特許第6985500号(P6985500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985500
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ブローンアスファルトの製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   C10C 3/04 20060101AFI20211213BHJP
   C10G 31/06 20060101ALI20211213BHJP
   C10G 31/08 20060101ALI20211213BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20211213BHJP
   B01D 3/06 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C10C3/04 A
   C10G31/06
   C10G31/08
   B01J3/00 B
   B01D3/06
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-510597(P2020-510597)
(86)(22)【出願日】2018年8月22日
(65)【公表番号】特表2020-531640(P2020-531640A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(86)【国際出願番号】US2018047410
(87)【国際公開番号】WO2019040549
(87)【国際公開日】20190228
【審査請求日】2020年4月17日
(31)【優先権主張番号】15/686,381
(32)【優先日】2017年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,キ−ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ファティ,マズブ
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−519065(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0319909(US,A1)
【文献】 特表2016−515151(JP,A)
【文献】 特表2013−530293(JP,A)
【文献】 特開2011−017022(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0321975(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第106459772(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0251871(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105229121(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0315600(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102971398(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10C 3/04
C10G 31/06
C10G 31/08
B01J 3/00
B01D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローンアスファルトの製造プロセスであって、
加熱炭化水素流と超臨界水とをミキサー内で混合して混合流を生成するステップであって、前記加熱炭化水素流は水の臨界温度未満の温度と23MPa〜35MPaの圧力とを有し、前記超臨界水は水の臨界温度〜600℃の温度と、23MPa〜35MPaの圧力とを有し、前記混合流は、水と、アスファルテン留分を有する炭化水素とを含む、ステップと、
前記混合流を超臨界水反応器へ導入するステップと、
反応器流出物を生成するために、ある滞留時間、反応温度および反応圧力で前記超臨界水反応器を運転するステップと、
前記反応器流出物を冷却器へ導入するステップと、
前記冷却器内の前記反応器流出物の温度を低下させて冷却流出物を生成するステップと、
減圧流を生成するために、減圧装置を通して前記冷却流出物を供給するステップと、
前記減圧流をフラッシュドラムへ導入するステップと、
前記フラッシュドラム中の前記減圧流を分離して軽質留分流と重質留分流を生成するステップであって、前記軽質留分流は軽質炭化水素と水を含有し、前記重質留分流はマルテン留分、アスファルテン留分、および水を含有し重質留分流中の水の量が、0.5重量%〜10重量%である、ステップと、
重質留分流を貯蔵タンクに導入するステップであって、前記貯蔵タンクは、前記重質留分流を貯蔵するように構成される、ステップと、
前記貯蔵タンクから酸化反応器供給物を回収するステップと、
前記酸化反応器供給物を酸化反応器へ導入するステップと、
前記酸化反応器に酸素源を導入するステップであって、前記酸源は分子酸素を含む、ステップと、
前記酸化反応器を酸化温度および酸化圧力で運転して生成物流出物を生成するステップであって、前記生成物流出物は酸化アスファルテン留分を含む、ステップと、
を含むプロセス。
【請求項2】
炭化水素供給原料を供給原料ポンプへ導入するステップと、
加圧供給原料を生成するために、前記炭化水素供給原料の圧力を上昇させるステップと、
前記加圧供給原料を供給原料交換器へ導入するステップと、
前記加圧供給原料の温度を上昇させて、加熱炭化水素流を生成するステップと、
水供給原料を水ポンプへ導入するステップと、
加圧水を生成するために、前記水供給原料の圧力を上昇させるステップと、
前記加圧水を水加熱器に導入するステップと、
前記加圧水の温度を上昇させて超臨界水を生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
軽質留分流を軽質留分冷却器に導入するステップと、
前記軽質留分冷却器内の前記軽質留分流の温度を低下させて、冷却軽質留分を生成するステップと、
前記冷却軽質留分を蒸気分離器に導入するステップと、
前記蒸気分離器内で冷却軽質留分を分離して、蒸気流および液体流を生成するステップと、
前記液体流を油分離器に導入するステップと、
前記油分離器内で前記液体流を分離して、アップグレード炭化水素流および水流を生成するステップであって、前記アップグレード炭化水素流はアップグレード炭化水素を含む、ステップと、
をさらに含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
