特許第6985493号(P6985493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985493
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】心機能を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】20
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-503379(P2020-503379)
(86)(22)【出願日】2018年3月28日
(65)【公表番号】特表2020-515375(P2020-515375A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(86)【国際出願番号】IB2018052142
(87)【国際公開番号】WO2018178901
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2020年1月20日
(31)【優先権主張番号】62/477,461
(32)【優先日】2017年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519351325
【氏名又は名称】カーディアック・サクセス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ノイシュテッター
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0229708(US,A1)
【文献】 特表2007−522893(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0100439(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0167474(US,A1)
【文献】 特表2008−543365(JP,A)
【文献】 特表2016−503320(JP,A)
【文献】 特表2008−538937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体の心臓における複数の乳頭筋を囲むためのバンドを経カテーテルにより送達するためのデバイスであって、
近位端および遠位端を含むカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端を通るように構成されたバンドであって、前記バンドが、前記複数の乳頭筋の外側周辺境界部分と接触し、かつ前記複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることを可能にするような方法で前記複数の乳頭筋を囲むように構成される、バンドと、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記カテーテルの前記遠位端を通って、複数の乳頭筋の周囲でループを作るように構成された少なくとも1本のガイドワイヤをさらに備え、
前記バンドは、前記少なくとも1本のガイドワイヤと協動するように構成され、
前記バンドは、前記バンドが前記複数の乳頭筋の外側周辺境界部分と接触し、かつ前記複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることを可能にするような方法で、前記少なくとも1本のガイドワイヤを介して前記複数の乳頭筋を囲むように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1本のガイドワイヤの端部を捕捉し、かつ前記少なくとも1本のガイドワイヤの前記端部を体外に引き出すように構成されたガイドワイヤ捕捉機構をさらに備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ガイドワイヤ捕捉機構は、磁石、捕捉ループ、またはガイドワイヤ捕捉バスケットのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記カテーテルは、前記少なくとも1本のガイドワイヤを前記複数の乳頭筋の周囲でループ化し易くするように事前に形成される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記カテーテルは、前記少なくとも1本のガイドワイヤを前記複数の乳頭筋の周囲でループ化し易くするように、調整可能に操作できるように構成される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1本のガイドワイヤは、紐、糸、ワイヤ、縫合糸、またはコイルのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記カテーテルの中を通すように構成された引き紐と、
前記引き紐をループへとロックするように構成された経カテーテル縫合糸ロックと、
をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記カテーテルの中を通すように構成された引き紐と、前記引き紐に自己ロック式に係合するように構成されたロッキング把持器とをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記引き紐は、前記引き紐の長さに沿って固定された1つまたは複数のビーズを含み、前記1つまたは複数のビーズは、前記ロッキング把持器により係合され、それにより、前記引き紐を固定位置にロックするように構成される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記バンドの少なくとも一部は、中空の管を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1本のガイドワイヤは、2本のガイドワイヤを含み、前記デバイスは、第1のガイドワイヤの第1の端部を、第2のガイドワイヤの第2の端部と相互接続するように構成されたコネクタをさらに備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項13】
体の心臓における複数の乳頭筋を囲むためのバンドを経カテーテルにより送達するためのデバイスであって、
近位端および遠位端を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端を通り、複数の乳頭筋の周囲でループを作るように構成された少なくとも1本のガイドワイヤと、
前記少なくとも1本のガイドワイヤと協動するように構成されたバンドと、
を備え、
前記バンドは、前記バンドが前記複数の乳頭筋の外側周辺境界部分と接触し、かつ前記複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることを可能にするような方法で、前記少なくとも1本のガイドワイヤを介して、前記複数の乳頭筋を囲むように構成され、
前記少なくとも1本のガイドワイヤは、紐、糸、ワイヤ、縫合糸、またはコイルのうちの少なくとも1つを含み、
前記バンドの少なくとも一部は中空の管を含む、デバイス。
【請求項14】
前記カテーテルは、前記少なくとも1本のガイドワイヤを前記複数の乳頭筋の周囲でループ化し易くするように事前に形成される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記カテーテルは、前記少なくとも1本のガイドワイヤを前記複数の乳頭筋の周囲でループ化し易くするために、前記カテーテルの形状をユーザが変更できるようにする制御部を介して操作可能である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記カテーテルの中を通すように構成された引き紐と、前記引き紐をループへとロックするように構成された経カテーテル縫合糸ロックと、をさらに備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1本のガイドワイヤの端部を捕捉し、かつ前記少なくとも1本のガイドワイヤの前記端部を体外に引き出すように構成されたガイドワイヤ捕捉機構をさらに備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項18】
前記ガイドワイヤ捕捉機構は、磁石、捕捉ループ、またはガイドワイヤ捕捉バスケットのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記バンドは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、請求項13に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1本のガイドワイヤは、2本のガイドワイヤを含み、前記デバイスは、第1のガイドワイヤの第1の端部を、第2のガイドワイヤの第2の端部と相互接続するように構成されたコネクタをさらに備える、請求項13に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年3月28日に出願された米国特許仮出願第62/477,461号の優先権を主張し、その全体を参照により本出願に組み込むものとする。
【0002】
本発明のいくつかの適用分野は、一般に、心機能を向上させるデバイスおよび方法に関する。より詳細には、本発明のいくつかの適用分野は、体の心臓における複数の乳頭筋を囲むバンドを送達するデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
房室弁修復手術中に心室内の乳頭筋を整復することにより、良好な結果が得られることは、医学文献において有効な証拠がある。貧血、心不全、または他の心室再形成に起因する乳頭筋の変位は、弁尖を拘束することになり、その正常な機能を妨げる。弁輪だけに焦点を当てている修復は、弁尖の拘束に起因して逆流の再発を生ずることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乳頭筋整復の数多くの方法が、医学文献および特許文献において述べられている。しかし、これらの乳頭筋整復の方法は、通常、心臓切開手術中に実施される。したがって、乳頭筋整復を実施する低侵襲性デバイスおよび方法が求められている。特にカテーテルを介して乳頭筋整復を実施するデバイスおよび方法が求められている。さらに、文献は、乳頭筋整復を提案しているが、提案されたデバイスおよび方法は、ほとんど商業的に成功していない。したがって、カテーテルを介して送達されるか、それとも何らかの他の方法であるかにかかわらず、向上させたデバイスおよび方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、心機能を向上させるデバイスおよび方法を含む。例示的な実施形態は、複数の乳頭筋の周囲をバンドで囲むために、少なくとも1本のガイドワイヤを心室に送ることによって、心機能を向上させる方法を提供するので有利である。本開示の様々な実施形態は、以下の態様の1つまたは複数のものを含むことができる。
【0006】
本開示の実施形態によれば、心機能を向上させる方法が提供され、方法は、少なくとも1本のガイドワイヤを心室に経カテーテルにより送達するステップと、少なくとも1本のガイドワイヤを、心室における複数の乳頭筋の周囲でループ化するステップと、ガイドワイヤを用いて、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送るステップと、複数の乳頭筋の周囲で単一ループのバンドを締め付けて複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張るステップと、経カテーテルにより、ガイドワイヤを心臓から取り外すステップとを含む。本開示のいくつかの実施形態では、複数の乳頭筋は、2つおよび/または3つの乳頭筋を含むことができる。
【0007】
本開示の他の実施形態では、心機能を向上させる方法は、少なくとも1本のガイドワイヤをカテーテルの中を通すステップをさらに含む。カテーテルは、複数の乳頭筋の周囲でループを作るように事前に形成することができる。したがって、事前に形成されたカテーテルは、複数の乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化するのを助けることができる。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、少なくとも1本のガイドワイヤは、近位端および遠位端を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、ガイドワイヤを用いてバンドを送るステップは、バンドの端部をガイドワイヤの遠位端に接続するステップと、ガイドワイヤが複数の乳頭菌の周囲にループ化された状態にある間に、ガイドワイヤの近位端を引っ張り、それにより、複数の乳頭筋の周囲でバンドを引っ張るステップとをさらに含むことができる。
【0009】
本開示の別の実施形態では、バンドは中空の管を含むことができる。他の実施形態では、バンドの少なくとも一部は、中空の管を含むことができるが、バンドの別の部分は、中空の管を含まないこともあり得る。バンドは、同時に、複数の乳頭筋を囲み、かつ互いに向かう方向に乳頭筋を引っ張り、それにより、乳頭筋の対向する表面間の距離を減少させるような寸法の管を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、バンドは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、および/またはDacron(ダクロン)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0010】
