(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロータ(6,6’,6’’,6’’’)は、玉軸受および/または深溝玉軸受および/またはアンギュラ玉軸受および/または球面ころ軸受および/またはスラスト軸受および/またはラジアックス軸受によって支持されている、
請求項1記載の静電式基板保持ユニット(2)。
前記ポジショニングおよび保持および運動システムの駆動部は、運動していない状態で、動作電圧および/または電流および/または他のエネルギ供給なしに各位置を維持できるようにかつ/または各位置に停止できるように、設計されている、
請求項9、および請求項9を引用する請求項10および11までのいずれか1項記載の静電式基板保持ユニット(2)。
基板(4)を処理する処理装置(3)と、請求項1から14までのいずれか1項記載の、前記基板(4)を保持する静電式基板保持ユニット(2)とを備えた、処理システム(1)。
【技術分野】
【0001】
より高性能な電子機器への市場の要請により、相応の機能ユニットの新規な製造方法および処理方法が要求されている。ここでの性能は、より高い計算容量、画像検出などのより高感度のセンサユニット、より迅速かつより大きなメモリモジュール、ならびにIGBT素子におけるより大きなスイッチング電流もしくはより高い周波数、より明るく、多色のまたはよりカラフルなLEDとして規定可能である。
【0002】
大抵の場合、多重のエネルギ変換によって高いパワーが実現されるが、これにより熱損失も同様に高くなる。過熱を回避するために、一方では冷却が、他方では体積の低減と表面積の増大とが目指される。チップの体積の低減は、ラテラル方向では、微細化が任意には推進できないことから、技術的に制限されている。物理的なフレームパラメータが、個々のテクノロジの硬性の限界として現れることが多くなっている。チップ体積を低減するためには、チップおよび/または基板とも称される支持体を薄膜化することが有意なステップである。
【0003】
基板は、薄くなるにつれ、脆弱となる。当該脆弱性は、基板の取り扱いに特別な要求を課す。基板の破損を回避し、大量生産を可能にするには、基板の保持および処理を含む特別な措置が必要である。
【0004】
薄膜化された基板は、好ましくは平坦な元の形状へ移行させ、その状態で保持しなければならない。なぜなら、薄膜化された支持なしの基板が個別の形状として収容され、巻き上がってしまうことがあるからである。その原因は、局所的な原子の挙動が制御不能であり、このことが機械的な応力状態による形状設定にも影響するからである。
【0005】
平面の規定は、数学的意味において、またはトレランスの意味での許容可能な偏差を設定している準規格にしたがった半導体技術において、行われる。当該規定は、関連する分野の技術者に公知である。
【0006】
当該産業では、成形された基板を固定しかつ整直させるための複数のアプローチおよび解決手段が、基板ハンドリングユニットまたは保持装置の名称において開発されてきた。支持体基板の使用については、米国特許第8449716号明細書およびこれに属する構造および接続の技術を参照されたい。
【0007】
以下に、従来技術の幾つかの欠点を挙げる。従来技術の多くの保持装置は、真空に対し不適であり、または極めて制限された状態でしか適さない。
【0008】
保持装置の手段では、基板を支持体上に固定するための化学的接着が使用されている。高温(200℃超、好ましくは300℃超、特に好ましくは350℃超、極めて特に好ましくは400℃超)でかつ/または真空中で実行される技術ステップに対し、特にガスを放出するポリマー化合物および/または接着剤および/またははんだの使用には問題がある。
【0009】
保持装置の別の手段は、1つもしくは複数の基板、特に薄膜化された基板を、弱い原子間力および/または表面付着力を用いて保持することにある。支持体への薄膜基板の付着および解離は、特に高温での適用時かつ/または真空中での適用時の課題である。
【0010】
さらに別の手段は、特に薄膜化された基板を機械的に固定することにある。保持力はグリッパを用いて形成可能である。ただしこうしたグリッパは、製造された構造体の清浄性基準および感度の点で望ましくないことが多い。
【0011】
保持装置の別の実施形態は多くの場合に流体力形成を使用しており、ここでは、圧力差をともなう流れ状態が形成され、これにより外部圧力によって基板が保持装置に押し付けられる。エアパッドまたは吸着保持面を有するベルヌーイアクチュエータを適用することができる。こうしたシステムの実施形態および構成は、関連する分野の技術者に公知である。
【0012】
上述したいずれの保持装置も、真空中で使用される場合には少なくとも1つの欠点を有することが認識されている。
【0013】
静電気効果は、長い間、特に比較的軽薄なワークピースを固定する技術において使用されている。ここでは、クーロンの相互作用またはジョンセン‐ラーベック効果(米国特許第1533757号明細書を参照)が使用される。公知のように、絶縁体、導体および半導体の材料特性ならびに電荷が、この場合の電荷を「流動」させずに、力、特に保持力を形成するために用いられる。
【0014】
ワークピース固定のため、静電保持力は、例えば印刷技術において、または小さい曲線のプロッティングの際に利用されている。同様に、静電式媒体固定(紙)をともなうドラム式記録器も、公知の従来技術と見なすことができる。
【0015】
半導体産業、特に真空中、好ましくは高真空システムまたは超高真空システムにおける基板処理では、単純な静電式基板保持ユニットを用いて基板を固定することが通常である。こうした基板保持ユニットは、例えばイオンインプランテーションシステムで使用されている。このようなシステムでは1つもしくは複数の基板が所定の角度で回転させられるが、これについては米国特許出願公開第2014/0290862号明細書を参照されたい。さらに、並進自由度も同様に基板保持ユニットの拡張として考察可能であり、これについては米国特許出願公開第2015/0170952号明細書を参照されたい。保持ユニットからの基板の解離も既に関連して研究されており、これについてはDOI:10.1585/pfr.3.05 1を、また基板材料と静電保持力との関係についてはDOI: 10.1063/1.2778633を参照されたい。
【0016】
つまり、従来技術には、静電保持力によって基板を固定し、3つまでの自由度(2軸線での傾動および並進)が可能な基板保持ユニットが開示されている。従来技術における静電保持力の形成では電極が使用されるが、この電極は、基板ホルダの表面または基板ホルダのバルク内に収容されており、したがって処理時に基板が受ける全ての運動を共に行う。当該電極の接続には摺動コンタクトが用いられる。
【0017】
ただし、従来技術のシステムでは、実行可能な運動フローが制限されている。保持される基板は、公知の基板保持ユニットでは静電式に保持される。しかし、公知の基板保持ユニットでは、静電保持面の接触が摺動コンタクトにより行われるので、粒子の放出なしに動作可能な、完全かつ再現可能な回転は不可能である。摺動コンタクトはつねに粒子摩耗を形成し、こうした粒子摩耗は特に高真空システムまたはプラズマシステムにとって問題となる。
【0018】
したがって、本発明の課題は、改善された静電式基板保持ユニットを提供することである。特に、望ましくない回転中の粒子摩耗を最小化し、または阻止すべきである。さらに、ホルダの運動性も改善されるとよい。
【0019】
こうした課題は、各独立請求項の対象によって解決される。本発明の有利な発展形態は、各従属請求項に記載されている。明細書、特許請求の範囲および/または図に記載した各特徴のうち少なくとも2つの特徴の組み合わせの全てが、本発明の範囲に該当する。記載した数値範囲は、言及した限界内にある値も限界値として開示したものとし、任意の組み合わせで請求可能であるものとする。
【0020】
本発明による、基板を収容および保持する静電式基板保持ユニット(以下サンプルホルダまたは保持装置とも称する)は、
・上部に基板を固定する保持面(以下では固定面または固定表面とも称する)を有するホルダを備えたロータと、
・当該ロータを収容および支持するステータと、
