(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985390
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ポペット弁
(51)【国際特許分類】
F16K 1/44 20060101AFI20211213BHJP
F16K 1/38 20060101ALI20211213BHJP
F04B 39/10 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
F16K1/44 A
F16K1/38 C
F04B39/10 E
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-528875(P2019-528875)
(86)(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公表番号】特表2019-535983(P2019-535983A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017080773
(87)【国際公開番号】WO2018104122
(87)【国際公開日】20180614
【審査請求日】2020年9月7日
(31)【優先権主張番号】16202189.3
(32)【優先日】2016年12月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592229502
【氏名又は名称】ブルクハルト コンプレッション アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ、ライナー
【審査官】
笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−526649(JP,A)
【文献】
特表2009−539018(JP,A)
【文献】
特開2016−114022(JP,A)
【文献】
特開2013−190007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/44
F16K 1/38
F04B 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入口流路(2a)を有する弁座カバー(2)であって、各入口流路(2a)は、弁座(2b)に開口する、弁座カバー(2)を含み、かつ、軸線方向(A)において移動可能である複数の閉鎖要素(4)を含むポペット弁(1)であって、閉鎖要素(4)は、各弁座(2b)に関連付けられ、各弁座(2b)は、前記関連付けられた閉鎖要素(4)に前記軸線方向(A)において対向して配置され、それにより、各弁座(2b)は、前記関連付けられた閉鎖要素(4)によって閉鎖可能である、ポペット弁(1)において、
全ての前記閉鎖要素(4)は、共通の閉鎖要素保持装置(3)上に配置されることと、前記閉鎖要素保持装置(3)は、前記閉鎖要素(4)が少なくとも2つの位置、前記閉鎖要素(4)が前記弁座(2b)に対して持ち上げられる開放位置と、前記閉鎖要素(4)が前記弁座(2b)に対して着座する閉鎖位置と、をとることができるように前記軸線方向(A)において移動可能であることとを特徴とする、ポペット弁(1)。
【請求項2】
前記閉鎖要素保持装置(3)が、少なくとも2つの別個の閉鎖要素保持装置部(3h、3i)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポペット弁(1)。
【請求項3】
前記閉鎖要素保持装置(3)が、平坦かつ流体透過性の構成であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポペット弁(1)。
【請求項4】
前記閉鎖要素保持装置(3)が、2次元格子構造として具体化されることと、前記2次元格子構造が、支柱(3b)および節(3d)を含むことと、前記閉鎖要素(4)が、前記節(3d)上に配置されることとを特徴とする、請求項3に記載のポペット弁(1)。
【請求項5】
前記閉鎖要素(4)が、前記閉鎖要素保持装置(3)上に互いに対称に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポペット弁(1)。
【請求項6】
前記閉鎖要素保持装置(3)が、少なくとも1つのばね(5)によって前記弁座カバー(2)上に支持され、前記ばね(5)が、少なくとも前記軸線方向(A)において撓むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポペット弁(1)。