重質留分流を貯蔵タンクに導入するステップの前に、前記重質留分流を溶媒脱アスファルトユニットに導入するステップと、
前記溶媒脱アスファルトユニット内の重質留分ストリームを分離して、アスファルテン流およびマルテン流を生成するステップと、
アスファルテン流を貯蔵タンクへの導入するステップと、
反応器供給物を貯蔵タンクから回収するステップと、
前記反応器供給物を酸化温度および酸化圧力で酸化反応器に導入してアスファルテン生成物を生成するステップであって、前記アスファルテン生成物は酸化アスファルテン留分を含む、ステップと、
前記マルテン流を、前記軽質留分流から分離されたアップグレード炭化水素流と混合するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
加熱炭化水素供給原料の炭化水素供給原料が、全範囲原油、還元原油、大気留出物、大気残留物、真空留分、真空残留物、分解生成物流、生成油、デカント油、エチレンプラントからの重質炭化水素流、液化石炭、生体材料誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
加熱炭化水素流の体積流量と超臨界水の体積流量との比がSATPで1:10〜10:1である、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
反応温度が水の臨界温度よりも高く、反応圧力が23MPa〜35MPaであり、滞留時間が5秒〜30分である、請求項1〜6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
酸化反応器がセミバッチ反応器である、請求項1〜7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
酸化温度が150℃〜300℃であり、酸化圧力が6.894kPa〜689.4kPa(1psig〜100psigであり、反応時間が10分〜240分である、請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
ブローンアスファルトを製造するためのシステムであって、
ミキサーであって、加熱炭化水素流と超臨界水とを混合して混合流を生成するように構成された、ミキサーと、
前記ミキサーに流体接続された超臨界水反応器であって、反応器流出物を生成するように構成された、超臨界水反応器と、
前記超臨界水反応器に流体接続された冷却器であって、前記反応器流出物の温度を低下させて冷却流出物を生成するように構成された、冷却器と、
前記冷却器に流体接続された減圧装置であって、前記冷却流出物の圧力を低下させて減圧流を生成するように構成された、減圧装置と、
前記減圧装置に流体接続され、前記減圧流を分離して軽質留分流と重質留分流とを生成するように構成されたフラッシュドラムであって、前記重質留分流は、マルテン留分、アスファルテン留分および水を含み、重質留分流中の水の量が、0.5重量%〜10重量%である、フラッシュドラムと、
前記フラッシュドラムに流体接続された貯蔵タンクであって、重質留分流を貯蔵するように構成された、貯蔵タンクと、
前記貯蔵タンクに流体接続された酸化反応器であって、生成物流出物を生成するように構成された、酸化反応器と、
を含む、システム。
【請求項11】
供給原料ポンプであって、炭化水素供給原料の圧力を増加させて加圧供給原料を生成するように構成された、供給原料ポンプと、
前記供給原料ポンプに流体接続された供給原料交換器であって、前記加圧供給原料の温度を上昇させて加熱炭化水素流を生成するように構成された、供給原料交換器と、
水ポンプであって、水供給物の圧力を上昇させて加圧水を生成するように構成された、水ポンプと、
前記水ポンプに流体接続された水加熱器であって、前記加圧水の温度を上昇させて超臨界水を生成するように構成された、水加熱器と、
をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記フラッシュドラムに流体接続された軽質留分冷却器であって、軽質留分冷却器内の軽質留分流の温度を低下させて、冷却軽質留分を生成するように構成された、軽質留分冷却器と、
前記軽質留分冷却器に流体接続された蒸気分離器であって、前記冷却軽質留分を分離して蒸気流および液体流を生成するように構成された、蒸気分離器と、
前記蒸気分離器に流体接続された油分離器であって、前記液体流を分離してアップグレード炭化水素流および水流を生成するように構成された、油分離器であって、前記アップグレード炭化水素流はアップグレード炭化水素を含む、油分離器と、
をさらに含む、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記フラッシュドラムに流体接続された溶媒脱アスファルトユニットであって、重質留分を分離してアスファルテン流およびマルテン流を生成するように構成され、前記マルテン留分は、前記軽質留分流から分離されたアップグレード炭化水素流と組み合わされる、溶媒脱アスファルトユニットと、
溶媒脱アスファルトユニットに流体接続された貯蔵タンクと、
前記貯蔵タンクに流体接続された酸化反応器であって、アスファルテン生成物を生成するように構成された酸化反応器であって、前記アスファルテン生成物が酸化アスファルテン留分を含む、酸化反応器と、
をさらに含む、請求項10〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
加熱炭化水素供給原料の炭化水素供給原料が、全範囲原油、還元原油、大気留出物、大気残留物、真空留分、真空残留物、分解生成物流、生成油、デカント油、エチレンプラントからの重質炭化水素流、液化石炭、生体材料誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10〜13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記加熱炭化水素流の体積流量と超臨界水の体積流量との比が、SATPで1:10〜10:1である、請求項10〜14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記超臨界水反応器内の反応温度が水の臨界温度よりも高く、前記超臨界水反応器内の反応圧力が23MPa〜35MPaであり、前記超臨界水反応器内の滞留時間が5秒〜30分である、請求項10〜15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記酸化反応器がセミバッチ反応器である、請求項10〜16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記酸化反応器内の酸化温度が150℃〜300℃であり、前記酸化反応器内の酸化圧力が6.894kPa〜689.4kPa(1psig〜100psigであり、酸化反応器内の反応時間が10分〜240分である、請求項10〜17のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