・基板を固定する静電保持力を形成する電極と
を有し、ここで、ステータが電極を有する。
【0021】
本発明による保持装置の実施形態は、あらゆる基板をその直径に関係なく取り扱うことができる。
【0022】
本発明はさらに、基板を処理する方法に関しており、ここでは、基板が、本発明による静電式基板保持ユニットにより保持されて回転させられる。したがって、本発明による基板保持ユニットの全ての態様が当該方法にも当てはまる。
【0023】
本発明はさらに、基板を処理する処理装置と、基板を保持する、本発明による静電式基板保持ユニットとを備えた、処理システムに関する。本発明による基板保持ユニットの全ての態様が当該処理システムにも当てはまる。
【0024】
本発明は、特に、電極が、保持面にではなく、ステータ表面にかつ/またはステータ内に存在することにある。
【0025】
本発明の利点は、特に、本発明による静電式基板保持ユニットが摺動コンタクトなしで構成可能であることにある。これにより、回転中の望ましくない粒子摩耗が最小化または防止される。このことは特に、高真空システムまたはプラズマシステムにとって有利である。
【0026】
サンプルホルダが設けられているプロセスチャンバ内の粒子数が、著しく低減される。これにより、固定された基板または本発明によるサンプルホルダの表面が清浄に維持される。
【0027】
本発明による静電式基板保持ユニットは、静電保持特性を機械運動機構から分離し、これにより、基板保持ユニットの静電気ユニットの摺動コンタクトを省略して、粒子放出の低減、好ましくは最小化が行われている。
【0028】
さらに、サンプルホルダのさらなる付加的な汚染が、多少ともカプセル化される構造によって回避され、または少なくとも大幅に低減される。
【0029】
本発明の利点は、摺動部材の回避と、実行可能かつ再現可能な運動フローの拡張とにより、放出粒子量が低減されることである。
【0030】
ステータは、静電モジュールまたは電気モジュールとも称される部材を含む。ロータは、機械モジュールとも称される部材を含む。基板の保持および運動という本発明の課題は、ステータとロータとの共同作用および協働により、すなわち機械モジュールと静電モジュールとの相互作用により、解決される。
【0031】
本発明は、回転可能なホルダと、これと一体に回転しない静止した電極とを備えた静電式基板保持ユニットに関する。
【0032】
1次的には、本発明による静電式基板保持ユニットは、清浄性および無粒子性への高い要求をともなう真空システム、高真空システムおよび/または超高真空システムにおいて使用される。
【0033】
以下の設定が当てはまるものとする。すなわち、z方向またはz軸線は保持面に対して垂直に延在し、または保持面に対する面法線として延在する。x方向、y方向またはx軸線、y軸線は、相互に垂直に、かつホルダの保持面に対して平行にまたは保持面内に、延在する。
【0034】
x軸線を中心とした回転をρで表し、y軸線を中心とした回転をθで表し、z軸線を中心とした回転をφで表す。
【0035】
好ましい一実施形態では、ロータは、導電性支持エレメント、特に玉軸受および/または深溝玉軸受および/またはアンギュラ玉軸受および/または球面ころ軸受および/またはスラスト軸受および/またはラジアックス軸受によって支持される。導電性により、特に有利には、静電力が特に効率的に基板に作用しうる。
【0036】
別の好ましい一実施形態では、導電性支持エレメントがステータの電極に接触するように構成される。これにより、特に有利には、静電力が特に効率的に基板に作用しうる。
【0037】
別の好ましい一実施形態では、ホルダのz方向の厚さが、100mm未満、好ましくは50mm未満、特に好ましくは10mm未満、極めて特に好ましくは5mm未満となるように構成される。これにより、電極から保持面までの間隔を短縮して、保持力を最適化することができる。
【0038】
別の好ましい一実施形態では、電極から保持面までの間隔が、100mm未満、好ましくは50mm未満、特に好ましくは10mm未満、極めて特に好ましくは5mm未満となるように構成される。別の一実施形態では、電極から保持面までの間隔は、3mm未満、好ましくは1mm未満、特に好ましくは100μm未満である。こうした小さい間隔により、保持力をいっそう改善することができる。
【0039】
別の好ましい一実施形態では、ホルダの、基板とは反対の側に、電極が配置される凹部が設けられ、ここで、当該凹部は、特に同心にかつ/または溝として形成されるように構成される。これにより、電極から保持面までの間隔を低減することができる。さらに、特に均質に分布する所望の保持力を形成するために、各電極を最適に分配することができる。
【0040】
別の好ましい一実施形態では、電極がリングとして構成され、特に、当該リングが等間隔にかつ/または同心に配置されるように構成される。このようにすれば、有利には、各電極を最適に分配し、特に均質に分布する所望の保持力を形成することができる。
【0041】
別の好ましい一実施形態では、電極が、扇形部分および/または円弧部分として形成されるように構成される。このようにすれば、有利には、各電極を最適に分配し、特に均質に分布する所望の保持力を形成することができる。
【0042】
別の好ましい一実施形態では、ホルダがハニカム構造として構成される。これにより、保持力の形成をさらにいっそう改善することができる。
【0043】
別の好ましい一実施形態では、基板保持ユニットは、基板および/またはホルダを運動させるポジショニングおよび保持および運動システムを有する。これにより有利には、基板および/またはホルダの運動の実行が容易となる。
【0044】
別の好ましい一実施形態では、基板および/またはホルダは、少なくとも3つの自由度、好ましくは少なくとも4つの自由度、より好ましくは少なくとも5つの自由度、最も好ましくは全部で6つの自由度で可動であるように構成される。これにより、基板および/またはホルダの改善された運動が可能となる。
【0045】
別の好ましい一実施形態では、ポジショニングおよび保持および運動システムが、少なくとも1つの自由度に対して、粗駆動部および微駆動部を有するように構成される。これにより有利には、運動の正確な調整が可能となる。
【0046】
別の好ましい一実施形態では、ポジショニングおよび保持および運動システムの駆動部は、運動していない状態で、動作電圧および/または電流および/または他のエネルギ供給なく、各位置を維持できるようにかつ/または各位置に係止できるように設計される。これにより有利には、基板および/またはホルダを規定された位置に固定することができる。
【0047】
別の好ましい一実施形態では、基板保持ユニットが、運動および/またはフロー、特に基板の固定、ホルダの位置、ホルダの速度および/または加速度の開ループ制御および/または閉ループ制御を行う、中央開ループ制御および/または閉ループ制御ユニットを有するように構成される。これにより有利には、所望のパラメータの設定の改善が可能となる。
【0048】
別の好ましい一実施形態では、基板保持ユニットが、影響因子を測定する少なくとも1つのセンサ、特に間隔センサおよび/または位置センサと、測定された影響因子に基づいて開ループ制御および/または閉ループ制御を行う少なくとも1つのアクチュエータ、特に位置エンコーダおよび/または角度エンコーダを有するように構成される。これにより、有利には、閉制御ループにおいて影響因子の検査と運動の最適な調整とを行うことができる。
【0049】
本発明による基板保持ユニットは、少なくとも3つ、最も好ましくは少なくとも4つ、特に最も好ましくは少なくとも5つの運動自由度を有する。
【0050】
本発明による基板保持ユニットは、3つの回転軸線を中心とした360°回転が可能である。電極は、本発明によれば回転しない。当該3つの回転軸線を中心とした運動は、それぞれ電気機能部および/または電子機能部から分離される。
【0051】
給電ケーブルがホルダ内に導入されないことにより、ホルダは全ての方向へ運動可能であり、かつ/または全ての軸線を中心として回転可能である。
【0052】
