特許第6985470号(P6985470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985470
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20211213BHJP
   B60K 15/04 20060101ALI20211213BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   B60K15/04 Z
   B62D49/00 Z
   B62D49/00 Q
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-133517(P2020-133517)
(22)【出願日】2020年8月6日
(62)【分割の表示】特願2015-209406(P2015-209406)の分割
【原出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2020-193621(P2020-193621A)
(43)【公開日】2020年12月3日
【審査請求日】2020年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 義秋
【審査官】 沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−307962(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/147232(WO,A1)
【文献】 特開2014−151764(JP,A)
【文献】 特開2015−045235(JP,A)
【文献】 特開2012−62693(JP,A)
【文献】 特開2015−113769(JP,A)
【文献】 特開2015−117597(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0010858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
B60K 15/04
B62D 49/00
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に設けられるキャビンと、トランスミッションと、エンジンと、エンジンの排気ガス浄化装置で用いる還元剤を貯蔵する還元剤タンクとを備えるトラクタであって、前記キャビンの下部後方には、左右一対のフェンダーが設けられ、前記フェンダーの内側方には、前記トランスミッションに連結された支持台が設けられ、前記支持台には、前記機体の左右一方側であって、前記排気ガス浄化装置が備える、尿素選択触媒還元用のSCR触媒及び酸化触媒が内設されるケースと同じ側に前記還元剤タンクが設けられることを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
前記支持台は、前記支持台を固定する支持部材と、前記支持部材を固定し前記トランスミッションに固定されるトランスファーケースとを介して、前記トランスミッションに連結されることを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
【請求項3】
前記還元剤タンクは、エンジンの燃料タンクと並べて配置されるとともに、前記フェンダーには、前記燃料タンクの給油口に臨む開口を開閉可能に設けられた第一の蓋と、前記還元剤タンクの還元剤を補給する補給口に臨む開口を開閉可能に設けられた第二の蓋とが設けられることを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業車両に関し、特に排気浄化装置で用いる還元剤を貯蔵する還元剤タンクを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から農作業用のトラクタや土木作業用のホイルローダといった作業車両が知られている。このうち、ディーゼルエンジンを搭載した作業車両には、排気中に含まれる粒子状物質(すす、パティキュレート)や窒素酸化物(NOx)等を低減する排気浄化装置が搭載されている。
【0003】
窒素酸化物を低減させる装置として、選択還元型のNOx触媒(SCR触媒)と還元剤とを用いて、NOxを窒素と水とに還元する排気浄化装置が知られている。例えば、高温の排気中に噴射した尿素水からアンモニアを生成し、NOx触媒と接触させることでNOxを窒素と水に還元するものがある。
【0004】
