【文献】
C.G.WERMUTH編,『最新 創薬化学 上巻』,株式会社テクノミック,1998年08月15日,235-271頁,13章 等価置換に基づく分子の変換
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それを必要とする哺乳動物において、ブルトンチロシンキナ−ゼ(Bruton tyrosine kinase)を阻害するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物、またはその(E)もしくは(Z)異性体、および/または薬学的に許容可能なその塩の使用。
それを必要とする哺乳動物において、自己免疫疾患、炎症疾患、異種免疫疾患、血栓塞栓性疾患または癌から選ばれる疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物またはその(E)もしくは(Z)異性体および/または薬学的に許容可能なその塩の使用。
疾患が、急性壊死性出血性白質脳炎、急性播種性脳脊髄炎、自己免疫内耳疾患(AIED)、自己免疫網膜症、軸索および神経型ニュ−ロパチ−、慢性炎症脱髄性多発ニュ−ロパチ−(CIDP)、脱髄性ニュ−ロパチ−、デビック病(視神経脊髄炎)、実験的アレルギ−性脳脊髄炎、巨細胞動脈炎(側頭動脈炎)、ギラン・バレ−症候群、ランバ−ト−イ−トン症候群、慢性メニエ−ル病、重症筋無力症、神経性筋緊張病、眼球クロ−ヌス−ミオクロ−ヌス症候群、視神経炎、傍腫瘍性小脳変性症、末梢性ニュ−ロパチ−、静脈周囲脳脊髄炎、むずむず脚症候群、全身硬直症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、横断性脊髄炎、多発性硬化症、自律神経障害、加齢性黄斑変性(湿性および乾性)、角膜移植、脳炎、髄膜炎、血管炎または全身性紅斑性狼瘡(SLE)である、請求項4に記載の使用。
疾患が、関節リウマチ、乾癬性関節炎、狼瘡、ブドウ膜炎、重症筋無力症、温式自己免疫溶血性貧血、ウェゲナ−肉芽腫、シェ−グレン病、シェ−グレンドライアイ、非シェ−グレンドライアイ病、乾癬、天疱瘡、蕁麻疹または喘息である、請求項4に記載の使用。
癌が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、多発性骨髄腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞性(lymphoplamascytic)リンパ腫/ワルデンストロ−ム高ガンマグロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、バ−キットリンパ腫/白血病またはリンパ腫様肉芽腫症である、請求項4に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態において、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(および本明細書中で開示されるそのいずれかの実施形態)中のR
5が、式(i)、(ii)または(iii)の基(式中、R
aはシアノである)である場合、本開示の化合物は、BTKの可逆的共有阻害剤であり、すなわち、これらは、システイン残基のチオール基とともに、特にBTKのCys481とともに、可逆的共有結合を形成し得る。
【0008】
別の実施形態において、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩中のR
5(および本明細書中で開示されるそのいずれかの実施形態)が式(i)、(ii)
または(iii)の基(式中、R
aは水素またはフルオロである)であるか、またはR
5が式(iv)の基である場合、本開示の化合物は、BTKの不可逆的な共有阻害剤であり、すなわち、これらは、システイン残基のチオール基とともに、特にBTKのCys481とともに、不可逆的な共有結合を形成し得る。
【0009】
第2の態様において、この開示は、式(I)の化合物(または本明細書中に記載のその実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩;および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
【0010】
(a)第2の態様の実施形態(a)において、本処方物は、
(i)式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(または本明細書中に記載のその実施形態のいずれか)と、
(ii)腸におけるその化合物および/または薬学的に許容可能なその塩の放出のための手段と、
を含む、固体経口処方物である。
【0011】
(b)第2の態様の実施形態(b)において、本処方物は、腸におけるその固体経口処方物からの治療有効量の式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(または本明細書中で開示されるそのいずれかの実施形態)の放出のための手段を含む固体経口処方物である。
【0012】
実施形態(a)または(b)内で、一実施形態において、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(または本明細書中で開示されるそのいずれかの実施形態)は小腸で放出される。
【0013】
実施形態(a)または(b)およびそれらにおいて含有される実施形態のさらに別の実施形態において、(i)式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(または本明細書中で開示されるその実施形態);および/または(ii)式(I)の化合物(または本明細書中で開示されるその実施形態)を含む剤形;および/または薬学的に許容可能なその塩は;少なくとも1つのコーティングで被覆され、このコーティングは、腸溶コーティングおよび非腸溶性持続放出コーティングから独立して選択され(複数のコーティングが存在する場合)、好ましくはコーティングは1つ以上の腸溶コーティングである。
【0014】
一実施形態において、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(または本明細書中で開示されるその実施形態)および/または式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(または本明細書中で開示されるその実施形態)を含む剤形が腸溶コーティングで被覆される場合、腸溶コーティングはポリマーである。別の実施形態において、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩および/または式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩を含む剤形が腸溶コーティングで被覆される場合、腸溶コーティングは、ポリメタクリレート(例えばメタクリル酸エタクリレートポリ、メタクリル酸メチルメタクリレートポリ);セルロースベースのポリマー(例えば、酢酸フタル酸セルロースCAP、トリメリット酸酢酸セルロースCAT、セルロース酢酸エステルコハク酸エステルCAS、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースHPMCP、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルHPMCAS)およびポリビニル誘導体、例えばポリ酢酸フタル酸ビニルPVAPから選択される陰イオン性ポリマーである。さらに別の実施形態において、腸溶コーティングは、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(または本明細書中で開示されるその実施形態)を放出するために、約4.5〜約7または約5または5.5〜約7のpHを有する消化管で侵食される。
【0015】
非腸溶性コーティングを使用する場合、非腸溶性持続放出剤形は空腹状態で投与され得、持続放出コーティングは、式(I)の化合物(または本明細書中で開示されるその実施形態)および/または薬学的に許容可能なその塩を放出するために、投与後約0.3〜約3時間または約0.5〜約2時間で侵食されるか、破裂するか、または透過性が高くなるように設計され得る。
【0016】
第3の態様において、本開示は、BTKの阻害により治療可能な疾患の治療を必要とする哺乳動物においてBTKの阻害により治療可能な疾患を治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、治療有効量の式(I)の化合物(または本明細書に記載のその実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法を対象とする。一実施形態において、疾患は、癌、自己免疫、炎症または血栓塞栓性疾患である。一実施形態において、疾患は、急性壊死性出血性白質脳炎、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、全身性脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群(APS)、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、関節炎、自己免疫血管浮腫、自己免疫自律神経障害、自己免疫肝炎、自己免疫高脂血症、自己免疫性免疫不全、自己免疫内耳疾患(AIED)、自己免疫心筋炎、自己免疫卵巣炎、自己免疫膵炎、自己免疫網膜症、自己免疫血小板減少性紫斑病(ATP)、自己免疫甲状腺疾患、自己免疫蕁麻疹、自己免疫溶血性貧血、軸索および神経型ニューロパチー、バロ病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性疲労症候群、慢性炎症脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、セリアック病、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST病、クローン病、脱髄性ニューロパチー、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、糖尿病、円板状狼瘡、ドレスラー症候群、ドライアイ、自律神経障害、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、実験的アレルギー性脳脊髄炎、線維筋痛症、線維性肺胞炎、巨細胞動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発性血管炎を伴う肉芽腫症(GPA)(以前はウェゲナー肉芽腫と呼ばれていた)、グレーブズ病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、低ガンマグロブリン血症、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫調節性リポタンパク質、封入体筋炎、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎、川崎病、ランバート−イートン症候群、白血球破壊性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA疾患(LAD)、狼瘡(SLE)、狼瘡腎炎を含む狼瘡、ライム病、慢性、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、粘膜類天疱瘡、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、神経性筋緊張病、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、眼球クローヌス−ミオクローヌス症候群、視神経炎、オルド(Ord’s)甲状腺炎、変形性関節症、回帰性リウマチ、PANDAS(連鎖球菌が付随する小児自己免疫性精神神経疾患)、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間血色素尿症(PNH)、パリー・ロンベルク症候群、毛様体扁平部炎(末梢性ブドウ膜炎)、パーソネージ・ターナー症候群、末梢性ニューロパチー、静脈周囲脳脊髄炎、悪性貧血、天疱瘡、例えば尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎(psoriatic
arthritis、psoriaticarthritis)、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、再発性多発軟骨炎、むずむず脚症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サ
ルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子および精巣自己免疫、全身硬直症候群、スチル病、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トローザ・ハント症候群、横断性脊髄炎、I型、II型およびIII型自己免疫多腺性症候群、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織疾患(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、水疱性皮膚病、白斑、外陰部痛または狼瘡である。
【0017】
第3の態様の一実施形態において、哺乳動物は、自己免疫疾患、例えば、炎症性腸疾患、関節炎、狼瘡腎炎を含む狼瘡、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、スチル病、若年性関節炎、糖尿病、重症筋無力症、多発性血管炎を伴う肉芽腫症、橋本甲状腺炎、オルド(Ord’s)甲状腺炎、グレーブズ病、シェーグレン症候群、ドライアイ(シェーグレンドライアイおよび非シェーグレンドライアイを含む)、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、眼球クローヌス−ミオクローヌス症候群、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫肝炎、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、自己免疫溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経障害、子宮内膜症、間質性膀胱炎、神経性筋緊張病、強皮症、天疱瘡、例えば尋常性および/または落葉状天疱瘡など、水疱性類天疱瘡、加齢性黄斑変性(湿性および乾性)、糖尿病黄斑浮腫、角膜移植、腹部大動脈瘤、粘膜類天疱瘡または外陰部痛に罹患している。
【0018】
別の実施形態において、自己免疫疾患は、狼瘡、尋常性天疱瘡、重症筋無力症、シェーグレン症候群、ドライアイ、多発性硬化症、ウェゲナー肉芽腫、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、多発性血管炎を伴う肉芽腫症または関節リウマチである。
【0019】
第3の態様の別の実施形態において、哺乳動物は、異種免疫病態または疾患、例えば移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎またはアトピー性皮膚炎に罹患している。別の実施形態において、疾患はアトピー性皮膚炎である。
【0020】
第3のさらに別の実施形態において、哺乳動物は、炎症疾患、例えば、喘息、虫垂炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、肝炎、化膿性汗腺炎、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋肉炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、間質性肺炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、ブドウ膜炎、腟炎、血管炎、または外陰炎を羅患している。この態様の別の実施形態において、哺乳動物は、炎症皮膚疾患、例として、例えば皮膚、関節、または他の組織もしくは器官における皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、酒さ、および瘢痕乾癬病巣を罹患している。別の実施形態において、炎症疾患は喘息または皮膚炎である。
【0021】
第3の態様のさらに別の実施形態において、哺乳動物は、急性炎症および/または自己免疫疾患を含む、炎症および/または自己免疫疾患に罹患しており、副腎皮質ステロイド療法が一次および二次治療としてまたは、一次および二次維持治療として使用される。一実施形態において、式(I)の化合物(または本明細書中で開示されるそのいずれかの実施形態)は、次のものの治療として使用される。
【0022】
内分泌障害:原発性または二次性副腎皮質不全(ヒドロコルチゾンまたはコルチゾンが第一選択治療であり:必要に応じて鉱質コルチコイドと組み合わせて合成類似体が使用さ
れ得;乳児期では鉱質コルチコイド補給が特に重要である);先天性副腎皮質過形成症;非化膿性甲状腺炎;癌に付随する高カルシウム血症。
【0023】
リウマチ障害:(患者が急性発症または増悪を乗り切るための)短期投与のための補助療法として:乾癬性関節炎、若年性関節リウマチを含む関節リウマチ(一部の症例は低用量維持療法を必要とし得る)、強直性脊椎炎、急性および亜急性滑液包炎、急性非特異的腱膜炎、痛風、急性痛風関節炎、外傷後変形性関節症、変形性関節症の滑膜炎、上顆炎。
【0024】
膠原病:増悪中または全身性紅斑性狼瘡、全身性皮膚筋炎(多発性筋炎)、急性リウマチ性心炎の一部の症例での維持療法として。
【0025】
皮膚疾患:天疱瘡;水疱性疱疹状皮膚炎;重症多形性紅斑(スティーブンス・ジョンソン症候群);剥離性皮膚炎;菌状息肉腫;重症乾癬;重症脂漏性皮膚炎。
【0026】
アレルギー状態:従来の治療の妥当な試みでは難治性である重症または普通に生活を送れないアレルギー状態のコントロール:季節性または通年性アレルギー性鼻炎;気管支喘息;接触性皮膚炎;アトピー性皮膚炎;血清病;薬物過敏反応。
【0027】
眼の疾患:眼およびその付属器を含む重症急性および慢性アレルギー性および炎症過程:例えばアレルギー性辺縁角膜潰瘍、眼部帯状疱疹、前部の炎症、びまん性後部ブドウ膜炎および脈絡膜炎、交感性眼炎、アレルギー性結膜炎、角膜炎、脈絡網膜炎、視神経炎、虹彩炎および虹彩毛様体炎。
【0028】
呼吸器疾患:症候性サルコイドーシス;他の手段により管理できないレフレル症候群;ベリリウム症;嚥下性肺臓炎、適切な抗結核化学療法と同時に使用される場合の劇症または播種性肺結核。
【0029】
血液障害:成人の特発性血小板減少性紫斑病;成人の二次性血小板減少症;後天性(自己免疫)溶血性貧血;赤芽球減少症(RBC貧血);先天性(赤血球)低形成性貧血。
【0030】
腫瘍性疾患:成人の白血病およびリンパ腫、小児の急性白血病の対症的管理のため。
【0031】
浮腫状態:特発型または紅斑性狼瘡ゆえの、尿毒症を伴わないネフローゼ症候群における利尿またはタンパク尿軽快を誘導するため。
【0032】
胃腸疾患:潰瘍性大腸炎、極限性腸炎において疾患の臨界期を患者が乗り越えるため。
【0033】
種々のもの:適切な抗結核化学療法と同時に使用される場合、くも膜下ブロックまたは切迫ブロックを伴う結核性髄膜炎;神経または心筋の関与がある旋毛虫症。
【0034】
式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩は、任意選択により副腎皮質ステロイド、非副腎皮質ステロイド、免疫抑制および/または抗炎症剤と組み合わせて、上記で列挙される疾患の治療のために使用され得る。一実施形態において、免疫抑制剤は、インターフェロンアルファ、インターフェロンガンマ、シクロホスファミド、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、ダプソン、スルファサラジン、アザチオプリン、抗CD20剤(リツキシマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブまたはベルツズマブまたはそのバイオ後続品など)、抗TNFアルファ剤(エンタネルセプト(entanercept)、インフリキシマブ、ゴリルマブ(golilumab)、アダリムマブまたはセルトリズマブペゴルまたはそのバイオ後続品など)、リガンドまたはその受容体に対する抗IL6剤(トシリズマブ、サリルマブ、オロキズマブ(olok
izumab)、エルシリルマブ(elsililumab)またはシルツキシマブなど)、リガンドまたはその受容体に対する抗IL17剤(セクキヌマブ、ウステキヌマブ、ブロダルマブまたはイキセキズマブなど)、リガンドまたはその受容体に対する抗IL1剤(リロナセプト、カナキヌマブまたはアナキンラなどとともに)、リガンドまたはその受容体に対する抗IL2剤(バシリキシマブまたはダクリズマブなど)、抗CD2剤、例えばアレファセプトなど、抗CD3剤、例えばムロモナブ−cd3など、抗CD80/86剤、例えばアバタセプトまたはベラタセプトなど、抗スフィンゴシン−1−ホスフェート受容体剤、例えばフィンゴリモドなど、抗C5剤、例えばエクリズマブなど、抗インテグリンアルファ4剤、例えばナタリズマブなど、抗α
4β
7剤、例えばベドリズマブなど、抗mTOR剤、例えばシロリムスまたはエベロリムスなど、抗カルシニューリン剤、例えばタクロリムスなどおよび抗BAFF/BlyS剤(ベリムマブ、VAY736またはブリシビモドなど)、レフルノミドおよびテリフルノミドから選択される。好ましくは、免疫抑制剤は、リツキシマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブまたはベルツズマブまたはそのバイオ後続品である。
【0035】
第3の態様のさらに別の実施形態において、哺乳動物は癌に罹患している。一実施形態において、癌は、B細胞増殖障害、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性(myleogenous)白血病、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、フィラデルフィア染色体陽性B−ALL、B細胞前リンパ球性白血病、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、多発性骨髄腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞性(lymphoplamascytic)リンパ腫/ワルデンストローム高ガンマグロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病またはリンパ腫様肉芽腫症である。
【0036】
第3の態様のさらに別の実施形態において、哺乳動物は、血栓塞栓性障害、例えば、心筋梗塞、狭心症、血管形成術後の再閉塞、血管形成術後の再狭窄、大動脈冠状動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠状動脈バイパス後の再狭窄、脳卒中、一過性虚血、末梢性動脈閉塞性障害、肺塞栓症または深部静脈血栓症に罹患している。
【0037】
第4の態様において、本開示は、薬剤としての使用のための式(I)の化合物(および本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩を対象とする。一実施形態において、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩の使用はBTKが介在する疾患を処置するためであり、例えば疾患は、第3の態様およびその中の実施形態に記載の、炎症疾患、自己免疫疾患、癌または血栓塞栓性疾患である。
【0038】
第5の態様は、BTKが疾患の病理および/または症状の一因である哺乳動物における疾患を治療するための薬剤の製造における、式(I)の化合物(または本明細書に記載のその実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩の使用である。この態様の一実施形態において、疾患は、第3の態様およびその中の実施形態に記載の、癌、自己免疫、炎症または血栓塞栓性疾患である。
【0039】
癌の治療に関する上記態様のいずれにおいても、さらなる実施形態は、式(I)の化合物(または本明細書に記載のその実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩を、抗癌剤と組み合わせて投与することを含む。組み合わせ療法を使用する場合、薬剤は同時(固定された組み合わせ薬物など)または連続的に投与し得る。
【0040】
第6の態様において、本開示は、式(II):
【化4】
(式中、
R
1、R
2、R
3、X、Ar、Yおよび環Zは上記第1の態様で定められるとおりである)の中間体またはその塩を対象とする。
【0041】
第7の態様において、
(1)式(I)の化合物(式中、R
aはシアノであり、Aは−CR
3−であり、他の基は上記で定められるとおりである)または
薬学的に許容可能なその塩
を調製する工程が提供され;
この工程は、
(a)式(II):
【化5】
(式中、
R
1、R
2、R
3、X、Ar、Yおよび環Zは、上記第1の態様で定められるとおりである)の化合物を式R
cCHO(R
cは上記第1の態様で定められるとおりである)のアルデヒドと反応させること;または
(b)式(III):
【化6】
(式中、
R
1、R
2、R
3、X、Ar、YおよびZは上記第1の態様で定められるとおりである)の化合物を式R
cCH=C(CN)COL(Lは、R
cが上記第1の態様で定められるとおりであるアシル化反応条件下で脱離基である)の化合物と反応させること
を含むか;または
(2)式(I)(R
aは水素であり、Aは−CR
3−であり、他の基は上記第1の態様で定められるとおりである)の化合物:またはその医薬的な塩
を調製する工程が提供され、
この工程は、
式(III):
【化7】
(式中、
R
1、R
2、R
3、X、Ar、Yおよび環Zは上記第1の態様で定められるとおりである)の化合物を式R
cR
bC=CHCOL(式中、Lは、R
bおよびR
cが上記第1の態様で定められるとおりであるアシル化反応条件下で脱離基である)の化合物と反応させること;
(c)任意選択により上記ステップ(1)または(2)から得られた化合物の酸付加塩を作製すること;
(d)任意選択により上記ステップ(1)または(2)から得られた化合物の遊離塩基を作製すること
を含む。
【0042】
定義:
別記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される以下の用語は、本出願の目的のために定義され、以下の意味を有する。
【0043】
「アルキル」は、1〜6個の炭素原子の直鎖飽和一価炭化水素基または3〜6個の炭素原子の分枝鎖飽和一価炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチル(全ての異性体型を含む)、ペンチル(全ての異性体型を含む)などを意味する。
【0044】
「アルキレン」は、別記しない限り、1〜6個の炭素原子の直鎖飽和二価炭化水素基または3〜6個の炭素原子を有する分枝鎖飽和二価炭化水素基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなどを意味する。
【0045】
「アルキルスルホニル」は、−SO
2R基(式中、Rは、上記定義のアルキルである)、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニルなどを意味する。
【0047】
「アルコキシ」は、−OR基(式中、Rは上記定義のアルキルである)、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシまたは2−プロポキシ、n−、イソ−もしくはtert−ブトキシなどを意味する。
【0048】
「アルコキシアルキル」は、上記定義のアルコキシ基(一実施形態において1または2個のアルコキシ基)で置換されている1〜6個の炭素原子の直鎖一価炭化水素基または3〜6個の炭素原子の分枝鎖一価炭化水素基、例えば2−メトキシエチル、1−、2−または3−メトキシプロピル、2−エトキシエチルなどを意味する。
【0049】
「アルコキシカルボニル」は、−C(O)OR基(式中、Rは上記定義のアルキルである)、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどを意味する。
【0050】
「アシル」は、−COR基(式中、Rは、アルキル、ハロアルキルまたはシクロアルキル、例えばアセチル、プロピオニル、シクロプロピルカルボニルなど)を意味する。Rがアルキルである場合、その基は本明細書中でアルキルカルボニルとも称する。
【0051】
「シクロアルキル」は、1または2個の炭素原子がオキソ基により置き換えられ得る、3〜10個の炭素原子の環式飽和一価炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどを意味する。
【0052】
「カルボキシ」は、−COOHを意味する。
【0053】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード、一実施形態において、フルオロまたはクロロを意味する。
【0054】
「ハロアルキル」は、1つまたは1から5つのハロゲン原子(一実施形態において、フッ素または塩素)により置換されている上記定義のアルキル基、例として、異なるハロゲンにより置換されているもの、例えば−CH
2Cl、−CF
3、−CHF
2、−CH
2CF
3、−CF
2CF
3、−CF(CH
3)
2などを意味する。アルキルがフルオロのみにより置換されている場合、本開示においてフルオロアルキルと称することができる。
【0055】
「ハロアルコキシ」は、−OR基(式中、Rは、上記定義のハロアルキルである)、例えば、−OCF
3、−OCHF
2などを意味する。Rがハロアルキルであり、このアルキルがフルオロのみにより置換されている場合、これは本開示においてフルオロアルコキシと称することができる。
【0056】
「ヒドロキシアルキル」は、1または2つのヒドロキシ基により置換されており、但し、2つのヒドロキシ基が存在する場合、それらは同一の炭素原子上に両方で存在しない、1から6つの炭素原子の直鎖一価炭化水素基または3から6つの炭素の分枝鎖一価炭化水素基を意味する。代表例には、限定されるものではないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルが含まれる。さらなる例としては、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピルおよび1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルが挙げられるが限定されない。
【0057】
「ヘテロシクリル」は、1または2個の環原子がN、OまたはS(O)
n(式中、nは、0〜2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCである、4〜10個の環原子の飽和または不飽和一価単環式基または2環式基(縮合二環式または架橋二環式)を意味する。さらに、ヘテロシクリル環中の1または2個の環炭素原子は、任意選択により−CO−基により置換され得る。より具体的には、ヘテロシクリルという用
語は、オキセタニル、ピロリジノ、ピペリジノ、ホモピペリジノ、2−オキソピロリジニル、2−オキソピペリジニル、モルホリノ、ピペラジノ、テトラヒドロピラニル、チオモルホリノ、ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−6(2H)−オン−イル、テトラヒドロ−1H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−3(5H)−オン−イル、5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−イル、3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−イルなどを含むが限定されない。ヘテロシクリル環が不飽和である場合、これは1または2個の環二重結合を含有し得るが、但し、この環は芳香族ではない。
【0058】
