【氏名又は名称】トロン− トランスラショナル オンコロジー アン デア ウニヴェリジテーツメディツィン デア ヨハネス グーテンベルク−ウニヴェルシテート マインツ ゲマインニューツィゲ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】TRON− Translationale Onkologie an der Universitaetsmedizin der Johannes Gutenberg−Universitaet Mainz gemeinnuetzige GmbH
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クローディン6(CLDN6)に結合する人工T細胞受容体をコードする組換え核酸であって、前記人工T細胞受容体は、CLDN6に対する結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびT細胞シグナル伝達ドメインを含み、
前記CLDN6に対する結合ドメインは、
(a)配列番号:32によって表されるアミノ酸配列の相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含むVH(CLDN6)、および
(b)配列番号:33、38または39によって表されるアミノ酸配列の相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含むVL(CLDN6)、を含む、組換え核酸。
前記CLDN6に対する結合ドメインは、配列番号32によって表されるアミノ酸配列の相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含むVL(CLDN6)、および配列番号:39によって表されるアミノ酸配列の相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含むVL(CLDN6)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組換え核酸。
プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、人工染色体ベクター、ウイルスベクター、またはトランスポゾンベースのシステムである、請求項14に記載のベクター。
T細胞を、請求項1〜13のいずれかに記載の組換え核酸、または請求項14〜16のいずれかに記載のベクターでトランスフェクトまたは形質導入する工程を含む、免疫反応性細胞を作製するインビトロ方法。
CLDN6を発現する癌細胞により特徴付けられる癌疾患を処置または予防するための医薬の調製のための、請求項1〜13のいずれかに記載の組換え核酸、請求項14〜16のいずれかに記載のベクター、または請求項17または18に記載の組換え細胞の使用。
CLDN6を発現する細胞に対する免疫応答を誘導するための医薬の調製のための、請求項1〜13のいずれかに記載の組換え核酸、請求項14〜16のいずれかに記載のベクター、または請求項17または18に記載の組換え細胞の使用。
T細胞と、配列番号:1または2に従うアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸とインビトロで接触させる工程を含む、T細胞を刺激する、プライミングするおよび/または増殖させる方法であって、前記T細胞は、請求項1〜13のいずれかに記載の組換え核酸、または請求項14〜16のいずれかに記載のベクターを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本発明を以下で詳細に説明するが、本発明は本明細書で述べる特定の方法、プロトコルおよび試薬に限定されず、これらは異なり得ることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することだけを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は付属の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および学術用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0099】
以下において、本発明の要素を説明する。これらの要素を具体的な実施形態と共に列挙するが、これらは付加的な実施形態を創製するために任意の方法および任意の数で組み合わせてもよいことが理解されるべきである。様々に説明される例および好ましい実施形態は、本発明を明白に記述される実施形態だけに限定すると解釈されるべきではない。この説明は、明白に記述される実施形態を任意の数の開示される要素および/または好ましい要素と組み合わせた実施形態を支持し、包含すると理解されるべきである。さらに、本出願において記述されるすべての要素の任意の並べ替えおよび組合せは、文脈上特に指示されない限り、本出願の説明によって開示されていると見なされるべきである。
【0100】
好ましくは、本明細書で使用される用語は、"A multilingual glossary of biotechnological terms:(IUPAC Recommendations)",H.G.W.Leuenberger,B.Nagel,and H.Kolbl,Eds.,Helvetica Chimica Acta,CH−4010 Basel,Switzerland,(1995)に記載されているように定義される。
【0101】
本発明の実施は、特に指示されない限り、当分野の文献(例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,2
nd Edition,J.Sambrook et al.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor 1989参照)中で説明される生化学、細胞生物学、免疫学および組換えDNA技術の従来の方法を用いる。
【0102】
本明細書および以下の特許請求の範囲全体を通じて、文脈上特に要求されない限り、「含む」という語および「含むこと」などの変形は、記述される成員、整数もしくは工程または成員、整数もしくは工程の群の包含を意味するが、いかなる他の成員、整数もしくは工程または成員、整数もしくは工程の群の排除も意味しないと理解され、しかし一部の実施形態では、そのような他の成員、整数もしくは工程または成員、整数もしくは工程の群が排除され得る、すなわち主題が記述される成員、整数もしくは工程または成員、整数もしくは工程の群の包含に存する。本発明を説明することに関連して(特に特許請求の範囲に関連して)使用される「1つの」および「その」という用語および同様の言及は、本明細書で特に指示されない限りまたは文脈により明らかに否定されない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、単にその範囲内に含まれる各々別々の値を個別に言及することの簡略化された方法であることを意図している。本明細書で特に指示されない限り、各個別の値は、本明細書で個別に列挙されているかのごとくに本明細書に組み込まれる。
【0103】
本明細書で述べるすべての方法は、本明細書で特に指示されない限りまたは文脈により明らかに否定されない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的言語(例えば「など」)の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図しており、別段に特許請求される本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に必須の特許請求されない要素を指示すると解釈されるべきではない。
【0104】
本明細書の本文全体を通じていくつかの資料を引用する。本明細書で引用される資料(すべての特許、特許出願、学術出版物、製造者の仕様書、指示書等を含む)の各々は、上記または下記のいずれでも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書のいかなる内容も、本発明が先行発明のためにそのような開示に先行する権利を有さないことの承認と解釈されるべきではない。
【0105】
本発明に関連して「組換え」という用語は、「遺伝子工学を通して作製された」ことを意味する。好ましくは、本発明に関連して組換え細胞などの「組換え物」は、天然には存在しない。
【0106】
本明細書で使用される「天然に存在する」という用語は、ある物体が自然界で見出すことができるという事実を指す。例えば、生物(ウイルスを含む)中に存在し、自然界の供給源から単離することができ、実験室において人間によって意図的に改変されていないペプチドまたは核酸は、天然に存在する。
【0107】
「免疫応答」という用語は、抗原に対する統合された身体応答を指し、好ましくは細胞性免疫応答または細胞性ならびに体液性免疫応答を指す。免疫応答は、防御的/防止的/予防的および/または治療的であり得る。
【0108】
「免疫応答を誘導する」とは、誘導前は特定の抗原に対する免疫応答が存在しなかったことを意味し得るが、また、誘導前に特定の抗原に対する一定レベルの免疫応答が存在し、誘導後に前記免疫応答が増強されることも意味し得る。したがって、「免疫応答を誘導する」には、「免疫応答を増強する」も包含される。好ましくは、被験体において免疫応答を誘導した後、前記被験体は癌疾患などの疾患の発症から防御されるかまたは免疫応答を誘導することによって疾患状態が改善される。例えば、CLDN6などの腫瘍関連抗原に対する免疫応答を、癌疾患を有する患者または癌疾患を発症する危険性がある被験体において誘導し得る。この場合免疫応答を誘導するとは、被験体の疾患状態が改善されること、被験体が転移を発症しないこと、または癌疾患を発症する危険性がある被験体が癌疾患を発症しないことを意味し得る。
【0109】
「細胞性免疫応答」、「細胞性応答」、「抗原に対する細胞性応答」または同様の用語は、クラスIまたはクラスII MHCによる抗原の提示を特徴とする細胞に対する細胞性応答を含むことが意図されている。細胞性応答は、「ヘルパー」または「キラー」のいずれかとして働くT細胞またはTリンパ球と呼ばれる細胞に関する。ヘルパーT細胞(CD4
+T細胞とも称される)は、免疫応答を調節することによって中心的な役割を果たし、キラー細胞(細胞傷害性T細胞、細胞溶解性T細胞、CD8
+T細胞またはCTLとも称される)は、癌細胞などの疾患細胞を死滅させ、さらなる疾患細胞の産生を防止する。
【0110】
「抗原」という用語は、それに対する免疫応答が誘発されるべきであるおよび/または免疫応答の対象となるエピトープを含む作用物質に関する。好ましくは、本発明に関連して抗原は、場合によりプロセシング後に、好ましくは抗原に対してまたは抗原を発現するおよび/もしくは提示する細胞に対して特異的である免疫反応を誘導する分子である。「抗原」という用語は、特にタンパク質およびペプチドを包含する。抗原は、好ましくは天然に存在する抗原に対応するまたは由来する生成物である。そのような天然に存在する抗原は、腫瘍関連抗原を含み得るかまたは腫瘍関連抗原に由来し得る。
【0111】
特に、抗原またはそのペプチドフラグメントは、T細胞受容体によって認識可能であるべきである。好ましくは、抗原またはペプチドは、T細胞受容体によって認識された場合、適切な共刺激シグナルの存在下で、抗原またはペプチドを認識するT細胞受容体を担持するT細胞のクローン性増殖を誘導することができる。本発明の実施形態に関連して、抗原は、好ましくは細胞によって、好ましくは抗原提示細胞および/または疾患細胞によって、MHC分子に関連して提示され、それが、抗原(または抗原を提示する細胞)に対する免疫反応を生じさせ得る。
【0112】
好ましい実施形態では、抗原は、腫瘍関連抗原、すなわち細胞質、細胞表面および細胞核に由来し得る癌細胞の成分であり、特に細胞内でまたは癌細胞上の表面抗原として、好ましくは大量に産生される抗原である。
【0113】
本発明に関連して、「腫瘍関連抗原」または「腫瘍抗原」という用語は、正常条件下では限られた数の組織および/もしくは器官においてまたは特定の発生段階で特異的に発現されるタンパク質に関し、例えば腫瘍関連抗原は、正常条件下では胃組織、好ましくは胃粘膜において、生殖器官、例えば精巣において、栄養膜組織、例えば胎盤において、または生殖系列細胞において特異的に発現され得、および1つ以上の腫瘍または癌組織において発現されるまたは異常発現される。これに関連して、「限られた数」は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下を意味する。本発明に関連して腫瘍関連抗原には、例えば分化抗原、好ましくは細胞型特異的分化抗原、すなわち正常条件下では特定の発生段階で特定の細胞型において特異的に発現されるタンパク質、癌/精巣抗原、すなわち正常条件下では精巣においておよび時として胎盤において特異的に発現されるタンパク質、ならびに生殖細胞特異抗原が含まれる。本発明に関連して、腫瘍関連抗原は、好ましくは癌細胞の細胞表面と会合しており、好ましくは正常組織では全く発現されないかまたは極めてまれにしか発現されない。好ましくは、腫瘍関連抗原または腫瘍関連抗原の異常発現は癌細胞を同定する。本発明に関連して、被験体、例えば癌疾患に罹患している患者において癌細胞によって発現される腫瘍関連抗原は、好ましくは前記被験体における自己タンパク質である。好ましい実施形態では、本発明に関連して腫瘍関連抗原は、正常条件下では、必須ではない組織もしくは器官、すなわち免疫系によって損傷された場合被験体の死をもたらさない組織もしくは器官において、または免疫系がアクセスできないもしくはほとんどアクセスできない身体の器官もしくは構造体において特異的に発現される。好ましくは、腫瘍関連抗原のアミノ酸配列は、正常組織で発現される腫瘍関連抗原と癌組織で発現される腫瘍関連抗原との間で同一である。好ましくは、腫瘍関連抗原は、それが発現されている癌細胞によって提示される。
【0114】
本発明の様々な態様は腫瘍関連抗原CLDN6を含み、本発明は、前記腫瘍関連抗原を発現し、および好ましくは前記腫瘍関連抗原をクラスI MHCと共に提示する癌細胞に対する抗腫瘍CTL反応の刺激または提供を含み得る。
【0115】
クローディンは、密着結合の最も重要な成分であるタンパク質のファミリーであり、密着結合においてクローディンは上皮の細胞の間の細胞間隙中の分子の流れを制御する傍細胞バリアを確立する。クローディンは膜を4回横切る膜貫通タンパク質であり、N末端およびC末端の両方が細胞質内に位置する。EC1またはECL1と称される第一細胞外ループは平均で53アミノ酸から成り、EC2またはECL2と称される第二細胞外ループは約24アミノ酸から成る。CLDN6などのクローディンファミリーの細胞表面タンパク質は、様々な起源の腫瘍で発現され、それらの選択的発現(毒性に関連する正常組織では発現されない)および形質膜への局在のゆえに抗体媒介性癌免疫療法に関連する標的構造体として特に適する。
【0116】
CLDN6は腫瘍組織において特異的に発現されると同定されており、CLDN6を発現する唯一の正常組織は胎盤である。
【0117】
CLDN6は、例えば卵巣癌、肺癌、胃癌、乳癌、肝癌、膵癌、皮膚癌、黒色腫、頭頸部癌、肉腫、胆管癌、腎細胞癌および膀胱癌において発現されることが認められている。CLDN6は、卵巣癌、特に卵巣腺癌および卵巣奇形癌、小細胞肺癌(SCLC)および非小細胞肺癌(NSCLC)を含む肺癌、特に肺扁平上皮癌および腺癌、胃癌、乳癌、肝癌、膵癌、皮膚癌、特に基底細胞癌および扁平上皮癌、悪性黒色腫、頭頸部癌、特に悪性多形腺腫、肉腫、特に滑膜肉腫および癌肉腫、胆管癌、膀胱の癌、特に移行上皮癌および乳頭状癌、腎癌、特に腎明細胞癌および乳頭状腎細胞癌を含む腎細胞癌、結腸癌、回腸の癌を含む小腸癌、特に小腸腺癌および回腸の腺癌、精巣胎生期癌、胎盤絨毛癌、子宮頸癌、精巣癌、特に精巣セミノーマ、精巣奇形腫および胎生期精巣癌、子宮癌、奇形癌または胎生期癌などの生殖細胞腫瘍、特に精巣の生殖細胞腫瘍、ならびにそれらの転移形態の予防および/または処置のための特に好ましい標的である。1つの実施形態では、CLDN6発現に関連する癌疾患は、卵巣癌、肺癌、転移性卵巣癌および転移性肺癌から成る群より選択される。好ましくは、卵巣癌は癌腫または腺癌である。好ましくは、肺癌は癌腫または腺癌であり、および好ましくは細気管支癌腫または細気管支腺癌などの細気管支癌である。
【0118】
本明細書で使用される「CLDN」という用語はクローディンを意味し、CLDN6を包含する。好ましくは、クローディンはヒトクローディンである。「CLDN6」という用語はクローディン6に関し、そのあらゆる変異体を包含する。
【0119】
「CLDN6」という用語は、好ましくはヒトCLDN6、特に、配列表の配列番号:1もしくは配列番号:2のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列の変異体を含む、好ましくはそれから成るタンパク質に関する。CLDN6の第一細胞外ループは、好ましくは配列番号:1に示すアミノ酸配列または配列番号:2に示すアミノ酸配列のアミノ酸28〜80、より好ましくはアミノ酸28〜76を含む。CLDN6の第二細胞外ループは、好ましくは配列番号:1に示すアミノ酸配列または配列番号:2に示すアミノ酸配列のアミノ酸138〜160、好ましくはアミノ酸141〜159、より好ましくはアミノ酸145〜157を含む。前記第一および第二細胞外ループは、好ましくはCLDN6の細胞外部分を形成する。
【0120】
本発明による「変異体」という用語は、特に、突然変異体、スプライス変異体、立体配座変異体、アイソフォーム、対立遺伝子変異体、種変異体および種ホモログ、特に天然に存在するものを指す。対立遺伝子変異体は、遺伝子の正常な配列中の変化に関するが、その重要性はしばしば不明確である。完全な遺伝子配列決定は、しばしば所与の遺伝子について数多くの対立遺伝子変異体を同定する。種ホモログは、所与の核酸配列またはアミノ酸配列のものとは異なる種を起源とする核酸配列またはアミノ酸配列である。「変異体」という用語は、任意の翻訳後修飾変異体および立体配座変異体を包含する。
【0121】
本発明の様々な態様によれば、その目的は、好ましくは、CLDN6を発現し、および好ましくはCLDN6の提示を特徴とする癌細胞に対する免疫応答を誘導するまたは判定すること、ならびにCLDN6を発現する細胞を含む癌疾患を診断、処置または予防することである。好ましくは、免疫応答は、CLDN6を発現し、および好ましくはCLDN6をクラスI MHCと共に提示する癌細胞に対する抗CLDN6 CTL反応の刺激を含む。
【0122】
本発明によれば、「CLDN6陽性癌」という用語または同様の用語は、CLDN6を、好ましくは自らの表面にCLDN6を発現する癌細胞を含む癌を意味する。あるいはまたは加えて、CLDN6を発現する前記癌細胞は、MHC分子に関連してCLDN6を提示する。MHCに関連してCLDN6を提示する癌細胞は、T細胞受容体を担持する免疫反応性細胞によって標的とされ得、一方、表面にCLDN6を発現する癌細胞は、人工T細胞受容体を担持する免疫反応性細胞によって標的とされ得る。
【0123】
「細胞表面」は、当分野におけるその通常の意味に従って使用され、したがってタンパク質および他の分子による結合が可能である細胞の外側を含む。
【0124】
CLDN6は、細胞の表面に位置する場合、前記細胞の表面に発現され、前記細胞に添加されたCLDN6特異的抗体による結合が可能である。
【0125】
本発明に関連して「細胞外部分」または「エキソドメイン」という用語は、細胞の細胞外空間に面しており、および好ましくは、例えば細胞の外側に位置する抗体などの抗原結合分子によって、前記細胞の外側からアクセス可能である、タンパク質などの分子の一部を指す。好ましくは、この用語は、1つ以上の細胞外ループもしくはドメインまたはそのフラグメントを指す。
【0126】
「部分」という用語は画分を指す。アミノ酸配列またはタンパク質などの特定の構造体に関して、その「部分」という用語は、前記構造体の連続画分または不連続画分を表し得る。好ましくは、アミノ酸配列の部分は、前記アミノ酸配列のアミノ酸の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を含む。好ましくは、部分が不連続画分である場合、前記不連続画分は、構造体の2、3、4、5、6、7、8以上のパートで構成され、各々のパートは構造体の連続する要素である。例えば、アミノ酸配列の不連続画分は、前記アミノ酸配列の2、3、4、5、6、7、8以上、好ましくは4以下のパートで構成され、ここで各々のパートは、好ましくは、アミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸、少なくとも10個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも20個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも30個の連続するアミノ酸を含む。
【0127】
「パート」および「フラグメント」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、連続する要素を指す。例えば、アミノ酸配列またはタンパク質などの構造体の1つのパートは、前記構造体の1つの連続する要素を指す。構造体の部分、パートまたはフラグメントは、好ましくは前記構造体の1つ以上の機能的特性を含む。例えば、エピトープ、ペプチドまたはタンパク質の部分、パートまたはフラグメントは、好ましくはそれが由来するエピトープ、ペプチドまたはタンパク質と免疫学的に等価である。本発明に関連して、アミノ酸配列などの構造体の「パート」は、好ましくは構造体全体またはアミノ酸配列の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも96%、少なくとも98%、少なくとも99%を含み、好ましくはそれから成る。タンパク質配列のパートまたはフラグメントは、好ましくはタンパク質配列の少なくとも6個、特に少なくとも8個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも50個または少なくとも100個の連続するアミノ酸の配列を含む。上記で論じた部分、パートまたはフラグメントは、本明細書で使用される「変異体」の用語に包含される。
【0128】
本発明によれば、CLDN6は、発現のレベルが胎盤細胞または胎盤組織での発現に比べてより低い場合、細胞において実質的に発現されない。好ましくは、発現のレベルは、胎盤細胞または胎盤組織での発現の10%未満、好ましくは5%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%もしくは0.05%未満であるかまたはさらに一層低い。好ましくは、CLDN6は、発現のレベルが胎盤以外の非癌性組織での発現のレベルをせいぜい2倍だけ、好ましくは1.5倍だけ上回る場合、および好ましくは前記非癌性組織での発現のレベルを上回らない場合、細胞において実質的に発現されない。好ましくは、CLDN6は、発現のレベルが検出限界より低い場合および/または発現のレベルが、細胞に添加されたCLDN6特異的抗体による結合を許容しないほど低い場合、細胞において実質的に発現されない。
【0129】
本発明によれば、CLDN6は、発現のレベルが胎盤以外の非癌性組織での発現のレベルを好ましくは2倍以上、好ましくは10倍、100倍、1000倍または10000倍以上上回る場合、細胞において発現される。好ましくは、CLDN6は、発現のレベルが検出限界より高い場合および/または発現のレベルが、細胞に添加されたCLDN6特異的抗体による結合を可能にするのに十分なだけ高い場合、細胞において発現される。好ましくは、細胞において発現されるCLDN6は、前記細胞の表面に発現されるまたは暴露される。
【0130】
「標的細胞」は、細胞性免疫応答などの免疫応答の標的である細胞を意味する。標的細胞には、抗原または抗原エピトープ、すなわち抗原に由来するペプチドフラグメントを提示する細胞が含まれ、および癌細胞などの任意の望ましくない細胞が含まれる。好ましい実施形態では、標的細胞は、好ましくは細胞表面に存在するおよび/またはクラスI MHCと共に提示されるCLDN6を発現する細胞である。
【0131】
「エピトープ」という用語は、抗原などの分子内の抗原決定基、すなわち、特にMHC分子に関連して提示される場合、免疫系によって認識される、例えばT細胞によって認識される分子中のパートまたは分子のフラグメントを指す。腫瘍関連抗原などのタンパク質のエピトープは、好ましくは前記タンパク質の連続部分または不連続部分を含み、好ましくは5〜100、好ましくは5〜50、より好ましくは8〜30、最も好ましくは10〜25アミノ酸長であり、例えばエピトープは、好ましくは9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25アミノ酸長であり得る。本発明に関連してエピトープはT細胞エピトープであることが特に好ましい。
【0132】
「エピトープ」、「抗原フラグメント」、「抗原ペプチド」または「免疫原性ペプチド」などの用語は、本明細書では交換可能に使用され、好ましくは、抗原に対するまたは抗原を発現するかもしくは含み、および好ましくは抗原を提示する細胞に対する免疫応答を惹起する能力を有する抗原の不完全な表現体に関する。好ましくは、これらの用語は抗原の免疫原性部分に関する。好ましくは、それは、特にMHC分子に関連して提示された場合、T細胞受容体によって認識される(すなわち特異的に結合される)抗原の部分である。特定の好ましい免疫原性部分は、細胞の表面などのMHCクラスIまたはクラスII分子に結合し、したがってMHC結合ペプチドである。本明細書で使用される場合、ペプチドは、そのような結合が当分野で公知の任意のアッセイを用いて検出可能である場合、MHCクラスIまたはクラスII分子に「結合する」と言われる。
【0133】
好ましくは、配列番号:3、4および5から成る群より選択されるアミノ酸配列または前記アミノ酸配列の変異体を含む、本明細書で開示されるペプチドは、CLDN6またはCLDN6の発現を特徴とし、および好ましくはCLDN6の提示を特徴とする細胞に対する免疫応答、好ましくは細胞性応答を刺激する能力を有する。好ましくは、そのようなペプチドは、クラスI MHCによるCLDN6の提示を特徴とする細胞に対する細胞性応答を刺激する能力を有し、好ましくはCLDN6応答性CTLを刺激する能力を有する。好ましくは、本発明によるペプチドは、MHCクラスIおよび/もしくはクラスII提示ペプチドであるか、またはMHCクラスIおよび/もしくはクラスII提示ペプチドを産生するようにプロセシングされ得る。好ましくは、MHC分子に結合する配列は、配列番号:3、4および5から選択される。
【0134】
抗原ペプチドが直接提示される、すなわちプロセシングされずに、特に切断されずに提示される場合、前記抗原ペプチドは、MHC分子、特にクラスI MHC分子に結合するのに適した長さを有し、好ましくは7〜20アミノ酸長、より好ましくは7〜12アミノ酸長、より好ましくは8〜11アミノ酸長、特に9または10アミノ酸長である。好ましくは、直接提示される抗原ペプチドの配列は、配列番号:3、4および5から選択される配列に実質的に対応し、好ましくは完全に同一である。
