(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オーバーフロー部(382)は、前記案内空間(302)の前記下部外側の端部(381)を越えて1cmよりも大きい距離だけ突出するように構成され、前記オーバーフロー部(382)は該オーバーフロー部(382)が突出する前記距離内に、2mmを超える液面を保持する突起を備える、請求項4に記載のヒートポンプ。
前記ヒートポンプは、前記吸引口(92)を通して蒸気流を前記ヒートポンプの動作に垂直な方向に上向きに運ぶように構成され、前記案内空間(302)は、蒸気流を前記ラジアルインペラ(304)の前記端部での水平流から、前記凝縮器(114)に向かって下向きの蒸気流に偏向するように構成される、
請求項1または4に記載のヒートポンプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ヒートポンプの一般的な問題は、可動部品、特に、高速可動部品を冷却する必要があるという事実である。ここで、圧縮機モータ、特にモータシャフトに、具体的に問題がある。とりわけ、圧縮機としてラジアルインペラを使用するヒートポンプは、小型化を実現するために非常に高速で作動し、例えば、50,000回転/分を超える領域では、シャフト温度は部品の破壊につながる問題のある値に達する可能性がある。
【0010】
ラジアルインペラを備えた圧縮機モータを使用するヒートポンプのさらに一般的な欠点は、ラジアルインペラの動作および下流に配置された案内空間により、作動蒸気が相当過熱することである。過熱作動蒸気、具体的には作動媒体として水を使用する場合における過熱水蒸気は、飽和蒸気よりも粘度が高いため、流動抵抗が大きくなる。
【0011】
原理的に、過熱作動媒体蒸気は、十分かつ効率的に凝縮できるようにするために、まずは、その過熱を低減する必要がある。しかし、効率的な凝縮は、ヒートポンプを実現するために特に重要であるが、一方で、ヒートポンプは、ヒートポンプの使用に応じて加熱または冷却に対して高い性能値をもたらす。さらに、ヒートポンプはできるだけ小さな空間を使用し、凝縮器のサイズに制限を設ける必要がある。凝縮器の寸法が小さいほど、「設置面積」またはヒートポンプが占める容積または空間が小さくなる。したがって、ヒートポンプの凝縮器内で高効率の凝縮を達成することは非常に重要である。そうして始めて、効率がよく、容積や設置面積が大きすぎないヒートポンプが作られる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、より効率的なヒートポンプを提供することである。
【0013】
本目的は、請求項1に記載のヒートポンプ、または請求項
18に記載の熱をポンピングする方法、または請求項
19に記載のヒートポンプを製造する方法によって解決される。
【0014】
本発明は、作動媒体蒸気の過熱による凝縮器効率の低下を回避するために、案内空間および/または吸引口の液体による冷却が採用されるという発見に基づいている。これにより、案内空間および/または吸引口の温度は、液化装置内の圧力の飽和圧力温度に可能な限り近づけて維持される。したがって、蒸気流からのエネルギ/熱は、吸引口または案内空間の材料または壁を介して結合される。好ましい実施形態の場合である水が作動液として使用される場合、吸引口または案内空間に運ばれた水は沸騰し始めるため、そのエネルギを放出する。したがって、案内空間および/または吸引口は、吸引口部を介してラジアルインペラによって最初に吸引され、そこから接触空間に供給される蒸気圧の飽和蒸気温度に非常に近く維持される。作動蒸気は、その後、案内空間内で、液化装置または凝縮器の計画圧力まで圧縮される。したがって、案内空間および/または吸引口を冷却すると、作動媒体蒸気の過熱が防止される。そのため、作動媒体蒸気が凝縮器に入る際に、容易な凝縮を可能とするための過熱を減らす必要がなくなる。代わりに、作動媒体蒸気は、時間、容積、または移動距離に関してさらにロスすることなく、凝縮器内で直接凝縮できる。これにより、対応する案内空間/吸引口冷却を採用していなかった実施形態と比較して凝縮器の容積を小さくしても、効率的な凝縮器を実現することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、案内空間は熱伝導性の高い材料で構成される。このようにして、案内空間は、案内空間を通過して流れる蒸気からエネルギを抽出し、それを案内空間または吸引口の周りを流れる冷却水に直接転送する。これにより、案内空間は、蒸気圧の飽和蒸気温度に、さらに良好に保持される。他方、案内空間の材料の熱抵抗が残っているので過熱は完全には低減されないが、大幅に低減されるので、案内空間内での液化は防止される。ただし、この残りの過熱により、凝縮は案内空間内では既に発生せず、液化装置でのみ効率的に発生するようになる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、案内空間用の冷却液は、モータボールベアリングを介しておよび/または使用するのが好ましいオープンモータ冷却を介して予め案内される。オープンモータ冷却により、冷却液は再び部分蒸発により飽和蒸気温度まで冷却される。ボールベアリング冷却とモータ冷却のカスケードでは、冷却液は、既にボールベアリング冷却によって吸収されたエネルギをモータ冷却で放出する。したがって、オープンな案内空間冷却のために最適に調整された液体媒体が提供される。
【0017】
好ましい実施例では、案内空間の外側の上部が最初に液体で満たされる。そのような片側案内空間冷却では、作動液は単にオーバーフローするが、これは、本発明の好ましい実施形態では、作動液がいずれの場合でも「シャワー」の形態で導入される凝縮器に単に流れるため、問題のない、または望ましくさえある。好ましいさらなる実施形態では、冷却液は、さらに、上部案内空間の冷却、すなわち案内空間の上側の冷却から、追加の下部案内空間の冷却および/または吸引口の冷却に導かれる。案内空間の端部には、オーバーフローのあるオープン領域がある。蒸発により、作動液は、常に飽和蒸気温度まで冷却される。残りの作動液もオーバーフローし、凝縮器容積にたやすく流れ込み、さらに処理される。しかしながら、代替的に、作動液は、ヒートポンプの作動液ではない作動液であってもよいが、これは、特に、実施例によれば、必ずしも作動液が圧縮作動蒸気と接触する必要がないためである。
【0018】
本発明は、案内空間冷却および/または吸引口冷却によって熱部品の負荷がさらに低減されるという点でさらに有利であり、これら案内空間や吸引口は、通常、圧縮機の近くに配置されるヒートポンプにおいて比較的大きな表面を占める。凝縮器内の圧力レベルで行われることが好ましい液体冷却により、非常に効率的な蒸発冷却が実現される。この蒸発冷却により、圧縮機全体を飽和蒸気温度に近づけることができる。好ましい実施形態では、圧縮におけるモータ損失、ベアリング損失、および過熱は、非常に効率的なヒートポンプの実現だけでなく、動作中の安全で安定したヒートポンプを実現するために、蒸発によって本質的に低減される。
【0019】
好ましい実施形態のさらなる態様および利点を以下に提示する。
【0020】
さらなる態様によるヒートポンプは、特別な対流シャフト冷却を含む。このヒートポンプは、凝縮器ハウジングを有する凝縮器と、凝縮器ハウジングに取り付けられ回転子および固定子を有する圧縮機モータであって、回転子は、蒸発器ゾーンに延びるラジアルインペラが取り付けられたモータシャフトを有し、ラジアルインペラによって圧縮された蒸気を受け取り、それを凝縮器に導くように構成された案内空間とを備える。さらにヒートポンプは、圧縮機モータを取り囲み、凝縮器内の圧力と少なくとも同じ圧力を維持するように構成されるモータハウジングを備える。ただし、圧力はラジアルインペラの背後の圧力よりも大きい圧力でも十分である。特定の実施例では、この圧力は、凝縮器圧力と蒸発器圧力の中間の圧力に設定される。さらに、モータハウジング内の蒸気を固定子とモータシャフトの間のモータギャップに供給するために、モータハウジング内に蒸気供給部が設けられる。さらに、モータは、さらなるギャップが、固定子とモータシャフトとの間のモータギャップからラジアルインペラに沿って案内空間まで延びるように構成される。
