特許第6985407号(P6985407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985407触感フィルム及びその製造方法、成形体並びに指滑り性向上方法
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  • 特許6985407-触感フィルム及びその製造方法、成形体並びに指滑り性向上方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985407
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】触感フィルム及びその製造方法、成形体並びに指滑り性向上方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20211213BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C08J5/18CEY
   B32B27/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-550977(P2019-550977)
(86)(22)【出願日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】JP2018037832
(87)【国際公開番号】WO2019082664
(87)【国際公開日】20190502
【審査請求日】2019年11月29日
(31)【優先権主張番号】特願2017-206411(P2017-206411)
(32)【優先日】2017年10月25日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100142594
【弁理士】
【氏名又は名称】阪中 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
(72)【発明者】
【氏名】林 正樹
【審査官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−085371(JP,A)
【文献】 特開2004−126495(JP,A)
【文献】 特開2013−077135(JP,A)
【文献】 特開2012−219221(JP,A)
【文献】 特開2015−034286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J5/00−5/02、5/12−5/22、
B32B1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の表面が、接触子の移動速度v(mm/s)を変化させて相対動摩擦係数μを測定したとき、前記移動速度の常用対数であるlog(v)を横軸、μを縦軸として線形フィッティングで得られた直線の傾きaが0.015〜0.08であり、かつ切片bが0.35以下である摩擦特性を有する触感フィルム。
【請求項2】
硬化性樹脂を含む硬化性組成物の硬化物で形成され、かつ最表層に配設された触感層を含むとともに、この触感層の表面が、0.015〜0.08の傾きa及び0.35以下の切片bの直線で表される摩擦特性を有する請求項1記載の触感フィルム。
【請求項3】
硬化性樹脂が、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体、ウレタン(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群より選択された少なくとも1種を含む請求項2記載の触感フィルム。
【請求項4】
硬化性組成物が、セルロースエステルをさらに含む請求項2又は3記載の触感フィルム。
【請求項5】
硬化性組成物が、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート及びセルロースエステルを含む請求項2〜4のいずれかに記載の触感フィルム。
【請求項6】
硬化性組成物が、微粒子を含まない請求項2〜5のいずれかに記載の触感フィルム。
【請求項7】
透明樹脂で形成された基材層の上に触感層が積層されている請求項2〜6のいずれかに記載の触感フィルム。
【請求項8】
硬化性樹脂を含む硬化性組成物を硬化する硬化工程を含む請求項1〜7のいずれかに記載の触感フィルムの製造方法。
【請求項9】
表面に請求項1〜7のいずれかに記載の触感フィルムを備えた成形体。
【請求項10】
タッチパネルディスプレイである請求項9記載の成形体。
【請求項11】
触感フィルムの少なくとも一方の表面を、接触子の移動速度v(mm/s)を変化させて相対動摩擦係数μを測定したとき、前記移動速度の常用対数であるlog(v)を横軸、μを縦軸として線形フィッティングで得られた直線の傾きaが0.015〜0.08であり、かつ切片bが0.35以下である摩擦特性を有する表面形状に調整することにより、触感フィルムの指滑り性を向上する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイ、家電製品の筐体、建築材料などの各種成形体の表面に滑り性(特に、指滑り性)を付与できる触感フィルム及びその製造方法、成形体並びにこのフィルムの滑り性(特に、指滑り性)向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)やスマートフォンなどにおけるタッチパネルディスプレイ、家電製品の筐体、建築材料などの各種成形体の表面には、傷が付くことを防止するためや、触り心地を向上させるために、表面保護層又はカバー層として、ハードコートフィルムを貼る方法やハードコート処理を施す方法が知られている。このハードコートフィルムやハードコート層には、手で触れたときの滑りの良さが求められるが、滑り性の向上方法としては、従来から、シリコーン化合物やフッ素化合物を含むハードコート処理を施すことにより、滑り性を向上させるのが一般的である。