【請求項7】
前記閉鎖要素保持装置(3)が、前記軸線方向(A)において移動可能な少なくとも1つの案内部(6)によって前記弁座カバー(2)に接続されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポペット弁(1)。
【請求項8】
前記弁座カバー(2)が、前記軸線方向(A)に延びる少なくとも1つの孔(2d)を有することと、案内部(6)が、各孔(2d)内に配置されることとを特徴とする、請求項7に記載のポペット弁(1)。
【請求項9】
前記閉鎖要素(4)が、少なくとも部分的にプラスチックからなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポペット弁(1)。
【請求項10】
前記閉鎖要素(4)が、クリップ継手によって前記閉鎖要素保持装置(3)に接続されることを特徴とする、請求項9に記載のポペット弁(1)。
【請求項11】
前記閉鎖要素(4)が、少なくとも2つの異なる材料、金属およびプラスチックからなることを特徴とする、請求項9または10に記載のポペット弁(1)。
【請求項12】
前記閉鎖要素(4)が、閉鎖部(4g)であって、前記入口流路(2a)が閉鎖されると、前記閉鎖部が前記弁座(2b)に着座するように配置される閉鎖部(4g)を含むことと、前記閉鎖部(4g)が、プラスチックからなることとを特徴とする、請求項11に記載のポペット弁(1)。
【請求項13】
前記閉鎖要素(4)が、金属製支持部(4h)を含むことと、前記金属製支持部(4h)が、前記軸線方向(A)に直交して延びる支持面(4k)を有することと、前記閉鎖部(4g)が、前記支持面(4k)に着座することと、前記閉鎖部(4g)が、前記支持面(4k)と前記弁座(2b)との間に配置されることとを特徴とする、請求項12に記載のポペット弁(1)。
【請求項14】
捕捉部(7)を含むことと、前記捕捉部(7)が、前記閉鎖要素保持装置(3)から前記軸線方向(A)において、前記閉鎖要素保持装置(3)が前記軸線方向(A)において移動可能であるような距離に配置されることとを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のポペット弁(1)。
【請求項15】
前記閉鎖要素(4)が、前記閉鎖要素保持装置(3)を越えて前記捕捉部(7)に向かって前記軸線方向(A)に突出する離隔片(4i)を含むことと、前記閉鎖要素(4)および前記捕捉部(7)が、前記軸線方向(A)における前記閉鎖要素(4)の最大限の移動が前記捕捉部(7)によって制限されるように、互いに一致するように配置されることとを特徴とする、請求項14に記載のポペット弁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係るポペット弁に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)は、ピストン圧縮機のためのポペット弁を開示している。このポペット弁は、比較的高い耐久性を呈する。更に、このポペット弁は、圧力損失が比較的高く、比較的大きい設置高さを更に必要とし、加えて依然として比較的緩慢である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0090149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、より有利な動作特性を有するポペット弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有するポペット弁によって達成される。従属請求項2〜15は、本発明の更に有利な実施形態に関する。
特に、この目的は、複数の入口流路を有する弁座カバーであって、各入口流路は、弁座に開口する、弁座カバーを含み、かつ、軸線方向において移動可能である複数の閉鎖要素を含むポペット弁であって、閉鎖要素は、各弁座に関連付けられ、各弁座は、関連付けられた閉鎖要素に軸線方向において対向して配置され、それにより、各弁座は、関連付けられた閉鎖要素によって閉鎖可能であり、全ての閉鎖要素は、共通の閉鎖要素保持装置上に配置され、閉鎖要素保持装置は、閉鎖要素が少なくとも2つの位置である、閉鎖要素が弁座に対して持ち上げられる開放位置と、閉鎖要素が弁座に対して着座する閉鎖位置と、をとることができるように軸線方向において移動可能である、ポペット弁によって達成される。
【0006】
