(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985438
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット
(51)【国際特許分類】
H04R 1/26 20060101AFI20211213BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20211213BHJP
H04R 3/14 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
H04R1/26
H04R1/10 104Z
H04R3/14
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-20403(P2020-20403)
(22)【出願日】2020年2月10日
(65)【公開番号】特開2021-111948(P2021-111948A)
(43)【公開日】2021年8月2日
【審査請求日】2020年2月10日
(31)【優先権主張番号】202010007135.6
(32)【優先日】2020年1月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518357542
【氏名又は名称】深▲せん▼市星科啓電子商務有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Ginto E−Commerce Co.,Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】聶浩
(72)【発明者】
【氏名】黄建華
(72)【発明者】
【氏名】楊晋
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−158565(JP,A)
【文献】
中国実用新案第208724203(CN,U)
【文献】
特開平09−289697(JP,A)
【文献】
特開2006−166151(JP,A)
【文献】
特開2008−199600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/26
H04R 1/10
H04R 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内に設けられている電気音響変換アセンブリと、前記ハウジング内に設けられている回路基板とを備え、カナル型イヤホンのハウジング内に取り付けられる両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニットであって、
前記電気音響変換アセンブリは、第一ダイナミック型ドライバーユニット及び第二ダイナミック型ドライバーユニットを備え、
前記ハウジングは、両円筒状をなしており、平行に設けられて互いに離間している第一収容筒及び第二収容筒を備え、前記第一収容筒及び前記第二収容筒のそれぞれの外側壁の一部が除かれて、カナル型イヤホンのハウジング内に取り付けるためのクイック取付溝が設けられており、前記ハウジングの端部には、前記第一収容筒の端部と前記第二収容筒の端部とを接続する溝部を備え、
前記第一ダイナミック型ドライバーユニット及び前記第二ダイナミック型ドライバーユニットが前記第一収容筒及び前記第二収容筒内にそれぞれ収容されており、
前記回路基板は、中間のブリッジ接続板及びブリッジ接続板の両端に位置する円板を備え、前記ハウジングの端部に取り付けられて、前記両円板が前記第一収容筒内及び前記第二収容筒内にそれぞれ収容され、且つ前記ブリッジ接続板が前記溝部に収容されて、前記第一ダイナミック型ドライバーユニット及び前記第二ダイナミック型ドライバーユニットと電気的に接続されていることを特徴とする両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット。
【請求項2】
前記ハウジングの横断面が「8」字状となっていることを特徴とする請求項1に記載の両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット。
【請求項3】
前記第一ダイナミック型ドライバーユニット及び第二ダイナミック型ドライバーユニットのそれぞれは、上から順に設けられているヨーク、永久磁石、ポールピース、ボイスコイル、振動板、銅リング及びプロテクタを備え、
前記永久磁石、ポールピース内が中空となって可動室を形成し、前記ボイスコイルが振動板に固定されて前記可動室に嵌入され、前記ヨークが板部及び板部から下方に突起するロッド部を備え、前記ヨークの板部が永久磁石に密着して設けられ、前記ヨークのロッド部が前記可動室内に収容されて前記ボイスコイルで巻回され、ボイスコイルが前記回路基板に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット。
【請求項4】
前記ハウジングの第一収容筒及び第二収容筒のそれぞれは、上室と、下室と、上室と下室とを仕切る仕切り段差とを備え、前記ヨーク、永久磁石、ポールピースが上室内でそれぞれ上から順に密着して設けられ、前記ポールピースの下端面が仕切り段差の上端面と当接され、
前記振動板、銅リング及びプロテクタが下室内でそれぞれ上から下にかけて取り付けられ、振動板の上端面が仕切段差の下端面に当接され、振動板の下端面が銅リングの上端面に当接され、前記プロテクタが銅リングと間隔をおいて設けられており、