【0021】
これにより、モータハウジング内で比較的高い圧力が発生し、これは凝縮器と蒸発器からの平均圧力よりも高く、凝縮器圧力と同じかそれより高いことが好ましい一方で、ラジアルインペラに沿って案内空間まで広がる広いギャップには、より低い圧力が存在する。この圧力は、凝縮器と蒸発器の平均圧力と同じであり、蒸発器からの蒸気を圧縮するとき、ラジアルインペラはラジアルインペラの前に高圧領域を、ラジアルインペラの後に低圧または真空領域を作るという事実により、実施される。特に、ラジアルインペラの前の高圧領域は、凝縮器の高圧よりもまだ小さく、ラジアルインペラの「背後」の低圧は、ラジアルインペラの出口の高圧よりもまだ小さいものである。凝縮器の高い圧力は、案内空間の出口にのみ存在する。
【0022】
モータギャップと「結合」されたこの圧力勾配は、作動蒸気がモータハウジングから蒸気供給部を通ってモータギャップおよびさらなるギャップに沿って凝縮器に確実に引き込まれることで確保する。この圧力は、凝縮器作動媒体の温度レベル以上である。これは、モータ内、特に、モータシャフト内の腐食などを起こす全ての凝縮問題を回避するため、特に、有利である。
【0023】
したがって、この態様では、蒸発器で利用可能な最も冷たい作動液は、対流シャフト冷却には使用されない。蒸発器内の冷蒸気も使用されない。代わりに、対流シャフト冷却では、凝縮器温度でヒートポンプ内に存在する蒸気が使用される。対流の性質により、これは依然として十分なシャフト冷却を提供する、すなわち、蒸気供給部、モータギャップおよびさらなるギャップにより、モータシャフトの周りに大量の、特に調整可能な量の蒸気が流れる。同時に、この蒸気が蒸発器内の蒸気とは対照的に比較的温かいという事実により、モータギャップおよび/またはさらなるギャップ内のモータシャフトに沿った凝縮がないことが保証される。代わりに、最も低い温度よりも高い温度がここで作られる。凝縮は常に容積内の最低温度で発生するので、モータギャップ内およびさらなるギャップ内では、これらが温かい蒸気に囲まれているため、凝縮は起きない。
【0024】
これにより、十分な対流シャフト冷却が保証され、モータシャフトの過度の温度とそれに伴う摩耗が防止される。さらに、モータ内の凝縮は、例えばヒートポンプが停止しているとき、効果的に防止される。また、これにより、このような凝縮に関連する全ての動作上の安全性の問題と腐食の問題が効果的に排除される。対流シャフト冷却の態様によれば、本発明は、非常に信頼性の高いヒートポンプをもたらす。
【0025】
モータ冷却を伴うヒートポンプに関するさらなる態様では、ヒートポンプは、凝縮器ハウジングを有する凝縮器と、凝縮器ハウジングに取り付けられ、回転子および固定子を有する圧縮機モータとを含む。回転子は、作動媒体蒸気を圧縮するための圧縮機モータが取り付けられたモータシャフトを含む。さらに、圧縮機モータにはモータ壁がある。ヒートポンプは、圧縮機モータを取り囲み、好ましくは、凝縮器内の圧力と少なくとも同じ圧力を維持するように構成され、モータを冷却するために凝縮器からモータ壁に液体作動媒体を導く作動液入口を有する、モータハウジングを含む。ただし、モータハウジングからの熱放散は沸騰または蒸発によって行われるため、モータハウジング内の圧力も大幅に低くなる可能性がある。したがって、モータ壁での熱エネルギは、主にモータ壁から蒸気を介して運び去られ、次いで、この加熱された蒸気は、例えば、凝縮器に放散される。代替的に、モータ冷却からの蒸気を蒸発器または外部に持ち込むこともできる。ただし、加熱蒸気を凝縮器に導くことが好ましい。本発明のこの態様では、モータがそれを通過する水によって冷却される水冷とは対照的に、冷却は蒸発によって行われ、運ばれる熱エネルギは蒸気消散によって運び去られる。利点の1つは、冷却に必要な液体が少なく、蒸気を簡単に逃がす、例えば、自動的に凝縮器に送り、そこで蒸気は再び凝縮してモータの熱排出量を凝縮液に移すことができることである。
【0026】
したがって、モータハウジングは、ヒートポンプの動作中に、気泡の沸騰または蒸発により作動媒体が配置される蒸気空間を形成するように構成される。モータハウジングはさらに、蒸気排出を通じてモータハウジング内の蒸気空間から蒸気を導き出すように構成される。凝縮器とモータハウジングの間のガス透過可能な接続によって蒸気の排出が実現されるように、凝縮器に導かれることが好ましい。
【0027】
モータハウジングは、ヒートポンプの動作中、モータハウジング内の液体作動媒体の最高液面を維持し、さらに最高液面を超える蒸気空間を形成するよう構成されるのが好ましい。モータハウジングは、最高液面を超える作動媒体を凝縮器に導くように構成される。この実施例により、気泡沸騰するのに十分な作動液がモータ壁上にあることが作動液液面から常に保証されるため、蒸気生成を通じた冷却を非常に堅牢に保つことができる。代替的に、作動液液面を常に維持する代わりに、作動液をモータ壁にスプレーしてもよい。スプレーされた液体は、モータの壁に接触すると蒸発するように与えられ、それによりモータの冷却能力が達成される。
【0028】
モータは液体作動媒体とモータ壁で効果的に冷却される。ただし、この液体作動媒体は、蒸発器からの冷たい作動媒体ではなく、凝縮器からの温かい作動媒体である。凝縮器からの温かい作動媒体を使用しているにもかかわらず、十分なモータ冷却が提供される。ただし、同時に、モータが過度に冷却されないようにし、特に、モータは凝縮器内または凝縮器ハウジング上で最も冷たい部分の温度まで冷却されないようにする。これは、例えばモータが動作していないときだけでなく、動作中に、モータハウジングの外側で作動媒体蒸気の凝縮を引き起こし、腐食やその他の問題につながる。代わりに、モータは十分に冷却されるが、同時に、常に最も冷たい「端部」で発生する凝縮が圧縮機モータで発生しないように、常にヒートポンプの最も暖かい部分にあることが保証される。
【0029】
好ましくは、モータハウジング内の液体作動媒体は、凝縮器とほぼ同じ圧力に維持される。これは、モータを冷却する作動媒体は凝縮器作動媒体であり、かつ凝縮器内と同じ温度にあるため、該作動媒体はその沸点に近いことを意味する。モータの動作に起因する摩擦によりモータ壁が加熱されると、熱エネルギが液体作動媒体に伝達される。液体作動媒体がその沸点に近いという事実により、気泡沸騰は、モータハウジングを最高液面まで満たす液体作動媒体内のモータハウジング内で始まる。
【0030】
この気泡沸騰により、モータハウジング内の液体作動媒体量が非常に強く混合されるため、非常に効率的な冷却が可能になる。この沸騰アシスト冷却はまた、好ましくは提供される対流要素によって大幅にアシストされ、その結果、最終的に、液体媒体の比較的小さな容積または変動する容積を用いた非常に効率的なモータ冷却が実現され、それに加えて、冷却は自己制御であるため、さらに制御する必要はない。このようにして、高度な技術を用いずに効率的なモータ冷却が達成され、ひいてはヒートポンプの動作信頼性に大きく貢献する。
【0031】
本発明の好ましい実施形態は、続いて、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、蒸発器空間102内で作動液を蒸発させるための蒸発器を備えたヒートポンプ100を示す。ヒートポンプはさらに、凝縮器底部106によって制限される凝縮器空間104内で蒸発した作動液を液化するための凝縮器を含む。断面図または側面図として見ることができる
図1に示すように、蒸発器空間102は、凝縮器空間104によって少なくとも部分的に囲まれる。さらに、蒸発器空間102は、凝縮器底部106によって凝縮器空間104から分離される。加えて、凝縮器底部は、蒸発器空間102を画定するために蒸発器底部108に接続される。一実施例では、圧縮機110は、蒸発器空間102または他の任意の場所の上面に設けられており、