本発明によるポペット弁は、複数の入口流路を有する弁座カバーであって、各入口流路は、弁座に開口する、弁座カバーを含み、かつ、閉鎖要素保持装置であって、その上に複数の閉鎖要素が配置される、閉鎖要素保持装置を含み、別個の閉鎖要素は、各弁座に関連付けられる。閉鎖要素保持装置は、好ましくは、一体構成を有し、その結果、閉鎖要素保持装置に接続された閉鎖要素は、弁座カバーに対して軸線方向において一緒に移動可能であるように配置され、閉鎖要素は、1つの閉鎖要素によって各弁座を開閉できるように弁座に対して配置される。可能な別の実施形態において、閉鎖要素保持装置は、少なくとも2つの別個の閉鎖要素保持装置部からなり、全ての閉鎖要素は、好ましくは固定的に閉鎖要素保持装置に接続される。この実施形態において、閉鎖要素保持装置部は、それぞれの閉鎖要素保持装置部の移動に応じて、互いに独立して軸線方向において移動可能である。
【0007】
好ましい実施形態において、閉鎖要素保持装置は、入口流路を通って流れる流体の通過のための隙間を含み、かつ、閉鎖要素を締結するための締結箇所を含む、流体透過性であるかまたは貫流を可能にする平坦な支持体として具体化される。閉鎖要素保持装置は、例えば、有孔型、網型または編組型の支持構造として具体化される。閉鎖要素保持装置または支持体は、閉鎖要素を締結するための複数の締結箇所を含み、締結箇所は、例えば、有孔型もしくは網型または編組型の構造によって互いに接続される。特に好ましい形態として、閉鎖要素保持装置は、2次元格子構造として具体化され、かつ、好ましくは複数の支柱および節を有し、支柱は、節を互いに接続し、1つの閉鎖要素は、好ましくは、各節上に締結され、閉鎖要素保持装置は、支柱と節との間に複数の隙間を有する。2次元格子構造を含むポペット弁は、閉鎖要素保持装置および閉鎖要素の全体の高さが比較的小さく、その結果、本発明によるポペット弁のデッドスペースが小さくなるという利点を有する。隙間を有する格子構造は、ポペット弁を通って流れる流体が弁座から流出した後にごく僅かにのみ偏向され、その結果、本発明によるポペット弁の流動抵抗が低くなるという利点を有する。閉鎖要素は、有利には、閉鎖要素保持装置に柔軟に接続されるかまたは取り付けられ、閉鎖要素が、特に閉鎖要素の製造公差または摩耗を補償するために閉鎖要素保持装置に対して直線運動および/または回転運動で僅かに移動することを可能にする。
【0008】
本発明によるポペット弁の有利な実施形態において、閉鎖要素は、閉鎖要素保持装置上に互いに対称に、例えば中心線Aに対して点対称で配置される。この対称配置は、閉鎖要素に対して短手方向に作用する力が互いに打ち消し合い、その結果として、弁座に対する閉鎖要素保持装置の位置決めにかかる、すなわち案内部にかかる応力が小さいという利点を有し、かつ、例えば、ばねリンクまたは螺旋ばねによって摩擦を伴わずに達成することもできる。有利な実施形態において、閉鎖要素保持装置の弾性および/または閉鎖要素保持装置と閉鎖要素との接続箇所の弾性は、公差を補償するのに十分である。
【0009】
閉鎖要素保持装置は、有利には、例えば対応して設計されたばねリンクを用いてまたは螺旋ばねにより、弁座カバーに対してばね弾性状に配置される。これらのばねは、弁座内に取り付けることもでき、例えば螺旋ばねの場合には対応する孔に、および例えば板ばねの場合には弁座の外側の環状空間内に取り付けることができる。
【0010】
有利な実施形態において、閉鎖要素は、プラスチックから製造される。これは、特に、閉鎖要素保持装置と閉鎖要素とを含む可動部の全体の重量が比較的小さく、したがって可動部が低慣性を有し、その結果、本発明によるポペット弁の動作中により低い力が発生し、摩耗が低減されるという利点を有する。これは、比較的高速、例えば1秒間に30回の閉鎖サイクルで動作されるポペット弁に特に有利である。閉鎖要素は、金属または金属とプラスチックとの組み合わせから製造することもできる。金属とプラスチックとの組み合わせからなる閉鎖要素は、弁座に接触する部分をプラスチックから製造でき、そのため、この部分が弁座にあまり摩滅を生じさせることがなく、またプラスチックを有利な位置に保持するために金属が支持機能を果たすという利点を有する。
【0011】