尿素水を用いる場合、作業車両には尿素水を貯蔵する尿素水タンクと、尿素供給用の尿素水噴射ノズルと、尿素水噴射ノズルに尿素水タンクの尿素水を圧送する尿素水ポンプとが搭載される(特許文献1参照)。これにより、尿素水タンク内の尿素水が尿素水噴射ポンプから尿素水噴射ノズルに圧送され、尿素水噴射ノズルから尿素混合管内に噴射され、尿素混合管内でエンジンからの排気と混合される。尿素水が混合された排気はSCR触媒を通過することで窒素酸化物が低減され、マフラーから外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−151764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような排気浄化装置を搭載するには大きなスペースが必要であり、各部材をどのように配置するかが大きな課題となる。その中でも尿素水タンクは大きく、尿素水を補給する必要もあるため、一般的には燃料タンク近辺の空いているスペースに配置されることが多い。例えば、上記の特許文献1では、尿素水タンクはキャビンの前面のうち、ボンネットの左側部に設置されている。
【0007】
このような現状において、排気浄化装置を搭載することを前提として作業車両を設計することによって、排気浄化装置の各部材の配置を最適化することが考えられる。その中で、尿素水等の還元剤を貯蔵する還元剤タンクについても配置を最適化することが課題となる。
【0008】
本発明は、還元剤タンクの配置を最適化した作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
機体に設けられるキャビンと、トランスミッションと、エンジンと、エンジンの排気ガス浄化装置で用いる還元剤を貯蔵する還元剤タンクとを備えるトラクタであって、前記キャビンの下部後方には、左右一対のフェンダーが設けられ、前記フェンダーの内側方には、前記トランスミッションに連結された支持台が設けられ、前記支持台には、前記機体の左右一方側において前記還元剤タンクが設けられることを特徴とする。
【0010】
上記の作業車両において、前記支持台は、前記支持台を固定する支持部材と、前記支持部材を固定し前記トランスミッションに固定されるトランスファーケースとを介して、前記トランスミッションに連結されるように構成とすることもできる。
【0011】
また、前記還元剤タンクは、エンジンの燃料タンクと並べて配置されるとともに、前記フェンダーには、前記燃料タンクの給油口に臨む開口を開閉可能に設けられた第一の蓋と、前記還元剤タンクの還元剤を補給する補給口に臨む開口を開閉可能に設けられた第二の蓋とが設けられるように構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
上記の作業車両によれば、還元剤タンクの配置を最適化した作業車両を提供することができる。
【0013】
また上記の作業車両によれば、支持台を強固な構成にすることができる。
【0014】
また上記の作業車両によれば、還元剤タンクと燃料タンクとを、支持台の空いたスペースに配置することでき、スペースを有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のトラクタの右面図である。
図2】第1実施形態のトラクタの左面図である。
図3】第1実施形態のトラクタの上面図である。
図4】第1実施形態のトラクタの排気浄化装置周辺部分の右面図である。
図5】第1実施形態のトラクタの排気浄化装置周辺部分の上面図である。
図6】第1実施形態の尿素水タンク及び燃料タンク周辺部分の上面図である。
図7】第1実施形態の尿素水タンク及び燃料タンクとフレームと支持台の上面図である。
図8】第1実施形態の尿素水タンク及び燃料タンクとフレームと支持台の下面図である。
図9】第2実施形態のトラクタの右面図である。
図10】第2実施形態のトラクタの左面図である。
図11】第2実施形態のトラクタの上面図である。
図12】第2実施形態の尿素水タンク及び燃料タンク周辺部分の上面図である。
図13】第2実施形態の尿素水タンク及び燃料タンクと支持台の上面図である。
図14】第2実施形態の尿素水タンク及び燃料タンクと支持台の下面図である。
図15】第2実施形態の尿素水タンク及び燃料タンクと支持台の右面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の技術的思想は、あらゆる作業車両に適用することが可能である。以下では、代表的な作業車両であるトラクタを用いて説明する。第1実施形態はホイルトラクタ、第2実施形態はクローラトラクタについて説明する。
【0017】
[第1実施形態] 本実施形態ではキャビン仕様のホイルトラクタを例に説明するがロプス仕様のホイルトラクタであってもよい。
【0018】
<ホイルトラクタの全体構成> 図1はトラクタ1の右面図、図2はトラクタ1の左面図であり、図3はトラクタ1の上面図である。なお、図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
【0019】
トラクタ1は、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、キャビン16とを備えている。また、トラクタ1はエンジン12の排気を浄化する排気浄化装置2を備えている。
【0020】