前記ボイスコイルが前記上室内に突出していることを特徴とする請求項3に記載の両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット。
【請求項5】
前記第一収容筒及び第二収容筒のそれぞれの上室内に位置規制溝が設けられ、前記ヨークの板部のエッジが前記位置規制溝に嵌合されていることを特徴とする請求項4に記載の両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット。
【請求項6】
前記回路基板は、前記両円板が前記第一収容筒内及び前記第二収容筒内にそれぞれ収容されて、ヨークの板部の上方に位置することを特徴とする請求項3に記載の両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット。
【請求項7】
前記回路基板の円板に軸方向に第一貫通孔が穿設され、前記ヨークのロッド部に軸方向に第二貫通孔が穿設され、前記第一貫通孔と第二貫通孔とが連通していることを特徴とする請求項6に記載の両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット。
【請求項8】
前記回路基板には、入力されたオーディオ信号を周波数の異なる信号に変換して第一ダイナミック型ドライバーユニット及び第二ダイナミック型ドライバーユニットにそれぞれ送信する分周回路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響技術分野に関し、特に両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロスピーカは主にカナル型イヤホンに使用され、一般的なカナル型イヤホンは、1つのイヤホンに1つのドライバーユニット(ダイナミック型ドライバーユニット又はバランスドアーマチュア型ドライバーユニット)を有するスピーカユニットで放音し、放音の基本的な要求を満たすことが多い。
【0003】
高音質の要求を満たすために、市販されているカナル型イヤホンには、1つのイヤホン内のドライバーユニットを2つにすることにより、イヤホンの音質を高めるものもある。
【0004】
しかしながら、1つのイヤホンに2つのドライバーユニットを配置する従来技術には、以下の欠陥を有する。
1:従来のように1つのスピーカユニットに1つのみのドライバーユニットを配置しているため、1つのイヤホンに2つのドライバーユニットを配置する場合には、2つのスピーカユニットを配置する必要があり、イヤホンのハウジング内に2つのスピーカユニットを配置するのに十分なスペースが必要となり、イヤホンの体積が大きくなってしまう。
2:不良率が高い。1つのイヤホンに2つのスピーカユニットを用いるため、左右両側のイヤホンは合計で4つのスピーカユニットが必要となり、4つのスピーカユニット内のドライバーユニット全てが一致しなければ、製造される製品が良品であることを確保できず、任意のスピーカユニット内のドライバーユニットが不良品であると、イヤホン全体として不良となる。
3:組立が困難である。イヤホンの組み立て時に、4つのスピーカユニットをそれぞれ取り付け、組立工程を4回繰り返す必要があるので、手間や工数がかかる。
【0005】
したがって、従来技術には改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来技術の不都合に鑑みてなされたものであり、カナル型イヤホンの音質を向上させるとともに、カナル型イヤホンの体積を減少させて、組立効率を向上させ、カナル型イヤホンの製品の不良率を低減させるために、両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術的手段を採用する。
【0008】
ハウジングと、ハウジング内に設けられている電気音響変換アセンブリと、回路基板とを備える両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニットであって、
前記電気音響変換アセンブリは、第一ダイナミック型ドライバーユニット及び第二ダイナミック型ドライバーユニットを備え、
前記ハウジングは、両円筒状をなしており、平行に設けられて互いに離間している第一収容筒及び第二収容筒を備え、前記第一ダイナミック型ドライバーユニット及び第二ダイナミック型ドライバーユニットが第一収容筒及び第二収容筒内にそれぞれ収容されており、
前記回路基板は、ハウジングの端部に取り付けられて、第一ダイナミック型ドライバーユニット及び第二ダイナミック型ドライバーユニットと電気的に接続されている。
【0009】
前記ハウジングの横断面が「8」字状となっている。
【0010】
前記第一ダイナミック型ドライバーユニット及び第二ダイナミック型ドライバーユニットのそれぞれは、上から順に設けられているヨーク、永久磁石、ポールピース、ボイスコイル、振動板、銅リング及びプロテクタを備え、
前記永久磁石、ポールピース内が中空となって可動室を形成し、前記ボイスコイルが振動板に固定されて前記可動室に嵌入され、前記ヨークが板部及び板部から下方に突起するロッド部を備え、前記ヨークの板部が永久磁石に密着して設けられ、前記ヨークのロッド部が前記可動室内に収容されて前記ボイスコイルで巻回され、ボイスコイルが前記回路基板に電気的に接続されている。
【0011】