本発明によるポペット弁は、摩耗した閉鎖要素のみを交換することにより、低コストで保守点検することができる一方、残りの閉鎖要素は、使用し続けることができる。本発明によるポペット弁は、閉鎖要素保持装置および閉鎖要素保持装置上に締結された全ての閉鎖要素を一緒に新品同様である構成に置き換えることにより、非常に迅速に保守点検することもできる。閉鎖要素保持装置と、閉鎖要素保持装置上に締結される閉鎖要素とを非常に低コストで製造できるため、閉鎖要素保持装置と、閉鎖要素保持装置上に締結された閉鎖要素とを含む構成全体のまとめての交換が安価でもある。更に、本発明によるポペット弁における構成の取り外しおよび交換は、非常に迅速かつ安価に達成することができる。これは、送給される流体が汚染物質を含み、結果として閉鎖要素の摩耗が増大する場合に特に有利でもある。
【0012】
既知のポペット弁は、少数の閉鎖要素を有する。本発明によるポペット弁は、閉鎖要素の最大外径を相応に低減し、それに対応する方法で閉鎖要素保持装置上に節を配置することにより、複数の閉鎖要素、例えば15個、20個、30個または40個の閉鎖要素を閉鎖要素保持装置上に締結できるように閉鎖要素保持装置を簡単に具体化できるという利点を有する。従来のポペット弁と比較して、この実施形態の弁座カバーは、より多くの入口流路を有し、その結果、通路総面積がより多くの流路間で分割され、弁座カバーがより高い強度を有するという利点をもたらし、かつ/または直径がより小さいため、流路を開閉するために閉鎖要素のより小さいストロークのみが必要とされるという利点をもたらす。このより小さいストロークの結果、特に1秒間により高いサイクル数で閉鎖要素を動作させることができるという利点がもたらされる。閉鎖要素は、好ましくは、各閉鎖要素を閉鎖要素保持装置に接続する接続部よりも著しく大きい直径を有する。この実施形態は、接続部が各弁座または関連付けられた閉鎖要素の流れ断面に無視できるほど僅かにのみ影響を及ぼすか、または好ましくは全く影響を及ぼさないという利点を有する。したがって、本発明によるポペット弁は、より低い流動抵抗を有する。
【0013】
従来のポペット弁と比較して、有利な実施形態における本発明によるポペット弁は、所与の全体の設置高さに関して、閉鎖要素保持装置および閉鎖要素保持装置上に締結された閉鎖要素がより小さい設置高さのみを必要とし、相応に弁座カバーをより厚くすることができ、結果としてより高い耐圧性を実現するため、前記弁をより高圧で使用できるという利点を有する。
【0014】
本発明を実施例によって以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ポペット弁の第1の実施例を部分断面図で示す。
【
図10】
図9に示す組み付けられた閉鎖要素の縦断面図を示す。
【
図12】閉鎖要素保持装置の第2の更なる実施例を示す。
【
図13】閉鎖要素保持装置の第2の更なる実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面において、同一の部分は、基本的に同一の参照符号が付されている。
図1は、ポペット弁1の第1の実施例を部分断面図で示す。弁座カバー2は、複数の入口流路2aであって、軸線方向Aに延び、かつ弁座2bに、次いで出口流路2cに開口する複数の入口流路2aを含む。ポペット弁1は、閉鎖要素保持装置3を含み、この閉鎖要素保持装置3は、支柱3bと節3dとを含む格子構造として具体化される。ポペット弁1は、複数の閉鎖要素4であって、1つの閉鎖要素4が各節3d上に締結される、複数の閉鎖要素4を更に含む。閉鎖要素保持装置3と、閉鎖要素保持装置3上に締結された閉鎖要素4とを軸線方向Aにおいて一緒に移動させることができ、ポペット弁1は、閉鎖要素保持装置3のストローク行程を制限して復元力をもたらすばね5を含む。ばね5および弁座カバー2上へのばね5の締結は、異なる方法で具体化することができ、図示の実施例では、弁座カバー2の周方向に延び、一方では弁座カバー2に接続され、他方では閉鎖要素保持装置3に対して着座するばね5として具体化される。好ましい実施形態では、弁座カバー2に対してばね5を有利な方法で配置するために、
図1に示す空間よりも大きい空間が弁座カバー2内においてばね5のために設けられる。更に、ばね5と閉鎖要素保持装置3との接続は、多くの異なる方法で具体化することができる。
【0017】
図2は、
図1によるポペット弁1を断面図なしに示す。
図3は、
図1によるポペット弁1を分解図で示す。ポペット弁1は、複数の出口流路2cを有する弁座カバー2を含み、弁座2bおよび弁座2bに接続された入口流路2aは、図示されていないかまたは視認できない。図示の実施例は、37個の出口流路2cを含み、この実施例では、1つの閉鎖要素4は、各出口流路2cに関連付けられ、そのため、図示のポペット弁は、37個の閉鎖要素4を含む。ポペット弁1は、格子状閉鎖要素保持装置3であって、節3d上に締結された閉鎖要素4がそれぞれ対応する弁座2dに対向して位置するように節3dが配置される、格子状閉鎖要素保持装置3を更に含む。ポペット弁1は、波状ばね5を更に含む。