本開示の実施形態によれば、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送るステップは、乳頭筋と心室の壁との間の肉柱(trabeculae)の中の複数の空間を通してバンドをガイドするステップを含むことができる。さらに、本開示のいくつかの実施形態によれば、心機能を向上させる方法は、バンドを締め付けた後、複数の乳頭筋の周囲でバンドをロックするステップをさらに含むことができる。複数の乳頭筋の周囲でバンドをロックするステップは、引き紐をバンドに通すステップと、バンドを締め付けるために、カテーテルを通して引き紐の少なくとも一端を引っ張るステップと、引き紐をループへとロックするステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、引き紐は、自己ロック式の引き紐とすることができる。他の実施形態では、引き紐は、経カテーテル縫合糸ロックにより、または引き紐をループにロックできる任意の他のロック機構によりループへとロックすることができる。
【0011】
本開示のさらに別の実施形態では、複数の乳頭筋の周囲で単一ループのバンドを締め付けるステップは、複数の乳頭筋の周囲のループが、事前定義の円周に達するまで、バンドを締め付けるステップを含むことができる。例えば、複数の乳頭筋の周囲でバンドを締め付けた後、ループの円周は、複数の乳頭筋の周囲でバンドを締め付ける前のループの円周より小さくすることができる。いくつかの実施形態では、方法は、複数の乳頭筋を互いに接触するように引き寄せるために、複数の乳頭筋の周囲で単一ループのバンドを締め付けるステップをさらに含むことができる。
【0012】
本開示によれば、心室における複数の乳頭筋の周囲で少なくとも1本のガイドワイヤをループ化するステップは、少なくとも1本のガイドワイヤを、操作可能なカテーテルの中を通すステップと、複数の乳頭筋の周囲で操作可能なカテーテルの形状を変更し、それにより、複数の乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化するステップとを含むことができる。
【0013】
本実施形態のさらなる目的および利点は、一部は、以下の記述において記載されており、一部は、その記述から自明のものであるが、本実施形態を実行することにより知ることができる。本実施形態の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で具体的に示された要素および組合せにより実現され、かつ達成されるようになる。
【0014】
前述の一般的な記述、および以下の詳細な記述は、例示的かつ説明のためのものに過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0015】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載される。本発明の特徴および利点の良好な理解は、本発明の原理が利用されている例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明および添付図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施形態が使用され得るヒトの心臓の例示的な解剖学的構造を示す図である。
図2A】本開示の実施形態による、心室の中にガイドワイヤを導入し、かつ複数の乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化する例示的な方法を示す図である。
図2B】本開示の実施形態による、心室の中にガイドワイヤを導入し、かつ複数の乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化する例示的な方法を示す図である。
図2C】本開示の実施形態による、心室の中にガイドワイヤを導入し、かつ複数の乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化する例示的な方法を示す図である。
図3A】本開示の実施形態による、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続するために使用される例示的な接続を示す図である。
図3B】本開示の実施形態による、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続するために使用される例示的な接続を示す図である。
図3C】本開示の実施形態による、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続するために使用される例示的な接続を示す図である。
図4A】本開示の実施形態による、ガイドワイヤを用いて複数の乳頭筋の周囲にバンドを送る例示的な方法を示す図である。
図4B】本開示の実施形態による、ガイドワイヤを用いて複数の乳頭筋の周囲にバンドを送る例示的な方法を示す図である。
図4C】本開示の実施形態による、ガイドワイヤを用いて複数の乳頭筋の周囲にバンドを送る例示的な方法を示す図である。
図5A】本開示の実施形態による、複数の乳頭筋の周囲でバンドを締め付ける例示的な方法を示す図である。
図5B】本開示の実施形態による、複数の乳頭筋の周囲でバンドを締め付ける例示的な方法を示す図である。
図5C】本開示の実施形態による、複数の乳頭筋の周囲でバンドを締め付ける例示的な方法を示す図である。
図5D】本開示の実施形態による、複数の乳頭筋の周囲でバンドを締め付ける例示的な方法を示す図である。
図6A】本開示の実施形態による、複数の乳頭筋の周囲にガイドワイヤを配置するのを容易にするための例示的な事前に形成されたカテーテルを示す図である。
図6B】本開示の実施形態による、複数の乳頭筋の周囲にガイドワイヤを配置するのを容易にするための例示的な事前に形成されたカテーテルを示す図である。
図7】本開示の実施形態による、引き紐を用いて乳頭筋の周囲でバンドを締め付ける例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、心機能を向上させるための方法およびデバイスに関する。本開示は、複数の乳頭筋の周囲でバンドをループ化することによって、心機能を向上させる例を提供するが、本開示の諸態様は、その最も広い意味において、複数の乳頭筋の周囲でバンドをループ化することに限定されないことに留意されたい。そうではなくて、前述の原理は、心機能を向上させる他の方法にも同様に適用され得ることが企図される。バンドという用語は、概して、乳頭筋を互いに近づけるために、心室における複数の乳頭筋を部分的に、または完全に囲むことのできる任意の要素を指す。図4A図4Cで示すように、複数の乳頭筋の周囲でバンドをループ化することは、本開示による心機能を向上させる方法の一例である。ループ化することは、1つまたは複数の乳頭筋を部分的に、または完全に囲むことを含むことができる。
【0018】
本開示による心機能を向上させる方法は、少なくとも1本のガイドワイヤを心室に経カテーテルにより送達するステップを含むことができる。「経カテーテル」という用語は、カテーテルを介して送達することを含むことができる。図2A図2Cは、例えば、少なくとも1本のガイドワイヤ206を心室に送達するために使用される単一のカテーテル208を示す。心室への経カテーテル手法は、経胸腔的、経動脈的、経静脈的、経中隔的、経心尖的、または経心房的なものとすることができる。これらのすべては、当技術分野で知られた標準の医療用カテーテル、およびカテーテル挿入ツールを用いて達成することができる。それらはまた、関連する機能を実施するための新しいツールを用いて実施することもできる。「ガイドワイヤ」という用語は、心室内で複数の乳頭筋を囲むことのできる任意の細長い、可撓性のある部材を含むことができる。図2A図2Cは、例えば、複数の乳頭筋202および204を囲む、すなわち、完全に、または部分的に囲むためのガイドワイヤ206を示す。ガイドワイヤ206は、紐、糸、ワイヤ、縫合糸、コイル、または他の解剖学的な体内で使用するのに適した細長い可撓性のある部材とすることができる。前述の原理は、決して単一のガイドワイヤに限定されない。そうではなくて、前述の原理は、1つまたは複数のガイドワイヤを用いる方法に適用できることが企図される。例えば、図3A図3Cは、第1の乳頭筋302および第2の乳頭筋304を囲む2本のガイドワイヤ306を示す。加えて、本開示は、僧帽弁に関して本発明の概念を述べているが、その最も広い意味において、本発明は、そのように限定されることはなく、例えば、図1において左心室で示されていようと、または右心室で示されていようと、任意の乳頭筋に対して使用することができる。
【0019】
本開示によれば、方法は、心室における複数の乳頭筋の周囲で少なくとも1本のガイドワイヤをループ化するステップをさらに含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、心室における複数の乳頭筋は、2つおよび/または3つの乳頭筋を含むことができる。図1で示されるように、概して、左心室内に2つの乳頭筋102、および右心室に3つの乳頭筋104が存在する。したがって、複数の乳頭筋は、2つおよび/または3つの乳頭筋を含むことができる。
【0020】
本開示によるいくつかの実施形態では、心室内の複数の乳頭筋の周囲で少なくとも1本のガイドワイヤをループ化することは、ガイドワイヤを乳頭筋の周囲でループ化することをその形状が助ける事前に形成されたカテーテルを用いることを含むことができる。例えば、図6A図6Bで示されるように、事前に形成されたカテーテル610は、ガイドワイヤ606を、乳頭筋602および604の周囲でループ化するのを助けることができる。例えば、カテーテルは、シース(図示せず)から解放された後、カテーテルが事前設定された形状をとることを可能にする形状記憶材料から作ることができる。
【0021】
他の実施形態では、心室内の複数の乳頭筋の周囲で少なくとも1本のガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化するのを助けるために、ユーザによって、対話式にその形状を変更できる操作可能なカテーテルを用いることを含むことができる。さらに別の実施形態では、複数の乳頭筋の周囲で少なくとも1本のガイドワイヤをループ化することは、第1のガイドワイヤを第1の乳頭筋の周囲でループ化し、第2のガイドワイヤを第2の乳頭筋の周囲でループ化し、かつ第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続し、それにより、複数の乳頭筋の周囲に単一のループを作成することを含むことができる。他の実施形態では、乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化するのを助けるために、事前に形成された、かつ/または操作可能なガイドワイヤを用いることを含むことができる。複数の乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化することはまた、1つまたは複数の乳頭筋の周囲で少なくとも1本のガイドワイヤを操作するための任意の他の機構により実施することができる。少なくとも1本のガイドワイヤは、複数の乳頭筋の周囲でループを形成するために、乳頭筋のグループの周囲でループ化される単一のガイドワイヤを、またはすべてではない乳頭筋をループ化した後に、後で相互接続される複数のガイドワイヤを含むことができる。
【0022】
ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、腱索または腱索が取り付けられる筋肉の基部を含むことができる。ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、複数の乳頭筋頭部、または複数の乳頭筋本体を含むことができる。いくつかの実施形態では、ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、乳頭筋の肉柱を含むことができる。例えば、乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋と心室の壁との間で肉柱の中の複数の空間を通して、ガイドワイヤを通過させることを含むことができる。
【0023】
