(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気分離器が、膜ハウジング内に支持された多孔質疎水性膜を備え、前記膜が前記膜ハウジングを上下のチャンバに分割し、前記バルーン充填媒体から分離された前記空気が前記膜を通って上部チャンバ内に浸透し、前記上部チャンバの通気穴を通って前記システムから出る、請求項3に記載のバルーンカテーテルシステム。
前記貯蔵部内の充填ポートを介して前記貯蔵部に保存部からバルーン充填媒体を送達するよう構成されるシリンジと、をさらに備える、請求項1に記載のバルーンカテーテルシステム。
前記流体管理システムが、前記第一および第二の導管と平行に配置され、内視鏡と共に使用されるように構成された照明ファイバをさらに備える、請求項11に記載のバルーンカテーテルシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、充填媒体でバルーンカテーテルを充填するための流体制御システムを詳述する。本開示の流体制御システムは、バルーンカテーテルを所望の圧力(例えば、約0.2〜1.0PSI)まで膨張させ、医療処置(例えば、心房細動を治療するための心臓の切除)の間、所望の持続時間にわたってバルーンを所望の圧力に維持し、バルーンカテーテルを所望の圧力まで収縮させる(またはカテーテルを身体から除去するためにバルーンカテーテルを完全に収縮させる)よう構成される。本流体制御システムは、患者の組織を損傷しないようにバルーンおよびカテーテル構成要素を冷たく保ちながら、バルーンカテーテルがバルーンカテーテルを膨張させて、より低圧に維持することを可能にする。さらに、本システムにより、医療処置中に、一人のオペレータがバルーンカテーテルの膨張および収縮、ならびに患者の体内のバルーンカテーテルの操作を制御することが可能である。
【0012】
図1〜
図3は、一つまたは複数の実施形態による、本出願のバルーン充填媒体制御システム100の概略図を示す。
図1〜
図3に示すように、システム100は、一般に、バルーンカテーテル102(例えば、バルーン切除カテーテル)と、充填ポート106を有するバルーン充填媒体を保持するためのバルーン充填媒体貯蔵部(ビュレット)104と、遠隔膨張−収縮バルブ108と、容量ポンプ110と、真空リリーフバルブ112と、空気分離器114とを含む。本システムは、医療処置中に患者の体内のバルーンカテーテルを見るための照明ファイバ(図示せず)を有する内視鏡をさらに含むことができる。特に、システム100のオペレータは、コンソールを介して、体内のバルーンカテーテルの内視鏡からの画像を見て、バルーンカテーテルが所定量膨張した(または収縮した)かどうか、および、医療処置を行うために、バルーンカテーテルと標的組織との間で接触が達成されたかどうかを判断できる。
【0013】
本明細書に記載されるように、本発明は、オペレータがカテーテルの動作を制御することを可能にする遠隔バルブアセンブリに関し、特に、遠隔バルブアセンブリはオペレータがコンソールから離れた場所(例えば、カテーテルハンドルまたはその近くの位置)からバルーンの膨張を制御することを可能にする。
【0014】
膨張−収縮バルブ108は、三つの状態、すなわち「捕捉容積」状態、「膨張」状態、および「収縮」状態を有する遠隔バルブアセンブリであり、カテーテルのオペレータによってこれら三つの状態のうちの一つに配置される。一つまたは複数の実施形態では、膨張−収縮バルブ108の状態は、バルブ108に動作可能に接続された作動機構(図示せず)を使用して、オペレータによって変えることができる。特定の実施形態では、作動機構はオペレータの手によって操作することができる。
図1に示されるように、オペレータがバルブ108に触れていないとき、バルブ108は、示されるように戻しばねの作用を通して、または、他のそのような機構を介して自動的に「捕捉容積」状態をとる。「捕捉容積」状態では、バルーン充填媒体(例えば、水と同様の表面張力を有する液体)は、容積ポンプ110によってバルーンカテーテル102を通って循環する。バルーンカテーテル102を通る循環バルーン充填媒体は、医療処置中にバルーンカテーテルおよびカテーテルの全ての部分を冷たく保つ。例えば、心房細動を治療するための心臓組織の切除にバルーンカテーテル102を使用する実施形態では、バルーンカテーテル102を通してバルーン充填媒体を循環させて、カテーテルを介した組織へのエネルギー送達中(切除)に、バルーンカテーテルおよびカテーテルの残りの部分を冷たく保つ。
【0015】
さらに、
図1に示す「捕捉容積」状態では、システムに収容されているバルーン充填媒体の容積は固定されているので、バルーン充填媒体をバルーン内外に循環させて所望の冷却機能を果たしつつ、バルーン内で一定の容積で膨張状態を維持することになる。言い換えれば、
図1に示されるように、システムに既に含まれているバルーン充填媒体の容積は、閉ループ内に「捕捉され」、手術中にバルーンカテーテルが膨張したまま、バルーンカテーテル102が過熱することはないように、容積ポンプ110とバルーンカテーテル102との間を循環する。
【0016】
システム100の空気分離器114は、ハウジング内に支持され、ハウジングを上部チャンバと下部チャンバに分割する多孔質疎水性膜116を含むことができる。バルーン充填媒体と気泡との混合物が空気分離器114の下部チャンバに入ると(このような混合物は、最初に乾燥システムにバルーン充填媒体が初期導入されるときに遭遇する可能性が高い)、気泡が下部チャンバの最上部まで上昇し、ポンプ110によって生成された下部チャンバ内の圧力によって、多孔質疎水性膜116を通って上部チャンバ内に押し込まれる。空気分離器114の上部チャンバ内に入ると、空気は上部チャンバ内の通気孔を通って大気に出る。膜の疎水性性質は、バルーン充填媒体を膜の孔に進入させるためにポンプ110の作動圧力を十分に上回る圧力を必要とするので、バルーン充填媒体は多孔質疎水性膜116を通過できない。システム100が上記の
図1に示すように構成されていると、カテーテルの初期設定中に空気が流路から容易に除去される。
【0017】
空気分離器114は、媒体貯蔵部(ビュレット)104に近接するか、またはそれに取り付けられる位置において含む、任意の数の様々な位置に配置することができることを理解されよう。
【0018】
バルーンカテーテル102およびバルーン充填媒体制御システム100は乾燥状態で使用者に供給される。使用者は、最初に、貯蔵部に接続された充填ポート106を通してバルーン充填媒体貯蔵部(ビュレット)104を充填する。充填ポートは、バルーン充填媒体がバルーン充填媒体貯蔵部に導入されるときにバルーン充填媒体が無菌のままであるという追加の保証として機能する、活栓および滅菌フィルタを取り付けることができる。一つまたは複数の実施形態では、
図1に示すように、保管用バイアルから貯蔵部104へのバルーン充填媒体の移送は、シリンジを用いて行われる(充填ポート106は、説明を簡単にするのみのため、
図2および3から除外されている)。
【0019】
一つまたは複数の実施形態では、容積ポンプ110は、ローラポンプとも呼ばれる蠕動ポンプである。そのようなポンプは、耐久性のあるポンプヘッド内に設置された、ある長さの使い捨て弾性管を含む。カテーテルがバルーン切除カテーテルである実施形態では、耐久性のあるポンプヘッドは、適切な切除エネルギーをカテーテルに供給するとともに、切除カテーテルを留置した内視鏡からの内視鏡画像を表示するなどの他の機能を実行するために使用される、耐久性のあるシステムの一部である。シリコーンゴム管などの使い捨て弾性管はさらに、使い捨てバルーンカテーテルおよびバルーン充填媒体制御システムの一部とすることができる。
【0020】
図2は、膨張−収縮バルブ108が「膨張」状態またはモードにあるバルーン充填媒体制御システム100の概略図を示す。使用者が膨張−収縮バルブ108を(例えば、作動機構を介して)膨張状態にすると、流体がバルーン充填媒体貯蔵部104から引き出され、バルーン102内に送り込まれてバルーンのサイズが増大する。このようにして、バルーン102は、手術部位における患者の組織の解剖学的構造に最もよく一致するように、ある範囲の連続的に可変の大きさまで充填され得る。使用者(オペレータ)がバルブ108の作動機構から手を離すと、バルブ108は
図1に示す「捕捉容積」状態に戻り、バルーンが膨張したバルーンサイズがシステム100の「捕捉容積」モードによって維持される。
【0021】
図3は、膨張−収縮バルブ108が「収縮」状態またはモードにあるバルーン充填媒体制御システム100の概略図を示す。使用者(オペレータ)が膨張−収縮バルブ108を「収縮」モードにすると、流体はバルーン102から引き出され、(容積ポンプ110を使用して)バルーン充填媒体貯蔵部104に戻され、それによってバルーンサイズを減少させる。このようにして、バルーン102は、患者の組織の解剖学的構造に最もよく一致するように、連続的に様々なサイズ範囲にわたって縮小することができる。使用者(オペレータ)がバルブ108の作動機構から手を離すと、バルブは(
図1に示す)「捕捉容積」状態に戻り、バルーン102が収縮したバルーンサイズが、システム100の「捕捉容積」モードによって維持される。あるいは、バルーン102を完全に収縮させるために、使用者はバルブ108を
図3に示す「収縮」モードに保持することができる。バルーンカテーテル102の完全な収縮は、完全に収縮したバルーンを患者の体内に導入するために医療処置の開始時、および、バルーンカテーテル102を患者から取り外すために医療処置の終了時に行われる。
【0022】
図1〜
図3に示すリリーフバルブ112は、容積ポンプ110によって発生させることができる差圧を制限する。一つまたは複数の実施形態では、リリーフバルブ112は、圧力限界が約5から20PSIの間、好ましくは7から12PSIの間になるように構成される。ポンプ110の差圧を制限することは多くの目的に役立つ。第一に、使用者(オペレータ)が膨張−収縮バルブ108を誤って連続的に「膨張」モードに維持したとしても、ポンプ110によって発生する圧力を制限することによってバルーン102内に過度の圧力が発生するのを防止する。ポンプ差圧を制限することの別の利点は、そうすることによって、空気分離器114の下部チャンバ内の圧力が、バルーン充填媒体が疎水性膜116を通って押しこまれることができる圧力を超えるのを防ぐことである。ポンプ110が発生させることができる差圧を制限するための別の理由は、これによって、バルーン102が完全に収縮したときにポンプ110によって作り出される真空のレベルを制限することである。バルーン充填媒体に適用される真空が多すぎると、バルーン充填媒体内に溶解したガスが溶液から引き出されて、気泡がバルーンカテーテル102に入ることがあるので、真空量を制限することは重要である。