静電機能部と機械機能部との本発明による分離により、静電特性および機械特性の2重機能部は僅かしか存在しなく、または全く存在しない。すなわち、静電モジュールが電荷輸送または絶縁および静電力形成などの静電機能を担当し、ここで、専ら基板保持ユニットの保持面が電荷分離部によって静電的に充電される。駆動部または案内部または軸受などの機械負荷を受ける部材には、実質的に、接続された電位が存在しなくなる。保持面の支持機能部は、機能部が静電力によって形成されているため、混合形態を成す。
【0053】
機能部の分離により、構造ならびにモジュールおよびモジュール群の製造の手間の単純化が達成され、これにより、基板保持ユニットおよび/またはシステム全体のコスト構造に正の影響が作用する。
【0054】
基板は好適にはウェハであり、特に半導体ウェハである。ウェハは、標準化されたwell-definedの直径を有する規格の基板である。ただし、当該基板は一般に、任意のあらゆる形状を有することができる。直径は、一般に任意のあらゆる大きさを取ることができるが、大抵の場合、1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、18インチまたは25.4mm、50.8mm、76.2mm、100mm、125mm、150mm、200mm、300mm、450mm以上の規格直径のいずれかを有することができる。
【0055】
明細書の以下では、基板について一般的に言及する。ただし特に、本発明による実施形態は主にウェハ、特に半導体ウェハに関する。
【0056】
本発明による基板保持ユニット
本発明は、回転可能なホルダと、これと一体に回転しない静止した電極とを有する静電式基板保持ユニットに関する。電極は、ごく一般的には静電モジュールとして、またホルダは機械モジュールとして、捉えることができる。
【0057】
本発明によれば、静電モジュールは、実質的に、特には完全に機械モジュールから分離される。
【0058】
本発明によれば、静電式基板保持ユニットは、静電保持特性を機械運動機構から分離する。言い換えれば、静電モジュールの機能部と機械モジュールの機能部とが、実質的に、特には完全に、相互に分離される。
【0059】
特に処理システム、特に高真空システムおよび/または超高真空システムにおいて使用される、本発明による基板保持ユニットでは、静電気効果が保持力形成のために使用される。
【0060】
2つの静電気効果が特に重要である。すなわち、ジョンセン‐ラーベック効果とクーロン効果とである。
【0061】
上述した静電気効果により、基板が、本発明による基板保持ユニットの規定された位置、いわゆる保持面に固定される。保持面とは、基板固定のために構成された、好ましくはプレーナに(平坦に)構成され、基板保持ユニットのモジュールとして組み込まれたホルダ面である。
【0062】
以下では、平坦性が、プレーナ面、特に表面の完全性の尺度として使用される。プレーナ表面からの偏差は、数学的な理想面からの微視的誤差および/または巨視的誤差によって生じる。
【0063】
当該誤差は、リップルおよび粗面性としても規定することができる。表面のリップルは、当該表面における、所定の周期的な、特にミリメートル領域、稀にマイクロメートル領域の隆起および陥入によって表される。対して粗面性は、むしろ非周期的な、マイクロメートル領域またはナノメートル領域の現象である。
【0064】
こうした表面特性の厳密な規定は、表面物理学、トライボロジー、機械構造学または材料学の全ての技術者にとって公知である。
【0065】
理想表面からの種々の偏差を処理するために、明細書の以下では、粗面性の概念を、こうした効果の全てを重畳させたものと同義として用いる。当該粗面性は、平均粗面率、2乗粗面率または平均粗面深度として表される。
【0066】
平均粗面率、2乗粗面率または平均粗面深度について求められた値は、一般には、同じ測定区間または同じ測定面積に対して種々に異なるが、同じオーダーの領域にある。したがって、粗面性に対する以下の数値範囲は、平均粗面率、2乗粗面率または平均粗面深度のいずれの値とも解釈することができる。
【0067】
この場合、粗面性は、100μm未満、好適には10μm未満、さらに好ましくは1μm未満、最も好ましくは100nm未満、特に最も好ましくは10nm未満である。
【0068】
巨視的寸法としての平坦性については、粗面性について述べたDIN ISO2768-2 Toleranzklasse Hと同様の値およびパラメータ以上のものが該当する。
【0069】
以下に、本発明による実施形態の理解にとって重要な、物理的な2つの静電気効果について詳細に説明する。
【0070】
クーロン効果/ジョンセン‐ラーベック効果による力形成
2つの電極間に電位差を印加することにより、これらの電極の表面に、反対極性の充電が生じる。充電された表面間には電界が形成される。
【0071】
静電式基板保持ユニットでは、各電極が特に平行に相互に並ぶように配置されるので、電界は、一方の電極から他方の電極への弧として形成される。基板が当該電界に接触すると、基板表面に電荷が作用し、かつ/または配向分極により配向される。
【0072】
いずれの場合にも、一方の電極に近い側の基板表面は反対の極性に充電される。基板表面と電極とにおける反対極性の電荷により、双方の電極が引き合う。
【0073】
各電極は、ホルダ内またはホルダ下方に配置されるので、電極によって形成される電界は、ホルダを貫流する。ホルダが誘電体として構成されている場合、ホルダ内に電荷の流れは発生しえない。
【0074】
したがって、ホルダは、その相対誘電定数に基づいて、この場合の基板表面の分極の本来の源と見なすことのできる相応の表面分極を保持面に生じさせることができる。
【0075】
ホルダの材料として、SiO
2などの電気絶縁体および/または非導電性セラミックを好適には使用することができる。別の、特に高真空または超高真空に耐えうる材料、例えばガラス、ガラスセラミック、炭化物、窒化物および/または他の誘電体も可能である。
【0076】
本発明の独自性は、一体に回転しない電極を備えた静電式基板保持ユニットの構成にあり、当該電極は、保持面から間隔を置き、ガルバニックな接触なく、電気的に絶縁された機械的構造で構成されている。これにより、運動する機械部材は、保持力形成に関連する静電モジュールからガルバニックにも空間的にも完全に分離される。
【0077】
もう一方の効果は、ジョンセン‐ラーベック効果である。当該効果は、電極の電界が同様に貫流する、弱い導電性を有するホルダを利用するものである。ただし、ホルダの弱い導電性により、電界からは、配向分極でなく、表面への電荷の流れが生じる。
【0078】
この場合、当該電荷は、基板表面の分極の本来の源と見なすことができる。別の誘電体と接触すると、接触した双方の対象物の表面の非平坦性の結果として小さな空隙が生じ、この空隙間に極めて大きな電界強度が形成されうる。
【0079】
これにより形成される大きな力は、ジョンセン‐ラーベック力と称され、同様に基板とホルダとの引き合いを生じさせる。ジョンセン‐ラーベック効果による保持力が形成されると、ホルダは、弱い導体として、特に、基板に誘導された電荷を導出することができる。
【0080】
ここで、弱い導電性を有する保持面(すなわちホルダ)は静電モジュールに導電接続される。ホルダのこうした静電接続は、保持すべき基板から遠い側の面で行うことができる。保持力としてジョンセン‐ラーベック力を用いる基板保持ユニットの種々の実施形態については、後に詳細に扱う。
【0081】
機械モジュール、独立した自由度
別の好ましい一実施形態では、静電式基板保持ユニットは、基板および/またはホルダを運動させるポジショニングおよび保持および運動システムを有する。
【0082】
別の好ましい一実施形態では、基板および/またはホルダは、少なくとも3つの自由度、好ましくは少なくとも4つの自由度、より好ましくは少なくとも5つの自由度、最も好ましくは全部で6つの自由度で可動である。
【0083】
特に基板保持ユニットの静電保持力形成の本発明による実施形態から独立に、基板保持ユニットが使用される基板処理に要求される運動フローの実行のため、機械的なポジショニングおよび保持および運動システムが、基板の全部で6つの独立した自由度に対して使用可能である。可能な分割は次の通りである。
【0084】