本開示の実施形態は、ガイドワイヤを用いて、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送ることをさらに含むことができる。ガイドワイヤを用いて、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送ることは、バンドが、少なくとも部分的に2つと3つの間の乳頭筋を同時に囲むように、バンドを送ることを含むことができる。例えば、図4A図4Cで見られるように、ガイドワイヤ406は、バンド414が少なくとも部分的に複数の乳頭筋402および404を囲むように、バンド414を送るために使用され得る。他の実施形態では、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送ることは、複数の乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の空間を通して、バンドを通過させることを含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、バンドは管とすることができる。管は、内側が中空であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、複数の乳頭筋の周囲でバンドを送ることは、管から形成されたバンドを、ガイドワイヤ介して通すことを含むことができる。本開示の他の実施形態では、管の一部は、管および/またはリングを含むことができる。他の実施形態では、管の一部は、管および/またはリングに接続することができる。したがって、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送ることは、一部が管および/またはリングであるバンド、または管および/またはリングに接続されたバンドを、ガイドワイヤを介して管および/またはリングの部分を通すことにより、ガイドワイヤに沿って送ることを含むことができる。さらに別の実施形態では、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送ることは、ガイドワイヤの端部にバンドの端部を接続して、ガイドワイヤの他方の端部を引っ張ることを含むことができ、したがって、複数の乳頭筋の周囲でガイドワイヤを引っ張ることは、乳頭筋の周囲でバンドを引っ張ることと同様になる。代替的に、バンドは、複数の乳頭筋を同時に囲み、かつ複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張るような寸法とすることができる。例えば、図5A図5Dで見られるように、バンド506は、乳頭筋502と乳頭筋504を共に同時に囲むような寸法とすることができる。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態によれば、複数の乳頭筋の周囲に配置されるバンドは、管の内部のステント状のフレームから形成され得る。管は、織物または他の可撓性のある材料から作ることができる。ステント状のフレームは、カテーテルから展開された後、拡大することができる。他の実施形態では、ステント状のフレームは、膨張可能なバルーンを使用することにより拡大することができる。例えば、膨張可能なバルーンは、拡大すると事前定義の形状を有することができ、またステント状のフレームをバルーンの形状へと曲がるようにすることができる。代替的実施形態では、ステント状のフレームは、自己拡大性のものとすることができ、その圧縮された形状に維持するように意図されたカテーテルまたはシースから展開されると、自己拡大して形成される事前定義の形状を有することができる。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態では、バンドは、乳頭筋を共に近くへと引っ張るのに使用される適切な引張強さを備えたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、Dacron(ダクロン)、および/または任意の他の生物学的に不活性な合成材料のうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、バンドは、押し出し、編み、織り、網組み、または生物学的に不活性な合成材料をバンドもしくは管状のバンドへと形成する任意の他の方法により製作することができる。いくつかの実施形態では、バンドは、弾性を有する、または非弾性の、または部分的に弾性を有するものとすることができる。他の実施形態では、バンドの一部は、弾性を有することができ、またバンドの一部は、非弾性とすることができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、バンドは、複数の材料から作ることができる。すなわち、バンドの一部を1つの材料から作ることができるが、バンドの別の部分は、異なる材料から作ることができる。さらに別の実施形態では、バンドは、患者から、別のヒト提供者から、または動物由来の材料からの生物学的材料から作ることができる。
【0027】
本開示の様々な例示的な実施形態によれば、複数の乳頭筋の周囲で単一ループのバンドを締め付けて、複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることは、引き紐をバンドの中を通し、引き紐の端部を、カテーテルを通して引っ張ってバンドを締め付け、かつ経カテーテル縫合糸ロックを用いて、引き紐を望ましい、かつ/または適切な寸法のループへとロックすることを含むことができる。例えば、図7で示されるように、引き紐706は、バンド710を通り、単一ループのバンド710を、複数の乳頭筋702および704の周囲で締め付けることができる。引き紐706の両端は、バンド710を乳頭筋702および704の周囲で締め付けるために、カテーテル708を通して引っ張ることができる。他の実施形態では、単一ループのバンドを複数の乳頭筋の周囲で締め付けることは、自己ロック式の引き紐を、バンドを通し、かつ引き紐の一方または両端を引っ張って、バンドを複数の乳頭筋の周囲に締め付けることを含むことができる。引き紐の一端または両端を引っ張ることにより、引き紐を、適切な寸法のループへと自己ロックさせることができる。本開示の別の実施形態では、単一ループのバンドを複数の乳頭筋の周囲で締め付けることは、カテーテルを通して、バンドの両端に取り付けられた複数の引き紐を引っ張ることを含むことができる。取り付けられた複数の引き紐を引っ張ることにより、バンドを締め付けることができる。経カテーテル縫合糸ロックを用いることは、引き紐を定位置にロックすることができ、それにより、バンドを適切な、かつ/または望ましい寸法のループへと形成する。
【0028】
引き紐は、自己ロック式とすることができるが、または引き紐は、別のロック機構を用いてロックすることができる。いくつかの実施形態では、引き紐は、バンドをループ化された形状へとロックできる任意の機構に結合され得る。本開示のいくつかの実施形態では、自己ロック式の引き紐は、紐が、紐の長さに沿った固定位置に1つまたは複数のビーズを含むビーズ付きロックケーブル留め具と同様の構成とすることができる。ビーズがロッキング把持器(locking grasper)を通過すると、紐および/またはバンドは、固定位置へとロックされ得るが、それは、ビーズがロッキング把持器を通過するとき、反対方向に通過できないためである。自己ロック式の引き紐は、乳頭筋を整復するために乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張る位置にロックされ得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることは、乳頭筋のそれぞれの対向する表面が互いに接触するまで、複数の乳頭筋を引っ張ることを含むことができる。他の実施形態では、複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることは、乳頭筋のそれぞれの対向する表面が、前よりも互いに接近するように乳頭筋を引っ張ることを含むことができる。さらに別の実施形態では、乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることは、各乳頭筋の対向する表面間の距離が、一定の所定の値、または値の範囲を満たすまで、乳頭筋を引っ張ることを含むことができる。例えば、乳頭筋は、乳頭筋のそれぞれの対向する表面間の距離が、所定の距離未満になるまで、または所定の距離の所定の範囲内まで、引っ張ることができる。本開示の別の実施形態によれば、乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることは、乳頭筋の周囲でバンドにより形成されたループが、所定の円周を有するように乳頭筋を引っ張ることを含むことができる。例えば、図5Aは、適正に配置された乳頭筋を有する正常な心臓を示している。対照的に、図5Bは、拡大した心室、および変位した乳頭筋502および504を示す拡張された心筋症を有する心臓を示す。したがって、バンド506は、例えば、図5Cで示すように、乳頭筋を互いに対して近接するように引っ張るために、乳頭筋502および504の周囲でループを作ることができる。別の例では、複数の乳頭筋502および504は、図5Dで示すように、乳頭筋502および504のそれぞれの対向する表面が互いに対して接触するまで、互いに向かう方向に引っ張ることができる。
【0030】
本開示は、体の心臓における複数の乳頭筋を少なくとも部分的に囲むために、経カテーテルによりバンドを送達するための方法およびデバイスにさらに関する。本開示は、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを、少なくとも1つのカテーテルを介して心室へと送達する例を提供するが、本開示の諸態様は、その最も広い意味において、2本のガイドワイヤを心室に送達することに限定されないことに留意されたい。そうではなくて、前述の原理は、より少ない、またはより多くのガイドワイヤを、カテーテルを介して心室に送達することに適用できるように企図される。バンドという用語は、概して、乳頭筋を互いに接近させるために、心室内の複数の乳頭筋を少なくとも部分的に囲むことのできる任意の要素を指す。囲むことは、1つまたは複数の乳頭筋を部分的に、または完全に囲むことを含むことができる。図3A図3Cで示すように、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを心室に送達することは、本開示による、体の心臓における複数の乳頭筋302および304を少なくとも部分的に囲むためのバンドを送達する方法の一例である。
【0031】
体の心臓における1つまたは複数の乳頭筋を少なくとも部分的に囲むためのバンドを経カテーテルにより送達する方法は、少なくとも1つのカテーテルを経皮的に心室内へ挿入するステップを含むことができる。心室への経カテーテル手法は、経胸腔的、経動脈的、経静脈的、経中隔的、経心尖的、または経心房的なものとすることができる。これらの経カテーテル手法のそれぞれは、当技術分野で知られた医療用カテーテル、およびカテーテル挿入ツールを用いて達成することができる。それらはまた、関連する機能を実施するための新しいツールを用いて実施することもできる。加えて、本開示は、僧帽弁に関して本発明の概念を述べているが、その最も広い意味において、本発明は、そのように限定されることはなく、左心室であろうと、または右心室であろうと、任意の乳頭筋に対して使用することができる。
【0032】
本方法は、第1のガイドワイヤを少なくとも1つのカテーテルを介して心室に送達するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のガイドワイヤは、紐、糸、ワイヤ、縫合糸、コイル、または任意の他の細長い可撓性のある、かつ/または生体適合性のある部材を含むことができる。
【0033】
本開示の実施形態によれば、方法は、第1の乳頭筋の周囲で第1のガイドワイヤをループ化するステップをさらに含むことができる。例えば、図3A図3Cで示すように、第1のガイドワイヤ306は、少なくとも1つのカテーテル308を介して心室に送達され、第1の乳頭筋302を少なくとも部分的に囲むようにすることができる。いくつかの実施形態では、第1の乳頭筋の周囲で第1のガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋の周囲でループ化することをその形状が助ける事前に形成されたカテーテルを用いることを含むことができる。例えば、図6A図6Bで見られるように、カテーテル610は、第1の乳頭筋602の周囲で第1のガイドワイヤ606をループ化し易くするように事前形成され得る。別の実施形態では、第1の乳頭筋の周囲で第1のガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋の周囲でループ化するのを助けるために、ユーザにより対話式にその形状を変更できる操作可能なカテーテルを用いることを含むことができる。ループ化することは、1つまたは複数の乳頭筋を部分的に、または完全に囲むことを含むことができる。
【0034】
