【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、独立請求項に記載された気密封止されたLED灯と、気密封止されたLED灯の製造方法とによってもう解決される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態及び改良形態は、各従属請求項の主題によって規定されている。
【0010】
本発明は、気密封止されたLED灯に関し、このLED灯は、少なくとも液密なハウジングを備えるLED灯である。
【0011】
LED灯は、複数のLEDを備えるベースを含む。
【0012】
好ましくは、これらのLEDは、ベースに直接結合されたLEDチップの形態で実装されている。
【0013】
このようなLEDチップは、高出力LEDを含むことができ、ベースを介して熱が容易に放熱され、構成要素がコンパクトである。
【0014】
ベースは、セラミック材料からなる。特にベースは、酸化アルミニウム及び/又は窒化アルミニウムからなる。
【0015】
LED灯はさらに、少なくとも1つの窓を有する金属キャップを含む。金属キャップは、好ましくは複数の窓を有し、それぞれの窓は、それぞれのLEDに面しており、これらの窓を通ってLED灯から光が出射する。
【0016】
金属キャップは、ベースにはんだ付けされており、LED灯はさらに、電気的要素、光学的要素、及び/又は機械的要素を導き入れるための、ベースとキャップの両方を貫通して延在するチャネルを有する。
【0017】
セラミック製のベースを、はんだ付けによって金属キャップに結合させることにより、これらの構成要素を貫通して延在するチャネルが存在するにも拘わらず、高密度を実現するLED灯の形態の1つのユニットを提供することが可能となった。
【0018】
チャネルは、特に採用された医療装置の一部である電気的要素又は機械的要素を収容するために使用される。
【0019】
チャネル内には、例えばイメージセンサと特にカメラとを配置することができ、これらに対して光源としてLED灯が使用されている。
【0020】
チャネルは、任意の形状、特に円錐形状、円柱形状、又は多角形形状を有することができる。例えばベースとキャップとにおいてチャネルの直径を異ならせることによって、階段状のチャネルを設けることも考えられる。この場合にはこのような階段を、機械的要素又は電気的要素をより良好に保持するためのストッパとして使用することができる。
【0021】
好ましい1つの実施形態では、LED灯は、環形の形状を有し、チャネルは、ほぼ中央に配置されている。
【0022】
LEDは、好ましくはこのようにして形成されたリングの周囲に分配されている。LED灯は、特に4〜10個のLEDを含むことができる。
【0023】
このようなLED灯は、特に医療機器、例えば歯科医のドリル装置のヘッドピースの上に配置することができる。この場合には、ドリル及び/又はドリル装置の駆動シャフト自体が、チャネルを貫通して延在することができ、これらのLEDは、特に照明目的で使用される。
【0024】
好ましくは、LEDは、環形に分配された複数の窓を含む。
【0025】
本発明の1つの改良形態では、窓は、レンズによって画定されている。
【0026】
特にLEDの光を、窓を介して合焦させることができる。
【0027】
好ましい1つの実施形態では、複数の窓のそれぞれが、金属キャップのそれぞれのチャネル内に配置されている。窓が配置されたチャネルは、好ましくは0.15〜20mmの高さを有する。好ましくは、各チャネルがそれぞれベースまで延在しており、すなわち、各チャネルに直接隣接して、金属キャップがベースにはんだ付けされている。
【0028】
特に金属キャップが、好ましくは円筒形の、特に円柱形の形状のチャネルを有するようにし、これらのチャネル内にレンズの形態のガラス製の窓を溶着させることが考えられる。
【0029】
このような金属キャップを製造するために、ガラスロッドの一部をチャネル内に導き入れることができる。ガラスは加熱されると溶融し、ガラスの表面張力によってレンズが形成される。
【0030】
1つの実施形態では、LED灯は、複数の窓を含み、金属キャップは、それぞれの窓に隣接したくぼみを有する。
【0031】
特に、金属キャップは、チャネルに隣接した上面にくぼみを有する。
【0032】
レンズが形成されるようにガラス製の窓がチャネル内に溶着されている場合には、レンズは、くぼみのおかげで金属キャップの上面から突出しなくなるので、このLED灯を別の保護ガラスを用いずに使用した場合にも、物体が接触したときに窓が損傷することはなくなる。なぜなら金属キャップが窓に隣接しているからである。
【0033】
本発明の1つの実施形態では、窓の下のチャネル内に変換器が配置されている。特にリン、YAG等のような蛍光粒子が埋め込まれたシリコーンキャリアマトリクスを備える変換器を使用することができる。変換器は、例えば接着剤による結合によってチャネル内に特に簡単に取り付けることができる。シリコーンマトリクス変換器を使用すると、その結果として製造が簡単になり、且つ温度安定性が向上する。無機マトリクスを備える変換器の使用も、同様に考えられる。
【0034】
ガラス製の窓をチャネル内に溶着させ、好ましくはこのガラス製の窓を、任意選択的に採用された変換器の前にできるだけ近接して配置することによって、広いビーム角度又は出射角度を有するLED灯を提供することが可能となる。
【0035】
特に出射角度は、85°よりも大きく、好ましくは90°よりも大きく、より好ましくは94°よりも大きい角度とすることができる。本発明の文脈では、出射角度は、強度の半値幅の水平方向の各点の間に含まれた角度を表す。
【0036】