フレーム11は、トラクタ1の骨格をなす。フレーム11は、トランスミッション13、フロントアクスル14、リヤアクスル15とともにトラクタ1のシャシを構成する。エンジン12及びキャビン16は、防振ゴム等を介してフレーム11に防振支持される。
【0021】
エンジン12はディーゼルエンジンであり、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン12は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。なお、エンジン12には、エンジン制御装置が接続されている(図示せず)。エンジン制御装置は、オペレータがアクセルペダルを操作すると、その操作に応じてエンジン12の運転状態を変更する。また、エンジン12には、排気浄化装置2が接続されている。
【0022】
トランスミッション13は、エンジン12の回転動力をフロントアクスル14やリヤアクスル15に伝達する。トランスミッション13には、連結機構を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、トランスミッション13には、無段変速装置(HST又はHMT、図示せず)が備えられている。無段変速装置は、オペレータがシフトレバーを操作すると、その操作に応じてトランスミッション13の作動状態を変更する。
【0023】
フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力をフロントタイヤ141に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている(図示せず)。操舵装置は、オペレータがハンドル162を操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ141の舵角を変更する。
【0024】
リヤアクスル15は、エンジン12の回転動力をリヤタイヤ151に伝達する。リヤアクスル15には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、リヤアクスル15には、PTO出力装置(図示せず)が設けられている。PTO出力装置は、オペレータがPTOスイッチ(図示せず)を操作すると、その操作に応じて牽引する作業機に回転動力を伝達する。
【0025】
キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161、ハンドル162、アクセルペダル(図示せず)、シフトレバー(図示せず)、PTOスイッチなどが配置されている。オペレータは、運転座席161に座った状態でハンドル162、アクセルペダル、シフトレバーなどを操作することでトラクタ1を操縦できる。
【0026】
<排気浄化装置> 図4はトラクタ1の排気浄化装置2周辺部分の右面図、図5はトラクタ1の排気浄化装置2周辺部分の上面図である。図4及び図5ではボンネットを仮想線で示している。
【0027】
排気浄化装置2は、エンジン12の排気中に含まれる粒子状物質(すす、パティキュレート)や窒素酸化物(NOx)等を除去し、浄化された排気を外部へ排出する装置である。排気浄化装置2は、エンジン12の排気中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としての第1ケース21と、第1ケース21の排気中の窒素酸化物を還元する尿素選択触媒還元(SCR)システムとしての第2ケース22とを備える。第1ケース21には酸化触媒及びスートフィルタが内設される。第2ケース22には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒及び酸化触媒が内設される。
【0028】
第1ケース21は前後方向に延びる円筒形状に構成される。第1ケース21はエンジン12の上面にボルト等によって固定される。第2ケース22は上下方向に延びる円筒形状に構成される。第2ケース22はフレーム11に板状のブラケット27を介して固定される。
【0029】
また、排気浄化装置2は、排気の流れる方向において上流側から、第1ケース21の出口に接続される第1排気管23と、第1排気管23の出口に接続される伸縮管24と、伸縮管24の出口と第2ケース22の入口とを接続する第2排気管25と、第2ケース22の出口に接続される第3排気管26とを備える。
【0030】
第2排気管25の途中には尿素水噴射ノズル28が配設される。尿素水噴射ノズル28はポンプ及び尿素水タンクに接続され、第2排気管25内に尿素水を噴射する構成となっている。噴射された尿素水は第2排気管25内で排気と混合される。よって、第2排気管25は混合器としての役割がある。第2排気管25のうち尿素水噴射ノズル28から下流側は、排気と尿素水を反応可能な温度に維持する観点から二重管とすることが望ましい。
【0031】