本開示の実施形態によれば、方法は、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すステップをさらに含むことができる。すなわち、第1のガイドワイヤの第1の端部は、第1のガイドワイヤの第2の端部が体内に残った状態にある間、体外にあることができる。他の実施形態では、第1のガイドワイヤの両端を体外に取り出すことができるが、さらに他の実施形態では、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すことができるが、第1のガイドワイヤの第2の端部は体外に残ったままであり、体内に入っていない。例えば、図3A図3Cで示すように、第1のガイドワイヤ306の両端312は、カテーテル308の近位端310を通って体外に取り出すことができる。他の実施形態では、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すことは、第1のガイドワイヤの第1の端部がカテーテルを通って体外に押し出されるように、第1のガイドワイヤの第2の端部を押すことを含むことができる。他の実施形態では、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すことは、ガイドワイヤ捕捉技法により、心室内で第1のガイドワイヤの第1の端部を捕捉することを含むことができる。例えば、磁気的なガイドワイヤ捕捉を実施することができ、その場合、磁石が使用されて、第1のガイドワイヤの第1の端部を捕捉し、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に引き出す。前述の原理は、磁気的なガイドワイヤ捕捉機構を述べているが、ガイドワイヤの第1の端部を捕捉し、かつがガイドワイヤを体外に引き出すことのできる任意の機構を使用することができる。例えば、キャプチャループ(capture loop)ガイドワイヤ捕捉機構、ガイドワイヤ捕捉バスケット、またはそれらの任意の組合せが、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すために使用され得る。第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すことは、ガイドワイヤが、カテーテルの第2の部分で捕捉されるように、ガイドワイヤをカテーテルの1つの部分から、カテーテルの別の部分へとガイドワイヤを通すことをさらに含むことができる。ガイドワイヤがカテーテルの第2の部分で捕捉された後、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すために、カテーテルを体外に引き出すことができる。
【0035】
本方法は、第2のガイドワイヤを、少なくとも1つのカテーテルを介して心室に送達するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のガイドワイヤはまた、紐、糸、ワイヤ、縫合糸、コイル、または任意の他の細長い、可撓性のある、かつ/または生体適合性のある材料を含むことができる。
【0036】
本開示の実施形態によれば、方法は、第2の乳頭筋の周囲で第2のガイドワイヤをループ化するステップをさらに含むことができる。例えば、図3A図3Cで示すように、第2のガイドワイヤ316は、第2の乳頭筋304を囲むように、少なくとも1つのカテーテル308を介して心室へと送達され得る。いくつかの実施形態では、第2のガイドワイヤを、第2の乳頭筋の周囲でループ化することは、乳頭筋の周囲でループ化するのをその形状が助ける事前に形成されたカテーテルを用いることを含むことができる。例えば、カテーテルは、第2の乳頭筋の周囲で第2のガイドワイヤをループ化し易くするように事前に形成することができる。例えば、図6A図6Bで見られるように、カテーテル610は、第2の乳頭筋604の周囲で第2のガイドワイヤ(図示せず)をループ化し易くするように事前に形成され得る。別の実施形態では、第2のガイドワイヤを第2の乳頭筋の周囲でループ化することは、乳頭筋の周囲でループ化するのを助けるために、ユーザにより対話式にその形状を変更できる操作可能なカテーテルを用いることを含むことができる。
【0037】
本開示の実施形態によれば、方法は、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すステップをさらに含むことができる。すなわち、第2のガイドワイヤの第2の端部は、第2のガイドワイヤの他方の端部が体内に残った状態にある間、体外にあることができる。別の実施形態では、第2のガイドワイヤの両端を体外に取り出すことができるが、さらに別の実施形態では、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すことができるが、第2のガイドワイヤの他の端部は体外に残ったままであり、体内に入っていない。例えば、第2のガイドワイヤ316の両端312は、カテーテル308の近位端310を通って体外に取り出すことができる。第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すことは、第2のガイドワイヤの第2の端部がカテーテルを通って体外に押し出されるように、第2のガイドワイヤの第1の端部を押すことを含むことができる。他の実施形態では、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すことは、ガイドワイヤ捕捉技法により、心室内で第2のガイドワイヤの第2の端部を捕捉することを含むことができる。例えば、磁気的なガイドワイヤ捕捉を実施することができ、その場合、磁石が使用されて、第2のガイドワイヤの第2の端部を捕捉し、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に引き出す。前述の原理は、磁気的なガイドワイヤ捕捉機構を述べているが、ガイドワイヤの第2の端部を捕捉し、かつガイドワイヤを体外に引き出すことのできる任意の機構を使用することができる。例えば、キャプチャループガイドワイヤ捕捉機構、ガイドワイヤ捕捉バスケット、またはそれらの任意の組合せが、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すために使用され得る。第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すことは、ガイドワイヤがカテーテルの第2の部分で捕捉されるように、ガイドワイヤをカテーテルの1つの部分から、カテーテルの別の部分へとガイドワイヤを通すことをさらに含むことができる。ガイドワイヤがカテーテルの第2の部分で捕捉された後、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すために、カテーテルを体外に引き出すことができる。
【0038】
本開示の実施形態によれば、方法は、第1のガイドワイヤを第2のガイドワイヤに相互接続するステップをさらに含むことができる。第1のガイドワイヤを第2のガイドワイヤに相互接続することは、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを共に結ぶことを含むことができる。他の実施形態では、第1および第2のガイドワイヤを相互接続することは、複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される組込み式コネクタ、または任意の他のタイプのコネクタを用いて第1および第2のガイドワイヤを共に接続することを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1および第2のガイドワイヤを相互接続することは、適用されるクリップ、留め金を用いて、または複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される任意の他のタイプのクリップ、留め金、もしくはクリンプリングを用いて、第1および第2のガイドワイヤを接続することを含むことができる。例えば、図3A図3Cで示すように、第1のガイドワイヤ306の一端、および第2のガイドワイヤ316の一端は、可撓性のあるコネクタを用いて(図3A)、剛性のあるコネクタを用いて(図3B)、結び目を作って(図3C)、またはそれらの任意の組合せで相互接続することができる。他の実施形態では、第1および/または第2のガイドワイヤの端部は、複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される任意の機構を用いて相互接続することができる。
【0039】
本開示の実施形態と矛盾することなく、方法は、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一端を、それらを相互接続した後に引っ張り、それにより、少なくとも第1の乳頭筋および第2の乳頭筋の周囲で、単一のループを確立するステップをさらに含むことができる。例えば、図4A図4Cで示すように、ガイドワイヤの一端412bは、少なくとも第1の乳頭筋402および第2の乳頭筋404の周囲で単一ループ406を確立するために、カテーテル408の近位端410を通して引っ張ることができる。ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、腱索、または腱索が取り付けられる筋肉の基部を含むことができる。いくつかの実施形態では、ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、複数の乳頭筋頭部、または複数の乳頭筋本体を含むことができる。いくつかの実施形態では、ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、乳頭筋の肉柱を含むことができる。例えば、乳頭筋の周囲で第1および第2のガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋と心室の壁との間で肉柱の中の複数の空間を通して、第1および第2のガイドワイヤを通過させることを含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法は、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一端を、それらを相互接続した後に引っ張ることにより確立された単一ループを用いて、バンドを、第1の乳頭筋および第2の乳頭筋の周囲に送るステップをさらに含むことができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、バンドは、ガイドワイヤ上に配置された管とすることができる。他の実施形態では、バンドの一部だけを管またはリングとすることができる。さらに別の実施形態では、バンドの一部は、管またはリングに接続され得る。したがって、バンドを、第1および第2の乳頭筋の周囲に送ることは、バンドを、ガイドワイヤ介して、管またはリング部分を通すことにより、ガイドワイヤに沿って送ることを含むことができる。他の実施形態では、バンドを、第1および第2の乳頭筋の周囲に送ることは、バンドの端部をガイドワイヤの端部に接続し、かつガイドワイヤの他方の端部を、ガイドワイヤが乳頭筋の周囲でバンドを引っ張るように引っ張ることを含むことができる。例えば、図4A図4Cで示すように、バンド414の端部を、ガイドワイヤの端部412aに接続することができる。ガイドワイヤの他方の端部412bは、バンド414をカテーテル408の中を通し、乳頭筋402および404の周囲で引っ張るために、カテーテル408の近位端410を通して引っ張ることができる。バンド414は、図4Cで示されるように、少なくとも第1の乳頭筋402および第2の乳頭筋404の周囲で単一ループを形成することができる。
【0041】
本開示の別の実施形態によれば、バンドは、複数の乳頭筋を同時に囲む、すなわち、完全に、または部分的に囲み、かつ複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張るような寸法とすることができる。例えば、図5Cおよび図5Dで見られるように、バンド506は、第1の乳頭筋502および第2の乳頭筋504を同時に囲むような寸法とすることができる。代替的に、バンドは、管とすることができる、またはバンドの一部が管であり得る。例えば、バンドの第1の部分は管とすることができるが、バンドの第2の部分は、管ではないこともあり得る。本開示のいくつかの実施形態では、バンドは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、Dacron(ダクロン)、および/または乳頭筋を共に近接するように引っ張るのに使用される適切な引張強さを備えた、任意の他の生物学的に不活性な合成材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態では、バンドは、押し出し、編み、織り、網組み、または生物学的に不活性な合成材料をバンドもしくは管状のバンドへと形成する任意の他の方法により製作することができる。いくつかの実施形態では、バンドは、弾性を有する、または非弾性の、または部分的に弾性を有することができる。他の実施形態では、バンドの一部が弾性を有することができ、またバンドの一部は、非弾性とすることができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、バンドは、複数の材料から作ることができる。すなわち、バンドの一部を1つの材料から作ることができるが、バンドの別の部分は、異なる材料から作ることができる。さらに別の実施形態では、バンドは、患者から、別のヒト提供者から、または動物由来の材料からの生物学的材料から作ることができる。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続する方法は、体外において、第1のガイドワイヤの第1の端部を第2のガイドワイヤの第2の端部に接続するステップを含むことができる。他の実施形態では、第1のガイドワイヤを、体内で第2のガイドワイヤに接続することができる。本開示の他の実施形態では、第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を、体外に取り出すことは、磁石を用いて、第1の端部および第2の端部の少なくとも一方を捕捉し、かつ第1および第2の端部の少なくとも一方を体外に引き出すことを含むことができる。前述の原理は、磁気的なガイドワイヤ捕捉機構を述べているが、第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を捕捉し、かつ第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤの少なくとも一方を体外に引き出すことのできる任意の機構を使用することができる。例えば、キャプチャループガイドワイヤ捕捉機構、ガイドワイヤ捕捉バスケット、またはそれらの任意の組合せが、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すために使用され得る。第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体外に取り出すことは、第1のガイドワイヤの第2の端部を押して、それにより、第1のガイドワイヤの第1の端部を、少なくとも1つのカテーテルを通して体外へと移動させることを含むことができる。他の実施形態では、第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体外に取り出すことは、第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を、乳頭筋の周囲で、少なくとも1つのカテーテルの第1の部分から、カテーテルの第2の部分へと通して、カテーテルの第2の部分において、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方を捕捉することを含むことができる。カテーテルの第2の部分において、第1のガイドワイヤおよび/または第2のガイドワイヤが捕捉された後、第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を、体から抜き出すために、カテーテルを体外に引き出すことができる。