【0003】
特開2007−264281号公報(特許文献1)には、光学積層体に用いられるハードコート層であって、防汚染剤及び/又は滑り性付与剤として、ケイ素系化合物、フッ素系化合物又はこれらの混合物を含んでなり、前記ハードコート層の最表面をXPS解析した場合に、ケイ素原子の存在率が10%以上であり、及び/又はフッ素原子の存在率が20%以上であるハードコート層が開示されている。
【0004】
また、WO2008/038714(特許文献2)には、基材と、この基材上に形成された光学機能層と、前記光学機能層上に形成され、表面の元素割合がケイ素元素(Si)と炭素元素(C)の比Si/Cが0.25〜1であり、フッ素元素(F)と炭素元素(C)の比F/Cが0.1〜1であり、流動パラフィン接触角及び転落角が65°以上及び15°以下であり、黒マジック接触角及び転落角が35°以上及び15°以下であり、かつ動摩擦係数が0.15未満である防汚層とを有する光学機能フィルムが開示されている。
【0005】
しかし、これらのハードコート層及び防汚層では、シリコーン化合物やフッ素化合物により表面の動摩擦係数を低減することはできるが、実際の指滑り性との相関関係は見られず、指滑り性は十分ではなかった。また、表面が撥水性となるため、親水性や親油性を必要とする用途に使用できず、用途が制限されてしまっていた。
【0006】
また、指滑り性を向上させる方法としては、表面に傾斜の高い独立した凹凸形状を付与する方法も知られているが、凹凸形状の傾斜だけでは、十分な指滑り性は得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−264281号公報(請求項1)
【特許文献2】WO2008/038714(請求の範囲第1項)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、滑り性(特に、指滑り性)に優れた触感フィルム及びその製造方法、成形体並びにこのフィルムの滑り性(特に、指滑り性)向上方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、フィルム表面の摩擦特性を、接触子の移動速度v(mm/s)を変化させて相対動摩擦係数μを測定したとき、前記移動速度の常用対数であるlog(v)を横軸、μを縦軸として線形フィッティングで得られた直線の傾きaが0.015以上であり、かつ切片bが0.15以下である摩擦特性に調整することにより、滑り性(特に、指滑り性)を向上できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明のフィルム(触感フィルム)は、少なくとも一方の表面が、接触子の移動速度v(mm/s)を変化させて相対動摩擦係数μを測定したとき、前記移動速度の常用対数であるlog(v)を横軸、μを縦軸として線形フィッティングで得られた直線の傾きaが0.01以上であり、かつ切片bが0.6以下である摩擦特性を有する。前記フィルムは、硬化性樹脂を含む硬化性組成物の硬化物で形成され、かつ最表層に配設された触感層を含むとともに、この触感層の表面が、0.01以上の傾きa及び0.6以下の切片bの直線で表される摩擦特性を有していてもよい。前記硬化性樹脂は、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体、ウレタン(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群より選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。前記硬化性組成物は、セルロースエステルをさらに含んでいてもよい。前記硬化性組成物は、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート及びセルロースエステルを含んでいてもよい。前記硬化性組成物は、微粒子を含まなくてもよい。前記フィルムは、透明樹脂で形成された基材層の上に触感層が積層されていてもよい。
【0011】
本発明には、硬化性樹脂を含む硬化性組成物を硬化する硬化工程を含む前記フィルムの製造方法も含まれる。また、本発明には、表面に前記フィルムを備えた成形体も含まれる。この成形体は、タッチパネルディスプレイであってもよい。さらに、本発明には、フィルムの少なくとも一方の表面を、接触子の移動速度v(mm/s)を変化させて相対動摩擦係数μを測定したとき、前記移動速度の常用対数であるlog(v)を横軸、μを縦軸として線形フィッティングで得られた直線の傾きaが0.01以上であり、かつ切片bが0.6以下である摩擦特性を有する表面形状に調整することにより、フィルムの指滑り性を向上する方法も含まれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、フィルム表面が特定の摩擦特性に調整されているため、滑り性(特に、指滑り性またはさわり心地)を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例1〜4及び比較例1〜4における触感層表面の移動速度の対数と相対動摩擦係数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[触感フィルム]
本発明のフィルム(触感フィルム)は、少なくとも一方の表面が、接触子の移動速度v(mm/s)を変化させて相対動摩擦係数μを測定したとき、前記移動速度の常用対数であるlog(v)を横軸、μを縦軸として線形フィッティングで得られた直線が下記式を充足する。
【0015】
μ=a×log(v)+b
(式中、a≧0.01、b≦0.6である)。
【0016】