前記ハウジングの第一収容筒及び第二収容筒のそれぞれは、上室と、下室と、上室と下室とを仕切る仕切り段差とを備え、前記ヨーク、永久磁石、ポールピースが上室内でそれぞれ上から順に密着して設けられ、前記ポールピースの下端面が仕切り段差の上端面と当接され、
前記振動板、銅リング及びプロテクタが下室内でそれぞれ上から下にかけて取り付けられ、振動板の上端面が仕切段差の下端面に当接され、振動板の下端面が銅リングの上端面に当接され、前記プロテクタが銅リングと間隔をおいて設けられており、
前記ボイスコイルが前記上室内に突出している。
【0012】
前記第一収容筒及び第二収容筒のそれぞれの上室内に位置規制溝が設けられ、前記ヨークの板部のエッジが前記位置規制溝に嵌合されている。
【0013】
前記回路基板は、中間のブリッジ接続板及びブリッジ接続板の両端に位置する円板を備え、前記両円板が第一収容筒及び第二収容筒内にそれぞれ収容されて、ヨークの板部の上方に位置する。
【0014】
前記回路基板の円板に軸方向に第一貫通孔が穿設され、前記ヨークのロッド部に軸方向に第二貫通孔が穿設され、前記第一貫通孔と第二貫通孔とが連通している。
【0015】
前記ハウジングは、第一収容筒及び第二収容筒のそれぞれの外側壁にクイック取付溝が設けられている。
【0016】
前記回路基板には、入力されたオーディオ信号を周波数の異なる信号に変換して第一ダイナミック型ドライバーユニット及び第二ダイナミック型ドライバーユニットにそれぞれ送信する分周回路が設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニットは、1つのスピーカユニット内に2つのダイナミック型ドライバーユニットを設けて、2つのダイナミック型ドライバーユニットが1つのハウジング及び回路基板を共用してオーディオの再生を行うことにより、一つのカナル型イヤホンに1つのみのスピーカユニットの取付位置を配置すればよく、イヤホンの体積を減少させる。また、一つのカナル型イヤホンには本発明に係る両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニットを1回のみ取り付ければよく、取付効率を向上させて、製品の良品率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、本発明の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術を説明するために必要な添付図面を簡単に説明するが、以下の説明における添付図面は、本発明のいくつかの実施例を示しているに過ぎず、当業者であれば、創造的努力なしに、これらの図面が示している構造からさらに他の図面を導き出すことができることは明らかである。
【0019】
【
図1】本発明に係る両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニットの第一実施例の構造概略図である。
【
図3】
図1におけるハウジングの構造概略図である。
【
図7】本発明に係る両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニットの第一実施例の回路構成概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は、本発明の実施例のすべてではなく、単に実施例の一部に過ぎない。本発明の実施例に基づいて、当業者によって創造的努力なしに取得されるすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものである。
【0021】
なお、本発明の実施例における全ての方向性指示(例えば、上、下、左、右、前、後など)は、図示するような特定の姿勢における各部材間の相対的な位置関係、移動状況などを説明するためのものであり、該特定の姿勢が変化すると、これに応じて該方向性指示も変化する。
【0022】
本発明では、別途明確な規定と限定がない限り、用語「接続」、「固定」などは広義に理解されるべきである。例えば、「接続」は固定接続してもよく、取外可能に接続してもよく、又は一体的に接続してもよい。また、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよい。また、直接的に接続してもよく、中間部材を介して間接的に接続してもよく、二つの部材の内部の連通又は二つの部材の相互の作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況によって上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0023】
また、本発明における「第一」、「第二」などの説明は、単に説明するためのものであり、相対的な重要性を指示又は暗示するもの、又は、示された技術的特徴の数を暗示するものではないと理解されるべきである。したがって、「第一」、「第二」によって限定されている特徴は、少なくとも1つの当該特徴を含むことを明示又は暗示することができる。
【0024】
図1〜
図5に示すように、本発明に係る両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット100は、ハウジング1と、ハウジング1内に設けられている電気音響変換アセンブリ2と、回路基板3とを備え、回路基板3には、電気信号の変化を制御して、電気音響変換アセンブリ2に入力して電気音響の変換を実現するための制御回路が設けられている。
【0025】
