【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1
の特徴を備える電動工具装置が提案される。特に、上記の種類の
電動工具装置において、
電圧変換器ユニットを電動工具の残り部分に取り付けて電気的に接触させた後に、電圧変換器ユニットは、少なくとも1つの内部バッテリユニットが電気モータに電気エネルギーを提供していない間に電気モータにその動作のために電気エネルギーを排他的に提供するように構成されることが提案される。
よって、電気モータの動作は、電圧変換器ユニットのみによって達成される。電圧変換器ユニットのみによる電気モータの動作中には、少なくとも1つの内部バッテリユニットが単に再充電されるだけである。完全に充電された後に、内部バッテリユニットは、内部バッテリユニットが充電されず電気モータの動作のための電気エネルギーも供給しない休止状態にされてもよい。
【0010】
本発明による
電動工具装置は、長時間にわたって電気モータを動作させるための追加の電気エネルギーを提供できる、少なくとも1つの追加の内部バッテリのために、従来のバッテリ式動力工具内のこれまで使用されていなかった空間を使用する。動力工具の意図された使用中に所望の作業を達成するのに比較的大量の電力(高電流)を必要とするので、バッテリを再充電する必要なしに動力工具を利用できる時間は、研磨又はサンディング工具のようなバッテリ式動力工具にとって極めて重要な要素である。それゆえ、少なくとも1つの追加の内部バッテリユニットは、バッテリの2つの充電サイクル間での電動工具のより長い連続使用時間と、より長時間にわたって所望のかなり大きな電流を供給する動力工具の動作とをもたらす。これによって、工具の使い勝手が大幅に向上する。
【0011】
単に、大型の外部バッテリユニットを用意して、動力工具のハウジング内の未使用空間を大型の外部バッテリユニットで埋めるだけでは、非常に大型で且つ重量のある外部バッテリユニットが、動力工具のハウジングからの引き抜き、外部充電器での再充電、及びハウジングへの再挿入の際に、使用者にとって取り扱い難いものとなる。更に、従来の小型の外部バッテリユニットはもはや使用できず、動力工具又はバッテリの製造業者は新たな大型のバッテリユニットを開発して製造しなければならず、また、動力工具の使用者は、必要に応じて大型のバッテリユニットを動力工具への挿入のために現場に持ち込んで保管しなければならない。
【0012】
それとは対照的に、本発明は、同様の又は他のバッテリ式電動工具に対してこれまで使用者によって使用されてきた従来の小型の外部バッテリユニットの使用を可能にする。使用者は、既に所有している外部バッテリユニットを引き続き使用することができる。同時に、ハウジング内の未使用空間が、少なくとも1つの追加の内部バッテリユニットによってうまく有効に利用される。
【0013】
外部バッテリユニットは、ハウジングの外側面に取り付けられて、ハウジングの外側面に設けられた接触要素によって動力工具の残り部分に電気的に接触してもよい。外部バッテリユニットを取り付けて接触させる他の方法も考えられる。例えば、本発明の好ましい実施形態によれば、ハウジングが、外側からアクセス可能な受け部であって、外部バッテリユニットの少なくとも一部を受け入れるように構成された受け部を備えることが提案される。好ましくは、受け部の形状及び寸法は、外部バッテリユニットの挿入部の形状及び寸法に適合される。受け部に挿入されない、外部バッテリユニットの部分は、好ましくは、挿入部に対して形状及び/又は寸法が異なる。外部バッテリユニットの非挿入部が、受け部の挿入開口を取り囲む工具ハウジングの形状及び寸法を形成し、それによって、工具ハウジングと外部バッテリユニットの非挿入部との間に略連続した移行部をもたらし、動力工具の見栄えの良い外観が得られることが特に好ましい。
【0014】
受け部は、好ましくは、挿入開口が後方に向いた状態で動力工具のハウジングの後部に設けられる。受け部の長手方向延在部は、好ましくは、工具ハウジングの長手方向延在部に平行に延びる。外部バッテリユニットの大部分が受け部に挿入され、それに対して、外部バッテリユニットの小部分が挿入されずに外側から視認可能なままであることが提案される。更に、受け部及び外部バッテリユニットには、受け部の挿入開口への外部バッテリユニットの導入並びに/又は受け部への外部バッテリユニットの挿入及び受け部からの外部バッテリユニットの引き抜きを容易にするように互いに協働する、それぞれの案内手段が設けられることが提案される。また、受け部及び外部バッテリユニットには、挿入開口への外部バッテリユニットの導入及び受け部への挿入をバッテリユニットの1つの特定の向きでのみ許容するように互いに協働する対応する符号化要素が設けられてもよい。