「ヘテロシクリルアルキル」は、−(アルキレン)−R基(Rは、上記定義のヘテロシクリル環である)、例えば、テトライドロフラニルメチル(tetraydrofuranylmethyl)、ピペラジニルメチル、モルホリニルエチルなどを意味する。
【0059】
「ヘテロシクロアミノ」は、1または2つの環原子がN、O、またはS(O)
n(式中、nは、0から2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、但し、環原子の少なくとも1つがNである、4から8つの環原子の飽和または不飽和一価単環式基を意味する。さらに、ヘテロシクロアミノ環中の1または2つの環炭素原子は、−CO−基により場合により置き換えられていてよい。ヘテロシクロアミノ環が不飽和である場合、1または2つの環二重結合を含有し得、但し、環は芳香族でない。
【0060】
「ヘテロシクロアミノアルキル」は、Rが上記定義のヘテロシクロアミノである、−(アルキレン)−R基を意味する。
【0061】
「ヘテロアリール」は、1つ以上(一実施形態において、1、2、または3つ)の環原子がN、O、およびSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である、5から10個の環原子の一価単環式または二環式芳香族基を意味する。代表例には、限定されるものではないが、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、イソインドリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリルなどが含まれる。
【0062】
「哺乳動物」は、本明細書中で使用される場合、家畜化動物(イヌ、ネコおよびウマなど)およびヒトを意味する。一実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0063】
本開示は、式(I)の化合物(または本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩のプロドラッグも含む。プロドラッグという用語は、プロドラッグが哺乳動物対象に投与された場合、式(I)の活性成分(または本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)を放出し得る共有結合担体を表すものとする。活性成分の放出は、インビボで生じる。プロドラッグは、当業者に公知の技術により調製することができる。これらの技術は、一般に、所与の化合物中の適切な官能基を修飾する。しかしながら、これらの修飾された官能基は、元の官能基をインビボで、または定型操作により再生する。式(I)の化合物(または本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)のプロドラッグには、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、または類似の基が修飾されている化合物が含まれる。プロドラッグの例には、限定されるものではないが、エステル(例えば、アセテート、ホルメート、およびベンゾエート誘導体)、式(I))の化合物中のヒドロキシまたはアミノ官能基のカルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、アミド(例えば、トリフルオロアセチルアミノ、アセチルアミノなど)などが含まれる。式(I)の化合物(または本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩のプロドラッグも、本開示の範囲内である。
【0064】
本開示は、式(I)の化合物(または本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)の多形形態(アモルファスおよび結晶質)および/または薬学的に許容可能なその塩および重水素化形態も含む。
【0065】
化合物の「薬学的に許容可能な塩」は、薬学的に許容可能であり、親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩には:
無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;または、有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1、2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などと反応させることにより形成される酸付加塩;または
親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオンにより置き換えられ;または有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどと配位する場合に形成される塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩は、非毒性であることが理解される。好適な薬学的に許容可能な塩の追加の情報は、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical
Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1985に見出すことができる。
【0066】
本開示の化合物は、不斉中心を有し得る。不斉置換原子を含有する本開示の化合物は、光学活性またはラセミ形態で単離することができる。光学活性形態を、例えば材料の分割により調製する手法は、当分野において周知である。規定の立体化学または異性体形態が具体的に示されない限り、全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態は、個々の形態およびそれらの混合物として、本開示の範囲内である。
【0067】
式(I)のある化合物(または本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩は、互変異性体および/または幾何異性体として存在し得る。全ての考えられる互変異性体ならびにシスおよびトランス異性体は、個々の形態およびそれらの混合物として、本開示の範囲内である。さらに、本明細書において使用される用語アルキルには、数例のみが記載されているにもかかわらず、前記アルキル基の全ての考えられる異性形態が含まれる。さらに、環式基、例えばヘテロアリール、ヘテロシクリルが置換されている場合、それらには、数例のみが記載されているにもかかわらず、全ての位置異性体が含まれる。さらに、式(I)の化合物(または本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)および/または薬学的に許容可能なその塩の全ての水和物形態が、本開示の範囲内である。
【0068】
「オキソ」または「カルボニル」は、=(O)基を意味する。
【0069】
「任意選択」または「場合により」は、続いて記載されるイベントも状況も生じる必要がないこと、ならびに記載にはイベントまたは状況が生じる例およびそれが生じない例が含まれることを意味する。例えば、「アルキル基により場合により置換されているヘテロシクリル基」は、アルキルが存在する必要はなく、記載にヘテロシクリル基がアルキル基
により置換されている状況およびヘテロシクリル基がアルキルにより置換されていない状況が含まれることを意味する。
【0070】
「薬学的に許容可能な担体または賦形剤」は、一般に安全で非毒性で、生物学的にも他の点でも不所望でなく医薬組成物の調製において有用な担体または賦形剤を意味し、獣医使用およびヒト薬学的使用に許容可能である担体または賦形剤が含まれる。本明細書および特許請求の範囲において使用される「薬学的に許容可能な担体/賦形剤」には、1つおよび2つ以上のそのような賦形剤の両方が含まれる。
【0071】
式(I)中のR
cに対するヘテロシクリルにおける「任意選択の置換基のうち2個がアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロおよびオキソから独立して選択され、任意選択の置換基のうち1個がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニルまたはヘテロシクリルである。」という句(および特許請求の範囲および/または明細書中の他所の類似する句)は、ヘテロシクリルが1つの置換基で置換される場合、置換基が列挙される任意選択の置換基のいずれかであり得ることを意味する。ヘテロシクリル環が2個の置換基で置換される場合、両置換基のいずれか(either both substituents)がアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロおよびオキソから選択され得るか、またはこの2つの置換基の一方がアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロおよびオキソから選択され、他方の置換基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびヘテロシクリルから選択される。ヘテロシクリル環が3個の置換基で置換される場合、2個の置換基がアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロおよびオキソから選択され、第3の置換基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびヘテロシクリルから選択される。
【0072】
疾患を「治療する」または疾患の「治療」には:
(1)疾患の予防、すなわち、疾患に曝露され得、または罹患しやすいが、依然として疾患の症状を経験も提示もしない哺乳動物において疾患の臨床症状の発現をもたらさないこと;
(2)疾患の阻害、すなわち、疾患またはその臨床症状の発現の停止または軽減;または(3)疾患の緩和、すなわち、疾患またはその臨床症状の退行をもたらすこと
が含まれる。
【0073】
「治療有効量」は、疾患を治療するために哺乳動物に投与した場合、そのような疾患についての治療を行うために十分な式(I)の化合物(または本明細書に記載のそれらの実施形態のいずれか)の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重症度ならびに治療すべき哺乳動物の年齢、体重などに応じて変動する。
【0074】
実施形態
以下の実施形態1〜24およびその中に含有される実施形態またはサブ実施形態において、本開示には以下のものが含まれる:
1.上記の第1の態様の第1の実施形態において定義されるとおりの式(I)の化合物であって、そのEまたはZ異性体および/または薬学的に許容可能なその塩を含むもの。
【0075】
2.実施形態1の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩[式中、R
1およびR
2は、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロであり;
Xは、−O−、−CONR−、−NRCO−または−NR−CO−NR’(式中、RおよびR’は独立して水素またはアルキルである)であり;
Arは、ヘテロアリールまたはフェニル(ヘテロアリールおよびフェニルはアルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシおよびヒドロキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で任意選択により置換される)であり;
Aは、−N−または−CR
3−(式中、R
3は、水素、アルキル、シクロプロピル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシまたはシアノである)であり;
Yは、結合またはアルキレンであり;
環Zは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシおよびフルオロから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換されるヘテロシクロアミノであり;
R
5は式(i)、(ii)、(iii)または(iv):
【化8】
の基であり;
式中、R
aは水素、フルオロまたはシアノであり;但し、R
aがシアノである場合、R
bが水素であり、R
cは水素ではなく;
R
bは水素またはアルキルであり;
R
cは、水素、OH、ヘテロアリール(アルキルおよびヘテロシクリルから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換され、このヘテロシクリルは、ハロおよびアルキルから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換される)および−CONR
9R
10(R
9およびR
10は独立して水素またはアルキルであるか、またはR
9およびR
10はそれらが連結される窒素原子と一緒になって、任意選択によりアルキルおよびヘテロシクリルから選択される1または2個の置換基で置換されるヘテロシクリルを形成する)から独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換されるアルキル、
ハロ、アルキルおよびアリールから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換されるシクロアルキル、
ヒドロキシアルキル、
アルコキシアルキル、
ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキル中のヘテロシクリルは、1、2または3個の置換基で任意選択により置換され、任意選択の置換基のうち2個は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびオキソから独立して選択され、任意選択の置換基のうち1個は、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アシル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニルまたはヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキシから独立して選択される1または2個の置換基で置換される)である)または
−(アルキレン)−NR
6R
7(式中、R
6およびR
7は独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり、ここでヘテロシクリルは、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルおよびアルコキシカルボニルから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換されるか;またはR
6およびR
7はそれらが連結される窒素原子と一緒になって、
【化9】
(式中、X
1、X
2およびX
3のうち1または2個は窒素であり、残りは炭素であり、環はアルキル、ハロアルキルおよびハロから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換される)を形成する)である];
および/または薬学的に許容可能なその塩であり、但し:
Aが−N−である場合、R
aがシアノであり、R
cがヘテロシクロアミノール(aminol)アルキル(ここで、ヘテロシクロアミノアルキル中のヘテロシクロアミノは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびオキソから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換され、ヘテロシクロアミノの窒素原子は、ヘテロシクリル(ここでヘテロシクリルは、水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキシから独立して選択される1または2個の置換基で置換される)で置換される)であるもの。
【0076】
3.Aが−N−である、実施形態1〜2の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩。
【0077】
4.Aが−CR
3−である、実施形態1〜2の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩。実施形態4の一実施形態において、R
3は、水素、メチル、エチル、イソプロピル、フルオロまたはクロロである。実施形態3の第2の実施形態において、R
3は水素である。
【0078】
5.実施形態1〜4およびそこに含有される実施形態のいずれかの化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(式中、−X−Arはフェニル環の4位で炭素に連結され、環状尿素環のNに連結されるフェニル環の炭素は1位である)。
【0079】
6.Xが−O−である、実施形態1〜5およびそこに含有される実施形態のいずれかの化合物および/または薬学的に許容可能なその塩。実施形態6内で、第4の実施形態において、Arはヘテロアリールまたはフェニルであり、ここでヘテロアリールおよびフェニルは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシおよびヒドロキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で任意選択により置換される。実施形態6内で、第5の実施形態において、Arは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシおよびヒドロキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で任意選択により置換される、ピリジニル、ピリミジニル、チエニルまたはピラジニルである。実施形態6内で、第6の実施形態において、Arは、フェニル(ここでフェニルは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシおよびヒドロキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で任意選択により置換され、好ましくは1または2個のフルオロで置換される)である。
【0080】
7.Xが−CONR−または−NRCO−である、実施形態1〜6およびそこに含有される実施形態のいずれかの化合物および/または薬学的に許容可能なその塩。実施形態6内で、第4の実施形態において、Arは、ヘテロアリールまたはフェニル(ここでヘテロアリールおよびフェニルは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシおよびヒドロキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で任意選択により置換される)である。実施形態7内で、第5の実施形態において、Arは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシおよびヒドロキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で任意選択により置換される、ピリジニル、ピリミジニル、チエニルまたはピラジニルである。
実施形態7内で、第6の実施形態において、Arは、フェニル(ここでフェニルは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシおよびヒドロキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で、好ましくは1または2個のフルオロで任意選択により置換される)である。
【0081】
8.R
1およびR
2が独立して、水素またはハロ、好ましくは水素またはフルオロであり、より好ましくはR
1およびR
2が水素であるか、またはR
1が水素であり、R
2がフルオロである、実施形態1〜7およびそこに含有される実施形態のいずれかの化合物および/または薬学的に許容可能なその塩。
【0082】
9.実施形態1〜8およびそこに含有される実施形態のいずれかの化合物および/または薬学的に許容可能なその塩(式中、Yはアルキレンであり、環Zはピロリジニルであり、一実施形態において、ピロリジン−2−イルまたはアゼチジン−3−イルである)。実施形態9内で、一実施形態において、Yはメチレンである。実施形態9内で、第2の実施形態において、ピロリジニル環環(ring ring)がC2で環連結され、Yに連結されたピロリジニル環の炭素での立体化学が(R)または(S)である。実施形態9内で、別の実施形態であり、式中、R
5は式(i)または(iv)の基である。
【0083】
10.Yが結合であり、環Zがピロリジニルまたはピペリジニルであり、C−3炭素で環状尿素窒素に連結され、ピロリジニルまたはピペリジニルの窒素原子が位置C−1である、実施形態1〜9およびそこに含有される実施形態のいずれかの化合物および/または薬学的に許容可能なその塩。一実施形態において、環状尿素窒素に連結されるピロリジニルまたはピペリジニルの炭素での立体化学は(R)である。
【0084】
11.R
aが水素である、実施形態1〜10およびそこに含有される実施形態のいずれかの化合物および/または薬学的に許容可能なその塩。実施形態11内で、一実施形態において、R
5は式(i)の基である。実施形態11内で、第2の実施形態において、R
5は、式(ii)または(iii)の基である。実施形態11内で、第3の実施形態において、R
5は式(iv)の基である。実施形態11の実施形態1〜3内で、一サブ実施形態において、R
bおよびR
cは水素である。実施形態11の実施形態1〜3内で、別のサブ実施形態において、R
bは水素であり、R
cはアルキルまたはまたは(or or)−(アルキレン)−NR
6R
7(式中、R
6およびR
7は独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリル環は、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルおよびアルコキシカルボニルから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換される)であり、好ましくはR
6およびR
7は独立して水素またはアルキルである)である。
【0085】
12.R
aがシアノである、実施形態1〜11およびそこに含有される実施形態のいずれかの化合物または薬学的に許容可能なその塩。実施形態12内で、一実施形態において、R
5は式(i)の基である。実施形態12内で、第2の実施形態において、R
5は式(ii)または(iii)の基である。
【0086】
(a)実施形態12の実施形態1および2内で、一サブ実施形態において、R
cはシクロアルキルであり、これは、ハロ、アルキル、アルコキシアルキルおよびアリールから独立して選択される1または2個の置換基によりで任意選択により置換されるか;またはシクロアルキルの2個の隣接する置換基は、それらが連結される炭素原子と一緒になってヘテロシクリル基を形成する。一実施形態において、R
cは、シクロプロピル、1−メチルシクロブチル、1−フェニルシクロプロピル、1−メチルシクロプロピル、2,2−ジフルオロシクロプロピル、
【化10】
である。
【0087】
(b)実施形態12の実施形態1および2内で、第2のサブ実施形態において、R
cは未置換アルキルである。一実施形態において、R
cはイソプロピルまたはtert−ブチルである。
【0088】
(c)実施形態11の実施形態1および2内で、一サブ実施形態において、R
cは、−(アルキレン)−NR
6R
7(ここでR
6およびR
7は独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである)である。別のサブ実施形態において、R
cは、−C(CH
3)
2NH
2、−C(CH
3)
2NHCH
3、−C(CH
3)
2N(CH
3)
2、−C(CH
3)
2NHCH
2CH
3、−C(CH
3)
2NHCH(CH
3)
2、−C(CH
3)
2NHシクロプロピル、−C(CH
3)
2NH(CH
2)
2OCH
3、−C(CH
3)
2OCH
2CH
3、−C(CH
3)
2N(CH
2CH
3)(オキセタン−3−イル)、−C(CH
3)
2N(CH
3)(オキセタン−3−イル)または−C(CH
3)
2NH(オキセタン−3−イル)である。
【0089】
(d)実施形態12の実施形態1および2内で、別のサブ実施形態において、R
cは、ヘテロシクリルアルキルであり、ここでヘテロシクリルアルキル中のヘテロシクリルは1、2または3個の置換基で任意選択により置換され、任意選択の置換基のうち2個は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびオキソから独立して選択され、任意選択の置換基のうち1個は、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニルまたはヘテロシクリル(ここでヘテロシクリルは、アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキシから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換される)である。
【0090】
サブ実施形態(d)の一サブ実施形態において、R
cは、−C(CH
3)
2モルホリン−4−イル、−C(CH
3)
2−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−(1−メチル)ピペリジン−1−イル、
【化11】
、−C(CH
3)
2−4−エチル−3−オキソピペラジン−1−イル、C(CH
3)
2テトラヒドロピラン−4−イル、−C(CH
3)
2−4−メトキシカルボニルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−(オキセタン−4−イル)ピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−(3−メチルオキセタン−4−イル)ピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−t−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−アセチルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−メトキシカルボニルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−ピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル、−C(CH
3)
2−(S)−3−メトキシピロリジン−1−イル、−C(CH
3)
2−(R)−3−メトキシピロリジン−1−イル、−C(
CH
3)
2−(S)−2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル、−C(CH
3)
2−(R)−2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル、
【化12】
、−C(CH
3)
2−4−メチルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−エチルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−イソプロピルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−アセチルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−(3R,5S)−3,4,5−トリメチルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−(3R,5S)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル、−C(CH
3)
2−4−(3R,5S)−ジメチルモルホリン−4−イル、−C(CH
3)
2−ピペリジン−1−イル、−C(CH
3)
2−ピロリジン−1−イル、−C(CH
3)
2−3−オキソ−ピペラジン−1−イルまたは−C(CH
3)
2−(3−オキソ−4−メチルピペラジン−1−イル)である。サブ実施形態(d)の第2のサブ実施形態において、R
cは、ヘテロシクリルアルキル(ここでヘテロシクリルアルキル中のヘテロシクリルは、別のヘテロシクリルで置換され、この別のヘテロシクリルは、別のヘテロシクリルの炭素においてアルキルで置換される)である。
【0091】
(e)実施形態12の実施形態1および2内で、さらに別のサブ実施形態において、R
cは、1、2または3個の置換基で任意選択により置換されるヘテロシクリルであり、この任意選択の置換基のうち2個はアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびオキソから独立して選択され、任意選択の置換基のうち1個は、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルまたはヘテロシクリルである。サブ実施形態(e)の一サブ実施形態において、R
cは、3−メチルオキセタン−3−イル、3−エチルオキセタン−3−イル、3−フルオロオキセタン−3−イル、3−アミノオキセタン−3−イル、4−メチルピペリジン−4−イル、3−メチルアゼチジン−3−イル、1−メチルアゼチジン−3−イル、4−メチル−4−テトラヒドロピラニルまたは1,3−ジメチルアゼチジン−3−イルである。別のサブ実施形態(f)において、R
cは、
【化13】
である。
【0092】
(g)実施形態12の別のサブ実施形態において、R
cは、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルおよび、アルキルおよびヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、ハロおよびアルキルから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換される)から独立して選択される1または2個の置換基で置換されるヘテロアリールから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換されるアルキルである。別の実施形態において、R
cは、1または2個のヒドロキシ置換基で置換されるアルキルである。別の実施形態において、R
cは、
【化14】
である。
【0093】
サブ実施形態において、R
cは、アルキルおよびヘテロシクリル(ここでヘテロシクリルは、ハロおよびアルキルから独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換される)から独立して選択される1または2個の置換基で任意選択により置換されるヘテロアリールで置換されるアルキルである。このサブ実施形態内で、別の実施形態において、R
cは、
【化15】
である。
【0094】
別のサブ実施形態において、R
cは、−CONR
9R
10で置換されるアルキルであり、R
9およびR
10は独立して、水素またはアルキルであるか、またはR
9およびR
10は、それらが連結される窒素原子と一緒になって、アルキルおよびヘテロシクリルから選択される1または2個の置換基で任意選択により置換されるヘテロシクリルを形成する。このサブ実施形態内で、R
9およびR
10が両方とも水素またはアルキルである実施形態である。別の実施形態において、R
cは、−C(CH
3)
2−CONH
2または−C(CH
3)
2−CON(CH
3)
2である。
【0095】
別のサブ実施形態において、R
cは、−CONR
9R
10(式中、R
9およびR
10は、それらが連結される窒素原子と一緒になって、アルキルおよびヘテロシクリルから選択される1または2個の置換基で任意選択により置換されるヘテロシクリルを形成する)で置換されるアルキルである。このサブ実施形態内で、R
9およびR
10により、それらが連結される窒素原子と一緒になって形成されるヘテロシクリルは、4−メチルピペラジニルまたは4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イルである実施形態である。
【0096】