図1には詳細に説明されていないが、蒸発した作動液を圧縮し、圧縮蒸気112として凝縮器空間104に導くように構成される。凝縮器空間は、凝縮器壁114によって外側に向かってさらに制限される。凝縮器底部106と同様に、凝縮器壁114は蒸発器底部108に固定される。特に、蒸発器底部108に対するインタフェースを形成する領域における凝縮器底部106の寸法は、
図1に示す実施形態において、凝縮器底部が凝縮器空間壁114によって完全に囲まれるような寸法である。これは、
図1に示すように、凝縮器空間が蒸発器の底部まで延び、同時に蒸発器空間がかなりの上方に、、通常は凝縮器空間104のほぼ全体を通って延びることを意味する。
【0034】
凝縮器底部が蒸発器底部に接続されることを特徴とする、凝縮器と蒸発器のこの「絡み合った」または連動する配置は、ヒートポンプの特に高い効率を提供し、したがってヒートポンプの特にコンパクトな設計を可能にする。サイズに関しては、ヒートポンプの寸法、例えば、円筒形の場合、凝縮器壁114は、直径が30〜90cmで高さが40〜100cmの円筒と同等である。寸法は、要求されるヒートポンプ性能クラスに従って選択されてもよいが、上記の寸法であることが好ましい。これにより、蒸発器の底部は、本発明の好ましい実施形態に従って、全ての液体の入口および出口を含むように設計され、液体の入口および出口が側面または上から不要である場合、特に、ほぼ真空状態にある蒸発器空間のインタフェースの数を容易に減らすことができるため、容易かつ安価に製造できる非常にコンパクトな設計が得られる。
【0035】
また、ヒートポンプの動作方向は、
図1に示すようなものであることに注意すべきである。このことは、他のヒートポンプまたは対応するポンプユニットへの接続ラインを除いて、動作中に蒸発器底部がヒートポンプ下部を画定することを意味する。これは、動作中に蒸発器空間で生成された蒸気が上昇し、モータで偏向されて凝縮器空間に上部から底部に供給されること、および、凝縮液は底部から上部に導かれ、次いで、上から凝縮器空間に供給され、その後、例えば、単一の液滴または小さな液体の流れを介して、凝縮のために凝縮器空間内を上部から底部に流れ、好ましくは交差して供給される圧縮蒸気と反応する、ことを意味する。
【0036】
蒸発器が凝縮器内にほぼ完全にまたは完全に配置される「絡み合った」配置により、空間を最適に使用したヒートポンプの非常に効率的な実施が可能になる。凝縮器空間は蒸発器底部まで延びているため、凝縮器空間はヒートポンプの「高さ」全体または少なくともヒートポンプの大部分に形成される。同時に、蒸発器空間もヒートポンプのほぼ全高にわたって広がっているため、可能な限り大きい。絡み合った配置により、蒸発器が凝縮器の下に配置される配置とは対照的に、空間は最も効率的な方法で使用される。これにより、ヒートポンプの特に効率的な作動が可能になり、他方で、蒸発器と凝縮器の両方が高さ全体に広がるため、特に空間効率が高く、コンパクトな設計が可能になる。これにより、蒸発器空間と凝縮器空間の「厚さ」が減少する。主たる蒸発は、蒸発器空間が利用可能な容積のほぼ全体を満たす下部領域で行われるため、凝縮器内部で先細になる蒸発器空間の「厚さ」が減少することは問題ないことがわかっている。他方、主な凝縮は上部、すなわち蒸発器空間が既に比較的薄く、凝縮器空間に十分な空間が残っている場所で行われことから、凝縮器空間の厚さの減少は、特に下部領域、すなわち蒸発器空間が利用可能な空間のほぼ全体を満たす場所では重要ではない。したがって、絡み合った配置は、各機能空間が大きな容積を必要とする場所で各機能空間に大きな容積が与えられるという点で理想的である。蒸発器空間には底部に大きな容積があり、凝縮器空間には上部に大きな容積がある。それにもかかわらず、一方の機能空間が大きな容積を占め、他の機能空間が比較的小さい容量であっても、国際公開第2014072239号パンフレットに記載されたように2つの機能要素が上下に配置されるヒートポンプと比較して効率の向上に寄与する。
【0037】
好ましい実施形態では、圧縮機は凝縮器空間の上側に配置され、圧縮された蒸気が一方で圧縮機を通って偏向され、同時に凝縮器空間の端部ギャップに供給される。これにより、下降する凝縮液に対する蒸気のクロスフローの方向が実現されるため、特に高い効率で凝縮が実現される。クロスフローによるこの凝縮は、蒸発器空間が大きい上部領域で特に効果的であり、蒸発器空間を優先し、凝縮器空間が小さい下部領域では、この領域まで浸透した蒸気粒子の凝縮を引き続き可能にするために、特に大きな領域を必要としない。
【0038】
凝縮器底部に接続される蒸発器底部は、凝縮器入口および凝縮器出口、ならびに蒸発器入口および蒸発器出口を収容するように構成されることが好ましく、蒸発器または凝縮器の中にセンサ用の通路を設けてもよい。これにより、ほとんど真空になっている蒸発器を通る凝縮器入口と凝縮器出口にラインが不要になる可能性がある。これにより、蒸発器を通るあらゆる通路は漏れの可能性があるため、ヒートポンプ全体が故障しにくくなる。この目的のために、凝縮器底部には、凝縮器入口/出口が位置する場所にそれぞれの凹部が備えられており、凝縮器入口/出口が凝縮器底部によって画定される蒸発器空間内を走らないようにしている。
【0039】
凝縮器空間は、蒸発器底部にも取り付け可能な凝縮器の壁によって制限される。したがって、蒸発器底部には、凝縮器の壁と凝縮器の底部の両方に対するインタフェースがあり、さらに蒸発器と凝縮器の両方に全ての液体供給口がある。
【0040】
特定の実施例では、蒸発器底部は、蒸発器底部の反対側にある開口部の断面とは異なる断面を有する、個々の供給用の接続ポートを含むように構成される。その場合、個々の接続ポートの形状は、形状または断面形状が接続ポートの長さにわたって変化するように構成されるが、流速に重要な配管の直径は、許容誤差±10%以内で、ほぼ同じままである。これにより、接続ポートを流れる水がキャビテーションを起こさなくなる。接続ポートを成形することで得られる良好なフロー条件により、対応する配管/ラインが可能な限り短くなることが保証され、ひいてはヒートポンプ全体のコンパクトな設計に貢献する。
【0041】
蒸発器底部の特別な実施例では、凝縮器の入口は、ほぼ「眼鏡」の形状で2つの部分または複数の部分の流れに分割される。これにより、凝縮液を凝縮器の上部にある2つ以上のポイントに同時に供給することができる。これにより、上から下への強力で、かつ、同時に、特に均一な凝縮器の流れが得られ、上方からも凝縮器に導入される蒸気の非常に効率的な凝縮が可能になる。
【0042】
冷却水を供給するホースをヒートポンプの圧縮機モータに接続するために、凝縮水用の別のより小さな寸法の給水器を蒸発器の底部に設けてもよく、冷却に使用されるのは蒸発器に供給される冷たい液体ではなく、凝縮器に供給されるより暖かい液体であるが、通常の動作状況ではヒートポンプのモータを冷却するのに十分なほど冷たい。
【0043】
蒸発器底部は、その組合せ機能によって特徴付けられる。一方では、非常に低い圧力下にある蒸発器に凝縮器入口ラインを通す必要がないようにする。他方、それは、外部に対するインタフェースを表し、円形は可能な限り多くの蒸発器領域が残るので、円形が好ましい。全ての入口ラインと出口ラインは、蒸発器の床を通り、そこから蒸発器空間または凝縮器空間に通じる。プラスチック射出成形を使用して蒸発器底部を製造することは、プラスチック射出成形を使用して、入口/出口ポートの有効で比較的複雑な形状を簡単かつ安価に実行できるため、特に有利である。一方、蒸発器底部はアクセスしやすい部品として設計されているため、特に、低い蒸発器圧力に容易に耐えられるように、十分な構造安定性を備えた蒸発器底部を容易に製造することができる。
【0044】
本発明では、同じ参照番号は同一または類似の要素を指し、それらが再び現れる場合、全ての図面で全ての参照番号が繰り返されるわけではない。
【0045】
図2は、本発明によるヒートポンプを示しており、これは、
図1に関して説明した絡み合った構成に関連して実装されるが、代替的に、
図2に概略的に示すように、絡み合った構成以外の構成で実装することもできる。
【0046】
ヒートポンプは、作動液を蒸発させる蒸発器90を含む。さらに、ヒートポンプは、蒸発および圧縮された作動液を凝縮するための凝縮器または液化器114を含む。
