(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985420
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】3Dプリントインレイを備えたシールリング
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3236 20160101AFI20211213BHJP
F16J 15/3252 20160101ALI20211213BHJP
F16J 15/18 20060101ALI20211213BHJP
F16J 15/3232 20160101ALN20211213BHJP
【FI】
F16J15/3236
F16J15/3252
F16J15/18 C
F16J15/18 A
!F16J15/3232 101
!F16J15/3232 201
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-563412(P2019-563412)
(86)(22)【出願日】2018年5月9日
(65)【公表番号】特表2020-520435(P2020-520435A)
(43)【公表日】2020年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2018061987
(87)【国際公開番号】WO2018210653
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2020年10月9日
(31)【優先権主張番号】102017208285.2
(32)【優先日】2017年5月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519299094
【氏名又は名称】トレレボリ シーリング ソリューションズ ジャーマニー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Trelleborg Sealing Solutions Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】モニカ クルードゥ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ジャネッラ アッツォパルディ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ケック
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヴェーマン
【審査官】
羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−511012(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/173412(WO,A1)
【文献】
特開2016−118263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00−15/3296
F16J 15/46−15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの機械エレメント(32,36)の間に配置されたシール間隙(48)をシールするためのシールリング(10)であって、弾性変形可能なポリマ材料(12)と支持リング(14)とを含んでいて、該支持リング(14)は、少なくとも部分的に、前記ポリマ材料(12)内に形状結合式に埋め込まれており、前記支持リング(14)は、少なくとも部分的に多層の材料構造を備えた3Dプリント部品として形成されており、かつ前記支持リング(14)の前記多層の材料構造は、前記ポリマ材料(12)よりも大きな弾性モジュールを有しており、前記支持リング(14)は、当該シールリング(10)の中心軸線(16)に対して半径方向において、弾性的に拡幅可能であり、かつ形状安定的な第1のリングセグメント(40)と第2のリングセグメント(44)とを有していて、該第1のリングセグメント(40)は、当該シールリング(10)の周方向において、隣り合った前記第1のリングセグメント(40)との間に、前記第2のリングセグメント(44)を介在させて、枢着結合されている、
シールリング(10)。
【請求項2】
前記ポリマ材料(12)は、前記支持リング(14)に一体に射出成形されている、
請求項1記載のシールリング。
【請求項3】
当該シールリング(10)の前記ポリマ材料(12)は、前記支持リング(14)の材料よりも低い融点を有している、
請求項1または2記載のシールリング。
【請求項4】
前記第1のリングセグメント(40)は、それぞれ複数の異形ウェブ(88)によって形成されていて、該異形ウェブ(88)は、当該シールリング(10)の前記中心軸線(16)の方向において、互いに間隔をおいて相前後して位置するように配置されており、それぞれ2つの直接隣接して配置された第1のリングセグメント(40)の前記異形ウェブ(88)は、互いに交互に噛み合っていて、かつその交点(90)の領域において互いに枢着結合されている、
請求項1記載のシールリング。
【請求項5】
前記第1のリングセグメント(40)は、当該シールリング(10)の周方向において互いに間隔をおいて配置されていて、かつそれぞれ第2のリングセグメント(44)を介して互いに結合されており、該第2のリングセグメント(44)は、少なくとも部分的に弾性変形可能である、