本発明では、前記直線の傾きa及び切片bが前記範囲を充足することにより、指で触感フィルムの表面をなぞった(擦った)とき、動摩擦力が指の移動速度に対して単調増加する摩擦特性を有するため、指滑り性を向上できる。指滑り性が向上する理由の詳細は、不明であるが、一般的に、物体を移動させる際に最も力が必要なのは、力積が大きくなる動く瞬間であることに起因していると推定できる。すなわち、本発明の触感フィルムは、初期の動摩擦力が小さく、移動速度の上昇に伴い漸増する特性を有するため、軽い力で指を動かすことができ、かつそのまま円滑に(小さい摩擦感で)指を滑らすことができると推定できる。
【0017】
前記傾きaは、0.01以上であればよいが、例えば0.01〜0.15、好ましくは0.02〜0.12、さらに好ましくは0.03〜0.1(特に0.04〜0.08)程度であってもよい。傾きaが小さすぎると、切片bが大きいときに指滑り性が低下する。一方、傾きaが大きすぎると、速度が大きいときに指滑り性が低下する虞がある。
【0018】
前記切片b[log(v)が0のときのμ値]は、0.6以下であればよいが、例えば0〜0.5、好ましくは0〜0.45、さらに好ましくは0〜0.4(特に0〜0.35)程度であってもよい。切片bが大きすぎると、滑り始めの引っ掛かり感が大きく、指滑り性が低下する。
【0019】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、動摩擦力は、静動摩擦測定機を用いて測定でき、詳細には、後述の実施例に記載された方法で測定できる。また、相対動摩擦係数は、同一の荷重で測定したフィルムの動摩擦力を、ガラスを検体として測定した動摩擦力で除した値であり、詳細には、後述の実施例に記載された方法で測定できる。この相対動摩擦係数は、安定したガラス表面の動摩擦力との相対値として、フィルムの摩擦特性を評価しているため、人工皮膚の経時変化による誤差を緩和した信頼性の高い評価である。さらに、傾きa及び切片bを求めるための線形フィッティングは、例えば、マイクロソフト社のソフトウエア「エクセル」を用いて、直線近似することにより自動的に求めてもよい。
【0020】
本発明の触感フィルムは、少なくとも一方の表面の前記摩擦特性を有していればよく、フィルムの材質や構造は、特に限定されない。
【0021】
構造について、本発明の触感フィルムは、例えば、少なくとも一方の表面の摩擦特性が前記範囲に調整されている単層フィルムであってもよく、表面の摩擦特性が前記範囲に調整されている触感層を含む積層体であってもよい。
【0022】
(単層フィルム及び触感層)
単層フィルム及び触感層の材質は、前述のように限定されず、各種の有機材料(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など)や無機材料(ガラス、セラミックス、金属など)から選択できるが、生産性などの点から、硬化性樹脂を含む硬化性組成物の硬化物が好ましい。
【0023】
硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれであってもよいが、生産性などの点から、(メタ)アクリル系光硬化性樹脂が汎用される。また、(メタ)アクリル系樹脂は、透明性にも優れるため、タッチパネルディスプレイなどの光学用途の保護フィルムとして好適に利用できる。
【0024】
(メタ)アクリル系光硬化性樹脂としては、例えば、多官能性(メタ)アクリレート[例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの2〜8程度の重合性基を有する(メタ)アクリレートなど]、エポキシ(メタ)アクリレート[2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性エポキシ(メタ)アクリレート]、ポリエステル(メタ)アクリレート[2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性ポリエステル(メタ)アクリレート]、ウレタン(メタ)アクリレート[2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性ウレタン(メタ)アクリレート]、シリコーン(メタ)アクリレート[2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性シリコーン(メタ)アクリレート]、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体などが挙げられる。これらの硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0025】
これらの硬化性樹脂のうち、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体が好ましく、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体が特に好ましい。重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系重合体のカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、エポキシ基含有(メタ)アクリレート(例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートなど)のエポキシ基を反応させて、側鎖に重合性基(光重合性不飽和基)を導入した(メタ)アクリル系重合体(ダイセル・オルネクス(株)製「サイクロマーP」)であってもよい。
【0026】
重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体は、ウレタン(メタ)アクリレート及び/又はシリコーン(メタ)アクリレートと組み合わせるのが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートと組み合わせるのが特に好ましい。
【0027】
