調スキームに対してデータペイロードをマッピングする。
【0038】
パルス整形フィルタ110は、マッピングモジュール108の出力を受け取り、そして、変調された光信号を生成するために、光源112について変調方式を課すように変調器114を制御することができる。様々な実施例において、変調器114は、電気光学変調器であってよく、そして、レーザといった、光源112を含んでよい。特に、光源112は、データペイロードの各シンボルに対して(例えば、位相、振幅、および/または周波数において)変調される連続搬送波形を放射することができ、搬送波形においてこれらのシンボルを符号化する。送信器100は、また、出力118において光信号を方向付けるための1つまたはそれ以上のミラーまたはレンズといった、様々な光学系116を含んでもよい。
【0039】
図2を参照すると、ここにおいて説明される様々な実施例に従った、光受信器200の一つの例が示されている。図2は、データペイロードを光受信器200に対して通信することができる、図1の光送信器100を継続して参照して説明されている。加えて、受信器および送信器は、例えば、他の送信器/受信器ペアと双方向データ通信が可能なトランシーバを形成するために、一緒にペア化されてよい。
【0040】
図示された受信器200は、光信号210を受信し、そして、光共振器230と、出力270を提供するデジタル処理サブシステム250とを含んでいる。光共振器230は、例えば、光-電気変換器242およびアナログ-デジタル変換器244によってデジタル処理サブシステム250に対して結合されてよい。
【0041】
光共振器230の実施例は、ファブリ-ペローエタロン(Fabry-Perot etalon)、マイクロリング(micro-rings)、または、他のタイプの共振器を含んでよい。光共振器230は、送信器で実行される変調を表す、位相変動といった遷移(transitions)を検知することができ、そして、出力光信号、例えば、出力光信号232の強度変調へと遷移を変換することができるコンポーネントである。光共振器230は、到着する光信号210と光共振器230において累積された(built-up)共振光エネルギとの相互作用によって、到着する光信号210の変調を部分的に変換する。
【0042】
例えば、エタロン(etalon)は、間に透明材料を含むことができ、半反射面(semi-reflective surfaces)間の間隔(すなわち、寸法的な長さ)に基づいて、各々が所定の光の波長と関連付けされた、1つまたはそれ以上の特徴的な共振周波数を持つことができる半反射面を有するコンポーネントである。表面は半反射性であり、そして、また、半透過性でもあり、いくらかの光を通過させることができる。そして、従って、到着する光信号210は、エタロンの中へ入ることができ、そして、エタロンの内側(すなわち、2つの半反射性表面の間)で共振することができる。加えて、内部で共振している光のいくらかは、エタロンから(半透過性表面を通して)外へ出ることができる。エタロンから出現する光は、例えば、図2の光信号232として示されている。
【0043】
この実施例において、光共振器230、エタロンによって受信された光信号は、定常状態エネルギ保存条件(steady-state energy-conserving condition)を確立することができる。そこでは、光信号エネルギが連続的にエタロンに到着し、エタロン内部に存在している累積共振エネルギを累積し、または追加し、そして、一定の速度でエタロンから出現する。光信号の到着位相、周波数、または振幅における変化は、エタロン内部の共振を破壊することができ、そして、エタロンから出現する光強度も、また、定常状態が再確立されるまで、破壊される。従って、到着する光信号210の位相、周波数、または振幅における変化は、出現する光信号232の強度における変化を引き起こす。到着する光信号210における大きな位相遷移は、例えば、出現する光信号232における大きな(しかし、一時的な)強度変化を引き起こす。同様なオペレーションが、マイクロリングまたは他の光共振器において発生し、そして、従って、光共振器230は、光信号210のための復調器、または変調変換器として機能する。出現する光信号232は、従って、到着する光信号210と同じ情報コンテンツを伝搬することができる。しかし、強度変調された形態におけるものである。
【0044】
出現強度変調光信号232は、光-電気変換器、例えば、OEC242によって電気信号へ変換されてよい。例えば、光ダイオードといった、光検出器を含み得るものである。従って、OEC242の出力は、強度変調光信号232を表す振幅変調信号であってよく、そして、アナログ−デジタル変換器、例えば、ADC244によって、デジタル形式へ変換されてよい。デジタル信号は、デジタル処理のためにデジタル処理サブシステム250に対して提供される。デジタル処理サブシステム250は、光信号210の情報搬送コンテンツを受信するために、デジタル信号を処理する。デジタル処理サブシステム250の基本的オペレーションは、当技術分野で公知であり、そして、例えば、相関器252およびコード生成器254を含むことができるが、任意の特定の実装に係る詳細は変えることができる。
【0045】
様々な例において、ここにおいて開示される態様および実施例に従った、受信器は、上述したよりも、追加の又は少ない光学系を含んでよく、そして、上述したものに関して様々なコンポーネントを省略し又は追加してよい。例えば、集束光学系(focusing optics)が、光共振器230から出現する光信号232を受信し、かつ、OEC242上に光信号232を集束させるために含まれてよい。所定の例は、アナログ受信器回路を使用してよく、そして、従って、ADC224のうち1つまたはそれ以上を省略してよい。様々な例は、デジタル処理サブシステム250の一部としてチャネル推定器を含んでよく、位相回転または当技術分野で公知の他の信号調整を提供する。
【0046】