石油をアップグレードするための方法が開示される。具体的には、アスファルテンを除去することによって石油をアップグレードするための方法およびシステムが開示される。
【背景技術】
【0002】
アスファルトセメント、液体アスファルト、およびブローンアスファルトのようないくつかのタイプのアスファルトがある。ブローンアスファルトは、非酸化アスファルトよりも高い軟化点を有する酸化アスファルトを含有することができる。ブローンアスファルトは、屋根材、パイプ断熱材、シール材、防水材に適している。
【0003】
ブローンアスファルトを製造するためのアスファルトの酸化は一般に、流動空気の存在下で、華氏400度(°F)〜600°F(摂氏204度(℃)〜315℃)で行われる。五酸化リンや塩化第二鉄などの触媒は、酸化を容易にするために添加することができる。
【0004】
アスファルトの酸化には多くの反応が含まれる。主な反応は脱水素化、重縮合、およびカップリングであり、これは、より高い分子量およびより高い軟化点を有する生成物をもたらす。飽和物、芳香族化合物、およびアスファルテンなどの原油の他の留分よりも極性成分が多い原油の樹脂留分は、酸化によって容易に重縮合される。
【0005】
ブローンアスファルトの製造プロセスは、粘性アスファルトマトリックス中への気体酸素の遅い物質移動速度を経験し、これは酸化の程度を制限し得る。触媒は低温で酸化を増加させるために使用することができるが、触媒はコストを増加させ、繊細な取り扱いを必要とする。
【0006】
アスファルテンは、ブローンアスファルトを製造するために使用することができる。不飽和炭素−炭素結合は、飽和炭素−炭素結合よりも酸化を受けやすい。従来の精製プロセスからの一般的なアスファルトは、精製プロセスがコーカーまたは他の熱分解ユニットでない限り、不飽和結合を含まない。しかしながら、従来の熱分解ユニットからのアスファルテンは、アスファルテンマトリックス中に固体コークスが存在するために、ブローンアスファルトのための適切な供給原料ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
石油をアップグレードするための方法が開示される。具体的には、アスファルテンを除去することによって石油をアップグレードするための方法およびシステムが開示される。
【0008】
第1の態様では、ブローンアスファルトの製造プロセスが提供される。このプロセスは、加熱炭化水素流と超臨界水とをミキサー内で混合して混合流を生成するステップであって、前記加熱炭化水素流は水の臨界温度未満の温度および23メガパスカル(MPa)〜35MPaの圧力を有し、前記超臨界水は水の臨界温度〜600℃の温度および23MPa〜35MPaの圧力を有し、前記混合流はアスファルテン留分を有する水および炭化水素を含む、ステップと、前記混合流を超臨界水反応器に導入するステップと、前記超臨界水反応器を、反応器流出物を生成するための反応時間、反応温度および反応圧力で運転するステップと、前記反応器流出物を冷却器に導入するステップと、冷却流出物を生成するために前記冷却器中の反応器流出物の温度を低下させるステップと、減圧流を生成するために減圧装置を通して前記冷却流出物を供給するステップと、前記減圧流をフラッシュドラムに導入するステップと、前記フラッシュドラム中の前記減圧流を分離して軽質留分流および重質留分流を生成するステップであって、前記軽質留分流が軽質炭化水素および水を含有し、前記重質留分流はマルテン留分、アスファルテン留分、および水を含有する、ステップと、を含む。本プロセスは、重質留分流を貯蔵するように構成された貯蔵タンクに前記重質留分流を導入するステップと、貯蔵タンクから酸化反応器供給物を回収するステップと、前記酸化反応器供給物を酸化反応器に導入するステップと、酸化源が分子酸素を含む場合には酸素源を酸化反応器に導入するステップと、前記酸化反応器を酸化温度および酸化圧力で操作して生成物流出物を生成するステップであって、前記生成物流出物は酸化アスファルテン留分を含む、ステップと、をさらに含む。
【0009】
特定の態様では、本プロセスは、炭化水素供給原料を供給原料ポンプに導入するステップと、加圧供給原料を生成するために炭化水素供給原料の圧力を上昇させるステップと、加圧供給原料を供給原料交換器に導入するステップと、加圧供給原料の温度を上昇させて加熱炭化水素流を生成するステップと、水供給原料を水ポンプに導入するステップと、水供給原料の圧力を上昇させて加圧水を生成するステップと、加圧水を水加熱器に導入するステップと、加圧水の温度を上昇させて超臨界水を生成するステップとをさらに含む。特定の態様では、本プロセスは、軽質留分流を軽質留分冷却器に導入するステップと、軽質留分冷却器内の軽質留分流の温度を低下させて冷却軽質留分を生成するステップと、冷却軽質留分を蒸気分離器に導入するステップと、蒸気分離器内で冷却軽質留分を分離して蒸気流および液体流を生成するステップと、液体流を油分離器に導入するステップと、油分離器内で液体流を分離してアップグレード炭化水素流および水流を生成するステップであって、前記アップグレード炭化水素流はアップグレード炭化水素を含む、ステップとをさらに含む。特定の態様では、本プロセスは、重質留分流を貯蔵タンクに導入するステップの前に、重質留分流を溶媒脱アスファルトユニットに導入するステップと、アスファルテン流およびマルテン流を生成するために溶媒脱アスファルトユニット中の重質留分流を分離するステップと、アスファルテン流を貯蔵タンクに導入するステップと、反応器供給物を貯蔵タンクから回収するステップと、反応器供給物を酸化温度および酸化圧力で酸化反応器に導入してアスファルテン生成物を生成するステップであって、前記アスファルテン生成物は酸化アスファルテン留分を含む、ステップと、をさらに含む。特定の態様では、加熱炭化水素供給原料の炭化水素供給原料が全範囲原油、還元原油、大気留出物、大気残留物、真空留分、真空残留物、分解生成物流、生成油、デカント油、エチレンプラントからの重質炭化水素流、液化石炭、生体材料誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の態様では、加熱炭化水素流の体積流量と超臨界水の体積流量との比がSATPで1:10〜10:1である。特定の態様では、反応温度は水の臨界温度よりも高く、反応圧力は23MPa〜35MPaであり、滞留時間は5秒〜30分である。特定の態様では、酸化反応器がセミバッチ反応器である。特定の態様では、酸化温度は150℃〜300℃であり、酸化圧力は1psig〜100psigであり、反応時間は10分〜240分である。
【0010】