前記電気音響変換アセンブリ2は、第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bを備え、両ダイナミック型ドライバーユニットを設けることにより、スピーカユニット100から出力されるオーディオの音質を向上させる。本発明のスピーカユニット100内の第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bは、同じ周波数のオーディオを出力することもできるし、異なる周波数のオーディオを出力することもできる。
【0026】
本発明に係るスピーカユニット100のハウジング1は、両円筒状をなしており、
図3に示すように、平行に設けられて互いに離間している第一収容筒10a及び第二収容筒10bを備え、前記第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bが第一収容筒10a及び第二収容筒10b内にそれぞれ収容されている。平行に設けられている第一収容筒10a及び第二収容筒10bにより、ハウジングの全高を減少させることができ、第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bの収容を容易にし、互いに離間して設けることにより、第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bが収容された後に互いに干渉することを防止する。
【0027】
前記回路基板3は、ハウジング1の端部に取り付けられて、第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bと電気的に接続されている。回路基板3は、ハウジング1の端部に取り付けられることにより、スピーカユニット100のハウジング1の横幅を減少させることができ、第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bと電気的に接続されることにより、第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bを統合制御することができ、1つのダイナミック型ドライバーユニットに1つの回路基板を単独で配置することを防止し、資源の無駄を減少させ、スペースの占有を減少させる。
【0028】
従来技術において1つのスピーカユニットに1つのドライバーユニット(1つのダイナミック型ドライバーユニット又は1つのバランスドアーマチュア型ドライバーユニット)だけが配置されているのに対し、本発明は1つのスピーカユニット100内に2つのダイナミック型ドライバーユニットが配置されているので、カナル型イヤホンの音質を向上させるとともに、一つのカナル型イヤホンに1つのみのスピーカユニット100の取付位置を配置すればよく、カナル型イヤホンの体積を減少させる。また、一つのカナル型イヤホンには本発明に係る両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット100を1回のみ取り付ければよく、取付効率を向上させて、製品の良品率を向上させることができる。
【0029】
さらに、
図3に示すように、本発明の実施例のハウジング1の横断面が「8」字状となっている。即ち、ハウジング1は両円筒状をなしており、スピーカユニット100の輪郭寸法をさらに減少させるとともに、スピーカユニット100をカナル型イヤホン内に取り付けることを容易にする。
【0030】
具体的には、
図5及び
図6に示すように、本発明のスピーカユニット100の第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bのそれぞれは、上から順に設けられているヨーク21、永久磁石22、ポールピース23、ボイスコイル24、振動板25、銅リング26及びプロテクタ27を備える。ヨーク21及びポールピース23は磁気を通すためのものであり、永久磁石22は磁界を発生させるためのものである。銅リング26は振動板25を押さえるためのものであり、プロテクタ27は振動板25を保護するためのものである。
【0031】
前記永久磁石22、ポールピース23内が中空となって可動室28を形成し、前記ボイスコイル24が振動板25に固定されて前記可動室28に嵌入され、前記ヨーク21が板部211及び板部211から下方に突起するロッド部212を備え、前記ヨーク21の板部211が永久磁石22に密着して設けられ、前記ヨーク21のロッド部212が前記可動室28内に収容されて前記ボイスコイル24で巻回され、ボイスコイル24が前記回路基板3に電気的に接続されている。ボイスコイル24は、コイル構造であり、回路基板3と電気的に接続されており、ボイスコイル24に通電すると、ボイスコイル24における電流の方向、大きさが変化し、該電流の変化と永久磁石22から発生する磁界とが相互に作用してボイスコイル24が可動室28内を上下動し、ボイスコイル24の上下動により振動板25が上下に振動して空気を介して音を放出する。
【0032】
図4及び
図6に示すように、本発明のスピーカユニット100のハウジング1の第一収容筒10a及び第二収容筒10bのそれぞれは、上室11と、下室12と、上室11と下室12とを仕切る仕切り段差13とを備え、前記ヨーク21、永久磁石22、ポールピース23が上室11内でそれぞれ上から順に密着して設けられ、前記ポールピース23の下端面231が仕切り段差13の上端面131と当接されている。
【0033】