本発明によれば、基板処理の際に本発明による運動を実行するため、5つまでの運動自由度を使用することができる。第6の自由度は、基板保持ユニットにより特には静電的に阻止され、これにより基板は基板保持ユニットから独立には運動されない。当該第6の自由度は、特に基板の充放電の際に実行可能である。
【0085】
別の好ましい一実施形態では、ポジショニングおよび保持および運動システムは、少なくとも1つの自由度に対して、粗駆動部および微駆動部を有するように構成される。
【0086】
特に、1つの自由度に対して統合された運動系(並進または回転)を使用することができる。統合された運動系は、1つの自由度の運動を複数のユニットとして実行する。例えば、並進方向の粗駆動部およびガイド部、ならびに同じ方向での微駆動部およびガイド部を、1つの自由度に対して統合された駆動部として理解することができる。
【0087】
別の好ましい一実施形態では、ポジショニングおよび保持および運動システムの駆動部(粗駆動部および/または微駆動部)は、運動していない状態で、動作電圧および/または電流および/または他のエネルギ供給なく、各位置を維持できるようにかつ/または各位置に係止できるように設計される。言い換えれば、好ましくは、ガイド部および/または軸受を併せた自己保持駆動部が使用される。
【0088】
特段の利点は、運動なしでの、ひいては特に真空または高真空または超高真空での熱管理を困難にする寄生熱源を回避した、より小さな熱展開にある。
【0089】
本発明によれば、特に、基板の4つ以下の自由度での基板保持を実行することもできる。この場合、目的に合わせて、システムが欠落した自由度を実行するものとする。
【0090】
自由度および空間方向の規定につき、好適には、カルテシアン座標系が導入される。座標系の原点は、好適には基板保持ユニットのホルダの保持面の中心点に置かれ、固定かつ不動のものとして規定される。
【0091】
よって、ホルダおよび基板保持ユニット全体が運動する際、座標系は共に運動せずかつ/または共に回転しない。中心点は、高度に対称な保持面では幾何学的中心点として、高度に対称でない保持面では重心として理解される。
【0092】
上で既に確認したように、x方向もしくはx軸線およびy方向もしくはy軸線は保持面上を延在しており、z方向もしくはz軸線は保持面に対する面法線として規定される。特に、座標系の原点をシステムの任意のあらゆる点に変換することができ、または別の座標系を規定することができる。
【0093】
x軸線を中心とした回転はρで表され、y軸線を中心とした回転はθで表され、z軸線を中心とした回転はφで表される。
【0094】
本開示では、運動方向は、一般に、回転方向および/または並進方向ならびに運動の起点が必ずしも座標軸線上に当たらなくてもよく、数学的変換によって座標系内に記述可能であればよいと理解されたい。これらのことは当業者に公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0095】
基板保持ユニットの、基板を保持する主機能部のほか、運動フローを可能にする副次機能部も同様に、構造的特徴として基板保持ユニットに組み込まれる。
【0096】
少なくとも3つ、好ましくは4つ、特に好ましくは5つの自由度に関して要求される運動フローを可能とするために、機械的に運動可能な要素の精度に対して高い要求が課される。当該目的に対し、精密な、特に遊びおよび/またはバックラッシュのない、予圧が与えられた軸受およびガイド部ならびに駆動部が使用される。
【0097】
実行される各自由度は、特に基板から観察したものである。
【0098】
第1の自由度:
独立した自由度の観察に対して、基板から運動しないフレームまでの運動方向すなわち自由度を運動ラインとして捉えると好都合である。
【0099】
基板から観察した運動ラインは、本発明による第1の実施形態では、並進すなわち直線方向運動を行うことができる。当該第1の並進の方向は、z方向で行うことができる。これは、技術的には、実装および基板交換のために行うことができる。
【0100】
基板保持ユニットが基板を上昇させず、特にはエッジグリッパにより基板を基板保持ユニットから取り外す場合、基板保持ユニットの当該自由度をシステムに移行させ、基板保持ユニットに対して省略することができる。
【0101】
第2の自由度:
基板の次の運動として、z軸線を中心とした回転を行うことができる。当該回転に必要な軸受、駆動部およびその実施形態については後述する。
【0102】
第1の自由度および第2の自由度:
基板処理に必要な運動が独立した複数の自由度をカバーする場合、この運動を実行する駆動部、軸受および/またはガイド部は、モジュール形式で構築され、機械モジュールのサブグループと理解することができる。各モジュールは、運動を2つ以上の独立した自由度によって実行する。つまり、1つのモジュールにおいて、例えば特に交差時の複数の並進が統合可能であり、または少なくとも1つの並進と1つもしくは2つの回転とが統合可能である。したがって、本発明の別の一実施形態では、往復回転モジュールまたは回転往復モジュールの組み合わせが可能である。
【0103】
別の好ましい一実施形態では、回転往復モジュールの組み合わせは、開口および/または孔および/または縦孔を有する、基板保持ユニットの機械モジュールのホルダの回転可能な保持面と、基板の昇降のための直線方向に走行可能な面、パッドおよび/またはピンとから形成される。
【0104】
走行可能なピンおよび/または面の数は、例示的な実施形態では少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、特に好ましくは少なくとも4つ、極めて特に好ましくは少なくとも4つである。
【0105】
第3の自由度および/または第4の自由度:
第3の自由度および/または第4の自由度として、x軸線および/またはy軸線を中心とした回転を行うことができる。ここでは、各運動の回転軸線が、原点の任意の座標変換により理解可能である。
【0106】
x軸線および/またはy軸線が保持面から遠い側の処理すべき基板表面上に当たる場合、独立した第3の自由度および/または第4の自由度の回転の許容差は、構造方式の適用により、イノセントかつインバリアントに達成可能である。2つの構造方式は、少なくとも誤差の小さい(イノセントな)機能部グループを形成し、そうでなければ状況により誤差のない(インバリアントな)機能部グループを形成する。
【0107】
当業者に公知の特にカルダン懸架かつ/またはボールジョイントデザインによる、イノセントな、誤差の小さい回転軸線の配置により、ポジショニングの1次誤差を構造的に除去することができる。言い換えれば、傾動誤差が低減される。
【0108】
傾動誤差は、特に、蒸着、スパッタリングおよび/またはイオン処理(表面エッチングおよび/またはアモルファス化および/またはイオンインプランテーション)の際に、かつ/またはプラズマによるラジカル処理の際に、不規則性および/または製造差の原因となり、続く基板の検査およびスクリーニングを含む製造ラインからの除去をしばしば生じさせる。
【0109】
第5の自由度および/または第6の自由度:
基板保持ユニットの本発明による別の好ましい一実施形態では、xおよび/またはyの座標軸線方向に沿った基板保持ユニットの正確なポジショニングおよび運動が保証される。
【0110】
処理装置および基板保持ユニットから成る系の相対運動が分割されない場合には、保持面に固定された基板が、特にはプリスクリプションにしたがった開ループ制御によりかつ/またはプリスクリプションにしたがった閉ループ制御により運動される。
【0111】
機械モジュール
本発明による処理システムは、基板保持ユニットにより固定された基板を処理する少なくとも1つの処理装置を有する。
【0112】
処理および/またはハンドリングのための運動が必要とされる場合、要求される独立した自由度は、処理装置および/または基板保持ユニットによって実行可能である。したがって、有利には、処理装置と基板保持ユニットとの間で独立した自由度の分割が可能である。
【0113】
本発明による好ましい例示的な一実施形態では、処理装置は、傾動および/または揺動、すなわち角度位置の移動により調整可能であり、これにより、特に基板上の処理放射の並進としての運動が得られる。