【0023】
ロッカースイッチの実施形態
図4〜
図8は、「捕捉容積」状態、「膨張」状態、および「収縮」状態を有するバルブアセンブリを同様に備えるバルーン充填媒体制御システム200を示す。
図1〜
図3に例示されているシステム100のように、システム200のバルブアセンブリは、オペレータによってこれら三つの状態のうちの一つに配置され得る。このように、三つの「状態」の間のシステム200内のバルーン充填媒体の循環は、以下でさらに詳細に説明するように、充填媒体がバルブアセンブリをどのように通過するかに関する点を除けば、
図1〜
図3の実施形態を参照して説明したバルーン充填媒体の循環と実質的に同じである。
【0024】
そのため、
図4〜
図8のバルブアセンブリは、バルブ108の代わりになることができ、したがって
図1のバルブ108の位置に配置され得る。
【0025】
図4は、ロッカーバルブアセンブリ208の内側(すなわち、外側カバー(ハウジング)209の一部が取り除かれたロッカーバルブアセンブリ208)を示すバルーン充填媒体制御システム200の側面斜視図を示す。
図1〜
図3のシステム100のように、システム200は、システム100に実質的に示すように、バルーンカテーテルと、充填ポートを有するバルーン充填媒体貯蔵部と、容積ポンプと、真空リリーフバルブと、空気分離器とを含み得る(
図4〜
図8には図示なし)。システム200はまた、ハウジング209を有するロッカーバルブアセンブリ208を含む。上述のように、ロッカーバルブアセンブリ208は、「捕捉容積」状態、「膨張」状態、および「収縮」状態を有する。システム200はまた、中央ビュレット管220と、ポンプ供給部222と、ポンプ戻り部224と、カテーテル供給部226と、カテーテル戻り部228とを含む、多くの導管または管を含む。管は、システム200を通して流体(例えば、バルーン充填媒体)を循環させるように構成される。システム200は、バルーンカテーテルと患者の体内の標的組織との間で接触が達成されたかどうかを判定するために内視鏡と共に使用することができる少なくとも一つの照明ファイバ230をさらに含むことができる。
【0026】
図4にさらに示されるように、ロッカーバルブアセンブリ208は、第一の端部234と第二の端部236とを有するロッカースイッチ232を特徴とし、ロッカースイッチ232は、バルブアセンブリ208を「捕捉容積」状態、「膨張」状態、および「収縮」状態の間で選択的に動かすための作動機構である。例えば、オペレータが第一の端部234を押すと、バルブアセンブリ208は「膨張」状態となり、オペレータが第二の端部236を押すと、バルブアセンブリ208は「収縮」状態となる(
図4に示すように)。オペレータがロッカースイッチ232の第一の端部または第二の端部のいずれも押さない場合、スイッチ232は自動的に「捕捉容積」状態に戻る。言い換えれば、ロッカースイッチ232が使用者(オペレータ)によって操作されていないとき、それはデフォルトで「捕捉容積」状態になる。ロッカーバルブアセンブリ208はまた、第一のバネ238と第二のバネ240とを特徴とし、バネ238および240は、第一のチャネル(または第一の貯蔵部空間)242および第二のチャネル(または第二の貯蔵部空間)244内に移動するよう構成されたそれぞれのプランジャに動作接続される。
図4はさらに、各チャネル242、244の外壁を示す。
【0027】
ロッカーバルブアセンブリ208は、
図4に示されるようにチャネル242、244によって概して画定される二つの異なるバルブアセンブリを有すると考えることができることが理解され、以下により詳細に説明される。二つのバルブアセンブリ間の流体連通は、一方のバルブアセンブリ内の流体が他方のバルブアセンブリを横切って流れることを可能にするクロスチャネル245によってもたらされる。
【0028】
図5は、一つまたは複数の実施形態による、ロッカーバルブアセンブリ208の断面図を示し、バルブアセンブリ208の内側部分を示している。
図5では、ロッカーバルブアセンブリ208は、残りの内側部分が見えるように、第一のチャネル242および第二チャネル244の外壁なしで示されている。
図5に示すように、ロッカーバルブアセンブリ208は、第一のプランジャ246と第二のプランジャ248とをさらに含むことができ、第一のプランジャ246は第一のバネ238に作動可能に接続され、第一のバネ238によって作用し、第二のプランジャ248は第二のばね240に作動可能に接続され、第二のばね240によって作用される。ロッカースイッチ232の使用者の操作の結果として、第一のプランジャ246は第一のチャネル242内で選択的に動くように構成され、第二のプランジャ248は第二のチャネル244内で選択的に動くように構成される。例えば、
図5に示されるようにロッカーバルブアセンブリが「捕捉容積」モードにあるとき、各プランジャ(246、248)の遠位端はそれらのそれぞれのチャネル(242、244)のほぼ中央に留まる。
【0029】
スイッチ232の第一の端部234が使用者によって押されると(すなわち、「膨張」モード)、第一の端部234は、第一のプランジャ246の近位端に下向きの力を加え、それによってプランジャ246の遠位部分を動かし、第一のチャネル242の底部に移動する。これは、ロッカースイッチ232の下面が、端部234および端部236に突出部を有していることに起因する。それぞれの端部234、236が押されると、それぞれの突出部がそれぞれのプランジャに接触してそれぞれのプランジャを駆動させる。押し下げられていない端部234、236の下側突出部は、プランジャと接触しない(それに対して上げられている)ので、プランジャは通常の静止位置に留まる。
【0030】
対照的に、ロッカースイッチ232の第二の端部236が使用者によって押されると(すなわち、「収縮」モード)、逆の作用が生じる。より具体的には、第二の端部236は、第二のプランジャ248の近位端に下向きの力を加え、第二のプランジャ248の遠位部分を第二のチャネル244の底部に移動させる。
【0031】
使用者(オペレータ)がロッカースイッチ232を解放すると(すなわち、第一の端部234または第二の端部236のいずれかを押すのを止めると)、ばね238、240はロッカースイッチが、その平衡位置である「捕捉容積」モードに戻ることを可能にする。言い換えれば、スイッチ232のいずれかの端部に追加の下向きの力が加わらないとき、バルブアセンブリ208は、プランジャを静止位置まで引く付勢力によって、両方のプランジャ246、248がそれぞれのチャネル242、244のほぼ中央に留まる、その平衡位置に戻る。
【0032】
引き続き
図5を参照すると、ロッカーバルブアセンブリ208はまた、Oリング250を含むことができ、プランジャ246、248がそれぞれ、二対のOリング250に当接する。各プランジャについて、一対のOリング250のうちの一方がプランジャの遠位部分に当接して、プランジャがその最も下方の位置にあるときにチャネル(242、244)を液体(例えばバルーン充填媒体)から密封するのを助ける。したがって、これらのOリング250は、以下でさらに詳細に説明するように、一つの管またはチャネルからの流体が他の管またはチャネルからの流体と意図せずに混ざるのを防止する。同様に、各プランジャについて、プランジャの近位部分(すなわち、ばねに最も近い部分)に当接する一対のOリング250は、流体がチャネルからスイッチアセンブリ232を含むバルブアセンブリ208の領域へ漏れるのを防ぐ。
図5の実施形態などの特定の実施形態では、一つまたは複数の追加のOリングを、各プランジャを囲む領域に含めることができる。これらの追加のOリングはさらに、バルブアセンブリ208のチャネルおよび管を密封するのを助け、そしてバルブアセンブリ208の外側への流体の漏れを防ぐことができる。
【0033】
捕捉容積モード
上述のように、三つの「状態」の間のシステム200内のバルーン充填媒体の循環は、充填媒体がロッカーバルブアセンブリ208をどのように通過するかに関する点を除いて、
図1〜
図3(システム100)の実施形態を参照して説明したバルーン充填媒体の循環と実質的に同じである。例えば、ロッカーバルブアセンブリ208が「捕捉容積」状態にあるとき、システム内に既に含まれているバルーン充填媒体の容積は、手術中、バルーンカテーテルが膨張したままであり、バルーンカテーテル102が過熱することがないよう、閉ループ内に「捕捉」されて、容積ポンプとバルーンカテーテルとの間を循環する。
図5を参照すると、ロッカーバルブアセンブリを使用して「捕捉容積」モードで充填媒体の閉ループ循環を達成するために、ポンプ供給部222内の流体がカテーテル供給部226に移送されてカテーテルに輸送され、カテーテルから戻る流体は、ポンプへ戻る輸送のためにカテーテル戻り部228からポンプ戻り部224へ移動される。
【0034】
ポンプからの充填媒体は、導管252および第二の流路244を介してポンプ供給部222からカテーテル供給部226に移動する。より具体的には、
図5に示されるように、第二のプランジャ248がその「捕捉容積」位置にあるとき、導管252はポンプ供給部222および第二のチャネル244と流体連通する。したがって、ポンプ供給部222内の流体(例えば、充填媒体)は、導管252に流れ込み、次いで、開口部254を介してカテーテル供給部226に流体的に接続されている第二のチャネル244の底部に流れ込む。したがって、第二のチャネル244の底部では、流体は、バルーンカテーテルへの輸送のために、第二のチャネル244から開口部254を通ってカテーテル供給部226内に流れる。
【0035】
同様に、バルーンカテーテルから戻る充填媒体は、開口部256および258を介してカテーテル戻り部228からポンプ戻り部224に移動する。より具体的には、