【0043】
本開示の別の実施形態によれば、心臓内の複数の乳頭筋を少なくとも部分的に囲むためのバンドを経カテーテルにより送達する方法は、第3のガイドワイヤの端部を、少なくとも1つのカテーテルを介して心室に送達するステップと、第3のガイドワイヤの端部を第3の乳頭筋の周囲でループ化するステップと、第3のガイドワイヤが、第3の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、第3のガイドワイヤの端部を体外に取り出すステップと、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方を第3のガイドワイヤと相互接続するステップとを含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、第1、第2、および第3のガイドワイヤは、単一ループのバンドを、3つの乳頭筋の周囲に送ることができる。
【0044】
心臓内の複数の乳頭筋を少なくとも部分的に囲むためのバンドを経カテーテルにより送達する方法は、バンドの端部を、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方に接続するステップと、ガイドワイヤが、第1および第2の乳頭筋の周囲でループ化された状態の間に、ガイドワイヤの近位端を引っ張り、それにより、バンドを、第1および第2の乳頭筋の周囲でガイドするステップとをさらに含むことができる。例えば、図4A図4Cで示すように、バンド414の端部は、ガイドワイヤの端部412aに接続され得る。ガイドワイヤの他方の端部412bは、カテーテル408を通し、かつ乳頭筋402および404の周囲でバンド414を引っ張るために、カテーテル408の近位端410を通して引っ張ることができる。
【0045】
第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続するために、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤの少なくとも一方は、組込み式コネクタを含むことができる。したがって、第1のガイドワイヤの端部は、組込み式コネクタを介して第2のガイドワイヤの端部に接続することができる。前述の実施形態は、組込み式コネクタを述べているが、複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される任意の他のタイプのコネクタを使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1および第2のガイドワイヤを相互接続することは、適用されるクリップ、留め金を用いて、または複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される任意の他のタイプのクリップ、留め金、もしくはクリンプリングを用いて、第1および第2のガイドワイヤを接続することを含むことができる。例えば、図3A図3Cで示すように、第1のガイドワイヤ306の一端、および第2のガイドワイヤ316の一端は、可撓性のあるコネクタを用いて(図3A)、剛性のあるコネクタを用いて(図3B)、結び目を作って(図3C)、またはそれらの任意の組合せで相互接続することができる。他の実施形態では、第1および/または第2のガイドワイヤの端部は、複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される任意の機構を用いて相互接続することができる。
【0046】
本開示の別の実施形態は、心機能を向上させるための方法およびデバイスに関する。本開示は、複数の乳頭筋の周囲で単一のバンドをループ化することによって、心機能を向上させる例を提供するが、本開示の諸態様は、その最も広い意味において、複数の乳頭筋の周囲でバンドをループ化することに限定されないことに留意されたい。そうではなくて、前述の原理は、心機能を向上させる他の方法にも同様に適用され得ることが企図される。バンドという用語は、概して、乳頭筋を互いに近づけるために、心室における複数の乳頭筋を囲むことのできる任意の要素を指す。図4A図4Cおよび図5A図5Dで示すように、複数の乳頭筋の周囲でバンドをループ化することは、本開示による心機能を向上させる方法の一例である。ループ化することは、1つまたは複数の乳頭筋を部分的に、または完全に囲むことを含むことができる。
【0047】
本開示による心機能を向上させる方法は、心室における複数の乳頭筋の周囲で単一のバンドを経カテーテルによりループ化するステップを含むことができる。「経カテーテル」という用語は、カテーテルを介して送達することを含むことができる。図4A図4Cは、例えば、心室における複数の乳頭筋402、404の周囲に、単一のバンド414を送達し、かつループ化するために使用される単一のカテーテル408を示す。心室への経カテーテル手法は、経胸腔的、経動脈的、経静脈的、経中隔的、経心尖的、または経心房的なものとすることができる。これらのすべては、当技術分野で知られた標準の医療用カテーテル、およびカテーテル挿入ツールを用いて達成することができる。それらはまた、関連する機能を実施するための新しいツールを用いて実施することもできる。加えて、本開示は、僧帽弁に関して本発明の概念を述べているが、その最も広い意味において、本発明はそのように限定されることなく、左心室で示されていようと、または右心室で示されていようと、任意の乳頭筋に対して使用することができる。
【0048】
本開示によれば、方法は、バンドが、一群の乳頭筋を少なくとも部分的に囲むように、心室における複数の乳頭筋の周囲で単一のバンドをループ化するステップをさらに含むことができる。「一群(cluster)の」という用語は、概して、比較的互いに近接している複数の乳頭筋を指す。例えば、「一群の」乳頭筋は、2つおよび/または3つの乳頭筋を含むことができる。「一群の」ものはまた、単一の心室内の2つ以上の乳頭筋の任意のサブセットを指すことができる。一群のものは、少なくとも部分的に囲むバンドにより画定される外側周辺境界を有することができる。さらに、一群のものは、外側周辺境界の反対側の複数の乳頭筋の側部に内側領域を有することができる。例えば、図5Cおよび図5Dで示すように、一群のものは、少なくとも部分的に囲むバンド506によって画定される外側周辺境界を有し、かつ外側周辺境界の反対側の乳頭筋502、504の側部に内側領域を有する複数の乳頭筋502、504を指すことができる。
【0049】
心室における複数の乳頭筋の周囲で単一のバンドをループ化するために、方法は、第1のガイドワイヤおよび/または第2のガイドワイヤを実施することができる。例えば、図2A図2Cで示されるように、方法は、心室における複数の乳頭筋202、204の周囲で少なくとも1本のガイドワイヤ206をループ化するステップをさらに含むことができる。方法は、第1の乳頭筋の周囲で第1のガイドワイヤをループ化するステップと、第2の乳頭筋の周囲で第2のガイドワイヤをループ化するステップと、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続するステップとをさらに含むことができる。例えば、図3A図3Cで示すように、方法は、第1の乳頭筋302の周囲で第1のガイドワイヤ306をループ化するステップと、第2の乳頭筋304の周囲で第2のガイドワイヤ316をループ化するステップと、コネクタ314により、体外で、第1のガイドワイヤ306および第2のガイドワイヤ316を相互接続するステップとをさらに含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、心室における複数の乳頭筋は、2つおよび/または3つの乳頭筋を含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、複数の乳頭筋の周囲で単一のバンドをループ化することは、少なくとも1つのカテーテルを介して、第1のガイドワイヤおよび/または第2のガイドワイヤを心室に送達することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のガイドワイヤおよび/または第2のガイドワイヤは、紐、糸、ワイヤ、縫合糸、コイル、または任意の他の細長い可撓性のある、かつ/または生体適合性のある部材を含むことができる。方法は、第1の乳頭筋の周囲で第1のガイドワイヤをループ化するステップ、かつ/または第2の乳頭筋の周囲で第2のガイドワイヤをループ化するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1および/または第2の乳頭筋の周囲で、第1のガイドワイヤおよび/または第2のガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋の周囲でその形状がループ化するのを助ける事前に形成されたカテーテルを用いることを含むことができる。例えば、図6A図6Bで示すようにカテーテル610は、乳頭筋602および604の周囲でガイドワイヤ606をループ化し易くするために事前に形成され得る。別の実施形態では、乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋の周囲でループ化するのを助けるために、ユーザにより対話式にその形状を変更できる操作可能なカテーテルを用いることを含むことができる。
【0051】
本開示の実施形態によれば、方法は、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すステップをさらに含むことができる。すなわち、第1のガイドワイヤの第2の端部が、体内に残った状態にある間に、第1のガイドワイヤの第1の端部は、体外に存在することができる。他の実施形態では、第1のガイドワイヤの両端を体外に取り出すことができるが、さらに他の実施形態では、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すことができるが、第1のガイドワイヤの第2の端部は体外に残ったままであり、体内に入っていない。例えば、図3A図3Cで示すように、第1のガイドワイヤ306の両端312は、体外に取り出すことができる。第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すことは、第1のガイドワイヤの第1の端部がカテーテルを通って体外に押し出されるように、第1のガイドワイヤの第2の端部を押すことを含むことができる。他の実施形態では、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すことは、ガイドワイヤ捕捉技法により、心室内で第1のガイドワイヤの第1の端部を捕捉することを含むことができる。例えば、磁気的なガイドワイヤ捕捉を実施することができ、その場合、磁石が使用されて、第1のガイドワイヤの第1の端部を捕捉し、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に引き出す。前述の原理は、磁気的なガイドワイヤ捕捉機構を述べているが、ガイドワイヤの第1の端部を捕捉し、かつガイドワイヤを体外に引き出すことのできる任意の機構を使用することができる。例えば、キャプチャループガイドワイヤ捕捉機構、ガイドワイヤ捕捉バスケット、またはそれらの任意の組合せが、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すために使用され得る。第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すことは、ガイドワイヤをカテーテルの1つの部分から、カテーテルの別の部分へとガイドワイヤを通すことをさらに含み、ガイドワイヤが、カテーテルの第2の部分で捕捉されるようにすることができる。ガイドワイヤがカテーテルの第2の部分に捕捉された後、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すために、カテーテルを体外に引き出すことができる。
【0052】