前記振動板25、銅リング26及びプロテクタ27が下室12内でそれぞれ上から下にかけて取り付けられ、振動板25の上端面251が仕切段差13の下端面132に当接され、振動板25の下端面252が銅リング26の上端面261に当接され、前記プロテクタ27が銅リング26と間隔をおいて設けられており、銅リング26及びプロテクタ27が下室12と締り嵌めされている。プロテクタ27と銅リング26とが、振動板25が下方に振動する空間を空けるために間隔をおいて設けられている。
【0034】
前記ボイスコイル24は、前記上室11内に突出して上室11内の永久磁石22から発生する磁界と作用する。
【0035】
好ましくは、本発明のスピーカユニット100の第一収容筒10a及び第二収容筒10bのそれぞれの上室11内に位置規制溝14が設けられ、前記ヨーク21の板部211のエッジが前記位置規制溝14に嵌合されている。これにより永久磁石22、ポールピース23、ヨーク21を速やかに上室11内に固定することができ、組付時にポールピース23を上室11内に入れて仕切り段差13の上端面131に当接させ、次に永久磁石22を入れてポールピース23に当接させ、更にヨーク21を入れて永久磁石22に当接させるとともに、ヨーク21の板部211のエッジを位置規制溝14に嵌合させることで三者を位置規制して係止する。
【0036】
好ましくは、本発明に係るスピーカユニット100の回路基板3は、中間のブリッジ接続板31及びブリッジ接続板31の両端に位置する円板32を備え、前記両円板32が第一収容筒10a及び第二収容筒10b内にそれぞれ収容されて、ヨーク21の板部211の上方に位置する。回路基板3がブリッジ接続構造とされてハウジング1内に取り付けられることにより、ハウジング1の高さ寸法を減少させて、ハウジング1の空間占有体積を減少させることができる。
【0037】
さらに、前記回路基板3の円板32に軸方向に第一貫通孔33が穿設され、前記ヨーク21のロッド部212に軸方向に第二貫通孔2121が穿設され、前記第一貫通孔33と第二貫通孔2121とが連通している。第一貫通孔33が第二貫通孔2121と連通して振動板25の上方と直接連通しているので、ボイスコイル24の配線及びハウジング1内部の放熱を容易にする。
【0038】
好ましくは、
図3に示すように、ハウジング1は、第一収容筒10a及び第二収容筒10bのそれぞれの外側壁にクイック取付溝15が設けられている。クイック取付溝15は、本発明のスピーカユニット100をカナル型イヤホンのハウジングに速やかに取り付けることができる。
【0039】
図7に示すように、本発明に係るスピーカユニット100の回路基板3には、入力されたオーディオ信号を周波数の異なる信号に変換して第一ダイナミック型ドライバーユニット20a及び第二ダイナミック型ドライバーユニット20bにそれぞれ送信する分周回路34が設けられている。例えば、低周波の信号を第一ダイナミック型ドライバーユニット20aに送信して低周波のオーディオを発生させ、中高周波の信号を第二ダイナミック型ドライバーユニット20bに送信して高周波のオーディオを発生させるか、又は低周波の信号を第二ダイナミック型ドライバーユニット20bに送信して低周波のオーディオを発生させ、中高周波の信号を第一ダイナミック型ドライバーユニット20aに送信して高周波の音声を発生させる。分周回路34を設けることにより、本発明のスピーカユニット100内の2つのダイナミック型ドライバーユニットが周波数の異なるオーディオを発生させて、カナル型イヤホン全体の音質を向上させる。
【0040】
本発明の実施例に係る両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット100は、1つのスピーカユニット100内に2つのダイナミック型ドライバーユニットを設けて、2つのダイナミック型ドライバーユニットが1つのハウジング1及び回路基板3を共用してオーディオの再生を行うことにより、一つのカナル型イヤホンに1つのみのスピーカユニット100の取付位置を配置すればよく、イヤホンの体積を減少させる。また、一つのカナル型イヤホンには本発明に係る両ダイナミック型ドライバーユニットが一体化されたスピーカユニット100を1回のみ取り付ければよく、取付効率を向上させて、製品の良品率を向上させることができる。
【0041】
以上の記載は、単に本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものではなく、本発明の構想から逸脱せずに、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づいてなされた同等の構造の変更、又は他の関連する技術分野に直接/間接的に適用したものは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
100…スピーカユニット
1…ハウジング
10a…第一収容筒
10b…第二収容筒
11…上室
12…下室
13…仕切り段差
131…仕切り段差の上端面
132…仕切り段差の下端面
14…位置規制溝
15…クイック取付溝
2…電気音響変換アセンブリ
20a…第一ダイナミック型ドライバーユニット
20b…第二ダイナミック型ドライバーユニット
21…ヨーク
211…板部
212…ロッド部
2121…第二貫通孔
22…永久磁石
23…ポールピース
231…ポールピースの下端面
24…ボイスコイル
25…振動板
251…振動板の上端面
252…振動板の下端面
26…銅リング
261…銅リングの上端面
27…プロテクタ
28…可動室
3…回路基板
31…ブリッジ接続板
32…円板
33…第一貫通孔
34…分周回路