【0114】
本発明による特に好ましい別の一実施形態では、基板保持ユニットが、特にx方向での並進、y軸線を中心とした回転、およびz軸線を中心とした回転を実行できるように、処理装置に関する基板の6つの自由度が分割される。さらなる自由度は、システムに組み込まれたハンドリングロボットおよび/またはグリッパおよび/またはハンドリング装置および/または処理源の運動部材が担当する。
【0115】
別の好ましい一実施形態では、基板保持ユニットが、特にx方向での並進、特に保持面上での基板の高さを調節するz方向での別の並進、y軸線を中心とした回転、およびz軸線を中心とした回転を実行できるように、処理装置に関する基板の6つの自由度が分割される。
【0116】
別の好ましい一実施形態では、基板保持ユニットが、特にx方向およびy方向での2つの並進、特に保持面上での基板の高さを調節するz方向での別の並進、y軸線を中心とした回転、およびz軸線を中心とした回転を実行できるように、処理装置に関する基板の6つの自由度が分割される。
【0117】
本発明によれば、x方向かつ/またはy方向の並進運動が、100mm超、好ましくは150mm超、特に好ましくは300mm超、極めて特に好ましくは450mm超の走行距離をカバーするものとする。
【0118】
距離データは、±1/2区間、例えば±50mmも含むことができる。
【0119】
z方向の並進では、5mm超、好ましくは10mm超、特に好ましくは30mm超の走行距離が可能であるものとする。
【0120】
並進のポジショニング精度は、5mm未満、好ましくは1mm未満、特に好ましくは0.1mm未満、極めて特に好ましくは0.01mm未満、最適には50μm未満、理想的には50nm未満に達するものとする。
【0121】
回転θおよび/またはρについては、181°未満、好ましくは91°未満、特に好ましくは61°未満、最適には31°未満、理想的には21°未満の傾動角を任意に設定可能であるものとする。
【0122】
角度データは、±1/2角度データ、例えば±90.5°も含むことができる。
【0123】
回転θおよび/またはρおよび/またはφについての傾動誤差は、(保持面の各縁または直径での間隔を傾動高さとして表した場合)5mm未満、好ましくは2mm未満、特に好ましくは1mm未満、極めて特に好ましくは0.1mm未満、最適には0.01mm未満、理想的には0.001mm未満であるものとする。換言すれば、記載した間隔は、公称としてもしくは理想的に達成すべき位置までの間隔である。
【0124】
回転φは、360°超の一方向回転または双方向回転のいずれであってもよいものとする。
【0125】
開ループ制御/閉ループ制御
別の好ましい一実施形態によれば、運動および/またはフロー、特に基板の固定、ホルダの位置、ホルダの速度および/または加速度の開ループ制御および/または閉ループ制御を行う、中央開ループ制御および/または閉ループ制御ユニットが設けられる。
【0126】
運動および/またはフロー、特に基板の固定、基板をともなった基板保持ユニットのシステム内の位置、速度および/または加速度の開ループ制御および/または閉ループ制御は、好適には、中央開ループ制御および/または閉ループ制御ユニット、特に開ループ制御ソフトウェアおよび/または閉ループ制御ソフトウェアを含むコンピュータによって行われる。
【0127】
(再帰的な)開ループ制御フローおよび/または閉ループ制御フローはプリスクリプション、特に機械読み取り可能コードとしてまとめて設けることができる。プリスクリプションは、機能的かつ/または方法技術的に関連するパラメータの最適な値セットである。プリスクリプションの利用により、生産フローの再現性を保証することができる。
【0128】
別の好ましい一実施形態によれば、影響因子を測定する少なくとも1つのセンサと、測定された影響因子に基づいて開ループ制御および/または閉ループ制御を行う少なくとも1つのアクチュエータとが設けられる。
【0129】
閉ループ制御および/または開ループ制御のために、作用エレメント(アクチュエータ)の使用のほか、対応するセンサの使用も構成することができる。当該センサは、特に、測定すべき影響因子の検出および/または処理および/または転送を行うために用いられる。特に間隔センサおよび/または位置センサ(位置エンコーダおよび/または角度エンコーダ)、および/または制御量としての電流および/または電圧を使用することができる。
【0130】
システム内の基板保持ユニットの位置を求めるために、光学手段、および/または誘導性センサおよび/または容量性センサおよび/または光ファイバセンサおよび/または機械センサおよび/または磁気センサおよび/または磁歪センサ、例えば距離エンコーダ、実行時間測定器(レーザー三角法)および/または干渉計を使用することができる。
【0131】
回転を求めるには、長さ測定に使用されて回転に対して変換されたインクリメントエンコーダおよび/または絶対値エンコーダなどの手法を使用することができる。
【0132】
基板の静電固定に関するフィードバック結合を行うため、反射測定のための光学手段、および/またはエッジ検出および/または画像処理のためのカメラシステム、および/または圧力センサを使用することができる。
【0133】
別の一実施形態では、静電量の変化を監視し、保持力が維持されるよう、相応の閉ループ制御を行うことができる。
【0134】
好ましくは、測定すべき量は、特に測定量の電気的特性の変化を引き起こすので、測定結果および/または信号の電子的な検出、転送、および機械的な処理、特にコンピュータ支援された処理を行うことができるものとする。
【0135】
ロータの支持
基板保持ユニットの別の好ましい一実施形態では、ロータは、導電性支持エレメント、特に玉軸受および/または深溝玉軸受および/またはアンギュラ玉軸受および/または球面ころ軸受および/またはスラスト軸受によって支持される。
【0136】
相応の直径を有する市販の軸受を適用可能である。
【0137】
軸受および/またはガイド部は、有利には、特に真空に適するように、好ましくは高真空に適するように、特に好ましくは超高真空に適するように構成可能である。
【0138】
好ましい一実施形態では、導電性支持エレメントはステータの電極に接触する。つまり、有利には、支持エレメントは、各電極を、保持面と向かい合うホルダ面に可能なかぎり接近するまで拡大する。
【0139】
特に、玉軸受の部材として形成された導電性のボールは、ステータに取り付けられた電極に接触することができる。
【0140】
特に、深溝玉軸受および/またはアンギュラ玉軸受および/または球面ころ軸受および/またはスラスト軸受を適用可能である。特別なケースにおいて、摩耗特性および転動の挙動とが許容する場合には、単純な円筒軸受の利用も可能である。
【0141】
本発明によれば、0.1回転/分(rpm)超、好ましくは1rpm超、特に好ましくは10rpm超、極めて特に好ましくは50rpm超、最適には65rpm超、理想的には100rpm超の特には一定の回転速度または閉ループ制御部もしくは開ループ制御部に結合された可変の回転速度が形成される。ただし、0.1rpm未満の回転速度および/または静止状態も可能である。
【0142】
基板保持ユニットが組み付けられたシステムが相応のプロセス結果を達成できるよう、回転φの回転数だけでなく、角加速度も中心的意義を有する。角加速度は、特に、均等な状態が迅速に得られるので、均等性にとっての中心的パラメータである。特に、角加速度は、1rad/s
2超、好ましくは10rad/s
2超、より好ましくは100rad/s
2超、さらにより好ましくは1000rad/s
2超、特に好ましくは10000rad/s
2超である。
【0143】
本発明によれば、特に、処理システムにおいて基板保持ユニットにより基板ゾーンおよび/または基板領域をポジショニングするため、多軸線での回転を行うことができる。ポジショニング精度のために、開ループ制御された運動および/または閉ループ制御された運動が行われ、任意の角度位置まで走行可能である。
【0144】
ここで、特に、z軸線を中心とした制御された回転では、360°の完全な1回転が2