請求項1記載のシールリング。
【請求項6】
前記第2のリングセグメント(44)は、それぞれ、第1および第2の異形脚(52,54)を備えた少なくとも1つの異形脚対(50)を有しており、前記第1および第2の異形脚(52,54)は、背側部分(56)を介して互いに結合されていて、かつ互いに相対的に弾性的に拡開可能である、
請求項5記載のシールリング。
【請求項7】
前記第2のリングセグメント(44)の少なくとも一部が、複数の異形脚対(50)を含んでおり、該異形脚対(50)は、周方向において相前後して並べられて配置されていて、かつ左側の前記異形脚対(50)の右端部と右側の前記異形脚対(50)の左端部とが互いに素材結合式に結合されている、
請求項6記載のシールリング。
【請求項8】
当該シールリング(10)の表面(46)は、少なくとも部分的に前記支持リング(14)によって形成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載のシールリング。
【請求項9】
前記支持リング(14)は、当該シールリング(10)の、前記ポリマ材料(12)によって形成された表面部分を越えて突出している、
請求項8記載のシールリング。
【請求項10】
前記支持リング(14)と前記ポリマ材料(12)は、少なくとも部分的に、前記支持リング(14)と前記ポリマ材料(12)を連続して軸方向に貫通して延びるように配置された1つの流体通路(74)または複数のこのような流体通路(74)を形成している、
請求項1から9までのいずれか1項記載のシールリング。
【請求項11】
当該シールリング(10)は、動的なシールエッジ(28)を備えたシールリップ(26)を有しており、前記支持リング(14)は、半径方向において、少なくとも部分的に、前記シールリップ(26)の外周面より露出されて配置されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載のシールリング。
【請求項12】
前記支持リング(14)は、部分的にまたは環状に、前記シールリップ(26)内に延びている、
請求項11記載のシールリング。
【請求項13】
前記支持リング(14)は、軸方向または半径方向に延びるように配置された貫通孔(42)を備えており、前記ポリマ材料は、前記貫通孔(42)内に延びている、
請求項1から12までのいずれか1項記載のシールリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールリングであって、弾性変形可能なポリマ材料と支持リングとを含んでいて、該支持リングが、少なくとも部分的に、ポリマ材料内に形状結合式に埋め込まれている、シールリングに関する。
【0002】
このようなシールリングは、実地において以前から、(アキシャルもしくはラジアル)軸シールリングの形態で、もしくはロッドシールリングもしくはピストンシールリングの形態でも使用されている。
【0003】
支持リングは、通常、シールリングの中心軸線に対して半径方向もしくは軸方向において、形状安定的に形成されていて、かつ多くの場合全周にわたって、あまり複雑ではない真円形の横断面形状を有している。
【0004】
支持リングおよびポリマ材料は、特にシールリングの大量生産時には、それぞれ異なった材料から成る射出成形部品として製造される。
【0005】
独国特許出願公開第102013104069号明細書に開示されたシールリングでは、支持リングは、ポリマ材料に比べて大きな弾性モジュールを備えた、硬質プラスチック製の3Dプリント部品として形成されている。本発明の課題は、簡単かつ安価に製造することができ、かつ比較的広い使用可能性を提供する、シールリングを提供することである。
【0006】
本発明に係るシールリングは、支持リングが、多層の材料構造を備えた3Dプリント部品として形成されており、かつこのとき支持リングの材料が、ポリマ材料よりも大きなモジュールを有していることによって傑出している。これによってシールリングは、一方では、簡単かつ安価な形式で製造することができる。3Dプリント部品として形成された支持リングは、比較的複雑な構造を有していて、かつこれによって従来得られなかった機能性を有することができる。支持リングの材料が、ポリマ材料よりも大きなモジュールを有していることによって、支持リングはポリマ材料を補強することができ、すなわち圧力荷重時における支持リングの形状変化を制限することができ、かつこれによってポリマ材料の不所望の変形を、ひいてはシールリングの不所望の変形を阻止することができる。ポリマ材料は、市場において得ることができるシールリングにおけるのと同様に、本発明によれば支持リングに一体に射出成形されていてもよい。支持リングは、シールリングの中心軸線に対して半径方向に弾性変形可能である。支持リングは、この場合ダブルの機能を有している。支持リングは、一方ではポリマ材料の補強のために働き、他方において支持リングによって、機械エレメントの動的にシールすべきシール面へのシールリングの、予荷重を加えられてシールする接触を得ることができる。
【0007】