【0047】
ヒートポンプは、吸引口92に結合されたラジアルインペラ110、304を有する圧縮機モータをさらに含み、蒸発器90内で蒸発した作動蒸気を吸引口を通して運ぶ。加えて、ヒートポンプは、ラジアルインペラによって運ばれる作動蒸気を凝縮器114に導くように配置された案内空間302を含む。蒸発器90で蒸発した作動蒸気は符号314で図示され、案内空間に運ばれ、凝縮器114に圧縮されて到達する作動蒸気112は符号112で図示される。
【0048】
本発明によれば、ヒートポンプは、案内空間302または吸引口92、または案内空間302および吸引口92を液体で冷却するように構成された冷却装置420を含む。この目的のために、冷却装置420は、吸引口92への液体ライン421および/または案内空間302への液体ライン422を含む。代替的に、単一の液体ラインのみが存在し、案内空間および吸引口に、例えば、冷却液を次々と連続して供給することができる。冷却装置はさらに、好ましくはライン421、422を介して、または1つのラインを介して連続的に案内空間302または吸引口92の外側に液体を導くように構成され、案内空間302または吸引口92の外側は作動蒸気314、112と接触しないのに対して、内側は、それぞれこの作動蒸気314および112と接触する。
【0049】
水が作動液として、特に凝縮水として、すなわちヒートポンプの作動液と同じ作動液として、使用されることが好ましい。したがって、液体の蒸気は、作動媒体蒸気314、112と同じ蒸気であるため、オープンコンセプトが得られる。代替的に、冷却液を使用するクローズドコンセプトを採用してもよく、ここで冷却液は作動液とは別に処理される。次に、冷却装置420は、冷却液の戻りフローラインを有するように構成され、戻された加熱冷却液は、別個に冷却され、案内空間または吸引口に冷却された冷却液を提供する。ただし、単純な設計のためには、オープン案内空間/吸引口冷却が好ましい。
【0050】
図3は、凝縮器空間104を含む凝縮器ハウジング114を有する凝縮器を備えたヒートポンプを示す。さらに、圧縮機モータが取り付けられており、これは
図3に固定子308によって図示される。この圧縮機モータは、
図3には示されていない凝縮器ハウジング114に取り付けられ、固定子および回転子306を含み、回転子306は、蒸発器ゾーンに延びるラジアルインペラ304が取り付けられたモータシャフトを含む。さらに、ヒートポンプは、符号112で図示されたように、ラジアルインペラによって圧縮された蒸気を受け取り、それを凝縮器に導くように構成された案内空間302を含む。
【0051】
モータは、圧縮機モータを囲み、好ましくは、凝縮器内の圧力と少なくとも同じ圧力を維持するように構成されるモータハウジング300をさらに含む。代替的に、モータハウジングは、蒸発器および凝縮器の平均圧力よりも高い圧力を、またはラジアルインペラと案内空間302との間のさらなるギャップ313の圧力よりも高い圧力を、または凝縮器内の圧力より高いか同じ圧力を維持するように構成される。モータハウジングは、モータハウジングからモータシャフトに沿って案内空間に向かって圧力降下が発生するように構成され、これにより、作動蒸気がモータギャップおよびさらなるギャップを通り、モータシャフトを通過して引き込まれ、シャフトを冷却する。
【0052】
必要な圧力を備えたモータハウジング内の領域は、
図3の符号312で示されている。加えて、蒸気供給部310は、モータハウジング300内の蒸気を、固定子308とシャフト306との間に存在するモータギャップ311に提供するように構成される。加えて、モータは、モータギャップ311からラジアルインペラに沿って案内空間302まで延びるさらなるギャップ313を含む。
【0053】
本発明の構成では、凝縮器内に比較的高い圧力p
3が存在する。他方、案内経路または案内空間302には中位の圧力p
2がある。蒸発器に加えて、最低圧力はラジアルインペラの背後にあり、ラジアルインペラはモーターシャフトに、すなわちギャップ313内に固定される。モータハウジング300には、圧力p
3と同じか、圧力p
3より大きい圧力p
4がある。これにより、モータハウジングからさらなるギャップの端部まで圧力勾配が生じる。この圧力勾配により、蒸気は、蒸気供給部を通って案内経路302までモータギャップおよびさらなるギャップに流れ込む。この蒸気流により、作動蒸気がモータハウジングからモータシャフトを通過して凝縮器に取り込まれる。この蒸気流は、モータギャップ311およびモータギャップ311に接続するさらなるギャップ313を通して、モータシャフトの対流シャフト冷却を提供する。したがって、インペラは、蒸気をモータシャフトを通って下方に吸引する。この蒸気は、蒸気供給部を介してモータギャップに引き込まれ、蒸気供給部は、通常、特別に実装されたドリル孔として実装される。
【0054】
この点で、一方の対流シャフト冷却と他方のモータ冷却の2つの態様も別々に使用されることを一般的に指摘する必要がある。例えば、特別な個別の対流シャフト冷却を使用しないモータ冷却は、既に動作信頼性を大幅に向上させている。さらに、追加のモータ冷却を伴わない対流モータシャフト冷却は、ヒートポンプの動作信頼性の向上にもつながる。しかしながら、以下の
図3に示すように、モータハウジングと圧縮機モータの特に有効な構造を用いて対流シャフト冷却とモータ冷却の両方を実施するために、2つの態様を特に有利な方法で組み合わせてもよく、別の好ましい実施形態では、それらは、特別なボールベアリング冷却によって、それぞれまたは相互に、補足されてもよい。
【0055】
図3は、対流シャフト冷却とモータ冷却とを組み合わせて使用する実施形態を示し、
図3に示す実施形態では、蒸発器ゾーンが102で示される。蒸発器ゾーンは、凝縮器底部106により、凝縮器ゾーンから、すなわち、凝縮器領域104から分離されている。符号314で図式化して示される作動蒸気は、図式的におよび断面で示されている回転するラジアルインペラ304によって吸引され、案内経路302に「押し込まれる」。
図3に示す実施形態では、案内経路302は、断面が外側に向かってわずかに拡大するように構成されているため、作動蒸気内にまだ存在する運動エネルギは、壁から流れが放出されることなく、乱流による損失なしに、圧力に変換される。外側への放射状の流れにより、半径が案内空間の上部と下部が互いに近づく速度よりも速く成長する限り、流れの断面は連続的に増加する。これにより、蒸気がさらに圧縮される。蒸気圧縮の最初の「段階」は、ラジアルインペラの回転とラジアルインペラの蒸気の「吸引」を介して、既に起きている。ラジアルインペラが蒸気を案内経路の入力部に送り込むとき、すなわち、ラジアルインペラが上側に向かって「終わる」とき、予圧された蒸気は、いわば蒸気詰まりに遭遇する。これにより、さらに蒸気が圧縮され、圧縮により加熱された蒸気112が最終的に凝縮器に流入する。
【0056】
図3は、蒸気供給開口部320をさらに示しており、これは、
図3に概略的に示されたモータ壁309内に構成される。
図3に示されるように、このモータ壁309は、上部領域に蒸気供給開口部320用の貫通孔を有するが、これらの貫通孔は、蒸気がモータギャップ311に入り、したがってさらなるモータギャップ313にも入る可能性がある任意の位置に構成することができる。このようにして生じた蒸気流310は、対流波冷却の所望の効果をもたらす。
【0057】
図3に示す実施形態はまた、モータを冷却するために凝縮器からモータ壁に液体作動媒体を導くように構成された、モータ冷却を実施する作動媒体入口ライン330を含む。さらに、モータハウジングは、ヒートポンプの動作中に液体作動媒体の最高液面322を維持するように構成される。加えて、モータハウジング300は、最高液面より上方に蒸気空間323を形成するようにも構成される。さらに、モータハウジングは、液体作動媒体を最高液面を超えて凝縮器104に導く手段を備える。例えば、この実施例は、蒸気排出を形成し、上部凝縮器壁の任意の位置に配置され、かつ最高液面322を画定する長さを有する平坦なチャネル形状のオーバーフロー部324によって、
