特許第6985485号(P6985485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985485気密封止されたLED灯、及び、気密封止されたLED灯の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985485
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】気密封止されたLED灯、及び、気密封止されたLED灯の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21V 31/00 20060101AFI20211213BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20211213BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20211213BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20211213BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20211213BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20211213BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20211213BHJP
   F21W 131/202 20060101ALN20211213BHJP
【FI】
   F21V31/00 300
   F21V19/00 170
   F21V19/00 450
   F21V19/00 600
   F21V15/01 360
   F21V15/01 510
   F21S2/00 611
   H01L33/48
   H01L23/02 F
   F21Y115:10 500
   F21W131:202
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-183100(P2020-183100)
(22)【出願日】2020年10月30日
(62)【分割の表示】特願2017-123344(P2017-123344)の分割
【原出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2021-28913(P2021-28913A)
(43)【公開日】2021年2月25日
【審査請求日】2020年11月27日
(31)【優先権主張番号】10 2015 103 331.3
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2015 103 507.3
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランク ギンデレ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ラコブラント
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−520640(JP,A)
【文献】 特開2005−215213(JP,A)
【文献】 特開平9−140664(JP,A)
【文献】 特開2004−355852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 31/00
F21V 19/00
F21V 15/01
F21S 2/00
H01L 33/48
H01L 23/02
F21Y 115/10
F21W 131/202
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密封止されたLED灯であって、
少なくとも1つのLEDが載置されたセラミックからなるベースと、複数の窓を有し且つ前記ベースにはんだ付けされた少なくとも1つの金属キャップと、を含み、
前記LED灯は、電気的要素、光学的要素、又は機械的要素を導き入れるための、前記ベース及び前記金属キャップを貫通して延在するチャネルを有し、
前記金属キャップの熱膨張係数αと前記窓の材料の熱膨張係数αとの差は、5×10−6/K未満であり、
前記複数の窓は、それぞれ異なる焦点距離及び/又はそれぞれ異なる開口角度を有するレンズによって画定されている、
気密封止されたLED灯。
【請求項2】
前記金属キャップの熱膨張係数αと前記窓の材料の熱膨張係数αとの差は、1×10−6/K未満である、
請求項1記載の気密封止されたLED灯。
【請求項3】
前記LED灯は、中央に配置されたチャネルを備える環形の形状を有する、
