【実施例】
【0017】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎない。本発明の範囲がこれらの実施例に限定されると解釈されないことは、当業分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0018】
実施例1:溶媒キャスティングを用いたヒアルロン酸塩フィルムの製造
1−1:分子量の変化によるフィルム形成能の確認
ヒアルロン酸塩の分子量によるフィルム形成能を確認するために、分子量0.1MDa、0.8MDa、1.2MDa、2.5MDaの合計4種のヒアルロン酸ナトリウム(ヒアルロン酸塩(Hi−Aqua
TM)、(株)ジヌバイオ)を20体積%のエタノール水溶液に0.5〜10.0重量%の濃度で溶解させた後、それぞれをアクリルモールドに注入し、恒温恒湿乾燥機(相対湿度50%、温度40℃)で6〜24時間乾燥させてヒアルロン酸塩フィルムを製造した。
その結果、分子量が0.8、1.2、2.5MDaの場合には、0.5%以上の濃度でフィルムがよく形成されたが、分子量が0.1MDaの場合には、5%以上の濃度で溶解してこそフィルムがよく形成されることを確認することができた。
製造されたヒアルロン酸塩フィルムの水分含有量を水分含有量測定器で測定した結果、0.1MDaのフィルムは11重量%、0.8MDaのフィルムは13重量%、1.2MDaのフィルムは15重量%、2.5MDaのフィルムは30重量%の水分を含有していることが分かった。HA自体の優れた水分含有量により、水分含有量10%未満のフィルムは製造が不可能であり、フィルム内の水分含有量はヒアルロン酸の分子量に応じて10〜30%程度であることが分かった。
【0019】
1−2:溶媒の条件によるフィルム形成能の確認
溶媒の条件によるフィルム形成能を確認するために、分子量1.2MDaのヒアルロン酸ナトリウムを0〜30体積%のエタノール水溶液に1.0重量%の濃度で溶解させた後、それぞれをアクリルモールドに注入し、恒温恒湿乾燥機(相対湿度50%、温度40℃)で12時間乾燥させてヒアルロン酸塩フィルムを製造した。
その結果、エタノール水溶液中のエタノールの濃度が0〜20体積%である場合には、透明なフィルムが非常によく形成されるが、これに対し、エタノールの濃度が30体積%である場合には、ヒアルロン酸塩がよく溶解されないためフィルムがよく形成されないことを確認することができた(
図1)。
また、100%の水のみを用いてフィルムを製造する場合には、間欠的に微生物に汚染されてフィルムが不透明に形成されるが、これに対し、エタノールの含有量が5%以上の場合には、フィルム化過程で微生物汚染がほとんど発生しなかった。
エタノール水溶液中のエタノールの濃度が増加することにより、より速い時間内にフィルムが形成されることが分かった。溶媒として精製水のみを使用する場合には、約24時間の乾燥時間が必要であるが、エタノール水溶液を使用する場合には、12時間以内にフィルム形成が可能であることを確認することができた。
【0020】
1−3:乾燥条件によるフィルム形成能の確認
乾燥条件によるフィルム形成能を確認するために、分子量1.2MDaのヒアルロン酸ナトリウムを20体積%のエタノール水溶液に1.0重量%の濃度で溶解させ、それぞれをアクリルモールドに注入した後、恒温恒湿乾燥機(相対湿度50〜90%と温度30〜60℃)で12時間以上乾燥させてヒアルロン酸塩フィルムを製造した。
その結果、相対湿度80%以上では24時間以上乾燥させてもフィルムが形成されておらず、温度が30℃から40℃に高くなるほどより速い時間(12時間から24時間)内にフィルムが形成されることが分かった。
ヒアルロン酸塩は、50℃以上の温度で長時間放置したときに分子量が減少して機械的物性が低下するおそれがあるので、50℃以下で乾燥させることが好ましい。
【0021】
比較例1:循環乾燥機を用いたフィルム形成能の確認
恒温恒湿乾燥機の代わりに循環乾燥機(Convection Oven)を用いて40℃で12時間以上一般乾燥させた以外は、実施例1−3と同様にしてヒアルロン酸塩フィルムを製造した。製造されたフィルムの形態を確認した結果、表面にシワができ、一部の気泡が含有されたフィルムが形成されたことを確認することができた。
比較例2:真空乾燥機を用いたフィルム形成能の確認
恒温恒湿乾燥機の代わりに真空乾燥機(〜0.05mbar)を用いて40℃で12時間以上乾燥させた以外は、実施例1−3と同様にしてヒアルロン酸塩フィルムを製造した。製造されたフィルムの形態を確認した結果、表面にシワができ、両端の捲れたフィルムが形成されたことを確認することができた。
【0022】
実験例1:ヒアルロン酸塩フィルムの機械的物性の測定
分子量0.8MDa、1.2MDa及び2.5MDaのヒアルロン酸ナトリウム(ヒアルロン酸塩(Hi−Aqua