上述のように、好適な光共振器はエタロンを含み、そして、エタロンの少なくとも1つの実施例が図3に関して説明される。図3は、例えば、図2の光共振器230として、ここにおいて説明される態様および実施形態に従った、レシーバの様々な実施例において使用され得るエタロン300に係る一つの実施例を示している。特に、受信器は、受信した光通信信号310の位相変調を、出力光信号320の強度または振幅変調へと変換するために、エタロン300を使用することができる。強度または振幅変調出力光信号320は、次いで、受信光信号310の位相変調を表す対応する振幅変動を有する、電気信号へ変換され得る。エタロン300は、エタロン300の内部において、受信した光信号310を、それ自体と共振的に相互作用させ、そうして、受信した光信号310における位相変化が、共振を中断し、そして、検出器に対して直接的に結合され得る、出力光信号320における振幅(または強度)変動を生じさせる。
【0047】
特定の実施例において、エタロン300は、受信した光通信信号310のソース、例えば、送信レーザ、と整列された共振周波数を有するように設計されている。様々な実施例において、エタロン300の寸法スケール、例えば長さ302は、エタロン300が受信した光通信信号310の波長で光共振を示すように選択されている。特定の実施例において、そうした寸法スケールは、送信されたシンボルの長さよりもはるかに短い。スケールは、例えば、位相変調信号における位相変化の間である、情報を伝搬する遷移間の光信号が移動する距離である。
【0048】
エタロン300は、内部(interior)304を含み、光信号エネルギを内部304の中へ反射する半反射面306、308を有する。入力側312により、光通信信号310といった、光信号エネルギが内部304の中へ入ることができる。入力側312は、それにより、到着する光通信信号310が、そこを通じて受信される開口を形成している。出力側322は、半反射面306の動作によって少なくとも部分的に光出力を形成し、内部304からのトラップされた(trapped)光信号エネルギの一部が、出力光信号320といった、出力光信号として出現することを可能にする。従って、半反射面306も、また、半反射面306に(内部304から)到着した光信号エネルギが、部分的に反射されて内部304に戻り、そして、部分的に出力側322へ通過されるように、半透過性である。エタロン300は、半反射面306、308に係る変動するレベルの反射率(reflectivity)を有してよい。所定の実施例において、反射率は、内部304の中へ戻って反射される光振幅の割合として表現されてよく、または、内部304に戻って反射される光強度の割合として表現されてよい。特定な実施例において、第1半反射面308の振幅反射率はr1=0.999であってよく、そして、第2半反射面306の振幅反射率はr2=0.985であってよい。他の実施例においては、第1および第2半反射面それぞれの反射率が異なってよく、そして、特定な実施のために任意の適切な値であってよい。エタロン300は、ここにおいて説明される態様および実施形態に従った、好適な光共振器の一つの例である。
【0049】
所定の実施例に従って、エタロン300といった、光共振器は、入力信号に基づいて出力信号をコヒーレントに展開し(coherently develop)、そして、入力信号の位相における変調が発生するまで出力信号の所与のレベルを維持する。入力信号において位相変調が発生するとき、破壊的な干渉が、出力信号の振幅における位相依存の変化(phase-dependent change)を生じさせる。このことは、図3に示される入力位相プロット330および出力パワー(output power)プロット340において見られる。従って、受信光信号310といった、受信位相符号化光通信信号は、エタロン300といった、光共振器によって、出力光信号320といった、振幅変換器号信号へ変換される。出力光信号320は、図2のOEC242といった、センサによる直接的な検出について好適である。加えて、光共振器は、検出器のセットアップ、経路長調整、遅延素子、等といった、システムの光学特性を修正する必要なしに、広範囲のデータレートにわたり機能する。例えば、到着位相変調入力光信号310を強度変調出力光信号320へと変換するためのエタロン300の能力は、いくつかの実施例において、入力位相が変化する変調速度と無関係であってよい。
【0050】
この開示全体を通しての用語「エタロン(”etalon”)」の使用は、限定することを意図するものではなく、そして、ここにおいて使用されるように、反射面を有するプレート、並びに、様々な材料を中間に有する平行ミラーを含む、複数の構造のいずれかを含んでよく、そして、また、キャビティ、干渉計、等としても参照されてよい。加えて、エタロン構造は、積層体(laminate)、層(layer)、フィルム、コーティング、等として形成されてよい。
【0051】
図3は、さらに、受信光信号310における位相遷移332の最中の、エタロン300といった、光共振器から出現する光信号強度(出力パワーとして)の出力パワープロット340に関してエタロン300の動作を示している。ポイント342において、エタロン300は、定常状態の共振条件にあり、ここでは、安定した強度の光が出現する。ポイント344においては、到着する光信号310において位相遷移332が発生し、一時的に定常状態を破壊しており、そして、出現する光強度における変化を引き起こしている。ポイント346でラベル付けされた、エタロン内部の連続的な反射の最中には、共振が再確立されており、そして、出現する光強度は、ポイント348で、エタロン300が定常状態に戻ったときに安定した光強度が出現するまで、増加する。
【0052】
従って、エタロン300といった、光共振器から出現する光強度における変動は、位相、周波数、または振幅変動、等といった、到着する光信号において発生した遷移が、出現する光強度を分析することによって有用な情報を決定するために、適切な信号処理によって使用され得ることを示している。上述の、および、図3によって示された実施例において、到着する光信号310は、位相変調されているものと推定されるが、他の実施例は、周波数または振幅変調、またはこれらの任意の組み合わせを含み、そして、出力強度において同様の変動または他の検出可能な変動を引き起こし得る。いくつかの実施例においては、より高次な又はより複雑な変調が、様々な光共振器設計によって適応され得る。
【0053】
