【実施例】
【0014】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本実施例の抵抗変化型メモリの電気的な構成を示すブロック図である。本実施例の抵抗変化型メモリ100は、3次元構造を有するメモリセルアレイ110、行選択/駆動回路120、列選択/駆動回路130、センス回路140、書込み/読出しバイアス回路150、制御回路160、各部を接続する内部バス170を含んで構成される。
【0015】
図3(A)は、本実施例のメモリセルアレイ110の一部を模式的に示した斜視図、
図3(B)は、その概略平面図である。図面は、4つのメモリセルを例示している。メモリセルアレイ110は、図示しない基板(例えば、シリコン基板)の主面に対して垂直方向に延在する複数のピラー200(図面には、4本のピラー)と、水平方向に延在しかつ複数のピラー200と交差する複数のビット線210(図面には、6本のビット線)と、複数のピラー200と複数のビット線210の交差部に形成された抵抗変化型のメモリセル220とを含んで構成される。
【0016】
ピラー200は、例えば、N型のポリシリコン材料から構成され、ピラー200は、後述するように、対応するワード線に電気的に接続される。ピラー200の外周の全体には、
図3(B)に示すように、一定の膜厚でゲート絶縁膜222(例えば、シリコン酸化膜など)が形成され、さらにゲート絶縁膜222の外周の全体にはP型のポリシリコン材料から構成される半導体膜224が形成される。半導体膜224は、アクセス用トランジスタのチャンネル領域として機能し、ピラー200から電界が印加されたとき反転層を形成する。さらに半導体膜224の外周の全体には可変抵抗素子226が形成される。可変抵抗素子226は、内側の電極層と、外側の電極層と、これらの電極層の間に形成されたスイッチング層とを含む。スイッチング層は、例えば、HFO
2のような金属酸化物から構成される。
【0017】
ビット線210は、例えば、N型のポリシリコン材料から構成され、ピラー200との交差部において、可変抵抗素子226の外側の電極層に電気的に接続される。
図4(A)に、
図3(B)のメモリセルアレイのA−A線断面図を示す。
【0018】
次に、
図3に示すメモリセルの製造方法の一例を、
図4(B)〜(D)、
図5(E)〜
図5(H)、
図6(I)〜(K)を参照して説明する。先ず、
図4(B)に示すように、基板上に、層間絶縁膜230、下層側のビット線210A、層間絶縁膜232、上層側のビット線210B、層間絶縁膜234を順次形成する。ビット線210A、210Bは、N+のポリシリコン層であり、層間絶縁膜230、232、234は、例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などである。
【0019】
次に、フォトリソ工程を用いて層間絶縁膜234上にエッチング用マスクを形成する。エッチング用マスクの形状およびサイズは、ピラー200の外形を規定し、例えば、ピラー200が円柱状であれば、エッチング用マスクは円形状に形成される。エッチング用マスクを用いて、積層された層間絶縁膜230、232、234およびビット線210A、210Bを異方性エッチング等によりエッチングし、
図4(C)に示すような円筒状の開口240を形成する。
【0020】
次に、エッチング用マスクを除去し、
図4(D)に示すように全面に、可変抵抗素子の材料層250を形成する。この材料層250は、外側の電極層、スイッチング層(例えば、酸化ハフニウム(HfOx))および内側の電極層の積層を含む。次に、エッチング用マスク(図示省略)を形成し、このマスクを用いて材料層250を異方性エッチングおよび/または等方性エッチングし、
図5(E)に示すように、開口240の側壁に可変抵抗素子226を形成する。
【0021】
次に、エッチング用マスクを除去し、
図5(F)に示すように全面にP+のポリシリコン材料260を形成し、次いでエッチング用マスク(図示省略)を形成し、このマスクを用いてポリシリコン材料260を異方性エッチングおよび/または等方性エッチングし、
図5(G)に示すように、開口240の側壁であって、可変抵抗素子226の内側に半導体層224を形成する。
【0022】
次に、エッチング用マスクを除去し、
図5(H)に示すように全面にSiO
2等の絶縁材料270を形成し、次いでエッチング用マスク(図示省略)を形成し、このマスクを用いて絶縁材料270を異方性エッチングおよび/または等方性エッチングし、