支持リングは、本発明によれば、形状安定的な第1のリングセグメントを有しており、これらの第1のリングセグメントは、シールリングの周方向において相前後して位置するように配置されていて、かつ互いに枢着結合されている。形状安定的な第1のリングセグメントによって、弾性変形可能なポリマ材料を支持するために必要な、支持リングの荷重吸収能を提供することができる。形状安定的な第1のリングセグメントの枢着結合によって、支持リングの弾性的な拡幅が可能になり、このことは、機械エレメントの動的なシール面に対する、ポリマ材料の予荷重のために好適である。さらにシールリングは、非回転対称に、例えば腎臓形状に変形することができ、このことは、シールリングの取付けのために好適である。
【0008】
シールリングのポリマ材料は、本発明によれば、好ましくは、支持リングの材料よりも低い融点を有している。これによって、製造プロセス中における支持リングの材料の不所望の溶融を、確実に回避することができる。これによって、支持リングの繊細な、かつしたがって熱による損傷に対して特に敏感な構造を、損傷もしくは機能損失から確実に守ることができる。またこれによって、製造誤差を小さく保つことができる。
【0009】
本発明によれば、形状安定的な第1のリングセグメントはそれぞれ、複数の異形ウェブによって形成されていてもよく、これらの異形ウェブは、シールリングの中心軸線の方向において、互いに間隔をおいて相前後して位置するように配置されており、それぞれ2つの直接隣接して配置された第1のリングセグメントの異形ウェブは、互いに交互に噛み合っていて、かつその交点の領域において互いに結合されている。この構造形式では、支持リングは骨格の形態でポリマ材料を補強することができる。多数の異形ウェブおよびその間に位置するように配置された多数の中間室によって、特に持続的でかつ機械的な荷重を加えることができる結合部を、ポリマ材料と支持リングとの間において得ることができる。これによってシールリングの不所望の形状損失、およびこれに伴う機能損失を、確実に阻止することができる。
【0010】
第1のリングセグメントの異形ウェブは、緊張リングの無荷重状態において、好ましくは荷重を加えられた取付け状態においても、好ましくは、緊張リングの半径に対して鋭角αを成して延びるように配置されている。シールリングもしくは支持リングの伸長時に、角度αは相応に増大する。支持リングの異形ウェブもしくは第1のリングセグメントは、それぞれ同じ構造で形成されていてもよく、かつ特にそのそれぞれの横断面形状、長さおよび厚さにおいて互いに合致していてもよい。
【0011】
本発明の択一的な実施形態によれば、第1のリングセグメントは、シールリングの周方向において互いに間隔をおいて配置されていて、かつそれぞれ第2のリングセグメントを介して互いに結合されていてもよく、該第2のリングセグメントは、少なくとも部分的に弾性変形可能である。
【0012】
したがってこの場合、第1のリングセグメントの枢着結合部は、第2のリングセグメントによって生ぜしめられている。これらの第2のリングセグメントは、構造的に最も単純な場合に、それぞれ、第1および第2の異形脚を備えた少なくとも1つの異形脚対を有していてもよく、第1および第2の異形脚は、背側部分を介して互いに結合されていて、かつ互いに斜めに延びるように配置されており、このとき両異形脚は、互いに相対的に弾性的に拡開可能である。したがって第2のリングセグメントは、V字形に、もしくはU字形に形成されている。第2のリングセグメントの拡開によって、支持リングの内側横断面もしくは外側横断面が増大させられ、これによって、シールリングを拡幅することができる。
【0013】
本発明によれば、第2のリングセグメントの少なくとも一部が、複数の異形脚対を含んでいてもよく、該異形脚対は、周方向において相前後して並べられて配置されていて、かつ端部と端部とが互いに素材結合式に結合されている。これによって第2のリングセグメントは、全体として、複数回蛇行するメアンダ形状の形を有しており、これによって支持リングの伸長可能性をなおさらに改善することができる。
【0014】
本発明の特に好適な実施形態によれば、シールリングの表面は、1つまたは複数の端面および/または1つまたは複数の周面において、少なくとも部分的に支持リングによって形成されている。これによって支持リングは、機械部分のシール保持構造、例えば保持溝におけるシールリングの案内、支持もしくは位置決めおよび固定のために働くことができる。これによってまた、シールリングに圧力が加えられることに基づく、シール間隙内へのシールリングの不所望の押出しをも阻止することができる。さらにシールリングのこの構造形式は、製造技術的な利点を提供することができる。なぜならば、支持リングはこのとき、ポリマ材料を支持リングに一体に射出成形するために、射出工具において簡単に位置決めすることができるからである。
【0015】
支持リングが、シールリングの、ポリマ材料によって形成された表面部分を越えて突出していると、シールリングのポリマ材料を、シールリングの取付け時、および作動使用中においても、動的にシールすべきシール面における摩擦による機械的なもしくは熱的な過荷重に対して、特に効果的に保護することができる。これによってさらに支持リングは、他の機能構造、例えば機械部分の上に述べた保持溝の溝側面に対するスペーサとして働くことができる。これによって例えば、シールリングのシールリップの押圧作動を保証することができる。
【0016】
支持リングはまた全体として、シールリングの中心軸線に対して半径方向において形状安定的に、つまりシールリングの作動使用時に発生する圧力荷重によって変形不能に、形成されていてもよい。これによって支持リングは、特に大きな荷重吸収能を提供することができ、かつポリマ材料を特に効果的に支持すること、もしくは設定された容積範囲において補強することができる。