特定の実施例として、到着波長に対して同調されたエタロンは、上記の説明に従って、かつ、図3に示されるように、到着光信号における位相変動に対して反応する。到着光信号が二位相偏移変調(binary phase shift keying、BPSK)によって変調される場合には、例えば、図3において示される出力は、各位相シフトを示し、そして、従って、位相偏移変調で搬送される情報は、出力光信号320において、強度変動から回復され得る。本開示の利点を用いる当業者であれば、そうした情報回復が、ローカルなコヒーレントクロック源を必要とせず、または、到着する光信号を復調するために、単一モードファイバ(single mode fiber)および遅延線干渉計(delay-line interferometer)といった、単一モード結合をサポートする必要なしに達成されることが、理解されるべきである。
【0054】
いくつかの実施例において、エタロンは、共平面(co-planar)でない、かつ/あるいは、共線的(co-linear)でない反射面(半反射面を含む)を含んでよい。例えば、エタロンの内部反射面は、いくつかの曲率を含んでよく、そして、いくつかの実施において、対向する表面は、また、2つの表面間の距離がエタロンの様々な領域にわたり実質的に一定であるように、湾曲されてもよい。他の実施例において、エタロンは、様々な領域において表面間の距離が変動している非線形(non-linear)または非平面(non-planar)表面を有してよく、そして、ここにおいて説明される実施例での使用に適した、様々な波長に対する、および、様々な領域における光共振器として、さらに機能し得る。従って、エタロンは、所定の実施例において、表面に適合するように、もしくは、異なる波長に応答する、または、所与の波長について異なる到着角に応答する様々な領域を有するように、意図的に設計され得る。
【0055】
図4は、受信した位相変調光信号の変動している位相のプロット410、および、エタロン300といった光共振器からの、結果として生じる出力光信号の強度のプロット420を示している。図4に示される結果は、18μmの長さを有しており、そして、半反射面308において0.999の反射率、かつ、半反射面306において0.985の反射率を有するエタロンに関するものである。その他の連続的な入力位相(プロット410に示されるもの)は、変調された情報コンテンツに従って間隔をおいて変化しており、そして、プロット410は、例えば、1および0(ゼロ)に対応するハイ(high)およびロー(low)ビットといった、バイナリデータのシーケンスとして見ることができる。プロット410において示される複数の位相遷移のうち、位相遷移412は、プロット420に示される、出力強度の変化422と特定的に関連している。受信した光信号における各位相変化は、出力強度におけるそれぞれの変化を引き起こす。従って、受信器は、出力強度における変化を追跡し、そして、それによって、受信した位相変調光信号の情報コンテンツを回復することができる。
【0056】
ここにおいて説明したように、光信号変調を強度変調出力信号へと復調または変換するために使用される、エタロンといった、光共振器は、光信号を受信するための著しい開口領域を備えて製造されてよく、そして、開口領域の一方の領域における光の部分が、開口領域の他の領域において受け取られた光の他の部分に対して変化する位相関係を有し得るように、大きな開口にわたり受信し、そして、受信した光について操作することができる。様々な領域で受光された光の部分は、エタロンによって本質的に互いに独立して操作され得る。エタロンの開口の第1領域で受け取った光は、関連する第1出力領域において強度変動へ変換することができ、そして、開口の第2領域で受け取った光は、各領域に到着する光の相対的な位相の相互作用なしに、関連する第2出力領域において強度変動へ独立して変換することができる。従って、検出および復調のために波面補正が必要とされなくてよい。エタロンの開口の任意の数の異なる領域における位相または他の変動は、同時に検出され、そして、それぞれの出力領域の各々における出力強度変調へと変換され得る。そうしたことは、図5Aおよび図5Bに関してより詳細に説明するように、受信器に到着する光信号が、波面変動を引き起こす媒体を通じて伝搬した場合に有益であり得る。
【0057】
図5Aは、例えば、大気条件、不完全性、または、光が通過する媒体における汚染による収差(aberrations)を経験することのない、理想的な条件下でのコヒーレント光(coherent light)の伝播を示している。示されているのは、例えば、コヒーレント光信号512を発生する、レーザといった、光源510である。ここにおける開示の目的のために、コヒーレンスは、光線束(a bundle of light rays)の位相整列として理解することができる。空間および時間における特定の平面において、全ての光線が同じ位相を有している場合に、光はコヒーレントである。光信号512が、伝搬媒体における不完全性、コンタミネーション、または摂動(perturbations)といった、あらゆる収差も経験しない場合に、光信号512は、光信号512が、例えば、図5Aにおいて左から右へ伝搬する際に、位相整列された、すなわちコヒーレントなままの波面514を有する。
【0058】
図5Bは、例えば、光が、特に、空気の摂動といった、収差に遭遇し得る、空気のような、より現実的な媒体を通るコヒーレント光の伝搬を示している。図5Bにおいて、光線は、光信号512の一部分に光信号512の隣接部分とは異なる影響を及ぼし得る、空気の摂動、または他の妨害的な影響によって影響され、そして、従って、光信号512の波面514は、図5Bに示されるように、ミスアライメント(mis-aligned)になり得る。光信号512によって搬送されている情報が光信号512の位相に含まれる場合、波面補正なしに、光信号512の光線を集束し、そして、集中させる従来の光受信器、例えば光学レンズシステムは、結果として、回折限界サイズの多数倍の集束スポット(focused spot)を生じ、単一モードファイバに対する結合を非効率的かつ不安定にさせる強度変動領域を伴っている。そうした従来の光受信器は、強度安定性を改善し、かつ、減少したスポットサイズを可能にするように、波面514にわたる位相関係を回復するために、ある形態の波面補正(wavefront correction)を必要とする。対照的に、エタロン520を用いると、エタロン520の面の各領域(例えば、開口)は、その領域内でコヒーレントであり得る光信号512の一部を受け取り、そして、エタロン520の面の他の領域に到着する光信号512の部分には少なくとも実質的に影響を及ぼさない。従って、エタロン520の様々な領域における波面の到着時間の変動は、補正または補償を必要としなくてよい。エタロン520の出力側の様々な領域における出力強度は、異なる瞬間(moment)において発生し得るものであり、やがて(in time)光の波長または周波数の大きさのオーダーで異なっている。しかし、エタロン520の裏面にわたる全般的な全部の出力強度は、変調レートのオーダーで(on the order of the modulation rate)強度が変化する。従って、様々な領域間での振幅変化は、位相符号化遷移のタイミング(例えば、記号の持続時間(the duration of a symbol))に関して比較的にマイナーである(例えば、時間において)。