図6(I)に示すように、開口240の側壁であって、半導体層(ポリシリコン層)224の内側にゲート絶縁膜222を形成する。
【0023】
次に、エッチング用マスクを除去し、
図6(J)に示すように全面にN+のポリシリコン材料280を形成し、例えば、ポリシリコン材料280をエッチンバックまたは平坦化することで
図6(K)に示すようなピラー200を形成する。なお、上記の製造工程は、ビット線210A、210Bを先に形成し、その後にピラー200を形成したが、これに限らず、ピラー200とその周囲のゲート絶縁膜222、半導体膜224および可変抵抗素子226を形成した後にビット線210を形成するようにしてもよい。また、本実施例のメモリセルアレイは、上記の製造方法に限らず、他の製造工程を用いて製造されるものであってもよい。
【0024】
再び
図2を参照する。行選択/駆動回路120は、制御回路160からの行アドレスに基づきワード線を選択し、選択したワード線に電圧を印加する。行方向に延在する複数のワード線は、対応するピラー200に電気的に接続される。列選択回路130は、制御回路160からの列アドレスに基づきビット線を選択する。センス回路140は、読出し動作時に、行選択/駆動回路120および列選択回路130によって選択されたメモリセルのビット線対を流れる電流または電圧をセンスし、そのセンス結果を表すデータを内部データバス170を介して制御回路160へ出力する。書込み/読出しバイアス回路150は、読出し動作時、選択メモリセルのビット線対に読出し動作のためのバイアスを印加し、また、書込み動作時、制御回路160から受け取った書込みデータに基づき選択メモリセルのビット線対にセットまたはリセットのバイアスを印加する。
【0025】
制御回路160は、ハードウエアおよび/またはソフトウエアにより構成され、各部の動作を制御する。ある実施態様では、制御回路160は、ROM/RAMを含むマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、あるいはステートマシン等を含み、例えば、ROM/RAMに格納されたソフトウエアを実行することで読出し動作、プログラム動作(セット、リセット)などを制御する。また、制御回路160は、各部と内部データバス170により接続され、外部から受け取ったデータ(アドレスを含む)を各部へ供給し、またセンス回路140から受け取った読出しデータを外部へ出力する。
【0026】
次に、本実施例の抵抗変化型メモリの詳細の動作について説明する。
図7(A)、(B)は、あるメモリセルが選択されたときのアクセス用トランジスタと可変抵抗素子との接続関係を示している。ここでは、行選択/駆動回路120によりメモリセルMC0のピラー200に接続されたワード線WL0が選択され、列選択回路130によりビット線対BL0/BL1が選択されるものとする。ワード線WL0に正のある電圧が印加されると、ゲート絶縁膜222を介して半導体層224に電界が印加され、半導体層224の全体がN型に反転され、チャンネル領域が形成される。その結果、半導体層224は、可変抵抗素子226の外側の第1の電極領域を介してビット線BL0に電気的に接続され、また、可変抵抗素子226の外側の第1の電極領域と対向する第2の電極領域を介してビット線BL1に電気的に接続される。
【0027】
ビット線BL0と半導体層224との間の電流経路K0には、可変抵抗素子226による抵抗成分R0が形成され、ビット線BL1と半導体層224との間の電流経路K1には、可変抵抗素子226による抵抗成分R1が形成される。
図7(B)は、
図7(A)の等価回路図であり、選択メモリセルMC0は、一対のビット線BL0/BL1間に1つのアクセス用トランジスタとその両側の2つの可変抵抗R0、R1を含み、1R1T1Rのメモリセルが構成される。
【0028】
選択メモリセルMC0と行方向に隣接するメモリセルMC1は、選択メモリセルMC0とビット線BL1を共有するが、ワード線WL1は非選択であり(ワード線WL1にはGND電位または閾値より低い電圧が印加される)、半導体層224には反転層が形成されず、メモリセルMC1のアクセス用トランジスタはオフのままである。従って、ビット線BL1は、非選択メモリセルMC1から事実上隔離され、スニーク電流パスの形成が回避される。
【0029】