13.実施形態3、5、6および8〜10のいずれかの化合物(すなわち、Aは、−N−であり;−X−Arはフェニル環の4−位で炭素に連結され、環状尿素環のNに連結されるフェニル環の炭素は1位にあり;XはOであり;Yは結合であり;環Zはピロリジニルまたはピペリジニルであり、C−3炭素で環状尿素窒素に連結され、ピロリジニルまたはピペリジニル環の窒素原子はC−1であり;環状窒素に連結されるピロリジニルまたはピペリジニルの炭素での立体化学は(R)である)であって、式中、R
5が式(i)の基であり、R
aがシアノであり、R
bが水素であり、R
cがヘテロシクリルアルキルであり、ここでヘテロシクリルアルキル中のヘテロシクリルは、1、2または3個の置換基で任意選択により置換され、この任意選択の置換基のうち2個が、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノおよびオキソから独立して選択され、この任意選択の置換基のうち1個が、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アシル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニルまたはヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキシから独立して
選択される1または2個の置換基で置換される)であるもの。
【0097】
この実施形態のサブ実施形態において、R
cは、
【化16】
である。
【0098】
代表的化合物を以下の表Iで列挙する。
【0106】
表1の化合物のいずれかのEまたはZ異性体および/またはこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩も本発明の範囲内に含まれる。
【0107】
本発明はまた次の化合物:
4−アミノ−1−((3S)−1−(オキシラン−2−カルボニル)ピペリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン;
4−アミノ−1−((3S)−1−(2,3−ジヒドロキシプロパノイル)ピペリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン;
4−アミノ−1−((3S)−1−(2−ヒドロキシプロパノイル)ピペリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−1−(1−(3−ヒドロキシプロパノイル)ピペリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン;
4−アミノ−1−(((2R)−1−(オキシラン−2−カルボニル)ピロリジン−2
−イル)メチル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン;
4−アミノ−1−(((2R)−1−(2,3−ジヒドロキシプロパノイル)ピロリジン−2−イル)メチル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン;
4−アミノ−1−(((2R)−1−(2−ヒドロキシプロパノイル)ピロリジン−2−イル)メチル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン;および
(R)−4−アミノ−1−((1−(3−ヒドロキシプロパノイル)ピロリジン−2−イル)メチル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン;
および/または薬学的に許容可能なその塩も対象とする。
【0108】
これらの化合物は、以下で述べるスキーム4に従い調製し得、式(I)の化合物と同じ有用性がある。
【0109】
一般合成スキーム
本開示の化合物は、以下に示す反応スキームに示す方法により作製することができる。
【0110】
これらの化合物の調製において使用される出発材料および試薬は、供給業者、例えばAldrich Chemical Co.,(Milwaukee,Wis.)、Bachem(Torrance,Calif.)、もしくはSigma(St.Louis,Mo.)から入手可能であり、または参考文献、例えばFieser and Fieser’s Reagent for Organic Synthesis,Volumes 1−17(John Wiley and Sons,1991);Rodd’s
Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1−5 and Supplementals(Elsevier Science Publishers,1989);Organic Reactions,Volumes
1−40(John Wiley and Sons,1991)、March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons,4th Edition)およびLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)に記載の手順に従って当業者に公知の方法により調製する。これらのスキームは、本開示の化合物を合成することができる一部の方法の単に説明にすぎず、これらのスキームに対する種々の改変を行うことができ、本開示を参照する当業者に示唆される。出発材料および中間体、ならびに反応の最終生成物は、所望により、慣用の技術、例として、限定されるものではないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを使用して単離および精製することができる。そのような材料は、慣用の手段、例として、物理定数およびスペクトルデータを使用して特性決定することができる。
【0111】
逆の記載のない限り、本明細書中に記載の反応は、約−78℃〜約150℃または約0℃〜約125℃の範囲の温度またはほぼ室温(または周囲温度)、例えば約20℃にて大気圧で行う。
【0112】
式(I)の化合物(式中、R
5は式(i)の基であり、発明の概要で定義される他の基は、以下のスキーム1で示され、記載されるように調製し得る。
【化17】
【0113】
ジハロヘテロアリール化合物、例えば4,6−ジクロロ−5−ニトロピリミジンなどの、式NH(PG)
2とアミン(PGは、適切なアミノ保護基、例えばベンジルなどである)との反応によって、式1の化合物が得られる。この反応は、適切な有機溶媒、例えばジオキサン、ジクロロメタンなどの中で行われる。式2のアミノ化合物(Yおよび環Zは要約で定義のとおりであり、PG
1は、Bocなどの適切なアミノ保護基である)による第2のハロ基の置換によって、式3の化合物が得られる。この反応は、トリエチルアミンなどのさらなる塩基とともに、ジクロロメタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの中で行われる。式2の化合物、例えば(R)−tert−ブチル3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート、(S)−tert−ブチル3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート、(R)−tert−ブチル3−(アミノメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート、(S)−tert−ブチル3−(アミノメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート、(R)−tert−ブチル2−(アミノメチル)アゼチジン−1−カルボキシレートおよび(S)−tert−ブチル2−(アミノメチル)アゼチジン−1−カルボキシレートなどは、市販されているか、または当技術分野で周知の方法によって調製し得る。式3の化合物のニトロ基は、EtOAc中のZnおよび塩化アンモニウムなどの試薬によって、またはEtOH中の酢酸などの溶媒中でFeまたはSnClによって還元されて、式4の化合物が得られ得る。
【0114】
トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下でカルボニルジイミダゾール、ホスゲンまたはホスゲン同等物(例えばジホスゲンまたはトリホスゲン)とともにジクロロエタンなどの有機溶媒中で4を加熱することによって、式4の化合物を環状化して、式5のベンゾイミダゾロンを形成させ得る。アミノ保護基PGの除去によって、式6の化合物が得られる。利用される反応条件は、アミノ保護基の性質に基づく。例えばPGがベンジル基である場合、これは、酢酸などの添加剤とともにPd/C触媒などを
使用して、水素付加を介して除去して、式6の化合物を得ることができる。例えば、TEMPまたは酸素などの添加剤およびピリジンまたはトリエチルアミンなどの塩基とともに、DCMなどの溶媒中、触媒としてCu(OAc)2を使用する、銅介在カップリング(チャン−ラムカップリ)を介した、式7のアリールボロン酸(R
1、R
2、ArおよびXは発明の概要で定義のとおり)との6の反応によって、式8の化合物が得られる。式7の化合物、例えば(4−フェノキシフェニル)ボロン酸、2−[4−(3−フルオロフェノキシ)−フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン、4−(4−フルオロフェノキシ)フェニルボロン酸、4−(3−フルオロフェノキシ)フェニルボロン酸、4−(3,5−ジフルオロフェノキシ)−フェニルボロン酸、4−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)フェニル−ボロン酸および4−(3−(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニルボロン酸は、市販されているか、またはリチウムハロゲン交換およびホウ酸トリイソプロピルで不活性化することによりフェニルハロゲン化物から調製し得るかのいずれかである。
【0115】
あるいは、化合物8は、最初に化合物5をボロン酸7と反応させ、続いて上記の条件下でアミノ保護基を除去することによって調製し得る。化合物8におけるアミノ保護基PG
1の除去によって式9の化合物が得られる。利用される反応条件は、アミノ保護基の性質に基づく。例えば、PG
1がBOCである場合、これは、TFA、HClなどの酸での処理など、酸加水分解反応条件下で除去され得る。
【0116】
次いで、当技術分野で周知の方法によって、化合物9を式(I)の化合物に変換し得る。例えば、式(I)の化合物は、式(I)の化合物を与えるために、化合物9を式10の酸または化合物10の酸誘導体、例えば酸塩化物など(R
a、R
bおよびR
cは、発明の概要に記載のとおり)とカップリングすることによって調製し得る。化合物10が使用される場合、この反応は、HATU、DCC、炭素ジイミダゾール(carbon diimidazole)(CDI)などの存在下など、標準的なアミドカップリング条件下で行われる。式10の化合物またはその酸塩化物誘導体は市販されているか(例えば塩化アクリロイル)またはこれらは、シアノ酢酸およびイソブチルアルデヒドまたはピバルデヒド(pivaldehyde)などのアルデヒドの縮合生成物など、当技術分野で周知の方法によって調製され得る。
【0117】
式(I)の化合物(R
aはシアノである)は、式11の化合物を与えるために、炭素ジイミダゾール(carbon diimidazole)(CDI)などの標準的なアミドカップリング条件下で最初に化合物9を2−シアノ酢酸と縮合することによっても調製される。室温から還流温度の範囲の温度で、エタノールなどの溶媒中、酢酸などの存在下または非存在下で、ピペリジンなどの塩基を使用するなど、標準的な縮合反応下での式11の化合物の式R
cCHOのアルデヒド(R
cは発明の概要で定義のとおり)との縮合によって、式(I)の化合物がもたらされる。式R
cCHOの化合物は、市販されているかまたはこれらは当技術分野で周知の方法によって調製され得、例えば、アセトアルデヒド、シクロプロピルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、3−メチルオキセタン−3−カルバルデヒド、2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロパナル、2−メチル−2−(1−ピペリジル)プロパナル、tert−ブチル(2S)−2−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレートおよび2−メチル−2−(モルホリン−4−イル)プロパナルは市販されている。エトキシ−2−メチルプロパナルは、国際公開第2007142576号パンフレットに記載のようにイソブチルアルデヒドから調製した。化合物R
CCHO(R
cは、−(アルキレン)−NR
6R
7である)は、ブロモイソブトリアルデヒド(bromoisobutryaldehyde)を形成させるために臭素でイソブトリアルデヒド(isobutryaldehyde)を処理し、続いてHNR
6R
7の添加により臭素の置換を行うことよって調製し得る。
【0118】
あるいは、化合物11をR
cCHOの前駆体基と縮合し、次いで式(I)の化合物に変換することもできる。例えば、化合物11は、tert−ブチル2−メチル−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートと縮合し、続いて式(I)の化合物(R
cは2−アミノプロパン−2−イルである)を与えるためにアミノ保護基を除去し得る。この縮合反応は、ジクロロメタンまたは他の適切な溶媒(例えばジオキサンおよびエタノール)中でクロロトリメチルシランありまたはなしで、ピロリジンまたはピペリジンなどの塩基とともに、所望のアルデヒドR
cCHOを添加することによっても行い得る。式(I)の化合物(R
5は、式(ii)〜(iv)の基である)は、スキーム2に記載のように調製し得る。上記の手順に従い、化合物9を、2−ブチン酸、塩化ビニルスルホニル、(E)−プロプ−1−エン−1−スルホニルクロリド、1−プロピン−1−スルホニルクロリドなどの適切な出発物質で置き換えることによって、式(I)の化合物を得ることができる。
【0119】
あるいは、式(I)の化合物(R
5は式(ii)の基である)を調製するために、式11の化合物を、市販のシアノメタンスルホニルクロリドと反応させて、シアノメチルスルホンアミドを得ることができ、これを、TMSClおよびピロリジンとともに式12のアルデヒドと縮合して、式(I)の構造を得ることができる。
【化18】
【0120】
式(I)の化合物(A=CHは、スキーム3に記載のように調製し得る)、2,4−ジクロロ−3−ニトロピリジンは、式2のアミノ化合物(Yおよび環Zは発明の概要で定義のとおりであり、PG
1は、Bocなどの適切なアミノ保護基である)と最初に反応させ得る。DMFなどの溶媒中での式NH(PG)
2のアミン(PGは4−メトキシベンジルなどの適切なアミノ保護基である)との続く反応によって、式14の化合物が得られる。標準的な条件下での、Pd/Cでの水素付加による、またはZn、FeまたはSnClでの還元による、ニトロ基の還元によって、式15の化合物が得られる。カルボニルジイミダゾールまたはホスゲン同等物との縮合によって環状尿素16が得られる。チャン−ラムカップリングをこのステップで行い得、化合物(I)の合成をスキーム1に記載のように完遂し得る。
【0121】
あるいは、化合物17は、両保護基を除去するために最初にTFAなどの酸で処理し、続いてPG
1(例えばBOC)基を導入することによって調製し得る。ジメチルホルムア
ミドジメチルアセタールでの続く処理によって式18の化合物が得られる。次に、上記のようなチャン−ラム条件下での反応によって化合物19が得られる。ジクロロメタン、ジオキサン、MeOHまたはEtOHなどの溶媒中でのHClまたはTFAなどの酸での19の処理による続く脱保護によって、式20の化合物が得られる。次いで、スキーム1および2に記載の方法と類似の方式で式(I)の化合物の標品を調製する。
【化19】
以下のスキーム4は、式21、22、24および25の化合物の調製を示す。DMFなどの溶媒中での、HATUなどの試薬を用いた、3−ヒドロキシプロパン酸または2−ヒドロキシプロパン酸(ラセミ体として、または(S)または(R)異性体として)などの市販の酸の、スキーム2からの化合物20とのカップリングによって、式21および22の化合物がそれぞれ得られる。トリメチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの塩基とともに、塩化アクリロイルをDMFなどの溶媒中の化合物20に添加して、式23の化合物を得ることができる。アセトンおよび水の混合物中での四酸化オスミウムおよびN−メチルモルホリンオキシド(NMO)などの試薬での酸化によって式24のジオールが得られる。化合物25は、トルエンまたはジクロロメタンなどの溶媒中でのmCPBAなどの酸化剤での酸化によって、またはtert−ブチル過酸化水素(TBHP)およびキナアルカロイド触媒(シャープレスエポキシ化)によって、式23の化合物から調製し得る。
【化20】
【0122】
一般的方法A
以下で示す一般的な方法を使用して、いくつかの他の化合物を調製し得る。
【化21】
【0123】
ステップ1
O2雰囲気でパージし、維持した100mL丸底フラスコに、ジクロロメタン(0.1mM)中の、アリールボロン酸(1.0当量)、TEA(4.0当量)、Cu(OAc)2(0.50当量)、TEMPO(1.10当量)およびモレキュラーシーブ(4A)(500mg)を入れた。得られた溶液を30分間撹拌し、次いでアリールボロン酸(2.00当量)を添加した。得られた溶液をrtで一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムにかけ、ジクロロメタン/メタノールで溶出させて、所望の生成物Aを得た。
【0124】
ステップ2
ジオキサン中のAの溶液(1.0当量)に塩化水素(12M)を添加した。得られた溶液を油浴中、85℃で3時間撹拌した。次に反応を重炭酸ナトリウム(飽和)の添加によって不活性化した。得られた溶液をDCM/MeOH(10:1)で抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を飽和塩化ナトリウムで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。この結果、360mg(100%)のBを得た。
【0125】
ステップ3
50mL丸底フラスコに、B(1.0当量)、2−シアノ酢酸(1.0当量)、HATU(1.5当量)、TEA(3.0当量)およびN,N−ジメチルホルムアミド(0.1mmol)を入れた。得られた溶液をrtで2時間撹拌した。得られた溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を6x100mLの水で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/メタノールを用いてシリカゲルカラムにかけ、化合物Cを得た。
【0126】
ステップ4
丸底フラスコにC(1.0当量)を入れ、これをDCM中で溶解して、0.2Mの濃度にした。溶液を0℃に冷却し、アルデヒド(3.0当量)を添加し、続いてピロリジン(6.0当量)およびTMSCl(4.0当量)を添加した。反応物をrtに温め、3時間またはsmが消費されるまで撹拌した。水を添加し、層を分離した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空下で除去した。シリカゲルクロマトグラフィーまたは分取HPLCのいずれかによる精製によって、所望の化合物Dを得た。アルデヒドは市販品を購入したか、以下で示す方法によるか、または文献で知られる方法によった(すなわち、スワーン条件を介した、またはPCCもしくはデス−マーチンペルヨージナンなどの酸化剤によるアルコールの酸化)。
【0127】
一般的方法B
イソブツイルアルデヒド(isobutuyraldehyde)からのアルデヒドの調製
【化22】
氷浴で冷却したDCM(0.2M)中の2−メチルプロパナル(1.0当量)の溶液に臭素(1.0当量)を滴加した。1時間後、得られた2−ブロモ−2−メチルプロパナル溶液から真空下で殆どの溶媒を除去した。この物質をrtでDCM(8mL)中で希釈し、アミン(2.0当量)を添加した。一晩撹拌した後、混合物をブライン(30mL)で希釈し、層を分離した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、ろ過し、濃縮して、所望のアルデヒドを単離し、次のステップで直接使用するか、または使用前にシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0128】
試験
以下の生物学的実施例に記載のインビトロおよび/またはインビボアッセイを使用して、BTK阻害活性、阻害剤BTK結合複合体の滞留時間および本開示の化合物がBTKのCys481(UniprotKB配列番号Q06187)と不可逆的共有結合または可逆的共有結合を形成する能力を試験し得る。
【0129】
以下の生物学的実施例1、3、4および5に記載のインビトロおよび/またはインビボアッセイを使用して、本開示の式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩のBTK阻害活性を試験し得る。ありとあらゆる他のアッセイの結果、キナーゼ阻害活性が決定されないとしても、これらのアッセイのいずれかによるキナーゼ阻害活性の決定は、本開示の範囲内でのキナーゼ阻害活性であると考えられる。
【0130】
いずれの具体的な機序の理論にも縛られるものではないが、本開示の化合物が可逆的共有阻害剤である実施形態において、R5基におけるシステインスルフィドリル基および炭素−炭素二重結合の一部を形成する炭素原子、式(I)の化合物(R5は式(i)、(ii)または(iii)の基であり、Raはシアノである)(式(I)参照)は、BTKのCys481が本開示の化合物中の上記で挙げるR5基の炭素−炭素二重結合の電子欠損炭素原子を攻撃して、チオール付加物を形成するなど、可逆的な、すなわち不安定な共有結合を形成し得ると考えられる。
【0131】
いくつかの実施形態において、オレフィンの電子欠損炭素原子は、Ra基(Raはシアノである)に連結される炭素より遠位であり、すなわちこの炭素原子はRbおよびRc基に連結される(本開示の化合物中の式(I)を参照)。したがって、Ra基(Raはシアノである)および「−N−CO−、−NSO2または−N−SO−」部分および本開示の化合物においてそれらが結合されるオレフィン部分の組み合わせは、BTKの活性部位システイン残基とともにチオール付加物を形成するためのオレフィンの反応性を上昇させ得る。
【0132】
可逆的共有阻害剤である本開示の化合物は、2つの異なる方式でBTKと結合し得る。上記で論じた不安定な共有結合に加えて、これらは、BTKと(例えばファンデルワールス結合、水素結合、疎水性結合、親水性結合および/または静電気的帯電結合を介して)非共有結合も形成すると考えられ、この非共有結合は、少なくとも部分的にBTKのキナーゼ活性を阻害するのに十分である。
【0133】
本明細書中で開示されるように、阻害剤中のオレフィンと、阻害剤がBTKとの上述の非共有結合を有する部位またはその付近のシステイン481残基チオール側鎖との間に、不安定な共有結合が生じる。
【0134】
明らかであるように、可逆的共有阻害剤である本開示の化合物は、BTKとのシステイン介在性共有結合および非共有結合の両方を有する。これは、非共有結合を介してBTKのみを阻害し、システイン介在性共有結合を欠く、非共有可逆的阻害剤とは逆である。
【0135】
上述の2つの異なる方式でのBTKとの本開示の化合物の結合は、一部の例において永久的で不可逆的なタンパク質付加物を形成することがない不可逆的共有阻害剤に相当する、ゆっくりとした解離速度で作用持続時間が長期化した可逆的共有阻害剤を提供する。不可逆的および可逆的共有阻害剤、特に本明細書中で開示される化合物の間の相違は、本明細書中で開示されるアッセイを利用して解明し得る。
【0136】
一般に、この結合は、BTKがある一定の立体配置である場合に安定であり、BTKが異なる立体配置である場合に破壊され易い(両ケースとも生理学的条件下)BTKと可逆
的共有結合を形成する阻害剤に関与し、一方でBTKと不可逆的共有結合を形成する阻害剤との間の相互作用は、BTKが異なる立体配置である場合でも生理学的条件下で安定である。
【0137】
可逆的共有結合は、システイン含有結合部位内で化合物の滞留時間と関連する特有の特性を付与することが多い。この文脈において、滞留時間は、異なる条件下での化合物標的複合体の一時的な持続時間を指す(Copeland RA,Pompliano DL,Meek TD.Drug−target residence time and its implications for lead optimization.Nat.Rev.Drug Discov.5(9),730−739(2006)参照)。
【0138】
本明細書中で開示されるような可逆的共有阻害剤中での可逆的共有結合の存在は、BTKと共有結合を形成しない化合物と比較した場合、滞留時間延長につながり得る。一実施形態において、本明細書中で、可逆的共有阻害剤である本開示の化合物が、少なくとも約1hの滞留時間を有することが開示される。滞留時間は、生化学的または細胞環境において占有アッセイを使用して測定し得る(以下の生物学的実施例2および9を参照)。さらに、滞留時間は、定められたウォッシュアウト期間後に機能アッセイを使用して測定し得る。
【0139】
不可逆的共有阻害剤において不可逆的共有結合を形成する化合物は、これらの滞留時間延長特性を共有するが、それにもかかわらず、可逆性アッセイを使用して可逆的共有阻害剤とは区別され得る。本開示の化合物がBTKのCys481と可逆的または不可逆的共有結合を形成する能力は、以下の生物学的実施例2、6〜8に記載のアッセイによって決定し得る。以下の生物学的実施例2、6〜8のいずれかによる、システイン残基と本開示の化合物のオレフィン結合との間の共有結合の結合可逆性の判定は、他の方法のうち1つまたは両方の結果、結合可逆性が判定されないとしても、本開示の範囲内で可逆的結合であると考えられる。
【0140】
投与および医薬組成物
一般に、本開示の化合物は、同様の有用性を提供する薬剤について許容される投与方式のいずれかにより治療有効量で投与される。式(I)の化合物の治療有効量は、患者体重1kg当たり1日当たり約0.01から約500mgの範囲であり得、それを単回または複数回用量で投与することができる。一実施形態において、用量レベルは、1日当たり約0.1から約250mg/kgである。他の実施形態において、1日当たり約0.5から約100mg/kgである。好適な投与量レベルは、1日当たり約0.01から約250mg/kg、1日当たり約0.05から約100mg/kg、または1日当たり約0.1から約50mg/kgであり得る。この範囲内で、投与量は、1日当たり約0.05から約0.5、約0.5から約5または約5から約50mg/kgであり得る。経口投与について、組成物は、約1.0から約1000ミリグラムの活性成分、特に約1.0、5.0、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900、および1000ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。本開示の化合物、すなわち、活性成分の実際量は、多数の要因、例えば治療すべき疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康、利用される化合物の効力、投与経路および形態、ならびに他の要因に依存する。
【0141】
一般に、本開示の化合物は、以下の経路のいずれか1つにより医薬組成物として投与される:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内または坐剤による)、または非経口(例えば、筋肉内、静脈内または皮下)投与。好ましい投与様式は、簡便な1日投与量レジメンを使用する経口であり、それは苦痛の程度により調整することができる。組成物は、錠剤、ピ
ル、カプセル剤、半固体、散剤、徐放配合物、液剤、懸濁液剤、エリキシル剤、エアロゾル剤、または任意の他の適切な組成物の形態をとり得る。
【0142】
配合物の選択は、種々の要因、例えば薬物投与方式(例えば、経口投与については、錠剤、ピルまたはカプセル剤の形態の配合物が好ましい)および薬物物質のバイオアベイラビリティーに依存する。近年、特に、バイオアベイラビリティーを表面積の増加、すなわち、粒子サイズの減少により増加させることができる原理に基づき不十分なバイオアベイラビリティーを示す薬物について医薬配合物が開発されている。例えば、米国特許第4,107,288号明細書は、活性材料が巨大分子の架橋マトリックス上で担持される10から1000nmのサイズ範囲の粒子を有する医薬配合物を記載している。米国特許第5,145,684号明細書は、薬物物質を表面改質剤の存在下でナノ粒子(400nmの平均粒子サイズ)に粉末化し、次いで液体媒体中で分散させて顕著に高いバイオアベイラビリティーを示す医薬配合物を得る医薬配合物の生成を記載している。胃のpHで分解する薬物のバイオアベイラビリティーは、十二指腸内で薬物を放出する処方でのこのような薬物の投与によって向上し得る。
【0143】
本組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、例えば結合剤、界面活性剤、希釈剤、緩衝剤、付着防止剤、流動促進剤、親水性または疎水性ポリマー、遅延剤、安定化剤または安定剤、崩壊剤または超崩壊剤、抗酸化剤、消泡剤、充填剤、香味料、着色剤、滑沢剤、吸着剤、保存剤、可塑剤または甘味料またはこれらの混合物と組み合わせて、一般に、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩から構成され、これらは、薬学的に使用され得る製剤への、式(I)の化合物(または本明細書中で開示されるその実施形態)および/または薬学的に許容可能なその塩の加工を促進する。必要に応じて、および当技術分野で理解されるように、周知の技術および賦形剤のいずれかを使用し得、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,Twenty−first Ed.,(Pharmaceutical Press、2005);Liberman,H.A.,Lachman,L.およびSchwartz,J.B.Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Vol.1−2 Taylor & Francis 1990;およびR.I.Mahato,Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Second Ed.(Taylor & Francis,2012)を参照のこと。
【0144】
ある一定の実施形態において、本処方物は、1つ以上のpH調整剤または緩衝剤、例えば、酸、例えば酢酸、ホウ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸および塩酸など;塩基、例えば水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリス−ヒドロキシメチルアミノメタンなど;および緩衝液、例えばクエン酸/デキストロース、重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウムなどを含み得る。塩基として使用されるこのような緩衝液は、ナトリウム以外の他の対イオン、例えばカリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウムまたは他の対イオンを有し得る。このような酸、塩基および緩衝液は、許容可能な範囲で本組成物のpHを維持するのに必要とされる量で含まれる。
【0145】
ある一定の実施形態において、本処方物は、本組成物の浸透圧を許容可能な範囲にするのに必要とされる量で1つ以上の塩も含み得る。このような塩としては、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム陽イオンおよび塩素、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、重炭酸、硫酸、チオ硫酸または亜硫酸水素陰イオンを有するものが挙げられ;適切な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0146】