請求項1又は2記載の気密封止されたLED灯。
【請求項4】
前記複数の窓は、環形に分配されている
請求項3記載の気密封止されたLED灯。
【請求項5】
記複数の窓のそれぞれが、前記金属キャップに設けられたそれぞれのチャネル内に配置されている、
請求項1から4のいずれか1項記載の気密封止されたLED灯。
【請求項6】
記金属キャップは、それぞれの窓に隣接したくぼみを有する、
請求項1から5のいずれか1項記載の気密封止されたLED灯。
【請求項7】
前記窓の下の前記チャネル内に、変換器が配置されている、
請求項5又は6記載の気密封止されたLED灯。
【請求項8】
医療器具であって、
請求項1から7のいずれか1項記載の気密封止されたLED灯を含み、
前記LED灯は、LEDの光が直接外部に出射するように前記医療器具に埋め込まれている、
医療器具。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項記載の気密封止されたLED灯の製造方法であって、
まず、セラミックからなるベース上に少なくとも1つのLEDを組み付け、
その後、金属はんだを用いて前記ベースに金属キャップをはんだ付けし、
前記金属キャップの熱膨張係数αと前記窓の材料の熱膨張係数αとの差は、5×10−6/K未満である、
気密封止されたLED灯の製造方法。
【請求項10】
前記金属キャップの熱膨張係数αと前記窓の材料の熱膨張係数αとの差は、1×10−6/K未満である、
請求項9記載の気密封止されたLED灯の製造方法。
【請求項11】
前記ベースに前記金属キャップをはんだ付けするために、金錫はんだを使用する、
請求項9又は10記載の気密封止されたLED灯の製造方法。
【請求項12】
前記ベースに前記金属キャップをはんだ付けする前に、前記金属キャップに窓を設ける、
請求項9から11のいずれか1項記載の気密封止されたLED灯の製造方法。
【請求項13】
前記金属キャップのそれぞれのチャネル内にガラスを溶融させることによって、前記窓を製造する、
請求項12記載の気密封止されたLED灯の製造方法。
【請求項14】
前記金属キャップを、ニッケル及び/又は金を含有するコーティングによって被覆する、
請求項9から13のいずれか1項記載の気密封止されたLED灯の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密封止されたLED灯と、気密封止されたLED灯の製造方法とに関する。本発明は、より詳細には医療分野において、すなわち医療機器や医療器具のために使用されるLED灯に関する。
【背景技術】
【0002】
LED灯は、医療分野において、特に歯科医用の設備においてますます利用されてきており、特に医療機器の一部にさえなっていると言っても差し支えない。LED灯は、照明目的のため、例えば患者の口腔内を照明するために使用され、さらには、特に内視鏡のカメラライトとして、例えば欠陥部位の識別を容易にする特定の波長の光を放射して虫歯などの欠陥部位を検出するために使用され、さらには、充填剤を硬化させるため、例えばUV光を用いて硬化性プラスチックを硬化させるために使用される。
【0003】
このようなLED灯は、典型的には高い負荷に曝されている。特に殆どの医療機器は、気密に封止されている必要があり、場合によってはオートクレーブ可能でさえなければならない。
【0004】
さらには、使用される機器は耐久性を備えるべきであり、如何なる有害物質をも放出してはならない。
【0005】
特に歯科用器具からは、LED光源を含むハンドルが知られている。LED光源は、殆どの場合ハンドルのハウジング内に組み込まれており、LED光源によって放射された光は、ライトガイドを用いてハンドルの先端領域にある窓へと向けられ、その窓から光が口腔内に入射する。
【0006】
例えば高分子ポッティング化合物によって封止されている公知のLED灯は、通常、少なくともその外側においては医療器具と共に使用するために充分には適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、医療機器に組み込むために良好に適しており、且つ、耐久性及び気密性の観点から医療分野で増加する要求を満たすことが可能な、気密封止されたLED灯を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、独立請求項に記載された気密封止されたLED灯と、気密封止されたLED灯の製造方法とによってもう解決される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態及び改良形態は、各従属請求項の主題によって規定されている。
【0010】
本発明は、気密封止されたLED灯に関し、このLED灯は、少なくとも液密なハウジングを備えるLED灯である。