本発明はさらに、気密封止されたLED灯、特に上述したようなLED灯に関する。
【0037】
このようなLED灯は、複数のLEDと、複数の窓を有する少なくとも1つのキャップとを備えるベース、好ましくはセラミック製のベースを含み、LED灯は、別個に制御可能な、それぞれ異なる光の色の複数のLEDを含み、少なくとも2つの別個に制御可能なLEDの光出射角度は、それぞれ異なっている。
【0038】
従って、LED灯は、複数の異なる用途のために、複数の異なる光の色の複数のLEDを含む。LED灯が、歯科分野のために提供される場合には、これらのLEDは例えば、口腔内を照明するためのほぼ白色の光を備えるLEDと、虫歯や歯垢を検出するための特別な光の色のLEDと、樹脂を硬化するために使用されるUV光を放射するLEDとを含むことができる。これらのLEDは、別個に制御することができる。この目的のためにベースは、それぞれのLED又はそれぞれのLEDの集合のための複数の電気的なフィードスルーを有する。
【0039】
特に、少なくとも1つのLEDが60°より小さい出射角度を有するようにし、別のLEDが70°よりも大きい出射角度を有するようにすることが考えられる。さらには、少なくとも2つのLEDの出射角度が互いに少なくとも10°、好ましくは少なくとも20°だけ異なっているようにすることが特に考えられる。
【0040】
この目的のために好ましくは、複数の窓が使用され、これらの窓は、それぞれ異なる焦点距離及び/又はそれぞれ異なる開口角度を有するレンズによって画定されている。
【0041】
これらのレンズが、ガラスをチャネル内に溶融させることによって形成される場合には、このようなレンズを、例えば種々異なる形状のチャネル及び/又は種々異なるガラスによって設けることができる。
【0042】
例えばUV光を放射するLEDの場合には、小さい出射角度で光及び放射を合焦することが便利であり、その一方で、口腔内を照明するためのLEDは、より広い出射角度を有する。
【0043】
LED灯は、特に医療機器の一部であり、LED灯は、LEDの光が直接外部に出射するように医療機器に組み込まれている。つまり光は、ライトガイドを介して窓から出射するように案内されない。しかしながら、放射方向に別の窓又は保護ガラスを設けることも考えられる。しかしながら好ましくは、LED灯の、窓を備える金属キャップによって、医療機器の終端が画定される。
【0044】
本発明はさらに、LED灯の製造方法、特に上述したようなLED灯の製造方法に関する。
【0045】
まず、セラミックからなるベース上に、特にチップ上に配置されているLEDが組み付けられる。その後、金属はんだを用いてベースに金属キャップがはんだ付けされる。
【0046】
好ましくは、はんだ付け工程よりも前に既に、金属キャップのそれぞれのチャネル内にガラスを溶融又は溶着させることによって、金属キャップに少なくとも1つの窓が設けられる。
【0047】
少なくとも1つの窓を、ガラスと金属の圧縮封止(a compression glass-to-metal seal)の形態で設けることも考えられる。
【0048】
ガラス製の窓は、好ましくは良好な化学耐性を有する材料、特にケイ酸塩ガラス、例えばホウケイ酸塩ガラスから形成される。
【0049】
その後、まだやり残されている唯一のことは、それぞれの構成要素の結合、すなわち窓を備える金属キャップと、セラミック製のベースとの結合である。
【0050】
適切なはんだが使用される場合、とくに金錫はんだが使用される場合には、特にLEDチップの形態のLEDに損傷の危険が生じるほどLED灯が高い温度になることなく、安定的な気密封止された接続を実現できることが判明している。
【0051】
金錫はんだを使用することにより、オートクレーブ可能なハウジングを提供することが可能となる。
【0052】
さらには、その後の如何なるはんだ付け工程の間でも、特にリフロー工程の間でも、又は、錫−銀−銅はんだが使用される場合でも、この接続は安定的である。
【0053】
好ましくは、溶融温度が300℃未満、より好ましくは280℃未満のはんだ、特に金錫はんだが使用される。
【0054】
さらに好ましくは、セラミック製のベースは、金属はんだによって気密封止される電気的なフィードスルーを有する。
【0055】
LEDを電気的に接続するために通されるこれらのフィードスルーも、好ましくは、ベースと金属キャップとをはんだ接合する前に形成される。
【0056】
本発明の1つの改良形態によれば、少なくとも1つの金属キャップに、コーティング、特にニッケル及び/又は金を含有するコーティングが設けられる。特に、硬質金コーティングが施される。
【0057】
金属キャップは、好ましくはステンレス鋼から、特に低い熱膨張係数を有するステンレス鋼から形成される。従って、金属キャップは、セラミックの低い熱膨張係数に適合されている。特に、金属キャップの材料は、室温において15ppm/K未満、好ましくは8ppm/K未満、より好ましくは5ppm/K未満の熱膨張係数αを有する。
【0058】
特に、金属キャップは、フェライト系のステンレス鋼から形成されている。
【0059】
本発明の1つの実施形態では、金属キャップの熱膨張係数αと、窓の材料の熱膨張係数αとの差は、5ppm/K未満、好ましくは1ppm/K未満である。同様のことが、好ましくはベースの熱膨張係数と金属キャップの熱膨張係数にも当てはまる。
【0060】
LEDを電気的に接続するためのフィードスルーに使用可能なはんだは、例えば金錫はんだ、錫はんだ、銅はんだ、及び銀はんだを含む。
【0061】
本発明によれば、オートクレーブ可能でさえある、気密封止されたLED灯を提供することが可能となる。
【0062】
以下、本発明の主題について、例示的な実施形態を参照しながら説明する。