【0135】
抗原ペプチドがプロセシング後に、特に切断後に提示される場合、プロセシングによって生成されるペプチドは、MHC分子、特にクラスI MHC分子に結合するのに適した長さを有し、好ましくは7〜20アミノ酸長、より好ましくは7〜12アミノ酸長、より好ましくは8〜11アミノ酸長、特に9または10アミノ酸長である。好ましくは、プロセシング後に提示されるペプチドの配列は、配列番号:3、4および5から選択される配列に実質的に対応し、好ましくは完全に同一である。したがって、1つの実施形態では本発明による抗原ペプチドは、配列番号:3、4および5から選択される配列を含み、抗原ペプチドのプロセシング後に配列番号:3、4および5から選択される配列を形成する。
【0136】
MHCによって提示されるペプチドの配列に実質的に対応するアミノ酸配列を有するペプチドは、MHCによって提示された場合のペプチドのTCR認識に必須ではないまたはMHCへのペプチド結合に必須ではない1つ以上の残基において異なっていてもよい。そのような実質的に対応するペプチドは、好ましくは抗原特異的CTLなどの抗原特異的細胞性応答を刺激する能力も有する。TCR認識に影響を及ぼさないがMHCへの結合の安定性を改善する残基において提示ペプチドとは異なるアミノ酸配列を有するペプチドは、抗原ペプチドの免疫原性を改善することができ、本明細書では「最適化ペプチド」と称され得る。これらの残基のいずれがMHCまたはTCRのどちらかへの結合に影響を及ぼす可能性がより高いと考えられるかについての既存の知識を利用して、実質的に対応するペプチドの設計への合理的なアプローチを使用し得る。生じる機能性のペプチドは、抗原ペプチドとして企図される。上記で論じた配列は、本明細書で使用される「変異体」の用語に包含される。
【0137】
「抗原プロセシング」は、抗原の、その抗原のフラグメントであるプロセシング産物への分解(例えばタンパク質のペプチドへの分解)、および細胞、好ましくは抗原提示細胞による特異的T細胞への提示のための、MHC分子とこれらのフラグメントの1つ以上との会合(例えば結合による)を指す。
【0138】
抗原提示細胞(APC)は、その表面に主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に関連して抗原を展示する細胞である。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を利用してこの複合体を認識し得る。抗原提示細胞は抗原をプロセシングし、それをT細胞に提示する。
【0139】
プロフェッショナル抗原提示細胞は、食作用または受容体媒介性エンドサイトーシスのいずれかによって抗原をインターナライズし、次にMHCクラスII分子に結合した抗原のフラグメントをその膜上に展示するうえで非常に効率的である。T細胞は、抗原提示細胞の膜上の抗原−クラスII MHC分子複合体を認識し、これと相互作用する。次に、さらなる共刺激シグナルが抗原提示細胞によって生成され、T細胞の活性化をもたらす。共刺激分子の発現はプロフェッショナル抗原提示細胞の決定的な特徴である。抗原提示細胞には、プロフェッショナル抗原提示細胞と非プロフェッショナル抗原提示細胞が含まれる。
【0140】
プロフェッショナル抗原提示細胞の主な種類は、最も広範囲の抗原提示を有し、おそらく最も重要な抗原提示細胞である樹状細胞、マクロファージ、B細胞、および特定の活性化上皮細胞である。
【0141】
非プロフェッショナル抗原提示細胞は、ナイーブT細胞との相互作用に必要なMHCクラスIIタンパク質を構成的に発現しない;これらは、IFNγなどの特定のサイトカインによる非プロフェッショナル抗原提示細胞の刺激後にのみ発現される。
【0142】
樹状細胞(DC)は、末梢組織中で捕獲された抗原を、MHCクラスIIおよびクラスIの両方の抗原提示経路によってT細胞に提示する白血球集団である。樹状細胞が免疫応答の強力な誘導物質であり、これらの細胞の活性化が抗腫瘍免疫の誘導のための重要な段階であることは周知である。
【0143】
樹状細胞および前駆細胞は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周囲組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血または任意の他の適切な組織もしくは体液から入手し得る。例えば樹状細胞は、GM−CSF、IL−4、IL−13および/またはTNFαなどのサイトカインの組合せを、末梢血から採取した単球の培養物に添加することによってエクスビボで分化させ得る。あるいは、末梢血、臍帯血または骨髄から採取したCD34陽性細胞を、GM−CSF、IL−3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドならびに/または樹状細胞の分化、成熟および増殖を誘導する他の化合物の組合せを培地に添加することによって樹状細胞へと分化させ得る。
【0144】
樹状細胞は、「未熟」細胞および「成熟」細胞として好都合に分類され、これは、2つの十分に特性付けられた表現型を区別する簡単な方法として使用できる。しかし、この命名法は分化のすべての可能な中間段階を除外すると解釈されるべきでない。
【0145】
未熟樹状細胞は、抗原の取込みおよびプロセシングのための高い能力を有する抗原提示細胞として特性付けられ、前記能力はFcγ受容体およびマンノース受容体の高発現と相関する。成熟表現型は、典型的にはこれらのマーカーのより低い発現を特徴とするが、クラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えばCD54およびCD11)ならびに共刺激分子(例えばCD40、CD80、CD86および4−1BB)などのT細胞活性化を担う細胞表面分子の高発現によっても特性付けられる。
【0146】
樹状細胞の成熟は、そのような抗原提示樹状細胞がT細胞のプライミングをもたらす樹状細胞活性化の状態と称されるが、未熟樹状細胞による提示は寛容を生じさせる。樹状細胞の成熟は、主として、先天的受容体によって検出される微生物特徴を有する生体分子(細菌DNA、ウイルスRNA、内毒素等)、炎症誘発性サイトカイン(TNF、IL−1、IFN)、CD40Lによる樹状細胞表面上のCD40の連結、およびストレス性細胞死を受けた細胞から放出される物質によって引き起こされる。樹状細胞は、骨髄細胞を、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および腫瘍壊死因子αなどのサイトカインと共にインビトロで培養することによって誘導できる。
【0147】
抗原提示細胞または標的細胞などの細胞は、細胞を暴露する、すなわちペプチドで細胞をパルスするか、またはペプチドをコードする核酸、好ましくはRNAもしくは提示されるべきペプチド、例えば抗原をコードする核酸を含むタンパク質を細胞に形質導入することによってMHCクラスI提示ペプチドを負荷することができる。
【0148】
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、抗原ペプチドを負荷された抗原提示細胞を含む。これに関して、プロトコルは、人工的に抗原ペプチドを提示するように操作された樹状細胞のインビトロ培養/分化に基づき得る。遺伝子操作された樹状細胞の作製は、抗原または抗原ペプチドをコードする核酸の樹状細胞への導入を含み得る。mRNAでの樹状細胞のトランスフェクションは、強力な抗腫瘍免疫を刺激する有望な抗原負荷技術である。そのようなトランスフェクションはエクスビボで行うことができ、次にそのようなトランスフェクトされた細胞を含む医薬組成物を治療目的に使用し得る。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達ビヒクルを患者に投与し、インビボでトランスフェクションを生じさせ得る。樹状細胞のインビボおよびエクスビボトランスフェクションは、例えば、国際公開第WO97/24447号に記載されているような当分野で公知の任意の方法を用いて、またはMahvi et al.,Immunology and cell Biology 75:456−460,1997によって記述されている遺伝子銃アプローチを用いて一般に実施し得る。樹状細胞の抗原負荷は、樹状細胞または前駆細胞を抗原、DNA(裸もしくはプラスミドベクター内の)またはRNAと共に、または抗原を発現する組換え細菌もしくはウイルス(例えばワクシニアウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルスもしくはレンチウイルスベクター)と共にインキュベートすることによって達成し得る。
【0149】
「免疫原性」という用語は、免疫反応を誘導する抗原の相対的効率に関する。
【0150】
本発明に関連して「免疫エフェクター機能」という用語は、例えば腫瘍細胞の死滅、または腫瘍の播種および転移の阻害を含む腫瘍増殖の阻害および/もしくは腫瘍発生の阻害をもたらす、免疫系の成分によって媒介される任意の機能を包含する。好ましくは、本発明に関連して免疫エフェクター機能は、T細胞媒介性エフェクター機能である。そのような機能には、ヘルパーT細胞(CD4
+T細胞)の場合は、T細胞受容体によるMHCクラスII分子に関連した抗原または抗原由来の抗原ペプチドの認識、サイトカインの放出ならびに/またはCD8
+リンパ球(CTL)および/もしくはB細胞の活性化が含まれ、CTLの場合は、T細胞受容体によるMHCクラスI分子に関連した抗原または抗原由来の抗原ペプチドの認識、MHCクラスI分子に関連して提示される細胞、すなわちクラスI MHCによる抗原の提示を特徴とする細胞の、例えばアポトーシスまたはパーフォリン媒介性細胞溶解による排除、IFN−γおよびTNF−αなどのサイトカインの産生、ならびに抗原を発現する標的細胞の特異的細胞溶解性死滅が含まれる。
【0151】
本発明に関連して「免疫反応性細胞」または「免疫エフェクター細胞」という用語は、免疫反応の間にエフェクター機能を及ぼす細胞に関する。「免疫反応性細胞」は、好ましくは細胞の表面に発現される抗原などの抗原、または抗原もしくは抗原由来の抗原ペプチドの提示を特徴とする細胞に結合し、免疫応答を媒介する能力を有する。例えばそのような細胞は、サイトカインおよび/またはケモカインを分泌し、微生物を死滅させ、抗体を分泌し、感染細胞または癌性細胞を認識し、および場合によりそのような細胞を排除する。例えば、免疫反応性細胞には、T細胞(細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、腫瘍浸潤性T細胞)、B細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、マクロファージおよび樹状細胞が含まれる。好ましくは、本発明に関連して、「免疫反応性細胞」はT細胞、好ましくはCD4
+および/またはCD8
+T細胞である。
【0152】
好ましくは、「免疫反応性細胞」は、抗原または抗原由来の抗原ペプチドを、特に抗原提示細胞または癌細胞などの疾患細胞の表面上などにMHC分子に関連して提示された場合、ある程度の特異性で認識する。好ましくは、前記認識は、抗原または前記抗原に由来する抗原ペプチドを認識する細胞が応答性または反応性になることを可能にする。細胞が、MHCクラスII分子に関連して抗原または抗原由来の抗原ペプチドを認識する受容体を担持するヘルパーT細胞(CD4
+T細胞)である場合、そのような応答性または反応性は、サイトカインの放出ならびに/またはCD8
+リンパ球(CTL)および/もしくはB細胞の活性化を含み得る。細胞がCTLである場合、そのような応答性または反応性は、MHCクラスI分子に関連して提示される細胞、すなわちクラスI MHCによる抗原の提示を特徴とする細胞の、例えばアポトーシスまたはパーフォリン媒介性細胞溶解による排除を含み得る。本発明によれば、CTL応答性には、持続的なカルシウム流動、細胞分裂、IFN−γおよびTNF−αなどのサイトカインの産生、CD44およびCD69などの活性化マーカーの上方調節、ならびに抗原を発現する標的細胞の特異的細胞溶解性死滅が含まれ得る。CTL応答性はまた、CTL応答性を正確に示す人工レポーターを使用して決定してもよい。抗原または抗原由来の抗原ペプチドを認識し、応答性または反応性であるそのようなCTLは、本明細書では「抗原応答性CTL」とも称される。細胞がB細胞である場合、そのような応答性は免疫グロブリンの放出を含み得る。
【0153】
本発明によれば、「免疫反応性細胞」という用語は、適切な刺激で免疫細胞(例えばT細胞、特にTヘルパー細胞または細胞溶解性T細胞)に成熟することができる細胞も包含する。免疫反応性細胞には、CD34
+造血幹細胞、未熟および成熟T細胞ならびに未熟および成熟B細胞が含まれる。抗原を認識する細胞溶解性またはTヘルパー細胞の産生を所望する場合は、免疫反応性細胞を、細胞溶解性T細胞およびTヘルパー細胞の産生、分化および/または選択を促す条件下で抗原または抗原ペプチドを提示する細胞と接触させる。抗原に暴露された場合、T細胞前駆体の細胞溶解性T細胞への分化は免疫系のクローン選択に類似する。
【0154】
「リンパ系細胞」は、場合により適切な修飾後に、例えばT細胞受容体の移入後に、細胞性免疫応答などの免疫応答を生じさせる能力を有する細胞、またはそのような細胞の前駆細胞であり、リンパ球、好ましくはTリンパ球、リンパ芽球および形質細胞を包含する。リンパ系細胞は、本明細書で述べる免疫反応性細胞であり得る。好ましいリンパ系細胞は、T細胞受容体の内因性発現を欠き、その細胞表面にそのようなT細胞受容体を発現するように修飾され得るT細胞である。
【0155】
「T細胞」および「Tリンパ球」という用語は、本明細書では互換的に使用され、Tヘルパー細胞(CD4
+T細胞)および細胞溶解性T細胞を含む細胞傷害性T細胞(CTL、CD8
+T細胞)が含まれる。
【0156】
T細胞は、リンパ球として公知の白血球の群に属し、細胞媒介性免疫に中心的な役割を果たす。これらは、T細胞受容体(TCR)と呼ばれるその細胞表面上の特殊な受容体の存在によって、B細胞およびナチュラルキラー細胞などの他のリンパ球型から識別され得る。胸腺はT細胞の成熟に関与する主要な器官である。各々が異なる機能を有する、T細胞のいくつかの異なるサブセットが発見されている。
【0157】
Tヘルパー細胞は、数ある機能の中でも特に、B細胞の形質細胞への成熟および細胞傷害性T細胞とマクロファージの活性化を含む免疫学的過程において他の白血球を助ける。これらの細胞は、その表面にCD4タンパク質を発現するため、CD4
+T細胞としても知られる。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面に発現されるMHCクラスII分子によってペプチド抗原と共に提示された場合、活性化する。ひとたび活性化すると、これらは速やかに分裂し、能動免疫応答を調節するまたは助ける、サイトカインと呼ばれる小さなタンパク質を分泌する。
【0158】
細胞傷害性T細胞は、ウイルス感染細胞および腫瘍細胞を破壊し、移植片拒絶反応にも関与する。これらの細胞は、その表面にCD8糖タンパク質を発現するので、CD8
+T細胞としても知られる。これらの細胞は、身体のほぼあらゆる細胞の表面上に存在する、MHCクラスIと会合した抗原に結合することによってその標的を認識する。
【0159】
T細胞の大部分は、いくつかのタンパク質の複合体として存在するT細胞受容体(TCR)を有する。実際のT細胞受容体は、独立したT細胞受容体アルファおよびベータ(TCRαおよびTCRβ)遺伝子から産生され、α−TCR鎖およびβ−TCR鎖と呼ばれる2つの別々のペプチド鎖から成る。γδT細胞(ガンマデルタT細胞)は、その表面に異なるT細胞受容体(TCR)を有するT細胞の小さなサブセットである。しかし、γδT細胞では、TCRは1本のγ鎖と1本のδ鎖で構成される。このT細胞の群はαβT細胞よりもずっと少ない(全T細胞の2%)。
【0160】
T細胞受容体の構造は、抗体の腕の軽鎖と重鎖の組合せと定義される領域である、免疫グロブリンFabフラグメントと非常に類似する。TCRの各々の鎖は免疫グロブリンスーパーファミリーの成員であり、1つのN末端免疫グロブリン(Ig)可変(V)ドメイン、1つのIg定常(C)ドメイン、膜貫通/細胞膜貫通領域、およびC末端の短い細胞質尾部を有する。
【0161】
本発明によれば、「T細胞受容体の可変領域」という用語は、TCR鎖の可変ドメインに関する。
【0162】
TCR α鎖およびβ鎖の両方の可変領域は3つの超可変または相補性決定領域(CDR)を有するが、β鎖の可変領域は、通常は抗原と接触せず、それゆえCDRと見なされない超可変性の付加的な領域(HV4)を有する。CDR3は、プロセシングされた抗原の認識を担う主たるCDRであるが、α鎖のCDR1も抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することが示されており、一方β鎖のCDR1はペプチドのC末端部分と相互作用する。CDR2はMHCを認識すると考えられる。β鎖のCDR4は抗原認識には関与しないと考えられるが、スーパー抗原と相互作用することが示されている。
【0163】
本発明によれば、「CDR配列の少なくとも1つ」という用語は、好ましくは少なくともCDR3配列を意味する。「T細胞受容体鎖のCDR配列」という用語は、好ましくはT細胞受容体のα鎖またはβ鎖のCDR1、CDR2およびCDR3に関する。
【0164】
TCRドメインの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成する短い連結配列から成り、これが2本の鎖間のリンクを形成する。
【0165】
すべてのT細胞は骨髄中の造血幹細胞から生じる。造血幹細胞に由来する造血前駆細胞は、胸腺に存在し、細胞分裂によって増殖して、未熟な胸腺細胞の大きな集団を生成する。最初期の胸腺細胞はCD4またはCD8のいずれも発現せず、それゆえ二重陰性(CD4−CD8−)細胞に分類される。これらは、その発生が進むと共に二重陽性胸腺細胞(CD4+CD8+)になり、最終的には単一陽性(CD4+CD8−またはCD4−CD8+)胸腺細胞へと成熟して、その後胸腺から末梢組織に放出される。
【0166】
T細胞の活性化における最初のシグナルは、T細胞受容体が別の細胞上の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によって提示された短いペプチドに結合することによって与えられる。これは、そのペプチドに特異的なTCRを有するT細胞だけが活性化されることを確実にする。パートナー細胞は、通常はプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)であり、ナイーブ応答の場合は通常樹状細胞であるが、B細胞およびマクロファージは重要なAPCであり得る。MHCクラスI分子によってCD8
+T細胞に提示されるペプチドは8〜10アミノ酸長である;MHCクラスII分子の結合溝の末端は開いているので、MHCクラスII分子によってCD4
+T細胞に提示されるペプチドはより長い。
【0167】
T細胞は、一般に標準的な手順を用いてインビトロまたはエクスビボで作製し得る。例えばT細胞は、市販の細胞分離システムを使用して、患者などの哺乳動物の骨髄、末梢血または骨髄もしくは末梢血の画分内に存在し得る(またはそこから単離され得る)。あるいは、T細胞は、関係のあるまたは無関係なヒト、非ヒト動物、細胞株または培養物に由来し得る。「T細胞を含む試料」は、例えば末梢血単核細胞(PBMC)であり得る。
【0168】
T細胞は、抗原、ペプチド、核酸および/または抗原を発現する抗原提示細胞(APC)で刺激され得る。そのような刺激は、抗原、ペプチドおよび/または抗原もしくはペプチドを提示する細胞に特異的なT細胞が生成されるのに十分な条件下で十分な時間実施される。
【0169】
CD4
+またはCD8
+T細胞の特異的活性化は様々な方法で検出し得る。特異的T細胞活性化を検出する方法には、T細胞の増殖、サイトカイン(例えばリンホカイン)の産生または細胞溶解活性の発生を検出することが含まれる。CD4
+T細胞に関しては、特異的T細胞活性化を検出する好ましい方法は、T細胞の増殖の検出である。CD8
+T細胞に関しては、特異的T細胞活性化を検出する好ましい方法は、細胞溶解活性の発生の検出である。
【0170】
CD8
+T細胞株を作製するために、抗原を産生する核酸でトランスフェクトした抗原提示細胞、好ましくは自己抗原提示細胞を刺激細胞として使用し得る。
【0171】
T細胞受容体(TCR)鎖をコードするRNAなどの核酸を、T細胞または溶解能を有する他の細胞などのリンパ系細胞に導入し得る。適切な実施形態では、TCR α鎖およびβ鎖を抗原特異的T細胞株からクローニングし、養子T細胞療法に使用する。これに関して、本発明は、本明細書で開示されるCLDN6またはCLDN6ペプチドに特異的なT細胞受容体を提供する。一般に、本発明のこの態様は、MHCに関連して提示されるCLDN6ペプチドを認識するまたはCLDN6ペプチドに結合するT細胞受容体に関する。T細胞受容体、例えば本発明に従って提供されるT細胞受容体のα鎖およびβ鎖をコードする核酸は、発現ベクターなどの別々の核酸分子上に含まれ得るか、あるいは単一の核酸分子上に含まれてもよい。したがって、「T細胞受容体をコードする核酸」という用語または同様の用語は、同じ核酸分子上または好ましくは異なる核酸分子上のT細胞受容体鎖をコードする核酸分子に関する。
【0172】
「ペプチドと反応性の免疫反応性細胞」という用語は、特にペプチドが抗原提示細胞または癌細胞などの疾患細胞の表面などにMHC分子に関連して提示される場合に、そのペプチドを認識したとき、上述した免疫反応性細胞のエフェクター機能を発揮する免疫反応性細胞に関する。
【0173】
「ペプチドと反応性のT細胞受容体」という用語は、免疫反応性細胞上に存在するとき、特にペプチドが抗原提示細胞または癌細胞などの疾患細胞の表面などにMHC分子に関連して提示される場合に、免疫反応性細胞が上述した免疫反応性細胞のエフェクター機能を発揮するようにそのペプチドを認識するT細胞受容体に関する。
【0174】
「抗原反応性T細胞」という用語または同様の用語は、抗原提示細胞または癌細胞などの疾患細胞の表面などにMHC分子に関連して提示される場合に、その抗原を認識し、上述したT細胞のエフェクター機能を発揮するT細胞に関する。
【0175】
「抗原特異的リンパ系細胞」という用語は、特に抗原特異的T細胞受容体を与えられたとき、抗原が抗原提示細胞または癌細胞などの疾患細胞の表面などにMHC分子に関連して提示される場合に、その抗原を認識し、好ましくは上述したT細胞のエフェクター機能を発揮するリンパ系細胞に関する。T細胞および他のリンパ系細胞は、その細胞が抗原を発現するおよび/または抗原ペプチドを提示する標的細胞を死滅させる場合、抗原に特異的であると見なされる。T細胞特異性は、様々な標準的技術のいずれかを用いて、例えばクロム放出アッセイまたは増殖アッセイにおいて評価し得る。あるいは、リンホカイン(例えばインターフェロンγ)の合成を測定することもできる。
【0176】
「主要組織適合遺伝子複合体」という用語およびその略語「MHC」は、MHCクラスIおよびMHCクラスII分子を包含し、すべての脊椎動物において生じる遺伝子の複合体に関する。MHCタンパク質またはMHC分子は、免疫反応におけるリンパ球と抗原提示細胞または疾患細胞との間のシグナル伝達のために重要であり、ここでMHCタンパク質またはMHC分子は、ペプチドに結合し、T細胞受容体による認識のためにそれらを提示する。MHCによってコードされるタンパク質は、細胞の表面に発現され、自己抗原(前記細胞自体に由来するペプチドフラグメント)および非自己抗原(例えば侵入微生物のフラグメント)の両方をT細胞に展示する。
【0177】
MHC領域は3つのサブグループ、クラスI、クラスIIおよびクラスIIIに分けられる。MHCクラスIタンパク質はα鎖およびβ2ミクログロブリン(15番染色体によってコードされるMHCの一部ではない)を含む。それらは抗原フラグメントを細胞傷害性T細胞に提示する。大部分の免疫系細胞に関して、特に抗原提示細胞に関して、MHCクラスIIタンパク質はα鎖およびβ鎖を含み、それらは抗原フラグメントをTヘルパー細胞に提示する。MHCクラスIII領域は、他の免疫成分、例えば補体成分およびサイトカインをコードする一部の成分をコードする。
【0178】
ヒトでは、細胞表面上の抗原提示タンパク質をコードするMHC領域内の遺伝子は、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子と称される。しかし、MHCという略語はしばしばHLA遺伝子産物を指すのに使用される。HLA遺伝子には、9個のいわゆる古典的MHC遺伝子:HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DPA1、HLA−DPB1、HLA−DQA1、HLA−DQB1、HLA−DRAおよびHLA−DRB1が含まれる。
【0179】
本発明のすべての態様の1つの好ましい実施形態では、MHC分子はHLA分子である。
【0180】
「抗原の提示を特徴とする細胞」、「抗原を提示する細胞」、「細胞によって提示される抗原」、「提示される抗原」または同様の表現は、癌細胞などの疾患細胞、またはMHC分子に関連して、特にMHCクラスI分子に関連して、自らが発現する抗原もしくは前記抗原由来のフラグメントを、例えば抗原のプロセシングによって提示する抗原提示細胞などの細胞を意味する。同様に、「抗原の提示を特徴とする疾患」という用語は、特にクラスI MHCによる、抗原の提示を特徴とする細胞を含む疾患を表す。細胞による抗原の提示は、抗原をコードするRNAなどの核酸をその細胞にトランスフェクトすることによって達成され得る。
【0181】
「提示される抗原のフラグメント」または同様の表現は、フラグメントが、例えば抗原提示細胞に直接添加された場合、MHCクラスIまたはクラスII、好ましくはMHCクラスIによって提示され得ることを意味する。1つの実施形態では、フラグメントは、抗原を発現する細胞によって天然に提示されるフラグメントである。
【0182】
一部の治療法は、クラスI MHCと共に抗原を提示する疾患細胞の溶解をもたらす、患者の免疫系の反応に基づく。これに関連して、例えば抗原ペプチドとMHC分子の複合体に特異的な自己細胞傷害性Tリンパ球を、疾患を有する患者に投与し得る。そのような細胞傷害性Tリンパ球のインビトロでの作製は公知である。T細胞を分化させる方法の一例は、国際公開第WO−A−9633265号に見出すことができる。一般に、血球などの細胞を含む試料を患者から採取し、前記細胞を、複合体を提示し、および細胞傷害性Tリンパ球の増殖を引き起こすことができる細胞(例えば樹状細胞)と接触させる。標的細胞は、COS細胞などのトランスフェクト細胞であり得る。これらのトランスフェクト細胞は、所望の複合体をその表面に提示し、細胞傷害性Tリンパ球と接触させた場合、後者の増殖を刺激する。その後、クローン増殖させた自己細胞傷害性Tリンパ球を患者に投与する。
【0183】