【0017】
支持リングは、本発明によれば好ましくは、少なくとも部分的に、L字形、T字形、または十字形の横断面形状を有している。これによってシールリングの高いねじれ安定性を得ることができる。このようにして支持リングの個々の異形脚をシールリングを案内するためにも使用することができ、かつポリマ材料の表面に至るまで、もしくはこの表面を越えて突出させることもしくは延ばすことができる。
【0018】
本発明の好適な発展形態によれば、支持リングは少なくとも1つの流体通路を有しており、もしくは形成しており、この流体通路を通して、シールリングの作動使用時に、シールリングの低圧側は、シールリングの高圧側に流体接続することができる。したがって流体通路は、ラジアル軸シールリングとしてまたはロッドシールもしくはピストンシールとして形成されたシールリングでは、シールリングの中心軸線に対して軸方向に延びている。アキシャル軸シールリングとして形成されたシールリングでは、流体通路は、半径方向に延びている。支持リングはまた複数のこのような流体通路を有することができる。支持リングが流体通路を形成していることによって、つまり支持リングが、流体通路を取り囲む壁を有していることによって、シールリングの製造をさらに簡単化すること、およびシールリングの、コストのかかる付加的な製造ステップもしくは後加工ステップを回避することができる。
【0019】
シールリングは、本発明によれば好ましくは、動的なシールエッジを備えたシールリップを有しており、このとき支持リングは、少なくとも部分的に、シールリップの内部に配置されている。このとき支持リングは、部分的に、例えば舌形状の個々の延長部で、シールリップ内に延びていてもよく、またはしかしながらシールリングは、環状のシールリップ支持部分を有している。このときシールリングは、シールリップの自由端部に至るまで、またはほぼ該自由端部に至るまで延びていてもよく、かつこれによってシールリップを所望の形式で補強することができる。このようなシールリップは、しばしば僅かな材料太さ(厚さ)しか有していないにもかかわらず、本発明によれば3Dプリント部品として形成された支持リングによって、そのために必要な、支持リングの少なくとも部分的に繊細な構成においても、十分な支持作用を、シールリップの領域においても得ることができる。
【0020】
支持リングは、ポリマ材料との、可能な限り持続的な、荷重を加えることができる機械的な結合部のために、軸方向または半径方向に延びるように配置された貫通孔を備えていてもよく、これらの貫通孔内に、もしくはこれらの貫通孔を貫いてポリマ材料は延びている。もちろんこれらの貫通孔は、支持リングもしくはシールリングの、支持リングによって半径方向において取り囲まれるリング開口とは、異なっていることが望ましい。
【0021】
極めて特に好ましくは、第1のリングセグメントの少なくとも一部が、貫通孔を備えていてもよく、この貫通孔は、好ましくは緊張リングの周方向において、それぞれ第1のリングセグメントを貫いて延びている。このように構成されていると、貫通孔を備えた第1のリングセグメントは、この場合、中空異形材として形成されている。これによってさらに、支持リングのための材料使用を僅かに保つことができる。
【0022】
第1のリングセグメントは、本発明によれば、構造的に最も単純な場合には、それぞれ等しい構造で形成されていてもよい。また、上に述べた弾性変形可能な第2のリングセグメントは、それぞれ等しい構造で形成されていてもよい。
【0023】
もちろん、支持リングは、3Dプリントのために適宜な材料から製造されている、もしくは成っている。したがって支持リングは、プラスチック材料、特に熱可塑性プラスチックから成っていてもよい。
【0024】
上に述べたシールリングを製造するための方法は、下記のステップ、すなわち、
a.3Dプリント方法で支持リングを製造するステップ、
b.シールリングを製造しながら支持リングにポリマ材料を一体に射出成形するステップ、
を含んでいる。
【0025】
この製造方法によって、支持リングを備えたシールリングを、簡単かつ安価な形式で、かつ僅かな製造誤差で提供することができる。3Dプリントでは、支持リングは層状に形成される。材料として、支持リングのためには、プラスチック、合成樹脂、セラミックス、および金属を使用することができる。支持リングの3Dプリントによって支持リングは、その形状付与もしくはその支持特性を、シールリングの作動使用中における局部的に異なる要求に合わせて簡単に設計することができる。支持リングの繊細な構造でさえも、3Dプリントによって製造された支持リングでは、確実にかつ僅かなコストで実現することができる。
【0026】
3Dプリント方法としては、特にいわゆる選択的レーザ焼結を使用することができる。この3Dプリント方法では、支持リングは、選択的なレーザビームを用いた粉末状材料の、層状の局部的な溶融によって形成される。そのためには特に、支持リングの極めて高い精度、もしくは三次元溶融、精度、高温耐性を260℃の持続使用温度で可能にする、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を使用することができる。
【0027】
本発明の別の利点は、記載および図面から読み取られる。同様に、上に述べた特徴および後でさらに記載される特徴は、本発明によれば、それ自体それぞれ個々に、または任意の組合せで複数まとめて使用することができる。