第2の態様では、ブローンアスファルトを製造するためのシステムが提供される。本システムは、加熱炭化水素流と超臨界水とを混合して混合流を生成するように構成されたミキサーと、ミキサーに流体接続された超臨界水反応器であって、反応器流出物を生成するように構成された超臨界水反応器と、超臨界水反応器に流体接続された冷却器であって、反応器流出物の温度を低下させて冷却流出物を生成するように構成された冷却器と、冷却器に流体接続された減圧装置であって、冷却流出物の圧力を低下させて減圧流を生成するように構成された減圧装置と、減圧装置に流体接続されたフラッシュドラムであって、減圧流を分離して軽質留分流と重質留分流とを生成するように構成されたフラッシュドラムと、フラッシュドラムに流体接続された貯蔵タンクであって、重質留分流を貯蔵するように構成された貯蔵タンクと、貯蔵タンクに流体接続された酸化反応器であって、生成物流出物を生成するように構成された酸化反応器とを含む。
【0011】
特定の態様では、本システムは、炭化水素供給原料の圧力を増加させて加圧供給原料を生成するように構成された供給原料ポンプと、供給原料ポンプに流体接続された供給原料交換器であって、加圧供給原料の温度を増加させて加熱炭化水素流を生成するように構成された供給原料交換器と、水ポンプであって、水供給原料の圧力を増加させて加圧水を生成するように構成された水ポンプと、水ポンプに流体接続された水加熱器であって、加圧水の温度を増加させて超臨界水を生成するように構成された水加熱器とをさらに含む。特定の態様では、本システムは、フラッシュドラムに流体接続された軽質留分冷却器であって、軽質留分冷却器内の軽質留分流の温度を低下させて冷却軽質留分を生成するように構成された軽質留分冷却器と、軽質留分冷却器に流体接続された蒸気分離器であって、冷却軽質留分を分離して蒸気流および液体流を生成するように構成された蒸気分離器と、蒸気分離器に流体接続された油分離器であって、液体流を分離してアップグレード炭化水素流および水流を生成するように構成された油分離器をさらに含み、前記アップグレード炭化水素流はアップグレード炭化水素を含む。特定の態様では、本システムは、フラッシュドラムに流体接続された溶媒脱アスファルトユニットであって、重質留分を分離してアスファルテン流およびマルテン流を生成するように構成された溶媒脱アスファルトユニット、溶媒脱アスファルトユニットに流体接続された貯蔵タンク、貯蔵タンクに流体接続された酸化反応器であって、アスファルテン生成物を生成するように構成された酸化反応器をさらに含み、前記アスファルテン生成物は酸化アスファルテン留分を含む。特定の態様では、加熱炭化水素供給原料の炭化水素供給原料が全範囲原油、還元原油、大気留出物、大気残留物、真空留分、真空残留物、分解生成物流、生成油、デカント油、エチレンプラントからの重質炭化水素流、液化石炭、生体材料誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の態様では、加熱炭化水素流の体積流量と超臨界水の体積流量との比がSATPで1:10〜10:1である。特定の態様では、超臨界水反応器内の反応温度が水の臨界温度よりも高い場合、超臨界水反応器内の反応圧力は23MPa〜35MPaであり、超臨界水反応器内の滞留時間は5秒〜30分である。特定の態様では、酸化反応器がセミバッチ反応器である。ある態様では、酸化反応器内の酸化温度が150℃〜300℃の間である場合、酸化反応器内の酸化圧力は1psig〜100psigであり、酸化反応器内の反応時間は10分〜240分である。
【0012】
本発明の範囲のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、特許請求の範囲、および添付の図面に関してより良く理解されるであろう。しかしながら、図面はいくつかの実施形態のみを示しており、したがって、他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】プロセスの一実施形態のプロセス図を提供する。
図2】プロセスの一実施形態のプロセス図を提供する。
図3】プロセスの一実施形態のプロセス図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
範囲はいくつかの実施形態で説明されるが、当業者は本明細書で説明される装置および方法に対する多くの例、変形、および変更が範囲および精神内にあることを理解するであろう。したがって、説明された実施形態は、一般性を失うことなく、また、実施形態に限定を課すことなく説明される。当業者は、範囲が本明細書に記載された特定事項の全ての可能な組み合わせおよび使用を含むことを理解する。
【0015】
ここでは、石油流からアスファルテンを除去するためのプロセスおよびシステムを説明する。有利には、記載されたプロセスおよびシステムがパラフィン系溶媒の不在下にあり、これは溶媒廃棄物の発生を回避する。有利には、記載されたプロセスおよびシステムがコークスの生成を減少させる穏和な条件下でアスファルテンを除去する。有利には、記載されたプロセスおよびシステムは、アスファルテンを除去するための他のプロセスと比較して、より少ないエネルギーを消費するプロセスとなる、低温および大気圧で動作する。有利には、記載されたプロセスおよびシステムが触媒の失活の不在下でアスファルテンの除去を提供する。有利には、重質留分のマトリックス中に存在する水が分子状酸素の物質移動を改善し、これはブローンアスファルトの生成を増加させる。
【0016】
全体を通して使用されるように、「アスファルテン(asphaltenes)」は、主として炭素、水素、窒素、酸素および硫黄と、微量のバナジウムおよびニッケルなどの金属からなり、水素対炭素比が約1.2対1である高分子量多環式芳香族炭化水素の混合物を指す。操作上、アスファルテンは、炭素質材料のn−ヘプタン不溶性でトルエン可溶性の成分を指す。アスファルテンは、蒸留プロセスの粘着性、黒色、高粘性残渣である。アスファルテンは結合または凝集する傾向がある高極性の種を含有し、これは、例えば質量分析によるアスファルテンの完全な分子分析を困難にした。
【0017】
全体を通して使用されるように、「アップグレード炭化水素(upgraded hydrocarbon)」とは、プロセス供給流中の炭化水素と比較して、増加したAPI比重、減少した量の不純物(例えば、硫黄、窒素、および金属)、減少した量のアスファルテン、および増加した量の留出物のうちの1つまたは全てを有する炭化水素を意味する。当業者は、アップグレード炭化水素が、アップグレード炭化水素の流れを炭化水素の別の流れと比較してアップグレードすることはできるが、不純物などの望ましくない成分を依然として含有する可能性があるような、相対的な意味を有し得ることを理解する。
【0018】
全体を通して使用されるように、「セミバッチ(semi-batch)」は、反応器が反応時間後に排出され、次いで新しい反応流体で満たされるプロセスを指す。
【0019】
全体を通して使用されるように、「浸漬管(dip tube)」は、出口が容器内の液面レベルよりも下にある配管の部分を指す。
【0020】