図5に示されるように、第一のプランジャ246がその「捕捉容積」位置にあるとき、開口部256はカテーテル戻り部228および第一のチャネル242と流体連通する。したがって、カテーテル戻り部228においてカテーテルから戻る流体は、開口部256を介して第一のチャネル242の底部に流れ込む。第一の流路242の底部を満たすのに十分な流体があると、流体は開口部258の高さに達し、開口部258に入り始め、ポンプ戻り部224に流れ込む。したがって、流体が開口部258に入ると、流体はポンプへの輸送のためにポンプ戻り部224に流れる。システム200の「捕捉容積」状態の間の液体(例えば、充填媒体)の流れを
図6に示す。
【0036】
図6に示すように、また上述したように、「捕捉容積」モードでは、ポンプ供給部222内の流体はカテーテル供給部226に移動してカテーテルに輸送され、カテーテルから戻る流体は、ポンプへの輸送のためにカテーテル戻り部228からポンプ戻り部224へ移動する。「捕捉容積」モードでは、追加の流体がバルーン充填媒体貯蔵部からシステムの残りの部分に移送されていないので、中央ビュレット管220内にも流体の流れはない。さらに、中央ビュレット管220内のいかなる流体も、プランジャおよびそれに関連するOリングの位置によって他のチャンバおよび導管から流体的に隔離されていることが理解されよう。
【0037】
膨張モード
バルブアセンブリ208の「膨張」状態中の液体(例えば、充填媒体)の流れを
図7に示す。
図5および
図7を参照すると、「膨張」状態では、ロッカースイッチ232の第一の端部234が使用者によって押され(すなわち、「膨張」モード)、第一のプランジャ246の近位端に下向きの力を加え、プランジャ246の遠位部分を、第一のチャネル242の底部に移動させる。このように、プランジャ246の遠位部分は第一のチャネル242を塞ぎ、それによってカテーテルリターン228内のいかなる流体もチャネル242を通過するのを実質的に防ぐ。第二のプランジャ248は、「膨張」状態では「捕捉容積」状態であるのと実質的に同じ位置にあるので、ポンプ(および/または貯蔵部)から輸送されるポンプ供給部222内の流体は、「捕捉容積」状態の間に行われるのと同様に流れる。特に、ポンプ供給部222内の流体は、導管252に流れ込み、次いで、開口部254を介してカテーテル供給部226に流体接続されている第二のチャネル244の底部に流れ込む。したがって、ポンプ供給部222の流体は、カテーテル供給部226に流入してその膨張のためにカテーテルバルーンに輸送される。
【0038】
さらに、中央ビュレット管220内の(例えば、バルーン充填媒体貯蔵部からの)流体は、開口部260および258を通って中央ビュレット管220からポンプ戻り部224に流れる。より具体的には、
図7に示すように、中央ビュレット管220内の流体は、クロスチャネル245を横切って流れることによって第二のプランジャ248を通り過ぎて第一のチャネル242に向かって流れる。中央ビュレット管220からの流体は、クロスチャネル245の一端を画定する開口部260を介して第一のチャネル242に入る(
図5参照)。第一のプランジャ246が第一のチャネルの遠位端で下方位置にあるので、開口部260は開口部258と流体連通する。したがって、中央ビュレット管220からの流体は、開口部260を通って第一の流路242に流れ込み、次に開口部258に流れ込み、ポンプ戻り部224に流れ込む。したがって、中央ビュレット管220の流体は、ポンプへの輸送のためにポンプ戻り部224に流入する。
【0039】
収縮モード
バルブアセンブリ208の「収縮」状態中の液体(例えば、充填媒体)の流れを
図8に示す。
図5〜
図8を参照および上述のように、「収縮」状態では、第二の端部236が第二プランジャ248の近位端に下向きの力を加え、第二のプランジャ248の遠位部分を第二のチャネル244の底部に移動させる。したがって、プランジャ248の遠位部分は開口部254を塞ぎ、それによってポンプ供給部222内の流体がカテーテル供給部226に移動するのを防止する。ポンプ供給部222からの流体は、代わりに、開口部260を介して中央ビュレット管220に再経路指定される。より具体的には、第二のプランジャ248が開口部254を塞いでいるので、ポンプ供給部222からの流体は第二のチャネル244の上部に流れ込み、充填される。第二の流路244に入る流体が開口部262の高さに達すると、それは、中央ビュレット管220に接続する開口部262に入り始める。したがって、流体が開口部262に入るにつれ、流体は次に、バルーン充填媒体貯蔵部への輸送のために中央ビュレット管220に流れ込む。流体がポンプ供給部222から第二のチャネル244に入るにつれ、流体はまたクロスチャネル245に流れ込み、第一のチャネル242に流れ得る。しかしながら、第一のチャネル242内のプランジャ246の位置、特にそれに関連するOリング250は、開口部258内に流れ込む。したがって、流体は、膨張中にポンプ供給部222から中央ビュレット管220内にのみ流れることができる。
【0040】
第一のプランジャ246は、「収縮」状態にあると、「捕捉容積」状態にあるときと実質的に同じ位置にあるので、カテーテル戻り部228内の流体は、「捕捉容積」状態の間と同じ方法で、ポンプ戻り部224に輸送される。具体的には、カテーテル戻り部228においてカテーテルから戻る流体は、開口部256を介して第一のチャネル242の底部に流れ込む。第一のチャネル242の底部を満たすのに十分な流体が存在すると、流体は開口部258の高さに達し、開口部258に入り始め、これはポンプ戻り部224に流れ込む。したがって、流体が開口部258に入ると、流体はさらに、ポンプへの輸送のためにポンプ戻り部224に流れる。
【0041】
図9および
図10は、それぞれのプランジャなしで第一のチャネル242および第二のチャネル244を含む例示的なバルブハウジング本体と、
図5〜8に関して上述されたような、チャネル242、244と様々な流体含有管(例えば、中央ビュレット管220、ポンプ供給部222、ポンプ戻り部224、カテーテル供給部226、カテーテル戻り部228)との間の接続部の様々な上面図および上面斜視図を示す。
図11は、例示的な第一のチャネル242の断面図と、カテーテル戻り部228およびポンプ戻り部224へのその接続とを示す。
【0042】
図12〜18は、システム200の一部としてのロッカーバルブアセンブリ208の別の実装形態の様々な図を示す。
図12は、ロッカーバルブアセンブリ208の外側ハウジング209およびロッカースイッチ232を含むロッカーバルブアセンブリ208の側面断面図を示す。
図12に示されるように、ロッカースイッチ232の第一の端部234は、使用者がロッカーボタンやバルブハウジングを見なくても、触れるだけで、ロッカースイッチ232の一方の端部を他方の端部と区別することができるように、表面に(使用者によって押される)リブなどのテクスチャを有する。このようにして、使用者は、内視鏡画像がバルーンの内側から伝送されていることを示すコンソールから目をはなす必要なく、ロッカースイッチ232のどちら側を押すか判断して、所望の動作を達成することができる。図示されているように、グラフィック表示もハウジング上に表わすことができる。
【0043】
図12〜
図14は、ロッカースイッチ232が「捕捉容積」状態(
図12)、「膨張」状態(
図13)、および「収縮」状態(
図14)にあるときの、ロッカーバルブアセンブリ208の内部の側面断面図を示す。
図15〜
図17は、
図12のロッカーバルブアセンブリ208の断面図を示しており、これは第一のプランジャ246の垂直軸と整列している。特に、
図15は、ロッカーバルブアセンブリ208が「捕捉容積」状態にあるときの断面図を示し、
図16は、ロッカーバルブアセンブリ208が「膨張」状態にあるときの断面図を示し、
図17は、ロッカーバルブアセンブリ208が「収縮」状態にあるときの断面図を示す。
【0044】
ロッカーバルブアセンブリ208の起こり得る故障モードは、使用者がロッカースイッチ232の第一の端部234を解除した後に、第一のプランジャ246が下方位置(すなわち、「膨張」モードに留まった)に留まったままの場合である。この失敗が起こると、バルーンカテーテルはその最大サイズまで膨張する。最大サイズは、貯蔵部内のバルーン充填媒体の量によって決まる。一つまたは複数の実施形態では、貯蔵部は流体レベルセンサを有するように構成することができ、システム200は、貯蔵部内の媒体のレベルが最小レベルに達すると容積ポンプが自動的に停止して、バルーンカテーテルのさらなる膨張を防ぐよう構成される。バルーンカテーテルの最大サイズに対するこのフェイルセーフ機構を用いても、一つまたは複数の実施形態では、第一のプランジャ246が下方(「膨張」)位置で留まることによる、継続的なバルーン膨張の可能性を制限する追加の機構が設けられる。
【0045】
特に、少なくとも一つの実施形態によれば、そして
図15〜
図17に示されるように、第一のプランジャ246を構成要素264に接続することができる。構成要素264は概して長方形であり、構成要素264の外側横方向端部は概ね中空のロッカースイッチ232の第一の端部234の側壁を貫通する。
図15〜
図17に示すような第一の端部234の側壁にある細長い穴によって、第一の端部234の側壁の貫通を容易にすることができる。細長い穴266の一つもまた、
図18に示されており、これはロッカースイッチ232の側面図および様々な流体含有管へのその接続部を示している。ロッカースイッチ232の第一の端部234の側壁の細長い穴266は、構成要素264の垂直方向の広がりよりも大きい、垂直方向の広がりを有する。
【0046】
図15に見られるように、構成要素264の幾何学的形状およびロッカースイッチ232の側壁の細長い穴266の幾何学的形状は、第一のプランジャ246が下降位置で動かなくなり、ロッカースイッチ232が「捕捉容積」モード位置で中心付けられる場合、構成要素264がロッカースイッチ232の側壁の細長い穴266の最下部に配置されるよう構成される。ロッカースイッチ232を「収縮」モードに動かすと(