図3に示される実施形態において構成される。凝縮液供給ライン330によって、モータハウジングに、すなわち液体領域328に過剰な作動液が導入された場合、液体作動媒体はオーバーフロー部324を通って凝縮器容積に流れ込む。加えて、オーバーフロー部はまた、モータハウジングと、特にモータハウジングの蒸気空間323と、
図3に示す受動的配置の凝縮器内部空間104との間の圧力補償を提供し、これは、代替的に、対応する長さの管などであってもよい。したがって、モータハウジングの蒸気空間323内の圧力は、ほぼ常に一定であるか、高くても、オーバーフロー部に沿った圧力損失のために、凝縮器内の圧力よりわずかに高いだけである。したがって、モータハウジング内の液体328の沸点は、凝縮器ハウジング内の沸点に類似する。これにより、モータで発生した熱損失によるモータ壁309の加熱は、液体容積328で気泡沸騰が発生するという事実につながる。これについては後述する。
【0058】
また、
図3はまた、符号326や、モータハウジングと凝縮器ハウジングの間の一面、またはモータ壁309と凝縮器ハウジング114の他の面との間の同様の位置における様々なシールも概略的に示す。これらのシールは、液密接続と耐圧接続があることを表している。
【0059】
モータハウジングは、凝縮器とほぼ同じ圧力領域に相当する個別空間を画定する。モータが加熱されて、したがってモータ壁309から放出されるエネルギにより、これは液体容積328内の気泡沸騰をサポートし、これは体積328内の作動液の特に効率的な分布をもたらす。したがって、少量の冷却液で、特に、良好な冷却がもたらされる。また、最も好ましい温度、すなわちヒートポンプ内での最高温度にある作動液で冷却が行われることも保証される。これにより、モータ壁とモータシャフト、およびモータギャップ311とさらなるギャップ313の領域に対して、常に冷たい表面で発生する凝縮の全ての問題が確実に排除される。
図3に示す実施形態では、対流シャフト冷却に使用される作動媒体蒸気310は、モータハウジングの蒸気空間323にある蒸気である。液体328と同様に、この蒸気も理想的な(暖かい)温度を有する。さらに、オーバーフロー部324により、モータ冷却またはモータ壁309によって引き起こされる気泡沸騰を介して、領域323の圧力は凝縮器圧力を超えて上昇できないことが保証される。さらに、モータの冷却による熱エネルギは、蒸気放出によって放散される。したがって、対流シャフト冷却は常に同じように機能する。圧力が大きくなりすぎると、過剰な作動媒体蒸気がモータギャップ311および他のギャップ313を強制通過することになる。
【0060】
蒸気供給ライン供給用の貫通孔320は、通常、規則的または不規則に配置できるアレイに構成される。個々の貫通孔の直径は5mm以下で、最小サイズは約1mmである。
【0061】
図3はさらに、案内空間302および吸引口92への液体ライン421および422をそれぞれ示しており、これらを介して、ラジアルインペラ304が蒸発器102から蒸気を吸引し、それを案内空間302に排出する。符号421、422で示した模式的なラインは、対応する要素の表面上に液体を直接導くように構成される。
図10および
図11を参照して例示されるように、これらのラインは、案内空間302の上側、吸引口および底側の連続的な液体供給が実行されるように単一のラインとして実装されてもよい。
【0062】
特に、ライン422は、固定的に構成されたチャネルとして、またはホース要素などの柔軟なラインとして実装されてもよい。
【0063】
図4aは、
図3の案内空間302または
図10または
図11の案内空間302の上面図を示す。特に、案内空間302は、上からの平面図において、モータ軸を収容するための開口部374を含み、この軸は、この開口部374を通ってモータから案内空間に延び、そこでモータ軸の回転により回転するラジアルインペラ304を支持する。
【0064】
さらに、案内空間は、液体を収集するように構成され、
図11の断面図に示されている凹部領域372を含む。特に、凹部領域を形成するために、
図3に例示するように、案内空間302の上端には、液体が案内空間全体に広がる凹部領域に集まるように、上向きに突出した縁部が設けられており、そして、液体はそこに「停滞」している。、いわば、液体は、モータ空間からの通過開口部377として
図11に例示的に構成されている液体供給ライン422を介して提供されており、このことは流れ領域376を介して継続され、液体はそこを通って凹部領域372に流れ込む。凹部領域は、排水ライン373、またはホース状の排水ライン378に接続された接続エリア373を備え、これも
図11に示されている。
【0065】
図4bは、吸引口92と案内空間302との組合せ要素の下からの図を示す。特に、吸引口の開口部は
図4bの中央に示されている。吸引口の開口部の隣には、冷却液が
図11に示されている排水ライン378を介して供給される冷却チャネル379(
図11に示されている)の底部380がある。凹部領域372内のリザーバの高さが異なるため、冷却チャネル内の冷却液は、吸引口92の外側および吸引口92の下部外側を通過して流れる。下部吸引口の端部381は、
図4bに点線で示されている。これは、このラインが冷却チャネルの下端382で覆われているため、下から見た場合、このラインは見えないことを示すためである。特に、オーバーフロー突起部距離は、
図4のライン381とライン382の間に形成され、蒸気チャネル内に直接突出し、案内空間302の上部外側からその上面が覆われている液体オープン領域を示す。
【0066】
突起部382は、冷却チャネルの端部に配置され、特定の液面が形成されるのに十分なほど突出している。過剰な作動液は、この突出部を下って凝縮器に流れ込むか、凝縮器容積に入る。
【0067】
図4aおよび
図4bは、縮尺通りに描かれておらず、案内空間302の好ましい実施形態を概略的に示すにすぎないことに注意すべきであり、ここで、説明に応じて、本出願では案内空間という用語は、案内空間ハウジング内の案内空間または案内空間自体のハウジング、すなわち、
図4aの上部案内空間ハウジングとしておよび
図4bの下部案内空間ハウジングとして示されているように、蒸気チャネルを取り囲むハウジングを指す。
【0068】
図6は液化装置を示しており、
図6の液化装置は、凝縮ゾーン100の周りに完全に延びる蒸気導入ゾーン102を備える。特に、
図6は、液化装置底部200を備える液化装置の一部を示している。
図6の例示のために半透明に描かれた液化ハウジング部分202は、その性質上半透明である必要はないが、プラスチック、ダイカストアルミニウムなどから形成されてもよく、液化器底部に配置される。底部200との良好なシールを実現するために、横方向ハウジング部202はシールワッシャ201上に載っている。さらに、液化装置は、液体出口ライン203および液体入口ライン204、ならびに液化装置の中央に配置され、
図6の下部から上部に向かって先細になる蒸気供給部205を含む。
図6は、ヒートポンプとこのヒートポンプの液化装置の実際に望ましい設置方向を示しており、ヒートポンプの蒸発器は
図6のこの設置方向で液化装置の下に配置されていることに注意すべきである。凝縮ゾーン100は、外側ハウジング部202と同様に透明に描かれ、通常はバスケットのように構成される、バスケットのような制限物体207によって外側に向かって制限される。
【0069】
さらに、
図6には示されていない充填体を支持するように構成されたグリッド209が配置されている。
図6からわかるように、バスケット207は特定の点まで下方に延びている。バスケット207は、いわゆるポールリング(Pall ring)などの充填体を支持するために蒸気透過可能であるように設けられる。これらの充填体は凝縮ゾーンに導入されるが、バスケット207内のみに導入され、蒸気導入ゾーン102には導入されない。充填体はまた、充填体の高さがバスケット207の下部境界またはわずかに上方に延びるような高さでバスケット207の外側にも導入される。
【0070】
図6の液化装置は、特に作動液供給部204によって構成される作動液供給装置を含み、作動液供給部204は