全体を通して使用されるように、「外部から供給される触媒(externally supplied catalyst)」とは、反応器中の触媒床、反応器に導入される触媒、および反応器への供給物と混合される触媒のような、プロセスの炭化水素供給原料に対して有機でない任意の人工触媒源を指し、外部から供給される触媒は、バナジウム、ニッケル、および鉄のような金属の存在のような、プロセス中の他の反応を触媒することができる炭化水素供給原料中の成分は除外しない。
【0021】
全体を通して使用されるように、「鈍い分離(dull separation)」は、分離における沸点が厳密に制御されないか、または代替的に多段で制御されない分離を指す。
【0022】
全体を通して使用されるように、「マルテン(maltene)」または「マルテン留分(maltene fraction)」は、炭化水素のn−ヘプタン溶液留分を指す。
【0023】
全体を通して使用されるように、「ブローンアスファルト(broan asphalt)」は、酸化アスファルテン留分と非酸化アスファルテン留分との混合物を指す。
【0024】
図1を参照すると、ブローンアスファルトの製造プロセスのプロセスフロー図が示されている。
【0025】
炭化水素供給原料105は、供給原料ポンプ15を通して供給原料交換器25に移送される。炭化水素供給原料105は、アスファルテン留分を含有する炭化水素の任意の供給源であってよく、成分の少なくとも10%が華氏650度(°F)を超える真沸点を有する。炭化水素供給原料105は、300°Fで1万センチストークス(cSt)未満、300°Fで1,000cSt未満、あるいは300°Fで6cSt〜1,000cStの動粘度を有することができる。炭化水素の例には、全範囲原油、還元原油、大気留出物、大気残留物、真空留分、真空残留物、分解生成物流、生成油、デカント油、エチレンプラントからの重質炭化水素流、液化石炭、生体材料誘導体、およびそれらの組み合わせが含まれる。分解生成物流は、軽質サイクル油およびコーカー軽油を含むことができる。生体材料誘導体は、バイオ燃料油を含むことができる。炭化水素供給原料105の供給源は、製油所からの他の流れとすることができる。炭化水素供給原料105のアスファルテン留分は、2重量%〜50重量%、代替的に5重量%〜50重量%、代替的に10重量%〜50重量%、代替的に2重量%〜25重量%、代替的に5重量%〜25重量%、代替的に10重量%〜25重量%、代替的に2重量%〜16重量%、代替的に5重量%〜16重量%、代替的に10重量%〜16重量%であり得る。2重量%未満の炭化水素供給原料105中のアスファルテン留分は、プロセスを非効率的にする可能性がある。50重量%を超えるアスファルテン留分は、コークス形成の増加をもたらす超臨界水プロセスをもたらす可能性がある。少なくとも1つの実施形態では、炭化水素供給原料105が2重量%のアスファルテン留分を有するアラブ軽質原油からの真空残留物留分である。少なくとも1つの実施形態では、炭化水素供給原料105が16重量%のアスファルテン留分を有するアラブ重質原油からの真空残留物留分である。
【0026】
供給原料ポンプ15は、炭化水素供給原料105の圧力を上昇させて、加圧供給原料115を生成する。供給原料ポンプ15は、炭化水素流の圧力を増加させることができる任意のタイプのポンプであってよい。少なくとも1つの実施形態では、供給原料ポンプ15がダイアフラム計量ポンプである。加圧供給原料115の圧力は、水の臨界圧力よりも高く、23MPa〜35MPa、および24MPa〜30MPaとすることができる。
【0027】
供給原料交換器25は、加圧供給原料115の温度を上昇させて、加熱炭化水素流125を生成する。供給原料交換器25は、炭化水素流の温度を上昇させることができる任意のタイプの熱交換器とすることができる。加熱炭化水素流125の温度は、水の臨界温度未満で、代替的に摂氏350度(℃)未満、代替的に100℃〜250℃である。
【0028】
水供給物100は、水ポンプ10を介して水加熱器20に移送される。水供給物100は、1.0ミクロシーメンス/センチメートル(μS・cm−1)未満、あるいは0.1μS・cm−1未満の導電率を有する任意の脱塩水であり得る。
【0029】
水ポンプ10は、水供給物100の圧力を上昇させて、加圧水110を生成する。水ポンプ10は、水流の圧力を増加させることができる任意のタイプのポンプであってよい。少なくとも1つの実施形態では、水ポンプ10がダイアフラム計量ポンプである。加圧水110の圧力は、水の臨界圧力よりも高く、23MPa〜35MPa、および24MPa〜30MPaとすることができる。
【0030】
水加熱器20は、加圧水110の温度を上昇させて超臨界水120を生成する。水加熱器20は、水流の温度を上昇させることができる任意のタイプの熱交換器とすることができる。少なくとも1つの実施形態では、水加熱器20は、加圧水110の温度を上昇させ、反応器流出物140の温度を低下させるために、反応器流出物140から熱を回収することができるクロス熱交換器である。超臨界水120の温度は水の臨界温度〜摂氏600度(℃)であり、代替的に380℃〜600℃である。
【0031】
超臨界水120および加熱炭化水素流125をミキサー30に導入して、混合流130を生成する。加熱炭化水素流125の体積流量と超臨界水120の体積流量との比は、標準的な周囲温度および圧力(SATP)で1:10〜10:1、SATPで1:5〜5:1、SATPで1:1〜1:5である。少なくとも1つの実施形態では、加熱炭化水素流125の体積流量が超臨界水120の体積流量未満であり、これは超臨界水反応器40内の炭化水素間の水素移動の機会を減少させる。
【0032】
ミキサー30は、超臨界水120と加熱炭化水素流125とを混合することができる任意のタイプの混合装置とすることができる。ミキサー30の例は、超音波装置およびT継手を含むことができる。ミキサー30は、加熱炭化水素流125中の水と炭化水素との完全な混合を可能にする。混合流130は、超臨界水反応器40に導入することができる。
【0033】
超臨界水反応器40は、転化反応を超臨界条件に維持することができる任意のタイプの反応器とすることができる。超臨界水反応器40としては、例えば、管型縦反応器、管型横反応器、容器反応器、タンク反応器等を挙げることができる。超臨界水反応器40が容器反応器またはタンク反応器である実施形態では、超臨界水反応器40が内部混合装置を含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、内部混合装置は撹拌機である。超臨界水反応器40は、反応温度および反応圧力で運転することができる。反応温度は水の臨界温度より高く、代替的に380℃〜480℃、代替的に390℃〜420℃である。反応圧力は、代替的に23MPa〜35MPa、代替的に24MPa〜30MPaである。反応圧力は、減圧装置55によって制御することができる。超臨界水反応器40内の流体の滞留時間は、5秒〜30分、代替的に5秒〜10分である。超臨界水反応器40内の滞留時間は、反応器内の流体の密度が反応温度および反応圧力における水の密度であると仮定することによって計算することができる。