図17参照)、ロッカースイッチ232の第一の端部234の側壁の細長い穴266が第一のプランジャ246に対して上方に、また構成要素264に対して上方に移動する。その結果、ロッカースイッチ232のそのような動きは、構成要素264を上方に移動させ、それと共に第一のプランジャ246を移動させる。このようにして、ロッカースイッチ232を「収縮」位置に動かすと、第一のプランジャ246が下方位置から外れ、バルーンカテーテルの収縮のための正しい位置に戻る。しかしながら、第一のプランジャ246が下方位置に固着されず、代わりにそれが上方位置に位置決めされ、ロッカースイッチ232が中心の「捕捉容積」位置にある場合、構成要素264はここで、ロッカースイッチ232の第一の端部234の側壁の細長い穴の最上部に位置決めされる(
図15参照)。ロッカーボタンを収縮位置に動かすと、構成要素264がロッカースイッチ232の動きの影響を受けないように、構成要素264に対して第一の端部234の側壁の細長い穴266が上方に移動する(
図17参照)。ロッカースイッチ232を収縮位置に移動させると、構成要素264が細長い穴266の最下部にあるように、構成要素264に対して細長い穴266を単に再配置することになる。
【0047】
一つまたは複数の実施形態では、動かなくなった第一のプランジャ246がバルーンカテーテルの連続的な膨張を引き起こさないようにする上述の機構は、バルーンアセンブリの連続的な収縮を防ぐためにバルブアセンブリ208の第二のプランジャ248上で使用することもできる。
【0048】
摺動管バルブの実施形態
図19〜
図23は、「捕捉容積」状態、「膨張」状態、および「収縮」状態を有するバルブアセンブリを同様に備えるバルーン充填媒体制御システム(システム300)の別の実施形態を示す。上記のシステム100および200と同様に、システム300のバルブアセンブリは、オペレータによってこれら三つの状態のうちの一つに配置され得る。したがって、三つの「状態」の間のシステム300内のバルーン充填媒体の循環は、以下でさらに詳細に論じるように、充填媒体がバルブアセンブリをどのように通過するかに関する点を除いて、上記実施形態に関して説明したバルーン充填媒体の循環と実質的に同じである。
【0049】
そのため、
図19〜
図23のバルブアセンブリは、バルブ108の代わりになり得、したがって
図1のバルブ108の位置に配置され得ることが理解されよう。
【0050】
図19は、バルーン充填媒体制御システム300の一部の側面斜視図を示す。上述のシステム100および200と同様に、システム300は、実質的にシステム100(
図1〜
図3)に示すように、バルーンカテーテルと、充填ポートを有するバルーン充填媒体貯蔵部と、容積ポンプと、真空リリーフバルブと、空気分離器とを含み得る。システム300はまた、ハウジング309を有する摺動管バルブアセンブリ308を含む(バルブアセンブリ308の内部を示すため、ハウジング309の対応する半分は図示されていない)。上述のように、摺動管バルブアセンブリ308は、「捕捉容積」状態、「膨張」状態、および「収縮」状態を有する。
図19に示すように、システム300はまた、ポンプ供給部322と、第一のポンプ戻り部324と、カテーテル供給部326と、カテーテル戻り部328と、第二のポンプ戻り部329とを含む多数の管を備える。管は、システム300を通して流体(例えば、バルーン充填媒体)を循環させるように構成されている。システム300は、
図20に示されるように、バルーンカテーテルと患者の体内の標的組織との間で接触が達成されたかどうかを判定するために、内視鏡と共に使用され得る少なくとも一つの照明ファイバ330をさらに含み得る。
【0051】
図19および
図20を参照すると、摺動管バルブアセンブリ308は、ハウジング309の片側または両側にハンドルを有するスライダレバー332と、摺動部材334のスライダレバー332の一方または両方の端部336に動作可能に接続されたハウジング内に配置される摺動部材(ローラ)334とを特徴とし、スライダレバー332は、「滅菌」状態、「捕捉容積」状態、「膨張」状態、および「収縮」状態の間で摺動管334を選択的に移動させるための作動機構である。例えば、
図20に示す実施形態では、スライダレバー332はトラック338に沿って移動するように構成され、それによって、摺動部材334を「滅菌」状態、「捕捉容積」状態、「膨張」状態、および「収縮」状態のそれぞれに対応するアセンブリ308内の四つの位置のうちの一つに移動させる。
【0052】
図21〜
図23は、摺動部材の四つの位置を示す摺動管バルブアセンブリ308の実施形態の内側の側面斜視図を示す。特に、
図21〜
図23に示すように、摺動部材は、位置「S」(滅菌モード)、位置「A」(収縮モード)、位置「B」(捕捉容積モード)、位置「C」(膨張モード)に、(スライダレバー332を介して)移動することができる。位置「S」は、アセンブリ308の近位端に(すなわち、ポンプ供給部322およびポンプ戻り部324および329に隣接して)配置されている。位置「A」は、位置「S」に対して遠位で、位置「B」に近接した位置にある。位置「B」は、位置「C」に近接した位置にあり、位置「C」は、アセンブリ308の遠位端部(すなわち、カテーテル供給部326とカテーテル戻り部328に隣接して)に配置される。
【0053】
図21はまた、導管(すなわち、ポンプ供給部322、第一のポンプ戻り部324、カテーテル供給部326、カテーテル戻り部328、および第二のポンプ戻り部329)と流体接続している、ハウジング309内の、バルーンカテーテルとポンプとの間で流体(例えば、バルーン充填媒体)を輸送する様々な管(管「1」、「2」、「3」および「4」)を示す。管「1」、「2」、「3」、および「4」は、シリコーンなどの可撓性材料で作ることができる。管1、2、3、および4はそれぞれ、それぞれの導管322、324、326、328の一体部分であり得ることも理解されよう。
図19および
図21に示すように、管「1」はカテーテル戻り部328から流体を受け取り、次いでその流体を第一のポンプ戻り部324および/または管「2」に移送する。言い換えれば、管「1」および「2」と第一のポンプ戻り部324は、管「1」からの流体が第一のポンプ戻り部324および/または管「2」に流れることができるように(例えば、Y字型コネクタ301(
図21)を介して)流体的に接続される。管「2」は、管「1」から流体を受け取ることができ、次いで流体を中空コネクタ空間340に移送するように構成される。管「4」は、ポンプ供給部322から流体を受け取り、次いでその流体をカテーテル供給部326に移送する。管「3」はまた、ポンプ供給部322から流体を受け取り、次いで流体を中空コネクタ空間340に移送するように構成される。言い換えれば、ポンプ供給部322は、ポンプ供給部322からの流体が管「3」および/または管「4」に流れ込むことができるように、(例えば、Y字型コネクタ303(
図21)を介して)管「3」および「4」に流体接続される。
【0054】
中空コネクタ空間340は、管「2」および「3」、ならびに第二のポンプ戻り部329と流体接続している。したがって、(管「2」および/または「3」から)流体が中空コネクタ空間340内に受け取られると、(ポンプが動作しているときに)ポンプによって生じる負圧がコネクタ空間340からポンプへの輸送のために第二のポンプ戻り部329内に流体を引き込む。
【0055】
続けて
図21を参照すると、アセンブリ308はさらに、管とハウジング309の一方の側との間に位置する表面342を含む。表面は、様々な長さを有し、それぞれが管のうちの一つに沿って延在して当接する四つの隆起部分344、346、348、および350を含む。一つまたは複数の代替実施形態では、表面340を四つの表面と置き換えることができ、各表面は隆起部分344〜350の一つからなる。
【0056】
したがって、隆起部分344〜350は、互いに平行であり、且つ、ハウジングの側壁に沿って積み重ねられた配置であるレールであると考えることができる。レールの隆起部分は、図示のように互いにずれている。
【0057】
図21に示すように、隆起部分344は位置「C」で管「1」に当接する。隆起部分346は隆起部分344よりも長く、位置「A」および「B」に沿って管「2」に当接する。隆起部分348は隆起部分346とほぼ同じ長さであり、位置「B」および「C」に沿って管「3」に当接する。隆起部分350は隆起部分344とほぼ同じ長さであり、位置「A」でのみ管「4」に当接する。隆起部分344〜350のいずれも、位置「S」に沿って配置されない。以下により詳細に論じるように、摺動部材334が位置「S」、「A」、「B」、および「C」の間を移動するにつれて、アセンブリの管を通る液体(例えば、バルーン充填媒体)の流れは変化する。
【0058】
滅菌モード
摺動部材334がその最も近位の位置(すなわち、ポンプ供給部322とポンプ戻り部324に最も近位な位置)にあるとき、摺動部材334が位置「S」または「殺菌モード」にある。殺菌モードでは、すべての管(管「1〜4」)は、滅菌流体(例えば、気体または液体)がすべての管および導管(324〜329)を自由に通過して使用の間にシステムを滅菌することができるよう、開いている。
図22および
図23は、位置「S」にある摺動部材334を示し、この位置では管「1〜4」は開いたままである。
図22は、滅菌モードのアセンブリ308を示すが、隆起部分348および350を完全に示すために、第二のポンプ戻り部329および照明ファイバ330は示されていない。
図23は、第二のポンプ戻り部329および照明ファイバ330を示す滅菌モードのアセンブリ308を示し、第二のポンプ戻り部329および照明ファイバ330は、隆起部分348および350を見えなくしている。
図21では、摺動部材(ローラ)334(図示せず)は隆起部分344〜350のいずれにも隣接して位置付けられていないので、すべての導管は開いている。
【0059】
収縮モード
続けて
図21および
図22を参照すると、摺動部材334がその第二の最も近位の位置にあるとき、摺動部材334は位置「A」または「収縮モード」にある。収縮モードでは、管「2」は摺動部材334と隆起部分346との間に挟まれ、管「4」は、摺動部材334と隆起部分350との間に挟まれる。そのため、収縮モードでは、管「2」および「4」が位置「A」で挟まれて閉じられるため、流体がこれらの管を通って流れるのが防止される。
図21は、位置「A」(収縮モード)で管「2」および「4」が挟まれる適切な位置(「x」)を示す。
【0060】