【0011】
LED灯は、複数のLEDを備えるベースを含む。
【0012】
好ましくは、これらのLEDは、ベースに直接結合されたLEDチップの形態で実装されている。
【0013】
このようなLEDチップは、高出力LEDを含むことができ、ベースを介して熱が容易に放熱され、構成要素がコンパクトである。
【0014】
ベースは、セラミック材料からなる。特にベースは、酸化アルミニウム及び/又は窒化アルミニウムからなる。
【0015】
LED灯はさらに、少なくとも1つの窓を有する金属キャップを含む。金属キャップは、好ましくは複数の窓を有し、それぞれの窓は、それぞれのLEDに面しており、これらの窓を通ってLED灯から光が出射する。
【0016】
金属キャップは、ベースにはんだ付けされており、LED灯はさらに、電気的要素、光学的要素、及び/又は機械的要素を導き入れるための、ベースとキャップの両方を貫通して延在するチャネルを有する。
【0017】
セラミック製のベースを、はんだ付けによって金属キャップに結合させることにより、これらの構成要素を貫通して延在するチャネルが存在するにも拘わらず、高密度を実現するLED灯の形態の1つのユニットを提供することが可能となった。
【0018】
チャネルは、特に採用された医療装置の一部である電気的要素又は機械的要素を収容するために使用される。
【0019】
チャネル内には、例えばイメージセンサと特にカメラとを配置することができ、これらに対して光源としてLED灯が使用されている。
【0020】
チャネルは、任意の形状、特に円錐形状、円柱形状、又は多角形形状を有することができる。例えばベースとキャップとにおいてチャネルの直径を異ならせることによって、階段状のチャネルを設けることも考えられる。この場合にはこのような階段を、機械的要素又は電気的要素をより良好に保持するためのストッパとして使用することができる。
【0021】
好ましい1つの実施形態では、LED灯は、環形の形状を有し、チャネルは、ほぼ中央に配置されている。
【0022】
LEDは、好ましくはこのようにして形成されたリングの周囲に分配されている。LED灯は、特に4〜10個のLEDを含むことができる。
【0023】
このようなLED灯は、特に医療機器、例えば歯科医のドリル装置のヘッドピースの上に配置することができる。この場合には、ドリル及び/又はドリル装置の駆動シャフト自体が、チャネルを貫通して延在することができ、これらのLEDは、特に照明目的で使用される。
【0024】
好ましくは、LEDは、環形に分配された複数の窓を含む。
【0025】
本発明の1つの改良形態では、窓は、レンズによって画定されている。
【0026】
特にLEDの光を、窓を介して合焦させることができる。
【0027】
好ましい1つの実施形態では、複数の窓のそれぞれが、金属キャップのそれぞれのチャネル内に配置されている。窓が配置されたチャネルは、好ましくは0.15〜20mmの高さを有する。好ましくは、各チャネルがそれぞれベースまで延在しており、すなわち、各チャネルに直接隣接して、金属キャップがベースにはんだ付けされている。
【0028】
特に金属キャップが、好ましくは円筒形の、特に円柱形の形状のチャネルを有するようにし、これらのチャネル内にレンズの形態のガラス製の窓を溶着させることが考えられる。
【0029】
このような金属キャップを製造するために、ガラスロッドの一部をチャネル内に導き入れることができる。ガラスは加熱されると溶融し、ガラスの表面張力によってレンズが形成される。
【0030】
1つの実施形態では、LED灯は、複数の窓を含み、金属キャップは、それぞれの窓に隣接したくぼみを有する。
【0031】
特に、金属キャップは、チャネルに隣接した上面にくぼみを有する。
【0032】
レンズが形成されるようにガラス製の窓がチャネル内に溶着されている場合には、レンズは、くぼみのおかげで金属キャップの上面から突出しなくなるので、このLED灯を別の保護ガラスを用いずに使用した場合にも、物体が接触したときに窓が損傷することはなくなる。なぜなら金属キャップが窓に隣接しているからである。
【0033】
本発明の1つの実施形態では、窓の下のチャネル内に変換器が配置されている。特にリン、YAG等のような蛍光粒子が埋め込まれたシリコーンキャリアマトリクスを備える変換器を使用することができる。変換器は、例えば接着剤による結合によってチャネル内に特に簡単に取り付けることができる。シリコーンマトリクス変換器を使用すると、その結果として製造が簡単になり、且つ温度安定性が向上する。無機マトリクスを備える変換器の使用も、同様に考えられる。
【0034】
ガラス製の窓をチャネル内に溶着させ、好ましくはこのガラス製の窓を、任意選択的に採用された変換器の前にできるだけ近接して配置することによって、広いビーム角度又は出射角度を有するLED灯を提供することが可能となる。