細胞傷害性Tリンパ球を選択する別の方法では、細胞傷害性Tリンパ球の特異的クローンを得るためにMHCクラスI分子/ペプチド複合体の蛍光性四量体を使用する(Altman et al.(1996),Science 274:94−96;Dunbar et al.(1998),Curr.Biol.8:413−416,1998)。
【0184】
さらに、所望の複合体を提示する細胞(例えば樹状細胞)を、高い親和性を有する特異的細胞傷害性Tリンパ球の増殖をもたらし得る、健常個体または別の種(例えばマウス)の細胞傷害性Tリンパ球と組み合わせてもよい。これらの増殖した特異的Tリンパ球の高親和性T細胞受容体をクローニングし、場合により種々の程度にヒト化して、その後このようにして得られたT細胞受容体を遺伝子導入によって、例えばレトロウイルスベクターを使用して、患者のT細胞に形質導入し得る。次にこれらの遺伝的に改変されたTリンパ球を使用して養子移入を実施し得る(Stanislawski et al.(2001),Nat Immunol.2:962−70;Kessels et al.(2001),Nat Immunol.2:957−61)。
【0185】
細胞傷害性Tリンパ球は、それ自体公知の方法でインビボでも作製し得る。1つの方法は、MHCクラスI/ペプチド複合体を発現する非増殖性細胞を使用する。ここで使用される細胞は、通常複合体を発現するもの、例えば照射された腫瘍細胞または複合体の提示に必要な一方もしくは両方の遺伝子(すなわち抗原ペプチドと提示するMHC分子)をトランスフェクトされた細胞である。別の好ましい形態は、例えばリポソーム導入または電気穿孔によって細胞に導入し得る組換えRNAの形態での抗原の導入である。生じる細胞は、対象とする複合体を提示し、自己細胞傷害性Tリンパ球によって認識され、その後前記自己細胞傷害性Tリンパ球が増殖する。
【0186】
同様の効果は、抗原または抗原ペプチドを、インビボで抗原提示細胞に組み込むことを可能にするためにアジュバントと組み合わせることによって達成され得る。抗原または抗原ペプチドは、タンパク質、DNA(例えばベクター内で)またはRNAであり得る。抗原は、プロセシングされてMHC分子のペプチドパートナーを産生し得るが、そのフラグメントはさらなるプロセシングを必要とせずに提示され得る。後者は、特にこれらがMHC分子に結合できる場合に当てはまる。完全な抗原がインビボで樹状細胞によってプロセシングされる投与形態が好ましく、というのは、これが、有効な免疫応答に必要なTヘルパー細胞応答も生じさせ得るからである(Ossendorp et al.,Immunol Lett.(2000),74:75−9;Ossendorp et al.(1998),J.Exp.Med.187:693−702)。一般に、有効量の腫瘍関連抗原を、例えば皮内注射によって患者に投与することが可能である。しかし、リンパ節への節内注射も実施し得る(Maloy et al.(2001),Proc Natl Acad Sci USA 98:3299−303)。
【0187】
本発明によれば、「人工T細胞受容体」という用語は、「キメラT細胞受容体」および「キメラ抗原受容体(CAR)」という用語と同義である。
【0188】
これらの用語は、T細胞などの免疫エフェクター細胞にモノクローナル抗体の特異性などの恣意的な特異性を付与する、遺伝子操作された受容体に関する。このようにして、養子細胞移入のために多数の癌特異的T細胞を作製することができる。したがって、人工T細胞受容体は、例えばT細胞自体のT細胞受容体の代わりにまたはそれに加えて、T細胞上に存在し得る。そのようなT細胞は、標的の認識のために抗原のプロセシングおよび提示を必ずしも必要とせず、むしろ、好ましくは標的細胞上に存在する任意の抗原を特異的に認識し得る。好ましくは、前記人工T細胞受容体は細胞の表面に発現される。本発明の目的上、人工T細胞受容体を含有するT細胞は、本明細書で使用される「T細胞」という用語に包含される。
【0189】
1つの実施形態では、モノクローナル抗体に由来する一本鎖可変フラグメント(scFv)をCD3−ζ膜貫通およびエンドドメインに融合する。そのような分子は、標的細胞上のその抗原標的のscFvによる認識に応答したζシグナルの伝達および標的抗原を発現する標的細胞の死滅をもたらす。同じく使用し得る抗原認識ドメインには、中でも特にT細胞受容体(TCR)αおよびβ一本鎖が含まれる。実際に、所与の標的に高親和性で結合するほとんどあらゆるものが抗原認識ドメインとして使用できる。
【0190】
抗原認識に続いて、受容体がクラスタリングし、シグナルが細胞に伝達される。これに関して、「T細胞シグナル伝達ドメイン」は、抗原が結合された後、活性化シグナルをT細胞に伝えるドメイン、好ましくはエンドドメインである。最も一般的に使用されるエンドドメイン成分はCD3−ζである。
【0191】
キメラ抗原受容体を発現するCAR操作されたT細胞での養子細胞移入療法は、CAR改変T細胞を、実質的に任意の腫瘍抗原を標的とするように操作することができるので、有望な抗癌治療法である。例えば、患者のT細胞を、特異的に患者の腫瘍細胞上の抗原に向けられるCARを発現するように遺伝子操作し、その後患者に戻し注入し得る。
【0192】
本発明によれば、人工T細胞受容体は、上述したT細胞受容体の機能を置き換えることができ、特に上述したT細胞などの細胞に対する細胞溶解活性などの反応性を付与し得る。しかし、上述したようにT細胞受容体が抗原ペプチド−MHC複合体に結合するのに対し、人工T細胞受容体は抗原、特に細胞表面に発現された抗原に結合し得る。
【0193】
T細胞表面糖タンパク質CD3−ζ鎖は、ヒトではCD247遺伝子によってコードされるタンパク質である。T細胞受容体α/βおよびγ/δヘテロ二量体ならびにCD3−γ、CD3−δおよびCD3−εと一緒になってCD3−ζはT細胞受容体−CD3複合体を形成する。ζ鎖は、抗原認識をいくつかの細胞内シグナル伝達経路に結び付けるのに重要な役割を果たす。「CD3−ζ」という用語は、好ましくはヒトCD3−ζ、および特に、配列表の配列番号:45のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列の変異体を含む、好ましくはそれから成るタンパク質に関する。
【0194】
CD28(分化クラスター28)は、T細胞活性化に必要な共刺激シグナルを与える、T細胞上に発現される分子の1つである。CD28は、CD80(B7.1)およびCD86(B7.2)の受容体である。T細胞受容体(TCR)に加えてCD28を介した刺激は、様々なインターロイキン(特にIL−6)の産生のためにT細胞に強力な共刺激シグナルを与えることができる。「CD28」という用語は、好ましくはヒトCD28、および特に、配列表の配列番号:44のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列の変異体を含む、好ましくはそれから成るタンパク質に関する。
【0195】
本発明によれば、CARは一般に3つのドメインを含み得る。
【0196】
最初のドメインは、CLDN6を認識して結合する結合ドメインである。
【0197】
2番目のドメインは共刺激ドメインである。共刺激ドメインは、標的とする部分へのCARの結合後に細胞傷害性リンパ球の増殖および生存を増強する働きをする。共刺激ドメインの同一性は、CARによる標的部分の結合後に細胞の増殖および生存を増強する能力を有するという点だけに限られる。適切な共刺激ドメインには、CD28、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーの成員であるCD137(4−1BB)、受容体のTNFRスーパーファミリーの成員であるCD134(OX40)、および活性化T細胞上に発現されるCD28スーパーファミリーの共刺激分子であるCD278(ICOS)が含まれる。当業者は、これらの列挙された抗刺激ドメインの配列変異体が、本発明に有害な影響を及ぼすことなく使用でき、前記変異体はそれらがモデルとするドメインと同じまたは類似の活性を有することを理解する。そのような変異体は、それらが由来するドメインのアミノ酸配列と少なくとも約80%の配列同一性を有する。本発明の一部の実施形態では、CAR構築物は2つの共刺激ドメインを含む。特定の組合せには、4つの列挙されたドメインのすべての可能な変形が含まれるが、具体的な例はCD28+CD137(4−1BB)およびCD28+CD134(OX40)を含む。
【0198】
3番目のドメインは、活性化シグナル伝達ドメイン(またはT細胞シグナル伝達ドメイン)である。活性化シグナル伝達ドメインは、CARのCLDN6への結合後に細胞傷害性リンパ球を活性化する働きをする。活性化シグナル伝達ドメインの同一性は、CARによるCLDN6の結合後に選択された細胞傷害性リンパ球の活性化を誘導する能力を有するという点だけに限られる。適切な活性化シグナル伝達ドメインには、T細胞CD3[ζ]鎖およびFc受容体[γ]が含まれる。当業者は、これらの列挙された活性化シグナル伝達ドメインの配列変異体が、本発明に有害な影響を及ぼすことなく使用でき、前記変異体はそれらがモデルとするドメインと同じまたは類似の活性を有することを理解する。そのような変異体は、それらが由来するドメインのアミノ酸配列と少なくとも約80%の配列同一性を有する。
【0199】
本発明のCARは、3つのドメインを融合タンパク質の形態で一緒に含み得る。そのような融合タンパク質は一般に、N末端からC末端の方向に連結された、結合ドメイン、1つ以上の共刺激ドメインおよび活性化シグナル伝達ドメインを含む。しかし、本発明のCARはこの配置に限定されず、他の配置も許容され、これには結合ドメイン、活性化シグナル伝達ドメインおよび1つ以上の共刺激ドメインが含まれる。結合ドメインはCLDN6に自由に結合することができなければならないので、融合タンパク質内の結合ドメインの位置は一般に、細胞の外側で領域の展示が達成される位置であることが理解される。同様に、共刺激ドメインおよび活性化シグナル伝達ドメインは、細胞傷害性リンパ球の活性と増殖を誘導する働きをするので、融合タンパク質は一般に、細胞の内部でこれら2つのドメインを展示する。CARは、付加的な要素、例えば融合タンパク質の細胞表面への適切な輸送を確実にするシグナルペプチド、融合タンパク質が内在性膜タンパク質として維持されるのを確実にする膜貫通ドメイン、および結合ドメインに柔軟性を与え、CLDN6への強力な結合を可能にするヒンジドメイン(またはスペーサー領域)を含み得る。
【0200】
本発明のCARシステムに関連して使用される細胞は、好ましくはT細胞、特に、好ましくは細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞およびリンホカイン活性化キラー(LAK)細胞から選択される細胞傷害性リンパ球である。活性化後、これらの細胞傷害性リンパ球の各々は標的細胞の破壊を引き起こす。例えば細胞傷害性T細胞は、以下の手段のいずれかまたは両方によって標的細胞の破壊を引き起こす。第一に、活性化後、T細胞はパーフォリン、グランザイムおよびグラニュライシンなどの細胞毒を放出する。パーフォリンおよびグラニュライシンは標的細胞に細孔を作り、グランザイムは細胞に入り込んで、細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)を誘導する細胞質内のカスパーゼカスケードを始動させる。第二に、T細胞と標的腫瘍細胞との間でのFas−Fasリガンド相互作用によってアポトーシスが誘導され得る。細胞傷害性リンパ球は、好ましくは自己細胞であるが、異種細胞または同種異系細胞も使用できる。
【0201】
本発明によれば、参照試料または参照生物などの「参照」は、試験試料または試験生物から本発明の方法において得られた結果を関連付け、比較するのに使用され得る。典型的には、参照生物は健常生物、特に癌疾患などの疾患に罹患していない生物である。「参照値」または「参照レベル」は、十分に大きな数の参照品を測定することによって参照品から経験的に決定され得る。好ましくは、参照値は、少なくとも2、好ましくは少なくとも3、好ましくは少なくとも5、好ましくは少なくとも8、好ましくは少なくとも12、好ましくは少なくとも20、好ましくは少なくとも30、好ましくは少なくとも50、または好ましくは少なくとも100の参照品を測定することによって決定される。
【0202】
本発明によれば、「結合物質」という用語は、標的への結合能力を有するあらゆる化合物を包含する。好ましくは、そのような結合物質は、標的に対する少なくとも1つの結合ドメインを含む。この用語には、抗体および抗体フラグメント、二重特異性または多重特異性分子、キメラ抗原受容体(CAR)ならびにナノボディ、アフィボディ、アンチカリン、DARPin、モノボディ、アビマーおよびマイクロボディを含むがこれらに限定されない、標的への結合能力を有するすべての人工結合分子(足場)が含まれる。1つの実施形態では、前記結合は特異的結合である。
【0203】
「免疫グロブリン」という用語は、免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質、好ましくは抗体またはB細胞受容体(BCR)などの抗原受容体に関する。免疫グロブリンは、特徴的な免疫グロブリン(Ig)フォールドを有する構造ドメイン、すなわち免疫グロブリンドメインを特徴とする。この用語は、膜結合免疫グロブリンならびに可溶性免疫グロブリンを包含する。膜結合免疫グロブリンは、一般にBCRの一部である、表面免疫グロブリンまたは膜免疫グロブリンとも称される。可溶性免疫グロブリンは一般に抗体と称される。免疫グロブリンは、一般に数本の鎖、典型的にはジスルフィド結合によって連結された2本の同一の重鎖と2本の同一の軽鎖を含む。これらの鎖は、主として、V
L(可変軽鎖)ドメイン、C
L(定常軽鎖)ドメイン、ならびにC
H(定常重鎖)ドメインC
H1、C
H2、C
H3およびC
H4などの免疫グロブリンドメインから成る。抗体の異なるクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMを構成する5種類の哺乳動物免疫グロブリン重鎖、すなわちα、δ、ε、γおよびμが存在する。可溶性免疫グロブリンの重鎖と異なり、膜免疫グロブリンまたは表面免疫グロブリンの重鎖は、膜貫通ドメインおよび短い細胞質ドメインをそのカルボキシ末端に含む。哺乳動物では、2種類の軽鎖、すなわちλおよびκが存在する。免疫グロブリン鎖は可変領域と定常領域を含む。定常領域は、免疫グロブリンの異なるアイソタイプ内で基本的に保存されており、ここで可変部分は高度に多様性であり、抗原認識を担う。
【0204】
「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互に連結された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質を指す。「抗体」という用語は、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体およびキメラ抗体を包含する。各々の重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)および重鎖定常領域から成る。各々の軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)および軽鎖定常領域から成る。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が間に組み入れられた、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分することができる。各々のVHとVLは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置された、3つのCDRと4つのFRから成る:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(Clq)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0205】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体は単一結合特異性および親和性を示す。1つの実施形態では、モノクローナル抗体は、不死化細胞に融合された非ヒト動物、例えばマウスから得られるB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
【0206】
「組換え抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、組換え手段によって作製された、発現された、創製されたまたは単離されたすべての抗体、例えば(a)免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックもしくはトランスクロモソーマルである動物(例えばマウス)またはそれから作製されたハイブリドーマから単離された抗体、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換えコンビナトリアル抗体ライブラリから単離された抗体、および(d)免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって作製された、発現された、創製されたまたは単離された抗体を包含する。
【0207】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を包含することが意図されている。ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えばインビトロでランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によってまたはインビボで体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含み得る。
【0208】
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト種からの免疫グロブリンに実質的に由来する抗原結合部位を有する分子を指し、ここで分子の残りの免疫グロブリン構造は、ヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく。抗原結合部位は、定常ドメインに融合した完全な可変ドメインを含み得るか、または可変ドメイン内の適切なフレームワーク領域に移植された相補性決定領域(CDR)だけを含み得る。抗原結合部位は、野生型であり得るかまたは1つ以上のアミノ酸置換によって修飾されていてもよく、例えばヒト免疫グロブリンにより密接に類似するように修飾されていてもよい。ヒト化抗体の一部の形態はすべてのCDR配列を保存する(例えばマウス抗体からの6つのCDR全部を含むヒト化マウス抗体)。また別の形態は、もとの抗体に比べて改変された1つ以上のCDRを有する。
【0209】
「キメラ抗体」という用語は、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列の各々の一部分が、特定の種に由来するまたは特定のクラスに属する抗体内の対応する配列に相同であり、一方鎖の残りのセグメントは別の抗体内の対応する配列に相同である抗体を指す。典型的には、軽鎖と重鎖の両方の可変領域が哺乳動物の1つの種に由来する抗体の可変領域を模倣し、一方定常部分は別の種に由来する抗体の配列に相同である。そのようなキメラ形態の1つの明らかな利点は、可変領域を非ヒト宿主生物からの容易に入手可能なB細胞またはハイブリドーマを使用して現在公知の供給源から好都合に誘導し、例えばヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせるこができることである。可変領域は調製の容易さという利点を有し、その特異性は供給源に影響されないが、ヒトである定常領域は、抗体を注射した場合、非ヒト供給源からの定常領域よりもヒト被験者から免疫応答を惹起する可能性が低い。しかし、その定義はこの特定の例に限定されない。
【0210】
抗体は、マウス、ラット、ウサギ、モルモットおよびヒトを含むがこれらに限定されない、様々な種に由来し得る。
【0211】
本明細書で述べる抗体は、IgA1またはIgA2などのIgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgMおよびIgD抗体を含む。様々な実施形態において、抗体は、IgG1抗体、より特定するとIgG1、カッパまたはIgG1、ラムダアイソタイプ(すなわちIgG1、κ、λ)、IgG2a抗体(例えばIgG2a、κ、λ)、IgG2b抗体(例えばIgG2b、κ、λ)、IgG3抗体(例えばIgG3、κ、λ)またはIgG4抗体(例えばIgG4、κ、λ)である。
【0212】
本明細書で述べる抗体は、好ましくは単離されている。本明細書で使用される「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことが意図されている(例えば、CLDN6に特異的に結合する単離された抗体は、CLDN6以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。ヒトCLDN6のエピトープ、アイソフォームまたは変異体に特異的に結合する単離された抗体は、しかし、他の関連抗原、例えば他の種からの関連抗原(例えばCLDN6の種ホモログ)に対する交差反応性を有し得る。さらに、単離された抗体は、実質的に他の細胞物質および/または化学物質不含であり得る。本発明の1つの実施形態では、「単離された」モノクローナル抗体の組合せは、異なる特異性を有し、および十分に定義された組成物または混合物中で組み合わされている抗体に関する。
【0213】
抗体の「抗原結合部分」(もしくは単に「結合部分」)または抗体の「抗原結合フラグメント」(もしくは単に「結合フラグメント」)という用語または同様の用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は完全長抗体のフラグメントによって実行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例には、(i)VL、VH、CLおよびCHドメインから成る一価フラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントである、F(ab')
2フラグメント;(iii)VHドメインとCHドメインから成るFdフラグメント;(iv)抗体の1本の腕のVLドメインとVHドメインから成るFvフラグメント;(v)VHドメインから成る、dAbフラグメント(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、ならびに(vii)場合により合成リンカーによって連結されていてもよい2つ以上の単離されたCDRの組合せが含まれる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLとVHは別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、VL領域とVH領域が対合して一価分子を形成する単一タンパク質鎖(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えばBird et al.(1988)Science 242:423−426;およびHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883参照)としてそれらを作製することを可能にする合成リンカーによって、組換え法を用いて連結することができる。そのような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含されることが意図されている。さらなる例は、(i)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに融合した結合ドメインポリペプチド、(ii)ヒンジ領域に融合した免疫グロブリン重鎖CH2定常領域、および(iii)CH2定常領域に融合した免疫グロブリン重鎖CH3定常領域を含む、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である。結合ドメインポリペプチドは、重鎖可変領域または軽鎖可変領域であり得る。結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質は、さらに米国特許出願第2003/0118592号および同第2003/0133939号に開示されている。これらの抗体フラグメントは当業者に公知の従来技術を用いて得られ、フラグメントは、無傷抗体と同じ方法で有用性に関してスクリーニングされる。
【0214】
本発明によれば、「CLDN6に対する結合ドメイン」という用語は、CLDN6抗体、すなわちCLDN6に向けられ、および好ましくはCLDN6に特異的である抗体の抗原結合部分を含み、好ましくはそれに関する。
【0215】
「結合ドメイン」という用語は、本発明に関連して、所与の標的構造体/抗原/エピトープに結合する/所与の標的構造体/抗原/エピトープと相互作用する、例えば抗体の、構造を特徴付ける。したがって、本発明による結合ドメインは「抗原相互作用部位」を表す。
【0216】
本発明の目的上、本明細書で述べるすべての抗体および抗体フラグメントなどの抗体の誘導体は、「抗体」という用語に包含される。
【0217】
抗体は、従来のモノクローナル抗体法、例えばKohler and Milstein,Nature 256:495(1975)の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を含む、様々な技術によって作製することができる。体細胞ハイブリダイゼーション手順が原則として好ましいが、モノクローナル抗体を作製するための他の技術、例えばBリンパ球のウイルス形質転換もしくは発癌性形質転換または抗体遺伝子のライブラリを用いたファージディスプレイ技術も使用できる。
【0218】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製するための好ましい動物系は、マウスの系である。マウスにおけるハイブリドーマ作製は極めて広く確立された手順である。免疫プロトコルおよび融合のために免疫脾細胞を単離する技術は当分野で公知である。融合パートナー(例えばマウス骨髄腫細胞)および融合手順も公知である。
【0219】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製するための他の好ましい動物系は、ラットおよびウサギの系である(例えばSpieker−Polet et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:9348(1995)に記載されている;またRossi et al.,Am.J.Clin.Pathol.124:295(2005)も参照のこと)。
【0220】