TM)、(株)ジヌバイオ)を20体積%のエタノール水溶液に1.0重量%の濃度で、分子量0.1MDaのヒアルロン酸を5重量%の濃度でそれぞれ溶解させ、それぞれをアクリルモールドに注入した後、恒温恒湿乾燥機(相対湿度50%、温度40℃)で12時間乾燥させてヒアルロン酸塩フィルムを製造した。
製造されたヒアルロン酸塩フィルムの機械的物性を測定するために、TA−XT2i Texture Analyzer(Stable Micro System、UK)を用いて製造されたフィルムを3cm×5cmに切り、引張グリップ(Tensile grips)部分に装着した後、引張強さ及び伸び率を測定し、その結果を表1に示した。
【表1】
【0023】
表1から分かるように、分子量0.1MDaのヒアルロン酸塩フィルムの引張強さは15.1Mpaであり、伸び率は3%であり、分子量0.8MDaのヒアルロン酸塩フィルムの引張強さは111.1Mpaであり、伸び率は35%であり、分子量1.2MDaのヒアルロン酸塩フィルムの引張強さは151.5Mpaであり、伸び率は45.5%であり、分子量2.5MDaのヒアルロン酸塩フィルムの引張強さは300.0Mpaであり、伸び率は65.0%であった。すなわち、製造されたヒアルロン酸塩フィルムは、機械的物性に優れ、分子量が増加するにつれて引張強さ及び伸び率が増加することが分かった。
【0024】
実験例2:ヒアルロン酸塩フィルムの微生物に対する安定性の測定
総菌数は、検体中に存在する細菌のうち、標準寒天培地内で発育することができる菌の数をいう。ヒアルロン酸塩フィルムの微生物に対する汚染安定性を評価するために、検体と標準寒天培地をペトリ皿に混合凝固させ、培養した後に発生した細菌の集落数から検体中の生菌数を算出した。
(1)試液及び試薬の準備
−標準寒天培地(Plate count agar)
Tryptone5.0g、Yeast extract:2.5g、Dextrose1.0gおよびAgar15.0gに蒸留水を加えて1,000mLに作り、pH7.0±0.2に調整した後、121℃で15分間滅菌した。
−滅菌生理食塩水
0.9%塩化ナトリウム水溶液で121℃にて15分間滅菌して使用した。
(2)試験方法
実験例1で製造された分子量1.2MDaを用いたヒアルロン酸塩固体フィルムと分子量1.2MDaのヒアルロン酸塩を一般精製水に1%体積で溶解させた液状製品をそれぞれ一般実験室に15日間暴露させた。
次に、ヒアルロン酸塩フィルムと、ヒアルロン酸塩液0.5gをそれぞれ滅菌生理食塩水50mLに溶解させた後、43〜45℃の滅菌された標準寒天培地250mLに投入し、振とうして混合した。
培地が固まる前にペトリ皿に混合液を注ぎ、冷却凝固させた後、35±1℃で24〜48時間培養した。培養後、生成された集落(コロニー)の数を測定し、これを0.5gに分けて総菌数を測定した後、その結果を表2に示した。
【表2】
【0025】
表2から分かるように、15日間空気暴露後、1%ヒアルロン酸塩溶液の場合には、微生物は1,500〜5,000cfu程度であるが、ヒアルロン酸塩フィルムの場合には、微生物は0〜8cfu程度であって暴露前とほぼ変化がない。
【0026】
実施例2:自動塗布機キャスティングを用いたヒアルロン酸塩フィルムの製造
2−1:分子量の変化によるフィルム形成能の確認
ヒアルロン酸塩の分子量によるフィルム形成能を確認するために、分子量0.1MDa、0.8MDa、1.2MDa、1.5MDa及び2.5MDaの合計5種のヒアルロン酸ナトリウム(Hi−Aqua
TM)((株)ジヌバイオ)を20体積%のエタノール水溶液に0.1〜30重量%の濃度で溶解させた後、300cPs未満(低粘度)、300〜100,000cPs(最適粘度)および100,000cPs超過(高粘度)で製造した後、自動塗布機(COAD411、義王機械、韓国)のアプリケータを調節して厚さ0.025〜5mmのフィルムをキャスティングし、恒温恒湿乾燥機(相対湿度50%、温度40℃)で6〜24時間乾燥させてヒアルロン酸塩フィルムを製造し、粘度によるフィルムの状態を
図4に示した。
自動塗布機を用いたフィルムの製造のためのヒアルロン酸塩の粘度は、次の条件の下で測定した。
測定機器Brookfield RV−II粘度計(Spindle No.7、12rpm、25℃)
図4に示すように、ヒアルロン酸塩の分子量に関係なく、ヒアルロン酸塩溶液の粘度値が300cPs未満(低粘度)である場合には、フィルムが形成されておらず、300〜100,000cPs(最適粘度)である場合には、自動塗布機によって表面が均一なフィルムの製造が可能であったが、100,000cPs超過(高粘度)である場合には、表面が互いに凝集して不均一な外形を持つためフィルムが形成されないことを確認することができた。
【0027】
2−2:乾燥条件によるフィルム形成能の確認
