(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985386
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】軌道位置誤差を修正するための方法及び軌道工事機械
(51)【国際特許分類】
E01B 27/16 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
E01B27/16
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-522241(P2019-522241)
(86)(22)【出願日】2017年10月9日
(65)【公表番号】特表2019-532201(P2019-532201A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2017001187
(87)【国際公開番号】WO2018082798
(87)【国際公開日】20180511
【審査請求日】2020年10月9日
(31)【優先権主張番号】A504/2016
(32)【優先日】2016年11月4日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン アウアー
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−520862(JP,A)
【文献】
特開平11−315503(JP,A)
【文献】
特開昭58−213905(JP,A)
【文献】
特開2011−156995(JP,A)
【文献】
特開2000−144606(JP,A)
【文献】
特開昭60−78002(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0318407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチプルタイタンパ(5)及び動的な軌道スタビライザ(6)を用いて、軌道(2)の垂直方向における位置誤差を修正するための方法であって、
検出された実際軌道位置(I)を基礎として、作業が行われる軌道位置(i)に関して、過剰持上げ値(u)を設定し、当該過剰持上げ値(u)を用いて、前記軌道(2)を一時的な過剰持上げ軌道位置(U)に持ち上げ、前記軌道(2)の下をつき固め、続けて、動的な安定化によって、結果として生じる最終軌道位置(R)に降下させる、方法において、
前記実際軌道位置(I)の経過から、平滑化された実際位置経過(G)を形成し、前記作業が行われる軌道位置(i)に関して、過剰持上げ値(u)を、前記平滑化された実際位置経過(G)に関する前記実際軌道位置(I)の前記経過に応じて設定することを特徴とする、方法。
【請求項2】
検測系(17)を用いて、動的な安定化が行われた後に、残余誤差値(r)を検出し、前記過剰持上げ値(u)を、現在作業が行われる軌道位置(i)に関して、少なくとも1つの残余誤差値(r)に応じて設定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記平滑化された実際位置経過(G)を、ローパスフィルタを用いて、前記実際軌道位置(I)の前記経過から求めることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記平滑化された実際位置経過(G)を用いて、前記実際軌道位置(I)の前記経過の極大値(19)を求めることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記実際軌道位置(I)の記憶された前記経過の前記極大値(19)を相互に結ぶ多角形チェーン(P)を形成することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記実際軌道位置(I)の前記経過から、前記垂直方向における位置誤差に関して波長を求め、前記過剰持上げ値(u)を前記波長に応じて設定することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記作業が行われる軌道位置(i)に関して、前記実際軌道位置(I)の前記経過から、前記平滑化された実際位置経過(G)に関して乖離値(a)を求め、当該乖離値(a)を過剰持上げ係数(c)と乗算し過剰持上げ値(u)とすることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記過剰持上げ係数(c)を、動的な安定化が行われた後に検出された、前記軌道(2)の残余誤差値(r)を考慮して反復的に適合させることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記残余誤差値(r)を、本来の前記実際軌道位置(I)の前記経過の極小値(20)を有する軌道位置(i)において検出することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