上述したシステム100および200と同様に、システム300が収縮モードにあるとき、流体はバルーンカテーテルから除去され、バルーンカテーテルが収縮し始めるように、実質的に流体はバルーンカテーテルに移送されない。したがって、システム300の収縮モードでは、カテーテル戻り部328からの(カテーテルから来る)流体は、管「1」に流れ込み、続いてポンプ(および/またはバルーン充填媒体貯蔵部)に輸送するためにポンプ戻り部324に流れる。管「2」は収縮モードで挟まれているので、管「1」内の流体は管「2」に入らない。ポンプ供給部322からの(ポンプおよび/または貯蔵部から来る)流体は、管「3」に流れ、それによってコネクタスペース340内に流れ込む。ポンプによって生成された負圧のため、コネクタスペース340内の流体は、ポンプおよび/または貯蔵部へ戻るために、コネクタスペース340から第二のポンプ戻り部329内に引き込まれる。管「4」は収縮モードで挟まれるので、ポンプ供給部322からの流体は管「4」に流れ込まず、したがってカテーテルへの移送のため、流体がカテーテル供給部326に移送されることはない。
【0061】
捕捉容積モード
摺動部材334がその第二の最も遠位の位置にあるとき、摺動部材334は位置「B」または「捕捉容積モード」にある。捕捉容積モードでは、管「2」が摺動部材334と隆起部分346との間に挟まれ、管「3」が摺動部材334と隆起部分348との間に挟まれている。そのため、捕捉容積モードでは、管「2」および「3」が位置「B」で挟まれて閉じられるため、流体がこれらの管を通って流れるのが防止される。
図21は、位置「B」(捕捉容積モード)で管「2」および「3」が挟まれる適切な位置(「x」)を示す。
【0062】
システム300が捕捉容積モードにあるとき、ポンプとバルーンカテーテルとの間を既に循環している流体の容積は、バルーンカテーテルが作動中に膨張したまま留まり、過熱しないように、ポンプとバルーンカテーテルとの間の閉ループ内に「捕捉」される。したがって、システム300の捕捉容積モードでは、カテーテル戻り部328からの(カテーテルから来る)流体は管「1」に流れ込み、続いてポンプに輸送されるようポンプ戻り部324に流れ込む。管「2」は捕捉容積モードで挟まれているので、管「1」内の流体は管「2」に入らない。ポンプ供給部322からの(ポンプから来る)流体は、管「4」に流れ、それによってカテーテルに移送するために、カテーテル供給部326内に流れ込む。管「3」は捕捉容積モードで挟まれているので、ポンプ供給部322からの流体は管「3」に流れ込まず、したがって流体は第二のポンプ戻り部329に移送されない。
【0063】
膨張モード
摺動部材334がその最も遠位の位置(すなわち、ポンプ供給部322およびポンプ戻り部324に対して最も遠位の位置)にあるとき、摺動部材334は位置「C」または「膨張モード」にある。膨張モードでは、管「1」は、摺動部材334と隆起部分344との間に挟まれ、管「3」は摺動部材334と隆起部分348との間に挟まれている。そのため、膨張モードでは、管「1」および「3」が位置「C」で挟まれて閉じられるため、流体がこれらの管を通って流れるのが防止される。
図21は、位置「C」(膨張モード)で管「1」および「2」が挟まれる適切な位置(「x」)を示す。
【0064】
システム300が膨張モードにあり、バルーンカテーテル内に連続的に送り込まれるが、流体がバルーンからシステムの他の部分へと流れるのを実質的に防止され、それによってバルーンカテーテルのサイズが増大する。したがって、システム300の膨張モードでは、管「1」が位置「C」で挟まれているので、カテーテル戻り部328からの(カテーテルから来る)流体が管「1」に流れ込むのが防止される。したがって、流体がポンプ戻り部324または管「2」に流れ込むのが防止される。ポンプ供給部322からの(ポンプおよび/または貯蔵部から来る)流体は、バルーンカテーテルに輸送されてバルーンを膨張させるため、管「4」に流れ込み、次いでカテーテル供給部326に流れ込む。管「3」は位置「C」において膨張モードで挟まれているので、ポンプ供給部322からの流体は管「3」を通ってコネクタスペース340に流れない。さらに、流体は管「2」内に受容されないので、実質的に流体はコネクタスペース340に受容されない。したがって、実質的に流体は、第二のポンプ戻り部329に移送されない。
【0065】
バルーン冷却システム
一つまたは複数の実施形態では、本出願は、単一ヘッド蠕動ポンプを利用して流体を循環させるとともにビュレット(バルーン充填媒体貯蔵部)内に負圧を生じさせる冷却システムを開示する。
図24は、蠕動真空アシストオプションを備えたビュレット(貯蔵部)1000の例示的構成を示す。この構成では、管1008はビュレット(貯蔵部)1000内の流体と連通しており、
図25はシステムの冷却液体部分をより詳細に示している。
【0066】
図24に示す真空システムは、ポンプ1010が時計方向(直接)に回転するときに管1007内に(大気圧に対して)負圧が生じるように、管1007に接続された蠕動ポンプ1010(シリコーン管)から成る。チェックバルブ1001は、ポンプが反時計方向(逆方向)に回転するときにビュレット内に圧力が蓄積するのを防ぐのを助け、またビュレット1000内の圧力の波動を防ぐのを助ける。エアフィルタ1006は、空気中の生体汚染物質がビュレットの無菌環境に入るのを防ぐのを助ける。穴1009はビュレットの内部区画間の流体連通に必要である。バルーン収縮段階にはチェックバルブ1004およびエアフィルタ1005が必要である。この段階で、液体はビュレットに戻り、ヘッドスペースの空気を圧縮する。これが起こると、バルブ1004が開き、空気がビュレットから出ることを可能にする。エアフィルタ1005は、生物汚染物質がビュレット1000に入るのを防ぐ。ビュレット環境と外部大気との間の圧力差がバルブのチェック圧力を高めるとき、バルブ1002は、(ビュレットの汚染を避けるためにエアフィルタ1003を通して)大気がビュレットに入ることを可能にする。これは、ポンプ1010の回転速度にかかわらず、ビュレット1000内の圧力を一定レベルに維持するのに役立つ。このシステムは、バルーンを冷却し、ゲージ圧でバルーン圧力をゼロまで維持するのを助け、それにより、非常に柔らかい材料でできたバルーンを使用することが可能になる。
【0067】
図25は、ビュレット1000がいわゆる通常モードで動作しているカテーテルBのフロー図を示しており、バルーン圧力は、蠕動ポンプP1−P2の回転速度に基づいて変化させることができる(二つの蠕動管による同じ駆動)。通常モードでは、バルブ2が閉じられ、バルブ1および3が開かれて、カテーテル内の流体がビュレット内の流体と連通する(膨張/収縮)ことを可能にする。システムが定容量モードで動作できるようにするために、追加のバルブを追加することができる。
図25に示す通常モードでの液体の流れは矢印で示されている。
【0068】
図26は、ビュレット1000がいわゆる捕捉容積モードで動作しているカテーテルBのフロー図を示す。液体の流れは矢印で示されている。捕捉容積モードでは、バルブ1および3は閉じられ、バルブ2は開かれて冷却液を一定の容積にし、ポンプの回転速度がバルーンの圧力に影響しないときには、最初にバルーンをこの寸法に膨張させて一定の容積モードに切り替えることによってバルーンを所望の寸法に保つのを助ける。やはり、
図26に例示されるように、一つまたは複数の実施形態では、一つまたは複数の追加のバルブまたはポンプをシステムに組み込むことができることを理解されたい。
【0069】
一つまたは複数の実施形態では、ビュレットを有するカテーテルは、膨張モード、収縮モード、および滅菌モードなどの他のモードで動作させることができる。膨張モードでは、バルブ1および2が閉じられ、バルブ3が開かれて、流体をビュレットから送達し、バルーンを膨張させるためにバルーン内に送り込むことを可能にする。逆に、収縮モードでは、バルブ1および2は開いており、バルブ3は閉じているので、流体はバルーンから引き出されてビュレットに戻される。最後に、滅菌モードでは、バルブ1、2、および3はすべて部分的に開いており、それによって流体(この場合は滅菌流体)をシステム全体に循環させることができる。
【0070】
一つまたは複数の実施形態では、バルブ1〜3を単一のブロックに組み合わせて、異なる動作モードの間で切り替えることができる単一のレバーで動作させることができる。バルブ設計は、多数の様々な作動機構を使用することができる。好ましい構成では、バルブは挟まれた管に基づいているが、他の構成では、それはトランペットバルブまたは活栓型バルブであってもよい。
【0071】
モード切換バルブ
以下の段落では、モード切換バルブの例示的な構成について説明し、それは、
図25および
図26に示されるバルブと同様に機能する。
図27は、本開示に記載された機構400の四つのバルブのうちの一つの主要部を示す。管408は、
図26に示されるものと同様の、いくつかの配管ネットワークに接続することができる他の配管部品(コネクタ412など)にとげ付きコネクタ410を介して接続される可撓性(好ましくはシリコーンゴム)管のセグメントである。管はボール404を有する壁を含むエンクロージャ414内に配置される。
図27は、ボール404が管408の上方に位置しているときに開位置にあるこのバルブを示している。スライダ406は正しい位置にあり、スライダはバルブの数に対応するいくつかのリニアカムを有する(この特定のバルブはカム402を有する)。各カムは、最大変位はバルブが完全に閉じていることに対応し、最小変位が開いているバルブに対応するとき、スライダ406の位置がバルブの状態を判定する変位図によって特徴付けることができる。
【0072】
図28は、閉位置にある同じバルブを有するモード切換ピンチバルブの別の図を示す。この図では、スライダ406は中央位置にある。この位置では、カム402が管408を圧縮してこの特定のバルブの閉鎖状態を作り出すとき、カム402はボール404をエンクロージャ414内の壁内にその最も低い位置まで押す。各リニアカムは、モード切換バルブの所望のアルゴリズムに対応するそれ自体の変位図を有することができる。
【0073】