重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体と、ウレタン(メタ)アクリレート及び/又はシリコーン(メタ)アクリレートとを組み合わせる場合、ウレタン(メタ)アクリレートの割合は、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、例えば10〜300重量部、好ましくは100〜200重量部、さらに好ましくは120〜180重量部程度である。シリコーン(メタ)アクリレートの割合は、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部程度である。
【0028】
硬化性組成物は、前記硬化性樹脂に加えて、セルロースエステルをさらに含んでいてもよい。セルロースエステルとしては、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−6アシレートなどが挙げられる。これらのセルロースエステルは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2―4アシレートが好ましく、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテートC3−4アシレートが特に好ましい。セルロースエステルの割合は、硬化性樹脂100重量部に対して、例えば0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部(特に3〜5重量部)程度である。
【0029】
硬化性組成物は、前記硬化性樹脂に加えて、微粒子をさらに含んでいてもよい。微粒子としては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子などの無機微粒子、(メタ)アクリル系単量体とスチレン系単量体との共重合体粒子、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子、架橋スチレン系樹脂粒子などの有機微粒子などが挙げられる。これらの微粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子などが汎用される。微粒子の平均粒径は、例えば0.2〜30μm、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜15μm程度である。微粒子の割合は、硬化性樹脂100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部(特に0.4〜1重量部)程度である。
【0030】
なお、本発明では、硬化性樹脂[特に、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体と、ウレタン(メタ)アクリレート及び/又はシリコーン(メタ)アクリレートとの組み合わせ]と、セルロースエステルとを組み合わせる場合、微粒子を用いることなく、前記摩擦特性を有する表面を形成できる。
【0031】
硬化性組成物は、前記硬化性樹脂に加えて、慣用の添加剤、例えば、重合開始剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤、水溶性高分子、充填剤、架橋剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、滑剤、ワックス、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤などが含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0032】
硬化性組成物が光硬化性組成物である場合、光硬化性組成物は、重合開始剤として、光重合開始剤を含んでいてもてよい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光重合開始剤には、慣用の光増感剤や光重合促進剤(例えば、第三級アミン類など)が含まれていてもよい。光重合開始剤の割合は、光硬化性樹脂100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部程度である。
【0033】
硬化前の硬化性組成物は、溶媒をさらに含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、ケトン類、エーテル類、炭化水素類、エステル類、水、アルコール類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類、スルホキシド類、アミド類などが例示できる。また、溶媒は混合溶媒であってもよい。これらの溶媒のうち、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)を含むのが好ましく、ケトン類とアルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)との混合溶媒が特に好ましい。溶媒の割合は、硬化性樹脂100重量部に対して、例えば30〜300重量部、好ましくは50〜250重量部、さらに好ましくは100〜200重量部程度である。
【0034】
単層フィルム及び触感層の平均厚みは、それぞれ、例えば1〜30μm、好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは4〜15μm(特に5〜10μm)程度である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、単層フィルム及び触感層の平均厚みは、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0035】
(積層体)
触感フィルムが積層体である場合、前記触感層が最表面に配設されていればよく、積層構造は特に限定されないが、生産性や取り扱い性などの点から、基材層の上に触感層が積層されている構造(基材層と、この基材層の一方の面に積層された触感層との積層体)が好ましい。