第3排気管26は、第2ケース22からの排気を外部に排出する排気管である。第3排気管26はブラケット262を介してキャビン16の支柱に固定されている。第3排気管26の周囲はカバー部材261によって覆われている。
【0032】
このような構成により、エンジン12から排出される排気は排気浄化装置2を経由して外部に放出される。その際、排気浄化装置2によって、排気中の一酸化炭素、炭化水素、粒子状物質、窒素酸化物が低減される
。なお、排気浄化装置2は尿素水以外の還元剤を用いる形態であってもよい。
【0033】
<尿素水タンク及び燃料タンクの配置> 図6は尿素水タンク及び燃料タンク周辺部分の上面図、図7は尿素水タンク及び燃料タンクとフレームと支持台の上面図、図8は尿素水タンク及び燃料タンクとフレームと支持台の下面図である。
【0034】
フレーム11は、トラクタ1の前部における骨格をなす前部フレーム(エンジンフレーム)111(図4参照)と、前部フレーム111の後部に固定される左右の後部フレーム(機体フレーム)112とを有する。前部フレーム111はエンジン12を搭載し、後部フレーム112はトランスミッション13及びキャビン16を搭載する。
【0035】
またフレーム11は、後部フレーム112に吊り下げ固定され、左右外向きに張り出した前側横桟フレーム113と、トランスミッション13の下面に固定された後側横桟フレーム114とを有する。そして、前側横桟フレーム113及び後側横桟フレーム114の左側端部上に、左側支持台30が架設される。一方、前側横桟フレーム113及び後側横桟フレーム114の右側端部上に、右側支持台31が架設される。
【0036】
左側支持台30及び右側支持台31は、略矩形枠板状に形成されたプレートである。左側支持台30には、左側燃料タンク32が載置され、バンド321で結束されて固定されている。一方、右側支持台31には、右側燃料タンク33及び尿素水タンク34が並べて載置され、バンド331、341で結束されて固定されている。
【0037】
左側燃料タンク32、右側燃料タンク33及び尿素水タンク34は、キャビン16の下側であって、フロントタイヤ141及びリヤタイヤ151の間で、且つリヤタイヤ151よりも内側(フレーム11側)に配置される。左側燃料タンク32と、右側燃料タンク33及び尿素水タンク34とは、機体(フレーム11)の左右に振り分けて配置される。
【0038】
左側燃料タンク32は容量の大きなメイン燃料タンクであり、右側燃料タンク33は左側燃料タンク32よりも容量の小さなサブ燃料タンクである。左側燃料タンク32及び右側燃料タンク33の下部は燃料連通管35で連通され、上部は空気連通管36で連通されている。このように、左側燃料タンク32で容量を確保し、サブの右側燃料タンク33で容量を追加することができる。なお、右側燃料タンク33は省略してもよい。
【0039】
燃料の給油口322は左側燃料タンク32の前端上部に配置される。また、尿素水の給水口342は尿素水タンク34の上部に配置される。このように、給油口322と給水口342とを機体の左右に振り分けることにより、燃料と尿素水とを入れ間違えることを抑制できる。
【0040】
なお、給油口322は右側燃料タンク33に配置してもよい。この場合、給油口322と給水口342とを機体の左右同一側に配置することになり、燃料と尿素水とを同じ側で補給することができ利便性がよい。
【0041】
尿素水タンク34は左側燃料タンク32より小さいので、右側支持台31の空いたスペースにサブ燃料タンクである右側燃料タンク33を配置することで、1つの支持台31に燃料タンク33と尿素水タンク34を配置でき、スペースを有効に活用することができる。また、尿素水タンク34を第2ケース22と同じ側(本実施形態では機体の右側)に配置することにより、尿素水の配管を短くすることができる。
【0042】
本実施形態においては、尿素水タンク34を前側、右側燃料タンク33を後側に並べて配置しているが、前後逆に配置してもよい。また、本実施形態においては、メイン燃料タンクを機体の左側に、尿素水タンク34及びサブ燃料タンクを右側に配置しているが、左右逆に配置してもよい。
【0043】
[第2実施形態] 本実施形態ではキャビン仕様のクローラトラクタを例に説明するがロプス仕様のクローラトラクタであってもよい。
【0044】
<クローラトラクタの全体構成> 図9はトラクタ100の右面図、図10はトラクタ100の左面図、図11はトラクタ100の上面図である。なお、図中には、トラクタ100の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。第1実施形態のトラクタ1と同様の構成については同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
トラクタ100は、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、クローラ式走行装置51と、キャビン16と、フェンダー17とを備えている。また、トラクタ100はエンジン12の排気を浄化する排気浄化装置2を備えている。