図29は、四つの異なるバルブに対応する四つの管を有するバルブの他の断面図を示す。カム424が管428に対してボール426を押して、それを完全に閉じるが、カム430はボール432が部分的に管434を挟むがバルブが開いたまま留まる移行状態にある、様々な状態で管434および428が示される。スライダ406は、エンクロージャ414の側面で、ロッド416および機構418と共に線形摺動を形成する機構420を有する。この例では、ロッド416が機構420の穴に押し込まれ、スライダがエンクロージャ414に対して動くと、ロッド416は機構418の対応する穴に対して摺動する。この構成のばね422は、スライダの中心位置をデフォルト位置にして、スライダがいずれかの方向に動かされて解放されると、スライダが中心位置に戻るようにする。他の構成は、スライダが解放された後にスライダを所望の位置に維持する特別なロック機構を提供することができる。
【0074】
図30はモード切換バルブをより詳細に示している。バルブ構成は、様々な状態を有する様々な数のバルブを有することができる。ネットワーク内でバルブを組み合わせることで、各バルブを個別に操作する必要なく、一部のバルブを閉じ、その他のバルブを同時に開くという様々な構成(状態)の実装に役立ち得る。
【0075】
図31〜
図33は、一つまたは複数の実施形態による本出願のバルーン充填媒体制御システム1100の概略図を示す。システム1100はシステム100と非常に類似しており、したがって、同様の要素には同様の番号が付けられている。システム1100では、主な違いは、真空リリーフバルブ112が空気分離器114(フィルタ)の下流にある異なる位置に配置されていることである。より具体的には、真空リリーフバルブ112は、空気分離器114の下流に配置されている。
図31〜
図33に示すリリーフバルブ112は、容積ポンプ110によって発生し得る差圧を制限する。一つまたは複数の実施形態では、リリーフバルブ112は、圧力限界が約5から20PSIの間、好ましくは7から12PSIの間になるように構成される。ポンプ110の差圧を制限することは多くの目的に役立つ。第一に、使用者(オペレータ)が膨張−収縮バルブ108を誤って連続的に「膨張」モードに維持したとしても、ポンプ110によって発生する圧力を制限することによってバルーン102内に過度の圧力が発生するのを防止する。ポンプ差圧を制限することの別の利点は、そうすることによって、空気分離器114の下部チャンバ内の圧力が、バルーン充填媒体が疎水性膜116を強制的に通過し得る圧力を超えるのを防ぐことである。ポンプ110が発生させ得る差圧を制限するための別の理由は、バルーン102が完全に収縮したときにポンプ110によって作り出される真空のレベルを制限することである。バルーン充填媒体に適用される真空が多すぎると、バルーン充填媒体に溶解したガスが溶液から引き出されて、気泡がバルーンカテーテル102に入ることがあり得るので、真空量を制限することは重要である。
【0076】
前述のように、膨張バルブ108は、三つの状態を有し、使用者によって三つの状態のうちの一つに配置されるバルブシステムである。使用者がバルブ108に触れていないとき、バルブ108は、図示されているような戻しばねまたは他のそのような機構の作用によって、
図31に示されている状態を自動的にとる。この状態で、バルーン充填媒体(好ましくは水と同様の表面張力を有する液体)は、バルーンポンプ110によってバルーンカテーテル102を通って循環する。バルーン充填媒体を循環させることにより、カテーテル102を介して組織内にエネルギーを送達する間、バルーンおよびカテーテルの全ての部分を冷たく保つ。
図31に示す状態では、バルーン充填媒体をバルーンの内外に循環させて、所望の冷却機能を実行するのを可能にしつつ、バルーンがバルーン内で一定の容積で膨張状態を維持するように、システム内に含まれるバルーン充填媒体の容積は一定である。
【0077】
空気分離器114は、ハウジング内に支持され、ハウジングを上部チャンバと下部チャンバとに分割する多孔質の疎水性膜から成る。バルーン充填媒体と気泡の混合物が下部チャンバに入ると(このような混合物は、バルーン充填媒体が最初に乾燥システムに導入されたときに打ち消される可能性が高い)、気泡は下部チャンバの上部に上昇して、ポンプ110によって生成された下部チャンバ内の圧力によって、多孔質疎水性フィルタを通って強制的に上部チャンバ内に入る。上部チャンバに入ると、空気は上部チャンバの通気孔を通って大気に出る。膜の疎水性の性質は、バルーン充填媒体を膜の孔に進入させるためにポンプ110の動作圧力を十分に上回る圧力を必要とするので、バルーン充填媒体は多孔質疎水性膜を通過することができない。
図31に示すように構成されたシステムでは、カテーテル102の初期設定中に空気が流路から容易に除去される。
【0078】
バルーンカテーテル102およびバルーン充填媒体制御システムは乾燥状態で使用者に供給される。使用者は、最初に、貯蔵部104に接続された充填口を通してバルーン充填媒体貯蔵部104を充填する。充填ポートは、バルーン充填媒体がバルーン充填媒体貯蔵部104に導入されるときに滅菌されたままであるという追加の保証として役立つ活栓および滅菌フィルタを備えることが好ましい。貯蔵バイアルから貯蔵部104へのバルーン充填媒体の移送は、通常、シリンジ109を用いて行われる。説明を簡単にするために、充填口は
図32および
図33から除外されていることが理解されよう。
【0079】
好ましい実施形態では、容積ポンプ110は蠕動ポンプとすることができ、ローラポンプとも呼ぶことができる。そのようなポンプ110は、耐久性のあるポンプヘッド内に設置された、ある長さの使い捨て弾性管から成る。耐久性のあるポンプヘッドは、カテーテル102に適切な切除エネルギーを供給するとともに、例えば切除カテーテル102を、内在する内視鏡からの内視鏡画像を表示するなどの他の機能を実行するために使用される、耐久性システムの一部であることが好ましい。シリコーンゴム管などの使い捨て弾性管はさらに、使い捨てバルーンカテーテルおよびバルーン充填媒体制御システムの一部とすることができる。
【0080】
使用者が膨張/収縮バルブ108を
図32に示す位置に配置すると、流体がバルーン充填媒体貯蔵部から引き出され、次にバルーン内にポンプで送り込まれてバルーンのサイズが増大する。このようにして、バルーンは、切除されるべき解剖学的構造に最もよく一致するように、ある範囲の連続的に可変のサイズまで充填され得る。使用者がバルブの作動機構から手を離すと、バルブは
図31に示す状態に戻り、バルーンが膨張したバルーンサイズは、システムの捕捉容積モードによって維持される。
【0081】
図33に示すように、使用者が膨張/収縮バルブ108を配置すると、流体がバルーンから引き出され、バルーン充填媒体貯蔵部内に送り込まれてバルーンのサイズが縮小する。このようにして、バルーンは、切除されるべき解剖学的構造に最もよく一致するように、連続的に可変の範囲のサイズを通してサイズを縮小することができる。使用者が自分の手をバルブの作動機構から離すと、バルブは
図31に示す状態に戻り、バルーンが膨張したバルーンサイズが、システムの捕捉容積モードによって維持される。あるいは、使用者はバルーン102を完全に収縮させるために
図33に示す位置にバルブを保持することができる。これは、完全に収縮したバルーンを患者の体内に導入することができるようにするため、処置の開始時に、そして患者からバルーン切除カテーテルを除去するため、処置の終了時に、行われる。
【0082】
ビュレットマニホールド
図34および
図35は、本発明の一実施形態による、そして本明細書に開示されるシステムと共に使用するためのビュレットマニホールド1200を示す。ビュレットマニホールド1200は、液体を受容し、保持するためのビュレットチャンバ(貯蔵部)を含むだけでなく、他の実施形態に関して上述したように機能する空気分離器も組み込む。
【0083】
想像できるように、ビュレットマニホールド1200は、流体がマニホールド1200の様々な構成要素に送達され、そこから送られることを可能にする配管(導管)を含む。
図34は、ビュレットマニホールド1200の右側斜視図である。
図35は、
図34の円Aに沿った拡大図である。
図36は、その左側斜視図である。
図37は、
図36の円Bに沿った拡大図である。
図38はその分解斜視図である。
【0084】
ビュレットマニホールド1200は、多数のサブアセンブリを含むと考えることができる。特に、ビュレットマニホールド1200は、ビュレットサブアセンブリ1210を含むと考えることができる。ビュレットサブアセンブリ1210は、開いた上端部1213と閉じた下端部1213とを有する細長いビュレット管1212を含む。ビュレット管1212は、バルーン充填媒体を保持することを意図している。ビュレット管1212は、上部液面レベルインジケータおよび下部液面レベルインジケータを含む多数のマーキングを含むことができる。ビュレットサブアセンブリ1210は、開口上端部1213と嵌合し、ビュレット管1212の中空内部への連通を提供する、トップキャップ1214をさらに含む。第一の管1220が設けられており、トップキャップ1214を通って導かれている。第一の管1220は屈曲構造(例えば、L字型)を有することができる。トップキャップカバー1215がトップキャップ1214の開いた頂部を覆っており、ビュレット管1212内の空気を逃がすために撥水エアフィルタ1217を設けることができる。
【0085】
第1の管1220は、第1のコネクタ1223(例えば、ダブルバーブフィッティング)によって第2の管1222に接続することができ、第1のリテーナチューブ移行部材1225は、第1のコネクタ1223と第2のコネクタ1222の第1の端に周りを囲むように結合できる。第二の管1222の反対側の第二の端部には、第二のコネクタ1226(例えば、ダブルバーブフィッティング)および第二の保持管移行部材1227が設けられている。
【0086】
ビュレットマニホールド1200はまた、空気分離器またはエアフィルタサブアセンブリ1230を含む。サブアセンブリ1230は、上部マニホールド1240および下部マニホールド1250を含む。上部マニホールド1240は、ビュレット管1212の底部が静止することができる上面を有する。上部マニホールド1240は中空構造であり、したがって上部(第一)流体チャンバを画定する。
図37に最もよく示されているように、上部マニホールド1240は、第一の流体ポート1241といった、この場合は戻り管接続部である、複数の流体ポートと、上部マニホールド1240の同一側に沿って形成される、第二の流体ポート1243とを含む。反対側などの他の側では、上側マニホールド1240は、充填接続部である第三のポート1245を含む(