図6に示すように蒸気供給部の周りを上方に向けて取り囲むように配置され、作動液供給装置は作動液供給部204、液体輸送領域210と好ましくは多孔板で構成される液体分配要素212とで構成される。したがって、特に作動液供給器は、作動液を凝縮ゾーンに提供するように構成される。
【0071】
さらに、
図6に示されるように、好ましくは漏斗形状の先細の供給領域205および上部蒸気案内領域213上に構成される蒸気供給器が提供される。ラジアル圧縮機のインペラは、蒸気ガイド領域213に挿入されることが好ましく、ラジアル圧縮により、蒸気が供給部205を介して下側から上側に吸引され、その後、ラジアルインペラによるラジアル圧縮により、外側に向かって90度、いわば、要素213に関して、
図6の底部から上部への流れから、中心から外側への流れに偏向される。
【0072】
図6に示されていないのは、既に外側に偏向された蒸気を再び90度偏向するさらなる偏向器であり、いわば偏向器は、凝縮ゾーンの周りに横方向に延びる蒸気導入ゾーンの開始点であるギャップ215に蒸気を上から導く。したがって、蒸気供給器は、好ましくは環状に構成され、凝縮される蒸気を供給するための環状ギャップを備え、作動液供給部は環状ギャップ内に構成される。
【0073】
説明のために、
図7を参照する。
図7は、
図6の液化装置の「カバー領域」を下から見た図である。特に、液体分配要素として機能する多孔板212が下から概略的に示されている。蒸気入口ギャップ215は概略的に描かれており、
図7は、凝縮される蒸気が直接上方または下方から凝縮ゾーンに供給されず、凝縮ゾーンの周りを横方向にのみ供給されるように、蒸気入口ギャップが環状にのみ構成されることを示す。したがって、液体のみが分配プレート212の孔を通って流れ、蒸気は流れない。蒸気は、多孔板212を通過した液体により、側面の凝縮ゾーンに「吸引される」。液体分配プレートは、金属、プラスチック、または同様の材料で構成されてもよく、異なる孔パターンで実装されてもよい。さらに、
図6に示されるように、要素210から流出する液体に横方向境界を設けることが好ましく、この横方向の境界は217で示される。これにより、カーブした供給部204に起因して既に渦を伴って要素210から出て、液体分配器の内側から外側に向かって分配される液体は、液体が液体分配プレートの孔からまだ滴下しておらず、事前に蒸気を含んで凝縮している場合、縁部を越えて蒸気導入ゾーンに飛散しないことが保証される。
【0074】
図5は、蒸発器底部108と凝縮器底部106の両方を含む完全なヒートポンプを断面図で示している。
図5または
図1に示すように、凝縮器底部106は、気化される作動液の入口から圧縮機またはモータ110に結合された吸引開口部115までテーパ状の断面を有し、モータの好ましく使用されるラジアルインペラは、蒸発器空間102で生成された蒸気を吸い出す。
【0075】
図5は、ヒートポンプ全体の断面を示す。特に、液滴分離器404が凝縮器の底部内に配置されている。この液滴分離器は、個々のブレード405を含む。液滴分離器がその位置に留まるために、ブレードは、
図5に示される対応する溝406に導入される。凝縮器底部において、これらの溝は、蒸発器底部の内側の蒸発器底部に向けられた領域に配置される。さらに、凝縮器底部は、例えば、凝縮水を導くために設けられる、したがって、対応する部分に差し込まれるホースを、また凝縮水供給部の供給点を連結するホースを保持するためのロッドまたはタングとして構成できる様々な案内機能をさらに備える。実施例に応じて、この凝縮水供給部402は、
図6および
図7の参照番号102、207から250に示されるように構成されてもよい。さらに、凝縮器は、2つ以上の供給点から成る凝縮液分配装置を備えるのが好ましい。したがって、第1の供給点は、凝縮器入口ラインの第1の部分に接続される。第2の供給点は、凝縮器入口ラインの第2の部分に接続される。凝縮液分配ユニットにさらに多くの供給点が存在する場合、凝縮器入口ラインはさらなる部分に分割されるであろう。
【0076】
図5のヒートポンプの上部領域は、
図6および
図7の多孔板を介して凝縮水供給が行われるように、
図6の上部領域と同じ方法で構成することができ、凝縮水408が得られ、下向きに滴り、作動蒸気112が好ましくは横方向に導入されるため、クロスフロー凝縮が得られ、特に高い効率が可能になる。
図6にも示されているように、凝縮ゾーンには(純粋にオプションの)充填体を設けてもよく、この場合、符号409でも示される縁部207には、作動蒸気112が上からだけではなく下および横からも凝縮ゾーンに入ることができるように、充填体または同様の物体がないままである。これは、
図5の仮想境界線410によって示される。しかしながら、
図5に示される実施形態では、凝縮器の全領域は、蒸発器底部の上に配置された別個の凝縮器底部200で構成される。
【0077】
図10は、
図5に例示的に示されるように、ヒートポンプ、特にヒートポンプの「上部」領域を示すヒートポンプ部分の好ましい実施形態を示す。特に、
図5のモータM110は、
図10の断面図において、モータ壁309の表面積を増やすためにその外側の液体領域328に冷却フィンを備えたモータ壁309によって囲まれた領域に対応する。さらに、
図10のモータハウジング300の領域は、
図5の対応する領域300に対応する。
図10は、ラジアルインペラ304をより詳細な断面でさらに示している。ラジアルインペラ304は、その断面がフォーク状の固定領域でモータシャフト306に取り付けられている。モータシャフト306は、固定子308の反対側に回転子307を備える。回転子307は、
図10に概略的に示される永久磁石を含む。モータギャップ311は、回転子と固定子との間に延び、シャフト306の固定領域に沿って延びるさらなるギャップ313で終わり、固定領域は、その断面がフォーク状であり、符号346でも示されている案内空間302まで続く。
【0078】
さらに、
図10は、通常動作中にはシャフトを支持していない非常用ベアリングを示す。シャフトは343で示されるベアリング部によって支持される。非常用ベアリング344は、損傷の場合にシャフト、したがってラジアルインペラを支持するためだけに存在し、損傷した場合に急速に回転するラジアルインペラがヒートポンプに大きな損傷を引き起こさないようにする。
図10は、ボルト、ナットなどの様々な固定要素、および様々なOリングの形の様々なシールをさらに示す。さらに、
図10は追加の対流要素342を示しており、これは
図10を参照して後で説明する。
【0079】
図10はまた、通常、液体作動媒体で満たされているモータハウジングの最大容積より上方の蒸気空間内におけるスプラッシュガード360を示す。このスプラッシュガードは、気泡沸騰中、蒸気空間に噴出される液滴を遮断するように構成される。好ましくは、蒸気経路310は、スプラッシュガード360から利益を得るように、すなわち、流れにより作動媒体蒸気のみがモータギャップおよびさらなるギャップに吸引されるが、モータハウジング内での沸騰に起因する液滴は吸引されないように構成される。
【0080】
対流シャフト冷却を備えたヒートポンプは、モータギャップおよびさらなるギャップを通る蒸気流が、固定子に対してモータシャフトを支持するように構成されたベアリング部を通過しないように構成された蒸気供給部を有するのが好ましい。この場合、2つのボールベアリングを含むベアリング部343は、Oリング351によってモータギャップから密封される。これにより、経路310で示されるように、作動蒸気は蒸気供給部からモータ壁309内の領域にのみ入り、そこから底部に向かって自由空間に流れ込み、モータギャップ311を通って回転子307に沿ってさらなるギャップ313内に到達することができる。この利点は、蒸気がボールベアリングの周りを流れないため、ベアリングの潤滑油が密封されたボールベアリング内に残り、モータギャップを通って引き出されないことである。さらに、これにより、ボールベアリングは、湿らないが、設置中は常に規定された状態に維持されることも保証される。
【0081】