【0028】
次に図面に示された実施形態を用いて本発明を詳説する。このとき図示されかつ記載された実施形態は、限定的なリストとして理解されるべきではなく、むしろ本発明を記述するための例示的な特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】ポリマ材料製のベース体とポリマ材料内に一体に組み込まれた支持リングとを備えたシールリングを示す側面図である。
【
図2】
図1に示されたシールリングを、断面して示す斜視図である。
【
図3】
図2に示されたシールリングの支持リングを、露出させて示す図である。
【
図4】
図2に示されたシールリングの支持リングの択一的な実施形態を、露出させて示す図である。
【
図5】
図2に示されたシールリングの支持リングのさらに択一的な実施形態を、露出させて示す図である。
【
図6】一体に組み込まれた支持リングが追加的な支持構造を有しているシールリングの一部を、断面して示す斜視図である。
【
図7】支持リングによって補強された掻取りリップを備えたシールリングの一部を、断面して示す斜視図である。
【
図8】
図7に示された支持リングの一部を、露出させて示す斜視図である。
【
図9】
図7に示された支持リングの択一的な実施形態を示す斜視図である。
【
図10】支持リングが、圧力低減のために働くことができる複数の流れ通路を形成しているシールリングを示す図である。
【
図11】支持リングが少なくとも部分的に十字形の横断面形状を有している別のシールリングを示す図である。
【
図12】
図11に示された支持リングの一部を、露出させかつ断面して示す斜視図である。
【
図13】
図11に示された支持リングの一部を、露出させかつ他の箇所において断面して示す斜視図である。
【
図14】支持リングが追加的に保持溝またはこれに類したものにおけるシールリングの固定のために働くシールリングを、断面して示す斜視図である。
【
図15】
図14に示された支持リングの一部を、露出させて示す斜視図である。
【
図16】2部分から形成された支持リングを備えたシールリングの一部を、断面して示す斜視図である。
【
図17】
図16に示されたシールリングの支持リングの一部を、露出させて示す斜視図である。
【
図18】支持機能および案内機能において最適化された支持リングを備えたシールリングの一部を、断面して示す斜視図である。
【
図19】
図18において示されたシールリングの支持リングの一部を、露出させて示す斜視図である。
【
図20A】枢着結合された多数の異形ウェブを含む支持リングを示す図である。
【
図20B】
図20Aに示された支持リングを備えたシールリングの一部を透視して示す図である。
【0030】
図1にはシールリング10が示されており、このシールリング10は、弾性変形可能なポリマ材料12と、ポリマ材料12内に部分的に埋め込まれている支持リング14とを含んでいる。シールリング10は例えば、ラジアル軸シールリングとして、またはピストンシールリングもしくはロッドシールリングとして形成されていてもよい。シールリング10は、ここでは16で示されたその中心軸線に関して、例えば半径方向において内側にシール作用を有するように形成されている。シールリング10は、半径方向外側の周面18と、半径方向内側の周面20とを有している。シールリング10のポリマ材料12は、粘稠弾性に、またはしかしながらまたゴム弾性に変形可能であってもよい。前者の場合、ポリマ材料12は、例えばポリウレタン(PU)、または当業者によく知られている粘稠弾性のポリマ材料であってもよい。ゴム弾性に変形可能な材料としては、ゴムまたは公知のエラストマ、例えばエチレンプロポリピレンジエンゴム(EPDM)を使用することができる。
【0031】
支持リング14は、層状の材料構造を備えた3Dプリント部品として形成されている。支持リング14の材料は、ポリマ材料12よりも大きなモジュールを有している。ポリマ材料12は、支持リング14に一体に射出成形されている。このときに注意すべきことは、ポリマ材料12は、支持リング14の材料よりも低い融点を有しているということである。支持リングは、特にPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から成っていてもよい。
【0032】
図2には、
図1に示されたシールリング10が、
図1にA−A線で示された切断平面に沿って部分的に横断面図で示されている。シールリング10は、全体としてU字形の横断面形状を有している。シールリングの第1および第2の端面は、22,24で示されている。シールリングには、シールエッジ28を備えた動的なシールリップ26が一体成形されている。シールエッジ28は、シールリング10の作動使用時に、第1の機械エレメント32の、
図2に破線で示された対向面もしくはシール面30に、動的なシール作用をもって接触している。シールリング10は、静的にシールするシール部分もしくは静的なシールリップ34を備えていてもよく、このようなシール部分もしくはシールリップ34は、作動使用時に、シールリング10を保持する第2の機械エレメント36に、静的なシール作用をもって接触している。
【0033】
両シールリップ26,34の間には、ここでは溝38が形成されており、これによって動的にシールするシールリップ26の押圧作動(Druckaktivierung)、およびここでは追加的に静的にシールするシールリップ34の押圧作動を可能にすることができる。