ある一定の実施形態において、本処方物は、水分散液の凝析、完成フィルム中の泡を生じさせ得るかまたは一般的に加工を損ない得る処理中の泡立ちを減少させるために1つ以上の消泡剤も含み得る。代表的な消泡剤としては、ケイ素エマルションまたはソルビタンセスキオレイン酸エステル(sorbitan sesquoleate)が挙げられる。
【0147】
ある一定の実施形態において、本処方物は、1つ以上の抗酸化剤、例えば非チオール抗酸化剤など、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸またはその誘導体およびトコフェロールまたはその誘導体も含み得る。ある一定の実施形態において、抗酸化剤は、必要とされる場合、化学的安定性を促進する。酸化を遅らせるために、クエン酸またはクエン酸塩またはEDTAなどの他の薬剤も添加され得る。
【0148】
ある一定の実施形態において、本処方物は、微生物活性を阻害するために、1つ以上の保存剤も含み得る。適切な保存剤としては、水銀含有物質、例えばメルフェン(merfen)およびチオメルサール;安定化二酸化塩素;および四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミドおよび塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
【0149】
ある一定の実施形態において、本処方物は、1つ以上の結合剤も含み得る。結合剤は、粘着性を付与し、例えば、アルギン酸およびその塩;セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))および微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標))など;微結晶性デキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニル−ピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガカント、デキストリン、糖、例えばスクロース(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、モラセス、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))およびラクトースなど;天然または合成ゴム、例えばアカシア、トラガカント、イサポール外皮のガティガム粘液(ghatti gum mucilage of isapol
husks)、ポリビニルピロリドン(例えば、Polyvidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL−10)、カラマツアラボガラクタン(arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ワックス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0150】
ある一定の実施形態において、本処方物は、分散剤および/または粘度調整剤も含み得る。分散剤および/または粘度調整剤は、液体媒体または造粒法またはブレンド法を通じた薬物の拡散および均一性を調節する物質を含む。いくつかの実施形態において、これらの薬剤は、コーティングまたは侵食性マトリクスの効果も促進する。代表的な拡散促進剤/分散剤としては、例えば、親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;市販品ではPlasdone(登録商標)として知られる)および炭水化物ベースの分散剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、HPC、H−−PC−SLおよびHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、HPMC K100、RPMC K4M、HPMC K15MおよびHPMC K100M)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチル−セルロース、ヒドロキシプロピル−セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロースアセテートス
テアレート(HPMCAS)、非晶質セルロース、ポリエチレンオキシド、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポールとしても知られる)、ポロキサマー(例えば、PluronicF68(登録商標)、F88(登録商標)およびF10(登録商標)8、これらはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);およびポロキサミン(例えば、Tetronic 908(登録商標)、ポロキサミン908(登録商標)としても知られる。これは、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの逐次付加由来のテトラホンクショナル(tetrafonctional)ブロックコポリマー(BASF Corporation,Parsippany,N.J.))、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25またはポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S−630)、ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコールは、約300〜約6000または約3350〜約4000または約7000〜5400の分子量を保有、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート−80、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えばトラガカントゴムおよびアラビアゴム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタンなど、糖、セルロース誘導体、例えば,カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート−80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシ化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシ化ソルビタンモノラウレート、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸塩、キトサンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。セルロースまたはトリエチルセルロースなどの可塑剤も分散剤として使用し得る。リポソーム分散液および自己乳化分散液において特に有用な分散剤は、ジミリストイルホスファチジルコリン、卵からの天然ホスファチジルコリン、卵からの天然ホスファチジルグリセロール、コレステロールおよびイソプロピルミリステートである。一般に、約10〜約70%の結合剤レベルが粉末充填ゼラチンカプセル製剤で使用される。錠剤処方物中の結合剤使用レベルは、直接圧縮、湿式造粒、ローラー圧縮または、それ自身、穏やかな結合剤として作用し得る充填剤などの他の賦形剤の使用によって変動する。当技術分野の熟練考案者は、処方物に対する結合剤レベルを決定し得るが、錠剤処方物中、90%以下、より一般的には70%以下の結合剤使用レベルが一般的である。
【0151】
ある一定の実施形態において、本処方物は、送達前に関心のある化合物を希釈するために使用される化学的化合物を指す1つ以上の希釈剤も含み得る。希釈剤は化合物を安定化させるためにも使用され得るが、それは、希釈剤が、より安定な環境を提供し得るからである。緩衝溶液中で溶解される塩(これはpH調整または維持ももたらし得る)は、リン酸緩衝食塩水溶液を含むが限定されないものなど、当技術分野で希釈剤として利用される。ある一定の実施形態において、希釈剤は、圧縮を促進するために組成物の嵩を増加させるか、またはカプセル充填のための均一なブレンドに対して十分な嵩を生じさせる。このような化合物としては、例えば、ラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)など;リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース;アルファ化デンプン、圧縮性の糖、例えばDi−Pac(登録商標)(Amstar);ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、スクロースベースの希釈剤、粉砂糖;硫酸一水素カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物、デキストレート;加水分解穀粒固形物、アミロース;粉末セルロース、炭酸カルシウム;グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール、ベントナイトなどが挙げられる。
【0152】
ある一定の実施形態において、本処方物は、消化液と接触した際の剤形の溶解および分散の両方を含む1つ以上の崩壊剤も含み得る。崩壊剤(disintegration agentまたはdisintegrant)は、物質の分解または崩壊を促進する。崩壊剤の例としては、デンプン、例えば天然デンプン、例えばコーンスターチまたはジャガイモデンプンなど、アルファ化デンプン、例えばNational 1551など、またはデンプングリコール酸ナトリウム、例えばPromogel(登録商標)またはExplotab(登録商標)など、セルロース、例えば木製品、メチル結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elceme(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)およびSolka−Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカメロースまたは架橋セルロース、例えば架橋ナトリウムカルボキシメチル−セルロース(Ac−Di−Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロースまたは架橋クロスカメロースなど、架橋デンプン、例えばデンプングリコール酸ナトリウムなど、架橋ポリマー、例えばクロスポビドンなど、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、例えばアルギン酸またはアルギン酸の塩、例えばアルギン酸ナトリウムなど、粘土、例えばVeegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)など、ゴム、例えば寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチンまたはトラガカント、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然海綿質、界面活性剤、レジン、例えば陽イオン交換レジンなど、シトラスパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0153】
ある一定の実施形態において、本処方物は侵食促進剤も含み得る。侵食促進剤は、消化液中での特定の物質の侵食を調整する物質を含む。侵食促進剤は当業者にとって一般的に公知である。代表的な侵食促進剤としては、例えば親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチドおよびアミノ酸が挙げられる。
【0154】
ある一定の実施形態において、本処方物は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール,ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの化合物を含む1つ以上の充填剤も含み得る。
【0155】
ある一定の実施形態において、本処方物は、1つ以上の香味剤および/または甘味料、例えば、アカシアシロップ、アセスルファムK、アリテーム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロアベリー、ブラックカラント、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、樟脳、キャラメル、チェリー、チェリークリームチョコレート、シナモン、バブルガム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、チクロ、シラメート(cylamate)、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツパンチ、ジンジャー、グリチルレチン酸、甘草(リコリス)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、ハチミツ、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、モノアンモニウムグリリジネート(monoammonium glyrrhizinate)、マルトール、マンニトール、メープル、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジン(neohesperidine)DC、ネオテーム、オレンジ、ナシ、桃、ペパーミント、ペパーミントクリーム、粉末、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール,ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、スクロース、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン、シリトール、スクラロース,ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、ワイルドチェリー、ウィンターグリーン、キシリトールまたはこれ
らの香味料成分の何らかの組み合わせ、例えばアニス−メントール、チェリー−アニス、シナモン−オレンジ、チェリー−シナモン、チョコレート−ミント、ハチミツ−レモン、レモン−ライム、レモン−ミント、メントール−ユーカリ、オレンジ−クリーム、バニラ−ミントおよびこれらの混合物も含み得る。
【0156】
ある一定の実施形態において、本処方物は、物質の接着または摩擦を防ぐか、軽減するかまたは阻害する化合物である1つ以上の滑沢剤および流動促進剤も含み得る。代表的な滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、ステアリルナトリウムルメレート(sodium stearyl lumerate)、炭化水素、例えば鉱油または硬化植物油、例えば硬化ダイズ油、高級脂肪酸およびそれらのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ワックス、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えばPEG4000)またはメトキシポリエチレングリコール、例えばCarbowax(登録商標)、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムまたはナトリウム、コロイド状シリカ、例えばSyloid(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)など、デンプン、例えばコーンスターチ、シリコーン油、界面活性剤などが挙げられる。
【0157】
ある一定の実施形態において、本処方物は、腸溶性または遅延放出コーティングを軟化させて砕けにくくするために使用される化合物である1つ以上の可塑剤も含み得る。適切な可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、例えばPEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350およびPEG800など、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、トリエチルセルロースおよびトリアセチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、可塑剤は、分散剤または湿潤剤としても機能し得る。
【0158】
ある一定の実施形態において、本処方物は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン例えばCaptisol(登録商標)、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁酸塩、ポリエチレングリコール200−600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコールおよびジメチルイソソルビドなどの化合物を含む1つ以上の可溶化剤も含み得る。一実施形態において、可溶化剤は、ビタミンE TPGSおよび/またはCaptisol(登録商標)またはβ−ヒドロキシプロピルシクロデキストリンである。
【0159】
ある一定の実施形態において、本処方物は、ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK112、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25またはポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコールは約300〜約6000または約3350〜約4000または約7000〜約5400の分子量を有し得、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートステアレート、ポリソルベート−80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えばトラガカントゴムおよびアラビアゴム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、糖、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート−80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシ化ソルビタンモノラウレ
ート、ポリエトキシ化ソルビタンモノオレエート、ポビドンなどの化合物を含む1つ以上の懸濁剤も含み得る。
【0160】
ある一定の実施形態において、本処方物は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、Tween20、60または80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリソルベート、ポラキソマー(polaxomers)、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などの化合物を含む1つ以上の界面活性剤も含み得る。一部の他の界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えばポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;およびポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えばオクトキシノール10、オクトキシノール40が挙げられる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、物理的安定性を促進するために、または他の目的のために含まれ得る。
【0161】
ある一定の実施形態において、本処方物は、例えばメチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコールアルギン酸塩、アカシア、キトサンおよびそれらの組み合わせを含む、1つ以上の粘性促進剤も含み得る。
【0162】
ある一定の実施形態において、本処方物は、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ドクサートナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム,ドクサートナトリウム、トリアセチン、Tween 80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などの化合物を含む1つ以上の湿潤剤も含み得る。
【0163】
本明細書中で開示される医薬品は、担体、結合剤、充填剤、懸濁剤、香味剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤希釈剤、可溶化剤、湿潤化剤、可塑剤、安定化剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤または1つ以上のそれらの組み合わせなどの1つ以上の固体賦形剤を本明細書中に記載の化合物のうち1つ以上と混合し、任意選択により得られた混合物を粉砕し、錠剤を得るために必要に応じて適切な賦形剤添加後に顆粒の混合物を処理することによって得ることができる。
【0164】
本明細書中で開示される医薬品は、ゼラチン製、ならびにゼラチン製の柔らかい密封カプセルも含み、可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールも含む。カプセルは、ヒプロメロースなど、ポリマーからも作製し得る。カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤および任意選択により安定化剤と混合して、活性成分を含有し得る。軟カプセルにおいて、活性化合物を、脂肪油、流動パラフィン、脂質、可溶化剤または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中で溶解し得るか、または懸濁し得る。さらに、安定化剤を添加し得る。経口投与のための処方物は全て、このような投与に適切な投与量であるべきである。
【0165】
これらの処方物は、従来の薬理学的技術によって製造され得る。従来の薬理学的技術は、例えば、方法:(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)製粉、(4)乾式または非水性造粒、(5)湿式造粒、(6)融合または(7)押し出しのうち1つまたは組み合わせを含む。例えば、Lachmanら、The Theory and Practice
of Industrial Pharmacy,3
rd ed.(1986)を参照。他の方法は、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、造粒、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えばワースターコーティング)、タンジェンシャルコーティング、トップスプレー、錠剤化、押出、押し出し/球状化などを含む。
【0166】
本明細書中に記載の固体剤形中で使用される賦形剤間でかなりの重複があることを理解されたい。したがって、上記で列挙する添加剤は、本明細書中に記載の固体剤形中に含まれ得る賦形剤のタイプの単なる代表とみなすべきであり、限定ではない。このような賦形剤のタイプおよび量は特定の所望の特性に従い、当業者により容易に決定され得る。
【0167】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載の固体剤形は、腸溶コーティングされた経口剤形であり、すなわち、消化管の腸での化合物の放出を実行するために腸溶コーティングを利用する本明細書中に記載のような医薬組成物の経口剤形としてのものである。「腸溶コーティングされる」薬物および/または錠剤は、胃では無傷のままであるが、腸(一実施形態において小腸)に到達すると溶解し、薬物を放出する物質でコーティングされる薬物および/または錠剤を指す。本明細書中で使用される場合、「腸溶コーティング」は、ポリマー物質などの物質、または剤形または粒子としてのいずれかで治療活性剤コアを包み込む物質である。一般的には、治療活性剤が剤形から放出される前に腸溶コーティング物質のうちかなりの量または全てが溶解し、小腸および/または大腸での治療活性剤コアまたは粒子の溶解遅延が達成されるようになる。腸溶コーティングは、例えば、Loyd,V.Allen,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Twenty−first Ed.,(Pharmaceutical Press,2005;およびP.J.Tarcha,Polymers for Controlled Drug Delivery,Chapter 3,CRC Press,1991で論じられている。腸溶コーティングを医薬組成物に適用するための方法は当技術分野で周知であり、例えば米国特許出願公開第2006/0045822号明細書を含む。
【0168】
腸溶コーティングされる剤形は、それら自身、コーティングまたは非コーティング状態であり、但し、少なくとも錠剤または式(I)の化合物がコーティングされている、式(I)の化合物(またはそのいずれかの実施形態)および/または薬学的に許容可能なその塩の、顆粒、粉末、ペレット、ビーズまたは粒子および/または他の賦形剤を含有する、圧縮または成形または押し出し錠(コーティングまたは非コーティング)であり得る。腸溶コーティング経口剤形は、それら自身、コーティングまたは非コーティングであり、但し、それらのうち少なくとも1つはコーティングされている、式(I)の化合物(またはそのいずれかの実施形態)および/または薬学的に許容可能なその塩のペレット、ビーズまたは顆粒および/または他の賦形剤を含有するカプセル(コーティングまたは非コーティング)であり得る。腸溶コーティングとして元来使用されたコーティングの一部の例は、蜜ろうおよびモノステアリン酸グリセリン;蜜ろう、セラックおよびセルロース;およびセチルアルコール、マスチックおよびセラックならびにセラックおよびステアリン酸(米国特許第2,809,918号明細書);ポリ酢酸ビニルおよびエチルセルロース(米国特許第3,835,221号明細書)である。より最近、使用されるコーティングは、ポリメタクリル酸エステルの中性コポリマー(オイドラギットL30D)(F.W.Goodhartら、Pharm.Tech.,p.64−71,April,1984);メタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルのコポリマー(オイドラギットS)またはステアリン酸金属塩を含有するポリメタクリル酸エステルの中性コポリマー(Mehtaら、米国特許第4,728,512号明細書および同第4,794,001号明細書)、セルロース酢酸エステルコハク酸エステルおよびヒプロメロースフタル酸エステルである。
【0169】
pH依存性の溶解度プロファイルを示すあらゆる陰イオン性ポリマーが、腸への送達を達成するために本明細書中に記載の方法および組成物において腸溶コーティングとして使用され得る。一実施形態において、小腸への送達である。別の実施形態において、十二指腸への送達である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載のポリマーは、陰イオン性カルボキシルポリマーである。他の実施形態において、ポリマーおよび適合性があるこれらの混合物およびそれらの特性の一部としては、次のものが挙げられるが限定されない。
【0170】
セラック:
精製ラックとも呼ばれ、昆虫の樹脂性分泌物から得られる精製物である。このコーティングはpH>7の媒体中で溶解する。
【0171】
アクリルポリマー:
アクリルポリマーの性能(主に体液中でのそれらの溶解度)は、置換の度合いおよびタイプに基づき変動し得る。適切なアクリルポリマーの例としては、メタクリル酸コポリマーおよびメタクリル酸アンモニウムコポリマーが挙げられる。オイドラギットシリーズL、SおよびRS(Rohm Pharma製で、Evonik(登録商標)としても知られる)は、有機溶媒中で溶解されたものとして、水性分散液または乾燥粉末として入手可能である。オイドラギットシリーズRL、NEおよびRSは、消化管で不溶性であるが、透過性であり、主に結腸を標的とするために使用される。オイドラギットシリーズL、L−30DおよびSは胃で不溶性であり、腸で溶解し、5.5より高いpH値または低い値では5超または高い値では7超で溶解させるために選択され、処方され得る。
【0172】
セルロース誘導体:
適切なセルロース誘導体の例は、エチルセルロース;無水フタル酸とのセルロースの部分的酢酸エステルの反応混合物である。性能は、置換の度合いおよびタイプに基づき変動し得る。酢酸フタル酸セルロース(CAP)はpH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は、水性ベースの系であり、粒子<1μmの噴霧乾燥型CAPシュードラテックス(pseudolatex)である。Aquateric中の他の構成成分は、Pluronic、Tweensおよびアセチル化モノグリセリドを含み得る。他の適切なセルロース誘導体としては、セルロースアセテートトリメリテート(Eastman);メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel);フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP);ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート(HPMCS);およびヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS、例えば、AQOAT(信越化学工業))が挙げられる。性能は、置換の度合いおよびタイプに基づき変動し得る。例えば、HP−50、HP−55、HP−55S、HP−55FグレードなどのHPMCPが適切である。性能は置換の度合いおよびタイプに基づき変動し得る。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルの適切なグレードとしては、pH5で溶解するAS−LG(LF)、pH5.5で溶解するAS−MG(MF)およびより高いpHで溶解するAS−HG(HF)が挙げられるが限定されない。これらのポリマーは、水性分散液用の顆粒または微粉末として与えられる。
【0173】
ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP):
PVAPはpH>5で溶解し、水蒸気および胃液に対する透過性が非常に低い。上記ポリマーおよびそれらのpH依存性溶解度の詳細は、http://pop.www.capsugel.com/media/library/enteric−coated−hard−gelatin−capsule.pdfでKarl Thoma教授およびKaroline Bechtoldによる「Enteric coated hard
gelatin capsules」という表題の論文で見出し得る。いくつかの実施
形態において、コーティングは、当技術分野で周知である、可塑剤およびおそらくは着色剤、タルク、および/またはステアリン酸マグネシウムなどの他のコーティング賦形剤を含有し得、通常は含有する。適切な可塑剤としては、クエン酸トリエチル(Citroflex2)、トリアセチン(トリ酢酸グリセリル)、アセチルクエン酸トリエチル(Citroflec A2)、Carbowax400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコールおよびフタル酸ジブチルが挙げられる。特に、陰イオン性カルボキシルアクリルポリマーは通常、10〜25重量%の可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルおよびトリアセチンを含有する。コーティングを適用するために、流動床またはワースターコーターまたは噴霧またはパンコーティングなどの従来のコーティング技術が使用される。コーティングの厚さは、腸管の所望の局所送達部位に到達するまで経口剤形が無傷のままであることを確実にするのに十分でなければならない。
【0174】