抗体を作製するため、記載されるように、抗原配列、すなわちそれに対して抗体が向けられるべき配列に由来する担体結合ペプチド、組換え発現された抗原もしくはそのフラグメントの濃縮調製物および/または、抗原を発現する細胞でマウスを免疫することができる。あるいは、抗原またはそのフラグメントをコードするDNAでマウスを免疫することができる。抗原の精製または濃縮調製物を使用した免疫が抗体をもたらさない場合は、免疫応答を促進するために抗原を発現する細胞、例えば細胞株でマウスを免疫することもできる。
【0221】
免疫プロトコルの間に、尾静脈または眼窩後採血によって得られる血漿および血清試料を用いて免疫応答を観測することができる。免疫グロブリンの十分な力価を有するマウスを融合のために使用できる。犠死および脾臓切除の3日前に抗原発現細胞でマウスを腹腔内または静脈内経路で追加免疫して、特異的抗体を分泌するハイブリドーマの割合を増大させることができる。
【0222】
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するため、免疫マウスからの脾細胞およびリンパ節細胞を単離し、マウス骨髄腫細胞株などの適切な不死化細胞株に融合することができる。生じたハイブリドーマを、次に、抗原特異的抗体の産生に関してスクリーニングすることができる。その後個々のウェルを、ELISAによって抗体を分泌するハイブリドーマに関してスクリーニングすることができる。抗原発現細胞を使用した免疫蛍光法およびFACS分析により、抗原に対して特異性を有する抗体を同定することができる。抗体分泌ハイブリドーマを再度プレーティングし、再びスクリーニングして、モノクローナル抗体に関してまだ陽性である場合は限界希釈によってサブクローニングすることができる。その後、安定なサブクローンをインビトロで培養し、特性付けのために組織培養培地中で抗体を作製することができる。
【0223】
抗原に結合する抗体および他の結合物質の能力は、標準的な結合アッセイ(例えばELISA、ウェスタンブロット法、免疫蛍光法およびフローサイトメトリ分析)を用いて決定することができる。
【0224】
抗体および抗体の誘導体は、抗体フラグメントなどの結合ドメインを提供するため、特にVLおよびVH領域を提供するために有用である。
【0225】
人工T細胞受容体内に存在し得る、CLDN6に対する結合ドメインは、CLDN6に結合する能力、すなわちCLDN6中に存在するエピトープ、好ましくはCLDN6の細胞外ドメイン内に位置するエピトープ、特に第一細胞外ループ、好ましくはCLDN6のアミノ酸位置28〜76または第二細胞外ループ、好ましくはCLDN6のアミノ酸位置141〜159に位置するエピトープに結合する能力を有する。特定の実施形態では、CLDN6に対する結合ドメインは、CLDN9上には存在しないCLDN6上のエピトープに結合する。好ましくは、CLDN6に対する結合ドメインは、CLDN4および/またはCLDN3上には存在しないCLDN6上のエピトープに結合する。最も好ましくは、CLDN6に対する結合ドメインは、CLDN6以外のCLDNタンパク質上には存在しない、CLDN6上のエピトープに結合する。
【0226】
CLDN6に対する結合ドメインは、好ましくはCLDN6に結合するがCLDN9には結合せず、ならびに好ましくはCLDN4および/またはCLDN3には結合しない。好ましくは、CLDN6に対する結合ドメインはCLDN6に特異的である。好ましくは、CLDN6に対する結合ドメインは、細胞表面に発現されたCLDN6に結合する。特定の好ましい実施形態では、CLDN6に対する結合ドメインは、生細胞の表面に存在するCLDN6の天然エピトープに結合する。
【0227】
好ましい実施形態では、CLDN6に対する結合ドメインは、配列番号:30、32、34および36から成る群より選択されるアミノ酸配列もしくはそのフラグメント、または前記アミノ酸配列もしくはフラグメントの変異体を含む重鎖可変領域(VH)を含有する。
【0228】
好ましい実施形態では、CLDN6に対する結合ドメインは、配列番号:31、33、35、37、38および39から成る群より選択されるアミノ酸配列もしくはそのフラグメント、または前記アミノ酸配列もしくはフラグメントの変異体を含む軽鎖可変領域(VL)を含有する。
【0229】
特定の好ましい実施形態では、CLDN6に対する結合ドメインは、以下の可能性(i)〜(xi)から選択される重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)の組合せを含む:
(i)VHは配列番号:30によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVLは配列番号:31によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む、
(ii)VHは配列番号:32によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVLは配列番号:33によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む、
(iii)VHは配列番号:34によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVLは配列番号:35によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む、
(iv)VHは配列番号:36によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVLは配列番号:37によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む、
(v)VHは配列番号:32によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVLは配列番号:31によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む、
(vi)VHは配列番号:32によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVLは配列番号:38によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む、
(vii)VHは配列番号:32によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVLは配列番号:39によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む。
【0230】
特に好ましい実施形態では、CLDN6に対する結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)の以下の組合せを含む:
VHは配列番号:32によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVLは配列番号:39によって表されるアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む。
【0231】
「フラグメント」という用語は、特に、重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)の相補性決定領域(CDR)の1つ以上、好ましくは少なくともCDR3可変領域を指す。1つの実施形態では、前記相補性決定領域(CDR)の1つ以上は、相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3のセットから選択される。特に好ましい実施形態では、「フラグメント」という用語は、重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)の相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を指す。
【0232】
1つの実施形態では、本明細書で述べる1つ以上のCDR、CDRのセットまたはCDRのセットの組合せを含有する、CLDN6に対する結合ドメインは、前記CDRをそれらの介在フレームワーク領域と共に含む。好ましくは、その部分は、第1および第4フレームワーク領域のいずれかまたは両方の少なくとも約50%を含み、前記50%は、第1フレームワーク領域のC末端50%および第4フレームワーク領域のN末端50%である。組換えDNA技術によって行われる結合ドメインの構築は、本発明の可変領域を、免疫グロブリン重鎖、他の可変ドメイン(例えばダイアボディの作製において)またはタンパク質標識を包含するさらなるタンパク質配列に連結するリンカーの導入を含む、クローニングまたは他の操作工程を容易にするために導入されるリンカーによってコードされる可変領域のN末端側またはC末端側の残基の導入をもたらし得る。
【0233】
1つの実施形態では、本明細書で述べる1つ以上のCDR、CDRのセットまたはCDRのセットの組合せを含む結合ドメインは、ヒト抗体フレームワーク内に前記CDRを含む。
【0234】
本発明による「結合」という用語は、好ましくは特異的結合に関する。
【0235】
本発明によれば、T細胞受容体または抗体などの作用物質が、標準的なアッセイにおいて所定の標的に有意の親和性を有し、前記所定の標的に結合する場合、前記作用物質は前記所定の標的に結合することができる。「親和性」または「結合親和性」は、しばしば平衡解離定数(K
D)によって測定される。好ましくは、「有意の親和性」という用語は、10
−5M以下、10
−6M以下、10
−7M以下、10
−8M以下、10
−9M以下、10
−10M以下、10
−11M以下、または10
−12M以下の解離定数(K
D)で所定の標的に結合することを指す。
【0236】
作用物質が標準的なアッセイにおいて標的に有意の親和性を有さず、前記標的に有意に結合しない、特に検出可能に結合しない場合、前記作用物質は前記標的に(実質的に)結合することができない。好ましくは、作用物質が2、好ましくは10、より好ましくは20、特に50または100μg/mlまたはより高い濃度で存在する場合、前記作用物質は前記標的に検出可能に結合しない。好ましくは、作用物質が、その作用物質が結合することができる所定の標的への結合に関するK
Dよりも少なくとも10倍、100倍、10
3倍、10
4倍、10
5倍または10
6倍高いK
Dである標的に結合する場合、前記作用物質はその標的に有意の親和性を有さない。例えば、作用物質が結合することができる標的へのその作用物質の結合に関するK
Dが10
−7Mである場合、前記作用物質が有意の親和性を有さない標的への結合に関するK
Dは少なくとも10
−6M、10
−5M、10
−4M、10
−3M、10
−2Mまたは10
−1Mである。
【0237】
作用物質が、所定の標的に結合することができるが、他の標的には(実質的に)結合することができない、すなわち標準的なアッセイにおいて他の標的には有意の親和性を有さず、他の標的に有意に結合しない場合、前記作用物質は前記所定の標的に特異的である。本発明によれば、作用物質が、CLDN6に結合することができるが、他の標的には(実質的に)結合することができない場合、前記作用物質はCLDN6に特異的である。好ましくは、そのような他の標的に対する親和性および結合が、CLDN6に無関係なタンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、ヒト血清アルブミン(HSA)、または非クローディン膜貫通タンパク質、例えばMHC分子もしくはトランスフェリン受容体、または何らかの他の指定されるポリペプチドに対する親和性または結合を有意に上回らない場合、前記作用物質はCLDN6に特異的である。好ましくは、作用物質が、その作用物質が特異的でない標的への結合に関するK
Dよりも少なくとも10倍、100倍、10
3倍、10
4倍、10
5倍または10
6倍低いK
Dで所定の標的に結合する場合、前記作用物質は前記所定の標的に特異的である。例えば、作用物質が特異的である標的へのその作用物質の結合に関するK
Dが10
−7Mである場合、前記作用物質が特異的でない標的への結合に関するK
Dは、少なくとも10
−6M、10
−5M、10
−4M、10
−3M、10
−2Mまたは10
−1Mである。
【0238】
標的への作用物質の結合は、任意の適切な方法:例えばBerzofsky et al.,"Antibody−Antigen Interactions"In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company New York,NY(1992)参照、および本明細書で述べる方法を用いて実験的に測定することができる。親和性は、従来の技術を用いて、例えば平衡透析によって;製造者によって概説される一般的手順を用いて、BIAcore 2000装置を使用することによって;放射性標識した標的抗原を用いる放射性免疫検定法によって;または当業者に公知の別の方法によって、容易に決定し得る。親和性データは、例えばScatchard et al.,Ann N.Y.Acad.ScL,51:660(1949)の方法によって分析し得る。特定の抗体−抗原相互作用の測定される親和性は、異なる条件下で、例えば異なる塩濃度、pHの下で測定された場合、異なり得る。したがって、親和性および他の抗原結合パラメータ、例えばK
D、IC
50の測定は、好ましくは抗体および抗原の標準溶液ならびに標準緩衝液を用いて行われる。
【0239】
本明細書で述べるペプチドおよびタンパク質作用物質は、作用物質をコードするRNAなどの核酸の形態でおよび/または作用物質をコードするRNAなどの核酸を含む宿主細胞の形態で、インビトロまたはインビボで提供され得ることが理解されるべきである。特に、非ウイルスベースのDNAトランスフェクション、トランスポゾンベースのシステムおよびウイルスベースのシステムを含む様々な方法を、CAR構築物をT細胞に導入するために使用し得る。非ウイルスベースのDNAトランスフェクションは挿入突然変異誘発の危険性が低い。トランスポゾンベースのシステムは、組込み要素を含まないプラスミドよりも効率良く導入遺伝子を組み込むことができる。ウイルスベースのシステムは、γ−レトロウイルスおよびレンチウイルスベクターの使用を含む。γ−レトロウイルスは作製が比較的容易であり、T細胞を効率的および永続的に形質導入し、初代ヒトT細胞への組込みの見地から安全であることがあらかじめ証明されている。レンチウイルスベクターもT細胞を効率的および永続的に形質導入するが、製造により費用がかかる。それらはまた、潜在的にレトロウイルスベースのシステムよりも安全である。
【0240】
本明細書で述べるペプチドおよびタンパク質作用物質は、作用物質をコードするRNAなどの核酸を投与することによっておよび/または作用物質をコードするRNAなどの核酸を含む宿主細胞を投与することによって患者に送達され得る。患者に投与する場合の核酸は、裸の形態でまたはリポソームもしくはウイルス粒子の形態などの適切な送達ビヒクル中に、または宿主細胞内に存在し得る。提供される核酸は、作用物質を長期間にわたって持続的に産生することができ、治療用タンパク質に関して少なくとも一部に認められる不安定性を軽減する。核酸が宿主細胞内に存在せずに患者に投与される場合、核酸は、好ましくは核酸によってコードされる作用物質の発現のために患者の細胞によって取り込まれる。核酸が宿主細胞内に存在しつつ患者に投与される場合、核酸は、好ましくは核酸によってコードされる作用物質を産生するように患者の体内で宿主細胞によって発現される。
【0241】
「核酸」という用語は、本明細書で使用される場合、DNAおよびRNA、例えばゲノムDNA、cDNA、mRNA、組換え生産された分子および化学合成された分子を包含することが意図されている。核酸は一本鎖または二本鎖であり得る。RNAは、インビトロ転写RNA(IVT RNA)または合成RNAを含む。本発明によれば、核酸は、好ましくは単離された核酸である。
【0242】
核酸はベクター中に含まれ得る。本明細書で使用される「ベクター」という用語は、プラスミドベクター、コスミドベクター、λファージなどのファージベクター、アデノウイルスもしくはバキュロウイルスベクターなどのウイルスベクター、または細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)もしくはP1人工染色体(PAC)などの人工染色体ベクターを含む、当業者に公知の任意のベクターを包含する。前記ベクターは、発現ベクターならびにクローニングベクターを含む。発現ベクターは、プラスミドならびにウイルスベクターを含み、一般に所望のコード配列および特定の宿主生物(例えば細菌、酵母、植物、昆虫もしくは哺乳動物)またはインビトロ発現系における作動可能に連結されたコード配列の発現のために必要な適切なDNA配列を含む。クローニングベクターは、一般に特定の所望DNAフラグメントを操作し、増幅するために使用され、所望DNAフラグメントの発現に必要な機能的配列を欠如し得る。
【0243】
本発明に関連して、「RNA」という用語は、リボヌクレオチド残基を含み、および好ましくは完全にまたは実質的にリボヌクレオチド残基から成る分子に関する。「リボヌクレオチド」は、β,D−リボフラノシル基の2'位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドに関する。この用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離されたRNA、例えば部分的に精製されたRNA、基本的に純粋なRNA、合成RNA、組換え生産されたRNA、ならびに1個以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または変化によって天然に存在するRNAとは異なる修飾RNAを包含する。そのような変化には、例えばRNAの末端へのまたは内部での、例えばRNAの1個以上のヌクレオチドにおける、非ヌクレオチド物質の付加が含まれ得る。RNA分子中のヌクレオチドは、非標準ヌクレオチド、例えば天然には存在しないヌクレオチドまたは化学合成されたヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドも含み得る。これらの変化したRNAは、類似体または天然に存在するRNAの類似体と称され得る。
【0244】
本発明によれば、「RNA」という用語は、「メッセンジャーRNA」を意味し、およびDNAを鋳型として使用して生成され得、ペプチドまたはタンパク質をコードする「転写産物」に関する「mRNA」を包含し、好ましくは「mRNA」に関する。mRNAは、典型的には5'非翻訳領域(5'−UTR)、タンパク質またはペプチドコード領域および3'非翻訳領域(3'−UTR)を含む。mRNAは、細胞内およびインビトロで限られた半減期を有する。好ましくは、mRNAはDNA鋳型を使用してインビトロ転写によって生成される。本発明の1つの実施形態では、RNAはインビトロ転写または化学合成によって得られる。インビトロ転写の方法は当業者に公知である。例えば、様々なインビトロ転写キットが市販されている。
【0245】
本発明の1つの実施形態では、RNAは自己複製RNA、例えば一本鎖自己複製RNAである。1つの実施形態では、自己複製RNAはプラスセンスの一本鎖RNAである。1つの実施形態では、自己複製RNAは、ウイルスRNAまたはウイルスRNAに由来するRNAである。1つの実施形態では、自己複製RNAは、アルファウイルスゲノムRNAであるかまたはアルファウイルスゲノムRNAに由来する。1つの実施形態では、自己複製RNAはウイルス遺伝子発現ベクターである。1つの実施形態では、ウイルスはセムリキ森林ウイルスである。1つの実施形態では、自己複製RNAは1つ以上の導入遺伝子を含み、前記導入遺伝子の少なくとも1つは本明細書で述べる作用物質をコードする。1つの実施形態では、RNAがウイルスRNAであるかまたはウイルスRNAに由来する場合、導入遺伝子は、ウイルス配列、例えば構造タンパク質をコードするウイルス配列を部分的にまたは完全に置換し得る。1つの実施形態では、自己複製RNAはインビトロ転写RNAである。
【0246】
本発明に従って使用されるRNAの発現および/または安定性を高めるために、好ましくは発現されるペプチドまたはタンパク質の配列を変化させずに、RNAを修飾し得る。
【0247】
本発明に従って使用されるRNAに関連して「修飾」という用語は、前記RNA中に天然では存在しないRNAの任意の修飾を包含する。
【0248】
本発明の1つの実施形態では、本発明に従って使用されるRNAは非キャップ5'−三リン酸を有さない。そのような非キャップ5'−三リン酸の除去は、RNAをホスファターゼで処理することによって達成できる。
【0249】
本発明によるRNAは、その安定性を高めるおよび/または細胞傷害性を低下させるために、修飾された天然に存在するリボヌクレオチドまたは合成リボヌクレオチドを有し得る。例えば、1つの実施形態では、本発明に従って使用されるRNAにおいて、シチジンを5−メチルシチジンで部分的にまたは完全に、好ましくは完全に置換する。あるいはまたは加えて、1つの実施形態では、本発明に従って使用されるRNAにおいて、ウリジンをプソイドウリジンで部分的にまたは完全に、好ましくは完全に置換する。
【0250】
1つの実施形態では、「修飾」という用語は、RNAに5'キャップまたは5'キャップ類似体を提供することに関する。「5'キャップ」という用語は、mRNA分子の5'末端に認められるキャップ構造を指し、一般に独特の5'−5'三リン酸結合によってmRNAに連結されたグアノシンヌクレオチドから成る。1つの実施形態では、このグアノシンは7位でメチル化されている。「従来の5'キャップ」という用語は、天然に存在するRNAの5'キャップ、好ましくは7−メチルグアノシンキャップ(m7G)を指す。本発明に関連して、「5'キャップ」という用語は、RNAキャップ構造に類似し、好ましくはインビボおよび/または細胞中で、RNAに結合した場合RNAを安定化する能力を有するように修飾されている5'キャップ類似体を包含する。
【0251】
RNAに5'キャップまたは5'キャップ類似体を提供することは、前記5'キャップまたは5'キャップ類似体の存在下でのDNA鋳型のインビトロ転写によって達成でき、前記5'キャップを生成されたRNA鎖に同時転写によって組み込むか、または、例えばインビトロ転写によってRNAを生成し、キャッピング酵素、例えばワクシニアウイルスのキャッピング酵素を用いて転写後に5'キャップをRNAに結合し得る。
【0252】
RNAはさらなる修飾を含み得る。例えば、本発明で使用されるRNAのさらなる修飾は、天然に存在するポリ(A)尾部の伸長もしくは末端切断または前記RNAのコード領域に関連しない非翻訳領域(UTR)の導入などの5'UTRもしくは3'UTRの変化、例えばグロビン遺伝子、例えばα2グロビン、α1グロビン、βグロビン、好ましくはβグロビン、より好ましくはヒトβグロビンに由来する3'UTRの1コピー以上、好ましくは2コピーの挿入であり得る。
【0253】
それゆえ、本発明に従って使用されるRNAの安定性および/または発現を増大させるために、好ましくは10〜500個、より好ましくは30〜300個、さらにより好ましくは65〜200個、特に100〜150個のアデノシン残基の長さを有する、ポリA配列と共に存在するようにRNAを修飾し得る。特に好ましい実施形態では、ポリA配列は約120個のアデノシン残基の長さを有する。加えて、RNA分子の3'非翻訳領域(UTR)内への2つ以上の3'非翻訳領域の組込みは翻訳効率の上昇をもたらすことができる。1つの特定の実施形態では、3'UTRはヒトβグロビン遺伝子に由来する。
【0254】
RNAの「安定性」という用語は、RNAの「半減期」に関する。「半減期」は、分子の活性、量または数の半分を除去するのに必要な期間に関する。本発明に関連して、RNAの半減期は前記RNAの安定性の指標である。RNAの半減期は、RNAの「発現の持続期間」に影響を及ぼし得る。長い半減期を有するRNAは長期間にわたって発現されると予想できる。
【0255】
本発明に関連して、「転写」という用語は、DNA配列中の遺伝暗号がRNAに転写される過程に関する。その後、RNAはタンパク質に翻訳され得る。本発明によれば、「転写」という用語は「インビトロ転写」を含み、ここで「インビトロ転写」という用語は、RNA、特にmRNAが、好ましくは適切な細胞抽出物を使用して、無細胞系においてインビトロ合成される過程に関する。好ましくは、クローニングベクターを転写産物の生成に適用する。これらのクローニングベクターは一般に転写ベクターと称され、本発明によれば「ベクター」という用語に包含される。
【0256】
本発明による「翻訳」という用語は、メッセンジャーRNAの鎖がアミノ酸の配列のアセンブリを指令してペプチドまたはタンパク質を作製する、細胞のリボソームにおける過程に関する。
【0257】
核酸は、本発明によれば、単独で存在し得るかまたは同種もしくは異種であり得る他の核酸と組み合わせて存在し得る。好ましい実施形態では、核酸は、前記核酸に対して同種または異種であり得る発現制御配列に機能的に連結されている。「同種」という用語は、核酸が天然でも機能的に連結されていることを意味し、「異種」という用語は、核酸が天然では機能的に連結されていないことを意味する。
【0258】
核酸と発現制御配列は、前記核酸の発現または転写が前記発現制御配列の制御下または影響下にあるように互いに共有結合で連結されている場合、互いに「機能的に」連結されている。核酸が機能的タンパク質に翻訳される場合、コード配列に機能的に連結された発現制御配列により、前記発現制御配列の誘導が、コード配列のフレームシフトを引き起こすことなくまたはコード配列が所望のタンパク質もしくはペプチドに翻訳されるのを不可能にすることなく、前記核酸の転写を生じさせる。
【0259】
「発現制御配列」または「発現制御要素」という用語は、本発明によれば、遺伝子の転写またはmRNAの翻訳を調節するプロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサーおよび他の制御要素を含む。本発明の特定の実施形態では、発現制御配列を調節することができる。発現制御配列の正確な構造は、種または細胞型に応じて異なり得るが、一般に、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5'非転写配列ならびに5'および3'非翻訳配列、例えばTATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列等を含む。より具体的には、5'非転写発現制御配列は、機能的に連結された核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含有するプロモーター領域を含む。発現制御配列は、エンハンサー配列または上流活性化配列も含み得る。
【0260】
「発現」という用語は、本発明によればその最も一般的な意味で使用され、例えば転写および/または翻訳による、RNAおよび/またはペプチドもしくはタンパク質の生成を含む。RNAに関して、「発現」または「翻訳」という用語は、特にペプチドまたはタンパク質の生成に関する。この用語は核酸の部分的発現も含む。さらに、発現は一過性または安定であり得る。本発明によれば、発現という用語は「異所発現」または「異常発現」も包含する。