【0034】
支持リング14は、第1のリングセグメント40を有しており、この第1のリングセグメント40は、シールリング10もしくは支持リング14の周方向において互いに、好ましくは規則的に、間隔をおいて配置されている。第1のリングセグメント40は、形状安定的に形成されている。したがって作動使用時にシールリングに作用する力によって、第1のリングセグメント40はほとんど変形しない。これらの第1のリングセグメント40は、
図2に示されているように、例えば三角形の横断面形状を有していてもよい。支持リング14とのポリマ材料12の、機械的な荷重を加えることができる結合のために、第1のリングセグメント40はそれぞれ貫通孔42を備えていてもよい。このとき貫通孔42は、好ましくはシールリング10の周方向において、それぞれの第1のリングセグメント40を貫いて延びている。ポリマ材料12は、貫通孔42内に係合していてもよく、かつ貫通孔42を部分的に、または好ましくは完全に満たしている。
【0035】
第1のリングセグメントは、相互に第2のリングセグメント44を介して互いに枢着結合されており、これについては、後で
図3〜
図5との関連において詳説する。
【0036】
図2に示されているように、支持リング14は、シールリング10の1つまたは複数の側において、少なくとも部分的にシールリング10の表面46を形成していてもよい。これによって支持リング14は、シールリング10を外側に向かって部分的に画定している。言い換えれば、支持リング14は部分的に露出しており、すなわちポリマ材料12によって覆われていない。
図2に示された実施形態では、このことは、半径方向内側に位置している周面20の領域、およびシールリング10の、シールリング10の作動状態において低圧側に配置すべき第2の端面24の領域において言える。
【0037】
このとき第1のリングセグメント40は、ポリマ材料を外側に向かって越えていることができる。
図2によれば、第1のリングセグメント40は、ポリマ材料12を、シールリング10の半径方向内側の周面20において、半径方向において内側に向かって越えている。第2の端面24の領域において第1のリングセグメント40は、軸方向においてポリマ材料を越えて外側に向かって突出している。これによって支持リング14は、一方では、第1の機械エレメントの、半径方向内側に位置している周面20に向く動的なシール面30における、シールリング10の効果的な案内を可能にすることができる。これによって、特に動的なシールリップ26の領域における、シールリングのポリマ材料12の機械的な過荷重を、阻止することができる。さらに支持リング14は、互いにシールすべき機械エレメント32,36の間に配置されたシール間隙48内への、ポリマ材料12の不所望の押出しに対する防止を提供することができる。
【0038】
図3には、
図1に示されたシールリング10の支持リング14の1実施形態が、露出されて側面図で示されている。第2のリングセグメント44は、第1および第2の異形脚52,54を備えた少なくとも1つの異形脚対50を有している。両異形脚52,54は、互いに斜めに延びるように配置されていて、かつその間に鋭角αを成している。異形脚52,54は、背側部分56を介して互いに結合されている。これによって全体として第2のリングセグメント44は、
図3に示された実施形態では、V字形形状を有している。第2のリング部分44は、両端部においてそれぞれ、第1のリング部分40のうちの1つのリング部分に結合されている。支持リングの第2のリング部分44は、第1のリングセグメント40よりも小さな厚さdを有している。したがって第2のリングセグメント44は、支持リング14の材料を減少されたリング部分である。第2のリング部分44の両異形脚52,54は、それぞれ、支持リング14の材料に内在する弾性的な戻り能力に抗して拡開可能である。これによって支持リング14は同時に、予荷重リングもしくは予荷重エレメント58の機能を有しており、この予荷重リングもしくは予荷重エレメント58によって、ポリマ材料12、ここでは特に動的なシールリップ26は、そのシールエッジ28で、半径方向において、機械エレメント32の、上に述べたシール面30(
図2)に対して、荷重を加えることができる。これによって支持リング14、ひいてはシールリング10は、全体として、半径方向において弾性的に拡幅可能または非円形に変形可能である。
【0039】
支持リング14の第2のリング部分44は、またそれぞれ複数の異形脚対50をも有することができ、これらの異形脚対50は、
図4および
図5に示されているように、周方向において相前後して並べられて配置されていて、かつ端部と端部とが互いに素材結合式に結合されている。異形脚対の両異形脚52,54は、支持リング14の、無荷重状態において、互いにほぼ平行に延びるように配置されていてもよい。したがって支持リング14の、無荷重状態において、異形脚対50およびそれぞれ対応配置された背側部分は、U字形にまたはコイルばね形状に(
図5)配置されている。
【0040】
支持リング14のセグメント化された構造によって、支持リング14は、セグメントテンションリング(Segmentspannring)として機能し、このセグメントテンションリングによって、シールリング10の周方向において、動的なシール面30に対するシールリップ26の可変の接触圧経過を得ることができる。そしてシールリップ26は、支持リング14の第1の(曲げ剛性の)リングセグメント40の領域において、第2のリングセグメント44の領域におけるよりも強くシール面30に対して予荷重を加えることができる。これによって全体として、シールリップもしくは動的にシールするシールエッジ26とシール面30との間における接触面領域の潤滑を改善することができる。