コーティング物質を溶解または分散させ、コーティング性能およびコーティング製品を改善するために、可塑剤の他に、着色剤、界面活性剤、付着防止剤、消泡剤、滑沢剤(例えばカルナバロウまたはPEG)および他の添加剤をコーティングに添加し得る。
【0175】
腸溶コートの溶解を加速させるために、腸溶ポリマー(例えばオイドラギットL30 D−55)の厚さが半分の二重コーティングを適用し得、内側の腸溶コーティングは、10%クエン酸存在下でpH6.0以下の緩衝液を有し得、それに標準的なオイドラギットL30 D−55の最終層が続く。それぞれが典型的な腸溶コーティングの半分の厚さである腸溶コーティングの二層を適用することによって、LiuおよびBasitは、単層としての緩衝化されていない同様のコーティング系を適用した場合と比較して、腸溶コーティング溶解を加速することができた(Liu,F.およびBasit,A.Journal of Controlled Release.147(2010)242−245.)。
【0176】
腸溶コーティングが無傷であることは、例えばマイクロペレット内での薬物の分解によって測定し得る。腸溶コーティングされた剤形またはペレットは、その機能を判定するために、USPに記載のように、最初に胃液中で、別個に腸液中での溶解試験で試験し得る。
【0177】
開示化合物を含有する腸溶錠およびカプセル製剤は、当技術分野で周知の方法により作製し得る。例えば、本明細書中で開示される化合物を含有する錠剤は、サイドベント式コーティングパン(Freund Hi−Coater)を使用して、オイドラギット(登録商標)、フタル酸ジエチル、イソプロピルアルコール、タルクおよび水を含有するコーティング溶液で腸溶コーティングし得る。
【0178】
あるいは、錠剤またはカプセルに組み込まれ得る腸溶コーティングされたペレットを含む複合剤形を次のように調製し得る。
【0179】
コア材料:
個別に腸溶コートの層があるペレット剤のためのコア材料は、様々な原理に従い構成され得る。任意選択によりアルカリ物質または緩衝液と混合された、活性剤と重ねられたシーズ(すなわち、式(I)の化合物(本明細書中で開示される実施形態を含む)および/または薬学的に許容可能なその塩)は、さらなる加工のためのコア材料として使用し得る。活性剤とともに重ねようとするシーズは、単独または混合物での、様々な酸化物、セルロース、有機ポリマーおよび他の材料を含む、水に不溶性のシーズまたは、単独または混合物での、様々な無機塩、糖、ノンパレイユおよび他の材料を含む水溶性シーズであり得
る。さらに、シーズは、結晶、凝集体、圧縮物などの形態の活性剤を含み得る。シーズのサイズは本発明にとって重要ではないが、およそ0.1〜2mmの間で変動し得る。活性剤と重ねられるシーズは、例えば造粒または噴霧コーティング層形成装置を使用して、粉末または溶液/懸濁液層形成のいずれかによって作製される。
【0180】
シーズを重ねる前に、活性剤をさらなる構成成分と混合し得る。このような構成成分は、単独または混合物での、結合剤、界面活性剤、充填剤、崩壊剤、アルカリ性添加剤などおよび/または薬学的に許容可能な成分であり得る。結合剤は、例えば、ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピル−セルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(PVP)または糖など、デンプンまたは凝集性がある他の薬学的に許容可能な物質である。適切な界面活性剤は、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどの薬学的に許容可能な非イオン性またはイオン性界面活性剤の群において見出される。
【0181】
あるいは、任意選択により適切な構成物質と混合される活性剤は、コア材料に処方され得る。このコア材料は、従来の加工装置を利用して、押し出し/球状化、ボーリング(balling)または圧縮により作製され得る。処方されるコア材料のサイズはおよそ0.1〜4mmの間、例えば0.1〜2mmの間である。製造されたコア材料は、さらに、活性剤を含むさらなる成分と重ね得、および/またはさらなる加工に使用し得る。
【0182】
好ましい操作性および加工性および最終製品中の活性剤の適切な濃度を得るために活性剤を薬学的構成物質と混合する。充填剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、界面活性剤および他の薬学的に許容可能な添加剤などの薬学的な構成物質を使用し得る。
【0183】
あるいは、上述のコア材料は、噴霧乾燥または噴霧凝固技術を使用することによって調製し得る。
【0184】
腸溶コーティング層:
腸溶コーティング層を個々のペレットの形態でコア材料上に適用する前に、任意選択によりpH緩衝化合物などのアルカリ化合物を含む医薬賦形剤を含む1つ以上の別個の層でペレットを任意選択により被覆し得る。この/これらの別個の層は、コア材料を腸溶コーティング層である外側の層から分離する。活性剤のコア材料を保護するこの/これらの別個の層は、水溶性であるか、または水中で迅速に崩壊するべきである。
【0185】
別個の層は、任意選択により、コーティング工程のために水および/または有機溶媒を使用する、コーティングパン、コーティング造粒機または流動床装置などの適切な装置でのコーティングまたは層形成手順によってコア材料に適用され得る。代替法として、粉末コーティング技術を使用することによって、別個の層をコア材料に適用し得る。層を分離させるための材料は、単独でまたは混合して使用される、例えば糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、腸溶コーティングポリマーの水溶性塩などの薬学的に許容可能な化合物である。添加剤、例えば可塑剤、着色剤、顔料、充填剤タッキング防止(anti−tacking)および静電気防止剤、例えばステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、タルクおよび他の添加剤も分離層に含まれ得る。
【0186】
任意選択の分離層がコア材料に適用される場合、この厚さは変動し得る。分離層の最大厚は通常、加工条件によってのみ制限される。分離層は拡散バリアとして作用し得、pH緩衝ゾーンとして作用し得る。任意選択により適用される分離層は、本発明に重要ではない。しかし、分離層は、活性物質の化学的安定性および/または新規複合錠剤化剤形の物
理的特性を改善し得る。
【0187】
あるいは、分離層は、コア材料上に適用される腸溶コーティングポリマー層とコア材料中のアルカリ性反応化合物との間の反応によってインシトゥで形成され得る。したがって、形成される分離層は、腸溶コーティング層ポリマーと塩を形成するための位置にあるアルカリ性反応化合物との間で形成される水溶性塩を含む。
【0188】
1つ以上の腸溶コーティング層は、適切なコーティング技術を使用することによって、コア材料上または分離層で被覆されるコア材料上に適用される。腸溶コーティング層材料は、水中または適切な有機溶媒中のいずれかで分散または溶解され得る。腸溶コーティング層ポリマーとして、次のもののうち1つ以上を、個別で、または組み合わせて使用し得、例えばメタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、酢酸フタル酸ポリビニル、トリメリット酸酢酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セラックまたは他の適切な腸溶コーティングポリマーの溶液または分散液である。
【0189】
腸溶コーティング層は、腸溶コーティング層の柔軟性および硬度などの所望の機械的特性を得るために、薬学的に許容可能な可塑剤を含有する。このような可塑剤は、例えばトリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベートまたは他の可塑剤であるが限定されない。
【0190】
可塑剤の量は、機械的特性、すなわち、例えばビッカース硬度として例示される腸溶コーティング層の柔軟性および硬度が、錠剤が所望される場合は腸溶コーティング層で被覆されたペレットの酸耐性が錠剤へのペレットの圧縮中に顕著に低下しないように調整されるように、選択される腸溶コーティング層ポリマー、選択される可塑剤およびそのポリマーの適用量に関連して、各腸溶コーティング層処方に対して最適化される。可塑剤の量は通常、腸溶コーティング層ポリマーの5重量%を上回る、例えば15〜50%およびさらには20〜50%である。分散剤、着色剤、顔料ポリマー、例えばポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)、タッキング防止(anti−tacking)および消泡剤などの添加剤も腸溶コーティング層に含まれ得る。フィルム厚を厚くし、酸の影響を受け易い材料への酸性胃液の拡散を減少させるために、他の化合物を添加し得る。適用される腸溶コーティングの最大厚は通常、加工条件および所望の溶解プロファイルによってのみ制限される。
【0191】
オーバーコーティング層:
腸溶コーティング層で被覆されたペレットは、任意選択により1つ以上のオーバーコーティング層でさらに被覆され得る。オーバーコーティング層は、水溶性であるかまたは水中で迅速に崩壊すべきである。オーバーコーティング層は、コーティングまたは層形成工程のために水および/または有機溶媒を使用して、コーティングパン、コーティング造粒機または流動床装置などの適切な装置でのコーティングまたは層形成手順によって腸溶コーティングが重ねられたペレットに適用され得る。オーバーコーティング層のための材料は、単独でまたは混合物で使用される、例えば糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど、薬学的に許容可能な化合物の中で選択される。可塑剤、着色剤、顔料、充填剤、タッキング防止(anti−tacking)および静電気防止剤、例えばステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、タルクおよび他の添加剤などの添加剤もオーバーコーティング層に含まれ得る。オーバーコーティング層は腸溶コーテ
ィングが重ねられたペレットの凝集の可能性をさらに防ぎ得、さらに、圧縮工程中のクラッキングから腸溶コーティング層を保護し、造粒工程を促進し得る。適用されたオーバーコーティング層の最大厚は通常、加工条件および所望の溶解プロファイルによって制限される。オーバーコーティング層は錠剤フィルムコーティング層としても使用し得る。
【0192】
軟ゼラチンカプセルの腸溶コーティングは、活性剤を可溶化するために、エマルション、オイル、マイクロエマルション、自己乳化系、脂質、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、界面活性剤、他の可溶化剤などおよびそれらの組み合わせを含有し得る。軟ゼラチンカプセルの柔軟性は残留水および可塑剤によって維持される。さらにゼラチンカプセルの場合、ゼラチンは、比較的低い相対湿度で流動床またはワースターにおいて完遂され得るような速度で噴霧が完遂されるように水中で溶解され得る。さらに、カプセル殻のクラッキングを引き起こす残留水または可塑剤の除去なく乾燥を完遂すべきである。軟ゼラチンカプセルの腸溶コーティングに最適化された市販のブレンド物はIdeal Cures,Pvt.Ltd.(Mumbai、India)から入手可能なInstamodel EPD(腸溶性ポリマー性分散液)などである。a)可能な最低温度で可塑剤とともに穏やかに加熱した腸溶コーティング材料の溶液中で、カプセルをフラスコ中で回転させるかまたはカプセルを浸漬するかまたはb)実験室スケールの噴霧器/流動床を使用し次いで乾燥させることによって、実験室スケールで、腸溶コーティングカプセルを調製し得る。
【0193】
水性の活性剤の場合、エマルションの水相において薬物を組み込むことは特に望ましいものであり得る。このような「油中水」エマルションは薬物に対して適切な生物物理学的環境を提供し、薬物を分解し得るpHまたは酵素の悪影響から薬物を保護し得る油−水界面を提供し得る。さらに、このような油中水製剤は脂質層を提供し得、これは、身体の細胞中の脂質と好ましく相互作用し得、細胞膜上への処方物の分配を増加させ得る。このような分配は、循環へのこのような処方物中の薬物の吸収を増加させ得、したがって薬物のバイオアベイラビリティーを向上させ得る。
【0194】
いくつかの実施形態において、油中水エマルションは、媒体または長鎖カルボン酸またはそのエステルまたはアルコール、界面活性剤(surfactantまたはsurface active agent)から構成される油相および主に水および活性剤を含有する水相を含有する。
【0195】
媒体および長鎖カルボン酸は、最大で3個の不飽和結合(分枝も)を含むC
8〜C
22の範囲のものである。飽和直鎖酸の例は、n−ドデカン酸、n−テトラデカン酸、n−ヘキサデカン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸、モンタン酸およびメリシン酸である。不飽和モノオレフィン直鎖モノカルボン酸も有用である。これらの例は、オレイン酸、ガドレイン酸およびエルカ酸である。不飽和(ポリオレフィン)直鎖モノカルボン酸も有用である。これらの例は、リノール酸、リシノール酸、リノレン酸、アラキドン酸およびベヘノール酸である。有用な分枝酸としては、例えばジアセチル酒石酸が挙げられる。不飽和オレフィン鎖はまた、酸化を防ぐために、または界面特性を変化させるために、ヒドロキシル化またはエトキシ化され得る。
【0196】
長鎖カルボン酸エステルの例としては、モノステアリン酸グリセリン;モノパルミチン酸グリセリン;モノステアリン酸グリセリンおよびモノパルミチン酸グリセリンの混合物;モノリノール酸グリセリル;モノオレイン酸グリセリン;モノパルミチン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンおよびモノリノール酸グリセリンの混合物;モノリノレン酸グリセリン;グリセリルモノガドレエート(glyceryl monogadoleate);モノパルミチン酸グリセリン、モノステアリン酸
グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノリノール酸グリセリル、モノリノレン酸グリセリンおよびグリセリルモノガドレエート(glyceryl monogadoleate)の混合物;アセチル化グリセリド、例えば蒸留アセチル化モノグリセリドなど;プロピレングリコールモノエステル、蒸留モノグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウムおよび二酸化ケイ素の混合物;d−アルファトコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート;モノ−およびジグリセリドエステルの混合物、例えばAtmulなど;ステアロイル乳酸カルシウム;エトキシ化モノ−およびジグリセリド;乳酸化モノ−およびジグリセリド;グリセロールおよびプロピレングリコールの乳酸カルボン酸エステル;長鎖カルボン酸の乳酸エステル;長鎖カルボン酸のポリグリセロールエステル、長鎖カルボン酸のプロピレングリコールモノ−およびジエステル;ステアロイル乳酸ナトリウム;ソルビタンモノステアレート;ソルビタンモノオレエート;長鎖カルボン酸の他のソルビタンエステル;スクシニル化モノグリセリド;ステアリルモノグリセリルシトレート;ヘプタン酸ステアリル;ワックスのセチルエステル;オクタン酸ステアリル;C
8−C
30コレステロール/ラボステロールエステル;およびスクロース長鎖カルボン酸エステルの群からのものが挙げられるが限定されない。自己乳化型長鎖カルボン酸エステルの例としては、ステアリン酸エステル、パルミチン酸塩、リシノール酸エステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル、リシノレネート(ricinolenates)、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、カプリル酸エスエルおよびカプロン酸エステルの群からのものが挙げられる。いくつかの実施形態において、油相は、長鎖カルボン酸またはそのエステルまたはアルコールの2つ以上の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、中鎖界面活性剤を使用し得、油相は、カプリル/カプリントリグリセリドの混合物およびカプリル酸のC
8/C
10モノ−/ジグリセリド、カプリル酸グリセリルまたはモノカプリル酸プロピレングリコールまたはそれらの混合物を含み得る。
【0197】
使用し得るアルコールは、上記で例示されるカルボン酸のヒドロキシル形態およびまたステアリルアルコールにより代表される。
【0198】
界面活性剤(surface active agentまたはsurfactant)は、親水性/疎水性(水/油)界面で蓄積し、界面での表面張力を低下させ得る長鎖分子である。結果として、これらはエマルションを安定化し得る。本発明のいくつかの実施形態において、界面活性剤は、界面活性剤のTween(登録商標)(ポリオキシエチレンソルベート)ファミリー、界面活性剤のSpan(登録商標)(ソルビタン長鎖カルボン酸エステル)ファミリー、界面活性剤のPluronic(登録商標)(エチレンまたはプロピレンオキシドブロックコポリマー)ファミリー、界面活性剤のLabrasol(登録商標)、Labrafil(登録商標)およびLabrafac(登録商標)(それぞれポリグリコール化グリセリド)ファミリー、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸または他の長鎖カルボン酸のソルビタンエステル、ポロキサマー(ポリエチレン−ポリプロピレングリコールブロックコポリマーまたはPluronic(登録商標))、他のソルビタンまたはスクロース長鎖カルボン酸エステル、モノおよびジグリセリド、カプリル/カプリントリグリセリドのPEG誘導体およびこれらの混合物または上記の2つ以上の混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、界面活性剤相は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80(登録商標))およびソルビタンモノオレエート(Span 80(登録商標))の混合物を含み得る。
【0199】
水相は、任意選択により、水および緩衝液中で懸濁した活性剤を含み得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、このようなエマルションは、粗エマルション(coarse emulsion)、マイクロエマルションおよび液晶エマルションである。他の実施形態において、このようなエマルションは、任意選択により透過促進剤を含み得る。他の実施形態において、封入マイクロエマルション、粗エマルション(coarse e
mulsion)または液晶を含有する、噴霧乾燥させた分散液または微粒子またはナノ粒子を使用し得る。
【0201】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載の固体剤形は、非腸溶性持続放出剤形である。「非腸溶性持続放出」という用語は、本明細書中で使用される場合、遅延放出の変化がなかった場合に完遂されたものからより遠位の腸管の、ある程度一般的に予想可能な位置で薬物の放出が達成され得るような送達を指す。いくつかの実施形態において、放出遅延のための方法は、指定の持続時間後に、透過性になる、溶解する、破裂する、および/またはもはや無傷ではない、コーティングである。持続放出剤形におけるコーティングは、侵食が起こり、その後に薬物が放出される固定時間を有し得る(適切なコーティングとしては、ポリマー性コーティング、例えばHPMC、PEOなどが挙げられる)かまたは、超崩壊剤または浸透圧性薬剤または水誘引物質、例えば塩、親水性ポリマー、一般的にはポリエチレンオキシドまたはアルキルセルロースなど、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど、糖、例えばグルコース、ラクトースまたはスクロースなど(これらは半透膜を通じて水を引き込む)またはガス生成剤、例えばクエン酸および、クエン酸などの酸ありまたはなしでの重炭酸ナトリウムなど、または剤形に組み込まれる上述の酸のいずれかから構成されるコアを有する。半透膜は、薬物に対しても浸透圧性薬剤に対しても殆ど透過性ではない一方で、剤形に入って、圧力を増加させ、所望の遅延時間を過ぎて膨張圧力がある一定の閾値を超えた後に破裂させるために定速付近で透過する水に対しては透過性である。この膜を通じた薬物の透過性は、水の1/10未満であり、一実施形態において水透過性の1/100未満である。あるいは、膜は、所望の遅延時間を過ぎて抽出可能な水分を浸出させることによって多孔性になり得る。
【0202】
浸透圧剤形はTheeuwes、米国特許第3,760,984号明細書に記載されており、浸透圧破裂剤形は、Baker 米国特許第3,952,741号明細書に記載されている。この浸透圧破裂剤形は、単一パルスの放出、または異なるタイミングの異なる装置が使用される場合、複数パルスの放出を提供し得る。浸透圧破裂のタイミングは、ポリマーの選択および薬物および浸透圧性薬剤または誘引物質の両方を含有するコアを取り囲む半透膜の厚さまたは面積によって調節し得る。剤形中の圧力がさらなる透過水とともに上昇するので、その限界点まで膜が拡大し、次いで薬物が放出される。あるいは、膜により薄く弱い領域があることによって、またはコーティング膜の領域により弱い材料を添加することによって、特定の破裂領域が膜において作られ得る。半透膜として使用し得る水透過性が高いいくつかの好ましいポリマーは、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、架橋ポリビニル、アルコール、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン6.6および芳香族ナイロンである。酢酸セルロースは特に好ましいポリマーである。
【0203】
別の実施形態において、腸溶コーティングが少なくとも部分的に溶解した後に薬物放出に対する遅延を開始する時間遅延コーティングは、水との接触時に徐々に経時的に侵食が起こり始める親水性、侵食性ポリマーから構成される。このようなポリマーの例としては、セルロースポリマーおよび、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース;多糖類およびそれらの誘導体;ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドまたはポリエチレングリコールなど、特に高分子量ポリエチレングリコール;キトサン;ポリ(ビニルアルコール);キサンタンガム;無水マレイン酸コポリマー;ポリ(ビニルピロリドン);デンプンおよびデンプンベースのポリマー;マルトデキストリン;ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン);ポリ(エチレンイミン);ポリウレタン;ヒドロゲル;架橋ポリアクリル酸;および前述のもののいずれかの組み合わせまたはブレンド物を含むが限定されないそれらの誘導体が挙げられる。
【0204】
侵食性コーティングを形成するのに適切ないくつかの好ましい侵食性親水性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースの組み合わせである。ポリ(エチレンオキシド)は、本明細書中で未置換エチレンオキシドの直鎖状ポリマーを指すために使用される。ポリ(エチレンオキシド)ポリマーの分子量の範囲は約10
5ダルトン〜約10
7ダルトンであり得る。ポリ(エチレンオキシド)ポリマーの好ましい分子量範囲は、約2x10
5〜2x10
6ダルトンであり、Dow Chemical Company(Midland,Mich.)から市販されており、SENTRY
RPOLYOX(商標)水溶性レジン、NF(National Formulary)グレードと呼ばれる。より高い分子量のポリエチレンオキシドを使用する場合、このコーティングの侵食または崩壊を促進する他の親水性の薬剤、例えば塩または、グルコース、スクロースまたはラクトースのような糖も含まれる。
【0205】
時間遅延剤形は、予めプログラムされた時間後に、または伝達され得るシグナルを受信したときに、またはそれが胃から出たときに薬物を放出し得るEnterion(登録商標)カプセルまたはpH感受性カプセルなどの機械的丸剤であり得る。
【0206】
処方物中の本開示の化合物の量は、当業者により使用される全範囲内で変動し得る。一般的には、本処方物は、重量パーセント(wt%)ベースで、処方物全体に対して約0.01〜99.99wt%の式(I)の化合物を、1つ以上の適切な医薬賦形剤であるバランスとともに含有する。一実施形態において、本化合物は約1〜80wt%のレベルで存在する。
【0207】
本開示の化合物は、本開示の化合物または他の薬物が有用性を有し得る疾患または病態の治療において1つ以上の他の薬物との組合せにおいて使用することができ、薬物の一緒の組合せは、薬物単独よりも安全であるか、または有効である。したがって、そのような他の薬物は、本開示の化合物と同時に、または連続して一般に使用される経路により、量で投与することができる。本開示の化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、そのような他の薬物および本開示の化合物を含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、組合せ療法には、本開示の化合物および1つ以上の他の薬物を異なる重複スケジュールで投与する療法も含まれ得る。1つ以上の他の活性成分との組合せにおいて使用する場合、本開示の化合物および他の活性成分は、それぞれを単独で使用する場合よりも低い用量で使用することができることも企図される。
【0208】
したがって、本開示の医薬組成物には、本開示の化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含有するものも含まれる。
【0209】
上記の組合せには、1つの他の活性化合物とだけでなく、2つ以上の他の活性化合物との本開示の化合物の組合せが含まれる。同様に、本開示の化合物は、本開示の化合物が有用な疾患または病態の予防、治療、管理、改善、またはリスク軽減において使用される他の薬物との組合せで使用することができる。そのような他の薬物は、一般に使用される経路により、および量で投与することができ、したがって、本開示の化合物と同時に、または連続的に投与することができる。本開示の化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、本開示の化合物に加えてそのような他の薬物を含有する固定された組み合わせ薬物などの医薬組成物が好ましい。したがって、本開示の医薬組成物には、本開示の化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含有するものも含まれる。本開示の化合物と第2の活性成分との重量比は、変えることができ、それぞれの成分の有効用量に依存する。一般に、それぞれの有効用量が使用される。
【0210】
対象が自己免疫疾患、炎症疾患、またはアレルギー疾患を罹患しているかまたは罹患するリスクがある場合、式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩を、以下の治療剤の1つ以上と任意の組合せで使用することができる:免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、シクロスポリン、ラパマイシン、メトトレキサート、シクロホスファミド、アザチオプリン、メルカプトプリン、ミコフェノレート、またはFTY720)、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン)、非ステロイド抗炎症薬(例えば、サリチレート、アリールアルカン酸、2−アリールプロピオン酸、N−アリールアントラニル酸、オキシカム、コキシブ、またはスルホンアニリド)、Cox−2−特異的阻害剤(例えば、バルデコキシブ、セレコキシブ、またはロフェコキシブ)、レフルノミド、金チオグルコース、金チオマレート、アウロフィン(aurofin)、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキニン、ミノサイクリン、TNF−アルファ結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブ)、アバタセプト、アナキンラ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−2、アレルギーワクチン、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ベータアゴニスト、テオフィリン、または抗コリン作動薬。
【0211】
患者がB細胞増殖疾患(例えば、形質細胞性骨髄腫)に羅患しているかまたは羅患するリスクがある場合、1つ以上の他の抗癌剤との任意の組合せにおける式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩により患者を治療することができる。一部の実施形態において、抗癌剤の1つ以上はアポトーシス促進剤である。抗癌剤の例には、以下のいずれもが含まれるが、これらに限定されない:ゴシホール(gossyphol)、ジェナセンス(genasense)、ポリフェノールE、クロロフシン、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、5−アザ−2’−デオキシシチジン、オールトランス型レチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec(商標))、ゲルダナマイシン、17−N−アリールアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY11−7082、PKC412、またはPD184352、Taxol(商標)(「パクリタキセル」とも称され、微小管形成を向上および安定化する作用をする周知の抗癌剤である)およびTaxol(商標)の類似体、例えばTaxotere(商標)。共通の構造特徴として塩基性タキサン骨格を有する化合物は、微小管の安定化に起因してG2/M期の細胞を停止する能力を有することも示されており、本明細書に記載の化合物との組合せにおける癌の治療に有用であり得る。
【0212】
式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩との組合せで使用される抗癌剤のさらなる例には、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナリングの阻害剤が含まれ、例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125、BAY43−9006、ワートマニン、またはLY294002;Syk阻害剤;mTOR阻害剤;および抗体(例えば、リツキサン(rituxan))。
【0213】
式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩との組合せで使用することができる他の抗癌剤には、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビスアントレン;二メシル酸ビスナフィド;ビゼ
レシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンホスフェートナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキンII(組換えインターロイキンII、およびrIL2を含む)、インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−1a;インターフェロンガンマ−1b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;マイトジリン;マイトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;マイトスペル(mitosper);ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペグアスパラガーゼ;ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフル;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンが含まれる。