【0046】
クローラ式走行装置51は、フロントアクスル14に支持された左右の駆動スプロケット511と、左右の駆動スプロケット511にそれぞれ巻装されたクローラベルト512とを有する。フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力を駆動スプロケット511に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている(図示せず)。操舵装置は、オペレータがハンドル162を操作すると、その操作に応じて左右のクローラベルト512の速度及び回転方向を変更する。フェンダー17、左右のクローラベルト512を覆うように左右一対設けられている。
【0047】
<尿素水タンク及び燃料タンクの配置> 図12は尿素水タンク及び燃料タンク周辺部分の上面図、図13は尿素水タンク及び燃料タンクと支持台の上面図、図14は尿素水タンク及び燃料タンクと支持台の下面図、図15は尿素水タンク及び燃料タンクと支持台の右面図である。
【0048】
トランスミッション13の後部の左右側面にはそれぞれトランスファーケース131が固定されている。両トランスファーケース131の上端部にはそれぞれ略コ字型の支持部材40が固定されている。そして、左側の支持部材40の上面には左側支持台41が固定されている。一方、右側の支持部材40の上面には右側支持台42が固定されている。
【0049】
左側支持台41及び右側支持台42は、略矩形枠板状に形成されたプレートである。左側支持台41には、左側燃料タンク43が載置され、バンド431で結束されて固定されている。一方、右側支持台42には、右側燃料タンク44及び尿素水タンク34が並べて載置され、バンド441、341で結束されて固定されている。尿素水タンク34は第1実施形態と同様のものを用いることができる。
【0050】
左側燃料タンク43、右側燃料タンク44及び尿素水タンク34は、フェンダー17の内側に設置される。左側燃料タンク43と、右側燃料タンク44及び尿素水タンク34とは、機体(フレーム11)の左右に振り分けて配置される。
【0051】
左側燃料タンク43は容量の大きな燃料タンクであり、右側燃料タンク44は左側燃料タンク43よりも容量の小さな燃料タンクである。左側燃料タンク43及び右側燃料タンク44の下部は燃料連通管45で連通され、上部は空気連通管46で連通されている。このように、左側燃料タンク43で容量を確保し、右側燃料タンク44で容量を追加することができる。なお、右側燃料タンク44は省略してもよい。
【0052】
燃料の給油口442は右側燃料タンク44の上部に配置される。また、尿素水の給水口342は尿素水タンク34の上部に配置される。このように、給油口442と給水口342とを機体の左右同一側に配置することにより、燃料と尿素水とを同じ側で補給することができ利便性がよい。右側のフェンダー17には、給油口442にアクセスするための蓋171と、給水口342にアクセスするための蓋172とが開閉可能に設けられている(図9参照)。
【0053】
なお、給油口442は左側燃料タンク43に配置してもよい。この場合、給油口442と給水口342とを機体の左右に振り分けることになり、燃料と尿素水とを入れ間違えることを抑制できる。
【0054】
尿素水タンク34は左側燃料タンク43より小さいので、右側支持台42の空いたスペースに右側燃料タンク44を配置することで、1つの支持台42に燃料タンク44と尿素水タンク34を配置でき、スペースを有効に活用することができる。また、給油口442を給水口342と同一側に配置できる。また、尿素水タンク34を第2ケース22と同じ側(本実施形態では機体の右側)に配置することにより、尿素水の配管を短くすることができる。
【0055】
本実施形態においては、尿素水タンク34を前側、右側燃料タンク44を後側に並べて配置しているが、前後逆に配置してもよい。また、本実施形態においては、メイン燃料タンクを機体の左側に、尿素水タンク34及びサブ燃料タンクを右側に配置しているが、左右逆に配置してもよい。
【0056】
以上、第1又は第2実施形態によれば、尿素水タンクの配置を最適化した作業車両を提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 トラクタ(作業車両) 2 排気浄化装置 30 左側支持台 31 右側支持台 32 左側燃料タンク 33 右側燃料タンク(サブ燃料タンク) 34 尿素水タンク(還元剤タンク) 41 左側支持台 42 右側支持台 43 左側燃料タンク 44 右側燃料タンク(サブ燃料タンク) 100 トラクタ(作業車両) 322 給油口 342 給水口 442 給油口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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