【0034】
反応器流出物140は、アスファルテンを含有するアスファルテン留分を含む。超臨界水反応器40の存在下での反応の結果として、アスファルテン留分中のアスファルテンはオレフィン結合を含有する。アスファルテン留分は、1−オレフィン、シクロオレフィン、および共役オレフィンなどのオレフィン化合物を含むことができる。有利には、超臨界水反応器がコークスの形成を最小限にしながら、オレフィン結合を有するアスファルテンを生成する。反応器流出物140は超臨界水反応器40を出る。
【0035】
反応器流出物140を冷却器50に導入して、冷却流出物150を生成することができる。冷却器50は、反応器流出物140の温度を低下させることができる任意の熱交換器とすることができる。冷却流出物150の温度は、水の臨界温度未満である。少なくとも1つの実施形態では、冷却流出物150の温度が250℃〜373℃である。少なくとも1つの実施形態では、石油をアップグレードするためのプロセスは冷却器50の不在下にある。冷却器50および冷却流出物150の追加は、フラッシュドラム60内の所望の条件および反応器流出物140の組成に基づいて決定することができる。
【0036】
冷却流出物150を減圧装置55に導入して、減圧流155を生成することができる。減圧装置55は、冷却流出物150の流体圧力を低下させるように構成された任意のタイプの圧力調整器とすることができる。減圧装置55の例としては、背圧調整器が挙げられる。所与の温度に対する減圧流155の圧力は、蒸気が生成される圧力未満である。少なくとも1つの実施形態では、減圧流155の圧力は2MPa未満である。減圧流155はフラッシュドラム60に導入される。
【0037】
フラッシュドラム60は、減圧流155を分離して軽質留分流160および重質留分流162を生成する。軽質留分流160の組成および重質留分流162の組成は、フラッシュドラム60内の温度および圧力に基づいて決定される。温度および圧力は、軽質留分流160中の特定の組成または重質留分流162中の組成を達成するために設定することができる。軽質留分流160は、水および炭化水素の軽質留分を含有する。重質留分流162は、水および炭化水素の重質留分を含有する。少なくとも1つの実施形態では、重質留分流162が水、マルテン留分、およびアスファルテン留分を含有する。
【0038】
フラッシュドラム60は、減圧流155の温度に対してフラッシュドラム60の温度を上昇または維持するために、内部加熱装置または外部加熱装置を含むことができる。フラッシュドラム60は、フラッシュドラム60内の流体の混合を促進するための内部混合装置を含むことができる。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、温度は、蒸留物の20体積%(「T20」と呼ばれる)が650°Fを超える初期沸点を有するように、減圧流155の蒸留カットポイントに基づいて決定され、大気残留物留分の蒸留カットポイントは650°Fである。真空残留物留分の蒸留カットポイントは1050°Fである。フラッシュドラムは鈍い分離性能を有するので、T20を目標とすることができる。T20はまた、流動する重質留分流を生成することを目的とする。アスファルテンは1050°Fを超えて沸騰する原油留分中に濃縮することができる。重質留分流162の粘度を低下させるために、重質留分流162がある量のマルテン留分を含有するようにT20のカットポイントを使用することができる。重質留分流162中の水の濃度は、10重量%未満、代替的に0.1重量%〜10重量%、代替的に0.5重量%〜10重量%、代替的に0.1重量%〜1重量%、代替的に0.1重量%〜5重量%とすることができる。少なくとも1つの実施形態では、重質留分流162中の水の濃度が0.5重量%である。有利には、重質留分流162中に存在する水が重質留分流162中の炭化水素全体に分散される。
【0040】
軽質留分流160は、軽質留分冷却器65に導入することができる。軽質留分冷却器65は、軽質留分流160の温度を低下させて、冷却軽質留分165を生成することができる。冷却軽質留分165は10℃〜30℃の範囲の温度を有することができ、冷却軽質留分165は、1つ以上の分離ユニットに導入することができる。少なくとも1つの実施形態では、冷却軽質留分165が蒸気分離器80に導入される。蒸気分離器80は、冷却軽質留分165を蒸気流180と液体流182とに分離する。蒸気流180は、軽質ガスおよび軽質炭化水素を含むことができる。蒸気流180中に存在する軽質炭化水素には、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、およびこれらの組み合わせが含まれ得る。軽質ガスは、二酸化炭素、水蒸気、硫化水素、アンモニア、およびそれらの組み合わせを含むことができる。液体流182は、ナフサおよび軽油範囲の炭化水素を含むことができる。液体流182は油分離器90に導入することができる。油分離器90は、液体流182を水流192とアップグレード炭化水素流190とに分離する。水流192は、液体流182中に存在する水を含む。アップグレード炭化水素流190は、炭化水素供給原料105に対してアップグレードされた炭化水素を含有する。少なくとも1つの実施形態では、冷却軽質留分165が気体生成物流、水含有流、および炭化水素含有流を生成することができる三相分離器に導入することができる。
【0041】
重質留分流162は貯蔵タンク70に導入することができる。貯蔵タンク70は、セミバッチプロセスの上流で流体を貯蔵することができる任意のタイプの容器とすることができる。超臨界水反応器は連続反応器とすることができ、酸化反応器はセミバッチ反応器である。酸化反応器供給物170を貯蔵タンク70から回収し、酸化反応器75に導入することができる。
【0042】
酸化反応器75は、炭化水素の酸化反応を含むことができる任意の容器とすることができる。酸化反応器75は、セミバッチ反応器とすることができる。少なくとも1つの実施形態では、酸化反応器75は、酸化反応器75内の流体を混合するように構成された内部撹拌器を含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、酸化反応器は、セミバッチ撹拌反応器である。酸化反応器75の内部容積は、所望の反応時間に基づいて設計することができる。反応時間は、10分〜240分、および代替的に60分〜120分であり得る。240分を超える反応時間は、過酸化されたアスファルトをもたらす可能性があり、粘度を有する生成物流出物をもたらし、その生成物流出物を取り扱うことを困難にする。10分未満の反応時間は、軟化点を含む、要求される品質目標を満たさないアスファルト生成物流出物をもたらす可能性がある。酸化反応器75は、酸化反応器75内の酸化温度を維持するように構成された内部加熱要素または外部加熱要素を有することができる。酸化反応器75内の酸化温度は150℃〜300℃、代替的に150℃〜250℃、代替的に150℃〜200℃、代替的に200℃〜250℃、代替的に200℃〜300℃、代替的に250℃〜300℃とすることができる。酸化反応器75の酸化圧力は、1ポンド/平方インチゲージ(psig)〜100psig(6.89kPa〜689kPa)、代替的に1psig〜50psig(6.89kPa〜344kPa)、代替的に1psig〜10psig(6.89kPa〜68.9kPa)とすることができる。ポンプを使用して、酸化反応器供給物170を反応圧力で導入することができる。酸化反応器75は、外部から供給される触媒を含まなくてもよい。炭化水素供給原料に由来する金属は、重質留分中で濃縮することができ、酸化反応器中で外部から供給される酸素によって酸化することができる。このような金属酸化物は、酸化反応器において、炭化水素の酸化反応を促進する触媒効果を有することができる。