本開示の実施形態によれば、方法は、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すステップをさらに含むことができる。すなわち、第2のガイドワイヤの第2の端部は、体外に存在することができるが、第2のガイドワイヤの他方の端部は、体内に残ったままである。他の実施形態では、第2のガイドワイヤの両端を体外に取り出すことができるが、さらに他の実施形態では、第2のガイドワイヤの第2の端部は、体外に取り出すことができるが、第2のガイドワイヤの他の端部は、体外に残ったままであり、体内に入っていない。例えば、図3A図3Cで示すように、第2のガイドワイヤ316の両端312を、カテーテル308の近位端310を通って体外に取り出すことができる。第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すことは、第2のガイドワイヤの第2の端部がカテーテルを通って体外に押し出されるように、第2のガイドワイヤの第1の端部を押すことを含むことができる。他の実施形態では、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すことは、ガイドワイヤ捕捉技法により、心室内の第2のガイドワイヤの第2の端部を捕捉することを含むことができる。例えば、磁気的なガイドワイヤ捕捉を実施することができ、その場合、磁石が使用されて、第2のガイドワイヤの第2の端部を捕捉し、かつ第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に引き出す。前述の原理は、磁気的なガイドワイヤ捕捉機構を述べているが、ガイドワイヤの第2の端部を捕捉し、かつガイドワイヤを体外に引き出すことのできる任意の機構を使用することができる。例えば、キャプチャループガイドワイヤ捕捉機構、ガイドワイヤ捕捉バスケット、またはそれらの任意の組合せが、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すために使用され得る。第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すことは、ガイドワイヤをカテーテルの1つの部分から、カテーテルの別の部分へとガイドワイヤを通すことをさらに含み、ガイドワイヤが、カテーテルの第2の部分で捕捉されるようにすることができる。ガイドワイヤがカテーテルの第2の部分に捕捉された後、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すために、カテーテルを体外に引き出すことができる。
【0053】
本開示の実施形態によれば、方法は、第1のガイドワイヤを第2のガイドワイヤに相互接続するステップをさらに含むことができる。第1のガイドワイヤを第2のガイドワイヤに相互接続することは、第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを共に結ぶことを含むことができる。他の実施形態では、第1および第2のガイドワイヤを相互接続することは、複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される組込み式コネクタ、または任意の他のタイプのコネクタを用いて第1および第2のガイドワイヤを共に接続することを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1および第2のガイドワイヤを相互接続することは、適用されるクリップ、留め金を用いて、または複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される任意の他のタイプのクリップ、留め金、もしくはクリンプリングを用いて、第1および第2のガイドワイヤを接続することを含むことができる。例えば、図3A図3Cで示すように、第1のガイドワイヤ306の一端、および第2のガイドワイヤ316の一端は、可撓性のあるコネクタを用いて(図3A)、剛性のあるコネクタを用いて(図3B)、結び目を作って(図3C)、またはそれらの任意の組合せで相互接続することができる。他の実施形態では、第1および/または第2のガイドワイヤの端部は、複数のロープ、紐、ワイヤ、またはケーブルを共に接続するために使用される任意の機構を用いて相互接続することができる。
【0054】
本開示の実施形態と矛盾することなく、方法は、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一端を、それらを相互接続した後に引っ張り、それにより、少なくとも第1の乳頭筋および第2の乳頭筋の周囲で、単一のループを確立するステップをさらに含むことができる。例えば、図4A図4Cで示すように、ガイドワイヤ406の一端412bは、第1の乳頭筋402および第2の乳頭筋404の周囲で単一のループを確立するために、引っ張ることができる。ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、腱索、または腱索が取り付けられる筋肉の基部を含むことができる。いくつかの実施形態では、ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、複数の乳頭筋頭部、または複数の乳頭筋本体を含むことができる。いくつかの実施形態では、ループ化がその周囲で行われる乳頭筋は、乳頭筋の肉柱を含むことができる。例えば、乳頭筋の周囲で第1および第2のガイドワイヤをループ化することは、乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の複数の空間を通して、第1および第2のガイドワイヤを通過させることを含むことができる。
【0055】
本開示の実施形態は、ガイドワイヤを用いて、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送ることをさらに含むことができる。ガイドワイヤを用いて複数の乳頭筋の周囲にバンドを送ることは、バンドが2つと3つの間の乳頭筋を同時に、少なくとも部分的に囲むようにバンドを送ることを含むことができる。他の実施形態では、複数の乳頭筋の周囲にバンドを送ることは、バンドを、複数の乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の空間を通過させることを含むことができる。複数の乳頭筋の周囲で単一のバンドをループ化することは、上記で述べた技法および機構のいずれか、またはそれらの任意の組合せによることができる。
【0056】
本開示の別の実施形態によれば、バンドは、複数の乳頭筋を同時に囲む、すなわち、部分的に、または完全に囲み、かつ複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張るような寸法とすることができる。例えば、図5Cおよび図5Dで見られるように、バンド506は、乳頭筋502、504を同時に囲み、かつ乳頭筋502、504を互いに向かう方向に引っ張るような寸法とすることができる。代替的に、バンドは管とすることができる、またはバンドの一部が管であり得る。例えば、バンドの第1の部分は管とすることができるが、バンドの第2の部分は、管ではないこともあり得る。本開示のいくつかの実施形態では、バンドは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、Dacron(ダクロン)、および/または乳頭筋を共に近接するように引っ張るのに使用される適切な引張強さを備えた、任意の他の生物学的に不活性な合成材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態では、バンドは、押し出し、編み、織り、網組み、または生物学的に不活性な合成材料をバンドもしくは管状のバンドへと形成する任意の他の方法により製作することができる。いくつかの実施形態では、バンドは、弾性を有する、または非弾性の、または部分的に弾性を有することができる。他の実施形態では、バンドの一部は、弾性を有することができ、またバンドの一部は、非弾性とすることができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、バンドは、複数の材料から作ることができる。すなわち、バンドの一部を1つの材料から作ることができるが、バンドの別の部分は、異なる材料から作ることができる。さらに別の実施形態では、バンドは、患者から、別のヒト提供者から、または動物由来の材料からの生物学的材料から作ることができる。
【0057】
本開示の別の実施形態によれば、心機能を向上させる方法は、バンドを経カテーテルにより締め付けて、一群のものの外側周辺境界を収縮させ、それにより、バンドが、内側領域に接触することなく、複数の乳頭筋の外側周辺境界部分に接触し、かつ内側領域には、バンドのいずれの部分も存在しないように、乳頭筋を共に近くに引っ張るステップをさらに含むことができる。例えば、図5Cおよび図5Dで示すように、バンド506は、複数の乳頭筋502、504の外側周辺境界部分に接触することができ、それにより、乳頭筋502、504の内側領域に接触することなく、乳頭筋502、504を共に近くに引っ張ることができる。
【0058】
本開示の様々な実施形態によれば、外側周辺境界を収縮させるためにバンドを経カテーテルにより締め付けて、それにより乳頭筋を共に近くへと引っ張ることは、引き紐を、バンドの中を通し、バンドを締め付けるために、引き紐の端部を、カテーテルを通して引っ張り、かつ経カテーテル縫合糸ロックを用いて、引き紐を望ましい、かつ/または適切な寸法のループへとロックすることを含むことができる。例えば、図7で示されるように、引き紐706は、カテーテル708を通り、かつバンド710を通って、単一ループのバンド710を、複数の乳頭筋702、704の周囲で締め付けるのを容易にすることができる。他の実施形態では、単一ループのバンドを、複数の乳頭筋の周囲で締め付けることは、自己ロック式の引き紐をバンドの中を通し、かつ引き紐の一端または両端を引っ張って、バンドを複数の乳頭筋の周囲で締め付けることを含むことができる。引き紐の一端または両端を引っ張ることにより、引き紐を、適切な寸法のループへと自己ロックさせることができる。本開示の別の実施形態では、単一ループのバンドを複数の乳頭筋の周囲で締め付けることは、カテーテルを通して、バンドの両端に取り付けられた複数の引き紐を引っ張ることを含むことができる。取り付けられた複数の引き紐を引っ張ることにより、バンドを締め付けることができる。経カテーテル縫合糸ロックを用いることは、引き紐を定位置にロックすることができ、それにより、バンドを適切な、かつ/または望ましい寸法のループへと形成する。
【0059】
引き紐は、自己ロック式とすることができるが、または引き紐は、別のロック機構を用いてロックすることができる。いくつかの実施形態では、引き紐は、バンドをループ化された形状へとロックできる任意の機構に結合され得る。本開示のいくつかの実施形態では、自己ロック式の引き紐は、紐が、紐の長さに沿った固定位置に1つまたは複数のビーズを含むビーズ付きロックケーブル留め具と同様の構成とすることができる。ビーズが、ロッキング把持具を通過すると、紐および/またはバンドは、固定位置へとロックされ得るが、それは、ビーズがロッキング把持器を通過するとき、反対方向に通過できないためである。自己ロック式の引き紐は、乳頭筋を整復するために乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張る位置にロックすることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、乳頭筋を近接するように共に引っ張ることは、乳頭筋のそれぞれの対向する表面が互いに接触するまで、乳頭筋を引っ張ることを含むことができる。他の実施形態では、複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることは、乳頭筋のそれぞれの対向する表面が、前よりも互いに接近するように乳頭筋を引っ張ることを含むことができる。さらに別の実施形態では、乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張ることは、各乳頭筋の対向する表面間の距離が、一定の所定の値、または値の範囲を満たすまで、乳頭筋を引っ張ることを含むことができる。例えば、乳頭筋は、乳頭筋のそれぞれの対向する表面間の距離が、所定の距離未満になるまで、または所定の距離の所定範囲内まで、引っ張ることができる。本開示の別の実施形態によれば、乳頭筋を共に近くに引っ張ることは、一群のものの外側周辺が、所定の円周を有するように、乳頭筋を引っ張ることを含むことができる。所定の円周は、経カテーテルによりバンドを締め付ける前の、一群のものの外側周辺の円周よりも小さくすることができる。例えば、図5Aは、適正に位置する乳頭筋を有する正常な心臓を示している。対照的に、図5Bは、拡大した心室、および変位した乳頭筋502および504を示している拡張された心筋症を有する心臓を示す。したがって、バンド506は、例えば、図5Cで示すように、乳頭筋を互いに対して近接するように引っ張るために、乳頭筋502および504の周囲でループを作ることができる。別の例では、複数の乳頭筋502および504は、図5Dで示すように、乳頭筋502および504のそれぞれの対向する表面が、互いに対して接触するまで、互いに向かう方向に引っ張ることができる。いくつかの実施形態では、本方法は、乳頭筋の間に何らかの介在する材料を用いずに、乳頭筋を互いに接触するように引っ張るステップをさらに含むことができる。
【0061】
本開示の実施形態は、以下の段落によりさらに述べられる。
A.