図35)。これらの流体ポートは、流体が上部マニホールド1240の中空内部に送達されることを可能にする。
【0087】
フィルタサブアセンブリ1230はまた、本明細書に記載のものと同一または類似のフィルタ膜を含む。フィルタハウジング1232は、フィルタ膜1234(例えば、疎水性膜(PTFE))を受容するようにサイズ設定および構成されている。フィルタ膜1234は、任意の数の異なる形状およびサイズを有することができる。
【0088】
下部マニホールド1250は、上部マニホールド1240と嵌合するように構成され、フィルタ膜1234の下に配置されたOリング1251を受容する上部分を含む。下部マニホールド1230はまた、流体を受容して、保持することができる中空構造である。下部マニホールド1230は、チェックバルブ1237(チェックバルブカートリッジ)を受容するチェックバルブケーシング(ハウジング)1235を含む。
図37に示されるように、下部マニホールド1230はまた、下部マニホールド1230の一方の側部に沿って形成された供給管接続部の形態であり得る、第四のポート1237を含む。下部マニホールド1230の反対側に沿って、第五のポート1239がある。
【0089】
第三の管1260は、第五のポート1239に取り付けられ、その反対側の第二の端部で第二のコネクタ1226に取り付けられ、したがって第二の管1222に取り付けられる、第一の端部を有する。このようにして、下部マニホールド1230はビュレット管の内部に連結されている。第四のポート1237には供給管1270が取り付けられている。
【0090】
第四の管1280は、その第一の端部で第三のポート1245に取り付けられ(充填接続)、その反対側の第二の端部でバルブアセンブリ1290に取り付けられている。バルブアセンブリ1290は、コネクタ1294(雌型ルアーコネクタなど)に取り付けられた第一のポートと第二のポートとを有する活栓バルブ本体1292を備える活栓バルブアセンブリの形態であり得る。シリンジフィルタ1295を活栓バルブ本体1292の第二のポートに連結することができる。雄型ルアーベントキャップ1299をシリンジフィルタ1295のポートに連結することができる。
【0091】
バルーンの、組織との接触の物理特性
図39は、肺静脈口との接触したコンプライアントバルーン3900を示す。カテーテルの遠位端にあるバルーン3900を肺静脈口に向かって動かすために、カテーテル3905を操作する医師によってよって軸方向力Fが加えられる。バルーン3900は心房および肺静脈組織と接触し、大きさAの接触領域が形成される。バルーン3900が組織に接触するところには、接触圧力P
Cがある。バルーン膜が薄く柔軟である場合、バルーン材料自体が組織に無視できる程度の機械的力を与える。その結果、接触圧力PcはバルーンP
bを膨張させるのに使用される圧力に本質的に等しい
。平衡状態では、軸方向力Fはz方向の接触領域Aの突出部にバルーン圧力P
bを掛けたものに等しい。円錐半角で示されるような略円錐形の先細りバルーン形状の場合、接触面積は次の式で与えられる:
A=F/P
BSinθ 式1
【0092】
上記の式からは、低いバルーン圧力を操作することが、組織とバルーンとの接触面積を増大させることが望ましいことが分かる。カテーテルシャフトにどれだけの力Fを加えることができるかには実際的な制限がある。その力は心房組織を損傷するような力を超えてはならない。バルーンθのテーパ角度には実質的な制限もある。バルーンは様々なサイズの肺静脈と接合しなければならないので、バルーンはより小さい静脈に入ることができるように小さい直径の遠位端を有することが望ましいが、バルーンが大静脈に深く入り込み過ぎるのを防ぐために大きい最大直径をも有しなくてはならない。小さすぎるθ値が選択された場合、バルーンの遠位端と最大直径との間の差は、バルーンが最大範囲の静脈サイズと適切に接合することを可能にするには小さすぎるであろう。
【0093】
バルーンに関する発明の詳細
従来技術のバルーンは、90ショアAのデュロメータを有するウレタンのようなエラストマー材料で作られていた。使用時には、これらのバルーンは2〜5PSIの圧力まで膨張される。バルーンの最大直径を調整して、バルーンの先細り形状によって提供されるよりもさらに広い範囲の肺静脈サイズと適合するバルーンサイズを作り出すために、その圧力範囲が使用される。使用時に、先行技術のバルーンは、25mmから35mmの範囲の最大直径を達成するために、記載された圧力範囲を超えて膨張される。
【0094】
本発明のバルーンは、80ショアAから50ショアAまでの範囲のデュロメータでウレタン、シリコーンゴム、またはポリイソプレン材料を使用する。使用時には、これらのバルーン100は0.2PSIから1PSIの圧力まで膨張されることになる。これらのはるかに低い圧力は、上述のようにより大きい接触面積を達成することを可能にする。より低い材料デュロメータは、バルーンとのより大きな組織接触を達成するために望ましい0.2PSI〜1PSIの低いバルーン圧力をなお維持しながら、バルーンを25mm〜35mmの同じ範囲の直径まで膨張させることを可能にする。
【0095】
図40は、一つの先行技術のバルーン形状を示す。上記の材料で実装されたこの形状のバルーンは本発明の目的を達成するであろう。さらに、複合テーパを示す、
図41に示されるような形状は、典型的な肺静脈口とのさらに大きな接触を達成することが分かった。従来技術のバルーンは、25度から40度の範囲のテーパを有する。本発明の複合テーパは15度から25度の遠位テーパ
1および30度から55度の近位テーパ
2を有する。θ図示のように、近位テーパ領域と遠位テーパ領域とが滑らかできれいな形状で徐々に融合することが望ましい。
【0096】
流体管理システムに関する発明の詳細
本明細書に記載のバルーンカテーテル3905のバルーン3900は、透明な非圧縮性流体で膨張している。酸化重水素は、一般的に使用されている980nmのレーザーエネルギーに対して非常に透明であるため、最適な流体である。しかしながら、水、食塩水、さらには圧縮性流体さえも代わりに使用することができる。膨張媒体はバルーンを膨張させるのに役立ち、エネルギー供給中にバルーンおよび他のカテーテル構成要素が過度に熱くなるのを防ぐためにバルーンおよびカテーテルを通って連続的に循環する。
【0097】
図42は、所望のバルーン膨張圧力が2〜5PSIの範囲であるときに使用される例示的な従来技術の流体管理システムを示す。このシステムでは、貯蔵部4202は、ある容積の膨張媒体4204を収容する。蠕動ポンプなどの容積ポンプ4206を使用して、バルーンカテーテル4208を通して膨張媒体4204を循環させる。膨張媒体4204は、貯蔵部4202の底部からポンプ4206に供給される。ポンプ4206を通過した後、膨張媒体4204はある長さの管を通過し、マルチ腔バルーンカテーテル4208の供給腔4210に入る。供給管腔4210は、膨張媒体4204がバルーン4212に入ることを可能にする、バルーン4212の内側の開口部で終わる。膨張媒体4204はバルーン4212を満たし、バルーン4212を通って循環し、そしてマルチ腔バルーンカテーテル4208の第二の腔4214を通ってバルーン4212を出る。ここから、流体は第二の管を介して貯蔵部4202に戻る。
【0098】
このシステムでは、バルーン圧力は、容積ポンプ4206の速度を変えることによって調節される。所与のポンプ速度圧力に対して、バルーン4212は平衡に達するまで増加することになり、バルーン4212内の圧力は、マルチ腔カテーテル内の第二の(戻り)腔4214と、容積ポンプ4206の流速と一致する貯蔵部4202に戻る配管とを通って貯蔵部4202に戻る戻り流速を生成するのに十分である。一般に、流速および腔サイズは、酸化重水素または水が膨張媒体4204として使用されるときに、層流が流路内に存在するようなものである。層流方式は、バルーン圧力が容積ポンプ4206からの流速に正比例するという条件を作り出す。
【0099】
バルーン4212を収縮させるためには、容積ポンプ4206を逆に流す。バルーン収縮中に空気がバルーン4212に入るのを防ぐためにチェックバルブ4216が設けられている。また、膨張媒体4204を貯蔵部4202から引き出し、それを貯蔵部4202に戻すために別々の経路が使用されることにも留意されたい。このようにして、膨張媒体4204が新しいドライカテーテル4208に導入される初期段階の間に、バルーン4212または流体経路内の空気がシステムから排出される。カテーテル流体通路内の空気は、膨張媒体4204と共に貯蔵部4202に戻り、図に示される戻り管を出るときに消散して、膨張媒体4204の液滴を貯蔵部4202に戻す。
【0100】
従来技術の流体管理システムは、所望のバルーン膨張圧力がわずか0.2PSIから1PSIである本発明での使用には適していない。従来技術のシステムでこれらの低い圧力を達成するためには、流速は、バルーンおよびカテーテル構成要素を十分に冷却するためにはもはや十分ではない低い流速に減少されなければならない。さらに、バルーン圧とバルーンカテーテルへの軸方向力とは
図39および式1に示すように関係しているので、処置中に不可避的に生じるような軸方向力を一時的に増加させることによってバルーン圧力を一時的に増加させることができる。このような一時的な増加の原因は数多くあり、患者の呼吸、カテーテルにかかる力の医師による調整および医師の疲労を含む。この一時的な増加は膨張媒体の流出を増加させ、バルーンをわずかに収縮させる。2PSI〜5PSIのバルーン圧力の場合、バルーン圧力およびバルーン膨張のこれらの一時的な変化は有意でも顕著でもないが、0.2PSIから1PSIのかなり低い圧力では効果は十分大きく、バルーンは、バルーンにしわが現れるほど、且つ、肺静脈口のバルーン位置が変化するほど十分収縮する。これらの条件は両方とも望ましくない。本出願の以下のシステムは、以下に記載されるようにこれらの問題を解決する。
【0101】
図43は、上で詳述された問題を回避する本発明の少なくとも一つの実施による流体管理システム4300を示す。システム4300は、
図42に示されているいくつかの構成要素を含み、したがって、同様の要素は同様に番号付けされている。