【0059】
図5Aおよび図5Bにおける波面のラベル付け、例えば波面514は、任意であることが理解されるべきである。空間及び/又は時間における光信号の任意の位置は、他の空間−時間位置に関する位相整列を説明する目的のために、波面として識別されてよい。さらに、空間−時間における一つの位置での光線束(a bundle of light rays)の位相関係、またはコヒーレント性は、光線束が伝搬し、そして、それが通過する媒体によって影響を受ける際に変化し得る。さらに、特定の光線束によって経験される位相関係における変化は、以前または以降に来る別の光線束によって経験されるものと同一でなくてよい。従って、到着する波面のアライメントまたはミスアライメントは、図5Bにおいて各波面514について示される変動しているアライメントによって説明されるように、一つの瞬間から次へ著しく変化し得る。
【0060】
情報を搬送するために変調された光信号は、連続的または離散的いずれかの様式、もしくは2つのある組み合わせ、において変化し得る1つまたはそれ以上の特性を有し、そして、時間にわたる光セグメント(segment of light)は、搬送されている情報を示す特定の特性と関連し得る。例えば、位相変調デジタル光送信器は、特定の値を示すために、(基準時間及び/又は位相に関して)所定の位相関係のコヒーレント光を放射し得る。値を示すために放射される光は、光セグメントまたは光の長さと見なすことができ、その位相が値を示している。後の時間に、送信器は、第2値を示すために光の第2セグメントを放射するように光特性を変化させ、次いで、再び後に、光の第3セグメントを放射し、次には、第4セグメント、等々。この実施例のように、送信器が特性を個別に変更するレート(rate)は、送信器の変調レートであり、シンボルレートまたはボーレートとしても知られている。
【0061】
各光セグメントは、遷移間の時間および伝搬媒体における光の速度に基づいて、それと関連する物理的長さを有している。例えば、10ボー(1億シンボル毎秒)の変調速度は、(空気または真空中で)概ね3メートルの長さを有する10ナノ秒持続時間の光セグメントを放射する。より高い変調レートは、より短い光セグメントを生成し、そして、より低い変調レートは、より長い光セグメントを生成する。単一の光セグメントに係る特定の位相関係は、情報の単一のバイナリデジット(ビット(bit))よりも多くを表すことができる。例えば、位相(及び/又は振幅)は、情報搬送特性がバイナリ選択(binary selection)ではないように、例として、複数の位相(及び/又は振幅)の中から選択されてよいからである。従って、ボーレート、シンボルレート、または変調レートは、伝送システムのための伝送ビットレートと必ずしも等しくはない。代わりに、ビットレートは、一般的に、変調レート掛けるシンボル当たりのビット数(例えば、光セグメント毎のビット)である。
【0062】
いくつかの光伝送システムは、例えば、振幅、周波数、波長といった、異なる又は追加の光特性を変えることができ、そして、例えば、チャネル特性、ノイズ、誤り率、等に基づいて、時間にわたり変調レートを変えることができる。加えて、いくつかの光学システムは、光信号の振幅または位相における連続的変動といったものによって、アナログ様式で光を変調させることができ、そして、従って、変調レート自体を有していない。この開示の目的のために、態様および実施形態は、一般に、位相変調を含む個別の伝送システムのコンテクストにおいて説明されているが、ここにおいて開示される態様および実施形態は、説明されるものとは異なって情報を搬送する光信号を生成するシステムのための受信器として、等しく有用であり得ることが理解されるべきである。
【0063】
上述のように、ここにおいて開示される態様に従った光受信システムに係る特定の実施形態は、波面到着における変動を多数の波長のスケールにおいて補償し、または、調整することができる。特定のシンボルを伝達する光セグメントは、光の波長よりもはるかに長い。ここにおいて開示されるように態様および実施形態は、単一モードファイバに対してフォーカスする必要なしに、位相変動(phase-varying)情報が、強度変動(intensity-varying)情報へ変換されるように動作し、従って、そうでなければ、安定かつ効率的な結合を達成するために必要であろう波面補正に対する必要性を排除している。
【0064】
例えば、図5Bを引き続き参照すると、波面514は、波面の部分が波面の他の部分に対して複数の波長のオーダーにおいて位相差(phase differences)を有し得るように、伝搬の最中にコヒーレント性を失うことがある。従って、光信号512を集束させるための光学系を使用する従来の光信号受信器は、波長または複数の波長の小部分によって光信号の部分をシフトするように波面補正を適用することができるが、波長の小部分の精度を必要とし、複雑でコストがかかり得るものである。ここにおいて開示されるようにエタロンベースの光受信器に係る特定の実施形態において、エタロン520の各領域は、光信号512の一部分だけを受け取ることができ、受け取った部分は、十分にコヒーレントであり得る。例えば、その部分にわたり著しい移動変動を有していない。つまり、エタロン520領域は、光信号512の部分の位相コンテンツを正確に検出し、そして、それを出力での強度変動として伝送することができ、光領域(optical domain)における波面補正に対する必要性なしに、全体的な出力強度を検出するように、出力の他の領域からの強度変動光と組み合わされ、または、集束され得る。
【0065】