【0041】
支持リング14は、シールリング10の、
図6に示された実施形態において示されているように、追加的な支持構造60を有していてもよい。支持構造60は、例えば、シールリング10の動的なシールリップ26内に延びている1つまたは複数の支持延長部62を有していてもよい。支持延長部62は、好ましくは、支持リングの第1のリングセグメント40の1つまたは複数のリングセグメントに一体成形されている。注意すべきことは、支持延長部62が、ここではラジアル(軸)シールリングとして形成されているシールリング10では、軸方向において、動的なシールリップ26のシールエッジ28の高さにまで、もしくは軸方向において、シールエッジ26を越えて延びていてもよいことである。シールリング10の支持リング14が、3Dプリント部品として形成されていることによって、支持構造60は全体として、場合によって細かい目に架橋されたフレーム構造の形態で形成されていてもよく、このとき例えば第1および第2のリング部分40,44もしくは支持構造60は、少なくとも部分的に、シールリングの最も重要な荷重ライン(テンショントラジェクトリ)に沿って配置されている。このとき支持リング14の構造物(Architektur)は、それぞれのシールリング部分もしくはシールリング部分容量が作動使用時に主に圧力またはしかしながら曲げ力およびねじり力にさらされているように設計されている。この軽量構造原理は、シールリング10全体の十分に高い安定性を、ひいては安価な製造を維持しながら、支持体14の最小化された材料使用を可能にする。さらにシールリング10の構造的な構造によって、作動使用中に、シールリング10からの改善された熱放出を実現することができる。
【0042】
図7には、3Dプリント支持リングを備えたシールリングの別の実施形態が示されている。支持リングは、
図8においてその一部が露出させられて詳細に示されている。第1の形状安定的なリングセグメント40は、ここではそれぞれ中実材料から形成されている。第1のリングセグメント40には、それぞれ舌状の支持延長部62が一体成形されており、この支持延長部62は、それぞれの第1のリングセグメント40から、ここでは軸方向において、シールリング10の掻取りリップ64内に延びている。掻取りリップは、掻取りエッジ64aを有しており、この掻取りエッジ64aは、第1の機械部分(
図2参照)の(動的な)シール面に接触するように設けられている。この掻取りリップ64は、シールリング10の動的なシールリップ26とは別に形成されている。ここでは支持延長部62は中実材料から形成されている。
【0043】
図9には、例えば
図7に示されたシールリング10において使用することができる別の支持リング14が示されている。ここでは舌状の支持延長部62は、その自由端部66の領域において、追加的に結合ウェブ68を介して互いに結合されている。これによって第2のリングセグメント44と結合ウェブ68との間に、ポリマ材料12(
図1参照)のための開口70が形成されている。この実施形態では、支持リング14はほぼ、その第1のリングセグメント44によって張設された平面72においてだけ弾性的に拡幅可能である。これによってシールリング10の掻取りリップ64の、対応配置されたシール面(対向面)30(
図3)に対する接触圧を、シール面30に対する動的なシールリップ26の接触圧とはほぼ無関係に生ぜしめることができる。これによって偏心的な荷重時における半径方向に向けられた補償移動のための、動的なシールリップ26の性能を得ることができる。その結果、作動使用時における動的なシールリップ26の不所望の機械的な過荷重を、確実に阻止することができる。
【0044】
支持リング14は、
図10に示された実施形態によれば、少なくとも1つの流体通路74を有していて、もしくは形成していてもよい。流体通路74はここでは軸方向に延びるように配置されている。これによってシールリング10の作動使用時に、例えばシールリング10の低圧側を、シールリング10の高圧側に流体接続させることができる。そしていわゆる圧力逆転の場合には、高圧側と低圧側との間における圧力補償を可能にすることができる。
【0045】
図11には、3Dプリント部品の形態の一体に組み込まれた支持リングを備えた別のシールリング10が示されている。支持リング14は、
図12および
図13においてそれぞれ露出させられた図で、かつ異なった断面図で示されている。シールリング10は、本実施形態では半径方向において外側シール作用をもって形成されている。シールリング10は、外周側に、それぞれ1つのシールエッジ28を備えた2つの動的なシールリップ26を有している。シールリップ26は、ここでもポリマ材料12によって形成されている。支持リング14は、
図12および
図13によれば、第1のリングセグメント40と第2のリングセグメント44とを有していて、両リングセグメントには、羽根状の支持延長部62が一体成形されている。第2のリングセグメント44は、軸方向に延びるように配置された貫通スリット76を備えていて、これらの貫通スリット76は、シールリング10のポリマ材料12によって貫通されている、もしくは貫通係合されている。羽根状の支持延長部62は、ポリマ材料12に相応する端面側の段付けされた輪郭を有していてもよく、かつこれによって例えばポリマ材料12と共に突出部を形成していてもよく、これらの突出部によって、シールリング10と機械エレメント(図示せず)との間における流体通過が可能になる。