【0035】
特に出射角度は、85°よりも大きく、好ましくは90°よりも大きく、より好ましくは94°よりも大きい角度とすることができる。本発明の文脈では、出射角度は、強度の半値幅の水平方向の各点の間に含まれた角度を表す。
【0036】
本発明はさらに、気密封止されたLED灯、特に上述したようなLED灯に関する。
【0037】
このようなLED灯は、複数のLEDと、複数の窓を有する少なくとも1つのキャップとを備えるベース、好ましくはセラミック製のベースを含み、LED灯は、別個に制御可能な、それぞれ異なる光の色の複数のLEDを含み、少なくとも2つの別個に制御可能なLEDの光出射角度は、それぞれ異なっている。
【0038】
従って、LED灯は、複数の異なる用途のために、複数の異なる光の色の複数のLEDを含む。LED灯が、歯科分野のために提供される場合には、これらのLEDは例えば、口腔内を照明するためのほぼ白色の光を備えるLEDと、虫歯や歯垢を検出するための特別な光の色のLEDと、樹脂を硬化するために使用されるUV光を放射するLEDとを含むことができる。これらのLEDは、別個に制御することができる。この目的のためにベースは、それぞれのLED又はそれぞれのLEDの集合のための複数の電気的なフィードスルーを有する。
【0039】
特に、少なくとも1つのLEDが60°より小さい出射角度を有するようにし、別のLEDが70°よりも大きい出射角度を有するようにすることが考えられる。さらには、少なくとも2つのLEDの出射角度が互いに少なくとも10°、好ましくは少なくとも20°だけ異なっているようにすることが特に考えられる。
【0040】
この目的のために好ましくは、複数の窓が使用され、これらの窓は、それぞれ異なる焦点距離及び/又はそれぞれ異なる開口角度を有するレンズによって画定されている。
【0041】
これらのレンズが、ガラスをチャネル内に溶融させることによって形成される場合には、このようなレンズを、例えば種々異なる形状のチャネル及び/又は種々異なるガラスによって設けることができる。
【0042】
例えばUV光を放射するLEDの場合には、小さい出射角度で光及び放射を合焦することが便利であり、その一方で、口腔内を照明するためのLEDは、より広い出射角度を有する。
【0043】
LED灯は、特に医療機器の一部であり、LED灯は、LEDの光が直接外部に出射するように医療機器に組み込まれている。つまり光は、ライトガイドを介して窓から出射するように案内されない。しかしながら、放射方向に別の窓又は保護ガラスを設けることも考えられる。しかしながら好ましくは、LED灯の、窓を備える金属キャップによって、医療機器の終端が画定される。
【0044】
本発明はさらに、LED灯の製造方法、特に上述したようなLED灯の製造方法に関する。
【0045】
まず、セラミックからなるベース上に、特にチップ上に配置されているLEDが組み付けられる。その後、金属はんだを用いてベースに金属キャップがはんだ付けされる。
【0046】
好ましくは、はんだ付け工程よりも前に既に、金属キャップのそれぞれのチャネル内にガラスを溶融又は溶着させることによって、金属キャップに少なくとも1つの窓が設けられる。
【0047】
少なくとも1つの窓を、ガラスと金属の圧縮封止(a compression glass-to-metal seal)の形態で設けることも考えられる。
【0048】
ガラス製の窓は、好ましくは良好な化学耐性を有する材料、特にケイ酸塩ガラス、例えばホウケイ酸塩ガラスから形成される。
【0049】
その後、まだやり残されている唯一のことは、それぞれの構成要素の結合、すなわち窓を備える金属キャップと、セラミック製のベースとの結合である。
【0050】
適切なはんだが使用される場合、とくに金錫はんだが使用される場合には、特にLEDチップの形態のLEDに損傷の危険が生じるほどLED灯が高い温度になることなく、安定的な気密封止された接続を実現できることが判明している。
【0051】
金錫はんだを使用することにより、オートクレーブ可能なハウジングを提供することが可能となる。
【0052】
さらには、その後の如何なるはんだ付け工程の間でも、特にリフロー工程の間でも、又は、錫−銀−銅はんだが使用される場合でも、この接続は安定的である。
【0053】
好ましくは、溶融温度が300℃未満、より好ましくは280℃未満のはんだ、特に金錫はんだが使用される。
【0054】
さらに好ましくは、セラミック製のベースは、金属はんだによって気密封止される電気的なフィードスルーを有する。
【0055】
LEDを電気的に接続するために通されるこれらのフィードスルーも、好ましくは、ベースと金属キャップとをはんだ接合する前に形成される。
【0056】