従って、ここにおいて説明される態様および実施例は、従来の波面補正なしで、位相符号化光信号を復調するためのシステムおよび方法を提供する。いくつかの実施例において、エタロン光共振器は、波面変動の調整が著しく簡素化されるように、自由空間からのものを含み、受信光信号について位相から強度への変換を提供する。上述のように、直接的な波面補正は、波長の小部分のオーダー(例えば、ミクロン、μm)における空間補正を必要とし、適応光学系を用いて従来は達成されてきたが、一方で、ここにおいて開示される態様および実施形態は、そうしたシステムの必要性を排除することができる。
【0066】
ここにおいて開示される態様および実施形態は、数十の波長(dozens of wavelengths)またはそれ以上のオーダーにおける波面の歪みを許容することができる。さらに、ここにおいて開示される態様および実施形態は、自由空間において光信号を動作することができ、光を単一モードファイバへと結合させる必要性を排除している。加えて、エタロンは、変調または通信速度とは無関係に、光信号の波長に対して同調されてよく、そして、従って、受信器の特性を修正する必要性なしに、広範囲の情報速度にわたり機能する。
【0067】
図6は、到着位相符号化光信号610における収差602を収容する自由空間光受信器の光学部分600に係る一つの例を示している。光学部分600は、多数のエタロン620を含んでおり、それぞれが、各エタロン620の面(face)または開口に到着する位相符号化光信号610の一部分において動作する。各エタロン620の開口にわたり、収差602と関連する局所的な波面歪みは、開口部の相対的面積、および、開口の1つの領域に到着する光信号部分と開口の別の領域との間の相互作用の欠如のせいで、制限される。エタロン620それぞれは、図3のエタロン300といった、エタロン(または、他の光共振器)の動作に関して上述したように、到着位相符号化光信号610の一部分を、出力強度符号化光信号630の一部分へと変換する。
【0068】
従って、到着する光信号610のセグメントの位相関係において伝達される情報は、出力光信号630において保持されるが、さらに、強度変動へと変換され、出力光信号630の部分間での位相関係に関係なく、検出可能でかり、かつ、測定可能である。到着する光信号610における波面歪みの影響は、限定され、または無関係である。他のエタロン620に対する一つのエタロン620に到着する光信号部分と、単一エタロンの他の領域に対する単一エタロンの一つの領域に到着する光信号部分との間の相互作用の欠如によるものである。
【0069】
従って、出力光信号630は、例えば、処理サブシステム250(図2を参照)による処理のために、検出され、かつ/あるいは、電気信号へと変換され得る。例えば、そして、任意的に、出力光信号630は、例えば、レンズまたはレンズシステム640によって集束されてよく、あるいは、集束光信号(focused optical signal)650を形成するためといったように、他の光学エレメントによって処理されてよい。そうした集束光信号650は、ソフトフォーカスであってよく、または、そうでなければ、単一モードファイバへの結合のために必要とされるような、回折限界付近のフォーカス(near diffraction-limited focus)を有する必要がなくてよい。代わりに、ソフトフォーカスは、例えば、光検出器660が、光信号650を受信し、そして、任意的に、それを出力670において電気信号へ変換するのに十分であり得る。いくつかの実施例において、出力強度符号化光信号630は、あらゆるフォーカスを必要とせず、かつ/あるいは、例えば光検出器660に対して直接的に提供されてよい。
【0070】
いくつかの実施例に従って、図6のエタロン620は、示されるように、直線状、及び/又は、平面状に配置される必要はない。例えば、エタロン620と同様な多数のエタロンが、車両の表面または他の非平面状の構造支持体といった、所定の形状に適合するように配置されてよく、そして、出力光信号630の強度は、それにもかかわらず、到着する光信号610の位相情報を表わすことができる。到着する光信号の位相遷移は、時間における同じ瞬間に各エタロンに到着しないこともあるが(例えば、エタロンの配置における変動、光信号の到着角度(angle of arrival)、並びに、収差または他のソースによる波面変動によるもの)、ここにおいて開示されるものに従った実施例は、波面の到着に係るそうした精度の必要性を緩和する。エタロンそれぞれ、または、エタロン(または他の共振器)の各領域は、局所的な位相遷移が他の領域及び/又は他の共振器における到着に関してどれだけ正確に整列されているかに関わらず、領域に到着する光信号部分の位相変調を強度変調へと変換することができる。
【0071】
図7は、到着位相符号化光信号710における収差702を収容する自由空間光受信器の光学部分700に係る別の例を示している。光学部分700は、エタロン720を含み、その複数の領域は、その表面または開口のそれぞれの領域に到着する位相符号化光信号710の一部において動作する。エタロン720の開口にわたり、収差702と関連する波面の歪みは、開口の相対的な面積のせいで、局在化(localized)され、そして、開口の一つの領域と開口部の別の領域との間における到着光信号部分の相互作用の欠如によって、エタロン720は、到着する光信号710における位相変動を出力光信号730の強度変動へと局所的に変換することができる。エタロン720の各領域は、図3のエタロン300といった、エタロン(または、他の光共振器)の動作に関して上述したように、到着位相符号化光信号710の一部分を出力強度符号化光信号730の一部分へと変換する。
【0072】
従って、図7の出力光信号730は、図6に関して上述したものと同様な方法で、さらなる処理のために直接的に検出され、かつ/あるいは、電気信号へと変換され得る。例えば、レンズ740または他の光学系は、例えば、ソフトフォーカスでよい、集束光信号750を提供するために、光信号730を処理してよく、そして、集束光信号750(または光信号730)は、出力770において電気信号へと変換するために、光検出器760に対して提供されてよい。他の実施形態は、強度符号化出力光信号730を異なる方法で処理することができる。
【0073】