nの部分へ分割されるものとする。特にnは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11もしくは12とする。こうして、相応のポジショニングに起因する、10°未満、5°未満、1°未満、0.1°未満、0.01°未満の角度誤差を達成することができる。
【0145】
基板保持ユニットの別の好ましい一実施形態では、ラジアル‐アキシャル軸受としても公知のラジアックス軸受が使用可能である。回転挙動の多重性、および/または慣らし運転能力、および/または支持エレメントの調整可能な予圧力、および/または(摩耗につき最適化された)遊び除去のためのワイヤケージの使用、および/または回転の振動の排除、ならびに軸受の直径の任意の設計可能性により、当該実施形態は特に有利である。
【0146】
静電モジュールは、特性に関して最適化されて、特に保持力につきかつ/または間隔につき最適化されて、特に基板およびホルダの下方に取り付けることができる。
【0147】
ホルダの形成ならびに静電モジュールおよび機械モジュールの配置
ホルダは、基板保持ユニットの各機能部に対して、静電的にも機械的にも主要な役割を有している。
【0148】
ホルダは、静電保持力によって保持面に基板をクランプ保持するので、機械モジュールの部材である。また、ホルダは、自身を通した静電保持力が基板を固定するので、静電モジュールの部材でもある。
【0149】
本発明によるホルダの重要な特性には、自立性、誘電特性、清浄性、熱膨張度、熱容量、伝熱力および腐食耐性が含まれる。
【0150】
さらに、静電モジュールの他の部材および機械モジュールに関するホルダの配置(位置、間隔、配向)も重要である。
【0151】
本発明によれば、基板保持ユニットに対し、基板から、一体に回転しない定置位置にある電極までの間隔を最小化することが有利である。これにより、静電電界強度が相応に比例的に低減される。最小化された静電電界強度は基板保持ユニットからの基板の容易な解離にとって有利であり、これにより、処理システムの生産性が高まる。
【0152】
保持面の自立性の点で許容されるかぎり、z方向または保持面に対して垂直な方向でのホルダの厚さは、100mm未満、好ましくは50mm未満、特に好ましくは10mm未満、理想的には5mm未満である。
【0153】
保持面の別の実施形態では、z方向または保持面に対して垂直な方向でのホルダの厚さは、ホルダの直径の30%未満、好ましくはホルダの直径の10%未満、特に好ましくはホルダの直径の5%未満、極めて特に好ましくはホルダの直径の1%未満、理想的にはホルダの直径の0.5%未満である。
【0154】
ホルダの厚さHは、電極の測定点に関連する。ホルダは、技術的理由から、それぞれ異なる厚さを有することができる。ホルダは、不均一な厚さを有するプレートとして構成することもでき、この場合、強度の点で最適化された設計形態を、特に入力される電界のFEM分析の結果として、形状設定に使用することができる。特に自立性および/または機能統合のために、ホルダは、特に、z方向で技術的に制限されたエッジ厚さを有しうる。当該エッジ厚さは、1mm超、好ましくは4mm超、特に好ましくは9mm超であってもよい。好ましい実施形態では、電極と基板側ではないホルダ表面との間の自由空隙幅が存在してもよい。
【0155】
特段の実施形態では、一体に回転しない定置の電極から基板側でないホルダ表面までの間隔は、1mm未満、好ましくは500μm未満、特に好ましくは200μm未満、最適には100μm未満、理想的には10μm未満である。
【0156】
別の好ましい一実施形態では、ホルダの、基板から遠い側に、特にホルダまでの最小自由間隔で電極を配置するための、同心の凹部、特に溝を形成することができ、これにより、静電電極から基板までの間隔を最小化することができる。したがって、基板側でないホルダ表面から電極までの溝の間隔は、1mm未満、好ましくは500μm未満、特に好ましくは200μm未満、最適には100μm未満、理想的には10μm未満である。
【0157】
別の好ましい一実施形態では、当該保持面は、モノリシックなブロックとしてではなく、特に剛性の点で最適化されたハニカム構造として構成される。保持面は、プレーナに(平坦に)全面にわたって形成される。ホルダは、保持面とは反対側の面に、特に厚さを補強する材料を有し、当該材料は、特に六角形のハニカム構造が生じるよう、筋交状またはリブ状に形成される。したがって、機械的剛性が理想的である場合のホルダの厚さを低減することができる。このことは、誘電特性および使用される静電電界強度にとって重要である。
【0158】
別の好ましい一実施形態では、ホルダは、剛性の点で最適化され、特にハニカム構造を有するように構成され、ここで、基板から遠い側の面が特に種々に平準化された平面を有するように構成可能であり、ホルダは電極を収容するための同心の凹部を有する。このために必要な計算は、「有限要素」法(FEM)による近似として行うことができる。
【0159】
電極の構造
好ましい一実施形態では、電極はリングとして構成され、特に当該リングは等間隔にかつ/または同心に配置される。
【0160】
別の好ましい一実施形態では、電極は、扇形部分としてかつ/または円弧部分として構成される。
【0161】
好ましくは、電極は相互にガルバニックに分離されている。
【0162】
基板保持ユニットの別の好ましい一実施形態では、各電極は相互にガルバニックに分離され、回転φの回転軸線から特にそれぞれ等間隔を置いた同心のリングとして構成可能である。
【0163】
扇形部分および円弧部分および/またはリングの数は、電極の数に基づいて決定可能である。各電極は、静電力形成のため、ソースとドレインとに区分される。したがって、少なくとも1つのソースと少なくとも1つのドレインとが存在するものとする。電極の数の設計は、電子回路技術およびエレクトロニクスの技術者に公知である。特には少なくとも2個の電極、好ましくは5個超の電極、さらに好ましくは10個超の電極、最も好ましくは20個超の電極が存在する。
【0164】
保持面への基板の固定のために、好ましくは直流電圧が少なくとも1つの電極対に印加される。当該電圧は、0.1kVから10kV、好ましくは0.4kVから5kV、特に好ましくは0.5Vから4kV、極めて特に好ましくは0.6kVから3kVである。
【0165】
好ましい一実施形態では、保持力形成のために設定される電圧が特に制御されて調整されるので、保持力の温度依存性を調整することができる。したがって、温度特性、保持力および電圧のパラメータから得られる保持力の最適値が使用される。
【0166】
電圧が一定である場合、保持力は高温で増幅され、基板保持ユニットからの基板の破壊なしでの剥離はもはや不可能となる。
【0167】
保持力形成のための電圧は、温度上昇の進行に対して反比例で進行すると考えられる。当該現象についての厳密に閉じた数学的記述については、別の実験が必要である。
【0168】
静電モジュールは、個々の電極から形成可能である。個々の電極を接続するため、特に、ジョンセン‐ラーベック効果に対して少なくとも1つの転動エレメントが使用され、ここで、電極当たり正確に1個、好ましくは1個超、より好ましくは2個超、特に好ましくは3個超、極めて特に好ましくは4個超の転動エレメントが使用される。
【0169】
さらに、ユニポーラ電極またはバイポーラ電極のいずれを使用してもよい。
【0170】
好ましくは、バイポーラで接続された電極を有する静電モジュールが使用され、ここで、電極の数は、1個超、好ましくは3個超、特に好ましくは7個超、極めて特に好ましくは14個超である。
【0171】
電極は、好ましくは個々に、かつ/または特に好ましくは対としてかつ/または極めて特に好ましくはグループにまとめ、閉ループ制御かつ/または開ループ制御を行うことができる。
【0172】
基板保持ユニットの静電モジュールと機械モジュールとの、特にジョンセン‐ラーベック効果による結合
特にジョンセン‐ラーベック効果による静電保持力を形成するために、電極と弱い導電性を有するように構成された誘電性ホルダとのガルバニックな接続が要求される。
【0173】
従来技術の欠点を改善するため、摺動コンタクトによる接続は行わない。
【0174】
転動エレメントとも称される、導電性を有しかつ転動する結合エレメントが使用される。転動エレメントの種々の実施形態には、ボール、球面ころ、ローラおよび/またはニードルが含まれうる。