これによって、動力工具の残り部分に対する外部バッテリユニットの安全で確実な取り付け及び接触がなされる。外部バッテリユニットは、受け部への外部バッテリユニットの挿入前、挿入中又は挿入後に、動力工具の残り部分のそれぞれの接触要素に電気的に接触してもよい。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、受け部が、受け部への外部バッテリユニットの少なくとも一部の挿入後に外部バッテリユニットを動力工具の残り部分に着脱可能に取り付けるための締結要素を備え、且つ受け部が、受け部への外部バッテリユニットの少なくとも一部の挿入前、挿入中又は挿入後に外部バッテリユニットを動力工具の残り部分に電気的に接触させるための電気接触要素を更に備えることが提案される。
【0016】
外部バッテリユニットには、挿入工程の少なくとも終了時に受け部の締結要素と協働するように構成され、それによって、外部バッテリユニットを受け部内に保持して固定し、且つ動力工具の意図された使用中にバッテリユニットが受け部から意図せずに落下するのを防止する、対応する締結要素が設けられる。受け部及び外部バッテリユニットの締結要素は、凹部若しくは孔と協働する弾性フックとして、強磁性要素と協働する磁性要素として、バヨネット締結機構の構成要素として、又は他の任意の方法で具現化されてもよい。
【0017】
また、外部バッテリユニットには、外部バッテリユニットを電動工具の残り部分の電子機器に電気的に接触させるための挿入工程の少なくとも終了時に受け部の電気接触要素と協働するように構成された、対応する電気接触要素が設けられる。受け部及び外部バッテリユニットの接触要素は、プラグ及びソケット構成として、挿入方向に沿って受け部の側壁上に延びる導電性トラックと協働する弾性電気接点として、受け部の底壁に配置された他の電気接点と協働する弾性電気接点として、又は他の任意の方法で具現化されてもよい。
【0018】
電気接触要素が、受け部への外部バッテリユニットの少なくとも一部の完全な挿入時に外部バッテリユニットと動力工具の残り部分との電気接触を自動的に確立するように構成される場合に特に好ましい。更に、締結要素が、受け部への外部バッテリユニットの少なくとも一部の完全な挿入時に互いに自動的に相互作用するように構成されることが好ましい。これには、1回の挿入動作で外部バッテリユニットを動力工具の残り部分に着脱可能に取り付けて電気的に接続できるという利点がある。外部バッテリユニットを電動工具の残り部分に着脱可能に取り付け且つ/又は電気的に接触させるのに追加の動作は必要ない。
【0019】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、外部バッテリユニットを電動工具の残り部分に取り付けて電気的に接触させた後に、全てのバッテリユニット(内部及び外部)は、動力工具の意図された使用中に電気モータにその動作のために電気エネルギーを同時に提供するように構成される。好ましくは、全てのバッテリユニットは、特に電気モータの動作電圧に相当する、同じ電圧を有する。よって、外部及び内部バッテリユニット並びに電気モータは、好ましくは、電気モータを動作させるのに利用できる全電流がバッテリユニット各々の電流の総量となるように、互いに並列に接続される。換言すれば、外部及び内部バッテリユニットは、バッテリユニット各々の電圧に相当する全電圧を有し且つバッテリユニット各々の電流の総量に相当する電流を提供する単一のバッテリユニットであるかのように機能する。
【0020】
本発明は、電動工具がポリッシャ又はサンダとして、特に角付きポリッシャ又はサンダとして具現化される場合に特に有利である。その場合、作業要素は通常、回転及び/又はオービタル作業運動を行うバッキングパッドである。好ましくは、バッキングパッドは、円形状を有し、且つ純粋な回転、ランダムオービタル又は回転オービタル(歯車駆動)作業運動を行う。シート状の研磨又はサンディング部材は、好ましくは面ファスナ(Velcro(登録商標))によって、バッキングパッドの底面に着脱可能に取り付けられる。この目的のために、バッキングパッドの底面には、Velcro(登録商標)材料の第1の層が設けられてもよい。シート状の研磨部材は、スポンジ又は発泡体パッド、ラムウール又は合成ウールシート、マイクロファイバーシートなどを含む。シート状のサンディング部材は、研磨砥粒が取り付けられた、紙又は布シートなどを含む。シート状の研磨又はサンディング部材の上面には、Velcro(登録商標)材料の第2の層が設けられてもよい。
【0021】