【0214】
式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩との組合せで使用することができる他の抗癌剤には、以下が含まれる:20−epi−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背側化形態形成タンパク質−1;抗アンドロゲン薬、前立腺癌;抗エストロゲン薬;抗ネオプラストン;アンチ
センスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ−アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビスアントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポックスIL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRestM3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラステロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エクセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチン;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin);ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イバルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激性ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン−N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解ペプチド;マイタンシン(maitansine);マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル
抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;多腫瘍抑制因子1ベース療法;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチプ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフトレピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;窒素酸化物抗酸化剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパラガーゼ;ペルデシン;ペントサン多硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビスアクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAベース免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、微小藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモステロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;R.sub.IIレチナミド;ログレチミド;ロヒツカイン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビジノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;セイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣体;セムスチン;老化由来(senescence derived)I;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフラン(sizofuran);ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテイト;ナトリウムフェニルアセテート;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフル;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニプロシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣体;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子療法;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマーが含まれる。
【0215】
式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩との組合せで用いることができるさらに他の抗癌剤には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然物、またはホルモン、例
えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシルなど)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチンなど)、またはトリアゼン(ダカルバジンなど)が含まれる。代謝拮抗剤の例には、限定されるものではないが、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、またはピリミジン類似体(例えば、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が含まれる。
【0216】
式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩との組合せにおいて有用な天然物の例には、限定されるものではないが、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ)、または生物学的反応改質剤(例えば、インターフェロンアルファ)が含まれる。
【0217】
式(I)の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩との組合せにおいて用いることができるアルキル化剤の例には、限定されるものではないが、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファランなど)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンなど)、またはトリアゼン(ダカルバジンなど)が含まれる。代謝拮抗剤の例には、限定されるものではないが、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、またはピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンが含まれる。
【0218】
式(I)の化合物との組合せにおいて有用な、ホルモンおよびアンタゴニストの例には、限定されるものではないが、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド)、ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)が含まれる。癌の治療または予防のために、本明細書に記載の方法および組成物に使用することができる他の薬剤には、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボブラチン(carboblatin))、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制薬(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)が含まれる。
【0219】
微小管の安定化に起因してG2−M期の細胞を停止することにより作用し、本開示のBTK阻害剤化合物との組合せにおいて使用することができる、抗癌剤の例には、限定されないが、以下の市販の薬物および開発中の薬物:エルブロゾール(R−55104としても公知である)、ドラスタチン10(DLS−10およびNSC−376128としても公知である)、イセチオン酸ミボブリン(CI−980としても知られている)、ビンクリスチン、NSC−639829、ディスコデルモライド(NVP−XX−A−296としても公知である)、ABT−751(Abbott、E−7010としても知られている)、アルトヒルチン(例えば、アルトヒルチンAおよびアルトヒルチンC)、スポンギスタチン(例えば、スポンギスタチン1、スポンギスタチン2、スポンギスタチン3、スポンギスタチン4、スポンギスタチン5、スポンギスタチン6、スポンギスタチン7、スポンギスタチン8、およびスポンギスタチン9)、塩酸セマドチン(LU−103793およびNSC−D−669356としても公知である)、エポチロン(例えば、エポチロ
ンA、エポチロンB、エポチロンC(デゾキシエポチロンAまたはdEpoAとしても公知である)、エポチロンD(KOS−862、dEpoB、およびデゾキシエポチロンBとも称される)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンBN−オキシド、エポチロンAN−オキシド、16−アザ−エポチロンB、21−アミノエポチロンB(BMS−310705としても公知である)、21−ヒドロキシエポチロンD(デゾキシエポチロンFおよびdEpoFとしても公知である)、26−フルオロエポチロン)、アウリスタチンPE(NSC−654663としても公知である)、ソブリドチン(TZT−1027としても公知である)、LS−4559−P(Pharmacia、LS−4577としても公知である)、LS−4578(Pharmacia、LS−477−Pとしても知られている)、LS−4477(Pharmacia)、LS−4559(Pharmacia)、RPR−112378(Aventis)、硫酸ビンクリスチン、DZ−3358(第一製薬)、FR−182877(藤沢薬品工業、WS−9885Bとしても公知である)、GS−164(武田薬品)、GS−198(武田薬品)、KAR−2(ハンガリー科学アカデミー(Hungarian Academy of Sciences))、BSF−223651(BASF、ILX−651およびLU−223651としても公知である)、SAH−49960(Lilly/Novartis)、SDZ−268970(Lilly/Novartis)、AM−97(Armad/協和発酵)、AM−132(Armad)、AM−138(Armad/協和発酵)、IDN−5005(Indena)、クリプトフィシン52(LY−355703としても公知である)、AC−7739(味の素、AVE−8063AおよびCS−39.HCIとしても公知である)、AC−7700(味の素、AVE−8062、AVE−8062A、CS−39−L−Ser.HCI、およびRPR−258062Aとしても公知である)、ビチレブアミド(Vitilevuamide)、ツブリシンA、カナデンソール、センタウレイジン(NSC−106969としても公知である)、T−138067(Tularik、T−67、TL−138067およびTI−138067としても公知である)、COBRA1(Parker Hughes Institute、DDE−261およびWHI−261としても公知である)、H10(Kansas State University)、H16(Kansas State University)、オンコシジン(Oncocidin)A1(BTO−956およびDIMEとしても公知である)、DDE−313(Parker Hughes Institute)、フィジアノリドB、ラウリマリド、SPA−2(Parker Hughes Institute)、SPA−1(Parker Hughes Institute、SPIKET−Pとしても公知である)、3−IAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF−569としても公知である)、ナルコシン(NSC−5366としても公知である)、ナスカピン(Nascapine)、D−24851(Asta Medica)、A−105972(Abbott)、ヘミアステルリン、3−BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF−191としても公知である)、TMPN(Arizona State University)、バナドセンアセチルアセトナト、T−138026(Tularik)、モンサトロール(Monsatrol)、イナノシン(lnanocine)(NSC−698666としても公知である)、3−IAABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine)、A−204197(Abbott)、T−607(Tularik、T−900607としても公知である)、RPR−115781(Aventis)、エレウテロビン(例えば、デスメチルエレウテロビン、デスアセチルエレウテロビン、イソエレウテロビンA、およびZ−エレウテロビン)、カリベオシド、カリベオリン、ハリコンドリンB、D−64131(Asta Medica)、D−68144(Asta Medica)、ジアゾンアミドA、A−293620(Abbott)、NPI−2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB−245(Aventis)、A−259754(Abbott)、ジオゾスタチン(diozostatin)、(−)−フェニルアヒスチン(
NSCL−96F037としても公知である)、D−68838(Asta Medica)、D−68836(Asta Medica)、ミオセベリンB、D−43411(Zentaris、D−81862としても公知である)、A−289099(Abbott)、A−318315(Abbott)、HTI−286(SPA−110、トリフルオロ酢酸塩としても公知である)(Wyeth)、D−82317(Zentaris)、D−82318(Zentaris)、SC−12983(NCI)、リン酸レスベラスタチンナトリウム(Resverastatin phosphate sodium)、BPR−OY−007(National Health Research Institutes)、およびSSR−250411(Sanofi)が含まれる。
【0220】
患者が血栓塞栓障害(例えば、脳卒中)に羅患しているか、または羅患するリスクがある場合、患者を、1つ以上の他の抗血栓塞栓剤との任意の組合せにおける式(I)の化合物により治療することができる。抗血栓塞栓剤の例には、限定されるものではないが、以下のいずれか:血栓溶解剤(例えば、アルテプラーゼ アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、または組織プラスミノーゲンアクチベーター)、ヘパリン、チンザパリン、ワルファリン、ダビガトラン(例えば、ダビガトランエテキシレート)、Xa因子阻害剤(例えば、フォンダパリヌクス、ドラパリヌクス(draparinux)、リバロキサバン、DX−9065a、オタミキサバン、LY517717、またはYM150)、チクロピジン、クロピドグレル、CS−747(プラスグレル、LY640315)、キシメラガトラン、またはBIBR1048が含まれる。
【実施例】
【0221】
式(I)の化合物および中間体(参考)の以下の調製を、当業者がより明確に理解し、本開示を実施することができるように挙げる。これらは、本開示の範囲を限定するものとはみなすべきでなく、単にその説明および代表例にすぎない。以下の化合物中のアルケン炭素における
【化23】
の線は、化合物が(E)および(Z)異性体の未規定混合物として単離されていることを示す。
【0222】
参照1
tert−ブチル(R,E)−3−(4−(((ジメチルアミノ)メチレン)アミノ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートの合成
【化24】
100mL丸底フラスコに2,4−ジクロロ−3−ニトロピリジン(8g、41.45mmol、1.00当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)、tert−ブチル(R)−3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート(8.3g、41.44mmol、1.00当量)およびTEA(6.29g、62.16mmol、1.50当量)を入れた。得られた溶液を25℃で一晩撹拌した。得られた溶液をH
2Oで希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムにかけ、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で抽出して、黄色の油状物質として8g(51%)のtert−ブチル(R)−3−((2−クロロ−3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0223】
ステップ2
【化25】
250mL丸底フラスコにtert−ブチル(R)−3−((2−クロロ−3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(8g、22.42mmol、1.00当量)、i−プロパノール(100mL)、ビス[(4−メトキシフェニル)メチル]アミン(5.78g、22.46mmol、1.00当量)およびTEA(2.955g、29.20mmol、1.30当量)を入れた。得られた溶液を95℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却し、真空下で濃縮した。この結果、黄色の油状物質として12g(92%)のtert−ブチル(R)−3−((2−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキ
シレートが得られた。
【0224】
ステップ3
【化26】
250mL丸底フラスコにtert−ブチル(R)−3−((2−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(10g、17.31mmol、1.00当量)、AcOH/MeOH(1:1、100mL)およびFe(9.69g、173.04mmol、10.00当量)を入れた。得られた溶液を25℃で一晩撹拌し、次いで真空下で濃縮した。溶液のpH値を重炭酸ナトリウムで8.0〜9.0に調整した。得られた溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を重炭酸ナトリウムで洗浄し、ろ過し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで真空下で濃縮して、黄色の油状物質として8.8g(92.8%)のtert−ブチル(R)−3−((3−アミノ−2−(ビス(4−メトキシベンジル)−アミノ)ピリジン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0225】
ステップ4
【化27】
250mL丸底フラスコにtert−ブチル(R)−3−((3−アミノ−2−(ビス(4−メトキシ−ベンジル)アミノ)ピリジン−4−イル)アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(12g、19.72mmol、1.00当量、90%)、CH
3CN(100mL)およびCDI(5.336g、32.91mmol、1.50当量)を入れた。得られた溶液を80℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムにかけ、酢酸エチル/石油エーテル(1:5)で抽出して、黄色の固体油状物質として11g(89%)のtert−ブチル(R)−3−(4−[ビス[(4−メトキシ−フェニル)メチル]−アミノ]−2−オキソ−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0226】
ステップ5
【化28】
50mL丸底フラスコにtert−ブチル(R)−3−(4−[ビス[(4−メトキシフェニル)−メチル]アミノ]−2−オキソ−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.5g、2.61mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(30mL)およびトリフルオロ酢酸(30mL)を入れた。得られた溶液を50℃で4時間撹拌した。溶液のpH値を重炭酸ナトリウムで9に調整した。得られた溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。得られた混合物を真空下で濃縮して、淡黄色固体として0.45g(73.7%)の(R)−4−アミノ−1−(ピペリジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンを得た。
【0227】
ステップ6
【化29】
100mL丸底フラスコに(R)−4−アミノ−1−(ピペリジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(1g、4.29mmol、1.00当量)、1,4−ジオキサン/H
2O(1:1、50mL)、Boc
2O(1.03g、4.72mmol、1.03当量)および炭酸ナトリウム(1.5g、14.15mmol、1.50当量)を入れた。得られた溶液を25℃で1時間撹拌し、次いでジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた。得られた有機層を水で洗浄し、次に飽和塩化ナトリウムで洗浄し、次いで真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムにかけ、ジクロロメタン/メタノール(30:1)で抽出して、淡黄色固体として1.2g(84%)のtert−ブチル(R)−3−(4−アミノ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0228】
ステップ7
【化30】
100mL丸底フラスコにtert−ブチル(R)−3−(4−アミノ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(6.5g、19.50mmol、1.00当量)およびDMF−DMA(50mL)を入れた。得られた溶液を40℃で1時間撹拌し、真空下で濃縮した。次いで得られた混合物をCH
2Cl
2で溶解し、ブラインで洗浄した。有機層を合わせ、真空下で濃縮し、ヘキサンで洗浄した。ろ過により固形物を回収して、固形物として5.0289g(66%)のtert−ブチル(R,E)−3−(4−(((ジメチルアミノ)メチレン)アミノ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
LC−MS m/z:389.2(M+1)
【0229】
参照2
4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンの合成
【化31】
250mL丸底フラスコにtert−ブチル(R)−3−(4−[ビス[(4−メトキシフェニル)−メチル]アミノ]−2−オキソ−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(10g、17.43mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(100mL)、(4−フェノキシフェニル)ボ
ロン酸(7.5g、35.04mmol、2.00当量)、TEMPO(3g、19.20mmol、1.10当量)およびTEA(7g、69.18mmol、4.00当量)、Cu(OAc)
2(1.6g、8.81mmol、0.50当量)を入れた。得られた溶液を大気圧の酸素雰囲気下にて25℃で一晩撹拌した。(4−フェノキシフェニル)ボロン酸(7.5g、35.04mmol、2.00当量)を添加し、得られた溶液を25℃で一晩反応させた。残留物をシリカゲルカラム上に載せ、酢酸エチル/石油エーテル(1:3)で抽出して、黄色の固形物として1.5g(12%)のtert−ブチル(R)−3−(4−[ビス[(4−メトキシフェニル)メチル]アミノ]−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0230】
ステップ6
【化32】
250mL丸底フラスコにtert−ブチル(R)−3−(4−[ビス[(4−メトキシフェニル)−メチル]アミノ]−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(5g、6.07mmol、1.00当量、90%)、ジクロロメタン(80mL)およびトリフルオロ酢酸(80mL)を入れた。得られた溶液を50℃で5時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。溶液のpH値を重炭酸ナトリウムで9に調整した。得られた溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。残留物をシリカゲルカラムにかけ、ジクロロメタン/メタノール(30:1)で抽出して、淡黄色固体として1g(41%)の4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンを得た。
【0231】
実施例1
(R)−2−(3−(4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4,4−ジメチルペント−2−エンニトリルの合成
【化33】
10mL丸底フラスコに4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(79mg、0.20mmol、1.00当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)、TEA(0.082mL、1.50当量)、HATU(113mg、0.30mmol、1.50当量)および2−シアノ−4,4−ジメチルペント−2−エノン酸(46mg、0.30mmol、3.00当量)を入れた。得られた溶液を室温で2.5時間撹拌し、次いで水を添加することによって不活性化した。得られた溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせ、真空下で濃縮した。次の条件(2#−AnalyseHPLC−SHIMADZU(HPLC−10)):カラム、Gemini−NX C18
AXAI Packed、21.2x150mm 5μm 11nm;移動相、0.05%TFAおよびACN入りの水(8分間で20.0%ACN〜50.0%まで);検出器、254nmにより粗製生成物をPrep−HPLCによって精製して、白色固体として50mg(47%)の表題化合物を得た。LC−MS m/z:537.2(M+1)
【0232】
実施例2
(R)−2−(3−(4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化34】
50mL丸底フラスコにtert−ブチル(R,E)−3−(4−(((ジメチルアミノ)−メチレン)アミノ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(200mg、0.51mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(20mL)、TEA(208mg、2.06mmol、4.00当量)、TEMPO(88.5mg、0.57mmol、1.10当量)およびCu(OAc)
2(46.7mg、0.26mmol、0.50当量)を入れた。得られた溶液を25℃で0.5時間撹拌した。(4−フェノキシフェニル)ボロン酸(220mg、1.03mmol、2.00当量)を添加し、得られた溶液を25℃で一晩反応させた。残留物をシリカゲルカラム上に載せ、ジクロロメタン/酢酸エチル(5:1)で抽出して、淡黄色固体として150mg(52%)のtert−ブチル(R)−3−[4−[(E)−[(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ]−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0233】
ステップ2
【化35】
25mL丸底フラスコにtert−ブチル(3R)−3−[4−[(E)−[(ジメチルアミノ)−メチリデン]−アミノ]−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(150mg、0.27mmol、1.00当量)、1,4−ジオキサン(6mL)および塩化水素(3mL)を入れた。得られた溶液を50℃で一晩撹拌した。反応混合物を水で不活性化した。溶液のpHを重炭酸ナトリウムで9に調整した。得られた溶液をジクロロメタン:CH
3OH=10:1で抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上に載せ、ジクロロメタン/メタノール(30:1)で抽出して、淡黄色固体として80mg(74%)の4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンを得た。
【0234】
ステップ3
【化36】
50mL丸底フラスコに4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(2g、4.98mmol、1.00当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)、2−シアノ酢酸(402.5mg、4.73mmol、0.95当量)、HATU(2.84g、7.47mmol、1.50当量)およびTEA(1.51g、14.92mmol、3.00当量)を入れた。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、次いで水で不活性化した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。有機層を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(30:1)を用いて残留物をシリカゲルカラムにかけ、淡黄色固体として1.3g(56%)の3−[(3R)−3−[4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリルを得た。
【0235】
ステップ4
【化37】
50mL丸底フラスコに3−[(3R)−3−[4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリル(800mg、1.71mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(20mL)、2−メチル−2−[4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル]プロパナル(1.0875g、5.12mmol、3.00当量)、TMSCl(922mg、8.49mmol、4.97当量)およびピロリジン(0.607g)を入れた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。粗製生成物をPrep−TLCにより精製し、次いで次の条件下(2#−AnalyseHPLC−SHIMADZU(HPLC−10)):カラム、Gemini−NX C18 AXAI Packed、21.2x150mm 5μm 11nm;移動相、0.05%TFAおよびACN入りの水(10分間で20.0%ACN〜40.0%);検出器、uv 254nm)でPrep−HPLCにより精製して、淡黄色固体として0.478g(42%)の表題化合物を得た。LC−MS m/z:663.3(M+1).