【0018】
図4は、
図1に示すポペット弁の閉鎖要素4を断面図で示す。図示の閉鎖要素4は、プラスチック、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、POM(ポリオキシメチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から製造される。閉鎖要素4は、弁座に着座するように意図された閉鎖頭部4aまたは接触面を含む。閉鎖要素4は、閉鎖要素保持装置3に対して着座するための支持面4bを更に含む。閉鎖要素4は、図示の実施例では、3つのばねアーム4dを含むクリップとして具体化された締結手段4cを更に含む。閉鎖要素4は、閉鎖要素4の全体の重量を低減することを可能にする凹部4eを更に含むことができる。図示の閉鎖要素4は、金属、例えば銅、鋼または軽金属合金から製造することもできる。
【0019】
図5は、
図1に示す断面図を詳細に示す。
図5は、弁2b上の減衰要素8aを示すことにより、更に別の実施例を明示的に示す。特に閉鎖要素4が金属から製造される場合、減衰要素8aが有利であると分かり、減衰要素8aは、有利には交換可能であり、かつ有利には交換可能な弁座として具体化され、減衰要素8aは、好ましくは、プラスチックからなる。有利な実施形態において、各弁座2bは、別個の減衰要素8aを含むことができる。別の有利な実施形態において、全ての減衰要素8aは、共通の座板8によって形成することができ、座板8は、好ましくは、弁座カバー2に載置され得、かつ減衰要素8aは、各弁座2b上に形成される。この座板8は、好ましくは交換可能であり、かつ好ましくはプラスチックからなる。共通の座板8または個々の減衰要素8aはまた、硬化させた座部として具体化することができ、かつ例えば金属から製造することができる。そのような硬化させた座部は、プラスチックを含むかまたはプラスチックからなる閉鎖要素との組み合わせにおいて特に有利である。
【0020】
図6は、
図1に示すポペット弁1の可動部、すなわち閉鎖要素保持装置3と、閉鎖要素保持装置3上に締結された閉鎖要素4とを示す。全ての閉鎖要素4は、中心の閉鎖要素4lに対して対称に配置される。この対称配置は、閉鎖要素4に対して短手方向に作用する全ての力、特に移動方向Aに直交して作用する全ての力の合計が、実質的に、好ましくは完全に互いに均衡するかまたは互いに補償し合うという利点を有する。これは、移動方向Aに直交する方向においてばね5に作用する力が小さく、その結果、これらの力が、ばね5にごく僅かな摩耗効果のみを及ぼすかまたは摩耗効果を全く及ぼさないという利点を有する。
【0021】
本発明によるポペット弁1の保守点検が非常に容易であることは、
図6から更に明らかである。損傷した個々の閉鎖要素4は、閉鎖要素保持装置3から簡単に分離させ、クリップ継手4dによって新たな閉鎖要素4を対応する節3dに締結することにより、新たな閉鎖要素4に置き換えることができる。更に、閉鎖要素保持装置3上に締結された全ての閉鎖要素4と共に閉鎖要素保持装置3全体をまとめて交換するのは簡単なことである。特に閉鎖要素保持装置3へのアクセスが容易でもあるため、かかる保守点検を非常に低コストで行うことができる。
【0022】
図7は、ポペット弁1の第2の実施例を分解図で示し、この図には、閉鎖要素4が示されていない。閉鎖要素保持装置3は、第1の実施例のものと同一の構成を有し、これは、特に
図3から明らかである。閉鎖要素4は、
図7に示す閉鎖要素保持装置3の中心に閉鎖要素4が締結されないことを除いて、
図3に示すものと同じであり得る。弁座カバー2は、弁座2bおよび対応する出口流路2cにそれぞれ開口する複数の入口流路2a(視認できない)を含む。弁座カバー2は、円周に沿って離間して配置された6つの有底孔2dを含み、かつ中心に配置された有底孔2dを更に含む。これらの有底孔2dのそれぞれに案内部6が配置される。各案内部6は、閉鎖要素保持装置3に接続され、弁座カバー2に対する軸線方向Aにおける閉鎖要素保持装置3の移動を確実にする。案内部6は、有底孔2d内に締結される締結部6aを含み、かつ長手方向ステム6cに固定的に接続される端部6bを含む。締結部6aと端部6bとの間にばね5が配置される。端部6bは、軸線方向Aにおいて移動可能であるように有底孔2d内に配置され、かつ長手方向ステム6cの上端部分は、締結部3fによって閉鎖要素保持装置3に接続され、これにより、一方では、案内部6が弁座カバー2内に固定的に配置され、かつ長手方向ステム6cおよび長手方向ステム6cに接続された閉鎖要素保持装置3が、軸線方向Aにおいて移動可能であるように支持されることを確実にする。この実施形態は、閉鎖要素保持装置3が軸線方向Aにおいて正確に案内されるという利点を有する。可能な一実施形態において、閉鎖要素4は、