【0036】
基材層の材質は特に限定されず、各種の有機材料(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など)や無機材料(ガラス、セラミックス、金属など)から選択できるが、タッチパネルディスプレイなどの光学用途の保護フィルムとして利用される場合は、透明材料が好ましい。
【0037】
透明材料としては、例えば、ガラスなどの無機材料;セルロースエステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、(メタ)アクリル系重合体などの有機材料などが挙げられる。これらのうち、セルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネートなどが汎用される。
【0038】
セルロースエステルとしては、セルローストリアセテート(TAC)などのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3−4アシレートなどが挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリアルキレンアリレートなどが挙げられる。ポリカーボネートとしては、ビスフェノールA型ポリカーボネートなどが挙げられる。
【0039】
これらのうち、機械的特性や透明性などのバランスに優れる点から、PETやPENなどのポリC2−4アルキレンC8−12アリレート、ビスフェノールA型ポリカーボネートが好ましい。
【0040】
ポリエステルで形成された基材層は、1軸又は2軸延伸フィルムであってもよいが、低複屈折率であり、光学的に等方性に優れる点から、未延伸フィルムであってもよい。
【0041】
基材層は、表面処理(例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理など)されていてもよく、易接着層を有していてもよい。
【0042】
基材層の平均厚みは10μm以上であってもよく、例えば12〜500μm、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは30〜200μm程度である。
【0043】
(粘着層)
本発明の触感フィルムは、前記範囲の摩擦特性を有する表面の裏面(単層フィルムにおける触感フィルムの裏面や、基材層の表面など)の少なくとも一部に粘着層が形成されていてもよい。前記裏面に粘着層を形成した触感フィルムは、スマートフォンやタブレットPCなどのタッチパネルディスプレイにおける保護フィルムとしても使用可能である。
【0044】
粘着層は、慣用の透明な粘着剤で形成されている。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤(変性オレフィン系粘着剤など)、シリコーン系粘着剤などが例示できる。これらの粘着剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの粘着剤のうち、光学特性やリワーク性などの点から、シリコーン系粘着剤が好ましい。
【0045】
粘着層の平均厚みは、例えば1〜150μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜70μm(特に25〜50μm)程度である。
【0046】
粘着層は、裏面全体に形成されていてもよく、裏面の一部(例えば、周縁部)に形成してもいずれでもよい。さらに、周縁部に形成する場合、貼着のための取り扱い性を向上させる目的で、触感フィルムの周縁部に枠状部材(例えば、周縁部にプラスチックシートを積層)を形成し、枠状部材に粘着層を形成してもよい。
【0047】
[触感フィルムの製造方法]
本発明の触感フィルムの製造方法は、表面の摩擦特性を前記範囲に調整できる方法であれば、特に限定されず、触感フィルムの材質に応じて適宜選択でき、例えば、表面に特定の微細な凹凸形状を形成する方法で製造してもよい。具体的な製造方法としては、例えば、硬化性樹脂を含む硬化性組成物を硬化する硬化工程を含む方法(例えば、微粒子を含む硬化性組成物を、微粒子を突出させて硬化する方法、相分離可能な樹脂成分を含む硬化性組成物の前記樹脂成分を相分離させた後に硬化する方法など)、表面に凹凸構造を有する型を用いて転写する方法、切削加工によって凹凸構造を形成する方法(例えば、レーザーなどを利用した切削加工など)、研磨によって凹凸構造を形成する方法(例えば、サンドブラスト法やビーズショット法など)、エッチングによって凹凸構造を形成する方法などが挙げられる。
【0048】
これらの方法のうち、表面の摩擦特性が前記範囲に調整された触感フィルムを高い生産性で製造できる点から、硬化性樹脂を含む硬化性組成物を硬化する硬化工程を含む方法が好ましく、例えば、支持体(触感フィルムが積層体である場合、触感フィルムを構成する前記基材層)の上に、液状の硬化性組成物を塗布して乾燥した後、硬化させる方法であってもよい。
【0049】
塗布方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーターなどのコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。なお、必要であれば、塗布液は複数回に亘り塗布してもよい。
【0050】
乾燥温度は、例えば30〜120℃、好ましくは50〜110℃、さらに好ましくは60〜100℃(特に70〜90℃)程度である。乾燥時間は、例えば0.1〜10分、好ましくは0.3〜5分、さらに好ましくは0.5〜3分程度である。
【0051】
硬化方法は、硬化性樹脂の種類に応じて、活性光線(紫外線、電子線など)や熱などを付与する方法であればよく、光硬化性樹脂の場合、光照射は、光硬化樹脂などの種類に応じて選択でき、通常、紫外線、電子線などが利用できる。汎用的な露光源は、通常、紫外線照射装置である。
