特許第6985498号(P6985498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6985498-コイリング装置 図000012
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985498
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】コイリング装置
(51)【国際特許分類】
   B21C 47/34 20060101AFI20211213BHJP
   B21C 47/02 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B21C47/34 E
   B21C47/02 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-508535(P2020-508535)
(86)(22)【出願日】2018年8月17日
(65)【公表番号】特表2020-531285(P2020-531285A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(86)【国際出願番号】KR2018009478
(87)【国際公開番号】WO2019035694
(87)【国際公開日】20190221
【審査請求日】2020年3月16日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0104875
(32)【優先日】2017年8月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 ヨン−ジュン
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1436616(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0077257(KR,A)
【文献】 特開2001−087809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 47/00−47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部ピンチロールを備え、鋼板を曲げるピンチロール部と、
前記鋼板の素材情報に基づいて前記上部ピンチロールの荷重及び前記上部ピンチロールの前記鋼板の進行方向の移動距離を計算し、前記上部ピンチロールの位置を前記鋼板の進行方向に沿って移動させるコイリングモデル計算機と、
前記コイリングモデル計算機の計算値に基づいて前記上部ピンチロールの上下の位置を移動させる位置制御機と、
前記ピンチロール部によって曲げられた鋼板をコイリングするコイラー部と、を含み、
前記鋼板の素材情報は、前記鋼板の厚さ、鋼種、及び初期形状のうち少なくとも一つであり、
前記コイリングモデル計算機は、下記の式に基づいて、前記上部ピンチロールの荷重及び前記上部ピンチロールの前記鋼板の進行方向への移動距離を計算する、コイリング装置。
前記上部ピンチロールの荷重:
【数1】
【数2】
前記上部ピンチロールの前記鋼板の進行方向への移動距離:
【数3】
【数4】
ここで、αは比例係数、βは鋼板の形状係数、δは鋼板の曲げ係数、tは鋼板の厚さ、wは鋼板の幅、σstripは鋼板の降伏強度、Dは前記コイラー部のマンドレルの直径を意味する。
【請求項2】
上部ピンチロールを備え、鋼板を曲げるピンチロール部と、
前記鋼板の素材情報に基づいて前記上部ピンチロールの荷重及び前記上部ピンチロールの前記鋼板の進行方向の移動距離を計算し、前記上部ピンチロールの位置を前記鋼板の進行方向に沿って移動させるコイリングモデル計算機と、
前記コイリングモデル計算機の計算値に基づいて前記上部ピンチロールの上下の位置を移動させる位置制御機と、
前記ピンチロール部によって曲げられた鋼板をコイリングするコイラー部と、を含み、
前記ピンチロール部は、
前記上部ピンチロールを前記鋼板の進行方向に移動させる位置移動シリンダと、
前記上部ピンチロールを前記鋼板の進行方向に垂直な高さ方向に移動させる上下移動シリンダと、をさらに含み、
前記位置制御機は、下記の式に基づいて、前記上下移動シリンダが動く移動距離を制御する、コイリング装置。
前記上下移動シリンダの移動距離:
【数5】
ここで、rは調整係数、Sは前記上部ピンチロールの前記鋼板の進行方向への移動距離、Gは前記上下移動シリンダの移動によるピンチロール間のロールギャップを意味する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱間圧延ラインにおけるコイリング過程を説明すると、一対のピンチロールを通過しながらストリップの先端部は下部に曲げられる。次に、曲げられたストリップの先端部は、マンドレルと、これを取り巻くラッパーロールとの間でマンドレルの周りを取り囲みながら回転する。その後、一定の時間が経過した後には、マンドレルが円周の外側方向に拡張し、ピンチロールとマンドレルとの間に張力がかかり、コイリングが行われるようになる。
【0003】
上述した一対のピンチロールは、ストリップの厚さや鋼種、初期形状などに関係なく、固定された状態であるため、極薄材や極厚物材の場合、ストリップ先端部に対して所望の曲げ形状を得ることが難しい。そのため、極厚物材の場合にはキンク(Kink)、極薄材の場合には未張力現象が発生するなど、コイリングの品質が低下するという問題がある
【0004】