別の実施形態では、モータハウジングは、ヒートポンプの動作位置で凝縮器ハウジング114の上部に取り付けられるので、固定子がラジアルインペラの上方に配置され、蒸気流310がモータギャップおよびさらなるギャップを通って上部から底部まで延びる。
【0082】
さらに、ヒートポンプは、固定子に対してモータシャフトを支持するように構成されたベアリング部343を含む。加えて、ベアリング部は、回転子307および固定子308がベアリング部とラジアルインペラ304との間に配置されるように配置される。これには、ベアリング部343がモータハウジング内の蒸気領域内に配置され、最大の熱損失が発生する回転子/固定子が最高液面322の下に配置できるという利点がある(
図3)。これにより、各領域が、それぞれの目的、すなわち、一方ではモータ冷却、他方では対流シャフト冷却、そして場合によってはボールベアリング冷却を実現するのに最適な媒体内にあることによって、理想的な配置が提供され、これについては、
図10に関連して説明する。
【0083】
モータハウジングは、液体作動媒体を凝縮器から圧縮機モータの壁に導いてモータを冷却するために、作動媒体入口330をさらに含む。
図10は、この作動媒体入口362の特別な実施例を示しており、これは
図3の入口330に相当する。この作動媒体入口362は、ボールベアリング冷却を表す閉鎖容積364内に延びる。
図3に示されるように、排水管は、作動媒体を上方に作動媒体328の容積まで導かないが、下側にある作動媒体をモータ壁、すなわち要素309へ導く管366を含み、ボールベアリング冷却部から出ている。特に、管366は、モータ壁309の周りに配置されるが、ある量の液体作動媒体がモータハウジング300内の対流要素342内および対流要素342の外側に存在するように一定の距離で配置される、対流要素367内に配置されるように構成される。
【0084】
特に、新作動媒体入口366が終わる下部領域でモータ壁309と接触する作動媒体が原因となる気泡沸騰により、作動液328の容積内に対流ゾーン367が存在する。特に、沸騰している泡は、気泡沸騰を通して底部から上部に引き寄せられる。これにより、連続的な「攪拌」が行われ、高温の作動液が底部から上部に運ばれる。次に、気泡沸騰によるエネルギは蒸気の気泡に移動し、気泡は液体容積328の上方の蒸気容積323に達する。そこで生じる圧力は、オーバーフロー部324、オーバーフロー継続部、およびドレン部342を介して凝縮器に直ちにもたらされる。これは、モータから凝縮器への恒久的な熱伝達をもたらすが、これは、主に蒸気の伝達によるものであり、加熱液体の伝達によるものではない。
【0085】
このことは、実際にはモータからの廃熱である熱が、蒸気放出によって、正確に行くべき場所、すなわち、加熱される凝縮水に伝達されることが好ましいことを意味する。このようにして、モータの熱全体がシステム内に保持され、これは、ヒートポンプの加熱用途に特に有利である。しかし、凝縮器は、一般に、例えば、熱交換器または加熱される領域での直接熱放散の形で、効率的な熱放散に結合されていることから、モータから凝縮器への熱伝達は、ヒートポンプの冷却用途にも適している。すなわち、モータの廃熱装置を別途用意する必要はないが、ヒートポンプから既に存在する、凝縮器から外部への熱放散は、モータの冷却によってある程度「使用」される。
【0086】
モータハウジングはさらに、液体作動媒体の最大液面を維持し、ヒートポンプの作動中に液体作動媒体の液面の上方に蒸気空間323を作るように構成される。蒸気供給部はさらに、蒸気空間と連通するように構成されているため、蒸気空間内の蒸気は、対流シャフト冷却のために、
図4のモータギャップとさらなるギャップとを通って導かれる。
【0087】
図10に示すヒートポンプでは、ドレンは、モータハウジング内でのオーバーフロー部として配置され、液体作動媒体を液面より上で凝縮器に導き、蒸気空間と凝縮器との間に蒸気経路をさらに提供する。ドレン342は、両方、すなわち、オーバーフロー部および蒸気経路であることが好ましい。ただし、これらの機能は、異なる要素を使用して、一方ではオーバーフロー部を、もう一方では蒸気空間の代替設計によって実装してもよい。
【0088】
図10に示される実施形態では、ヒートポンプは、特別なボールベアリング冷却を備えており、これは、特に液体作動媒体を含む密閉容積364がベアリング部343の周りに構成されるように構成される。入口362はこの容積に入り、この容積は、ボールベアリング冷却からモータ冷却用の作動媒体容積へのドレン366を有する。これにより、別個のボールベアリング冷却部が作られるが、これはボールベアリング部の内側ではなく外側の周りに延びているため、このボールベアリング冷却部は効率的な冷却を提供するがベアリング部の潤滑剤充填には影響しない。
【0089】
図10にさらに示されるように、作動媒体入口362は、特にライン部分366を含み、このライン部分は、モータハウジング300の底部、またはモータハウジング内の液体作動媒体328の床部、または少なくとも最高液面の下の領域までほぼ延びており、特に液体作動媒体をボールベアリング冷却部から導き、液体作動媒体をモータ壁に提供する。
【0090】
図10は、作動媒体内に配置され、圧縮機モータ309の壁から離間した対流要素をさらに示し、それは、上部領域内よりも下部領域内の液体作動媒体に対してより透過可能である。特に、
図10に示す実施形態では、上部領域は透過可能ではなく、下部領域は比較的強く透過可能であり、この実施形態では、対流要素は液体容積に向かって逆向きに配置される「クラウン」形状に構成される。これにより、対流ゾーン367を
図10に示すように構成することができる。しかしながら、何らかの形で、透過性が底部よりも上部の方が低い代替の対流要素342を使用してもよい。例えば、形状または部材に関して、上部領域にある孔よりも大きな通路断面積の孔を備えた対流要素を使用してもよい。
図10に示すように、対流367を生成するための代替要素を使用してもよい。
【0091】
ベアリングに問題が発生した場合にモータを固定するために、回転子370とラジアルインペラ304との間にモータシャフト306を固定するように構成された非常用ベアリング344が提供される。特に、さらなるギャップ313は、非常用ベアリングのベアリングギャップを通って、または好ましくは、意図的に非常用ベアリングに導入される貫通孔を通って延びる。一実施例では、非常用ベアリングに多数の貫通孔が設けられているため、非常用ベアリング自体は、対流蒸気冷却の目的で蒸気流10の可能な限り低い流動抵抗を示す。
【0092】
図12は、好ましい実施形態に使用できるモータシャフト306の概略断面図を示す。モータシャフト306は、
図12に示すように、ハッチングされたコアを含み、コアは、ベアリング部343を表すコア上部で、好ましくは2つのボールベアリング398および399によって支持される。シャフト306のさらに下で、回転子は永久磁石307で構成される。これらの永久磁石は、モータシャフト306上に配置され、好ましくはカーボン製の安定化バンド397によって上部および底部で支持される。さらに、永久磁石は、安定化スリーブ396によって保持されており、安定化スリーブ396は、カーボンスリーブとしても構成されることが好ましい。この固定/安定化スリーブにより、永久磁石は、シャフト306上に安全に留まり、かつシャフトの高速度によって生ずる非常に強い遠心力によっても、シャフトから外れないという事実をもたらす。
【0093】
ラジアルインペラ304とモータシャフトが一体に構成されておらず、2つの要素を使用している場合、シャフトは、アルミニウム製でその断面がフォーク状であり、ラジアルインペラ304用のホルダに相当する固定部395を有することが好ましい。ラジアルインペラ304がモータシャフト306と一体で構成される場合、インペラ保持部395は存在せず、ラジアルインペラ304はモータシャフトに直接接続される。
図10に見られるように、やはり金属製、特にアルミニウム製が好ましい非常用ベアリング344は、ベアリングホルダ395の領域に配置される。
【0094】
さらに、
図3にも示されている