また、選択メモリセルMC0と列方向に隣接するメモリセルMC2は、選択メモリセルMC0とビット線対BL0/BL1を共有するが、ワード線WL2は非選択であり、ビット線対BL0/BL1と半導体層224との間にはPN障壁が形成され、アクセス用トランジスタはオフのままである。従って、ビット線対BL0/BL1は、非選択メモリセルMC2(列方向でビット線対BL0/BL1を共有する他の非選択メモリセルも同様)から事実上隔離され、スニーク電流パスの形成が回避される。
【0030】
次に、選択メモリセルMC0の書込み動作について説明する。書込み/読出しバイアス回路150は、制御回路160からの書込みデータに基づき選択メモリセルMC0にセットまたはリセットの書込みを行う。セット書込みでは、行選択/駆動回路120は、選択ワード線WL0に書込み電圧Vsetを印加し、非選択ワード線にGNDを印加する。書込み/読出しバイアス回路150は、一方の選択ビット線BL0にセット書込み電圧Vsを印加し(Vset>Vs)、他方の選択ビット線BL1にGNDを印加する。これにより、ビット線BL0からビット線BL1に向けて電圧が印加され、可変抵抗素子226つまり電流経路K0、K1上の抵抗成分R0、R1が低抵抗状態にプログラムされる。
【0031】
リセット書込みでは、セット書込みときと異なる極性の電圧をビット線対BL0/BL1に印加する。すなわち、行選択/駆動回路120は、選択ワード線WL0に書込み電圧Vrsetを印加し、非選択ワード線にGNDを印加する。書込み/読出しバイアス回路150は、一方の選択ビット線BL0にGNDを印加し、他方の選択ビット線BL1にリセット書込み電圧Vrを印加する(Vrset>Vs)。これにより、ビット線BL1からビット線BL0に向けて電圧が印加され、可変抵抗素子226つまり電流経路K1、K0上の抵抗成分R1、R0が高抵抗状態にプログラムされる。
【0032】
選択メモリセルMC0の読出し動作では、行選択/駆動回路120は、選択ワード線WL0に読出し電圧Vreadを印加し、非選択ワード線にGNDを印加する。書込み/読出しバイアス回路150は、一方の選択ビット線BL0に読出し電圧Vblを印加し、他方の選択ビット線BL1にGNDを印加する。可変抵抗素子が低抵抗状態(セット)であれば、選択ビット線BL0から選択ビット線BL1に大きな電流が流れら、可変抵抗素子が高抵抗状態(リセット)であれば、選択ビット線BL0から選択ビット線BL1に小さな電流が流れる。センス回路140は、選択ビット線対BL0/BL1間の電流または電圧をセンスし、センス結果に応じたデータ「0」、「1」を読出しデータとして内部データバス170を介して制御回路160へ出力する。
【0033】
上記実施例では、可変抵抗素子226の2つの抵抗成分R0、R1を利用してセットまたはリセットを行い、かつその抵抗成分R0、R1の抵抗状態を読み出しているが、抵抗成分R0またはR1のいずれか一方を低抵抗状態に固定し、残りの抵抗成分を可変抵抗素子として使用するようにしてもよい。例えば、抵抗成分R0を低抵抗状態(セット)に固定し、抵抗成分R1をセットまたはリセットにプログラムする。この場合、例えば、通常のセット/リセットのときに使用する書込み電圧よりも大きなフォーミング電圧を用いて抵抗成分R0を低抵抗状態(セット)に固定する。ビット線BL0からフォーミング電圧を抵抗成分R0に印加したとき、抵抗成分R1には、フォーミング電圧から抵抗成分R0だけ電圧降下された電圧が印加されるため、抵抗成分R1は、低抵抗状態(セット)に固定されない。フォーミング後、抵抗成分R1は、フォーミング電圧より低いセット書込み電圧またはリセット書込み電圧によりセットまたはリセットすることが可能になる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。上記実施例は、1つのメモリセルをランダムアクセスする例を示したが、第2の実施例は、複数のメモリセルを同時にアクセス可能なアレイ構成に関する。このようなアレイ構成は、いわゆるクロスバーアレイに適している。
【0035】
図8に、第2の実施例のメモリセルアレイの一部の回路構成を示す。行方向に配置されたメモリセルMC0〜MC3は、ワード線WL0、WL1に交互に接続され、ワード線WL0が選択されたとき、
図8(A)に示すように、メモリセルMC0、MC2のアクセス用トランジスタがオンする(つまり、半導体層224に反転層が形成され)。他方、ワード線WL1が選択されたとき、