本発明の1つの改良形態によれば、少なくとも1つの金属キャップに、コーティング、特にニッケル及び/又は金を含有するコーティングが設けられる。特に、硬質金コーティングが施される。
【0057】
金属キャップは、好ましくはステンレス鋼から、特に低い熱膨張係数を有するステンレス鋼から形成される。従って、金属キャップは、セラミックの低い熱膨張係数に適合されている。特に、金属キャップの材料は、室温において15ppm/K未満、好ましくは8ppm/K未満、より好ましくは5ppm/K未満の熱膨張係数αを有する。
【0058】
特に、金属キャップは、フェライト系のステンレス鋼から形成されている。
【0059】
本発明の1つの実施形態では、金属キャップの熱膨張係数αと、窓の材料の熱膨張係数αとの差は、5ppm/K未満、好ましくは1ppm/K未満である。同様のことが、好ましくはベースの熱膨張係数と金属キャップの熱膨張係数にも当てはまる。
【0060】
LEDを電気的に接続するためのフィードスルーに使用可能なはんだは、例えば金錫はんだ、錫はんだ、銅はんだ、及び銀はんだを含む。
【0061】
本発明によれば、オートクレーブ可能でさえある、気密封止されたLED灯を提供することが可能となる。
【0062】
以下、本発明の主題について、例示的な実施形態を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】気密封止されたLED灯の例示的な実施形態の平面図である。
図2図1の断面図である。
図3図2の詳細を説明する図である。
図4】底面図である。
図5】イメージセンサと組み合わせた、本発明に係る気密封止されたLED灯の使用例を説明する概略図である。
図6】本発明に係る気密封止されたLED灯が組み込まれた医療機器の概略図である。
図7】気密封止された環形でないLED灯の別の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、本発明に係る気密封止されたLED灯1の例示的な実施形態の平面図を示す。
【0065】
この実施形態ではLED灯1は、環形の形状を有する。頂部には金属キャップ2が見て取れ、この金属キャップ2は、下にあるLEDから放射された光を通す複数の窓3を有する。
【0066】
LED灯1は、給電線4を介して接続させることができる。
【0067】
この例示的な実施形態において図示されている6つの窓3は、LED灯1の周囲に分配されている。
【0068】
さらには、円形の断面を有する中央のチャネル5が見て取れ、この中央のチャネル5は、電気的要素、光学的要素、又は機械的要素を収容するために意図されている。
【0069】
図2は、図1に図示されたLED灯の断面図である。
【0070】
ステンレス鋼からなる金属キャップ2が、カップ形状であることが見て取れる。
【0071】
セラミック材料、特に酸化アルミニウムからなるベース6は、下側からカップ形状の金属キャップ2に取り付けられ、金錫はんだを用いて金属キャップ2にはんだ付けされている。
【0072】
プレート形状のベース6も同様に環形であり、従って、チャネル5は、ベース6と金属キャップ2の両方を貫通して延在している。
【0073】
ベース6は、フィードスルー(図示せず)を有し、LEDを駆動するための電流は、このフィードスルーを通って給電線4を介して上面に供給される。
【0074】
図3は、図2の細部、すなわち窓3が配置されている領域を図示している。
【0075】
窓3の下では、ベース6にLED10が備え付けられていることが見て取れる。LED10は、チップの形態で、とりわけ表面実装デバイス(SMD)として実装されている。
【0076】
ベース6の上面には、例えばLED10を電気的に接続するためのフラットな導電性トレース(図示せず)の形態の給電線を設けることができる。
【0077】
さらには、窓3がレンズの形態で設けられていることが見て取れる。
【0078】
窓3は、チャネル7内に配置されており、このチャネル7自体は、金属キャップ2を貫通して延在している。
【0079】
窓3のレンチキュラー形状は、ガラスの表面張力に起因するものであり、ガラスロッドをチャネル7内に挿入してから溶融させることによって製造される。
【0080】
チャネル7の上側端部には、周縁くぼみ8が設けられている。
【0081】
くぼみ8のおかげでレンズの形態の窓3は、突出しないようになっている。
【0082】
任意選択的に、所期の光の色に応じてチャネル7内に変換器9を配置してもよい。このような変換器9は特に、チャネル7内に接着剤によって結合されたシリコーンマトリクスを備える変換器とすることができる。
【0083】
さらには、ベース6の上面が、カップ形状の金属キャップ2の下面にはんだ付けされている様子が見て取れる。
【0084】
この実施形態ではベース6の縁部は、金属キャップ2から離間している。
【0085】