図10のモータハウジング300は、ヒートポンプの動作中に、凝縮器ハウジング内の圧力より最大で20%高い圧力を得るように構成される。さらに、モータハウジング300は、モータの動作中にモータ壁309が加熱されると、液体作動媒体328およびモータハウジング300内で気泡沸騰が生じるほど十分に低い圧力を得るように構成してもよい。
【0095】
ベアリング部343は、さらに、モータ壁309が密閉されていなくても液体作動媒体がベアリング部に到達しないように、最高液面より上に配置されるのが好ましい。一方、対流気泡沸騰によって理想的な方法で輸送される可能性のある最大熱損失は、ベアリング領域だけでなく、回転子と固定子の間でも発生するため、少なくとも回転子と固定子の一部を含むモータ領域は最高液面を下回る。
【0096】
図10は、モータ冷却中に使用される作動液が、案内空間302の上側の入口324を介してどのように供給され得るかを示す。このために、通路377が設けられており、これは凝縮器容積の上部プレート内に構成され、実施例に応じて、片側に単一のチャネル、両側に2つのチャネル、または扇形のチャネルさえ含んでもよく、矢印367で示されるように、可能な限り多くのオーバーフローする作動液をオーバーフローさせることができ、作動液は、入口362を介してボールベアリング冷却部に供給され、ボールベアリング冷却部366からモータ壁に導かれる。次いで、液体媒体は、モータ冷却部から流れ出てその領域に入り、特定の液面に達した場合、入口324を介して排出される。代替的に、出口ライン324は、モータ冷却部の容積内、すなわち対流要素342が同様に配置される領域内に収容することもできる。しかし、対流要素の内側と外側の領域全体を液体で満たし、オーバーフロー部324を介してオーバーフローした液体を取り除き、通路377に通し、そこから案内空間に導く、または案内空間の上部に導いた後、液体が流れ落ちる。結果として、
図10は案内空間の上側のみが冷却される実施例を示しており、凹部領域362を提供するための案内空間の外側領域の特別な形状は必要とされない。
【0097】
図9は、モータ冷却用のヒートポンプの概略図をさらに示す。特に、作動媒体出口324は、
図3の代替として構成される。出口は受動的出口である必要はないが、例えば、ポンプまたはその他の要素によって制御され、液面322の液面検出に応じて、モータハウジング300から作動媒体を吸引する能動的出口であってもよい。代替的に、管形状の出口324の代わりに、再閉止可能な開口部をモータハウジング300の底部に配置して、再閉止可能な開口部を迅速に開放することによって、制御可能な量の作動液をモータハウジングから凝縮器へ流すことができる。
【0098】
図9は、さらに、加熱対象領域、または凝縮器入口ライン204が凝縮器に入り、凝縮器から凝縮器出口ライン203が出ている熱交換器391を示す。さらに、凝縮器入口ライン204および凝縮器出口ライン203から成る回路を駆動するために、ポンプ392が設けられている。概略的に示されるように、ポンプ392は、入口ライン362への分岐を備えるのが好ましい。したがって、別個のポンプは必要ではないが、凝縮器出口ラインで利用可能なポンプはまた、凝縮器排出量の極一部を、入口ライン362へ、したがって液体容積328へ送る。
【0099】
加えて、
図9は、
図3に基づいて説明したように、凝縮器114、モータ壁309を有する圧縮機モータ、およびモータハウジング300の一般的な図を示す。
【0100】
図9は、代替実施例としてオーバーフロー部324をさらに示し、液体は能動的に吸い出され、再びライン421、422を介して案内空間302または吸引口92に直接供給されてもよい。さらに、既に
図9に示されているように、凝縮器出口ライン203から出る加熱された液体は、冷却液として使用されることが好ましい。
【0101】
図11は、例示の異なる実施形態の機能を統合する好ましい実施形態を示す。水が好ましい作動液または冷却液は、
図11示されるように、入口330または362を介して供給され、最初、閉鎖容積364として示されるボールベアリング冷却用に供給される。閉鎖容積364に入る冷却液は、閉鎖容積によって取り囲まれたボールベアリング部を通過して流れ、このボールベアリング部から出る。冷却液は、接続ラインまたは管366を介して、作動液の液面322に維持されるモータ冷却空間に流れ込む。液面322は、壁321を介して維持される。特に、作動液は、
図10にも示されるように、低い側のライン366を介して壁321内の領域に供給されるのが好ましい。これにより、良好な対流ゾーンが得られ、気泡沸騰は、特に、加熱されたモータ壁で発生する。符号324で示されるように、作動液は壁でさらにオーバーフローする。符号324は、チャネル形状のオーバーフローを表しているが、任意の自由なオーバーフローであってもよい。次いで、液体は、壁321の外側を流れ落ち、次いで、通路領域または通路開口部377を介して、フロー領域376上に流れる。次に、それは、このフロー領域376から流れ落ちて、最終的に、凹部領域内の案内空間の上に達する。
【0102】
したがって、
図11は、ボールベアリング冷却、モータ冷却、案内空間の上側の冷却、吸引口の冷却、案内空間の下側の冷却、さらに、要素381の端部と要素382の間のオーバーフロー突起部距離を通る蒸気流のオープン冷却が得られる実施形態を示しており、ここで、このオープン領域は、角度を付けて延びるのが好ましい。
【0103】
したがって、冷却液の進行方向は、供給ライン422、324、377、376を介して案内空間302の上部外側372上に延びる。そこから、液体は出口ライン378を介して案内空間302の外側から吸引口92の外側に流れる。そこから、液体は、冷却チャネル379を介して吸引口の外側に沿って案内空間の下部外側に流れ、案内空間の下部外側に沿ってオーバーフロー部382に流れ、そこから凝縮器に流れる。
【0104】
本発明によれば、このことにより、圧縮後、そうでなければ非冷却案内空間で発生する強い水蒸気過熱の回避が実現する。圧力上昇の一部は案内空間で発生するが、冷却によって過熱も低減し、圧縮プロセスの効率とプロセス品質が向上する。過熱水蒸気は高い粘度を有するため、飽和蒸気より高い流動抵抗を有する。したがって、過熱水蒸気は、最初に過熱を抑えて凝縮しやすくする必要がある。案内空間302および吸引口92は、金属などの良好な熱伝導性を有する材料で形成されるのが好ましい。その場合、蒸気流からの熱は、特に良好に低減され得るが、より低い熱伝導性材料でも良好な結果が達成され得る。蒸気流の過熱を減らすことにより、流動抵抗が減少し、圧縮蒸気の凝縮性が改善される。
【0105】
案内空間の温度を凝縮器内圧力での飽和蒸気温度にできるだけ近く保持するために、案内空間は金属製で、水などの液体で囲まれており、液化装置で圧力補正する。蒸気流からのエネルギ/熱が結合すると、周囲の水が沸騰し始め、エネルギを再び放出する。これにより、案内空間が蒸気圧の飽和蒸気温度に非常に近くなる。案内空間での液化は、材料の残りの熱抵抗と、結果として生じる低過熱によって防止される。
【0106】
案内空間用の冷却水は、ベアリング部を通過し、オープンモータ冷却も事前に行われる。オープンモータ冷却により、水は部分蒸発により飽和水温度まで再び冷却され、オープン案内空間冷却に使用できる。最初は、案内空間の上部が水で満たされている。片側案内空間冷却では、
図10に示す実施形態の場合のように、水は単純にオーバーフローする。
図11に示される実施形態では、上部案内空間冷却部からの水は、下部案内空間/吸引口冷却部に導かれる。案内空間の端部には、オーバーフローのあるオープン領域がある。蒸発により、水は飽和蒸気温度まで継続的に冷却される。残りの水はオーバーフローし、集水器に流れ込む。
図2に示されるように、凝縮器114と蒸発器90との間のバランスは、スロットル91を介して実行され得る。ただし、オープンシステムではスロットルは必要ない。
【0107】
上記の利点に加えて、熱部品の応力の低減も別の利点である。蒸発冷却により、損失にもかかわらず、圧縮機全体を飽和蒸気温度近くに保つことができる。蒸発により、モータ損失、ベアリング損失、圧縮損失が減少する。