図8(B)に示すように、メモリセルMC1、MC3のアクセス用トランジスタがオンする。書込み/読出しバイアス回路150は、選択されたビット線対の一方のビット線に読出し電圧Vbl、セット書込み電圧Vs、リセット書込み電圧Vrを印加し、他方のビット線を仮想接地する。
【0036】
行選択/駆動回路120により1つのワード線が選択されたとき、選択ワード線に接続された複数のメモリセルのアクセス用トランジスタが同時にオンされ、複数のメモリセルに記憶された複数データを一括読出したり、あるいは複数のメモリセルに複数データを一括して書込むことができる。例えば、このような複数データの入出力は、クロスバーアレイの行列演算に利用することができる。
【0037】
行方向に隣接するメモリセル間でビット線を共有しても、選択メモリセルの間に非選択メモリセルが存在し、非選択メモリセルのアクセス用トランジスタがオフするため、選択メモリセルのビット線対は、非選択メモリセルによって干渉されず、所望のバイアスを印加することができる。また、ここには図示しないが、列方向でビット線を共有する非選択メモリのアクセス用トランジスタもオフするため、選択メモリセルの選択ビット対は、非選択メモリセルによって干渉されず、不所望なスニーク電流パスが形成されるのが抑制される。
【0038】
図9は、
図8に示すアレイ構成を立体的に表したものであり、ここでは、スタックされた垂直方向の2段のビット線が示されている。アレイの基本的な動作は、
図8のときと同様である。選択ワード線WL0によりメモリセルMC2_0、MC2_1が選択されたとき、メモリセルMC2_0、MC2_1のアクセス用トランジスタがオンされ、ビット線対BL1_0/BL2_0とビット線対BL1_1/BL2_1とが選択される。選択ワード線WL1によりメモリセルMC1_0、MC1_1が選択されたとき、メモリセルMC1_0、MC1_1のアクセス用トランジスタがオンされ、ビット線対BL0_0/BL1_0とビット線対BL0_1/BL1_1とが選択される。
【0039】
図10は、メモリセルアレイのピラーとワード線との好ましい接続例を示す概略斜視図である。ワード線WL0は、行方向に配置された複数のピラー200の上端部に1つおきに接続され、ワード線WL1は、ワード線WL0によって接続されていないピラー200の下端部に1つおきに接続される。ワード線WL0、WL1は、導電性のポリシリコンあるいは金属層であることができる。ピラー200の上下方向からピラー200を交互にワード線WL0、WL1に接続することで、ワード線WL0、WL1を同一平面に配線する場合と比較して、メモリセルアレイの高集積化を図り、メモリセルアレイの水平方向の専有面積を削減することができる。
【0040】
図11は、本実施例のメモリセルアレイを基板上に積層した例を示す概略断面図である。基板として、例えばシリコン基板300を用い、このシリコン基板300上に3次元構造のメモリセルアレイ310を形成する。シリコン基板300の表面またはその内部には、行選択/駆動回路120、列線選択回路130、センス回路140、書込み/読出しバイアス回路150および制御回路160等の周辺回路320が形成される。メモリセルアレイ310の選択されたピラー200、選択されたビット線210および選択されたワード線等は、多層配線構造を介して周辺回路320の行選択/駆動回路120、列選択回路130、センス回路、書込み/読出しバイアス回路150および制御回路160に電気的に接続される。多層配線構造は、複数の導電層(ポリシリコン層および金属層)、複数の層間絶縁膜、層間絶縁膜に形成されたビア(またはコンタクトホール)、ビア内に形成されたプラグコンタクト等を含み、垂直方向に積層されたビット線やワード線と周辺回路320との電気的な接続を可能にする。
【0041】
ある1つの実施態様では、シリコン基板300上に絶縁層330が形成され、絶縁層330上に導電層340が形成され、導電層340上にメモリセルアレイ310が形成される。導電層340は、例えば、メモリセルアレイ310の共通のソース(GND電位)あるいは電源ラインを提供する。導電層340は、例えば、n型のポリシリコン層、あるいは金属層とn型のポリシリコン層との積層から構成される。このようにシリコン基板300に周辺回路320を形成し、その上にメモリセルアレイ310を積層することで、メモリチップの2次元的な面積を小さくすることができる。
【0042】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。