乾燥条件によるフィルム形成能を確認するために、分子量1.2MDaのヒアルロン酸ナトリウムを10体積%のエタノール水溶液に2.0重量%の濃度で溶解させた後、自動塗布機内のアプリケータでフィルムの厚さを0.1mmに調節してキャスティングし、恒温恒湿乾燥機(相対湿度50〜90%と温度30〜60℃)と循環乾燥機(温度30〜60℃)で6〜24時間乾燥させてヒアルロン酸塩フィルムを製造し、乾燥条件によるフィルムの状態を確認した。
その結果、自動塗布機によって製造されたヒアルロン酸塩フィルムは、恒温恒湿乾燥機だけでなく、循環乾燥機においてもフィルムの表面が非常に均一によく形成されることが確認することができた。
また、循環乾燥機を用いる場合には、恒温恒湿乾燥機でより乾燥時間が12時間以上短縮され、より迅速にヒアルロン酸塩フィルムを生産することができることを確認することができた。
【0028】
比較例3:ヒアルロン酸塩溶液の粘度によるフィルム形成能の確認
ヒアルロン酸塩溶液の粘度によるフィルムキャスティングによるフィルム形成能を確認するために、分子量0.1〜2.5MDaのヒアルロン酸ナトリウム(Hi−Aqua
TM)((株)ジヌバイオ)を10体積%のエタノール水溶液に0.1〜30重量%の濃度で溶解させた後、自動塗布機のアプリケータでフィルムの厚さを0.1mmに調節してキャスティングし、恒温恒湿乾燥機(相対湿度50%と温度50℃)で24時間以上乾燥させてヒアルロン酸塩フィルムを製造し、粘度によるフィルムの状態を確認した。
その結果、ヒアルロン酸塩の分子量に関係なく、ヒアルロン酸塩溶液の粘度値が300cPs未満(低粘度)の場合には、フィルム形成が不可能であり、ヒアルロン酸塩溶液の粘度値が100,000cPsを超える(高粘度)場合には、過度な粘性により、表面が均一なフィルム形成が不可能であるが、最適粘度での乾燥時に表面が均一なフィルムが形成されることを確認することができた。
【0029】
比較例4:フィルムの厚さによるフィルム形成能の確認
自動塗布機のアプリケータの厚さ調節によるヒアルロン酸塩のフィルム形成能を確認するために、分子量1.2MDaのヒアルロン酸ナトリウムを10体積%のエタノール水溶液に2.0重量%の濃度で溶解させた後、フィルムアプリケータでフィルムの厚さを0.024〜5.001mmに調節してキャスティングし、恒温恒湿乾燥機(相対湿度50%と温度50℃)で24時間以上乾燥させてヒアルロン酸塩フィルムを製造し、乾燥条件によるフィルムの状態を確認した。
図5に示すように、フィルムの厚さが0.025mm未満の場合には、フィルムの表面に凹凸があって活用が困難であり、フィルムの厚さが5mmを超える場合には、成形が不可能な状態にキャスティングされ、成形がなされてもフィルムの表面が均一ではなく、乾燥時間も長くかかってフィルムの製造に適さないことを確認することができた。
【0030】
実験例3:ヒアルロン酸塩フィルムの機械的物性の測定
実施例2−1で製造されたヒアルロン酸塩フィルムの機械的物性を測定するために、TA−XT2i Texture Analyzer(Stable Micro System、UK)を用いて製造されたフィルム(厚さ:1mm)を3cm×5cmに切り、引張グリップ(Tensile grips)部分に装着した後、引張強さ及び伸び率を測定し、その結果を表3に示した。
【表3】
【0031】
ヒアルロン酸塩フィルムの機械的物性測定結果、機械的物性は、ヒアルロン酸塩の濃度またはヒアルロン酸の溶液の粘度には影響されず、分子量に影響されるということが分かった。
表3より、ヒアルロン酸塩の分子量が高くなるほど、引張強さが30から321MPaに増加し、伸び率は12%から68%に増加したことが分かった。
【0032】
実験例4:ヒアルロン酸塩フィルムの水分含有量の測定
実施例2−1で製造されたヒアルロン酸塩フィルムの水分含有量を測定するために、製造されたフィルム(厚さ:1mm)の水分含有量を水分測定器で測定し、その結果を表4に示した。
【表4】
【0033】
表4に示すように、製造されたヒアルロン酸塩フィルムの水分含有量を水分含有量測定器で測定した結果、12〜30重量%であることを確認することができた。実施例1−3の溶媒キャスティングによるフィルムと同様に、HA自体の優れた水分含有量により、水分含有量10%未満のフィルムは製造が不可能であり、フィルム内の水分含有量はヒアルロン酸の分子量に応じて10〜30重量%程度になることが分かった。
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したので、当業分野における通常の知識を有する者にとって、このような具体的記述は好適な実施様態に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とそれらの等価物によって定義されるというべきである。