図3および図6に関して上述したものと同様に、図7のエタロン720は、示されるように、平面状である必要はないが、いくつかの実施例においては、異なる物理的形状を有していてよく、これらは、さらなる実施例においては、車両のエクステリアといった、支持構造または他の表面に合うように設計されてよい。エタロンの形状および厚さは、様々な要求、及び/又は、動作特性に適応するために、異なる領域で変化してよい。異なる領域は、異なる共振波長を用いて設計されてよく、かつ/あるいは、例えば、異なる到着角度において所与の波長について共振を提供するように設計されてよい。そして、従って、所与のシナリオまたは動作環境について、光共振器を含む、様々な光学コンポーネントを位置決めし、かつ/あるいは、実装するために利用可能な物理的構造の制約の中で動作するように設計されてよい。
【0074】
図6および図7を参照すると、いくつかの実施形態は、エタロン720といった、単一の光共振器を含んでよく、そして、他の実施形態は、エタロン620といった、多数の光共振器を含んでよい。いくつかの実施形態では、到着位相符号化光信号の部分を受信する様々な領域を有している開口は、開口の一つの領域と開口の別の領域との間における到着光信号部分の相互作用を実質的に伴わずに、到着光信号の様々な部分において動作し得る光共振器の様々な形態によって備えられてよい。例えば、エタロン開口といった、開口の領域において、光信号の部分のあらゆる相互作用は、そうした相互作用が比較的に小さな領域にわたり局在化される場合に、実質のないものであり得る。例えば、収差による位相変動は、光信号のいくらかの部分が光信号の別の部分と相互作用し得る小さな領域にわたり、十分に無視し得る。さらなる例として、回折の量(例えば、材料および形状と光信号の相互作用によるもの)が、一つの領域を他の領域と実質的に相互作用しないよう、十分に小さくなるように、光共振器を設計することができ、かつ/あるいは、材料および幾何学的構造を選択することができる。
【0075】
様々な実施形態において、エタロン620、720といった、1つまたはそれ以上のエタロンは、物理的寸法が幅広く変化してよい。例えば、いくつかの実施形態は、ミリメートルオーダーの物理的サイズを伴う光学面(光信号を受信するための開口)を有するエタロンを含んでよい。他の実施形態は、6インチまたはそれ以上といった、複数インチのオーダーの開口を有してよい。いくつかの実施形態においては、より小さい開口の複数のエタロンが、単一のより大きいエタロンと同様の有効開口を備えることができる。
【0076】
加えて、様々な実施形態は、光検出器650、750といった、様々なサイズの光検出器を収容することができる。いくつかの実施形態において、光検出器は、100ミクロンまたはそれ以上のオーダーの有効直径を伴う光感知面を有してよく、光信号を同様のスケールに対して集束させることができる。そうしたものは、光信号を、9ミクロンのオーダーであり得る、単の一モードファイバに結合するシステムとは対照的に、より高い費用の、回折限界付近のフォーカス、波面補正のためのアクティブ光学系、および、正確な結合光学系が必要としている。
【0077】
ここにおいて説明される態様および実施形態の利点は多数ある。例えば、光学コンポーネントは、結晶または高価なコーティングより、むしろコーティングまたはコーティングされていないガラスを可能にするといった、従来のシステムについて必要とされるものよりも低コストであり、または、より複雑でなくてよい。位相変調を強度変調へと変換するための、エタロンといった、光共振器の使用は、改善された信号対雑音特性を提供し得るフィルタリング(例えば、共振寸法(resonant dimensions)を介した、望ましくない信号の排除)を組み込むように有利に設計され得る。ここにおいて説明されるものに従った態様および実施形態は、適応光学系が失敗するであろう極端な収差または乱れ(turbulence)において満足に動作し得る。さらに、ここにおいて説明されるものに従った態様および実施形態は、小さいサイズ、重量、電力、およびコスト要求を伴う、自由空間光通信を達成することができ、無人航空機(unmanned aerial vehicles)およびマイクロサテライト(microsatelites)といった、プラットフォームに対するサポートを改善している。
【0078】
到着する光信号の変調によって引き起こされる出力強度に対する様々な崩壊(disruption)は、エタロンの寸法的長さといった、光共振器の共振物理的寸法、および、それがどれだけ正確に製造されるか、例えば、エタロンが1つまたはそれ以上の波長へどれだけ上手く調整されるか、によって変化し得ることが正しく理解されるべきである。より小さい寸法的長さのエタロンからの出力強度は、入力信号における遷移によってより迅速に崩壊され(disrupted)、そして、より大きな共振寸法を有するエタロンと比較して、そうした遷移後、より迅速に定常状態を再確立する。加えて、より正確な許容誤差で製造されたエタロン、すなわち、特定の波長(または、一式の波長)に対してより正確に調整されたものは、より正確でない許容誤差で製造されたエタロンと比較して、定常状態においてより高い共振出力信号強度を提供し、そして、入力信号における遷移に対してより高い感度を示す。
【0079】
様々な実施形態は、特定の設計基準に基づいて様々なエタロンの寸法および許容誤差を有してよく、そして、様々な動作特性に対して適合する。いくつかの実施例において、様々なエタロンの寸法及び許容誤差は、位相変調と関連する位相遷移といった、到着する光信号における遷移に対してどれだけ強く、かつ/あるいは、どれだけ速くエタロンが応答するか、および、遷移の後でどれだけ速くエタロンが定常状態への戻りに近づくかを、トレードオフまたはバランスするように選択されてよい。加えて、様々なエタロンの寸法および許容誤差は、特定のデータレート、及び/又は、特定の波長に対して、受信器200といった、受信器を最適化するように選択されてよい。
【0080】
ここにおいて開示される態様および実施例に従った光共振器の様々な寸法は、位相符号化光信号のボーレートまたはシンボル長と関連する寸法よりも著しく小さくてよい。いくつかの例において、共振寸法(例えば、エタロン長、キャビティ周囲長、等)は、ボーレートまたはシンボル長と関連する距離の半分未満の有効光学長を提供し得る。例えば、ボーレートは、変調変動が発生する速度であってよく、そして、シンボル長は、光信号が変調変動間で移動する距離であってよい。
【0081】