【0261】
「異所発現」または「異常発現」は、本発明によれば、参照、例えば特定のタンパク質、例えば腫瘍抗原の異所または異常発現に関連する疾患を有していない被験体における状態と比較して、発現が変化している、好ましくは増大していることを意味する。発現の増大とは、少なくとも10%、特に少なくとも20%、少なくとも50%または少なくとも100%、またはそれ以上の増大を指す。1つの実施形態では、発現は疾患組織においてのみ認められ、健常組織での発現は抑制されている。
【0262】
「特異的に発現される」という用語は、タンパク質が、基本的に特定の組織または器官においてのみ発現されることを意味する。例えば、胃粘膜において特異的に発現される腫瘍抗原は、前記タンパク質が主として胃粘膜において発現され、他の組織では発現されないまたは他の組織もしくは器官型では有意の程度に発現されないことを意味する。したがって、胃粘膜の細胞において排他的に発現され、精巣などの他の組織では有意に低い程度に発現されるタンパク質は、胃粘膜の細胞において特異的に発現される。一部の実施形態では、腫瘍抗原はまた、正常条件下では2つ以上の組織型または器官、例えば2または3の組織型または器官において、しかし好ましくは3以下の異なる組織または器官型において特異的に発現され得る。この場合、腫瘍抗原はこれらの器官において特異的に発現される。例えば、腫瘍抗原が、正常条件下では、好ましくは肺と胃においてほぼ同程度に発現される場合、前記腫瘍抗原は肺および胃において特異的に発現される。
【0263】
本発明によれば、「をコードする核酸」という用語は、核酸が、適切な環境中に、好ましくは細胞内に存在する場合、それがコードするタンパク質またはペプチドを生成するように発現され得ることを意味する。
【0264】
本発明の一部の態様は、宿主細胞が本明細書で述べる作用物質をコードするRNAなどの核酸を用いてインビトロでトランスフェクトされ、好ましくは低い前駆体頻度から臨床的に適切な細胞数へのエクスビボ増殖後に、患者などの受容者に移入される養子移入に基づく。本発明による処置に使用される宿主細胞は、処置される受容者にとって自己、同種異系または同系であり得る。
【0265】
「自己」という用語は、同じ被験体に由来する任意のものを表すために使用される。例えば、「自己移植」は、同じ被験体に由来する組織または器官の移植を指す。そのような手順は、さもなければ拒絶反応をもたらす免疫学的障壁を克服するので、好都合である。
【0266】
「同種異系」という用語は、同じ種の異なる個体に由来する任意のものを表すために使用される。2以上の個体は、1つ以上の遺伝子座の遺伝子が同一でない場合、互いに同種異系であると言われる。
【0267】
「同系」という用語は、同一の遺伝子型を有する個体または組織、すなわち同一の双生児もしくは同じ近交系の動物またはそれらの組織に由来する任意のものを表すために使用される。
【0268】
「異種」という用語は、複数の異なる要素から成るものを表すために使用される。一例として、ある個体の骨髄の異なる個体への移入は異種移植を構成する。異種遺伝子は、被験体以外の供給源に由来する遺伝子である。
【0269】
「トランスフェクション」という用語は、核酸、特にRNAの細胞への導入に関する。本発明の目的上、「トランスフェクション」という用語は、細胞への核酸の導入またはそのような細胞による核酸の取込みも包含し、ここで細胞は被験体、例えば患者の体内に存在し得る。したがって、本発明によれば、本明細書で述べる核酸のトランスフェクションのための細胞は、インビトロまたはインビボで存在することができ、例えば細胞は患者の器官、組織および/または生物のパートを形成し得る。本発明によれば、トランスフェクションは一過性または安定であり得る。トランスフェクションの一部の適用に関しては、トランスフェクトされた遺伝物質が一過性にだけ発現されれば十分である。トランスフェクション工程で導入された核酸は、通常は核ゲノムに組み込まれないので、外来核酸は有糸分裂を介して希釈されるかまたは分解される。核酸のエピソーム増幅を許容する細胞は、希釈の割合を大きく低減させる。トランスフェクトされた核酸が実際に細胞およびその娘細胞のゲノム内に留まることを所望する場合は、安定なトランスフェクションが起こらなければならない。RNAを、そのコードされるタンパク質を一過性に発現するように細胞にトランスフェクトすることができる。
【0270】
本発明によれば、核酸を細胞に導入する、すなわち移入するまたはトランスフェクトするために有用な任意の技術を使用し得る。好ましくは、RNAを標準的な技術によって細胞にトランスフェクトする。そのような技術には、電気穿孔、リポフェクションおよびマイクロインジェクションが含まれる。本発明の1つの特に好ましい実施形態では、RNAを電気穿孔によって細胞に導入する。
【0271】
電気穿孔または電気透過化は、外部から印加される電場によって引き起こされる細胞膜の電気伝導度および透過性の有意の増大に関する。通常は、何らかの物質を細胞に導入する方法として分子生物学において用いられる。
【0272】
本発明によれば、タンパク質またはペプチドをコードする核酸の導入は、前記タンパク質またはペプチドの発現をもたらすことが好ましい。
【0273】
本発明による「ペプチド」という用語は、オリゴペプチドおよびポリペプチドを含み、ペプチド結合によって共有結合で連結された2個以上、好ましくは3個以上、好ましくは4個以上、好ましくは6個以上、好ましくは8個以上、好ましくは9個以上、好ましくは10個以上、好ましくは13個以上、好ましくは16個以上、好ましくは21個以上、および好ましくは8、10、20、30、40または50個まで、特に100個までのアミノ酸を含む物質を指す。「タンパク質」という用語は、大きなペプチド、好ましくは100個を超えるアミノ酸残基を有するペプチドを指すが、一般に「ペプチド」という用語と「タンパク質」という用語は同義語であり、本明細書では交換可能に使用される。
【0274】
本発明によれば、ペプチドは天然アミノ酸および非天然アミノ酸を含み得る。1つの実施形態では、ペプチドは単に天然アミノ酸だけを含む。
【0275】
本発明によれば、「非天然アミノ酸」という用語は、20個の天然アミノ酸種のものとは異なる構造を有するアミノ酸を指す。非天然アミノ酸は天然アミノ酸のものと類似の構造を有するので、非天然アミノ酸は、所与の天然アミノ酸の誘導体または類似体と分類され得る。
【0276】
好ましくは、本発明に従って述べるタンパク質およびペプチドは単離されている。「単離されたタンパク質」または「単離されたペプチド」という用語は、タンパク質またはペプチドがその天然環境から分離されていることを意味する。単離されたタンパク質またはペプチドは、基本的に精製された状態であり得る。「基本的に精製された」という用語は、タンパク質またはペプチドが、それが自然界でまたはインビボで結合している他の物質を基本的に含まないことを意味する。
【0277】
特定のアミノ酸配列、例えば配列表に示すものに関して本明細書で与えられる教示は、前記特定配列と機能的に等価である配列、例えば前記特定アミノ酸配列の特性と同一または類似の特性を示すアミノ酸配列を生じさせる前記特定配列の変異体にも関するように解釈されるべきである。1つの重要な特性は、ペプチドのMHC分子および/もしくはT細胞受容体への結合またはT細胞受容体のその標的への結合を保持すること、またはT細胞のエフェクター機能を維持することである。好ましくは、特定の配列に関して修飾された配列は、それがT細胞受容体内の前記特定配列を置換する場合、前記T細胞受容体の標的への結合および好ましくは前記T細胞受容体または本明細書で述べるT細胞受容体を担持するT細胞の機能を保持する。
【0278】
例えば、配列表に示す配列は、1個以上、好ましくはすべての遊離システイン残基を除去するように、特にシステイン残基をシステイン以外のアミノ酸で、好ましくはセリン、アラニン、トレオニン、グリシン、チロシン、ロイシンまたはメチオニンで、最も好ましくはアラニンまたはセリンで置換することによって、修飾することができる。例えば、配列表の配列番号:33に示す配列の45位のシステインまたは前記配列を含む配列内の対応するシステインをこのようにして修飾し得る。
【0279】
特にCDR配列、超可変および可変領域の配列は、標的に結合する能力を失うことなく修飾され得ることは当業者に認識される。例えばCDR領域は、本明細書で指定される抗体の領域と同一または高度に相同性である。「高度に相同性」により、1〜5個、好ましくは1〜4個、例えば1〜3個または1もしくは2個の置換がCDR内で行われ得ることが企図される。加えて、超可変および可変領域は、それらが本明細書で具体的に開示される領域と実質的な相同性を示すように修飾され得る。
【0280】
ペプチド「変異体」は、所与のペプチドの免疫原性を保持し得る(例えばT細胞株またはクローンと反応する変異体の能力は所与のペプチドに比べて実質的に低下しない)。言い換えると、T細胞株またはクローンと反応する変異体の能力は、所与のペプチドに比べて増強され得るもしくは不変であり得るか、または所与のペプチドに比べて50%未満、好ましくは20%未満だけ低下していてもよい。
【0281】
変異体は、MHC分子に結合するその能力を評価することによって同定され得る。1つの好ましい実施形態では、変異体ペプチドは、MHC分子に結合する変異体ペプチドの能力が所与のペプチドに比べて増大されるような修飾を有する。MHC分子に結合する変異体ペプチドの能力は、所与のペプチドの能力に比べて少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、4倍または5倍増大され得る。したがって、特定の好ましい実施形態では、ペプチドは、免疫原性部分内の1〜3個のアミノ酸残基が、T細胞株またはクローンと反応する能力が非修飾ペプチドに関するものよりも統計的に大きいように置換されている変異体を含む。そのような置換は、好ましくはペプチドのMHC結合部位内に位置する。好ましい置換は、MHCクラスIまたはクラスII分子への結合を増大させる。特定の変異体は保存的置換を含む。
【0282】
本発明による「変異体」という用語はまた、突然変異体、スプライス変異体、立体配座変異体、アイソフォーム、対立遺伝子変異体、種変異体および種ホモログ、特に天然に存在するものも包含する。対立遺伝子変異体は、遺伝子の正常な配列中の変化に関するが、その重要性はしばしば不明である。完全な遺伝子配列決定は、しばしば所与の遺伝子について数多くの対立遺伝子変異体を同定する。種ホモログは、所与の核酸配列またはアミノ酸配列のものとは異なる種を起源とする核酸配列またはアミノ酸配列である。「変異体」という用語は、任意の翻訳後修飾変異体および立体配座変異体を包含する。
【0283】
本発明の目的上、アミノ酸配列の「変異体」は、アミノ酸挿入変異体、アミノ酸付加変異体、アミノ酸欠失変異体および/またはアミノ酸置換変異体を含む。タンパク質のN末端および/またはC末端に欠失を含むアミノ酸欠失変異体は、N末端および/またはC末端切断変異体とも呼ばれる。
【0284】
アミノ酸挿入変異体は、特定のアミノ酸配列内に1個または2個以上のアミノ酸の挿入を含む。挿入を有するアミノ酸配列変異体の場合、1個以上のアミノ酸残基がアミノ酸配列内の特定の部位に挿入されているが、生じる産物の適切なスクリーニングを伴うランダムな挿入も可能である。
【0285】
アミノ酸付加変異体は、1個以上のアミノ酸、例えば1、2、3、5、10、20、30または50個以上のアミノ酸のアミノ末端および/またはカルボキシ末端融合を含む。
【0286】
アミノ酸欠失変異体は、配列からの1個以上のアミノ酸の除去、例えば1、2、3、5、10、20、30または50個以上のアミノ酸の除去を特徴とする。欠失はタンパク質の任意の位置であり得る。
【0287】
アミノ酸置換変異体は、配列内の少なくとも1個の残基が除去され、別の残基がその位置に挿入されていることを特徴とする。相同なタンパク質もしくはペプチドの間で保存されていないアミノ酸配列内の位置に修飾が存在することおよび/またはアミノ酸が類似の特性を有する別のアミノ酸で置換されていることが好ましい。好ましくは、タンパク質変異体内のアミノ酸変化は、保存的アミノ酸変化、すなわち類似の荷電または非荷電アミノ酸の置換である。保存的アミノ酸変化は、その側鎖が関連するアミノ酸のファミリーの1つの置換を含む。天然に存在するアミノ酸は、一般に4つのファミリーに分けられる:酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および非荷電極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン)アミノ酸。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時として芳香族アミノ酸として一緒に分類される。
【0288】
好ましくは、所与のアミノ酸配列と前記所与のアミノ酸配列の変異体であるアミノ酸配列との間の類似性、好ましくは同一性の程度は、少なくとも約60%、65%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。類似性または同一性の程度は、好ましくは参照アミノ酸配列の全長の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%であるアミノ酸領域に関して与えられる。例えば、参照アミノ酸配列が200個のアミノ酸から成る場合、類似性または同一性の程度は、好ましくは少なくとも約20、少なくとも約40、少なくとも約60、少なくとも約80、少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約140、少なくとも約160、少なくとも約180または約200個のアミノ酸、好ましくは連続するアミノ酸に関して与えられる。好ましい実施形態では、類似性または同一性の程度は、参照アミノ酸配列の全長に関して与えられる。配列類似性、好ましく配列同一性を決定するためのアラインメントは、当分野で公知のツールを用いて、好ましくは最良配列アラインメントを使用して、例えばAlignを使用して、標準的な設定、好ましくはEMBOSS::ニードル、マトリックス:Blosum62、キャップオープン10.0、ギャップ伸長0.5を用いて実施できる。
【0289】
「配列類似性」は、同一であるかまたは保存的アミノ酸置換を表すアミノ酸のパーセントを示す。2つのアミノ酸配列の間の「配列同一性」は、これらの配列間で同一であるアミノ酸のパーセントを示す。
【0290】
「同一性パーセント」という用語は、最良のアラインメント後に得られる、比較しようとする2つの配列の間で同一であるアミノ酸残基のパーセントを表すことが意図されており、このパーセントは純粋に統計的であって、2つの配列間の相違はランダムにおよびそれらの全長にわたって分布している。2つのアミノ酸配列の間の配列比較は、従来これらの配列を最適に整列した後で比較することによって実施され、前記比較は、配列類似性の局所領域を同定し、比較するためにセグメントごとにまたは「比較ウィンドウ」ごとに実施される。比較のための配列の最適アラインメントは、手作業による以外に、Smith and Waterman,1981,Ads App.Math.2,482の局所相同性アルゴリズムによって、Neddleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48,443の局所相同性アルゴリズムによって、Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl Acad.Sci.USA 85,2444の類似性検索法によって、またはこれらのアルゴリズムを使用したコンピュータプログラム(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wis.のGAP、BESTFIT、FASTA、BLAST P、BLAST NおよびTFASTA)によって作成され得る。
【0291】
同一性パーセントは、比較する2つの配列の間で同一の位置の数を決定し、これら2つの配列間の同一性パーセントを得るためにこの数を比較する位置の数で除して、得られた結果に100を乗じることによって計算される。
【0292】
相同なアミノ酸配列は、本発明によればアミノ酸残基の少なくとも40%、特に少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、および好ましくは少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性を示す。
【0293】
本明細書で述べるアミノ酸配列変異体は、例えば組換えDNA操作により、当業者によって容易に調製され得る。置換、付加、挿入または欠失を有するタンパク質およびペプチドを調製するためのDNA配列の操作は、例えばSambrook et al.(1989)において詳細に説明されている。さらに、本明細書で述べるペプチドおよびアミノ酸変異体は、例えば固相合成および類似の方法などによる公知のペプチド合成技術を用いて容易に調製され得る。
【0294】
本発明は、「ペプチド」および「タンパク質」という用語に含まれる、本明細書で述べるペプチドまたはタンパク質の誘導体を包含する。本発明によれば、タンパク質およびペプチドの「誘導体」は、タンパク質およびペプチドの修飾形態である。そのような修飾は、任意の化学的修飾を包含し、タンパク質またはペプチドに関連する任意の分子、例えば糖質、脂質および/またはタンパク質もしくはペプチドの単一または複数の置換、欠失および/または付加を含む。1つの実施形態では、タンパク質またはペプチドの「誘導体」は、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、パルミトイル化、ミリストイル化、イソプレニル化、脂質化、アルキル化、誘導体化、保護基の導入、タンパク質分解切断または抗体もしくは別の細胞リガンドへの結合から生じる修飾された類似体を包含する。「誘導体」という用語はまた、前記タンパク質およびペプチドのすべての機能的な化学的等価物に及ぶ。好ましくは、修飾されたペプチドは、高い安定性および/または高い免疫原性を有する。
【0295】
ペプチドの模倣物も包含される。そのような模倣物は、1個以上のアミノ酸模倣物に連結されたアミノ酸を含み得るか(すなわちペプチド内の1個以上のアミノ酸がアミノ酸模倣物で置換されていてもよい)または完全に非ペプチド模倣物であり得る。アミノ酸模倣物は、例えばT細胞株またはクローンと反応する能力を実質的に低下させずにアミノ酸を置換することができる、立体配座的にアミノ酸に類似する化合物である。非ペプチド模倣物は、アミノ酸を含まず、および、例えばT細胞株またはクローンと反応する模倣物の能力が所与のペプチドの能力に比べて実質的に低下していない、ペプチドに類似した全体的立体配座を有する化合物である。
【0296】
本発明によれば、アミノ酸配列、ペプチドまたはタンパク質の変異体、誘導体、修飾形態、フラグメント、パートまたは部分は、好ましくは、それぞれそれが由来するアミノ酸配列、ペプチドまたはタンパク質の機能的特性を有する、すなわち機能的に等価である。1つの実施形態では、アミノ酸配列、ペプチドまたはタンパク質の変異体、誘導体、修飾形態、フラグメント、パートまたは部分は、それぞれそれが由来するアミノ酸配列、ペプチドまたはタンパク質と免疫学的に等価である。1つの実施形態では、機能的特性は免疫学的特性である。
【0297】
特定の特性は、MHC分子と複合体を形成し、および適切な場合は、好ましくは細胞傷害性またはTヘルパー細胞を刺激することによって、免疫応答を生じさせる能力である。
【0298】
「免疫学的に等価」という用語は、免疫学的に等価の分子、例えば免疫学的に等価のアミノ酸配列が、例えば体液性および/もしくは細胞性免疫応答の誘導などの免疫学的作用の種類、誘導される免疫反応の強さおよび/もしくは持続期間、または誘導される免疫反応の特異性に関して、同じもしくは基本的に同じ免疫学的特性を示すおよび/または同じもしくは基本的に同じ免疫学的作用を及ぼすことを意味する。本発明に関連して、「免疫学的に等価」という用語は、好ましくは免疫のために使用されるペプチドまたはペプチド変異体の免疫学的作用または特性に関して用いられる。例えば、アミノ酸配列が被験体の免疫系に暴露されたとき参照アミノ酸配列と反応する特異性を有する免疫反応を誘導する場合、前記アミノ酸配列は参照アミノ酸配列と免疫学的に等価である。
【0299】
「由来する」という用語は、本発明によれば、特定の実体、特に特定の配列が、それが誘導される対象物、特に生物または分子中に存在することを意味する。アミノ酸配列、特に特定の配列領域の場合、「由来する」は特に、該当するアミノ酸配列が、その配列がその中に存在するアミノ酸配列から誘導されることを意味する。
【0300】
「細胞」または「宿主細胞」という用語は、好ましくは無傷の細胞、すなわち酵素、細胞小器官または遺伝物質などのその通常の細胞内成分が放出されていない無傷の膜を有する細胞に関する。無傷の細胞は、好ましくは生存可能細胞、すなわちその正常な代謝機能を実施することができる生細胞である。好ましくは、前記用語は、本発明によれば、外因性核酸でトランスフェクトすることができる任意の細胞に関する。好ましくは、細胞は、外因性核酸でトランスフェクトされ、受容者に移入された場合、受容者において核酸を発現することができる。「細胞」という用語は細菌細胞を包含する;他の有用な細胞は、酵母細胞、真菌細胞または哺乳動物細胞である。適切な細菌細胞には、グラム陰性細菌株、例えば大腸菌(Escherichia coli)、プロテウス属(Proteus)およびシュードモナス属(Pseudomonas)の菌株、ならびにグラム陽性細菌株、例えばバチルス属(Bacillus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、連鎖球菌属(Staphylococcus)およびラクトコッカス属(Lactococcus)の菌株からの細胞が含まれる。適切な真菌細胞には、トリコデルマ属(Trichoderma)、アカパンカビ属(Neurospora)およびアスペルギルス属(Aspergillus)の種からの細胞が含まれる。適切な酵母細胞には、サッカロミセス属(Saccharomyces)(例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)(例えばシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizo saccharomyces pombe))、ピキア属(Pichia)(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)およびピキア・メタノリカ(Pichia methanolicd))ならびにハンセニューラ属(Hansenula)の種からの細胞が含まれる。適切な哺乳動物細胞には、例えばCHO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、293 HEK等が含まれる。しかし、両生類細胞、昆虫細胞、植物細胞、および異種タンパク質の発現のために当分野で使用される任意の他の細胞も使用できる。ヒト、マウス、ハムスター、ブタ、ヤギおよび霊長動物からの細胞などの哺乳動物細胞は、養子移入のために特に好ましい。細胞は多くの組織型に由来してよく、初代細胞および細胞株、例えば免疫系の細胞、特に樹状細胞およびT細胞などの抗原提示細胞、造血幹細胞および間葉系幹細胞などの幹細胞、ならびに他の細胞型が含まれる。抗原提示細胞は、主要組織適合遺伝子複合体に関連して抗原をその表面に展示する細胞である。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を使用してこの複合体を認識し得る。
【0301】
核酸分子を含む細胞は、好ましくは前記核酸によってコードされるペプチドまたはタンパク質を発現する。
【0302】
細胞は、組換え細胞であってよく、コードされたペプチドまたはタンパク質を分泌することができ、それを表面に発現することができ、好ましくは前記ペプチドまたはタンパク質またはそのプロセシング産物に結合するMHC分子を付加的に発現し得る。1つの実施形態では、細胞はMHC分子を内因性に発現する。さらなる実施形態では、細胞は、MHC分子および/またはペプチドもしくはタンパク質もしくはそのプロセシング産物を組換え的に発現する。細胞は、好ましくは非増殖性である。好ましい実施形態では、細胞は抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球またはマクロファージである。
【0303】
「クローン増殖」という用語は、特定の実体が増加する過程を指す。本発明に関連して、この用語は、好ましくはリンパ球が抗原によって刺激され、増殖して、前記抗原を認識する特定のリンパ球が増幅される免疫学的応答に関連して使用される。好ましくは、クローン増殖はリンパ球の分化をもたらす。
【0304】
抗原発現に関連する疾患は、生物学的試料中のペプチドと特異的に反応するT細胞の存在に基づいて検出し得る。特定の方法では、患者から単離されたCD4+および/またはCD8+T細胞を含む生物学的試料を、本発明のペプチド、そのようなペプチドをコードする核酸ならびに/またはそのようなペプチドの少なくとも免疫原性部分を発現するおよび/もしくは提示する抗原提示細胞と共にインキュベートし、T細胞の特異的活性化の存在または不在を検出する。適切な生物学的試料には、単離されたT細胞が含まれるが、これに限定されない。例えば、T細胞は通常の技術によって(例えば末梢血リンパ球のFicoll/Hypaque密度勾配遠心分離によって)患者から単離し得る。CD4+T細胞に関しては、活性化は、好ましくはT細胞の増殖を評価することによって検出される。CD8+T細胞に関しては、活性化は、好ましくは細胞溶解活性を評価することによって検出される。疾患を有さない被験体におけるよりも少なくとも2倍大きい増殖のレベルおよび/または少なくとも20%大きい細胞溶解活性のレベルは、被験体における抗原発現に関連する疾患の存在を示す。
【0305】
本明細書で使用される「低減する」または「阻害する」は、好ましくは5%以上、10%以上、20%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは75%以上の、レベルの全体的な低下を生じさせる能力を意味する。「阻害する」という用語または同様の語句は、完全なまたは基本的に完全な阻害、すなわちゼロへの低減または基本的にゼロへの低減を包含する。
【0306】
「増大させる」または「増強する」などの用語は、好ましくは、およそ少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも100%の増大または増強に関する。
【0307】
本明細書で述べる作用物質、組成物および方法は、疾患、例えばCLDN6を発現し、および好ましくはMHC分子に関連してCLDN6を提示する疾患細胞の存在を特徴とする疾患を有する被験体を処置するために使用することができる。処置するおよび/または予防することができる疾患の例は、CLDN6を発現するすべての疾患を包含する。特に好ましい疾患は癌疾患である。
【0308】