【0052】
光源としては、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを利用できる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なり、例えば10〜10000mJ/cm、好ましくは20〜5000mJ/cm、さらに好ましくは30〜3000mJ/cm程度である。光照射は、必要であれば、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
【0053】
このような硬化性組成物を硬化する方法において、表面の摩擦特性が前記範囲に調整された凹凸構造を形成する方法としては、前記硬化性組成物に微粒子を配合し、微粒子を突出させて硬化する方法(微粒子を利用する方法)、前記硬化性組成物に相分離可能な樹脂成分を配合し、この樹脂成分を相分離させた後に硬化する方法(相分離を利用する方法)などが挙げられる。
【0054】
微粒子を利用する方法では、表面から微粒子が突出した状態で、硬化性組成物を硬化させることにより、表面に凹凸構造を形成してもよい。
【0055】
相分離を利用する方法では、相分離可能な樹脂成分及び溶媒を含む組成物の液相から、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、組成物の濃縮に伴って、スピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)による相分離が生じ、相間距離が比較的規則的な表面凹凸構造(相分離構造)を形成してもよい。相分離を利用する方法としては、例えば、特開2007−187746、特開2008−225195、特開2009−267775、特開2011−175601、特開2014−85371号公報に記載の方法なども利用できる。相分離可能な樹脂成分の組み合わせとしては、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体と、ウレタン(メタ)アクリレートと、シリコーン(メタ)アクリレートと、セルロースエステルとの組み合わせが好ましい。
【実施例】
【0056】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた原料は以下の通りであり、得られた触感フィルムを以下の方法で評価した。
【0057】
[原料]
重合性基を有するアクリル系重合体:ダイセル・オルネクス(株)製「サイクロマーP」
セルロースアセテートプロピオネート:イーストマン社製「CAP−482−20」、アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75000
ウレタンアクリレート:新中村化学工業(株)製「UA−53H」
シリコーンアクリレート:ダイセル・オルネクス(株)製「EBECRYL1360」
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:ダイセル・オルネクス(株)製「DPHA」
ペンタエリスリトールテトラアクリレート:ダイセル・オルネクス(株)製「PETRA」
透光性シリカ粒子:デグサ社製「OK−500」(平均粒子径6.3μm,屈折率1.46)
スチレン−アクリル共重合粒子:積水化学工業(株)製「SMXシリーズ(平均粒子径3.5μm,屈折率1.56)」
ポリスチレン粒子:総研化学(株)製「SX−350H(平均粒子径3.5μm,屈折率1.59)」
光開始剤A:BASFジャパン(株)製「イルガキュア184」
光開始剤B:BASFジャパン(株)製「イルガキュア907」
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム:三菱樹脂(株)製「ダイアホイル」
ポリカーボネート(PC)フィルム:Sabic社製「LEXAN」。
【0058】
[触感層の厚み]
光学式膜厚計を用いて、任意の10箇所を測定し、平均値を算出した。
【0059】
[相対動摩擦係数]
静動摩擦測定機((株)トリニティーラボ製「ハンディートライボマスターTL201Ts」)を用いて、測定条件(荷重20g重、速度25mm/秒)で動摩擦力を測定した。接触子として、5mm厚のスポンジシート(セメダイン社製「すきま用テープN−1」)に人工皮膚(ビューラックス社製「バイオスキン」)を貼り付けた接触子を使用し、接触子の移動速度を変えて動摩擦力を測定した。相対動摩擦係数は、測定対象であるフィルムの動摩擦力を、ガラス(ソーダライムガラス)を検体として測定した動摩擦力で除することによって求めた。
【0060】
[指滑り性]
指滑り性の評価は、25μm厚みのオプティカル・クリア・アドヒーシブ(OCA)フィルムを用いて、得られた触感フィルムの基材層側をガラス板に貼り付けたものを準備し、スマートフォンを操作する感覚でフィルム上(触感層)の表面を人差し指をスライドさせることで行った。20人の被験者に対して下記5段階の基準にて評価結果をヒアリングした。
【0061】
1点:指が滑りにくく、操作の途中でも引っかかる
2点:滑り始めに引っ掛かりがあり、滑り出した後の摩擦感が大きい
3点:滑り始めに引っ掛かりがあり、滑り出した後の摩擦感は小さい
4点:滑り始めにわずかに引っ掛かりがあるが、操作中には摩擦感を感じない
5点:滑り始めに引っ掛かりがなく、操作中に摩擦感を感じない。
【0062】
実施例1
重合性基を有するアクリル系重合体50重量部、セルロースアセテートプロピオネート4重量部、ウレタンアクリレート76重量部、シリコーンアクリレート1重量部、光開始剤A 1重量部、光開始剤B 1重量部を、メチルエチルケトン176重量部と1−ブタノール28重量部との混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#18を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約9μmの触感層を形成させた。そして、触感層に、高圧水銀ランプからの紫外線を約5秒間照射(積算光量約100mJ/cm照射)してUV硬化処理し、触感フィルムを得た。