軌道位置(i−1)において検出された前記残余誤差値(r(i-1))及び当該軌道位置(i-1)に適用される過剰持上げ値(u(i-1))を合算し、新たな過剰持上げ係数(c(i))を設定するために、当該軌道位置(i−1)に元から存在する乖離値(a(i-1))を、前記合算により得られた値で除算することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
連続して検出された複数の残余誤差値(r(i-1),r(i-2),r(i-3))を、前記新たな過剰持上げ係数(c(i))を求めるために使用することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
マルチプルタイタンパ(5)及び軌道スタビライザ(6)を備えた、軌道(2)の垂直方向における位置誤差を修正するための軌道工事機械(1)において、
前記軌道工事機械(1)は、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法を実施するように構成されている、評価装置(21)及び制御装置(13)を有していることを特徴とする、軌道工事機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプルタイタンパ及び動的な軌道スタビライザを用いて、軌道の垂直方向における位置誤差を修正するための方法に関し、この方法においては、検出された実際軌道位置を基礎として、作業が行われる軌道位置に関して、過剰持上げ値が設定され、その過剰持上げ値を用いて、軌道が一時的な過剰持上げ軌道位置に持ち上げられ、軌道の下がつき固めされ、続けて、動的な安定化によって、結果として生じる最終軌道位置に降下される。さらに本発明は、本方法を実施するための軌道工事機械に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願第1817462号明細書(EP1817462A1)から、道床を用いて軌道の高さ位置誤差を修正するための方法が公知であり、この方法においては、軌道が一時的な目標位置に持ち上げられた状態で、軌道の下がつき固められ、続けて軌道は、横断方向の振動と共に静的な加重を加えることによる軌道安定化の枠内で、最終的に制御されて、最終的な目標位置に降下される。
【0003】
この方法においては、軌道を持ち上げてその下をつき固める際に、より大きい高さ位置誤差を有する軌道区間を後続の軌道安定化によってより強く締め固めることができるようにするために、高さ位置誤差に関して所期のようなカントが設定される。これによって、交通の負荷に起因する、誤りがある以前の軌道位置への急激な降下が抑制されるべきである。
【0004】
この公知の方法は、一般的に、「計画的過剰持上げ(Design Overlift)」と称され、この場合、その都度の過剰持上げ値は、経験的なデータに基づいて設定される。
図2から見て取れるように、これによって、個々の誤差を持続的に修正することができる。もっとも、この方法では、多くの作業区域において、不必要に大きい過剰持上げがもたらされ、それに伴いバラスト需要も高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願第1817462号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
本発明が基礎とする課題は、冒頭で述べたような方法に関して、従来技術に対する改善を提供することである。対応する軌道工事機械についても、詳述されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、これらの課題は、請求項1に記載の方法、及び、請求項12に記載の軌道工事機械によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な構成が記載されている。
【0008】
本発明においては、実際軌道位置の経過から、平滑化された実際位置経過が形成され、また、作業が行われる軌道位置に関して、過剰持上げ値が、近似的に平滑化された実際位置経過に関する実際軌道位置の経過に応じて設定される。
【0009】
このようにして、短波の軌道誤差のみが、過剰持上げ値を用いて処理される。これに対して、軌道の長波の沈下は、平滑化された実際位置経過に反映されており、過剰持上げ値の設定の際には考慮されない。過剰持上げ値は、作業が行われる軌道位置に関して継続的に算出され、又は、所定の間隔で更新される。
【0010】
1つの有利な発展形態においては、検測系を用いて、動的な安定化が行われた後に、残余誤差値が検出され、その際に、現在作業が行われる軌道位置に関する過剰持上げ値が、少なくとも1つの残余誤差値に応じて設定される。軌道の過剰持上げをこのように反復的に適合させることによって、軌道の現在の状態を考慮した最適化が行われる。
【0011】
平滑化された実際位置経過を求めるための好適な方式の本質は、実際軌道位置の経過をローパスフィルタによってフィルタリングすることにある。これによって、平滑化された実際位置経過を、実際軌道位置の検出された経過から継続的に導出することができる。これに代替的に、所定の平均値形成長さにわたり、移動平均値を平滑化された実際位置経過として決定することができる。
【0012】