心機能を向上させる方法であって、
心室に少なくとも1本のガイドワイヤを経カテーテルにより送達するステップと、
少なくとも1本のガイドワイヤを心室内の複数の乳頭筋の周囲でループ化するステップと、
ガイドワイヤを用いて、バンドを複数の乳頭筋の周囲に送るステップと、
単一ループのバンドを複数の乳頭筋の周囲で締め付けて、複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張るステップと、
ガイドワイヤを経カテーテルにより心臓から取り外すステップと
を含む方法。
B.
複数の乳頭筋は、2つと3つの間の乳頭筋を含む、段落Aに記載の方法。
C.
カテーテルの中を、少なくとも1本のガイドワイヤを通すステップをさらに含み、カテーテルは、複数の乳頭筋の周囲でループを作るように事前に形成され、それにより、ガイドワイヤを複数の乳頭筋の周囲でループ化するのを助ける、段落Aに記載の方法。
D.
ガイドワイヤを用いてバンドを送るステップは、バンドの端部をガイドワイヤの遠位端に接続するステップと、ガイドワイヤが複数の乳頭筋の周囲でループ化されている間に、ガイドワイヤの近位端を引っ張り、それにより、複数の乳頭筋の周囲でバンドを引っ張るステップとを含む、段落Aに記載の方法。
E.
バンドの少なくとも一部は、中空の管を含む、段落Aに記載の方法。
F.
バンドは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、およびDacron(ダクロン)のうちの少なくとも1つを含む、段落Aに記載の方法。
G.
バンドを複数の乳頭筋の周囲に送るステップは、乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の複数の空間を通してバンドをガイドするステップを含む、段落Aに記載の方法。
H.
バンドを締め付けた後、複数の乳頭筋の周囲でバンドをロックするステップをさらに含み、バンドをロックするステップは、
引き紐をバンドの中を通すステップと、
バンドを締め付けるためにカテーテルを通して引き紐の少なくとも一端を引っ張るステップと、
引き紐をループへとロックするステップと
を含む、段落Aに記載の方法。
I.
引き紐は、自己ロック式の引き紐である、段落Hに記載の方法。
J.
引き紐をループにロックするために、経カテーテル縫合糸ロックを用いるステップをさらに含む、段落Hに記載の方法。
K.
単一ループのバンドを複数の乳頭筋の周囲で締め付けるステップは、複数の乳頭筋の周囲のループが、事前定義の円周に達するまでバンドを締め付けるステップを含む、段落Aに記載の方法。
L.
複数の乳頭筋を、互いに接触するように引き寄せるために、複数の乳頭筋の周囲で単一ループのバンドを締め付けるステップをさらに含む、段落Aに記載の方法。
M.
心機能を向上させる方法であって、
心室に少なくとも1本のガイドワイヤを経カテーテルにより送達するステップと、
少なくとも1本のガイドワイヤを心室内の複数の乳頭筋の周囲でループ化するステップと、
ガイドワイヤを用いて、バンドを複数の乳頭筋の周囲に送るステップと、
単一ループのバンドを複数の乳頭筋の周囲で締め付けて、複数の乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張るステップと、
ループの円周が、事前定義の範囲に達したとき、複数の乳頭筋の周囲でバンドをロックするステップと、
ガイドワイヤを経カテーテルにより心臓から取り外すステップと
を含む方法。
N.
バンドを複数の乳頭筋の周囲に送るステップは、乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の複数の空間を通してバンドをガイドするステップをさらに含む、段落Mに記載の方法。
O.
複数の乳頭筋の周囲でバンドをロックするステップは、
自己ロック式の引き紐をバンドの中を通すステップと、
バンドを締め付けるために、自己ロック式の引き紐の少なくとも一端をカテーテルの中を通して引っ張るステップと、
引き紐をループへとロックするステップと
を含む、段落Mに記載の方法。
P.
ガイドワイヤを用いてバンドを送るステップは、
バンドの端部をガイドワイヤの遠位端に接続するステップと、
ガイドワイヤが複数の乳頭筋の周囲でループ化されている間に、ガイドワイヤの近位端を引っ張り、それにより、複数の乳頭筋の周囲でバンドを引っ張るステップと
を含む、段落Mに記載の方法。
Q.
複数の乳頭筋は、2つと3つの間の乳頭筋を含む、段落Mに記載の方法。
R.
少なくとも1本のガイドワイヤを心室内の複数の乳頭筋の周囲でループ化するステップは、
少なくとも1本のガイドワイヤを操作可能なカテーテルの中を通すステップと、
複数の乳頭筋の周囲で操作可能なカテーテルの形状を変更し、それにより、複数の乳頭筋の周囲でガイドワイヤをループ化するステップと
を含む、段落Mに記載の方法。
S.
カテーテルの中を、少なくとも1本のガイドワイヤを通すステップをさらに含み、カテーテルは、複数の乳頭筋の周囲でループを作るように事前に形成され、それにより、ガイドワイヤを複数の乳頭筋の周囲でループ化するのを助ける、段落Mに記載の方法。
T.
バンドは、複数の乳頭筋を同時に囲み、かつ乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張るような寸法の管を含み、それにより、乳頭筋の対向する表面間の距離を減少させる、段落Mに記載の方法。
【0062】
本開示の実施形態は、以下の段落によりさらに述べられる。
AA.
心機能を向上させる方法であって、
バンドが一群の乳頭筋を囲むように、心室内の複数の乳頭筋の周囲で単一のバンドを経カテーテルによりループ化するステップであって、一群のものは、囲んでいるバンドにより画定される外側周辺境界、および外側周辺境界の反対側の複数の乳頭筋の側部にある内側領域を有する、ステップと、
外側周辺境界を収縮させて、それにより、乳頭筋を共に近くに引っ張るようにバンドを経カテーテルにより締め付けるステップであって、バンドが、内側領域に接触せずに、複数の乳頭筋の外側周辺境界部分に接触し、かつ内側領域には、バンドのいずれの部分も存在しないようにする、ステップと
を含む方法。
BB.
バンドを経カテーテルにより締め付けるステップは、乳頭筋の間に何らかの介在する材料を用いずに、互いに接触するように乳頭筋を引っ張るステップを含む。段落AAに記載の方法。
CC.
一群の乳頭筋は、心室内に2つ以上の乳頭筋を含む、段落AAに記載の方法。
DD.
乳頭筋の周囲でバンドをループ化するステップは、乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の複数の空間を通して、バンドをガイドするステップを含む、段落AAに記載の方法。
EE.
バンドを経カテーテルにより締め付けた後、複数の乳頭筋の周囲でバンドを経カテーテルによりロックするステップをさらに含み、バンドを経カテーテルによりロックするステップは、
引き紐をバンドの中を通すステップと、
バンドを締め付けるためにカテーテルを通して引き紐の少なくとも一端を経カテーテルにより引っ張るステップと、
引き紐をループへとロックするステップと
を含む、段落AAに記載の方法。
FF.
引き紐は、自己ロック式の引き紐である、段落EEに記載の方法。
GG.
経カテーテルによる縫合糸ロックにより、引き紐をループへと経カテーテルによりロックするステップをさらに含む、段落EEに記載の方法。
HH.
バンドは、複数の乳頭筋の外側周辺境界を同時に囲み、かつ乳頭筋を互いに向かう方向に引っ張るような寸法の管を含み、それにより、乳頭筋の対向する表面間の距離を減少させる、段落AAに記載の方法。
II.
乳頭筋の外側周辺境界部分に接触するバンドが、事前定義の円周に達するまで、バンドを経カテーテルにより締め付けるステップをさらに含む、段落AAに記載の方法。
JJ.
バンドは、第1の部分および第2の部分を含み、
バンドの第1の部分は、第1の材料を含み、かつ
バンドの第2の部分は、第1の材料とは異なる第2の材料を含む、段落AAに記載の方法。
KK.
第1の材料および第2の材料の少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、およびDacron(ダクロン)のうちの少なくとも1つを含む、段落JJに記載の方法。
LL.
心機能を向上させる方法であって、
バンドが、一群の乳頭筋を囲むように、心室内の複数の乳頭筋の周囲で単一のバンドを経カテーテルによりループ化するステップであって、一群のものは、囲んでいるバンドにより画定される外側周辺境界、および外側周辺境界の反対側の複数の乳頭筋の側部にある内側領域を有する、ステップと、
外側周辺境界を収縮させて、それにより、乳頭筋の間に何らかの介在する材料を用いずに、乳頭筋を引っ張って互いに接触するように、経カテーテルによりバンドを締め付けるステップであって、バンドが、内側領域に接触せずに、複数の乳頭筋の外側周辺境界部分に接触し、かつ内側領域には、バンドのいずれの部分も存在しないようにする、ステップと
を含む方法。
MM.
一群の乳頭筋は、心室内に2つ以上の乳頭筋を含む、段落LLに記載の方法。
NN.
乳頭筋の周囲でバンドをループ化するステップは、乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の複数の空間を通して、バンドをガイドするステップを含む、段落LLに記載の方法。
OO.
バンドを経カテーテルにより締め付けた後、複数の乳頭筋の周囲でバンドを経カテーテルによりロックするステップをさらに含み、バンドを経カテーテルによりロックするステップは、
引き紐をバンドの中を通すステップと、
バンドを締め付けるためにカテーテルを通して引き紐の少なくとも一端を経カテーテルにより引っ張るステップと、
引き紐をループへとロックするステップと
を含む、段落LLに記載の方法。
PP.
引き紐は、自己ロック式の引き紐である、段落OOに記載の方法。
QQ.
経カテーテルによる縫合糸ロックにより、引き紐をループへと経カテーテルによりロックするステップをさらに含む、段落OOに記載の方法。
RR.