本明細書で述べる作用物質、組成物および方法はまた、本明細書で述べる疾患を予防するための免疫またはワクチン接種にも使用し得る。
【0309】
「正常組織」または「正常状態」という用語は、健常組織または健常被験体における状態、すなわち非病的状態を指し、ここで「健常」は、好ましくは非癌性を意味する。
【0310】
「疾患」という用語は、個体の身体を侵す異常な状態を指す。疾患はしばしば、特定の症状および徴候と関連する医学的状態と解釈される。疾患は、感染性疾患などの、もともと外部起源からの因子によって引き起こされ得るか、または自己免疫疾患などの、内部機能不全によって引き起こされ得る。ヒトでは、「疾患」はしばしば、罹患した個人に疼痛、機能不全、窮迫、社会問題または死亡を引き起こす、またはその個人と接触した人に同様の問題を引き起こすあらゆる状態を指すためにより広く使用される。このより広い意味で、疾患は時として、損傷、障害、疾病、症候群、感染、孤発性症状、逸脱行動ならびに構造および機能の非定型変化を包含するが、他の状況ではおよび他の目的上は、これらは区別できるカテゴリーと見なされ得る。多くの疾患を有することおよび多くの疾患と共に生活することはその人の人生の見方および人格を変化させ得るので、疾患は通常、肉体的のみならず感情的にも個人に影響を及ぼす。本発明によれば、「疾患」という用語は、癌、特に本明細書で述べる癌の形態を包含する。癌または癌の特定の形態への本明細書での言及は、その癌転移も包含する。好ましい実施形態では、本出願に従って処置される疾患は、CLDN6を発現し、および場合によりMHC分子に関連してCLDN6を提示する細胞を含む。
【0311】
「CLDN6を発現する細胞を含む疾患」または同様の表現は、本発明によれば、CLDN6が疾患組織または器官の細胞において発現されることを意味する。1つの実施形態では、疾患組織または器官の細胞におけるCLDN6の発現は、健常組織または器官における状態と比較して増大している。増大とは、少なくとも10%、特に少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%、少なくとも1000%、少なくとも10000%またはさらにそれ以上の増大を指す。1つの実施形態では、発現は疾患組織においてのみ認められ、健常組織での発現は抑制されている。本発明によれば、CLDN6を発現する細胞を含む疾患は癌疾患を包含する。さらに、本発明によれば、癌疾患は、好ましくは癌細胞がCLDN6を発現する疾患である。
【0312】
「癌疾患」または「癌」という用語は、典型的には調節されない細胞増殖を特徴とする、個体における生理的状態を指すまたは表す。癌の例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病が含まれるが、これらに限定されない。より特定すると、そのような癌の例には、骨癌、血液癌、肺癌、肝癌、膵癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、性器および生殖器の癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、膀胱癌、腎癌、腎細胞癌、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、神経外胚葉癌、脊髄軸の腫瘍、神経膠腫、髄膜腫および下垂体腺腫が含まれる。本発明による「癌」という用語は癌転移も含む。好ましくは、「癌疾患」はCLDN6を発現する細胞を特徴とし、癌細胞はCLDN6を発現する。
【0313】
疾患細胞は、好ましくはCLDN6を発現する細胞であり、前記CLDN6は、好ましくは膜貫通タンパク質として前記細胞の表面に存在するおよび/またはMHC IなどのMHCに関連して前記細胞によって提示される。CLDN6を発現する細胞は、好ましくは癌細胞、好ましくは本明細書で述べる癌の癌細胞である。
【0314】
1つの実施形態では、癌疾患は、退形成、侵襲性および転移の性質を特徴とする悪性疾患である。悪性腫瘍は、悪性疾患がその成長において自己限定性でなく、隣接組織に浸潤することができ、および遠位組織に広がる(転移する)能力を有し得るという点で、非癌性の良性腫瘍と対比することができ、良性腫瘍はこれらの性質を有さない。
【0315】
本発明によれば、「腫瘍」または「腫瘍性疾患」という用語は、細胞(新生細胞または腫瘍細胞と呼ばれる)の異常増殖によって形成される腫脹または病変を指す。「腫瘍細胞」とは、急速で制御されない細胞増殖によって成長し、新たな成長を開始させた刺激が停止した後も成長し続ける異常細胞を意味する。腫瘍は、構造機構および正常組織との機能的協調の部分的または完全な欠如を示し、通常、良性、前悪性または悪性のいずれかであり得る明確な組織塊を形成する。
【0316】
本発明によれば、「癌腫」は、上皮細胞に由来する悪性腫瘍である。この群は、一般的な形態の乳癌、前立腺癌、肺癌および結腸癌を含む、最も一般的な癌である。
【0317】
「腺癌」は、腺組織で発生する癌である。この組織は、上皮組織として知られるより大きな組織カテゴリーの一部でもある。上皮組織には、皮膚、腺ならびに体腔および身体の器官の内側を覆う様々な他の組織が含まれる。上皮は、発生学的には外胚葉、内胚葉および中胚葉に由来する。腺癌として分類されるには、細胞は、それらが分泌特性を有する限り、必ずしも腺の一部である必要はない。この形態の癌腫は、ヒトを含む一部の高等哺乳動物において発生し得る。十分に分化した腺癌は、それらが由来する腺組織に類似する傾向があるが、十分に分化していないものはその傾向がない場合もある。生検からの細胞を染色することにより、病理学者は腫瘍が腺癌であるかまたは何らかの他の型の癌であるかを決定する。腺癌は、体内の腺の遍在性のゆえに身体の多くの組織で生じ得る。各々の腺が同じ物質を分泌しているとは限らないが、細胞への外分泌機能が存在する限り、腺と見なされ、それゆえその悪性形態は腺癌と命名される。悪性腺癌は他の組織を浸潤し、転移するのに十分な時間があればしばしば転移する。卵巣腺癌は最も一般的な型の卵巣癌である。これには漿液性および粘液性腺癌、明細胞腺癌および類内膜腺癌が含まれる。
【0318】
リンパ腫および白血病は、造血(血液形成)細胞に由来する悪性疾患である。
【0319】
芽球腫または芽細胞腫は、未熟な組織または胚組織に類似する腫瘍(通常は悪性)である。これらの腫瘍の多くは小児において最も一般的である。
【0320】
「転移」とは、そのもとの部位から身体の別の部分への癌細胞の拡大を意味する。転移の形成は非常に複雑な過程であり、原発性腫瘍からの悪性細胞の分離、細胞外マトリックスの侵襲、体腔および脈管に侵入するための内皮基底膜の貫通、ならびに次に、血液によって運ばれた後、標的器官の浸潤に依存する。最後に、標的部位における新たな腫瘍の成長は血管新生に依存する。腫瘍転移はしばしば原発性腫瘍の除去後でも起こり、これは、腫瘍細胞または腫瘍成分が残存し、転移能を発現し得るからである。1つの実施形態では、本発明による「転移」という用語は「遠隔転移」に関し、これは、原発性腫瘍および所属リンパ節系から遠く離れた転移に関する。1つの実施形態では、本発明による「転移」という用語はリンパ節転移に関する。
【0321】
二次性または転移性腫瘍の細胞は、もとの腫瘍における細胞に類似する。これは、例えば卵巣癌が肝臓に転移した場合、二次性腫瘍は異常な肝細胞ではなく異常な卵巣細胞で構成されることを意味する。肝臓における腫瘍は、その場合、肝癌ではなく転移性卵巣癌と呼ばれる。
【0322】
再発または回帰は、人が過去に罹患した状態に再び侵される場合に起こる。例えば、患者が腫瘍性疾患に罹患したことがあり、前記疾患の処置を受けて成功したが、前記疾患を再び発症した場合、前記の新たに発症した疾患は再発または回帰とみなされ得る。しかし、本発明によれば、腫瘍性疾患の再発または回帰は、もとの腫瘍性疾患の部位でも起こり得るが、必ずしもそうとは限らない。したがって、例えば、患者が卵巣腫瘍に罹患し、治療を受けて成功したことがある場合、再発または回帰は、卵巣腫瘍の発生であり得るかまたは卵巣とは異なる部位での腫瘍の発生であり得る。腫瘍の再発または回帰は、腫瘍がもとの腫瘍の部位とは異なる部位で起こる状況ならびにもとの腫瘍の部位で起こる状況も包含する。好ましくは、患者が処置を受けたことがあるもとの腫瘍は原発性腫瘍であり、もとの腫瘍の部位とは異なる部位における腫瘍は二次性または転移性腫瘍である。
【0323】
「処置」または「治療的処置」という用語は、個体の健康状態を改善するおよび/または個体の寿命を延長させる(増大させる)あらゆる処置に関する。前記処置は、個体において疾患を除去し得る、個体において疾患の発症を停止させ得るもしくは遅らせ得る、個体において疾患の発症を阻害し得るもしくは遅らせ得る、個体において症状の頻度もしくは重症度を低下させ得る、ならびに/または現在疾患を有しているもしくは以前に有していたことがある個体において再発を減少させ得る。
【0324】
「予防的処置」または「防止的処置」という用語は、個体において疾患の発生を予防することを意図したあらゆる処置に関する。「予防的処置」または「防止的処置」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0325】
「個体」および「被験体」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。これらの用語は、疾患または障害(例えば癌)に罹患し得るまたは罹患しやすいが、疾患または障害を有している可能性があるまたは有していない可能性があるヒト、非ヒト霊長動物または他の哺乳動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長動物)を指す。多くの実施形態では、個体はヒトである。特に明記されない限り、「個体」および「被験体」という用語は特定の年齢を意味せず、したがって成体、高齢者、小児および新生児を包含する。本発明の好ましい実施形態では、「個体」または「被験体」は「患者」である。「患者」という用語は、本発明によれば処置のための被験体、特に疾患被験体を意味する。
【0326】
「危険性がある」とは、一般集団と比較して、疾患、特に癌を発症する可能性が通常より高いと同定される被験体、すなわち患者を意味する。加えて、疾患、特に癌を有していたことがあるまたは現在有している被験体は、そのような被験体は引き続き疾患を発症する可能性があるので、疾患を発症する危険性が高い被験体である。現在癌を有しているまたは癌を有していたことがある被験体は、癌転移の危険性も高い。
【0327】
「免疫療法」という用語は、特異的免疫反応を含む処置に関する。
【0328】
本発明に関連して、「保護する」、「予防する」、「予防的」、「防止的」または「保護的」などの用語は、被験体における疾患の発症および/または伝播の予防または処置またはその両方、特に被験体が疾患を発症する可能性を最小限に抑えるまたは疾患の発症を遅らせることに関する。例えば、腫瘍の危険性がある人は、上述したように、腫瘍を予防するための治療法の候補者である。
【0329】
免疫療法の予防的投与、例えば本発明の作用物質または組成物の予防的投与は、好ましくは受容者を疾患の発症から保護する。免疫療法の治療的投与、例えば本発明の作用物質または組成物の治療的投与は、疾患の進行/成長の阻害をもたらし得る。これは、好ましくは疾患の排除をもたらす、疾患の進行/成長の減速、特に疾患の進行の停止を含む。
【0330】
免疫療法は、本明細書で提供される作用物質が好ましくはCLDN6発現細胞を患者から除去するように機能する、様々な技術のいずれかを用いて実施し得る。そのような除去は、患者においてCLDN6なまたはCLDN6を発現するおよび/もしくはMHC分子に関連してCLDN6を提示する細胞に特異的な免疫応答を増強するまたは誘導することの結果として起こり得る。
【0331】
特定の実施形態では、免疫療法は能動免疫療法であり得、この場合の処置は、免疫応答調節物質(例えば本明細書で提供されるペプチドおよび核酸)の投与による、疾患細胞に対して反応する内因性宿主免疫系のインビボ刺激に基づく。
【0332】
他の実施形態では、免疫療法は受動免疫療法であり得、この場合の処置は、直接または間接的に抗腫瘍作用を媒介することができ、必ずしも無傷の宿主免疫系に依存しない確立された腫瘍−免疫反応性を有する作用物質(例えばエフェクター細胞)の送達を含む。エフェクター細胞の例には、Tリンパ球(例えばCD8+細胞傷害性Tリンパ球およびCD4+Tヘルパーリンパ球)ならびに抗原提示細胞(例えば樹状細胞およびマクロファージ)が含まれる。本明細書で言及されるCLDN6ペプチドに特異的なT細胞受容体およびCLDN6に特異的な人工T細胞受容体を、養子免疫療法のためにエフェクター細胞に移入し得る。
【0333】
上述したように、本明細書で提供される免疫反応性ペプチドは、免疫療法に十分な数の細胞を生成するために抗原特異的T細胞培養物を速やかに増殖させるのに使用し得る。特に、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞および/またはB細胞などの抗原提示細胞を、当分野で周知の標準的な技術を用いて免疫反応性ペプチドでパルスし得るかまたは1つ以上の核酸でトランスフェクトし得る。治療法で使用するための培養したエフェクター細胞は、成長して広く分布し、インビボで長期間生存することができなければならない。培養したエフェクター細胞を、インビボで成長させ、IL−2を添加した抗原での反復刺激によって多数で長期間生存するように誘導できることが試験で示されている(例えばCheever et al.(1997),Immunological Reviews 157,177参照)。
【0334】
あるいは、本明細書で言及されるペプチドを発現する核酸を、患者から採取した抗原提示細胞に導入し、同じ患者に戻し移植するためにエクスビボでクローン増殖させ得る。
【0335】
トランスフェクトした細胞を当分野で公知の任意の手段を用いて、好ましくは静脈内、腔内、腹腔内または腫瘍内投与によって滅菌形態で、患者に再導入し得る。
【0336】
本明細書で開示される方法は、ペプチドまたはペプチドを発現する抗原提示細胞に応答して活性化された自己T細胞の投与を含み得る。そのようなT細胞はCD4+および/またはCD8+であり得、上述したように増殖させ得る。前記T細胞を、疾患の発症を阻害するのに有効な量で被験体に投与し得る。
【0337】
「免疫」または「ワクチン接種」という用語は、治療的または予防的理由で免疫応答を誘導することを目的として被験体を処置する工程を表す。
【0338】
「インビボ」という用語は、被験体における状況に関する。
【0339】
本発明によれば、「試料」は、本発明に従って有用な任意の試料、特に生物学的試料、例えば体液を含む組織試料および/または細胞試料であり得、従来の方法で、例えばパンチ生検を含む組織生検によって、および血液、気管支吸引液、痰、尿、糞便または他の体液を採取することによって入手し得る。本発明によれば、「試料」という用語は、生物学的試料の分画または単離物、例えば核酸およびペプチド/タンパク質単離物などの処理された試料も包含する。
【0340】
本明細書で述べる化合物および作用物質は、任意の適切な医薬組成物の形態で投与し得る。
【0341】
本発明の医薬組成物は、好ましくは無菌であり、所望の反応または所望の作用を生じさせるために本明細書で述べる作用物質および場合により本明細書で論じるさらなる作用物質の有効量を含む。
【0342】
医薬組成物は、通常は単位投与形態で提供され、それ自体公知の方法で調製され得る。医薬組成物は、例えば溶液または懸濁液の形態であり得る。
【0343】
医薬組成物は、塩、緩衝物質、防腐剤、担体、希釈剤および/または賦形剤を含んでよく、それらすべてが、好ましくは医薬的に許容される。「医薬的に許容される」という用語は、医薬組成物の活性成分の作用と相互作用しない物質の無毒性を指す。
【0344】
医薬的に許容されない塩は、医薬的に許容される塩を調製するために使用してよく、本発明に包含される。この種の医薬的に許容される塩は、非限定的に、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等から調製されるものを含む。医薬的に許容される塩はまた、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩としても調製され得る。
【0345】
医薬組成物における使用のための適切な緩衝物質には、塩中の酢酸、塩中のクエン酸、塩中のホウ酸および塩中のリン酸が含まれる。
【0346】
医薬組成物における使用のための適切な防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベンおよびチメロサールが含まれる。
【0347】
注射用製剤は、乳酸リンガー液などの医薬的に許容される賦形剤を含み得る。
【0348】
「担体」という用語は、適用を容易にする、増強するまたは可能にするために活性成分と組み合わせる、天然または合成の有機または無機成分を指す。本発明によれば、「担体」という用語はまた、患者への投与に適した、1つ以上の適合性の固体または液体充填剤、希釈剤または被包物質も包含する。
【0349】
非経口投与のための可能な担体物質は、例えば滅菌水、リンガー液、乳酸リンガー液、滅菌塩化ナトリウム溶液、ポリアルキレングリコール、水素化ナフタレンおよび、特に生体適合性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマーである。
【0350】
本明細書で使用される場合の「賦形剤」という用語は、医薬組成物中に存在してよく、および活性成分ではないすべての物質、例えば担体、結合剤、潤滑剤、増粘剤、界面活性剤、防腐剤、乳化剤、緩衝剤、着香剤または着色剤を示すことが意図されている。
【0351】
本明細書で述べる作用物質および組成物は、任意の従来の経路によって、例えば注射または注入を含む非経口投与によって投与し得る。投与は、好ましくは非経口的であり、例えば静脈内、動脈内、皮下、皮内または筋肉内経路である。
【0352】
非経口投与に適する組成物は、通常、好ましくは受容者の血液と等張である、活性化合物の滅菌水性または非水性調製物を含む。適合性担体および溶媒の例は、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、通常は滅菌の、固定油が溶液または懸濁液媒質として使用される。
【0353】
本明細書で述べる作用物質および組成物は有効量で投与される。「有効量」は、単独でまたはさらなる投与と共に所望の反応または所望の作用を達成する量を指す。特定の疾患または特定の状態の処置の場合、所望の反応は、好ましくは疾患の進行の阻止に関する。これは、疾患の進行を遅らせることおよび、特に疾患の進行を妨げるまたは逆転させることを含む。疾患または状態の処置における所望の反応はまた、前記疾患または前記状態の発症の遅延または発症の予防であり得る。
【0354】
本明細書で述べる作用物質または組成物の有効量は、処置される状態、疾患の重症度、患者の年齢、生理的状態、大きさおよび体重を含む患者の個別パラメータ、処置の期間、併用療法の種類(存在する場合)、特定の投与経路ならびに同様の因子に依存する。したがって、本明細書で述べる作用物質の投与される用量は、そのような様々なパラメータに依存し得る。患者における反応が初期用量で不十分である場合は、より高用量(または異なる、より限局された投与経路によって達成される効果的により高い用量)を使用し得る。
【0355】
本明細書で述べる作用物質および組成物は、本明細書で述べるような様々な障害を処置するまたは予防するために、例えばインビボで、患者に投与することができる。好ましい患者には、本明細書で述べる作用物質および組成物を投与することによって矯正または改善することができる障害を有するヒト患者が含まれる。これは、CLDN6の発現を特徴とする細胞を含む障害を包含する。
【0356】
例えば、1つの実施形態では、本明細書で述べる作用物質は、癌疾患、例えばCLDN6を発現する癌細胞の存在を特徴とする、本明細書で述べるような癌疾患を有する患者を処置するために使用できる。
【0357】
本発明に従って述べる医薬組成物および処置の方法は、本明細書で述べる疾患を予防するための免疫またはワクチン接種にも使用し得る。
【0358】
本発明の医薬組成物は、1つ以上のアジュバントなどの補足的な免疫増強物質と共に投与してよく、その有効性をさらに高める、好ましくは免疫刺激の相乗作用を達成する1つ以上の免疫増強物質を含み得る。「アジュバント」という用語は、免疫応答を延長させるまたは増強するまたは促進する化合物に関する。様々な種類のアジュバントに依存して、様々な機構がこれに関して可能である。例えば、DCの成熟を可能にする化合物、例えばリポ多糖類またはCD40リガンドは、適切なアジュバントの最初のクラスを形成する。一般に、「危険シグナル」のタイプの免疫系に影響を及ぼす任意の作用物質(LPS、GP96、dsRNA等)またはGM−CSFなどのサイトカインは、制御された方法で免疫応答を強化するおよび/または免疫応答に影響を及ぼすことを可能にするアジュバントとして使用できる。CpGオリゴデオキシヌクレオチドも、場合によりこれに関連して使用できるが、上記で説明したように、特定の状況下で起こるその副作用を考慮すべきである。特に好ましいアジュバントは、サイトカイン、例えばモノカイン、リンホカイン、インターロイキンもしくはケモカイン、例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IFNα、IFNγ、GM−CSF、LT−α、または増殖因子、例えばhGHである。さらなる公知のアジュバントは、水酸化アルミニウム、フロイントアジュバントまたはMontanide(登録商標)などの油であり、Montanide(登録商標)ISA51が最も好ましい。Pam3Cysなどのリポペプチドも、本発明の医薬組成物中のアジュバントとしての使用に適する。
【0359】
医薬組成物は、局所的または全身的に、好ましくは全身的に投与することができる。
【0360】
「全身投与」という用語は、作用物質が有意の量で個体の体内に広く分布するようになり、所望の作用を発現するような作用物質の投与を指す。例えば、作用物質は、血液中でその所望の作用を発現し得るおよび/または血管系を介してその所望の作用部位に達する。典型的な全身投与経路には、作用物質を血管系に直接導入することによる投与または経口、肺もしくは筋肉内投与が含まれ、この場合作用物質は吸着され、血管系に入って、血液を介して1つ以上の所望作用部位に運ばれる。
【0361】
本発明によれば、全身投与は非経口投与によることが好ましい。「非経口投与」という用語は、作用物質が腸管を通過しない、作用物質の投与を指す。「非経口投与」という用語には、静脈内投与、皮下投与、皮内投与または動脈内投与が含まれるが、これらに限定されない。
【0362】
投与はまた、例えば経口的、腹腔内または筋肉内経路でも実施し得る。
【0363】
本明細書で提供される作用物質および組成物は、単独でまたは従来の治療レジメン、例えば手術、放射線、化学療法および/もしくは骨髄移植(自己、同系、同種異系もしくは無関係)と組み合わせて使用し得る。
【0364】
本発明を以下の図面および実施例によって詳細に説明するが、これらは説明のためにのみ使用され、限定を意図されない。説明および実施例により、同様に本発明に包含されるさらなる実施形態が当業者により理解可能である。
以下、実施形態の例を付記する。
1. 配列番号:3、4および5から成る群より選択されるアミノ酸配列または前記アミノ酸配列の変異体を含むペプチド。
2. 100以下、50以下、20以下または10以下のアミノ酸長である、1.に記載のペプチド。
3. 配列番号:3、4および5から成る群より選択されるアミノ酸配列または前記アミノ酸配列の変異体から成る、1.または2.に記載のペプチド。
4. 1.から3.のいずれかに記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
5. 組換え核酸である、4.に記載の核酸。
6. 4.または5.に記載の核酸を含む細胞。
7. 1.から3.のいずれかに記載のペプチドまたはそのプロセシング産物を提示する細胞。
8. 1.から3.のいずれかに記載のペプチドと反応性である免疫反応性細胞。
9. 場合によりMHC分子との複合体中で、1.に記載のペプチドに結合する結合物質。
10. 場合によりMHC分子との複合体中で、1.に記載のペプチドに結合し、および好ましくは前記ペプチドと反応性であるT細胞受容体、または前記T細胞受容体のポリペプチド鎖。
11. T細胞受容体α鎖または前記T細胞受容体α鎖を含むT細胞受容体であって、ここで前記T細胞受容体α鎖が、
(i)配列番号:6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26および28から成る群より選択されるT細胞受容体α鎖またはその変異体のCDR配列の少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ全部を含むT細胞受容体α鎖、ならびに
(ii)配列番号:6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26および28から成る群より選択されるT細胞受容体α鎖配列もしくはそのフラグメント、または前記配列もしくはフラグメントの変異体を含むT細胞受容体α鎖
から成る群より選択される、T細胞受容体α鎖または前記T細胞受容体α鎖を含むT細胞受容体。
12. T細胞受容体β鎖または前記T細胞受容体β鎖を含むT細胞受容体であって、ここで前記T細胞受容体β鎖が、
(i)配列番号:7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27および29から成る群より選択されるT細胞受容体β鎖またはその変異体のCDR配列の少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ全部を含むT細胞受容体β鎖、ならびに
(ii)配列番号:7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27および29から成る群より選択されるT細胞受容体β鎖配列もしくはそのフラグメント、または前記配列もしくはフラグメントの変異体を含むT細胞受容体β鎖
から成る群より選択される、T細胞受容体β鎖または前記T細胞受容体β鎖を含むT細胞受容体。
13. (I)(i)配列番号:xのT細胞受容体α鎖またはその変異体のCDR配列の少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ全部を含むT細胞受容体α鎖、および
(ii)配列番号:x+1のT細胞受容体β鎖またはその変異体のCDR配列の少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ全部を含むT細胞受容体β鎖
[ここでxは、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26および28から成る群より選択される]
を含むT細胞受容体、ならびに
(II)(i)配列番号:xのT細胞受容体α鎖配列もしくはそのフラグメント、または前記配列もしくはフラグメントの変異体を含むT細胞受容体α鎖、および