【0236】
実施例3
(R)−1−(1−アクリロイルピペリジン−3−イル)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンの合成
【化38】
100mL丸底フラスコに(R)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン(150mg、0.37mmol、1.00当量)、DCM−CH3OH(6mL)、TEA(113mg、1.12mmol、3.00当量)を入れた。これに続いて、0℃で5分間、撹拌しながらプロプ−2−エノイルクロリド(40.1mg、0.44mmo
l、1.20当量)を滴加した。得られた溶液を0℃で2時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(30:1)を用いて残留物をシリカゲルカラムにかけた。粗製生成物(100mg)をPrep−HPLCによって次の条件(カラム、XBridge Prep C18 OBDカラム、5μm、19
*150mm;移動相、0.05%TFAおよびACN入りの水(8分間で25.0%ACN〜45.0%)で精製した。白色固体として(R)−1−(1−アクリロイルピペリジン−3−イル)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンの54.5mgの生成物を得た。LC−MS m/z:465.2(M+1)
【0237】
実施例4
(R)−4−アミノ−1−(1−(ブト−2−イノイル)ピペリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンの合成
【化39】
100mL丸底フラスコに(R)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン(150mg、0.37mmol、1.00当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)、ブト−2−イノン酸(31.42mg、0.37mmol、1.00当量)、HATU(213.2mg、0.56mmol、1.50当量)、TEA(113.4mg、1.12mmol、3.00当量)を入れた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。次いで反応物を50mLの水の添加により不活性化した。得られた溶液を3x50mLのジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を50mLのブラインで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(30:1)を使用して残留物をシリカゲルカラムにかけた。ex3に記載のように粗製生成物(100mg)をPrep−HPLCによって精製して、白色固体として86.5mg(50%)の(R)−4−アミノ−1−(1−(ブト−2−イノイル)ピペリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンを得た。LC−MS m/z:468.2(M+1).
【0238】
実施例5
(R)−2−(3−(4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化40】
ステップ1
250mL三つ口丸底フラスコにメチル2−(ピペリジン−4−イル)アセテート塩酸塩(10g、51.63mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(100mL)を入れ、得られた溶液を0℃で30分間撹拌した。次にトリエチルアミン(15.65g、154.66mmol、3当量)、Boc
2O(12.4g、56.82mmol、1.1当量)を添加した。25℃でさらに14時間にわたり、得られた溶液を撹拌しながら反応させた。溶液のpH値をクエン酸(3%)で7.0に調整した。得られた混合物を2x100mLの水および2x100mLの飽和食塩水で洗浄した。酢酸エチル/石油エーテル(1:10)を使用して残留物をシリカゲルカラム上に載せた。この結果、無色油状物質として10g(75.2%)のtert−ブチル4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0239】
ステップ2
250mL三つ口丸底フラスコにLDA(46.7mL、3.00当量)、テトラヒドロフラン(80mL)、tert−ブチル4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(8g、31.1mmol、1.00当量)を入れ、得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した。次いで、CH
3I(22g、155mmol、5.00当量)を添加した。得られた溶液を撹拌しながら−78℃でさらに1時間反応させた。−78℃でさらなるLDA(46.7mL、3.00当量)を添加し、0.5時間後にCH
3I(22g、155mmol、5.00当量)を添加した。この反応物を室温で16時間撹拌した。次いで、200mLのNH4Clの添加によって反応物を不活性化した。得られた溶液を2x200mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を2x200mLの水および2x200mLの飽和塩化ナトリウムで洗浄した。酢酸エチル/石油エーテル(1:35)を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製した。この結果、淡黄色の油状物質として6g(68%)のtert−ブチル4−(1−メトキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0240】
ステップ3
100mL三つ口丸底フラスコにLiAlH4(1.6g、42.2mmol、4.00当量)、テトラヒドロフラン(50mL)、tert−ブチル4−(1−メトキシ−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(3g、10.5mmol、1.00当量)を入れた。得られた溶液を−78℃で3時間撹拌した。反応混合物を0℃に温めた。次いで1.6mLの水の添加によって反応物を不活性化し、次いで1.6mLの15%NaOHを添加し、続いて4.8mLのH2Oを添加した。固形物をろ過して、ピンク色の油状物質として1.5g(83%)の2−メチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)プロパン−1−オールを得た。
【0241】
ステップ4
100mL丸底フラスコに二塩化オキサリル(440mg、3.47mmol、1.20当量)、ジクロロメタン(50mL)を入れ、−78℃でDMSO(684mg、8.75mmol、3.00当量)、2−メチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)プロパン−1−オール(500mg、2.92mmol、1.00当量)、TEA(1.48g、14.6mmol、5.00当量)中に入れた。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した。得られた溶液を撹拌しながら25℃でさらに2時間反応させた。次いで水を添加することによって反応物を不活性化した。得られた溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。この結果、黄色の油状物質として385mg(88%)の2−メチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)プロパナルが得られた。
【0242】
ステップ5
100mL丸底フラスコに(R)−3−(3−(4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリル(100mg、0.19mmol、1.00当量、90%)、ジクロロメタン(50mL)、2−メチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)プロパナル(108mg、0.57mmol、3.00当量)、TMSCl(115mg、1.01mmol、5.00当量、95%)、ピロリジン(75.8mg、1.01mmol、5.00当量、95%)を入れた。得られた溶液をrtで16時間撹拌した。次の条件(カラム、Gemini−NX C18 AXAI Packed、21.2x150mm 5μm 11nm;移動相、0.05%TFAおよびACN入りの水(8分間で20.0%ACN〜50.0%);検出器、254nmにより粗製生成物をPrep−HPLCによって精製した。この結果、淡黄色固体として15.5mg(12%)の(R)−2−(3−(4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ペント−2−エンニトリルが得られた。LC−MS m/z:620.3(M+1).
【0243】
実施例6
(R)−2−(3−(4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−6−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)ヘキシ−2−エンニトリルの合成
【化41】
ステップ1
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した250mL三つ口丸底フラスコ中で、−78℃のドライTHF(20mL)中のHMPA(6.0mL)およびLDA(16.8mmol)をアセトニトリル(690mg、16.8mmol)で処理した。溶液を30分間
撹拌し、THF(15mL)中の(2−ブロモエトキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン(3.4g、14.3mmol)を滴加した。撹拌を2時間継続し、その後、2回目のLDA(20mLのTHF中16.8mmol)を添加した。溶液を30分間撹拌し、THF(15mL)中の(2−ブロモエトキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン(3.4、14.3mmol)を滴加した。この反応を2時間にわたり進行させた。飽和NH4Cl水溶液を添加し、混合物を室温に到達させた。ジエチルエーテルを添加し、相を分離し、水層をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。カラムクロマトグラフィー[シリカ、石油エーテル]によって無色油状物質(3.2g、53%)を得た。
【0244】
ステップ2
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した250mL三つ口丸底フラスコに、トルエン(15mL)中の4−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−2−[2−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]ブタンニトリル(1g、2.80mmol、1.00当量)を入れた。−78℃でDIBAL−H(1M)(3.36mL、1.20当量)を添加し、液体窒素浴中で、得られた溶液を−78℃で1時間撹拌した。水(0.7mL)を添加し、混合物をRTに到達させた。NaOH水(0.7mL、4M)を添加し、撹拌を15分間継続した。水(2.1mL)を添加し、さらに15分間懸濁液を撹拌した。混合物をNa2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。PE/EA(20:1)を用いてシリカゲルカラムによって残留物を精製した。この結果、無色油状物質として900mg(89%)の4−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−2−[2−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]ブタナールを得た。
【0245】
ステップ3
8mLバイアルに、3−[(3R)−3−[4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリル(150mg、0.32mmol、1.00当量)、4−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−2−2−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]エチルブタナール(346mg、0.96mmol、3.00当量)、TMSCl(173mg、1.59mmol、5.00当量)、ピロリジン(114mg、1.61mmol、5.00当量)、ジクロロメタン(2mL)を入れた。得られた溶液をrtで3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(30:1)を用いて残留物をシリカゲルカラムにかけた。この結果、黄色の固形物として120mg(46%)の2−[[(3R)−3−[4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]−6−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−[2−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]ヘキシ−2−エンニトリルを得た。
【0246】
ステップ4
25mL丸底フラスコに、2−[[(3R)−3−[4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]−6−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−[2−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]ヘキシ−2−エンニトリル(120mg、0.15mmol、1.00当量)、トリフルオロ酢酸(1mL)、ジクロロメタン(5mL)を入れた。得られた溶液をrtで2時間撹拌した。次いで飽和重炭酸ナトリウムの添加によって反応物を不活性化した。得られた溶液を3x20mLのDCM/MeOH(10:1)で抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を飽和塩化ナトリウムで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。DCM/MeOH(15:1)を用いてPrep−TLCによって残留物
を精製した。粗製生成物を次の条件(Atlantis Prep T3 OBDカラム、19
*150mm 5μm 10nm;移動相、0.1%FAおよびMeCN入りの水(10分間で20.0%MeCN〜50.0%);検出器、254nmによりPrep−HPLCによって精製した。この結果、白色固体として7.9mg(9%)の(R)−2−(3−(4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−6−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)ヘキシ−2−エンニトリルを得た。LC−MS m/z:583.2(M+1).
【0247】
実施例7
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(4−(2,6−ジフルオロフェノキシ)フェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化42】
ステップ1
O2の雰囲気でパージし、維持した250mL丸底フラスコに、ジクロロメタン(100mL)中のCu(OAc)2(6.96g、38.3mmol、1.00当量)、ピリジン(15.2g、192mmol、5.00当量)および4Aモレキュラーシーブ(5g)を入れた。得られた溶液を30分間撹拌し、次いで2,6−ジフルオロフェノール(5g、38.4mmol、1.00当量)および(4−ブロモフェニル)ボロン酸(15.4g、76.6mmol、2.00当量)を添加した。得られた溶液をrtで一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上に載せ、石油エーテルで抽出した。この結果、黄色の油状物質として5.5g(50%)の2−(4−ブロモフェノキシ)−1,3−ジフルオロベンゼンを得た。
【0248】
ステップ2
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した250mL三つ口丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(100mL)中の2−(4−ブロモフェノキシ)−1,3−ジフルオロベンゼン(5.5g、19.3mmol、1.00当量)を入れた。ヘキサン中のnBuLiの2.5M溶液(11.6mL、1.50当量)を−78℃で添加し、得られた溶液を30分間撹拌し、次いでホウ酸トリメチル(4.03g、38.8mmol、2.00当量)を添加した。反応物の温度をRTまで上昇させ、得られた溶液をrtで3時間撹拌した。次いで塩化水素(2M)の添加によって反応物を不活性化した。得られた溶液を3x150mLのエーテルで抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を1x200mLの塩化ナトリウム(飽和)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(50:1)を用いて残留物をシリカゲルカラムにかけた。この結果、茶色の固体として2.15g(45%)の[4−(2,6−ジフル
オロフェノキシ)フェニル]ボロン酸を得た。
【0249】
ステップ3
O2の雰囲気でパージし、維持した100mL丸底フラスコに、ジクロロメタン(50mL)中の、(R,E)−tert−ブチル3−(4−(((ジメチルアミノ)メチレン)アミノ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(500mg、1.29mmol、1.00当量)、TEA(521mg、5.15mmol、4.00当量)、Cu(OAc)2(117mg、0.64mmol、0.50当量)、TEMPO(221mg、1.41mmol、1.10当量)およびMs(4A)(500mg)を入れた。得られた溶液を30分間撹拌し、次いで[4−(2,6−ジフルオロフェノキシ)フェニル]ボロン酸(644mg、2.58mmol、2.00当量)を添加した。得られた溶液を一晩室温で撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(30:1)を用いて残留物をシリカゲルカラムにかけた。この結果、茶色の固体として490mgの(R,E)−tert−ブチル3−(4−(((ジメチルアミノ)メチレン)アミノ)−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレートが得られた。
【0250】
ステップ4
30mLジオキサン中の(R,E)−tert−ブチル3−(4−(((ジメチルアミノ)メチレン)アミノ)−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(490mg、0.83mmol、1.00当量)の溶液に、15mLの塩化水素(12M)を添加した。得られた溶液を油浴中、85℃で3時間撹拌した。次いで反応物を重炭酸ナトリウム(飽和)の添加によって不活性化した。得られた溶液を3x100mLのDCM/MeOH(10:1)で抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を1x100mLの塩化ナトリウム(飽和)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。この結果、茶色の固体として360mg(100%)の4−アミノ−3−[4−(2,6−ジフルオロフェノキシ)フェニル]−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンが得られた。
【0251】
ステップ5
50mL丸底フラスコに4−アミノ−3−[4−(2,6−ジフルオロフェノキシ)フェニル]−1−[(3R)−ピペリジン−3−イル]−1H,2H,3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン(360mg、0.82mmol、1.00当量)、2−シアノ酢酸(70mg、0.82mmol、1.00当量)、HATU(470mg、1.24mmol、1.50当量)、TEA(250mg、2.47mmol、3.00当量)、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)を入れた。得られた溶液をrtで2時間撹拌した。得られた溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を6x100mLの水で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(30:1)を用いて残留物をシリカゲルカラムにかけた。この結果、茶色の固体として260mg(63%)の(R)−3−(3−(4−アミノ−3−(4−(2,6−ジフルオロフェノキシ)フェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリルが得られた。
【0252】
実施例2のステップ4中のプロトコールに従い、(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(4−(2,6−ジフルオロフェノキシ)フェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−
4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを得た。LC−MS m/z:699.2(M+1)
【0253】
実施例8
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(4−(2,3−ジフルオロフェノキシ)フェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化43】
ステップ1
O2雰囲気でパージし、維持した250mL丸底フラスコに、ジクロロメタン(100mL)中の、Cu(OAc)2(6.96g、38.3mmol、1.00当量)、ピリジン(15.2g、192mmol、5.00当量)および4Aモレキュラーシーブ(5g)を入れた。得られた溶液を30分間撹拌し、次いで2,3−ジフルオロフェノール(5g、38.43mmol、1.00当量)および(4−ブロモフェニル)ボロン酸(15.4g、76.6mmol、2.00当量)を添加した。得られた溶液をrtで一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。石油エーテルを用いて残留物をシリカゲルカラムにかけた。この結果、無色油状物質として3.17g(29%)の1−(4−ブロモフェノキシ)−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。
【0254】
ステップ2
窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した250mL三つ口丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(100mL)中の,1−(4−ブロモフェノキシ)−2,3−ジフルオロベンゼン(3.17g、11.12mmol、1.00当量)を入れた。−78℃でnBuLiの2.5M溶液(6.7mL、1.50当量)を添加し、得られた溶液を30分間撹拌し、次いでホウ酸トリメチル(2.32g、22.3mmol、2.00当量)を添加した。得られた溶液をrtで3時間撹拌した。次いでHCl(2M)の添加によって反応物を不活性化した。得られた溶液を3x150mLのエーテルで抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を1x200mLの塩化ナトリウム(飽和)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(50:1)を用いて残留物をシリカゲルカラムにかけた。この結果、白色固体として1g(36%)の[4−(2,3−ジフルオロフェノキシ)フェニル]ボロン酸を得た。
【0255】
実施例2に記載のプロトコールに従うが、[4−(2,3−ジフルオロフェノキシ)フェニル]ボロン酸を使用して、表題化合物を得た。LC−MS m/z:699.2(M+1).
【0256】
実施例9
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(3−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化44】
実施例7に記載のプロトコールに従うが、(3−フルオロ−4−フェノキシフェニル)ボロン酸を使用して、実施例2に記載の方法を用いて表題化合物を得た。LC−MS m/z:681.4(M+1).
【0257】
実施例10
(R)−2−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化45】
実施例7に記載のプロトコールに従うが(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)ボロン酸(22 Nov 201の国際公開第2012158764号パンフレットに記載のとおり調製)を使用して、表題化合物を得た。LC−MS m/z:681.2(M+1).