【0102】
このシステム4300では、切換バルブ4305が
図42の従来技術のシステムに追加されている。切換バルブ4305は、二位置バルブである。
図43に示す位置にあるとき、切換バルブ4305はシステム4300が
図42の従来技術のシステムと同様に機能することを可能にする。バルーン4212は、容積ポンプ4206の速度を調整することによって所与の圧力まで膨張させることができる。収縮はポンプ4206を逆にすることによって達成され、空気除去は先行技術のシステムと同じ方法で行われる。バルーン4212が、内視鏡画像を観察することによって、または貯蔵部内の膨張媒体のレベルの変化を観察することによって(または患者に存在するバルーンの蛍光透視画像もしくは心エコー画像を観察することなどの他の手段によって)決定されるような、所望の圧力まで膨張すると、切換バルブ4305は
図44に示す位置に再配置される。
【0103】
図44のこの構成では、カテーテル4208およびバルーン4212を満たす膨張媒体4204は、閉ループ式にカテーテル4208を通って再循環する。このモードでは、特定量の膨張媒体4204がバルーンカテーテル4208および関連する管内に「捕捉」されている。したがって、バルーン4212を満たす膨張媒体4204の容積は、ポンプ速度が変化した場合、またはカテーテル4208に対する軸方向の力が一時的に変化した場合は変化しない。このモードにある間、ポンプ速度は所望のレベルの冷却を達成するのに必要な速度まで増加させることができ、これはバルーン圧力またはサイズに影響を及ぼさないであろう。
図42(膨張/収縮/パージモード)に示されるように動作するシステム4300での実際の動作において、0.2PSIから1PSIのバルーン膨張圧力が、2ml/分から10ml/分のポンプ流量で達成されることになる。要求される冷却レベルを達成するのに必要な最小流速は、10ml/分である。レーザーエネルギー送達中にこのレベルの流れを達成するために、最初にバルーン4212を所望の圧力または容積まで膨張させ、次いで捕捉容積モードに入り、次いでポンプ速度を少なくとも10ml/分に上げる。
【0104】
システム4300が捕捉容積モードにあるとき、容積ポンプ4206はポンプ吸入口で大気圧より低い圧力を作り出すことができることは注目に値する(これは
図43および44に示されるようにポンプの左側である)。一般に、容積ポンプ4206が速く作動するほど、ポンプの吸入側の圧力は低くなる。ポンプ速度は、膨張媒体の蒸気圧より低い吸気圧を生み出すか、またはその圧力が膨張媒体に溶解したガスを溶液から出して気泡ガスを形成させるほど低い圧力を生み出す速度を超えて増加させてはならない。ポンプの吸気圧を大気圧より5PSI以上低く制限すると、溶存ガスのガス放出や膨張媒体の気化を防ぐことができるだろう。50ml/分以下のポンプ速度は、吸気真空度に対する所望の限界を達成することになる。この流量は、カテーテルを適切に冷却するのに十分すぎるほど大きい。
【0105】
図45は、バルーン膨張媒体管理システム4500のさらなる方法を示す。ここでは、切換バルブ4305が第二の容積ポンプ4506に置き換えられている。このシステム4500では、膨張媒体管理システム4500のすべての必要な機能は、第一および第二の容積ポンプ4206、4506の速度および方向の制御によって達成される。バルーン4212を最初に膨張させるために、第一のポンプ4206は
図45に示す方向に動く。システム4500から空気をパージするために、バルーン4212が最初に膨張した後、第一のポンプ4206と第二のポンプ4506の両方が同じ速度で作動する。バルーンのサイズを大きくするために、第一のポンプ4206は、短時間で第二のポンプ4506よりも速く運転される。バルーンのサイズを小さくするために、第二のポンプ4506は、短時間で第一のポンプ4206よりも速く運転される。任意の所望のバルーンサイズが達成されると、バルーンサイズを任意の所望の流速に維持するために、第一および第二のポンプ4206、4506を同じ速度で運転することができる。このモードは、
図43および
図44のシステムについて上述した「捕捉容積モード」と同一である。バルーン4212を急速に収縮させるために、第一および第二のポンプ4206、4506は、
図45に示されているものとは逆方向に運転される。理想的には、二つのポンプ4206、4506は制御システムに接続されているので、二つのポンプ4206、4506の協調動作は、バルーン膨張、パージ、サイズ増加、サイズ減少、一定のバルーンサイズおよび収縮での切除中の冷却のために必要なポンプ動作を作り出す制御ボタンに触れることによって達成される。
【0106】
図46は、
図43および
図44に示すシステムと同様の動作をする別のシステム4600を示し、したがって、同じ要素には同じ番号が使用されている。
図46のシステム4600では、切換バルブが二つの三方バルブ、すなわち第一の三方バルブ4601と第二の三方バルブ4602とに置き換えられている。そのようなバルブは、三つの異なる流路のための接続部を有し、バルブ4601、4602の位置に応じて、任意の二つの流路が行き止まりの第三の流路と相互接続されることを可能にする。さらに、第三の二方バルブ4603(または開閉バルブ)が追加されており、その機能については後述する。
【0107】
図46は、システム4600が膨張/収縮/パージモードになるように配置されたバルブ4601、4602、4603を有するシステム4600を示す。示されるシステムは、
図42に示されるシステムと同じように動作することになる。バルーンの膨張の程度はポンプ速度によって決定される。ポンプを逆に動かすと、バルーン4212が収縮することになる。ポンプが順方向に動作していると、システムから空気が簡単に排出される。三方バルブ4601、4602の位置を
図47に示す位置に変更すると、
図44に示すシステム4300と同一の動作でシステム4600を捕捉容積モードに切り替える。ここでは、バルーンの膨張状態はポンプ速度とは無関係であり、カテーテル4208への軸方向力の一時的な変化はバルーン4212の膨張状態を変えない。最上段の三方バルブ4601の位置を
図48に示す位置にさらに変更すると、バルーンのサイズを大きくすることができる。所望の増加サイズが達成されると、最上部の三方バルブ4601は
図47に示す位置に戻るように位置決めされる。最後に、
図49に示されるように二方バルブ4603が開かれると、バルーンサイズが減少することになる。
図50は、流体がカテーテル4208に流れて貯蔵部4202に戻されるバックアップモードを示す。二方バルブ4603は閉じられ、三方バルブ4601は開かれ、三方バルブ4602もまた開かれる。
【0108】
他のバルブとポンプスキームは、上記の機能を実現することが可能である。例えば、閉バルブされた標準PVC医療用管を穿孔するのに役立つ、容易に入手可能なソレノイド作動ピンチバルブアクチュエータを使用することにより、バルブ機能を容易に達成することができる。
【0109】
説明されているすべての膨張媒体管理システムでは、バルブとポンプは理想的には所望の操作(パージ、膨張、バルーンサイズ増加、バルーンサイズ減少、収縮および捕捉容積モード)を、ボタンを押すかタッチするだけで容易に達成できる自動制御システムに接続される。理想的には、そのような制御システムに滅菌透明ドレープを装着することができるため、オペレータはカテーテル内をこすり洗いつつ、同時にカテーテルを操作することによって、流体制御操作を行うことができる。しかしながら、記載されたシステムは、バルブおよびポンプが個別にそして手動で操作される場合に完全に有用である。
【0110】
特に、上記の図および例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意図するものではなく、同様に他の実施形態は、説明または例示された要素の一部または全部を置き換えることによって可能になる。さらに、本発明のいくつかの要素が既知の構成要素を使用して部分的または完全に実施され得る場合、本発明の理解に必要であるかかる既知の構成要素のそれらの部分のみが説明され、かかる既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本発明を曖昧にしないように省略されている。本明細書において、単一の構成要素を示す実施形態は、本明細書に別途明示的に記載されていない限り、複数の同一構成要素を含む他の実施形態に必ずしも限定されるべきではなく、逆もまた同様である。さらに、出願人は、本明細書または特許請求の範囲におけるいかなる用語が、一般的ではない、または特別な意味に帰されることを、そのように明示的に述べられていない限り、意図しない。さらに、本発明は、例示として本明細書に参照された既知の構成要素に対する現在および将来の既知の等価物を包含する。
【0111】
上記の特定の実施形態の説明は、他者が、関連技術分野の技術の範囲内の知識(本明細書の参照によって引用され組み込まれた文書の内容を含む)を適用することによって、過度の実験なしで、本発明の一般的な概念から逸脱せずに、かかる特定の実施形態を様々な用途に対して容易に修正および/または適合し得る、本発明の一般的な性質を十分に明らかにすることになる。それゆえに、かかる適合および修正は、本明細書に提示された教示および指針に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内にあることを意図している。本明細書の表現法または用語法が、説明の目的のためであり、かつ限定されるものではなく、それにより、本明細書の用語法および表現法が、当業者の知識との組み合わせにおいて、本明細書に提示された教示および指針に照らして当業者によって解釈されるものであることが理解されるべきである。
【0112】
本発明の様々な実施形態が上記に説明されたが、それらが例として提示されていて、これに限定されないことが理解されるべきである。当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、形態および詳細における様々な変更がその中で行われ得ることが明らかであろう。したがって、本発明は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその等価物に従ってのみ定義されるべきである。