【0063】
実施例2
重合性基を有するアクリル系重合体62.5重量部、セルロースアセテートプロピオネート5重量部、ウレタンアクリレート70重量部、シリコーンアクリレート1重量部、光開始剤A 1重量部、光開始剤B 1重量部を、メチルエチルケトン176重量部と1−ブタノール28重量部との混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#18を用いて、PCフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約9μmの触感層を形成させた。そして、触感層に、高圧水銀ランプからの紫外線を約5秒間照射(積算光量約100mJ/cm照射)してUV硬化処理し、触感フィルムを得た。
【0064】
実施例3
重合性基を有するアクリル系重合体50重量部、セルロースアセテートプロピオネート4重量部、ウレタンアクリレート38重量部、シリコーンアクリレート1重量部、透光性シリカ粒子10重量部、光開始剤B 1重量部を、メチルエチルケトン176重量部と1−ブタノール28重量部との混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#18を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約9μmの触感層を形成させた。そして、触感層に、高圧水銀ランプからの紫外線を約5秒間照射(積算光量約100mJ/cm照射)してUV硬化処理し、触感フィルムを得た。
【0065】
実施例4
重合性基を有するアクリル系重合体50重量部、セルロースアセテートプロピオネート11重量部、DPHA60重量部、シリコーンアクリレート7重量部、光開始剤A 2重量部、光開始剤B 1重量部をメチルエチルケトン222重量部と1−ブタノール45重量部との混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#16を用いて、PETフィルム上に流延した後、100℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約6μmの触感層を形成させた。そして、触感層に、高圧水銀ランプからの紫外線を約5秒間照射(積算光量約100mJ/cm照射)してUV硬化処理し、触感フィルムを得た。
【0066】
比較例1
重合性基を有するアクリル系重合体45重量部、セルロースアセテートプロピオネート4.5量部、DPHA46.5重量部、PETRA31重量部、光開始剤A 2重量部、光開始剤B 1重量部をメチルエチルケトン107重量部と1−ブタノール18重量部、メトキシプロパノール53重量部との混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#14を用いて、PETフィルム上に流延した後、100℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約8μmの触感層を形成させた。そして、触感層に、高圧水銀ランプからの紫外線を約5秒間照射(積算光量約100mJ/cm照射)してUV硬化処理し、触感フィルムを得た。
【0067】
比較例2
PETRA100重量部、スチレン−アクリル共重合粒子10重量部、ポリスチレン粒子16.5重量部を混合した。この混合物に溶剤としてトルエン133重量部及びシクロヘキサノン57重量部を配合して得られた粒子分散溶液を、ワイヤーバー#10を用いて、PETフィルム上に流延した後、90℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約5μmの触感層を形成させた。そして、触感層に、高圧水銀ランプからの紫外線を約5秒間照射(積算光量約100mJ/cm照射)してUV硬化処理し、触感フィルムを得た。
【0068】
比較例3
市販のスマートフォン向け保護シートであるPM−A15FLGM(ELECOM社製)はパッケージに「究極の指すべりフィルム」や「スーパースムースフィルム」と謳われているため、指滑りの良いフィルムの比較例として採用した。
【0069】
比較例4
市販のスマートフォン向け保護シートであるPM−A15FLST(ELECOM社製)はパッケージに「指すべりさらさら」や「スーパースムースフィルム」と謳われているため、指滑りの良いフィルムの比較例として採用した。
【0070】
実施例及び比較例で得られた触感フィルムの相対動摩擦係数μと接触子の移動速度の常用対数log(v)とを求めた結果を表1に示す。また、マイクロソフト社のソフトウエア「エクセル」を用いて、表1の結果をプロットしたグラフを図1に示す。さらに、グラフの各プロットに対して線形フィッティングを行い、その傾きと切片を求めた結果を表2に示し、各実施例及び比較例の触感フィルムに対して指滑り性の評価を行った結果も併せて表2に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
表1及び2の結果から明らかなように、実施例の触感フィルムは、指をスライドし始める瞬間にも引っかかりを感じることがなく、移動速度を上げてもスムーズにスライドできることを示しており、指滑り性に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の触感フィルムは、パーソナルコンピュータ(タブレットPCなど)やスマートフォンなどにおけるタッチパネルディスプレイ、家電製品の筐体、建築材料などの各種成形体の表面をカバーするための表面保護又はカバーフィルムとして利用でき、特に、手で触れて操作する箇所の滑り性を向上させることでさわり心地を高めるフィルムとして有用である。
図1