このような従来の技術は、韓国公開特許第10−2000−0043440号公報を参照して容易に理解することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態によると、熱間圧延ラインでコイラーに進入する鋼板がコイラーマンドレルで円滑に巻かれるようにするコイリング装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した本発明の課題を解決するために、本発明の一実施形態によるコイリング装置は、上部ピンチロールを備え、鋼板を曲げるピンチロール部と、上記鋼板の素材情報に基づいて上記上部ピンチロールの荷重及び移動距離を計算し、上記上部ピンチロールの位置を上記鋼板の進行方向に沿って移動させるコイリングモデル計算機と、上記コイリングモデル計算機の計算値に基づいて上記上部ピンチロールの上下の位置を移動させる位置制御機と、上記ピンチロール部によって曲げられた鋼板をコイリングするコイラー部と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によると、所望の曲げ形状を得ることができることから、コイリングの品質が安定するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態によるコイリング装置の概略的な構成図である。
図2】本発明の一実施形態によるコイリング装置の動作を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるように好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態によるコイリング装置の概略的な構成図である。
【0011】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるコイリング装置100は、コイリングモデル計算機110、位置制御機120、ピンチロール部130、及びコイラー部140を含むことができる。
【0012】
コイリングモデル計算機110は、鋼板sの素材情報に基づいて、ピンチロール部130の上部ピンチロール132の荷重及び移動距離を計算することにより、鋼板sの曲げを調整することができる。
【0013】
鋼板sの素材情報は、鋼板sの厚さ、鋼種、及び初期形状のうち少なくとも一つであることができる。
【0014】
位置制御機120は、コイリングモデル計算機110の計算値に基づいて、ピンチロール部130の上部ピンチロールの位置を制御することができる。
【0015】
ピンチロール部130は、ハウジング131の内部に、上部ピンチロール132及び下部ピンチロール133を備えることができる。上部ピンチロール132及び下部ピンチロール133はそれぞれ、別のハウジングに含まれることができる。上部ピンチロール132及び下部ピンチロール133の回転動作により、上部ピンチロール132と下部ピンチロール133との間に引き込まれる鋼板sが曲げられることができる。ピンチロール部130は、位置移動シリンダ134、上下移動シリンダ135、及びヒンジ型ブロック136を含むことができる。
【0016】
位置移動シリンダ134は、上部ピンチロール132を鋼板sの進行方向に移動させることができる。また、上下移動シリンダ135は、上部ピンチロール132を鋼板sの進行方向に垂直な上下方向に移動させることができる。
【0017】
コイラー部140は、マンドレル141及びユニットロール142を備えることで、曲げられた鋼板sをコイリングすることができる。
【0018】
図2は本発明の一実施形態によるコイリング装置の動作を概略的に示すフローチャートである。
【0019】
図1とともに、図2を参照すると、コイリングモデル計算機110は、鋼板sがピンチロール部130に進入するとき、鋼板の素材情報、すなわち、厚さ、鋼種、及び初期形状を獲得し、これを用いて素材の曲げを作る上部ピンチロール132の圧力及び上部ピンチロールの鋼板の進行方向の移動量を計算することができる(S10)。コイリングモデル計算機110は、次のようなモデル式で鋼板の曲げを調整する。
上部ピンチロールの荷重:
【数1】
【数2】
上部ピンチロールの移動距離:
【数3】
【数4】
ここで、αは比例係数、βは鋼板の形状係数、δは鋼板の曲げ係数、tは鋼板の厚さ、wは鋼板の幅、σstripは鋼板の降伏強度、Dは上記コイラー部のマンドレルの直径を意味する。
【0020】
上記計算値を用いて、鋼板の素材別上部ピンチロールの荷重及び移動距離が計算され、この値を基に、位置移動シリンダ134が鋼板sの進行方向に移動制御を行うことで、上部ピンチロール132を鋼板sの進行方向に移動させる。
【0021】
また、位置移動シリンダ134は、ハウジング131内に装着され、上部ピンチロール132を固定する役割も果たすことから、鋼板進入の際の衝撃を吸収することができるようになる。さらに、位置移動シリンダ134は、上部ピンチロール132の入側及び出側にそれぞれ装着され、上部ピンチロール132のハウジングを固定させる役割も果たす。
【0022】
上部ピンチロール132が鋼板の進行方向に移動すると、上部ピンチロールに圧力を加える上下移動シリンダ135には、回転可能な形を有するようにヒンジ型ブロック136が備えられる。
【0023】
位置制御機120は、位置移動シリンダ134で計算された移動距離に対して、次のような式によって上下移動シリンダ135を制御し、上部ピンチロール132を上下方向に移動させる(S20)。
高さ方向のシリンダの移動距離:
【数5】
ここで、rは調整係数、Sは上記上部ピンチロールの移動距離、Gは上記上下移動シリンダのロールギャップを意味する。
【0024】
すなわち、位置移動シリンダ134及び上下移動シリンダ135が備えられることにより、2軸で上部ピンチロール132を移動させることで、所望の位置に鋼板sの曲げを調整することができる(S30)。
【0025】
上述のように、本発明によると、熱間圧延コイラーに進入する鋼板素材の厚さや鋼種などの素材情報から上部ピンチロールをコイリングの方向に移動させて曲げを調整にすることにより、所望の形状を得るとともに、コイリングの品質が安定することができる。
【0026】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
図1
図2