(ii)配列番号:x+1のT細胞受容体β鎖配列もしくはそのフラグメント、または前記配列もしくはフラグメントの変異体を含むT細胞受容体β鎖
[ここでxは、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26および28から成る群より選択される]
を含むT細胞受容体
から成る群より選択されるT細胞受容体。
14. クローディン6(CLDN6)に結合する人工T細胞受容体。
15. CLDN6の細胞外ドメインに結合する、14.に記載の人工T細胞受容体。
16. 前記結合が特異的結合である、14.または15.に記載の人工T細胞受容体。
17. CLDN6に対する結合ドメインを含む、14.から16.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
18. 前記CLDN6に対する結合ドメインが、前記人工T細胞受容体のエキソドメインに含まれる、17.に記載の人工T細胞受容体。
19. 前記CLDN6に対する結合ドメインが、CLDN6抗体の一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む、17.または18.に記載の人工T細胞受容体。
20. 前記CLDN6に対する結合ドメインが、CLDN6に特異性を有する免疫グロブリンの重鎖の可変領域(VH)(VH(CLDN6))およびCLDN6に特異性を有する免疫グロブリンの軽鎖の可変領域(VL)(VL(CLDN6))を含む、17.から19.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
21. 前記重鎖可変領域(VH)と対応する軽鎖可変領域(VL)がペプチドリンカーによって、好ましくはアミノ酸配列(GGGGS)3を含むペプチドリンカーによって連結されている、20.に記載の人工T細胞受容体。
22. 前記CLDN6に対する結合ドメインが、配列番号:32によって表されるアミノ酸配列もしくはそのフラグメント、または前記アミノ酸配列もしくはフラグメントの変異体を含むVH(CLDN6)を含有する、17.から21.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
23. 前記CLDN6に対する結合ドメインが、配列番号:33、38もしくは39によって表されるアミノ酸配列もしくはそのフラグメント、または前記アミノ酸配列もしくはフラグメントの変異体を含むVL(CLDN6)を含有する、17.から22.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
24. 前記CLDN6に対する結合ドメインが、配列番号:32によって表されるアミノ酸配列もしくはそのフラグメント、または前記アミノ酸配列もしくはフラグメントの変異体を含むVH(CLDN6)および配列番号:39によって表されるアミノ酸配列もしくはそのフラグメント、または前記アミノ酸配列もしくはフラグメントの変異体を含むVL(CLDN6)を含有する、17.から23.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
25. 前記CLDN6に対する結合ドメインが、配列番号:40によって表されるアミノ酸配列もしくはそのフラグメント、または前記アミノ酸配列もしくはフラグメントの変異体を含む、17.から24.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
26. 膜貫通ドメインを含む、14.から25.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
27. T細胞シグナル伝達ドメインを含む、14.から26.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
28. 前記T細胞シグナル伝達ドメインが、場合によりCD28と組み合わせて、CD3−ζ、好ましくはCD3−ζのエンドドメインを含む、27.に記載の人工T細胞受容体。
29. 新生タンパク質を小胞体内に向かわせるシグナルペプチドを含む、14.から28.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
30. 前記CLDN6に対する結合ドメインを前記膜貫通ドメインに連結するスペーサー領域を含む、14.から29.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
31. 構造:
NH2−シグナルペプチド−CLDN6に対する結合ドメイン−スペーサー領域−膜貫通ドメイン−T細胞シグナル伝達ドメイン−COOH
を含む、14.から30.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
32. 配列番号:46に従うアミノ酸配列もしくはそのフラグメント、または前記アミノ酸配列もしくはフラグメントの変異体を含む、14.から31.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
33. 10.から13.のいずれかに記載のT細胞受容体鎖もしくはT細胞受容体をコードする、または14.から32.のいずれかに記載の人工T細胞受容体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
34. 10.から13.のいずれかに記載のT細胞受容体鎖もしくはT細胞受容体または14.から32.のいずれかに記載の人工T細胞受容体を含む、および/または前記T細胞受容体鎖もしくはT細胞受容体をコードするまたは前記人工T細胞受容体をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸を含む、細胞。
35. 33.に記載の核酸でT細胞を形質導入する工程を含む、免疫反応性細胞を作製する方法。
36. (i)1.から3.のいずれかに記載のペプチド、
(ii)4.、5.および33.のいずれかに記載の核酸、
(iii)6.、7.および35.のいずれかに記載の細胞、
(iv)8.に記載の免疫反応性細胞、
(v)9.に記載の結合物質、
(vi)10.から13.のいずれかに記載のT細胞受容体、ならびに
(vi)14.から32.のいずれかに記載の人工T細胞受容体
の1つ以上を含む医薬組成物。
37. 医薬的に許容される担体をさらに含む、36.に記載の医薬組成物。
38. 36.または37.に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、癌疾患を処置するまたは予防する方法。
39. 治療法における使用、特に癌を処置するまたは予防するうえでの使用のための、1.から3.のいずれかに記載のペプチド、4.、5.および33.のいずれかに記載の核酸、6.、7.および35.のいずれかに記載の細胞、8.に記載の免疫反応性細胞、9.に記載の結合物質、10.から13.のいずれかに記載のT細胞受容体、または14.から32.のいずれかに記載の人工T細胞受容体。
40. 被験体において免疫応答を誘導する方法であって、36.に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法。
41. T細胞を、1.から3.のいずれかに記載のペプチド、4.もしくは5.に記載の核酸および/または6.もしくは7.に記載の細胞の1つ以上と接触させることを含む、T細胞を刺激する、プライミングするおよび/または増殖させる方法。
42. 被験体において癌細胞を死滅させる方法であって、1.から3.のいずれかに記載のペプチド、4.、5.および33.のいずれかに記載の核酸、6.、7.および35.のいずれかに記載の細胞、8.に記載の免疫反応性細胞、9.に記載の結合物質、10.から13.のいずれかに記載のT細胞受容体、または14.から32.のいずれかに記載の人工T細胞受容体の治療有効量を前記被験体に提供する工程を含む方法。
43. 被験体における免疫応答を判定する方法であって、前記被験体から単離した生物学的試料中で1.から3.のいずれかに記載のペプチドと反応性のT細胞を測定することを含む方法。
【実施例】
【0365】
本明細書で使用される技術および方法は、本発明において説明されるかまたはそれ自体公知のようにおよび、例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2
nd Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.に記載されているように実施される。キットおよび試薬の使用を含むすべての方法は、特に指示されない限り製造者の情報に従って実施される。
【0366】
(実施例1)
実験材料および方法
細胞株および試薬
ヒト慢性骨髄性白血球細胞株K562(Lozzio,C.B.& Lozzio,B.B(1975),Blood 45,321−334)を標準的な条件下で培養した。HLA−A
*0201で安定にトランスフェクトしたK562細胞(Britten,C.M.et al.(2002),J.Immunol.Methods 259,95−110)(例えばK562−A
*0201と称される)を検証アッセイに使用した。初代ヒト新生児包皮線維芽細胞株CCD−1079Sk(ATCC No.CRL−2097)を製造者の指示に従って培養した。
【0367】
ヒトCLDN6を発現する卵巣癌細胞株OV−90−SC12をCLDN6−CARのインビボ検証のために使用した。
【0368】
PA−1−SC12_A0201_luc_gfp_F7についての培地は、86%RPMI 1640+ Glutamax(Co.Gibco、カタログ番号61870)、10%FCS(Co.Biochrome、カタログ番号S0615)、1%ピルビン酸ナトリウム(100mM)(Co.Gibco、カタログ番号11360)、1%MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Co.Gibco、カタログ番号11140)、2%重炭酸ナトリウム7.5%溶液(Co.Gibco、カタログ番号25080)から成る。
【0369】
OV−90−SC12の培地は、41.5%MCDB 105(Co.Sigma Aldrich、カタログ番号M6395−1L)、41.5%199培地(Co.Sigma Aldrich、カタログ番号M2154−500mL)、15%FCS(Co.Biochrome、カタログ番号S0615)、2%重炭酸ナトリウム7.5%溶液(Co.Gibco、カタログ番号25080)から成る。
【0370】
SK−MEL−37の培地は、90%DMEM+ Glutamax(Co.Gibco、カタログ番号31966)、10%FCS(Co.Biochrome、カタログ番号S0615)から成る。MDA−MB−231_luc_tomの培地は、88%RPMI 1640+ Glutamax(Co.Gibco、カタログ番号61870)、10%FCS(Co.Biochrome、カタログ番号S0615)、1%ピルビン酸ナトリウム(100mM)(Co.Gibco、カタログ番号11360)、1%MEM非必須アミノ酸溶液(100×)(Co.Gibco、カタログ番号11140)から成る。細胞株の供給および/または分配は2〜3日ごとに行った。
【0371】
末梢血単核細胞(PBMC)、単球および樹状細胞(DC)
PBMCをFicoll−Hypaque(Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)密度勾配遠心分離によってバフィーコートから単離した。HLAアレロタイプをPCR標準法によって決定した。単球を抗CD14マイクロビーズ(Miltenyi Biotech,Bergisch−Gladbach,Germany)で濃縮した。未熟DC(iDC)を、Kreiter et al.(2007),Cancer Immunol.Immunother.,CII,56,1577−87に記載されているようにサイトカイン添加培地中で単球を5日間分化させることによって得た。
【0372】
ペプチドおよび刺激細胞のペプチドパルス
クローディン6またはHIV−gagの配列に対応する11のアミノ酸オーバーラップを有するN末端およびC末端遊離15量体ペプチドのプール(抗原ペプチドプールと称する)を標準的な固相化学(JPT GmbH,Berlin,Germany)によって合成し、DMSOに溶解して、最終濃度を0.5mg/mlにした。9量体ペプチドをPBS 10%DMSOに再溶解した。刺激細胞をパルスするため、細胞を、種々のペプチド濃度を用いて培地中で37℃にて1時間インキュベートした。
【0373】
RNAのインビトロ転写(IVT)のためのベクター
すべての構築物は、以前に記述されているpST1−sec−insert−2βgUTR−A(120)−Sap1プラスミド(Holtkamp,S.et al.(2006),Blood 108,4009−4017)の変異体である。ヒトTCR鎖をコードするプラスミドを得るため、TCR−αまたはTCR−β
1およびTCR−β
2定常領域をコードするcDNAをヒトCD8+T細胞から増幅し、この骨格にクローニングした。マウスTCR鎖をコードするプラスミドの作製のために、TCR−α、TCR−β
1およびTCR−β
2定常領域をコードするcDNAを商業的供給者から調達し、同様にクローニングした(それぞれGenBankアクセッション番号M14506、M64239およびX67127)。特異的V(D)J PCR産物をそのようなカセットに導入し、完全長TCR鎖(pST1−ヒト/マウスTCRαβ−2βgUTR−A(120)と称する)を生成した。
【0374】
同様に、ドナーのPBMCからクローニングした個々のHLAクラスIおよびクラスII対立遺伝子ならびにヒトDCからのβ−2−ミクログロブリン(B2M)cDNAをこの骨格に挿入した(pST1−HLAクラスI/II−2βgUTR−A(120)およびpST1−B2M−2βgUTR−A(120)と称する)。
【0375】
分泌シグナル(sec)およびMHCクラスI輸送シグナル(MITD)に連結されたCMVのpp65抗原をコードするプラスミド(pST1−sec−pp65−MITD−2βgUTR−A(120))およびNY−ESO−I(pST1−sec−NY−ESO−1−MITD−2βgUTR−A(120))は、以前に記述されている(Kreiter,S.et al.(2008),J.Immunol.180,309−318)。プラスミドpST1−sec−PLAC1−MITD−2βgUTR−A(120)をコードするPLAC1は、商業的供給者から入手したcDNA(GenBankアクセッション番号NM_021796)をKreiter et al.の骨格にクローニングすることによって作製した。プラスミドpST1−αgUTR−TPTE−2βgUTR−A(120)およびpST1−αgUTR−TPTE−MITD−2βgUTR−A(120)をコードするTPTEは、商業的供給者から入手したcDNA(GenBankアクセッション番号AF007118)を、付加的なαグロビン5'非翻訳領域を特徴とするHoltkamp et al.のベクターの変異体にクローニングすることによって作製した。
【0376】
プライマーは、Operon Biotechnologies,Cologne,Germanyから購入した。
【0377】
インビトロ転写(IVT)RNAの作製および細胞への移入
IVT RNAの作製を、以前に記述されているように(Holtkamp,S.et al.(2006),Blood 108,4009−4017)実施し、予冷した4mmギャップの滅菌電気穿孔キュベット(Bio−Rad Laboratories GmbH,Munich,Germany)においてX−VIVO 15培地(Lonza,Basel,Switzerland)に懸濁した細胞に添加した。Gene−Pulser−II装置(Bio−Rad Laboratories GmbH,Munich,Germany)で電気穿孔を実施した(T細胞:450V/250μF;IVSB T細胞:350V/200μF;SupT1(ATCC No.CRL−1942):300V/200μF;ヒトDC:300V/150μF;K562:200V/300μF)。
【0378】
IVT RNAでのHLA A2.1/DR1マウスのリンパ節内免疫によるT細胞のインビボプライミング
A2/DR1マウス(Pajot A.et al.(2004),Eur.J.Immunol.34,3060−69)のT細胞を、抗原をコードするIVT RNAを使用した反復リンパ節内免疫により、対象とする抗原に対してインビボでプライミングした(Kreiter S.et al.(2010),Cancer Research 70,9031−40)。リンパ節内免疫のために、マウスをキシラジン/ケタミンで麻酔した。鼠径部リンパ節を外科的に露出させ、リンガー液およびRNアーゼ不含水に希釈したRNA 10μL(20μg)を、超微細針(31G、BD Biosciences)を備えた使い捨て0.3mlシリンジを使用して緩やかに注射し、創傷を閉鎖した。6回の免疫サイクル後、マウスを犠死させ、脾細胞を単離した。
【0379】
脾細胞の採取
無菌条件下での切開後、脾臓を、PBSを含有するファルコンチューブに移した。鉗子で脾臓を機械的に分断し、セルストレーナー(40μm)を用いて細胞懸濁液を得た。脾細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、赤血球の溶解のために低張緩衝液に再懸濁した。室温で5分間インキュベートした後、培地またはPBS 20〜30mlを添加して反応を停止させた。脾細胞を遠心分離し、PBSで2回洗浄した。
【0380】
CD137染色後の抗原特異的CD8+T細胞の単細胞選別
抗原特異的再刺激のために、免疫A2/DR1マウスからの2.5×10
6/ウェルの脾細胞を24穴プレートに接種し、対象とする抗原または対照抗原をコードするオーバーラッピングペプチドのプールでパルスした。24時間のインキュベーション後、細胞を採取し、FITC結合抗CD3抗体、PE結合抗CD4抗体、PerCP−Cy5.5結合抗CD8抗体およびDylight−649結合抗CD137抗体で染色した。BD FACS Ariaフローサイトメータ(BD Biosciences)で選別を実施した。CD137、CD3およびCD8に陽性の細胞を選別し、各ウェルにつき1細胞を、ヒトCCD−1079Sk細胞をフィーダー細胞として含む96穴V底プレート(Greiner Bio−One)に採取し、4℃で遠心分離して、直ちに−80℃で保存した。
【0381】
RNA抽出、SMARTに基づくcDNA合成および選別した細胞からの非特異的増幅
選別したT細胞からのRNAを、RNeasy Micro Kit(Qiagen,Hilden,Germany)を用いて供給者の指示に従って抽出した。修正BD SMARTプロトコルをcDNA合成のために使用した:BD PowerScript Reverse Transcriptase(BD Clontech,Mountain View,CA)を、一本鎖合成反応のプライミングのためのオリゴ(dT)−T−primer longならびに逆転写酵素の末端トランスフェラーゼ活性による伸長した鋳型の作製および鋳型スイッチを可能にするオリゴ(リボG)配列を導入するTS−short(Eurogentec S.A.Seraing,Belgium)と組み合わせた(Matz,M.et al.(1999)Nucleic Acids Res.27,1558−1560)。製造者の指示に従って合成した一本鎖cDNAを、dNTP 200μMの存在下に5U PfuUltra Hotstart High−Fidelity DNA Polymerase(Stratagene,La Jolla,CA)およびTS−PCRプライマー0.48μMでの21サイクルの増幅に供した(サイクリング条件:95℃ 2分、94℃ 30秒、65℃ 30秒、72℃ 1分、72℃ 6分の最終伸長)。TCR遺伝子の増幅の成功をヒトまたはマウスTCR−β定常領域特異的プライマーで制御し、強いバンドが検出された場合のみ、連続的なクローン型特異的ヒトまたはマウスVα−PCR/Vβ−PCRを実施した。
【0382】
HLAクラスIまたはII配列の増幅のための一本鎖cDNAを、患者由来のPBMCから抽出したRNA 1〜5μgと共にSuperScriptII Reverse Transcriptase(Invitrogen)およびオリゴ(dT)プライマーを用いて合成した。
【0383】
TCRおよびHLA増幅のためのPCRプライマーの設計
ヒトTCRコンセンサスプライマーの設計のために、ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http://www.imgt.org)に列挙されている67個のTCR−Vβ遺伝子および54個のTCR−Vα遺伝子(オープンリーディングフレームおよび偽遺伝子)全部を、それらの対応するリーダー配列と共にBioEdit Sequence Alignment Editor(例えばhttp://www.bio−soft.net)で整列した。最大3個の縮重塩基、40〜60%のGC含量および3'末端にGまたはCを有する24〜27bp長の正プライマーを、できるだけ多くのリーダー配列にアニーリングするように設計し、数少ない制限酵素部位およびコザック配列を特徴とする15bpの5'伸長を備えさせた。逆プライマーは、定常領域遺伝子の第1エクソンにアニーリングし、プライマーTRACex1_asはCαのアミノ酸7〜16に対応する配列に結合し、TRBCex1_asはCβ1およびCβ2のアミノ酸(aa)8〜16に対応する配列に結合するように設計した。どちらのオリゴヌクレオチドも5'リン酸を用いて合成した。プライマーを同じアニーリング温度で2〜5個の正オリゴのプールにまとめた。
【0384】
この方法をマウスTCRコンセンサスプライマーの設計のために再現し、129個の列挙されているTCR−Vα遺伝子および35個の列挙されているTCR−Vβ遺伝子を整列した。逆プライマーmTRACex1_asおよびmTRBCex1_asは、それぞれアミノ酸24〜31および8〜15に対応する配列に相同である。
【0385】
HLAコンセンサスプライマーを、Anthony Nolan Research Instituteウエブサイト(www.anthonynolan.com)に列挙されているすべてのHLAクラスIおよびII配列をBioEdit Sequence Alignment Editorで整列することによって設計した。最大3個の、縮重しているが1つの遺伝子座のできるだけ多くのHLA配列にアニーリングするコード保存塩基を有する23〜27bp長の正プライマーに、5'リン酸およびコザック配列伸長を備えさせた。逆プライマーは、同様であるがゆらぎ塩基を導入せずに設計し、AsiSI制限酵素部位をコードする14bpの5'伸長部を備えさせた。
【0386】
PCR増幅およびV(D)J配列のクローニング
単離されたT細胞からのあらかじめ増幅したcDNA 3〜6μlを、0.6μM Vα/Vβ特異的オリゴプール、0.6μM CαまたはCβオリゴ、200μM dNTPおよび5U Pfuポリメラーゼの存在下で40サイクルのPCRに供した(サイクリング条件:95℃ 2分、94℃ 30秒、アニーリング温度30秒、72℃ 1分、72℃ 6分の最終伸長時間)。Qiagenのキャピラリー電気泳動システムを使用してPCR産物を分析した。400〜500bpのバンドを有する試料をアガロースゲルでサイズ分画し、バンドを切り出して、Gel Extraction Kit(Qiagen,Hilden,Germany)を使用して精製した。TRBCex1_asおよびmTRBCex1_asプライマーがそれぞれ、ヒトおよびマウスにおけるTCR定常領域遺伝子β1およびβ2の両方にそれぞれマッチするので、V(D)Jドメインおよびβ定常領域の両方の配列を明らかにするために配列解析を実施した。DNAを消化し、完全なTCR−α/β鎖のために適切な骨格を含むIVTベクターにクローニングした。
【0387】
フローサイトメトリ分析
トランスフェクトTCR遺伝子の細胞表面発現を、適切な可変領域ファミリーまたはTCR β鎖の定常領域に対するPE結合抗TCR抗体(Beckman Coulter Inc.,Fullerton,USA)およびFITC/APC標識抗CD8/抗CD4抗体(BD Biosciences)を使用してフローサイトメトリによって分析した。トランスフェクトCARの細胞表面発現を、すべてのCLDN6−CAR構築物に含まれるscFvフラグメントを認識するDylight−650結合イディオタイプ特異的抗体(Ganymed Pharmaceuticals)を使用して分析した。FITC標識HLAクラスII特異的抗体(Beckman Coulter Inc.,Fullerton,USA)およびPE標識HLAクラスI特異的抗体(BD Biosciences)での染色によってHLA抗原を検出した。標的細胞上のCLDN6表面発現を、Alexa−Fluor647結合CLDN6特異的抗体(Ganymed Pharmaceuticals)での染色によって分析した。FACS Divaソフトウェアを使用してFACS CANTO IIフローサイトメータ(BD Biosciences)でフローサイトメトリ分析を実施した。
【0388】
ルシフェラーゼ細胞傷害アッセイ
細胞媒介性細胞傷害の評価のために、
51Cr放出の代替法および最適化として生物発光に基づくアッセイを確立した。標準的なクロム放出アッセイと異なり、このアッセイは、共インキュベーション後に生存可能なルシフェラーゼ発現標的細胞の数を計算することによってエフェクター細胞の溶解活性を測定する。標的細胞を、
ホタルホティナス・ピラリス(Photinus pyralis)(EC 1.13.12.7)からのホタルルシフェラーゼをコードするルシフェラーゼ遺伝子で安定にまたは一過性にトランスフェクトした。ルシフェラーゼはルシフェリンの酸化を触媒する酵素である。反応はATP依存性であり、2段階で起こる:
ルシフェリン+
ATP → ルシフェリルアデニレート+
PPi
ルシフェリルアデニレート+
O2 → オキシルシフェリン+
AMP+光
【0389】
標的細胞を10
4細胞/ウェルの濃度で白色96穴プレート(Nunc,Wiesbaden,Germany)に塗布し、100μlの最終容量で様々な数のTCR−トランスフェクトT細胞と共培養した。3時間後、D−ルシフェリン(BD Biosciences)を含有する反応混合物(ルシフェリン(1μg/μl)、HEPES緩衝液(50mM、pH)、アデノシン5'−三リン酸(ATPアーゼ、0.4mU/μl、Sigma−Aldrich,St.Louis,USA))50μlを細胞に添加した。反応混合物へのATPアーゼの添加により、死細胞から放出されたルシフェラーゼから生じる発光が減少した。
【0390】
4時間の総インキュベーション時間後、生細胞によって放出された生物発光を、Tecan Infinite 200リーダー(Tecan,Crailsheim,Germany)を用いて測定した。細胞死滅活性を、2%Triton−X 100の添加によって誘導される完全な細胞溶解後に得られた発光値に関しておよび標的細胞単独によって放出された発光と関連付けて計算した。データ出力は秒当たりカウント(CPS)であり、パーセント細胞溶解は以下のように計算した:
(1−(CPS
exp−CPS
min)/(CPS
max−CPS
min)))×100。
【0391】
エフェクター細胞なしで標的細胞をインキュベートした後に最大発光(最大秒当たりカウント、CPSmax)を評価し、完全溶解のために界面活性剤Triton−X−100で標的細胞を処理した後に最小発光(CPSmin)を評価した。
【0392】
ELISPOT(酵素結合免疫SPOTアッセイ)
マイクロタイタープレート(Millipore,Bedford,MA,USA)を抗IFNγ抗体1−D1k(Mabtech,Stockholm,Sweden)で室温にて一晩被覆し、2%ヒトアルブミン(CSL Behring,Marburg,Germany)でブロックした。電気穿孔の24時間後、2〜5×10
4/ウェルの抗原提示刺激細胞を0.3〜3×10
5/ウェルのTCRトランスフェクトCD4+またはCD8+エフェクター細胞と共に3組接種した。プレートを一晩インキュベートし(37℃、5%CO
2)、PBS 0.05%Tween 20で洗浄して、抗IFNγビオチン化mAB 7−B6−1(Mabtech)と共に1μg/mlの最終濃度で37℃にて2時間インキュベートした。アビジン結合ホースラディッシュペルオキシダーゼH(Vectastain Elite Kit;Vector Laboratories,Burlingame,USA)をウェルに添加し、室温で1時間インキュベートして、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(Sigma,Deisenhofen,Germany)で発色させた。
【0393】
CFSE(カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル)増殖アッセイ
CD8+T細胞をTCRまたはCAR RNAでトランスフェクトし、CFSE 2.5μMで標識した。標識T細胞を洗浄し、RNAトランスフェクト自己単球またはiDCと共培養した(E:T(エフェクター細胞:標的(腫瘍)細胞)=10:1)。共培養の4日後、細胞を採取し、細胞分裂後の娘細胞内のCFSE蛍光の漸進的半減に基づきフローサイトメトリによって増殖を分析した。
【0394】
安定なCAR発現のためのレトロウイルス構築物
CLDN6−CARまたは陰性対照として使用した無関係な腫瘍抗原に対するCARの安定発現のために、レトロウイルスSINベクターES12.6を使用した(
図19)。
【0395】
ヒトT細胞の形質導入
マウス養子細胞移入(ACT)実験のために、ヒトTリンパ球を、2時間のプラスチック接着後に単球の除去によって健常ドナーのPBMCから濃縮した。Tリンパ球を、5%ヒトAB血清(Invitrogen)、100U/ml IL2(Proleukin S,Novartis)、20ng/ml IL7(Miltenyi)、10ng/ml IL15(Miltenyi)を添加したX−Vivo15(Lonza)培地で培養し、磁気抗CD3/抗CD28ビーズ(Dynabeads;Invitrogen)を用いて1:3のCD3細胞対ビーズ比で刺激して、刺激後3日目と4日目にレトロウイルス上清で形質導入した。5%ヒトAB血清、300U/ml IL2、20ng/ml IL7および10ng/ml IL15を添加したX−Vivo15培地で細胞を増殖させた。37℃、5%CO
2、95%相対湿度でのインキュベーション(
図20)。
【0396】
抗腫瘍活性のインビボ検証のためのマウスモデル
1×10
7のOV90−SC12ヒト卵巣腫瘍細胞を8〜14週齢のNOD.Cg−Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)に皮下注射することによって異種移植腫瘍を確立した。4日後、マウスを1×10
7のCAR形質導入T細胞(20〜37%CAR陽性)の単回静脈内注射で処置した。カリパスを使用した体積測定によって腫瘍モニタリングを週1回実施した(
図21(a))。
【0397】
(実施例2)
クローディン6に特異的な高親和性HLA−A
*02拘束性マウスTCRの単離
A2/DR1マウスにおけるCLDN6の免疫原性を、CLDN6をコードするIVT−RNAでの反復リンパ節内免疫によって検証し、これらのマウスの脾細胞をCLDN6特異的T細胞の単離およびその後の対応するTCR遺伝子のクローニングのために使用した(
図5)。免疫マウスの脾細胞を、CLDN6特異的T細胞の誘導の成功およびエクスビボでの予測されたHLA−A
*02結合CLDN6ペプチドに対するそれらの反応性に関してIFNγ−ELISPOTアッセイによって分析した(
図6)。
【0398】
有意の頻度のCLDN6特異的T細胞をRNA免疫によって3匹すべてのマウスにおいて誘導することができたが、T細胞反応性は、最良のHLA−A
*02結合スコアを有する予測された2つのCLDN6ペプチド(Cl6−A2−1およびCl6−A2−2)に集中した。
【0399】
CLDN6特異的T細胞の単離のために、免疫マウスの脾細胞をインビトロで再刺激し、CD137の活性化誘導性上方調節に基づきフローサイトメトリによって選別した(
図7)。
【0400】
CLDN6特異的CD8+T細胞を3匹すべての免疫A2/DR1マウスから回収することができ、合計11のCLDN6特異的TCRを単一選別マウスT細胞からクローニングした。
【0401】
TCRを免疫学的検証アッセイに供し、このアッセイは、6つのCLDN6−TCRがHLA−A
*0201拘束性エピトープCLDN6−91−99(Cl6−A2−1)を認識し、4つのCLDN6−TCRがCLDN6−14−22(Cl6−A2−2)に特異的であることを明らかにしたが、どちらのエピトープも先にエクスビボELISPOT分析によって同定された(
図8)。1つのCLDN6−TCR(TCR
CD8−CLDN6 No.7)はペプチドCLDN6−7−15(Cl6−A2−3)を認識した。
【0402】
(実施例3)
CLDN6 91−99に特異的なマウスTCRの比較試験
すべてHLA−A
*02拘束性エピトープCLDN6−91−99を認識する合計6のマウスTCRを同定した。このエピトープが天然にプロセシングされ、内因性にCLDN6を発現する腫瘍細胞株によって提示されることを確認するため、および同定されたマウスTCRの、そのような細胞の死滅を媒介する潜在能を評価するために、ルシフェラーゼに基づく細胞傷害アッセイを実施した。ヒト予備活性化CD8+T細胞をTCR RNAでトランスフェクトし、表面発現をフローサイトメトリによって分析した(
図9)。マウスTCR−β鎖の定常ドメインに特異的な蛍光色素結合抗体での染色によって示されたように、RNA移入後にすべてのマウスTCRが高い割合のヒトCD8+T細胞上に発現された。TCRトランスフェクトT細胞を、CLDN6発現腫瘍細胞株PA1(奇形腫)およびNIH−Ovcar3(卵巣癌)と共にルシフェラーゼに基づく細胞傷害アッセイに供した。CLND6陰性乳癌細胞株MDA−MB−231を陰性対照として使用した。すべてのTCRが、PA1の38〜94%およびNIH−Ovcar3の29〜76%に及ぶCLDN6発現腫瘍細胞株の効率的な溶解を媒介し、一方非トランスフェクトT細胞では溶解は全く観察できなかった(
図10)。mTCR
CD8−CLDN6 No.1、No.8またはNo.18を使用した場合、大部分の標的細胞が溶解した。
【0403】
マウスTCRが自己抗原発現標的細胞との共培養後にヒトT細胞の特異的増殖を媒介することができるかどうかを分析するため、CFSE増殖アッセイを実施した(
図11)。TCRトランスフェクトCD8+T細胞を、滴定量のCLDN6 RNAでトランスフェクトした自己単球と共培養した。すべてのTCRが、CLDN6−RNAトランスフェクトCD14+細胞との4日間の共培養後に、CFSE増殖染料の希釈によって示された特異的増殖を媒介したが、特に低い量のCLDN6 RNAを標的細胞にトランスフェクトした場合、やはりmTCR
CD8−CLDN6 No.1、No.8またはNo.18が最良の結果を示した。我々は、mTCR
CD8−CLDN6 No.18を、CLDN6を標的とするCAR形成と共にリード構造選択のためのゴールドスタンダードとして使用することを決定した。
【0404】
(実施例4)
クローディン6特異的CARの作製およびインビトロ検証
CLDN6を発現する標的細胞上のCLDN6を特異的に標的とする2つの異なるCAR形式を評価した。その1つは、マウスTCRβ鎖の定常ドメインとscFvの結合およびTCRα鎖の定常ドメインの共発現に基づく新規形式(CAR/Cα)である(Voss RH et al.,(2011)Molecular Therapy 19,supplement,S86)(
図3)。2番目の形式は、それぞれCD3ζおよびCD28のシグナル伝達および共刺激部分を含む古典的第2世代CAR(CAR−28ζ)である。CD28エンドドメイン内のlck結合部分の欠失は、CAR係合後のIL2分泌を排除し、制御性T細胞の誘導を妨げる(Kofler D.M.et al.,(2011)Molecular Therapy 19(4),760−767)。CARの細胞外部分内のIgG1 Fc「スペーサー」ドメインの修飾は、「オフターゲット」活性化および先天性免疫応答の意図せぬ開始を回避する(Hombach A.et al.,(2010)Gene Therapy 17,1206−1213)。
【0405】
CARはHLA非依存性のscFv媒介性抗原結合を提供するので、CARはCD4+およびCD8+T細胞の両方において機能性である。それゆえ、我々は最初に、CAR RNAのバルクPBMCへのトランスフェクション後にCD4+およびCD8+T細胞上のCAR表面発現を分析した。
【0406】
新規CAR/Cαおよび古典的第2世代CAR(CAR−28ζ)はどちらも、RNA移入後のヒトT細胞の表面に発現される(
図12)。CAR−28ζは、CAR/Cαよりも有意に良好にCD4+およびCD8+T細胞の表面に発現された。後者は、CARとCα鎖の共トランスフェクションによってまたはCARおよびCα遺伝子の同時発現のための2Aペプチドベースのバイシストロニックベクターとして移入した。フローサイトメトリ分析は、CARとCαの2Aベースの結合が、2つの成分の共発現と比較して表面発現の減少をもたらすことを明らかにした。バイシストロニックベクターを臨床試験に使用するので、2つのCAR/Cα成分の結合をさらに改善しなければならない。
【0407】
種々のCLDN6標的化受容体形式によって媒介される特異的腫瘍細胞溶解を分析するため、ルシフェラーゼに基づく細胞傷害アッセイを実施した。CARまたはTCRでトランスフェクトした予備活性化CD8+T細胞を、CLDN6陽性または陰性腫瘍細胞株と共に種々のエフェクター対標的比で培養し、4時間の共培養後に特異的溶解を計算した(
図13)。すべてのCARおよびTCRトランスフェクトT細胞は、非トランスフェクトT細胞と比較してCLDN6発現腫瘍細胞株の有意の特異的溶解を示した。
【0408】
患者におけるCAR操作したT細胞の増殖および持続のための必要条件は、血液悪性疾患におけるCD19特異的CARの有望な臨床試験結果によって明らかにされたように、抗原の存在である。RNA免疫による内因性T細胞の増殖と同様に、我々は、CAR T細胞も、標的細胞のRNAワクチン接種を使用して増殖させ、CAR T細胞刺激のために天然CLND6を提供することができるかどうかを分析したいと考えた。CLDN6または対照RNAトランスフェクト自己iDcと共にCARトランスフェクトCD8+T細胞を使用してインビトロ増殖アッセイを実施した(
図14)。mTCR
CD8−CLDN6 No.18は、CLDN6トランスフェクト標的細胞に応答して最良の増殖を媒介した(73%)。CLDN6−CAR−28ζも有意の割合の増殖T細胞をもたらしたが(44%)、CLDN6−CAR/Cαは、おそらくCD28媒介性共刺激の欠如に起因して、増殖を誘導することができなかった。増殖の誘導は抗腫瘍活性の成功のための必要条件であるので、我々は、CAR−28ζ形式をさらなるリード構造選択のために使用することを決定した。
【0409】
(実施例5)
前臨床および臨床試験のためのCLDN6−CAR−28ζリード構造選択
抗原認識を担うCLDN6−CAR−28ζ scFvフラグメントは不対システインを含む。そのような遊離システインは、特定の状況下でCARタンパク質のミスフォールディングまたはジスルフィド結合の形成による他のシステインとの望ましくない相互作用をもたらし得るので、このシステインを排除し、セリン、グリシンまたはアラニンに交換することを決定した。
【0410】
次に、生じたCLDN6−CAR−28ζ構築物を表面発現(
図15、16)および細胞傷害性(
図17)に関して比較分析した。グリシン変異体を除き、すべての変異構築物は野生型変異体と同等の表面発現および溶解を示した。
【0411】
変異CAR構築物の親和性を比較するため、滴定量のCLDN6 RNAでトランスフェクトした自己iDCに応答したそれらの細胞傷害能を分析した。極めて少量のCLDN6 RNA(0.001μg)でさえも、すべてのCAR構築物によって媒介される標的細胞の有意の溶解を生じさせた。CLDN6−CAR−28ζのセリン変異体は表面発現および細胞傷害性に関してわずかにより良好な結果を示したので、この変異体を前臨床試験に使用することを決定した。
【0412】
(実施例6)
CLDN6−CARのインビボ抗腫瘍活性
CLDN6発現腫瘍細胞株に対する抗腫瘍活性をインビトロで決定した後、腫瘍担持マウスにおける抗腫瘍能を測定した。そのため、CLDN6−CAR形質導入ヒトT細胞の潜在能を、異種移植モデルにおいて無関係な腫瘍抗原に対する対照CARで形質導入したT細胞および非形質導入T細胞と比較した。ヒト卵巣癌細胞株OV90−SC12の合計1×10
7細胞をNSGマウスに皮下注射した。腫瘍移植の4日後にマウスを1×10
7のCAR形質導入T細胞の単回静脈内注射で処置した。カリパスを使用した体積測定によって腫瘍モニタリングを週1回実施した。CLDN6−CAR形質導入T細胞でのマウスの処置は、無関係な腫瘍抗原−CAR形質導入T細胞、非形質導入T細胞で処置した対照群またはT細胞を摂取しなかった群と比較して腫瘍増殖を有意に遅らせた(
図21(b)および(c))。
【0413】
(実施例7)
CLDN6発現標的細胞に応答したCLDN6−CAR T細胞のインビトロ増殖
RNA免疫による内因性T細胞の増殖と同様に、天然CLND6を提供するための標的細胞のRNAワクチン接種を用いたCAR T細胞の刺激および増殖をインビトロ増殖アッセイによって分析した。CD8
+T細胞を、CLDN6または陰性対照として無関係な腫瘍抗原に対するCARをコードするIVT−RNAでトランスフェクトし、CFSE(カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル)で標識して、CLDN6トランスフェクト自己iDCと共に4日間共培養した(
図22)。CLDN6トランスフェクトiDCに応答してほぼすべてのCD8
+T細胞のCLDN6−CAR媒介性増殖を観察することができ(95%)、一方無関係な腫瘍抗原CARトランスフェクトT細胞に関してはバックグラウンド増殖(1.5%)しか観察できず、増殖はCAR骨格に依存するのではなく、CLDN6特異的であることを示した。
【0414】
CLDN6特異的T細胞エピトープ
A2−1 (aa 91−99)
ALFGLLVYL
【0415】
A2−2 (aa 14−22)
TLLGWVNGL
【0416】
A2−3 (7−15)
QILGVVLTL
【0417】
CLDN6特異的T細胞受容体
TCR
CD8−mCl6#1:
配列番号:6; > Vα9N.3 J13 C
MLLALLSVLGIHFLLRDAQAQSVTQPDARVTVSEGASLQLRCKYSYFGTPYLFWYVQYPRQGLQLLLKYYPGDPVVQGVNGFEAEFSKSNSSFHLRKASVHWSDWAVYFCAVSMSSGTYQRFGTGTKLQVVPNIQNPEPAVYQLKDPRSQDSTLCLFTDFDSQINVPKTMESGTFITDKTVLDMKAMDSKSNGAIAWSNQTSFTCQDIFKETNATYPSSDVPCDATLTEKSFETDMNLNFQNLSVMGLRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS
【0418】
配列番号:7; > Vβ29 D1 J2.5 C2
MRVRLISAVVLCFLGTGLVDMKVTQMPRYLIKRMGENVLLECGQDMSHETMYWYRQDPGLGLQLIYISYDVDSNSEGDIPKGYRVSRKKREHFSLILDSAKTNQTSVYFCASSSQNQDTQYFGPGTRLLVLEDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYHQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSGLVLMAMVKKKNS
【0419】
TCR
CD8−mCl6#2:
配列番号:8; > Vα6N.6 J23 C
MDSFPGFVAVILLILGRTHGDSVTQTEGQVTVSESKSLIINCTYSATSIGYPNLFWYVRYPGEGLQLLLKVITAGQKGSSRGFEATYNKEATSFHLQKASVQESDSAVYYCALNNQGKLIFGQGTKLSIKPNIQNPEPAVYQLKDPRSQDSTLCLFTDFDSQINVPKTMESGTFITDKTVLDMKAMDSKSNGAIAWSNQTSFTCQDIFKETNATYPSSDVPCDATLTEKSFETDMNLNFQNLSVMGLRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS
【0420】
配列番号:9; > Vβ13.2 D1 J2.4 C2
MGSRLFFVLSSLLCSKHMEAAVTQSPRNKVAVTGGKVTLSCNQTNNHNNMYWYRQDTGHGLRLIHYSYGAGSTEKGDIPDGYKASRPSQENFSLILELATPSQTSVYFCASGGDSQNTLYFGAGTRLSVLEDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYHQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSGLVLMAMVKKKNS
【0421】
TCR
CD8−mCl6#3:
配列番号:18; > Vα16N J6 C
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【0422】
配列番号:19; > Vβ2 D2 J2.4 C2
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【0423】
TCR
CD8−mCl6#7:
配列番号:28; > Vα6N.7 or Vα6D.7_4 J26 C
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【0424】
配列番号29; > Vβ13.3 D1 J1.4_02 C1
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【0425】
TCR
CD8−mCl6#8:
配列番号:10; > Vα16N J13 C
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【0426】
配列番号:11; > Vβ2 D1 J1.3 C1
MGSIFLSCLAVCLLVAGPVDPKIIQKPKYLVAVTGSEKILICEQYLGHNAMYWYRQSAKKPLEFMFSYSYQKLMDNQTASSRFQPQSSKKNHLDLQITALKPDDSATYFCASSQQNSGNTLYFGEGSRLIVVEDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSTLVVMAMVKRKNS
【0427】
TCR
CD8−mCl6#10:
配列番号:20; > Vα13D.4_03 J42 C
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【0428】
配列番号:21; > Vβ4_02 D2 J2.7 C2
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【0429】
TCR
CD8−mCl6#12:
配列番号:12; > Vα3.3 J50 C
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【0430】
配列番号:13; > Vβ26 D2 J2.5 C2
MATRLLCYTVLCLLGARILNSKVIQTPRYLVKGQGQKAKMRCIPEKGHPVVFWYQQNKNNEFKFLINFQNQEVLQQIDMTEKRFSAECPSNSPCSLEIQSSEAGDSALYLCASSLTGGAQDTQYFGPGTRLLVLEDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYHQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSGLVLMAMVKKKNS
【0431】
TCR
CD8−mCl6#13:
配列番号:22; > Vα16N J22 C
MLILSLLGAAFGSICFAATSMAQKVTQTQTSISVVEKTTVTMDCVYETRDSSYFLFWYKQTASGEIVFLIRQDSYKKENATVGHYSLNFQKPKSSIGLIITATQIEDSAVYFCAMRVASSGSWQLIFGSGTQLTVMPDIQNPEPAVYQLKDPRSQDSTLCLFTDFDSQINVPKTMESGTFITDKTVLDMKAMDSKSNGAIAWSNQTSFTCQDIFKETNATYPSSDVPCDATLTEKSFETDMNLNFQNLSVMGLRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS
【0432】
配列番号:23; > Vβ2 D1 J2.1 C2
MGSIFLSCLAVCLLVAGPVDPKIIQKPKYLVAVTGSEKILICEQYLGHNAMYWYRQSAKKPLEFMFSYSYQKLMDNQTASSRFQPQSSKKNHLDLQITALKPDDSATYFCASSQGDNNYAEQFFGPGTRLTVLEDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYHQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSGLVLMAMVKKKNS
【0433】
TCR
CD8−mCl6#14:
配列番号:14; > Vα4N.4 or Vα4D.4_03 J6 C
MQRNLVAVLGILWVQICWVRGDQVEQSPSALSLHEGTGSALRCNFTTTMRAVQWFRKNSRGSLINLFYLASGTKENGRLKSAFDSKERYSTLHIRDAQLEDSGTYFCAAEGGGNYKPTFGKGTSLVVHPYIQNPEPAVYQLKDPRSQDSTLCLFTDFDSQINVPKTMESGTFITDKTVLDMKAMDSKSNGAIAWSNQTSFTCQDIFKETNATYPSSDVPCDATLTEKSFETDMNLNFQNLSVMGLRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS
【0434】
配列番号:15; > Vβ31 D1 J1.1 C1
MLYSLLAFLLGMFLGVSAQTIHQWPVAEIKAVGSPLSLGCTIKGKSSPNLYWYWQATGGTLQQLFYSITVGQVESVVQLNLSASRPKDDQFILSTEKLLLSHSGFYLCAWSPPINTEVFFGKGTRLTVVEDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSTLVVMAMVKRKNS
【0435】
TCR
CD8−mCl6#15:
配列番号:24; > Vα3.1 J39 C
MKTVTGPLLLCFWLQLNCVSRGEQVEQRPPHLSVREGDSAIIICTYTDSATAYFSWYKQEAGAGLQLLMSVLSNVDRKEEQGLTVLLNKKDKRLSLNLTAAHPGDSAVYFCATNAGAKLTFGGGTRLTVRPDIQNPEPAVYQLKDPRSQDSTLCLFTDFDSQINVPKTMESGTFITDKTVLDMKAMDSKSNGAIAWSNQTSFTCQDIFKETNATYPSSDVPCDATLTEKSFETDMNLNFQNLSVMGLRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS
【0436】
配列番号:25; > Vβ4 D2 J2.7 C2
MGCRLLSCVAFCLLGIGPLETAVFQTPNYHVTQVGNEVSFNCKQTLGHDTMYWYKQDSKKLLKIMFSYNNKQLIVNETVPRRFSPQSSDKAHLNLRIKSVEPEDSAVYLCASSLYWGDSYEQYFGPGTRLTVLEDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYHQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSGLVLMAMVKKKNS
【0437】
TCR
CD8−mCl6#17:
配列番号:26; > Vα14.3 or Vα14D.3/DV8_08 J22 C
MDKNLTASFLLLGLHLAGVSGQQEKRDQQQVRQSPQSLTVWEGETAILNCSYENSAFDYFPWYQQFPGEGPALLISILSVSDKKEDGRFTIFFNKREKKLSLHIADSQPGDSATYFCAASLSSGSWQLIFGSGTQLTVMPDIQNPEPAVYQLKDPRSQDSTLCLFTDFDSQINVPKTMESGTFITDKTVLDMKAMDSKSNGAIAWSNQTSFTCQDIFKETNATYPSSDVPCDATLTEKSFETDMNLNFQNLSVMGLRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS
【0438】
配列番号:27; > Vβ3 D2 J2.7 C2
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【0439】
TCR
CD8−mCl6#18:
配列番号:16; > Vα6D.6_02 J4 C
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【0440】
配列番号:17; > Vβ26 D1 J2.7 C2
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