光共振器の場合に、光信号が移動する距離は、光共振器が構成されている、材料または光媒体に基づき得る。光信号エネルギを保管し、かつ、建設的および破壊的な干渉を通して共振を提供することができる光共振器(例えば、エタロン)については、有効光学長(effective optical length)が共振器の物理的長さよりも大きいように、より大きな時間量について共振器の中に残っている。すなわち、光信号エネルギは、共振器により、光信号が共振的な累積(resonantly accumulating)をすることなく通過できる場合よりも、共振器の中でより多くの時間を費やしている。従って、次の変調変動までの時間(すなわち、ボーレートの逆数)は、到着する光信号について光共振器の共振寸法(resonant dimension)を何度も通過するのに十分な時間であり得る。所定の実施例において、共振寸法(エタロン長)は、シンボル長の3分の1又はそれより小さい有効光学長を提供し得る。いくつかの実施例において、エタロン長の物理的寸法は、シンボル長の10分の1又はそれより小さいオーダーであってよく、(例えば、例として、エタロン表面の反射率に応じて)シンボル長の3分の1の有効光学長を提供する。従って、いくつかの実施例において、シンボル長さは、エタロンの物理的寸法の10倍、又はそれより小さい短さであってよい。加えて、シンボル長は、上述のように、変調レートの幅広い変動を収容することができる態様および実施例に従って、エタロンの物理的寸法の5000倍又はそれより大きい長さであってよい。
【0082】
変調された光信号を受信するために、処理サブシステムと組み合わされたフロントエンドコンポーネントとして、エタロンといった、光共振器の使用に関連したさらなる利点は、自由空間から、もしくは、ファイバ結合または他の光導波路及び/又はコンポーネントを介して信号を受信することができる、フレキシブルなオペレーションを含んでいる。光共振器は、また、例えば、共振特性(resonate nature)に起因して、意図された波長の外側の光信号エネルギの排除によるノイズ低減を提供することもできる。加えて、光共振器は、受信信号の一部分として意図されていない代わりの共振波長を含む、望まれない光波長をさらに排除するために、コーティングまたは他の特徴を備えてよい。例えば、光学コンポーネントの特定の長さ(または、見方によっては、幅)は、複数の波長において共振し得るが、コーティング、及び/又は、他の設計特性は、望まれない波長において光信号エネルギの累積を制限するように作用し得る。代わりの波長において低減された反射率を提供するコーティング、もしくは、光共振器の開口部と一体化されるか又はその前に配置されるフィルタ、といったものである。
【0083】
追加的な変調フォーマットも、また、光共振器の特定の設計特性によって適応され得る。共振特性は、純粋な位相遷移に加えて、パルス幅または他の変調について応答し得る。例えば、パルス幅変調信号(pulse width modulated signal)は、共振器の中でトラップされた信号エネルギを累積し、または、定常値に近づけるようにする。そして、パルス幅が長いほど共振器が定常状態信号エネルギ条件により近づくか、または、より長いほど定常状態信号エネルギ条件に長く留まる。パルスが停止すると、光共振器の出力は位相遷移と同様に変化する。従って、到着する光信号の振幅およびパルス幅変調が、光共振器の光強度出力を処理することによって検出され得る。
【0084】
特定の実施形態は、様々な追加の態様またはコンポーネントを組み込むことができ、別のものに対する1つの光信号の選択性をさらに提供する。例えば、所定の波長の光は、周波数選択フィルタ、周波数選択コーティングの使用を通じて、かつ/あるいは、周波数選択寸法、もしくは、光共振器または他の共振構造の他の特徴の選択によって、好まれ、または、排除され得る。
【0085】
図1および図2を参照して上述したように、様々な実施例において、送信器100及び/又は受信器200のコンポーネントは、アナログ回路、デジタル回路、または、1つまたはそれ以上のデジタル信号プロセッサ、もしくは、ソフトウェア命令を実行する他のマイクロプロセッサのうちの1つ、または、これらの組み合わせとして実装され得る。ソフトウェア命令は、DSP命令を含んでよい。ここにおいて説明される様々な態様および機能は、1つまたはそれ以上のコンピュータシステムにおいて実行される特殊化されたハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントとして実装され得る。
【0086】
図8は、制御回路またはモジュールに対応するソフトウェアルーチンを実行することができる計算システム800の一つの例を示しており、図1に示すような、FECモジュール104、拡散モジュール106、マッピングモジュール108、及び/又は、他のコンポーネントである。計算システム800は、さらに、図2のデジタル処理サブシステム250及び/又は受信器200の他のコンポーネントと関連する相関器(correlator)252および/またはコード生成器254に対応するソフトウェアルーチンを実装することができる。計算システム800は、プロセッサ810、データ記憶装置850、メモリ820、および、システムインターフェイス及び/又はユーザインターフェイスといった、1つまたはそれ以上のインターフェイス840を含んでよい。図8において明示的には示されていないが、所定の実施例においては、計算システム800が、電源に結合されてよい。電源は、計算システム800の1つまたはそれ以上のコンポーネント、並びに、光送信器100または光受信器200の他のコンポーネントに対して電力を送ることができる。
【0087】
図8において、プロセッサ810は、データ記憶装置850、メモリ820、および、様々なインターフェイス840に対して結合されている。メモリ820は、プログラム(例えば、プロセッサ810によって実行可能であるようにコード化された命令のシーケンス)、および、計算システム800のオペレーションの最中のデータを記憶する。従って、メモリ820は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(”DRAM”)またはスタティックメモリ(”SRAM”)といった、比較的にハイパフォーマンスの、揮発性、ランダムアクセスメモリであってよい。しかしながら、メモリ820は、ディスクドライブまたは他の不揮発性記憶装置といった、データを記憶するための任意の装置を含んでよい。様々な実施例は、ここにおいて開示された機能を実行するように、メモリ820を、特殊化された、そして、いくつかの事例においては、独特な構造へと編成され得る。これらのデータ構造は、特定のデータおよびデータのタイプについて値を保管するようにサイズを決め、かつ、編成され得る。