図4に示すように具体化される。閉鎖要素4が
図9に示すように具体化されると有利である。案内部6は、軸線方向Aにおける閉鎖要素保持装置3の案内を確実にする多くの可能な方法で具体化することができる。
【0023】
図8は、
図9に示す閉鎖要素4を使用する、
図7に示すポペット弁1の縦断面図を示す。
図8による縦断面図は、複数の入口流路2aであって、各入口流路2aは、弁座2bに開口し、次に出口流路2cに開口する、複数の入口流路2aを示す。閉鎖要素保持装置3を軸線方向Aにおいて移動可能に案内し、かつ閉鎖要素保持装置3上の弁座カバー2に向かう予荷重力または復元力をばね5によってもたらすように案内部6が内部に配置される、有底孔2dが弁座カバー2の中心に図示されている。有利な一実施形態において、ポペット弁1は、捕捉部7を更に含み、この捕捉部7は、有利には、弁座カバー2に接続される、周方向に延びる締結部7bを含み、かつ更に有利には、開口部を含む平坦な格子構造7aを有する。捕捉部7は、軸線方向Aにおける閉鎖要素保持装置3の移動を制限する役割を果たす。捕捉部7は、更に有利には、自由に移動可能な部分、例えば折り取られた部分を保持して、ポペット弁1から外れることを防止する。
【0024】
図9は、組み付け前の閉鎖要素4の実施例を示し、
図10は、組み付け後の閉鎖要素4の実施例を示す。閉鎖要素4は、少なくとも1つの閉鎖部4gと、支持部4hと、リベット4fとを含み、好ましくは離隔片4iを更に含む。
図9に示すように、リベット4fは、閉鎖部4gと支持部4hとに導入され、次に節3dの開口部に突き通され、次いで離隔片4iに導入される。その後、リベット4fがかしめられ、その結果、リベット4fは、
図10に示す形状を有する。有利な実施形態において、閉鎖部4gおよび離隔片4iは、プラスチックからなる一方、支持部4hおよびリベット4fは、金属からなる。閉鎖部4gは、閉鎖面4aと支持面4kとを含む。
図10に示す閉鎖要素4は、閉鎖部4gの表面に直交して作用する力を閉鎖部4gが支持面4kにおいて受けるという利点を有する。図示の閉鎖部4gは、円錐形閉鎖面4aを有し、閉鎖面4aは、閉鎖面4aに直交して作用する力を実質的に受ける。これは、相当の圧縮力が生じて、プラスチックからなる閉鎖部4aに作用するが、無視できるほど僅かな引張力が閉鎖部4aに作用するかまたは引張力が閉鎖部4aに全く作用せず、その結果、閉鎖部4gの破損の原因となり得る引張応力が閉鎖部4gに無視できるほど僅かに生じるかまたは全く生じないという利点を有する。したがって、この実施形態は、閉鎖部4gがほとんど摩耗しないという利点を有する。
【0025】
図11は、
図7に示すポペット弁1の別の縦断面図を示し、この図では、捕捉部7が単に明示的に示されている。閉鎖要素保持装置3および閉鎖要素保持装置3に固定的に接続された閉鎖要素4は、有底孔2d内に部分的に配置された案内部6によって移動軸線方向Aにおいて移動可能であるように支持される。閉鎖要素4は、
図10に詳細に示すように具体化される。軸線方向Aにおける閉鎖要素4の移動により、弁座2bは、閉鎖要素4の位置に応じて開閉される。捕捉部7は、特に閉鎖要素4の最大の可能なストロークを制限する役割を果たす。
【0026】
図12および
図13は、閉鎖要素保持装置3の2つの更なる実施例を示し、
図3に示す装置とは対照的に、閉鎖要素保持装置は、2つの部分からなり、かつ第1の閉鎖要素保持装置部3hと第2の閉鎖要素保持装置部3iとを含み、閉鎖要素保持装置部3i、3hの両方の上に閉鎖要素4を締結することができ、閉鎖要素4の2つの群を与え、各群は、単一の閉鎖要素保持装置部3i、3hに接続される。
図12に示す閉鎖要素保持装置3は、
図1〜
図9に示す実施形態でも同様に使用することができる。閉鎖要素保持装置3の2つの部分3h、3iは、閉鎖要素4を保持する異なる方法で具体化することができる。更に、閉鎖要素保持装置3は、追加の部分を含むことができ、かつ例えば3つ、4つまたは5つの部分からなることができる。複数の閉鎖要素保持装置部3h、3iからなる閉鎖要素保持装置3は、閉鎖要素保持装置部3h、3iが長手方向軸線Aに対して横断方向に個々に移動可能であり、これにより閉鎖要素4と弁座2bとの間のいかなる遊びおよび/または摩耗もより良好に補償することを可能にするという利点を有する。