実際軌道位置の記憶された経過を基礎として、平滑化された実際位置経過を用いて、実際軌道位置の記憶された経過の極大値が求められる場合には有利である。このようにして、それらの極大値を結ぶことによって、軌道の長波の沈下に関する正確な位置曲線が得られる。
【0013】
この場合、実際軌道位置の記憶された経過の極大値を相互に結ぶ多角形チェーンが形成されれば十分であることが多い。この方式においては、必要とされる計算能力が低くて済み、また、過剰持上げ値の特に高速な適合が可能となる。
【0014】
さらに、実際軌道位置の経過から、垂直方向における位置誤差に関して波長が求められ、また、過剰持上げ値がその波長に応じて設定される場合には有利である。これによって、過剰持上げ値をバラスト状態に適合させることができる。何故ならば、通常の場合、バラスト状態が悪いことによって、より短い波長を有する、垂直方向における位置誤差がもたらされるからである。
【0015】
本発明に係る方法のさらなる改善形態においては、作業が行われる軌道位置に関して、実際軌道位置の経過から、近似的に平滑化された実際位置経過に関して乖離値が求められ、また、過剰持上げ値としてその乖離値が過剰持上げ係数と乗算される。従来では一般的であるように、目標軌道経過に対する乖離ではなく、平滑化された実際位置経過に関する相対値が乖離値として定められる。これによって、現在の過剰持上げ値が効率的に決定される。
【0016】
その後においては、過剰持上げ係数が、動的な安定化が行われた後に検出された、軌道の残余誤差値を考慮して反復的に適合される場合には合理的である。したがって、過剰持上げ係数の持続的な適合は、軌道の現在の状態に応じて自動的に行われる。
【0017】
残余誤差値を検出するために、有利には、本来の実際軌道位置の経過の極小値を有する軌道位置において検出が行われる。そのような位置においては、局所的に最大の過剰持上げが行われるので、対応する残余誤差値は、その都度の過剰持上げの正確な程度に関して特に信頼性が高い。
【0018】
1つの簡単な変形実施形態においては、軌道位置において検出された残余誤差値及びその軌道位置に適用される過剰持上げ値が合算され、新たな過剰持上げ係数を設定するために、その軌道位置に元から存在する乖離値が、その合算により得られた値で除算される。
【0019】
過剰持上げの適合の最適化は平均値形成によって行われ、この際、連続して検出された複数の残余誤差値が、新たな過剰持上げ係数を求めるために使用される。これによって、過剰持上げ係数を個別に算出する際の障害に起因して発生する可能性がある何らかの誤差が補償される。
【0020】
軌道の垂直方向における位置誤差を修正するための本発明に係る軌道工事機械は、マルチプルタイタンパと、それに連結されている軌道スタビライザとを有している。上述の方法を実施するように構成されている、評価装置及び制御装置が設けられている。
【0021】
以下では、本発明を例示的に添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】動的な軌道スタビライザを備えたマルチプルタイタンパを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態の説明
図1から見て取れる軌道工事機械1は、道床3に敷設された軌道2の垂直方向における位置誤差を修正するためのものである。ここでは、作業方向4において前方に位置するマルチプルタイタンパ5が、動的な軌道スタビライザ6に連結されている。
【0024】
マルチプルタイタンパ5は、マクラギ8の下をつき固めるためのタンピングユニット7と、その前方に配置されている軌道リフティングユニット9と、を有している。両ユニット7,9は、共通のサテライトフレーム10に配置されている。このサテライトフレーム10の前方の端部は、長手方向において変位可能に機械フレームに支承されており、また、後方の端部は、固有のレール走行装置11に支持されている。
【0025】
レール走行装置11の上方には、制御装置13を備えた作業キャビン12が配置されている。軌道2の垂直方向における位置誤差を修正するために、測定シャフト14を有する基準系15が設けられている。これによって、実際軌道位置Iの経過が求められる。これに代替的に、測定データを機械1に事後的に伝送する別個の測定車両を用いて測定走行を行うこともできる。
【0026】
動的な軌道スタビライザ6は、安定化ユニット16を有しており、この安定化ユニット16は、垂直加重を軌道2に加えることができ、また、それと同時に軌道2を横断方向に振動させる。結果として生じた最終軌道位置Rの検測のために、測定シャフト18を有する固有の検測系17が設けられている。
【0027】
公知の「計画的過剰持上げ」の枠内での、つき固め及び安定化の際に変化する軌道位置経過が、
図2に示されている。この
図2において、x軸には、作業方向4における軌道2の範囲が示されており、また、y軸には、軌道2の垂直方向における各位置が示されている。例えば、軌道区間が平坦な場合、目標軌道位置Sは、垂直方向における偏差が0でx軸上に延びる。
【0028】