【0088】
データ記憶装置850は、一時的でない命令および他のデータを保管するように構成されたコンピュータで読取り可能および書込み可能なデータ記憶媒体を含み、そして、光または磁気ディスク、ROMまたはフラッシュメモリといった、不揮発性記憶媒体を含み得る。命令は、ここにおいて説明される任意の機能を実行するように、少なくとも1つのプロセッサ810によって実行され得る実行可能なプログラムまたは他のコードを含み得る。
【0089】
様々な実施例において、計算システム800は、システムインターフェイス及び/又はユーザインターフェイスといった、いくつかのインターフェイスコンポーネント840を含んでいる。インターフェイスコンポーネント840それぞれは、計算システム800の他のコンポーネント(及び/又は、関連する送信器または受信器)、または、計算システム800と通信する他の装置とデータを交換、例えば、送信または受信、するように構成されている。様々な実施例に従って、インターフェイスコンポーネント840は、ハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、または、ハードウェアコンポーネントとソフトウェアコンポーネントとの組み合わせを含んでよい。
【0090】
所定の実施例において、システムインターフェイスのコンポーネントは、プロセッサ810を図1に示される光送信器100、または、図2に示される光受信器200の1つまたはそれ以上の他のコンポーネントに対して結合する。システムインターフェイスは、任意のそうしたコンポーネントに対して1つまたはそれ以上の制御信号を提供することができ、そして、上述のように、そうしたコンポーネントのオペレーションを管理することができる。
【0091】
ユーザインターフェイスは、その中にコンピュータシステム800が組み込まれている対応する送信器または受信器が、ユーザといった、外部エンティティと通信できるようにするハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントを含んでよい。これらのコンポーネントは、ユーザインターフェイスとのユーザインタラクションから情報を受信するように構成され得る。ユーザインターフェイスの中で使用され得るコンポーネントの実施例は、ボタン、スイッチ、発光ダイオード、タッチスクリーン、ディスプレイ、保管されたオーディオ信号、音声認識、または、コンピュータシステム800と通信するコンピュータ可能デバイス(computer-enabled device)におけるアプリケーションを含む。様々なインターフェイスで受信されたデータは、図8に示されるように、プロセッサ810に対して提供され得る。プロセッサ810、メモリ820、データ記憶装置850、およびインターフェイス840の間の通信結合(例えば、示されている相互接続メカニズム830)は、標準、専有、または特殊な計算バス技術に従って、1つまたはそれ以上の物理バスとして実装され得る。
【0092】
プロセッサ810は、上述のように、データ記憶装置850において保管され、そして、そこから取り出される操作されたデータを結果として生じる一連の命令を実行する。様々な実施例において、一連の命令は、上述のように、光共振器からの出力の解釈を結果として生じる。そうした命令は、ここにおいて説明されるように、到着する光信号における位相、周波数、または振幅変動(変調)を決定するために、そうした出力信号のピーク及びくぼみ(troughs)を解釈するため、かつ/あるいは、そこからデータペイロードを回復するための命令に対応することができる。
【0093】
プロセッサ810は、市販されていようと、または特別に製造されていようとも、任意のタイプのプロセッサ、マルチプロセッサ、またはコントローラであってよい。例えば、プロセッサは、INTEL、AMD、MOTOROLA、またはFREESCALEによって製造されるプロセッサといった、市販のプロセッサを含んでよい。いくつかの実施例において、プロセッサ810は、リアルタイムオペレーティングシステム(ROTOS)、例えばRTLinux、もしくは、BSDまたはGNU/Linuxのような、非リアルタイムオペレーティングシステムといった、オペレーティングシステムを実行するように構成されてよい。オペレーティングシステムは、アプリケーションソフトウェアに対してプラットフォームサービスを提供することができる。これらのプラットフォームサービスは、プロセス間およびネットワーク通信、ファイルシステム管理および標準データベース操作を含んでよい。多くのオペレーティングシステムのうち1つ以上が使用されてよく、そして、実施例は、あらゆる特定のオペレーティングシステムまたはオペレーティングシステムの特性に限定されるものではない。
【0094】
ここにおける開示の一部は、光セグメントまたは光の波長に係る長さ又は持続時間に関して、光信号の態様に係る距離、例えば長さ、および、時間、例えば持続時間、の大きさのオーダー(orders)を参照する。距離および持続時間は、光および光学システムに関して時には互換的に使用され得ることが理解されよう。そして、コンテクストが別段の意味を示さなければ、光に関する距離と持続時間との間の関係は、伝搬に係る媒体における光の速度である。例えば、位相関係は、光の1波長のオーダーであり、そして、波長は、伝搬媒体の中の光の速度による周波数に対して直接的に反比例する。同様に、光源の変調によって生成される光セグメントは、セグメント長のオーダーであり、伝搬媒体の中の光の速度による変調速度に対して直接的に反比例する。
【0095】
このように、少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、当業者であれば、様々な変更、修正、および改良が容易に生じることが正しく理解されよう。そうした変更、修正、および改良は、この開示の一部分であることが意図されており、そして、本開示の範囲内にあることが意図されている。従って、前述の記載及び図面は、例示としてだけのものである。
図1
図2
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図4
図5A
図5B
図6
図7
図8