【0043】
酸素源174は、分子状酸素の濃度を有する任意の酸素含有ガスとすることができる。酸素源174の例は、空気、酸素富化空気、および純酸素を含むことができる。酸素源174は、1つ以上の浸漬管を通して酸化反応器75に導入することができる。浸漬管は、酸素含有ガスを酸化反応器75内の流体に直接供給するように構成されている。浸漬管は、ガスディスペンサを含むことができる。ガスディスペンサは、気体を液体中に分散させることができる任意の機械的装置とすることができる。ガスディスペンサは、焼結金属チップまたは焼結石英を含むことができる。有利には、ガスディスペンサは、酸化反応器内の液体中への気体の均一な分散を提供し、気体と液体との間の界面を増大させることができる。浸漬管の使用は、液体を通る酸素の分散を増加させる。酸素源174の流量は、排ガス172中の酸素濃度を10体積%〜50体積%に維持するように調整することができる。排気ガス172中の酸素濃度は、酸素源174の流量を制御するためのフィードバックループの一部として分析器によって監視することができる。酸素源174が空気である実施形態では、酸素源174の流量は、酸化反応器供給物170の1キログラム(kg)毎に少なくとも1,000標準立方センチメートル/分(SCCM)である。酸素源174内の分子状酸素は、酸化反応器75内の炭化水素と反応して、アスファルテン留分を含む炭化水素を酸化する。
【0044】
酸化反応器供給物170中に存在する水は、酸化反応器供給物170のアスファルテン留分中への酸素浸透の拡散を増加させるための混和剤として作用する。有利には、同じプロセスで超臨界水反応器と酸化反応器とを組み合わせることにより、アスファルテン留分が酸化反応器に導入されるときに、水がアスファルテン留分と確実に混合される。水を酸化反応器に直接導入しても、アスファルテン留分中に混合され、アスファルテン留分中のアスファルテンと接触する水と十分に混合された流体は得られない。
【0045】
排気ガス172は酸化反応器75を出る。排気ガス172は、酸化反応器75内の酸化圧力を維持するのに必要な反応時間中に定期的に放出され得る。排気ガス172は、反応時間の終わりに回収することができる。排気ガス172は、環境規制を満たすように処理され、次いで大気に放出され得る。少なくとも1つの実施形態では、排気ガス172を処理し、次いで酸化反応器75に再循環させることができる。
【0046】
反応時間の終わりに、酸化反応器75の全液体体積を生成物流出物175として除去することができる。生成物流出物175は、ブローンアスファルト、酸化マルテン留分、非酸化マルテン留分、および水を含有することができる。ブローンアスファルトは、酸化アスファルテン留分および非酸化アスファルテン留分を含むことができる。生成物流出物175は、さらに処理することができる。少なくとも1つの実施形態では、生成物流出物175を溶媒抽出ユニットに導入して、マルテン留分を除去することができる。少なくとも1つの実施形態では、生成物流出物175を乾燥ユニットに導入して水を除去することができる。少なくとも1つの実施形態では、生成物流出物175は、生成物ブローンアスファルトを生成するためにユニットに導入される前に、ブレンドユニットにおいて添加剤と混合され得る。
【0047】
図2を参照すると、アスファルテンの製造プロセスの一実施形態が示されている。重質留分162を溶媒脱アスファルトユニット62に導入する。溶媒脱アスファルトユニット62は、任意の極性−非極性連続分離プロセスであり得る。溶媒脱アスファルトユニット62は、重質留分162をアスファルテン流262とマルテン流260とに分離する。重質留分162を酸化反応器75の上流の溶媒脱アスファルトユニット62に導入することにより、マルテン留分を含まない酸化反応器75への供給物が得られ、これは、より少ない不純物を有する酸化アスファルテン留分を生成する。少なくとも1つの実施形態では、マルテン流260がアップグレード炭化水素流190と組み合わせることができる。アスファルテン流262は貯蔵タンク70に導入される。
【0048】
反応器供給物270を貯蔵タンク70から回収し、酸化反応器75に導入する。酸化反応器75を、図1を参照して説明する。反応時間の終わりに、酸化反応器75の全液体体積をアスファルテン生成物275として除去することができる。アスファルテン生成物275は、ブローンアスファルトおよび水を含有することができる。アスファルテン生成物275はさらに処理することができる。少なくとも1つの実施形態では、アスファルテン生成物275を乾燥ユニットに導入して水を除去することができる。少なくとも1つの実施形態では、アスファルテン生成物275は、ブローンアスファルトを生成するためのユニットに導入される前に、ブレンドユニットにおいて添加剤と混合され得る。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、アスファルテンを分離するためのシステムおよびプロセスは、外部から供給される酸化剤を超臨界水反応器に添加することなく行われる。超臨界水反応器内の酸化剤は一酸化炭素および二酸化炭素を生成することができるが、超臨界水反応器内の水の超臨界温度よりも高い温度のために、部分酸化炭化水素を生成しない。さらに、部分酸化炭化水素は、超臨界水の存在下で分解される。超臨界水反応器は、重縮合反応がない。したがって、超臨界水反応器の上流の酸化反応器のプロセスは、酸化アスファルテン生成物をもたらさない。超臨界水反応器は、水が炭化水素と混合され、重質留分全体に浸透するための経路を提供する。水は、マルテンを溶解し、アスファルテンを膨潤させることによって、混合することができる。酸化に添加された水または水蒸気は、炭化水素と混合することができず、重質留分に浸透する。酸化反応器内の条件下では、水蒸気は、マルテンの溶解を制限し、アスファルテンの膨潤を制限する。
【実施例】
【0050】
[実施例1]