【0046】
支持リング14は、
図11によれば半径方向において両シールリップ26の間において延びていて、かつこのようにして機械エレメント(図示せず)の対応配置された動的なシール面30(
図3参照)における、シールリング10の案内および支持のために働くことができる。
【0047】
支持リング14はさらに、シールリング10のための取付け補助として、もしくは固定補助として形成されていてもよい。このとき第1のリングセグメント40は
図14および
図15によれば、屈曲された、特にL字形の基本形状を有していてもよく、この基本形状によってシールリング10は、その保持部分78の領域において、機械エレメント(
図2参照)の保持溝内において固定可能である。シールリングは、
図15によれば、半径方向において内側シール作用を有する2つのシールリップ26を有していてもよく、両シールリップ26は、他の機械エレメントのシール面の動的なシールのために働く。
【0048】
図16に示された別のシールリング10では、支持リング14に追加的な支持リングもしくは補強リング80が配置されている。支持リング14は、ほぼL字形の横断面形状を有していて、かつ機械エレメントの保持溝におけるシールリング10の固定、およびポリマ材料12の補強のために働く。第1および第2のリングセグメント40,44は、良好に認識することができる。第1のリングセグメント40、もしくはその舌状の支持延長部62は、
図17における支持リング14および補強リング80の露出させられた図によれば、収容部82を有しており、これらの収容部82において補強リング80は保持されている。補強リング80は、支持リング14の収容部82内にクリップ結合、またはプレス嵌めされていてもよい。
【0049】
補強リング80は、リング形状に閉鎖されて形成されていて、かつ舌状の支持延長部62を有しており、これらの支持延長部62は、シールリングのシールリップ26内に延びている。ここでは支持延長部62は、シールリング10の周方向において、互いにそれぞれ間隔をおいて配置されている。支持延長部62は、結合ウェブ(
図9参照)を介して互いに結合されていてもよい。
【0050】
補強リング80もまた、好ましくは3Dプリント部品として形成されていて、かつしたがって図には詳しく示されていない層状の構造を有している。
【0051】
図18に示された別のシールリング10では、
図19において露出させられた詳細部分図で示されている支持リング14は、互いに平行に延びていてかつ互いに間隔をおいて配置されている2つのリング半部14a,14bを有している。支持リングは一体に形成されている。そのために両リング半部14a,14bは、ブリッジセグメントまたは結合セグメント84を介して互いに結合されている。結合セグメント84は、両リング半部に一体成形されている。結合セグメント84は、支持リング14の周方向において互いに間隔をおいて配置されている。両リング半部14a,14bは、それぞれ1つのL字形の横断面形状を有していてもよい。ポリマ材料は、両リング半部の間に配置された間隙86に貫通係合している。
【0052】
上に述べたシールリング10の支持リング14、もしくは補強リング80もまた、完全にまたは部分的に、波形を付けられた、もしくは溝もしくは切欠きを備えた表面構造を有していてもよく、このように構成されていると、シールリング10のポリマ材料12とのさらに改善された固着結合もしくは形状結合を可能にすることができる。
【0053】
図20には、シールリング10の極めて特殊な実施形態が示されている。シールリング10は、
図20Bでは斜視図で示され、かつ
図20Cでは断面図で示されている。
図20Aには、シールリング10の支持リング14が、露出させられて斜視図で示されている。支持リング14は、形状安定的な第1のリングセグメント40を有しており、これらの第1のリングセグメント40は、それぞれ多数の異形ウェブ88によって形成されており、これらの異形ウェブ88は、シールリング10の中心軸線16の方向において互いに間隔をおいて相前後して位置するように(互いに上下に位置するように)配置されている。それぞれ2つの直接隣接して配置された第1のリングセグメント40の異形ウェブ88の少なくとも一部は、互いに交互に噛み合っていて、かつ少なくとも部分的に、そのそれぞれの交点90の領域において互いに結合されている。これによって支持リング14、ひいてはシールリング10全体は、中心軸線16に対して半径方向において、ばね弾性的に拡幅可能である。これによって支持リング14は、ここにおいても、機械エレメント(
図2参照)の対応配置されたシール面における、シールリング10の動的なシールリップ26の弾性的に予荷重を加えられた接触のために働く。支持リング14の異形ウェブ88は、少なくとも部分的に、シールリング10の外側に至るまで延びていてもよい。このことはここでは、シールリング10の半径方向内側および半径方向外側の周面20,18の領域において言える。支持リング14の、
図20に示された実施形態では、特に、支持リングの、ポリマ材料12によって架橋可能でかつ取り囲まれた大きな表面に基づいて、ポリマ材料12との支持リング14の特に持続的な固着結合もしくは形状結合が達成される。