【0175】
転動運動により、ロールボーリングまたは純粋な摺動による場合よりも僅かな摩耗しか生じない。剛性の固体としての転動エレメントがそれぞれ異なる角速度(接線速度)を有する場合、純粋な転動運動には唯一の位置しか作用しえない。剛性の固体の別の部材は、転動と、摺動としての運動とも解釈可能な滑りとの混合形態によって回転する。転動は最小の摩耗を形成し、摺動は最大の摩耗を形成する。
【0176】
球面ころまたはローラまたはニードルの転動中は、ラジアル速度がそれぞれ異なるため、摩擦により粒子を放出して欠点となる純粋な転動は生じない。
【0177】
静電モジュールの回転しない電極と回転可能なホルダとの間の持続的なガルバニック接続を保証するため、特に静電モジュールは、ホルダを実質的に、すなわち特に微視的にまたは巨視的に変形を起こすことなく、ばね弾性的に予荷重が加えられた状態で、転動エレメントおよびホルダを支持することができる。
【0178】
したがって、構造的には、ホルダ、転動エレメント、電極、少なくとも1つのばねの下台(詳細には示されていない)が、弾性および導電性を有するエレメントとして、機械的な作用ラインに収容されるように構成される。下台は、フレームと、別の自由度に対する運動装置を含む、機械モジュールの別の部材とであってもよい。
【0179】
ホルダと転動エレメントとの間でばねが使用される場合、これは望ましくない摩耗を生じる。
【0180】
別の一実施形態では、転動エレメントは、ばね特性を有し、特にボールに類似した導電性エラストマーブロックとして、機能の点で統合されていてもよい。転動エレメントを弾性およびばね性を有する球状のケージとして形成することもできる。
【0181】
別の一実施形態では、電極をガイドし、ばねによって電極と下台との間に予荷重力を作用させることができる。
【0182】
別の好ましい一実施形態では、回転しない定置の静電モジュールが、転動エレメントに予圧を与えるために、特に位置制御されて(距離エンコーダ、アクチュエータ、評価ユニットとの)接触を形成しうる。
【0183】
転動エレメントなしの実施形態では、間隔ひいては保持力の最適化のため、ホルダに関する静電モジュールのポジショニング制御を行うと有利である。
【0184】
その他の特性
ホルダの熱特性は、設計の際に考慮すべきである。熱特性には、熱容量、熱膨張度および温度安定性が該当する。
【0185】
本発明による基板保持ユニット、特にホルダの熱容量は、熱の蓄積を防止するため、最小限とされている。
【0186】
大抵の固体では、中程度の温度および圧力で、一定体積での熱容量が一定圧力での熱容量から限界的にしか区別されない。したがって、当該文献の以下では、双方の熱容量を区別しない。
【0187】
また、比熱容量が示される。比熱容量は、20kJ/(kg
*K)未満、好適には10kJ/(kg
*K)未満、さらに好ましくは1kJ/(kg
*K)未満、最も好ましくは0.5kJ/(kg
*K)未満、極めて最も好ましくは0.1kJ/(kg
*K)未満である。
【0188】
基板保持ユニット、特にホルダの熱膨張係数は、温度差によるホルダの歪みが防止されるよう、最小限とすべきである。線形の熱膨張係数は、10
−4K
−1未満、好適には5
*10
−5K
−1未満、さらに好ましくは10
−5K
−1未満、最も好ましくは5
*10
−6K
−1未満、最も好ましくは10
−6K
−1未満、極めて最も好ましくは10
−7K
−1未満である。
【0189】
ホルダの誘電特性は、相対誘電率(0Hzから100Hzの間で測定されたデータ)により充分に正確に記述することができる。したがって、ホルダの材料に対し、1超、好ましくは1.5超、特に好ましくは2超の誘電率が設けられる。
【0190】
ホルダ、少なくとも保持面の比電気抵抗は、好ましくは5×10
9Ωcmから8×10
10Ωcmとする。
【0191】
ホルダの抵抗は、好ましい一実施形態では、プラズマ処理において、発生する電荷および/または静電電荷が5秒未満、好ましくは2秒未満、特に好ましくは1秒未満、最適には0.5秒未満しか導出されない低いものとすべきである。
【0192】
ホルダの好ましい一実施形態では、所期の導電率は、埋め込まれた電気導体および/または導体路によって達成される。
【0193】
別の好ましい一実施形態では、ドープ物質によって特定の導電率が得られる。特に、導体路の形成のため、高濃度の領域およびパスを形成することができる。
【0194】
誘電体および/またはコーティングの材料は、とりわけ、次の材料、すなわち
・アルミニウムならびにその酸化物および/またはその窒化物および/またはその炭化物、
・ケイ素ならびにその酸化物および/またはその窒化物および/またはその炭化物、およびα‐Siなどの結晶形態、
・チタンならびにその酸化物および/またはその窒化物および/またはその炭化物、
・ジルコニウムならびにその酸化物および/またはその窒化物および/またはその炭化物、
・イットリウムならびにその酸化物および/またはその窒化物および/またはその炭化物、
・グラファイトとして特にパイロ技術的に堆積された炭素、またはダイヤモンドに類似の形態の炭素(diamond-like carbon, DLC)
を含むことができる。
【0195】
本発明の他の利点、特徴および詳細は、好ましい実施例について以下の説明から、図に即して得られる。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【
図1】本発明による基板保持ユニットを備えた処理システムを示す概略的な機能構造平面図である。
【
図2a】例示的な一実施形態を示す概略的な機能平面図である。
【
図2b】例示的な別の一実施形態を示す概略的な機能平面図である。
【
図2c】例示的な別の一実施形態を示す概略的な機能平面図である。
【
図3a】別の一実施形態の一部を示す概略的な断面図である。
【
図3b】別の一実施形態の一部を示す概略的な断面図である。
【
図4a】別の一実施形態を示す概略的な基本図である。
【
図4b】別の一実施形態を示す概略的な基本図である。
【
図5】別の一実施形態のホルダを示す概略的な基本図である。
【0197】
図中、同一の要素または同じ機能を有する要素を同じ参照番号で表している。
【0198】
図1には、本発明による基板保持ユニット2および例示的なサブ機能部を備えた処理システム1の概略的な機能構造平面図が示されている。z方向もしくはz軸線は、保持面に対して垂直であり、または保持面に対する面法線として延在している。x方向、y方向もしくはx軸線、y軸線は、相互に垂直に、かつホルダの保持面に対して平行にまたは保持面内に延在している。
【0199】
x軸線を中心とした回転はρで、y軸線を中心とした回転はθで、z軸線を中心とした回転はφで表されている。
【0200】
特に、例えば酸化物除去、アモルファス化などの表面の機能化のような、表面変化のためのコーティングシステムおよび/または実装(ボンディング)システムおよび/または蒸着システムおよび/またはプラズマシステムとして構成される処理システム1、特に真空システムおよび/または高真空システムおよび/または超高真空システムの主機能部が構造平面図で示されている。
【0201】
処理システム1は、処理装置3により主機能を満足する。処理システム1は、基板4に接続される、つまり基板4を固定しかつ/または運動させる、本発明による基板保持ユニット2を含む。
【0202】
基板保持ユニット2の機能部は、共通に基板4に作用する静電モジュール5(ステータ5)と機械モジュール6(ロータ6)とに分割されている。これにより、基板保持ユニット2は、基板4の処理中、本発明による運動フローを実行可能である。
【0203】
接続線は、個々に構成されている部材の論理的結合および/または材料上の結合を意味するが、測定および/または制御システム、および/または供給システム、または基板4の処理部は詳細には図示されていない。特に、測定ピックアップ、データメモリ、論理回路、エネルギ流、ニューマチック流、ハイドロリック流、材料流およびこれらの関係は図示されていない。
【0204】
図2aには、本発明による基板保持ユニット2の機械モジュール6’の第1の例示的な実施形態の概略的な機能平面図が示されている。