実施例1は、図3のプロセスフロー図に基づくパイロットスケールシステムで実施した。炭化水素供給原料105は、API比重10.3、硫黄含量5.2重量%、およびアスファルテン留分10重量%のアラブ重質原油からの大気中残留物留分であった。炭化水素供給原料105の真沸点留分を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
炭化水素供給原料105を供給タンク415から引き出し、そこで窒素パージ下で100℃で貯蔵して酸素を除去した。水供給物100は、酸素を除去するために窒素でパージされた水タンク410から引き出された。水供給物100は、SATPで0.2リットル/時(L/hr)の体積流量で水ポンプ10によってポンプ輸送された。炭化水素供給原料105は、SATPで0.2リットル/時(L/hr)の体積流量で供給原料ポンプ15によってポンプ輸送された。加熱炭化水素流125の超臨界水120に対する体積流量の比は1:1であった。供給原料交換器25は電気ストリップ加熱器であり、加熱炭化水素流125の温度は150℃であった。水加熱器20は電気予熱器であり、超臨界水120の温度は450℃であった。
【0053】
ミキサー30は、2.2ミリメートル(mm)の内径を有するT継手であった。超臨界水120および加熱炭化水素流125をミキサー30に導入した。混合流130の温度は、ミキサー30に近接した熱電対で測定して360℃であった。混合流130を超臨界水反応器40に導入した。
【0054】
超臨界水反応器40は、内径20.2mm、長さ500mmの一対の垂直管状連続流型反応器であった。2つの反応器を、1/4インチ管によって直列に接続した。流体方向は上昇流であった。各反応器の温度は、各反応器の内側に配置された熱電対によって制御された。反応温度を410℃に設定した。超臨界水反応器40を通る滞留時間は7分であった。
【0055】
冷却器50は、15℃の水道水を循環させて反応器流出物140を冷却する二重管型熱交換器であった。水道水の流量を制御して、冷却流出物150の温度を370℃に維持した。減圧装置55は背圧調整器であり、減圧流155の圧力は0.5MPaであった。
【0056】
フラッシュドラム60の内容積は120Lであった。フラッシュドラム60の温度は155℃、圧力は0.5MPaであった。軽質留分流160および重質留分流162の組成を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
貯蔵タンク70は貯蔵ボトルであり、重質留分流162をその中に集めた。酸化反応器供給物は約50ミリリットル(ml)または48グラム(g)の重質留分であり、酸化反応器75に入れた。酸化反応器75は、内容積500mlのオートクレーブ型反応器であった。酸素源174は、反応器内に配置された浸漬管によって供給された空気であった。酸素源174の流量は、SATPで100ml/分に調節した。酸化反応器75内の圧力は、酸素源174によって、50ポンド/平方インチゲージ(psig)に制御された。酸化反応器75は、内部流体を混合するために毎分500回転(rpm)で回転するように設定された撹拌機を有していた。酸化反応器75内の温度を1時間かけて室温から230℃に上昇させ、次いでその温度で1時間維持した。次に、反応器内部を、反応器本体を15℃に維持された水槽に入れることによって室温に冷却し戻した。酸化反応器75からの生成物をn−ヘプタンで抽出し、表3の特性を有するブローンアスファルトを残した。[実施例で得られたアスファルテンはブローンアスファルトか?]
【0059】
【表3】
【0060】
[実施例2]
これは比較例である。実施例1で酸化反応器75として使用した同じオートクレーブ型反応器に、動作温度、反応時間、空気流量、および反応圧力を含む同じ条件下で、実施例1と同じAPI比重10.3、硫黄含有量5.2重量%、およびアスファルテン分率10重量%を有するアラブ重質原油からの大気残留物留分の炭化水素を、最初に炭化水素を超臨界水プロセスにかけることなく、添加した。
【0061】
実施例1と同様に、オートクレーブ型反応器からの生成物をn−ヘプタンで抽出し、表4の特性を有するブローンアスファルトを残した。
【0062】
【表4】
【0063】
実施例1のブローンアスファルトと比較して、実施例2ではより少ないアスファルテン留分が回収された。超臨界水反応器と酸化反応器との組み合わせは、ブローンアスファルテンのより大きな回収(収率)およびより大きな軟化点を有するブローンアスファルトをもたらし、これは有利である。
【0064】
詳細に記述されているが、原則や範囲から逸脱することなく、ここに様々な変更、置換、代替が可能であることを理解すべきである。したがって、範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの適切な法的均等物によって決定されるべきである。記載されている様々な要素は、特に指示がない限り、本明細書に記載されている他のすべての要素と組み合わせて使用することができる。
【0065】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうではないと指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0066】
任意の、または、任意的に、とは、後述する事象または状況が発生する可能性がある、または発生しない可能性があることを意味する。説明は、事象または状況が発生する場合と、それが発生しない場合とを含む。
【0067】
範囲は、本明細書では、約1つの特定の値から、および/または約別の特定の値までとして表すことができる。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値まで、ならびに前記範囲内のすべての組合せであることを理解されたい。
【0068】
特許または刊行物が参照される本出願全体を通して、これらの参照文献の開示は、これらの参照文献が本明細書でなされる記載と矛盾する場合を除いて、最新技術をより完全に記載するために、それらの全体が参照によって本出願に組み込まれることが意図される。
【0069】
本明細書で用いられているように、および添付の特許請求の範囲において、「含む(comprise)」、「有する(has)」、「含む(include)」という用語およびそれらのすべての文法的変形は、それぞれ、追加の要素又はステップを除外しない開放的で非制限的な意味を持つことを意図している。
【0070】
本明細書で使用される「第1の(first)」および「第2の(second)」などの用語は任意に割り当てられ、単に装置の2つ以上の構成要素を区別することが意図される。「第1の(first)」および「第2の(second)」という用語は他の目的を果たさず、構成要素の名称または説明の一部ではなく、構成要素の相対的な位置または位置を必ずしも定義しないことを理解されたい。さらに、「第1の(first)」および「第2の(second)」という用語の単なる使用は「第3の(third)」構成要素があることを必要としないが、その可能性は範囲の下で企図されることを理解されたい。
図1
図2
図3