【0258】
実施例11
(S)−2−(2−((4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルの合成
【化46】
ステップ1
DMF(50mL)中の2,4−ジクロロ−3−ニトロピリジン(5g、25.9mmol)の溶液にEt
3N(5.2g、51.8mmol)および(S)−tert−ブチル2−(アミノメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(5.4g、27.2mmol)を添加した。得られた混合物をrtで一晩撹拌し、次いでろ過し、ろ液を濃縮乾固した。残留物を水(150mL)で処理し、DCM(30mLx3)で抽出した。合わせた有機相をブライン(40mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮乾固した。得られた6.9gの(S)−tert−ブチル2−(((2−クロロ−3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0259】
ステップ2
i−PrOH(100mL)中の(S)−tert−ブチル2−(((2−クロロ−3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(6.9g、19.4mmol)の溶液にビス(4−メトキシベンジル)アミン(7.5g、29.1mmol)およびTEA(5.9g、58.2mmol)を添加した。混合物を一晩還流させた。rtに冷却した後、混合物を濃縮乾固した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:石油エーテル/酢酸エチル、5:1〜2:1)により精製して、淡黄色固体として4.4gの(S)−tert−ブチル2−(((2−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを得た。
【0260】
ステップ3
EtOH(100mL)中の(S)−tert−ブチル2−(((2−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−3−ニトロピリジン−4−イル)アミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(4.4g、7.6mmol)の溶液にNH
4Cl(2.0g、38.1mmol)およびH
2O(10mL)を添加し、続いて撹拌しながらZn粉末(2.5g、38.1mmol)をバッチ式に添加した。得られた混合物を3時間還流させ、その後セライトに通してろ過した。ろ液を濃縮して残留物を得て、これを水(50mL)中で再溶解し、酢酸エチル(100mLx3)で抽出した。合わせた有機相をブライン(400mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮して、淡黄色固体として2.9gの(S)−tert−ブチル2−(((3−アミノ−2−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)ピリジン−4−イル)アミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを得て、これを次のステップで直接使用した。
【0261】
ステップ4
無水アセトニトリル(30mL)中の(S)−tert−ブチル2−(((3−アミノ−2−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)ピリジン−4−イル)アミノ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(2.9g、5.3mmol)の溶液にCDI(2.6g、15.9mmol)を少量ずつ添加した。得られた混合物を2時間還流させ、その後濃縮して残留物を得て、PE:EtOAc=2:1を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによってこれを精製し、淡黄色固体として2.6gの(S)−tert−ブチル2−
((4−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを得て、これを次のステップで直接使用した。
【0262】
ステップ5
無水DCM(100mL)中の(S)−tert−ブチル2−((4−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(7g、12.2mmol)の溶液にCu(OAc)
2(2.2g、12.4mmol)、TEMPO(2.1g、13.4mmol)、4Aモレキュラーシーブ(20g)およびEt
3N(20g、196mmol)を添加し、続いて撹拌しながら4−フェノキシフェニルボロン酸(10.5g、48.9mmol)を少量ずつ添加した。O
2雰囲気下で混合物をrtにて78時間撹拌した。溶媒を濃縮し、PE:EtOAc=2:1を用いたシリカゲルカラムによって残留物を精製して、淡黄色固体として(S)−tert−ブチル2−((4−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(3.2g、36%)を得た。
【0263】
ステップ5
(S)−tert−ブチル2−((4−(ビス(4−メトキシベンジル)アミノ)−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(2g、2.7mmol)をTFA(10mL)中で溶解させ、rtで一晩撹拌した。反応物を濃縮し、残留物をH2O(50mL)で希釈し、EtOAcで抽出した。NaOH水で水相をpH=13に調整し、EtOAc(2x100mL)で抽出し、有機相を濃縮して、870mgの(S)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピロリジン−2−イルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンを得て、さらに精製せずに次のステップで使用した。
【0264】
ステップ6
0℃のDMF(10mL)中の(S)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピロリジン−2−イルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン(200mg、0.5mmol)の溶液に、Et
3N(150mg、1.5mmol)、2−シアノ酢酸(47mg、0.55mmol)およびHATU(284mg、0.75mmol)を添加した。0℃で30分間撹拌した後、反応物を水(20mL)に注ぎ、EtOAc(2回で30mL)により抽出し、有機相を濃縮し、PE:EtOAc=1:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより残留物を精製して、白色固体として70mgの(S)−3−(2−((4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリルを得た。
【0265】
ステップ7
室温のDCM(2mL)中の(S)−3−(2−((4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−イル)−3−オキソプロパンニトリル(80mg、0.17mmol)、2−メチル−2−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)プロパナル(72mg、0.34mmol)およびピロリジン(120mg、1.7mmol)の溶液にクロロ(トリメチル)シラン(69mg、0.68mmol)をゆっくりと滴加した。30分後、反応物をDCM(20mL)で希釈し、NaHCO
3水(20mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して
、粗製残留物を得て、これをPrep−TLCにより精製して、白色固体(10mg、9%)として(S)−2−(2−((4−アミノ−2−オキソ−3−(4−フェノキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−メチル−4−(4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ペント−2−エンニトリルを得た。LC−MS m/z:662.8(M+1).
【0266】
実施例12
(S)−1−((1−アクリロイルピロリジン−2−イル)メチル)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンの合成
【化47】
DCM(2mL)中の(S)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピロリジン−2−ylメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン(200mg、0.17mmol)およびDIPEA(129mg、1.0mmol)の溶液に0℃でアクリロイルクロリド(45mg、0.50mmol)をゆっくりと滴加した。30分後、反応物をDCM(20mL)で希釈し、NaHCO
3水(20mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、粗製残留物を得て、これをPrep−TLCにより精製して、白色固体として70mgの(S)−1−((1−アクリロイルピロリジン−2−イル)メチル)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンを得た。LC−MS m/z:455.9(M+1).
【0267】
実施例13
(S)−4−アミノ−1−((1−(ブト−2−イノイル)ピロリジン−2−イル)メチル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンの合成
【化48】
DCM(10mL)中の(S)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピロリジン−2−イルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン(200mg、0.17mmol)およびDIPEA(129mg、1.0mmol)の溶液にブト−2−イノイルクロリド(50mg、0.50mmol)を0℃でゆっくりと滴加した。0.5時間後、反応物をDCM(20mL)で希釈し、NaHCO
3水(20mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、粗製残留物を得て、これをPrep−TLCにより精製して、白色固体として50mgの(S)−4−アミノ−1−((1−(ブト−2−イノイル)ピロリジン−2−イル)メチ
ル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンを得た。LC−MS m/z:467.9(M+1).
【0268】
実施例14
(R)−4−アミノ−1−(1−(2−フルオロアクリロイル)ピペリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンの合成
【化49】
2mLのDMF中の(R)−4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1−(ピペリジン−3−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン(154mg、0.38mmol、1.0当量)の溶液にジイソプロピルエチルアミン(0.2mL、1.1mmol)を添加した。2−フルオロプロプ−2−エノン酸(51.8mg、0.580mmol)を添加し、続いてHATU(97mg、1.1mmol)を添加した。1時間撹拌した後、Prep HPLC(Shimadzu、C18カラム;移動相0.05%TFAおよびACN入りの水(20分間にわたり10%〜90%)によって物質を直接精製した。精製分画を飽和重炭酸ナトリウムおよびDCMで希釈し、層を分離させた。有機層をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。最小限の水およびアセトニトリルでこれを溶解させ、凍結乾燥して、白色固体として65mgの(R)−4−アミノ−1−(1−(2−フルオロアクリロイル)ピペリジン−3−イル)−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オンを得た。LC−MS m/z:474.1(M+1).
【0269】
生物学的実施例
実施例1
BTK酵素活性アッセイ
Caliperに基づくキナーゼアッセイ(Caliper Life Sciences,Hopkinton,MA)を使用して、本開示の化合物のBTKキナーゼ活性阻害を測定した。試験化合物の連続希釈物をヒト組み換えBTK(0.5nM)、ATP(16μM)およびホスホアクセプターペプチド基質FAM−GEEPLYWSFPAKKK−NH
2(1μM)とともに室温で3時間温置した。次いでEDTAで反応を停止させ、最終濃度20mMおよびリン酸化反応生成物をCaliper Desktop Profiler(Caliper LabChip 3000)上で定量した。各化合物希釈液に対してパーセント阻害を計算し、50%阻害を生じさせた濃度を計算した。この値をIC
50として与える。本開示のある一定の化合物に対するIC
50を以下で提供する。
【0270】
【表2】
【0271】
【表3】
【0272】
【表4】
【0273】
実施例2
ヒト末梢血単核細胞中のBTK占有の測定
BTKを含有するヒト末梢血単核細胞(PBMC)中の標的に対する化合物の結合によって、BTK活性阻害に対する化合物の効力を評価し得る。細胞を化合物で処理し、プローブとしての(R,E)−N−(2−(4−(4−(3−(4−アミノ−3−(2−フルオロ−4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−4−オキソブト−2−エン−1−イル)ピペラジン−1−イル)エチル)−3−(5,5−ジフルオロ−7,9−ジメチル−5H−4[4,5]4−ジピロロ[1,2−c:2’,1’−f][1,3,2]ジアザボリニン−2−イル)プロパンアミドの占有の結合を通じて非占有BTKを検出した後、BTK占有度を測定する。
【0274】
簡潔に述べると、ヒト血液を健康なボランティアから得て、9本の別個の15mLチューブ中で各5mLに分けた。効力について試験しようとする化合物の連続希釈液を添加し、最終濃度が10μMから始まり、全部で9連続希釈液になるように3倍連続希釈した。この化合物を1時間、血液と相互作用させた。次いで、Ficollを使用して、PBMCを各チューブから単離した。次いで、単離したPBMCを1mLのRPMI1640培地中で再懸濁し、各試料に対して1時間、占有プローブを1μMの濃度になるように添加した。PBMCを洗浄し、溶解させ、SDS−PAGEにより評価した。ゲル中の蛍光を使用して、BTKへのBTK占有プローブ結合の阻害度を測定した。続いて、BTK抗体(BD Bioscience Cat#611117)を使用したウエスタンブロッティングによって各試料中の総BTKを決定した。
【0275】
このアッセイを改変して、PBMC中のBTK結合の持続性も測定した。ここで、2μM化合物濃度をヒト全血に1時間添加した。Ficollを使用してPBMCを分離し、洗浄し、媒体中で37℃にて4時間または18時間再懸濁した。各試料に対して1時間にわたり占有プローブを1μMの濃度になるように添加し、次いで上記と同様にBTK占有を決定した。
【0276】
実施例3
ヒト全血試料中でのCD69発現の阻止
B細胞受容体の活性化は、BTK活性、カルシウム移動性およびB細胞活性化の上昇につながる(Honigberg L.A.et.al.,Proc Natl Acad
Sci USA.107:13075−80.2010参照)。BTK阻害剤は、CD
69発現により測定されるように、B細胞活性化を阻止することが示されている(Karp,R.,et.al.,Inhibition of BTK with AVL−292 Translates to Protective Activity in Animal Models of Rheumatoid Arthritis.Inflammation Research Association Meeting,Sept,2010参照)。全血中のBTK活性の目安として、細胞活性化後にCD69を発現させた。全血のアリコートを試験化合物の連続希釈液と30分間予め温置し、その後、抗IgM(ヤギFab’2、50μg/mL)で活性化した。試料を37℃で一晩温置し、次いで製造者の指示書に従い、PE標識抗CD20およびAPC標識抗CD69(BD Pharmingen)で30分間染色した。次いで全血を溶血させ、FACSによってCD20発現にゲーティングされた細胞をCD69発現について定量した。阻害なしに対するDMSO対照に基づいてパーセント阻害を計算し、試験化合物濃度の関数としてプロットし、そこからIC
50値を計算した。
【0277】
実施例4
マウスコラーゲン誘発性関節炎の阻害
マウスコラーゲン誘発性関節炎(mCIA)の阻害は、関節リウマチに対する標準的な動物疾患モデルである。先行研究から、mCIAの阻止においてBTKの阻害が効果的であることが明らかになっている(Honigberg L.A.et.al.,Proc
Natl Acad Sci USA.107:13075−80.2010参照)。第0日から開始して、DBA/1マウスに完全フロイントアジュバント中のII型コラーゲンのエマルションを注射する。21日後にマウスに免疫促進を行い、疾患の進行と同調させる。軽度疾患の発症後、本試験に動物を登録し、無作為化する。投与は、経口、Q.D.であり、一般的には試験化合物または対照としてのデキサメタゾン(0.2mg/kg)を用いて11日間である。1つの群にビヒクルを単独で与える。臨床スコア化(0〜4)は腫脹の程度および関節炎の重症度に基づく。最大スコア16に対して、全四肢に対するスコアを付加する。試験終了時にElisaによって各動物に対して抗コラーゲン抗体および総Igを測定する(Bolder BioPath,Boulder,CO)。
【0278】
実施例5
不可逆的vs.可逆的共有結合を評価するための透析時のキナーゼ活性の回復
濃度がそのIC
50値より10倍高い本開示の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩を、20mM Hepes[pH7.5]、5mM MgCl
2、0.01%TritonX−100および1mMジチオスレイトールを含有する緩衝液中のタンパク質キナーゼ(5nM)の溶液に添加する。22℃で60分後、反応物を透析カセット(0.1〜0.5mL Slide−A−Lyzer、MWCO 10kDa、Pierce)に移し、22℃で1Lの緩衝液(20mM Hepes[pH7.5]、5mM MgCl
2、0.01%TritonX−100および1mMジチオスレイトール)に対して透析する。実験終了まで、透析緩衝液を1日2回交換する。透析カセットからアリコートを24時間ごとに取り出し、タンパク質キナーゼ活性について分析する。その時間点について、DMSO対照に対して各試料に対するキナーゼ活性を正規化し、平均±SDとして表す。R
aがシアノである本開示の化合物に対する透析時にキナーゼ活性が回復し、R
aが水素またはフルオロである本開示の化合物については回復しないことが観察される。
【0279】
実施例6
質量分析
永久的で不可逆的な共有付加物の形成を評価するために、本開示の化合物および/または薬学的に許容可能なその塩により阻害されるタンパク質キナーゼを質量分析に供し得る。インタクトな全タンパク質またはタンパク質キナーゼのトリプシン切断時に生成するペプチド断片を調べるための適切な分析方法は、一般的に当技術分野で公知である(Lip
ton,Mary S.,Ljiljana,Pasa−Tolic,Eds.Mass
Spectrometry of Proteins and Peptides,Methods and Protocols,Second Edition.Humana Press.2009参照)。このような方法は、対照試料の質量+不可逆的な付加物の質量に対応する質量ピークを観察することによって永久的で不可逆的な共有タンパク質付加物を同定する。このような2つの方法を以下に記載する。
【0280】
インタクトな全長キナーゼの質量分析
方法:
タンパク質キナーゼ(5μM)(BTKなど)を緩衝液(20mM Hepes[pH8.0]、100mM NaCl、10mM MgCl
2)中で本開示の化合物(25μM、5当量)と室温で1時間温置する。本開示の化合物がない対照試料も調製する。等体積の0.4%ギ酸を添加することによって反応を停止させ、液体クロマトグラフィー(Microtrap C18タンパク質カラム[Michrom Bioresources]、5%MeCN、0.2%ギ酸、0.25mL/分;95%MeCN、0.2%ギ酸で溶出)およびインラインESI質量分析(LCT Premier、Waters)によって試料を分析する。MassLynx解析ソフトウェアでタンパク質キナーゼおよび何らかの付加物の分子量を決定し得る(国際公開2014 011900号パンフレットおよびPCT/US2010/048916号を参照)。
【0281】
結果:R
aがシアノである本開示の化合物により阻害されるBTKなどのタンパク質キナーゼの高解像度インタクト質量分析から、阻害剤非存在下でのキナーゼ(例えば対照試料)と同様のスペクトルが明らかになる。キナーゼの分子量+本化合物の分子量に対応する質量分析において新しいピークの形成はない。逆に、R
aが水素またはフルオロである本開示の化合物により阻害されるタンパク質キナーゼの高解像度インタクト質量分析により、キナーゼの分子量+不可逆的キナーゼ阻害剤の分子量に対応する質量分析における新しいピーク(例えば阻害剤がない対照試料中に存在しないピーク)の形成が明らかになる。この実験に基づくと、不可逆的なタンパク質付加物が当業者にとって明らかになる。
【0282】
キナーゼトリプシン消化の質量分析
方法:
トリプシン消化前に、タンパク質(10〜100pmols)を本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩(100〜1000pmols、10当量)とともに3時間温置する。化合物温置後、アルキル化剤としてヨードアセトアミドを使用し得る。本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩を使用しない対照試料も調製する。トリプシン消化の場合、脱着マトリクスとしてアルファシアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(0.1%TFA:アセトニトリル50:50中5mg/mol)または脱着マトリクスとしてシナピン酸(0.1%TFA:アセトニトリル50:50中10mg/mol)を使用して、マイクロC18 Zip Tipping前にMALDI標的上で直接、1μLアリコート(3.3pmols)を10μLの0.1%TFAで希釈する(PCT/US2010/048916号参照)。
【0283】
結果:R
aがシアノである本開示の化合物および/または薬学的に許容可能な塩により阻害されるキナーゼのトリプシン断片の高解像度質量分析により、阻害剤なし(例えば対照試料)でのキナーゼと同様のスペクトルが明らかになる。対照試料中に存在しない何らかの修飾ペプチドの証拠はない。この実験に基づくと、当業者にとって明らかとなる永久的で不可逆的なタンパク質付加物はない。
【0284】
それどころか、R
aが水素またはフルオロである本開示の化合物により阻害されるキナーゼのトリプシン断片の高解像度質量分析により、対照試料中に存在しない修飾ペプチド
を含有するスペクトルが明らかになる。この実験に基づき、不可逆的なタンパク質付加物が当業者にとって明らかとなる。さらに、正確な質量およびMS−MS断片化パターンに基づき、共有修飾の部位であるシステイン残基を定めることによって修飾ペプチドの配列が解明され得る。
【0285】
実施例7
薬物−キナーゼ滞留時間の測定
以下のものは、化合物がBTKからの緩慢な解離速度または解離速度の不存在を示すかどうかを区別するために使用することができるプロトコルであり、それは例えば、典型的には、共有結合が化合物と標的との間で形成される場合に行う。緩慢な解離についての読取りは、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)を使用して検出されるキナーゼ活性部位への高親和性蛍光トレーサー分子の結合を遮断する対象化合物の能力である。この実験は、50mMのHepes pH7.5、10mMのMgCl2、0.01%のTriton X−100、および1mMのEGTAからなる緩衝液中で実施した。
【0286】
手順の最初の工程は、500nMのBTK(Invitrogenカタログ番号PV3587)の1.5μMの本開示の化合物との10μLの容量での30分間のインキュベーションであった。次いで、混合物を40μLの緩衝液の添加により5倍希釈した。次いで、10μL容量の希釈キナーゼ/化合物溶液を、小容量384ウェルプレート(例えばGreinerカタログ番号784076)のウェルに添加した。キナーゼ−化合物結合相互作用の可逆性を証明するため、高親和性蛍光トレーサーおよびユウロピウムに結合している抗体を両方含有する競合溶液を調製した。BTKについて、競合溶液は、1.5μMのTracer 178(Invitrogenカタログ番号PV5593)を含有し、それはフルオロフォアAlexaFluor 647に結合しているBTKについての専売高親和性リガンドである。競合溶液は、BTK中のポリヒスチジン精製タグに結合するように設計されたユウロピウムに結合している80nMの抗ポリヒスチジン抗体(Invitrogenカタログ番号PV5596)も含有した。
【0287】
10μLの競合溶液をGreinerプレートに添加した後、混合物を、非共有結合阻害剤の解離および高親和性トレーサーの結合を可能とするように1時間以上インキュベートした。共有結合および緩慢に解離する阻害剤はトレーサーの結合を遮断する一方、急速解離する非共有結合阻害剤は遮断しないことが予期される。BTKへのトレーサーの結合は、抗ヒスチジン抗体のユウロピウム部分とTracer 178のAlexaFluor 647基との間でTR−FRETを使用して検出される。結合は、LANCEタイプTR−FRET実験と同等のフィルターおよびミラーを備えたPerkin Elmer
Envision装置(モデル2101)を使用して評価した。データは、競合化合物の不存在下で得られたシグナルの割合としてプロットした。バックグラウンドシグナルは、反応からのBTKの省略により得られた。本化合物が不可逆的な共有阻害剤である場合、一連の実験全体にわたり、トレーサーの標的への結合が完全に阻止される。本化合物が可逆的共有阻害剤である場合、本化合物が標的から解離するので、トレーサーは標的に結合する。持続性測定について、ウォッシュアウトの1、6および24時間での本明細書中で開示される化合物に対する占有の範囲を以下で示す。
【0288】
【表5】
【0289】
実施例8
結合の可逆性
化合物がその標的と不可逆的共有または可逆的共有結合を形成するか否かを判定するために、次のアプローチを開発した。関心のある化合物より高濃度のタンパク質標的を用いて反応物を調製する。不可逆的および可逆的共有化合物の両方が標的と結合し、溶液から
枯渇するようになった。次いで、標的の適正な折り畳みを破壊する5Mグアニジン塩酸塩での変性およびトリプシンでの消化の両方を含め、反応物を撹乱(perturbation)により処理する。不可逆的な共有化合物が標的に結合したままである一方で、標的からの解離ゆえに、撹乱(perturbation)により可逆的共有化合物が溶液に戻されることが分かる。タンデム質量分析と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用した撹乱(perturbation)の前後両方で溶液中の化合物の濃度を評価する。この技術を使用して、ネイティブおよび撹乱状態の両方でR
aが水素またはフルオロである本開示の不可逆的な共有化合物は溶液から枯渇し、一方でR
aがシアノである本明細書中で開示される化合物は折り畳み状態で枯渇するが、標的の撹乱(perturbation)後に溶液に戻り得ることが明らかになり得、これによりこのような化合物が可逆的共有結合を形成することが証明される。
【0290】
配合物実施例
以下のものは、式(I)の化合物を含有する代表的な医薬配合物である。
【0291】
錠剤配合物
以下の成分を緊密に混合し、単一の分割錠に打錠する。
【0292】
【表6】
【0293】
カプセル剤配合物
以下の成分を緊密に混合し、硬シェルゼラチンカプセル剤中にロードする。
【0294】
【表7】
【0295】
注射配合物
MSAを有する脱イオン水中2%のHPMC、1%のTween80、pH2.2中の本開示の化合物(例えば、化合物1)、少なくとも20mg/mLまで適量。
【0296】
上記の開示を、明確性および理解の目的のために説明および例としていくらか詳細に記載した。したがって、上記記載は説明であり、限定的なものでないことが理解されるべきである。したがって、本開示の範囲は、上記記載を参照してでなく、以下の添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が付与される均等物の全範囲とともに決定されるべきである。本出願に引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、それぞれの個々の特許、特許出願または刊行物が個々に示されるかのごとく同一の程度に全ての目的のために参照により全体として本明細書に組み込まれる。