バンドは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、およびDacron(ダクロン)のうちの少なくとも1つを含む、段落LLに記載の方法。
SS.
バンドは、第1の部分および第2の部分を含み、
バンドの第1の部分は、第1の材料を含み、かつ
バンドの第2の部分は、第1の材料とは異なる第2の材料を含む、段落LLに記載の方法。
TT.
第1の材料および第2の材料の少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、およびDacron(ダクロン)のうちの少なくとも1つを含む、段落SSに記載の方法。
【0063】
本開示の実施形態は、以下の段落によりさらに述べられる。
AAA.
体の心臓における複数の乳頭筋を囲むためにバンドを経カテーテルにより送達する方法であって、
少なくとも1つのカテーテルを心臓の中に経皮的に挿入するステップと、
少なくとも1つのカテーテルを介して心室に、第1のガイドワイヤの第1の端部を送達するステップと、
第1の乳頭筋の周囲で第1のガイドワイヤの第1の端部をループ化するステップと、
第1のガイドワイヤが第1の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すステップと、
少なくとも1つのカテーテルを介して心室に、第2のガイドワイヤの第2の端部を送達するステップと、
第2のガイドワイヤの第2の端部を、第2の乳頭筋の周囲でループ化するステップと、
第2のガイドワイヤが第2の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すステップと、
第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続するステップと、
相互接続した後に第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方の端部を引っ張り、それにより、少なくとも第1の乳頭筋および第2の乳頭筋の周囲で単一のループを確立するステップと、
単一のループを用いて、少なくとも第1の乳頭筋および第2の乳頭筋の周囲にバンドを送るステップと
を含む方法。
BBB.
第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤを相互接続するステップは、体外において、第1のガイドワイヤの第1端部を第2のガイドワイヤの第2の端部に接続するステップを含む、段落AAAに記載の方法。
CCC.
第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体外に取り出すステップは、
磁石を用いて、第1の端部および第2の端部の少なくとも一方を捕捉するステップと、
第1および第2の端部の少なくとも一方を体外に引き出すステップと
を含む、段落AAAに記載の方法。
DDD.
第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体外に取り出すステップは、第1のガイドワイヤの第2の端部を押し、それにより、第1のガイドワイヤの第1の端部を、少なくとも1つのカテーテルを通して、体外に移動させるステップを含む、段落AAAに記載の方法。
EEE.
第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体外に取り出すステップは、
第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を、乳頭筋の周囲で、少なくとも1つのカテーテルの第1の部分から、カテーテルの第2の部分へと通すステップと、
カテーテルの第2の部分において、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方を捕捉するステップと、
カテーテルを体外に引き出し、それにより、第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体から抜き出すステップと
を含む、段落AAAに記載の方法。
FFF.
少なくとも1つのカテーテルを介して、第3のガイドワイヤの端部を心室に送達するステップと、
第3のガイドワイヤの端部を第3の乳頭菌の周囲でループ化するステップと、
第3のガイドワイヤが、第3の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、第3のガイドワイヤの端部を体外に取り出すステップと、
第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方を第3のガイドワイヤと相互接続するステップと
をさらに含む、段落AAAに記載の方法。
GGG.
第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すステップ、および第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すステップの後、第1のガイドワイヤの両端、および第2のガイドワイヤの両端は体外に存在する、段落AAAに記載の方法。
HHH.
少なくとも第1および第2の乳頭筋の周囲にバンドを送るステップは、少なくとも第1および第2の乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の複数の空間を通して、バンドをガイドするステップを含む、段落AAAに記載の方法。
III.
第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方にバンドの端部を接続するステップと、
ガイドワイヤが第1および第2の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、ガイドワイヤの近位端を引っ張り、それにより、バンドを、第1および第2の乳頭筋の周囲でガイドするステップと
をさらに含む、段落AAAに記載の方法。
JJJ.
バンドの少なくとも一部は、中空の管を含む、段落AAAに記載の方法。
KKK.
バンドは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、およびDacron(ダクロン)のうちの少なくとも1つを含む、段落AAAに記載の方法。
LLL.
第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤの少なくとも一方は、組込み式コネクタを含み、第1のガイドワイヤを第2のガイドワイヤと相互接続するステップは、組込み式コネクタを介して、第1のガイドワイヤの端部を第2のガイドワイヤの端部に接続するステップを含む、段落AAAに記載の方法。
MMM.
体の心臓における複数の乳頭筋を囲むためのバンドを経カテーテルにより送達する方法であって、
少なくとも1つのカテーテルを心臓の中に経皮的に挿入するステップと、
少なくとも1つのカテーテルを介して心室に、第1のガイドワイヤの第1の端部を送達するステップと、
第1の乳頭筋の周囲で第1のガイドワイヤの第1の端部をループ化するステップと、
第1のガイドワイヤが第1の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すステップと、
少なくとも1つのカテーテルを介して心室に、第2のガイドワイヤの第2の端部を送達するステップと、
第2のガイドワイヤの第2の端部を、第2の乳頭筋の周囲でループ化するステップと、
第2のガイドワイヤが第2の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すステップと、
第1のガイドワイヤを第2のガイドワイヤと相互接続するステップあって、体外において、第1のガイドワイヤの一端を第2のガイドワイヤの一端に接続することを含む、ステップと、
相互接続した後に第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方の端部を引っ張り、それにより、少なくとも第1の乳頭筋および第2の乳頭筋の周囲で単一ループを確立するステップと、
単一のループを用いて、少なくとも第1の乳頭筋および第2の乳頭筋の周囲にバンドを送るステップと
を含む方法。
NNN.
少なくとも1つのカテーテルを介して、第3のガイドワイヤの端部を心室に送達するステップと、
第3のガイドワイヤの端部を第3の乳頭筋の周囲でループ化するステップと、
第3のガイドワイヤが、第3の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、第3のガイドワイヤの端部を体外に取り出すステップと、
第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方を第3のガイドワイヤと相互接続するステップと
をさらに含む、段落MMMに記載の方法。
OOO.
第1のガイドワイヤの第1の端部を体外に取り出すステップ、および第2のガイドワイヤの第2の端部を体外に取り出すステップの後に、第1のガイドワイヤの両端、および第2のガイドワイヤの両端は体外に存在する、段落MMMに記載の方法。
PPP.
少なくとも第1および第2の乳頭筋の周囲にバンドを送るステップは、少なくとも第1および第2の乳頭筋と心室の壁との間の肉柱の中の複数の空間を通してバンドをガイドするステップをさらに含む、段落MMMに記載の方法。
QQQ.
バンドの端部を、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方に接続するステップと、
ガイドワイヤが第1および第2の乳頭筋の周囲でループ化された状態にある間に、ガイドワイヤの近位端を引っ張り、それにより、バンドを、第1および第2の乳頭筋の周囲でガイドするステップと
をさらに含む、段落MMMに記載の方法。
RRR.
第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤの少なくとも一方は、組込み式コネクタを含み、
第1のガイドワイヤを第2のガイドワイヤと相互接続するステップは、組込み式コネクタを介して、第1のガイドワイヤの一端を第2のガイドワイヤの一端に接続するステップを含む、段落MMMに記載の方法。
SSS.
第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体外に取り出すステップは、第1のガイドワイヤの第2の端部を押し、それにより、第1のガイドワイヤの第1の端部を、少なくとも1つのカテーテルを通して、体外に移動させるステップを含む、段落MMMに記載の方法。
TTT.
第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体外に取り出すステップは、
第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を、乳頭筋の周囲で、少なくとも1つのカテーテルの第1の部分から、カテーテルの第2の部分へと通すステップと、
カテーテルの第2の部分において、第1および第2のガイドワイヤの少なくとも一方を捕捉するステップと、
カテーテルを体外に引き出し、それにより、第1のガイドワイヤの第1の端部、および第2のガイドワイヤの第2の端部の少なくとも一方を体から抜き出すステップと
を含む、段落MMMに記載の方法。
【0064】
本開示は、乳頭筋整復、および心機能向上のためなど、特定の用途に使用されるカテーテル、バンド、およびガイドワイヤの例示的な実施形態を参照して本明細書で述べられているが、本明細書で述べられる実施形態は、それに限定されないことを理解されたい。当技術分野で通常の技術を有し、かつ本明細書で提供される教示を利用できる人は、開示された実施形態の範囲にすべて含まれるさらなる変更、応用、実施形態、および均等な形態の置き換えを理解されよう。したがって、開示される諸実施形態は、前述の、または添付の記述によって限定されるものと解釈されるべきではない。
【0065】
本開示の多くの特徴および利点は、詳細な説明から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲により、本開示の真の趣旨および範囲に含まれる本開示のこのような特徴および利点がすべて含まれるように意図されている。さらに、当業者であれば、数多くの修正形態および変更形態が容易に想到されるので、本開示を、示されかつ述べられた正確な構成および動作に限定することは望ましくなく、したがって、すべての適切な修正形態および均等な形態を、本開示の範囲に含まれるものとして用いることができる。
【0066】
さらに当業者であれば、本開示が基づく概念は、本開示のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に使用され得ることが理解されよう。したがって、特許請求の範囲は、上記の記述により限定されるものと見なすべきではない。
【符号の説明】
【0067】
102 乳頭筋
104 乳頭筋
202 乳頭筋
204 乳頭筋
206 ガイドワイヤ
208 カテーテル
302 乳頭筋
304 乳頭筋
306 ガイドワイヤ
308 カテーテル
310 近位端
312 両端
314 コネクタ
316 ガイドワイヤ
402 乳頭筋
404 乳頭筋
406 ガイドワイヤ、ループ
408 カテーテル
410 近位端
412a ガイドワイヤの端部
412b ガイドワイヤの端部
414 バンド
502 乳頭筋
504 乳頭筋
506 バンド
602 乳頭筋
604 乳頭筋
606 ガイドワイヤ
610 カテーテル
702 乳頭筋
704 乳頭筋
706 引き紐
708 カテーテル
710 バンド
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7