ポリッシャ及びサンダは通常、使用者によって両手で把持され、それゆえ、ポリッシャ又はサンダの良好な使い勝手に影響を及ぼさずには著しく小型化できない、かなり大きなハウジングを有する。通常、使用者は、ハウジングの後部を第1の手で把持し、場合により、第1の手の人差し指又は手のひらによってポリッシャ又はサンダのオン/オフ式スイッチを作動させ、且つ第1の手の指又は親指によって、ポリッシャ又はサンダの速度を調節するための回転スイッチ又はポテンショメータを作動させる。通常、使用者は、バッキングパッドと、バッキングパッドに取り付けられたシート状の研磨又はサンディング部材とに十分な作業圧力を加えるために、バッキングパッドよりも上のハウジングの前部に第2の手を置く。圧力の方向は、好ましくは、バッキングパッドの延在部に直交し且つバッキングパッドの回転軸線に平行である。ポリッシャ又はサンダの使い勝手の良さには、ハウジングを把持する2つの手の間に、したがって、ハウジングの後部と前部との間に一定の距離が必要である。それゆえ、最新のポリッシャ又はサンダは、ハウジング内に特に大きな未使用空間を有し、この未使用空間は、本発明によれば、少なくとも1つの追加の内部バッテリユニットを内部に配置するためにうまく利用される。
【0022】
電気モータと作業要素との接続は、モータ軸が作業要素に直接連結され、作業要素がモータの速度で回転する、直接接続とすることができる。代替的に、その接続は、特定の構成要素が、モータ軸と作業要素が接続される駆動軸との間に機能的に配置された状態の、間接的接続とすることができる。構成要素は、クラッチ、過負荷保護(動力工具の意図された使用中に作業要素に加わる力/負荷が一定値を超えた場合に、駆動軸に対するモータ軸の自由回転を許容する)、平行、傘歯又は遊星歯車機構、作業要素にランダムオービタル作業運動を行わせる偏心要素などを含むことができる。好ましくは、電気モータと作業要素との接続は、間接的であり、且つ機械式及び/又は磁気式である。特に、機械歯車機構及び/又は磁気歯車機構が電気モータと作業要素との接続部に機能的に配置されることが提案される。
【0023】
電動工具は、バッテリユニットから生じる電気エネルギーによってだけでなく、商用電源から生じる電気エネルギーによっても動作させることができる。これには、ほぼ無限の時間にわたって電動工具を動作させることができるという利点がある。外部バッテリユニットの代わりに電圧変換器ユニットを使用することは、十分な商用電源ソケットを備えた場所において、及び広い表面、例えば大型船艇の船体若しくは飛行機の機体、又は車体の広い表面、例えば、エンジンボンネット、トランクリッド、ルーフ若しくはドアに対して作業を行わなければならない状況において特に有利である。電圧変換器ユニットの使用中に、取り外された外部バッテリユニットは、例えば、外部バッテリ充電器において再充電されてもよい。
【0024】
好ましくは、電圧変換器ユニットの形状及び寸法は、電圧変換器ユニットの少なくとも一部が受け部に挿入され、ハウジングに着脱可能に取り付けられて、電動工具の残り部分に電気的に接触し得るように、受け部の形状及び寸法に適合される。受け部に挿入されない、電圧変換器ユニットの部分は、好ましくは、挿入部に対して形状及び/又は寸法が異なる。電圧変換器ユニットの非挿入部が、受け部の挿入開口を取り囲む工具ハウジングの形状及び寸法を形成し、それによって、工具ハウジングと電圧変換器ユニットの非挿入部との間に略連続した移行部をもたらすことが特に好ましい。
【0025】
受け部及び電圧変換器ユニットには、受け部の挿入開口への電圧変換器ユニットの導入並びに/又は受け部への電圧変換器ユニットの挿入及び受け部からの電圧変換器ユニットの引き抜きを容易にするために互いに協働する、それぞれの案内手段が設けられることが提案される。また、受け部及び電圧変換器ユニットには、挿入開口への電圧変換器ユニットの導入及び受け部への挿入を1つの特定の向きでのみ許容するように互いに協働する対応する符号化要素が設けられてもよい。電圧変換器ユニットは、受け部への電圧変換器ユニットの挿入前、挿入中又は挿入後に、動力工具の残り部分のそれぞれの接触要素に電気的に接触してもよい。
【0026】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、受け部が、受け部への電圧変換器ユニットの少なくとも一部の挿入後に電圧変換器ユニットを動力工具の残り部分に着脱可能に取り付けるための締結要素を備え、且つ受け部が、受け部への電圧変換器ユニットの少なくとも一部の挿入後に電圧変換器ユニットを動力工具の残り部分に電気的に接触させるための電気接触要素を更に備えることが提案される。受け部の同じ締結要素が、外部バッテリユニットと電圧変換器ユニットとの着脱可能な取り付けのために使用されることと、受け部の同じ電気接点が、外部バッテリユニット及び電圧変換器ユニットを動力工具の残り部分に電気的に接触させるために使用されることが提案される。
【0027】