ベース6と金属キャップ2とをはんだ付けによって接続させ、且つ、チャネル7内に窓3を溶融させることによって、LED10の気密封止が実現される。
【0086】
ベース6内のフィードスルーは、好ましくは同様にはんだによって充填される。
【0087】
本発明に係るLED灯を組み立てるためには、まず、窓が溶着された金属キャップ2が製造され、これとは別個に、ベース6にLED10が備え付けられる。
【0088】
その後、これら2つの主要な要素が340℃未満、好ましくは325℃未満、より好ましくは300℃未満の溶融温度を有する金錫はんだを用いて一緒にはんだ付けされる。
【0089】
本発明の方法は、図示された環形のLED灯のみならず、他の種類のLED灯、特に中央のチャネルを有さないLED灯のためにも適している。
【0090】
図4は、LED灯1の底面図を示す。
【0091】
この例示的な実施形態ではフィードスルー11及び12を有している環形のベース6が見て取れ、これらのフィードスルー11及び12を介して、上面にあるLEDが駆動される。
【0092】
ベース6は、カップ形状の金属キャップ2内に嵌め込まれている。
【0093】
さらには中央のチャネル5が見て取れ、この中央のチャネル5内には、電気的要素、光学的要素、又は機械的要素を配置することができる。
【0094】
給電線4は、底面に接してチャネル5の周囲に延在している。
【0095】
1つのLED灯が、別個に制御される複数のLEDを有する場合には、典型的にはこのLED灯が、図4に図示されているような正の端子及び負の端子のための2つのフィードスルーよりも、多くのフィードスルーを有し得ることを理解すべきである。なぜなら、これらのLEDを駆動するための各駆動回路は、好ましくは、図示されたLED灯の気密封止された部分の中に配置されるのではなく、外部に配置されるからである。
【0096】
図5は、気密封止されたLED灯1を概略的に示す。このLED灯1は、この実施形態においても環形のセラミック製のベース6を含み、このベース6には、同様に環形である金属キャップ2がはんだ付けされており、この金属キャップ2は、複数の窓3を有し、これらの窓3を介してLED10からの光が外部に出射するようになっている。
【0097】
中央のチャネル5内には、イメージセンサ13及びレンズ14が配置されている。
【0098】
図6は、医療機器、特に歯科用ドリル装置のヘッドピースの概略図である。
【0099】
レセプタクル16が見て取れ、このレセプタクル16の中には、駆動シャフトに接続可能となるようにドリルが挿入される。
【0100】
本発明に係る気密封止されたLED灯は、医療機器15のヘッドに直接取り付けられ、LED灯からの光は、窓3を通って外部に直接出射する。
【0101】
本発明に係るLED灯のハウジングは良好に封止されているので、このLED灯を医療機器のハウジングの中に配置する必要はなく、また、放射された光をライトガイドを用いて前面に導く必要もない。
【0102】
図7は、気密封止されたLED灯の1つの実施形態を示す。このLED灯は、環形の構造を有してはいないが、本発明に係る方法に基づいて製造されたものである。
【0103】
LED灯17は、セラミック材料、特に酸化アルミニウムからなるベース18を含み、このベース18には、特にステンレス鋼からなる金属キャップ19が、金錫はんだを用いてはんだ付けされている。
【0104】
ベース18は、金属キャップ19の内部に配置されているのではなく、金属キャップ19の端面に取り付けられている。
【0105】
金属キャップ19は、斜縁を有する。その結果として形成された間隙内のはんだ23によって、要素同士がより良好に結合される。
【0106】
気密封止されたLED灯17の内側には、チップとして構成されたLED22が配置されており、このLED22からの光はまず、上に置かれた変換器21に入射する。変換器21は、レンズの形態の窓20の下に配置されている。
【0107】
このLED灯17を製造するためには、ここでもまず、金属キャップ19内にガラスを溶融させることによってガラスから窓20が製造される。任意選択的に、金属キャップ19内に変換器21が付加的に組み付けられる。
【0108】
その後、既に組み付けられたLED22を含むベース18に、金属キャップ19がはんだ付けされる。
【符号の説明】
【0109】
1 LED灯
2 金属キャップ
3 窓
4 給電線
5 チャネル
6 ベース
7 チャネル
8 くぼみ
9 変換器
10 LED
11 フィードスルー
12 フィードスルー
13 イメージセンサ
14 レンズ
15 医療機器
16 レセプタクル
17 LED灯
18 ベース
19 金属キャップ
20 窓
21 変換器
22 LED
23 はんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7