検出された実際軌道位置Iは、目標軌道位置Sに対して、種々の大きさの垂直方向における誤差値fを示す。従来では、軌道2の下をつき固めるために、その都度の誤差値fに相関する過剰持上げ値uを設定することが一般的であった。具体的な持上げ値hとして、誤差値fに、相関する過剰持上げ値uを加えた値が設定されていた。結果として、一時的な持上げ軌道位置Uが生じていた。続いて、動的な軌道スタビライザ6を用いて、最終的な軌道位置Rへの降下が行われていた。
【0029】
本発明に係る方法においては、先ず、軌道2の平滑化された実際位置経過Gが形成される。
図3には、さらに、
図2に即した軌道位置経過I,S,R,Uが書き込まれている。ローパスフィルタを用いて、実際軌道位置Iの経過から、平滑化された実際位置経過Gが求められる。1つの変形形態においては、所定の平均値形成長さ(例えば、30m)にわたり、移動平均値が平滑化された実際位置経過Gとして決定される。
【0030】
平滑化された実際位置経過Gにわたり位置する、実際軌道位置Iの経過のすべての上側変曲点が、極大値19として識別される。この点群を用いて、曲線関数を求めることができ、この曲線関数によって、極大値19を結んだ曲線G’を表すことができる。これに代替的に、平滑化された実際位置経過Gを極大値19の方向に移動させることもでき、それによって、移動された曲線G’は、極大値19を近似的に結ぶ。
【0031】
さらなる方法ステップにおいては、実際軌道位置Iの経過と極大値19を結んだ曲線G’との差分値としての乖離値aが決定される。その乖離値aから、過剰持上げ係数cとの乗算によって、過剰持上げ値uが得られる:
u=c×a
【0032】
その結果、乖離値が0である軌道位置(実際軌道位置Iの経過の極大値)においては、過剰持上げ値は生じない。そのような位置では、軌道が、目標軌道位置Sを達成するために必要とされる基準持上げ値bを用いて持ち上げられる。この際、軌道2の測量から既知となった誤差値fに、安定化の際に生じる沈下値dが加算される:
b=f+d
【0033】
他の軌道位置については、上記の式より過剰持上げ値uが得られる。その際、最大の過剰持上げ値uは、実際軌道位置Iの経過における極小値20を有する軌道位置において生じる。総じて、これによって、基準持上げ値bと過剰持上げ値uの和としての持上げ値hが得られる:
h=b+u
【0034】
乖離値aの簡略化された求め方が
図4に示されている。この
図4においては、実際軌道位置Iの経過の最大値19が多角形チェーンPによって結ばれている。個々の乖離値aは、実際軌道位置Iの経過と多角形チェーンPとの差分として得られる。
【0035】
安定化が行われた後に結果として生じた最終軌道位置Rは、過剰持上げ係数cを最適化するために使用することができる。方法の開始時のみ、経験的なデータから導出された過剰持上げ係数cが設定される。その後は、反復的な適合が行われる。
【0036】
図4から見て取れるように、本方法は、実際軌道位置Iの経過の極小値20において測定された残余誤差値rを利用し、それらの残余誤差値rは、作業方向4を基準として、現在作業が行われる軌道位置iの後方に位置する。この際、検出は、検測系17を用いて行われる。作業が行われる軌道位置iにおける過剰持上げ値u
(i)を算出するために、過剰持上げ係数c
(i)が次式のように設定される:
c
(i)=a
(i-1)/(u
(i-1)+r
(i-1))
【0037】
正の残余誤差値r
(i-1)が残っている場合には、それによって、過剰持上げ係数c
(i)が自動的に低下し、後続の過剰持上げ値u
(i)はより小さくなる。これに対して、軌道2が安定化の際に目標軌道位置Sよりも下に降下すると、後続の作業インターバルに関する過剰持上げ値u
(i)は増加する。
【0038】
理想的な過剰持上げ係数c
(i)は、複数の軌道位置の起伏にわたり平均値を形成することで算出され、マルチプルタイタンパ5に新たな過剰持上げ係数c
(i)として設定される。例えば、複数の残余誤差値r
(i-1),r
(i-2),r
(i-3)を用いる次式が使用される:
c
(i)=((a
(i-1)/(u
(i-1)+r
(i-1)))+(a
(i-2)/(u
(i-2)+r
(i-2)))+(a
(i-3)/(u
(i-3)+r
(i-3))))/3
【0039】
軌道工事機械1は、上記において説明した計算を行うように設計されている評価装置21を有している。評価装置21は、例えば産業用コンピュータである。評価装置21には、実際軌道位置Iの値及び結果として生じた最終軌道位置Rの値が供給され、それらの値からリアルタイムで、過剰持上げ値u
(i)が求められる。さらに、算出された瞬時値c
(i),u
(i)を、出力装置を介して運転士に表示することができる。この場合、算出された過剰持上げ係数c
(i)が急激に変化した際には、警告信号を出力することができる。
【0040】
過剰持上げ値u
(i)の適合は、垂直方向における位置誤差の求められた波長を取り入れることによってさらに改善することができる。波長は、通常、10mから12mの間にある。これに対して、バラスト状態が悪い軌道2では、5mから6mの間の波長で軌道位置誤差が生じる。
【0041】
改善された方法においては、先ず、波長が実際軌道位置Iから求められ、続けて、過剰持上げ値u
(i)が波長に応じて適合される。より短い波長では、バラスト状態が悪い軌道位置iにおいて想定される軌道2の再降下を抑制するために、例えば、過剰持上げ係数c
(i)が増大される。