電圧変換器ユニットには、電圧変換器ユニットを受け部内に保持して固定し且つ電圧変換器ユニットが受け部から意図せず落下するのを防止するための挿入工程の少なくとも終了時に受け部の締結要素と協働するように構成された、対応する締結要素が設けられる。受け部及び電圧変換器ユニットの締結要素は、凹部若しくは孔と協働する弾性フックとして、強磁性要素と協働する磁性要素として、バヨネット締結機構の構成要素として、又は他の任意の方法で具現化されてもよい。
【0028】
また、電圧変換器ユニットには、電圧変換器ユニットを電動工具の残り部分の電子機器に電気的に接触させるための挿入工程の少なくとも終了時に受け部の電気接触要素と協働するように構成された、対応する電気接触要素が設けられる。受け部及び電圧変換器ユニットの接触要素は、プラグ及びソケット構成として、挿入方向に沿って受け部の側壁上に延びる導電性トラックと協働する弾性電気接点として、受け部の底壁に配置された電気接点と協働する弾性電気接点として、又は他の任意の方法で具現化されてもよい。
【0029】
電気接触要素が、受け部への電圧変換器ユニットの少なくとも一部の完全な挿入時に電圧変換器ユニットと動力工具の残り部分との電気接触を自動的に確立するように構成される場合に特に好ましい。更に、締結要素が、受け部への電圧変換器ユニットの少なくとも一部の完全な挿入時に互いに自動的に相互作用するように構成されることが好ましい。これには、1回の挿入動作で電圧変換器ユニットを動力工具の残り部分に着脱可能に取り付けて電気的に接続できるという利点がある。電圧変換器ユニットを電動工具の残り部分に着脱可能に取り付け且つ/又は電気的に接触させるのに追加の動作は必要ない。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、電圧変換器ユニットを電動工具の残り部分に取り付けて電気的に接触させた後に(且つ明らかに商用電源への電圧変換器ユニットの接続後に)、電圧変換器ユニットが、少なくとも1つの内部バッテリユニットを再充電するように構成されることが提案される。これには、内部バッテリユニットを再充電するための別個の外部バッテリ充電器に電動工具を取り付ける必要がないという利点がある。内部バッテリユニットは、内部バッテリユニットを電動工具の残り部分に取り付けて電気的に接続した後に、好ましくは、電圧変換器ユニットを備えた動力工具の意図された使用中に、電圧変換器ユニットによって自動的に再充電される。再充電工程は、適切なバッテリ充電管理ユニットによって制御することができる。バッテリ充電管理ユニットは、好ましくは、動力工具の電子機器に実装され、例えば、マイクロコントローラによって処理される適切なソフトウェアを用いてマイクロコントローラによって実現される。内部バッテリユニットの過充電及び起こり得る損傷は、バッテリ充電管理ユニットによって回避することができる。更に、再充電工程は、内部バッテリユニットにとって特に穏やか且つ保護的であるように制御して最適化することができ、それによって、内部バッテリユニットの長期にわたる寿命が確保される。
【0031】
電圧変換器ユニットを電動工具の残り部分に取り付けて電気的に接触させた後に、
電動工具の電気モータは、電圧変換器ユニットから生じる電気エネルギーを用いて動作させる。電気モータを動作させることは、内部バッテリユニットの再充電と同時に行うことができる。
【0032】
動力工具には、電圧変換器ユニット又は外部バッテリユニットが工具ハウジングの受け部に挿入されているかどうかによって異なるように動作させる1つ又は複数のスイッチング素子が設けられてもよい。例えば、1つ又は複数のスイッチング素子は、電圧変換器ユニットの挿入時に開かれ、且つ外部バッテリユニットの挿入時に閉じられてもよい。同様に、1つ又は複数のスイッチング素子は、電圧変換器ユニットの挿入時に閉じられ、且つ外部バッテリユニットの挿入時に開かれてもよい。スイッチング素子の各々は、機械スイッチ、磁気スイッチ、又は電気スイッチのうちの1つ又は複数を備え得る。機械スイッチは、電圧変換器ユニット及び/又は外部バッテリユニットが受け部に挿入されたときに、電圧変換器ユニット及び/又は外部バッテリユニットの機械部分によって動作させてもよい。磁気スイッチは、電圧変換器ユニット及び/又は外部バッテリユニットが受け部に挿入されたときに、電圧変換器ユニット及び/又は外部バッテリユニットの一部をなす永久磁石によって動作させてもよい。電気スイッチは、電圧変換器ユニット及び/又は外部バッテリユニットが受け部に挿入されたときに生成される電気制御信号によって動作させてもよい。スイッチは、半導体素子、例えばトランジスタなどとして具現化されてもよい。
【0033】
本発明の更なる特徴及び利点について添付の図面を参照しながら以下で説明する。