【0205】
機械モジュール6’の6つの運動自由度の分割の論理シーケンスは、当該実施形態では直列に構築されている。ここで、基板4から見て、基板4の昇降が行われるz方向への並進6aは、特に処理装置3から基板4までの間隔の調整のために行われる。
【0206】
次の自由度に関しては、基板4につき、対応する装置により、z軸線を中心としたφでの回転6bが行われる。y軸線を中心とした回転6cおよびx軸線を中心とした回転6dの各運動に対しても、対応する装置が使用される。
【0207】
代替実施形態では、6c,6dは相互に交換可能であるので、特に、図示されていないカルダン配置および/またはボールジョイントデザインは当該回転に対して相互に等価であると考えることができる。したがって、基板保持ユニットのイノセントかつ誤差の小さい形状を達成することができる。
【0208】
命名規則の残りの並進にも同様に、これらが相互に交換可能でありうることが当てはまるが、ここでは、基板4につき、第5の自由度に関してy方向への並進6eが行われ、最後のもしくは第6の自由度に関してx方向への並進6fが行われる。
【0209】
したがって、全ての運動自由度が本発明による基板保持ユニットによってカバーされるが、処理システム1の駆動の冗長化、および/または特に粗ポジショニングと微ポジショニングとへの運動の分割のような駆動の統合を行うこともできる。
【0210】
図2bは、本発明による基板保持ユニット2の機械モジュール6’’の第2の例示的な実施形態の概略的な機能平面図である。ここでは、機械モジュール6’’が、基板4から見て、z軸線を中心とした回転6bの自由度、y軸線を中心とした回転6cの自由度およびx方向の並進6fの自由度を行うことができる。図示されていない続く実施形態では、座標軸および相応の駆動の別のシーケンスが可能であり、これにより、x方向での並進6fに代えて、y方向での並進6eが行われる。その後、x軸線を中心とした回転6dが行われる。z軸線を中心とした回転6bは、本発明による機能部として維持される。
【0211】
図2cは、本発明による基板保持ユニット2の機械モジュール6’’’の第3の例示的な実施形態の概略的な機能平面図である。運動自由度の可能な組み合わせが示されており、ここで、並列化により、特に、直接駆動部と、統合された機能部、特に位置検出および安定化および/またはアクティブな振動減衰および/またはアクティブな冷却および/またはアクティブな温度安定化および/または自己保持能力のための測定および制御システムとの適用が、本発明によれば好ましい。
【0212】
したがって、基板4から見て、y軸線を中心とした回転6cおよびx軸線を中心とした回転(6d)の双方ならびに後続のz軸線を中心とした回転6bの、イノセントかつ誤差の小さい配置が達成される。このことは、1次の傾動誤差の低減、特別な実施形態では1次の傾動誤差の消去にとって有利である。
【0213】
回転自由度6c,6d,6bのほか、x方向の並進6aならびにこれに平行なy方向の並進6eおよびx方向への並進6fも行われる。さらに、特に好ましい実施形態の利点は、組み合わされた駆動部、特に直接駆動部が使用される場合に、個々の運動要素数が低減されることにある。
【0214】
図3aは、本発明による静電式基板保持ユニット2の第1の実施形態の一部の側面図としての、縮尺通りでない概略的な断面図である。
【0215】
基板4の基板外面4aは、ホルダ7の保持面7h上に載置され、本発明によれば、静電モジュール5’によって示されている静電手段により固定される。
【0216】
ホルダ7は、転動エレメント8により別の運動装置9に結合される。本発明による当該実施形態では、クーロン効果による静電力を展開する基板保持ユニット2が示されている。
【0217】
転動エレメント8は、軸受、特にスラスト軸受および/またはラジアックス軸受として形成可能である。したがって有利には、最大の摩擦および粒子発生を有する位置が構造的に基板から遠ざけられるように形成可能である。
【0218】
間隔または空間により、静電モジュール5’からの純粋に機械的な部材7,8,9の分離が表されている。
【0219】
カルテシアン座標系の座標方向x,y,zが概略的に示されている。ここでは抽象的な機能図であるので、駆動部、および/または供給ユニット、および/または測定および制御装置は図示されていない。エネルギ流および材料流ならびに運動フローも図示されていない。
【0220】
図3bは、本発明による静電式基板保持ユニット2の第2の実施形態の一部の側面図としての、縮尺通りでない概略的な断面図である。
【0221】
基板4の基板外面4aは、ホルダ7’の保持面7h’上に載置され、本発明によれば、静電モジュール5’’によって示されている静電手段により固定されている。ホルダ7’は、転動エレメント8により別の運動装置9に結合される。
【0222】
本発明による当該実施形態では、ジョンセン‐ラーベック効果による静電力を展開する基板保持ユニット2が示されている。
【0223】
転動エレメント8は、軸受、特にスラスト軸受および/またはラジアックス軸受として形成可能である。したがって、有利には、最大の摩擦および粒子発生を有する位置が構造的に基板4から遠ざけられるように形成可能である。
【0224】
静電転動エレメント10は、ホルダ7’を静電モジュール5’’に結合する。基板4とホルダ7’および静電転動エレメント10との静電結合は、静電モジュール5’’によって行われる。
【0225】
部材7’,8と部材9との機械的結合部は、静電結合部から分離されている。
【0226】
ここでは抽象的な機能図であるので、駆動部、および/または供給ユニットおよび/または測定および制御装置は図示されていない。エネルギ流および材料流ならびに運動フローも図示されていない。
【0227】
図4aには、本発明による静電モジュール5
iiiの第3の実施形態の平面図として、概略的な基本図が示されている。ここでは、電極11が同心のリングとして延在している。
【0228】
電極11は、特に少なくとも1つのソースと少なくとも1つのドレインとの接続により、静電保持力を形成することができる。複数対の電極11が使用される場合、目的に合わせたシーケンスで接続される電極11により基板4を平滑に引き出し、ついで保持することができる。本発明によれば、基板が最小限の歪みしか有さないようにこれを保持することが重要である。平滑な引出しのために、特には、まず小さな直径の電極対を基板の中央に固定し、次第に大きな直径の電極対へと接続することができる。これにより、連続した平滑な引出しが行われるので、薄膜化された基板が付加的な振動または圧力に曝されない。
【0229】
図4bには、本発明による静電モジュール5
ivの第4の実施形態の平面図としての概略的な基本図が示されている。ここでは、各電極11’が扇形部分として延在している。
【0230】
電極11’は、特に少なくとも1つのソースと少なくとも1つのドレインとの接続により、静電保持力を形成することができる。複数対の電極11’が使用される場合、目的に合わせたシーケンスで接続される電極11’により基板4を平滑に引き出し、ついで保持することができる。特に、相互に向かい合う電極が接続可能となるので、連続したロールアウトおよび保持が可能である。
【0231】
電極11,11’および電極対の別の形態は図示されていない。ただし、本発明によれば、面積の点で最適化された、特に円形もしくは六角形もしくは四角形の電極を使用することができる。
【0232】
図5には、本発明による静電式基板保持ユニット2の別の実施形態のホルダ7’’の側面図として、概略的な基本図が示されている。
【0233】
保持面7h’’は、特にプレーナに(平坦に)形成されている。間隔Tは、電極11’’ら保持面7h’’までの間隔である。
【0234】
間隔Tは、静電力の設計のためシミュレーションの目的で使用可能であり、好ましくは最小である。
【0235】
本発明による当該実施形態では、電極11’’はホルダ7’’のラジアル方向の凹部内に取り付けられている。ホルダ7’’は回転可能であり、電極11’’は(ホルダ7’’に関して)定置に構成されている。間隔Hは、特に最適化された機能部高さ、特にホルダ7’’の厚さを示している。