(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985525
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】車体の高さを調整するための装置
(51)【国際特許分類】
B60G 17/02 20060101AFI20211213BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20211213BHJP
F16H 25/24 20060101ALI20211213BHJP
B60G 11/16 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
B60G17/02
F16H25/22 A
F16H25/24 B
B60G11/16
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-544487(P2020-544487)
(86)(22)【出願日】2019年1月28日
(65)【公表番号】特表2021-514328(P2021-514328A)
(43)【公表日】2021年6月10日
(86)【国際出願番号】DE2019100082
(87)【国際公開番号】WO2019219109
(87)【国際公開日】20191121
【審査請求日】2020年8月21日
(31)【優先権主張番号】102018111739.6
(32)【優先日】2018年5月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス ホルツベアガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルフリート ブレトン
【審査官】
佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−301436(JP,A)
【文献】
特開2008−222218(JP,A)
【文献】
特開2010−179728(JP,A)
【文献】
特表2016−530154(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01970228(EP,A1)
【文献】
独国特許発明第102005001745(DE,B3)
【文献】
独国特許発明第102008005294(DE,B3)
【文献】
独国特許出願公開第102010021536(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102011003485(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102016217623(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 17/02
F16H 25/22
F16H 25/24
B60G 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される軸方向に移動不可能なねじ付きスピンドル(1)と、前記ねじ付きスピンドル(1)に沿って軸方向に移動可能なねじ付きナット(3)と、ばね要素(18)を軸方向に支持するための前記ねじ付きナット(3)に配置されたスプリングプレート(17)とを備え、前記ねじ付きスピンドル(1)がアクチュエータ(5)によって駆動可能であり、前記アクチュエータ(5)の少なくとも一部が前記ねじ付きスピンドル(1)内に配置されている、車体の高さを調整するための装置であって、
前記ねじ付きスピンドル(1)に沿って軸方向に移動可能な追加ナット(9)が、エンドストップに作用するエンドストップ力を受け取り且つ前記ねじ付きスピンドル(1)を介して前記エンドストップ力をハウジング(8)内に導入するように、前記ねじ付きナット(3)に軸方向に隣接して配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記追加ナット(9)が、その内側面において、前記ねじ付きスピンドル(1)の雄ねじ(12)と相補的な雌ねじ(13)を備え、前記追加ナット(9)が、回転可能に固定された状態で、その外側面においてキャップ要素(14)に接続され、それにより前記エンドストップ力が前記追加ナット(9)内に導かれることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ねじ付きスピンドル(1)の前記雄ねじ(12)および前記追加ナット(9)の前記雌ねじ(13)が、互いに対して遊びを有するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
軸受要素(15)が前記ねじ付きスピンドル(1)と前記ハウジング(8)との間に軸方向に配置され、前記ねじ付きスピンドル(1)を回転可能に支持することを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
弾性要素(16)が前記ねじ付きナット(3)と前記追加ナット(9)との間に軸方向に配置されていることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記キャップ要素(14)の少なくとも一部および前記スプリングプレート(17)の少なくとも一部が、封止要素(19)によって囲まれていることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ねじ付きナット(3)および前記追加ナット(9)が回転しないように、前記キャップ要素(14)に少なくとも1つの溝(11)が形成されていることを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記キャップ要素(14)が、ばね止めまたは追加のばねを受け入れるように設計されていることを特徴とする、請求項2から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ねじ付きスピンドル(1)の内側面に歯(4)が形成されており、これを介して前記アクチュエータ(5)が前記ねじ付きスピンドル(1)を駆動することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の高さを調整するための装置に関する。車体の高さを調整するための一般的なタイプの装置は、特に、車両の地上高を増加させるため、または平坦な道路上の車両の支柱内でそれらを下降させるために提供される。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1970228号明細書は、車両のホイールサスペンションのサスペンションスプリングの高さ調節可能なスプリングプレートと車体との間に配置された車両用の高さ調節装置を開示している。駆動モーターは、ギアステージを介して、スプリングプレートの高さ調整のために回転可能に取り付けられた調整スリーブと相互作用する。駆動モーターと調整スリーブとの間に接続されたギアステージは、調整スリーブ内に配置され、調整スリーブは、ボールねじ駆動装置の一部であり、そのボールナットは、調整スリーブの外側且つサスペンションスプリングの内側において半径方向に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ボールねじ駆動装置の耐用年数が改善されるように車体の高さを調整するための装置をさらに開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する車体の高さを調整するための装置によって達成される。本発明の好ましいまたは有利な実施形態は、従属請求項、以下の説明および/または添付の図面から生じる。
【0005】
車体の高さを調整するための本発明にかかる装置は、回転駆動される軸方向に移動不可能なねじ付きスピンドルと、ねじ付きスピンドルに沿って軸方向に移動可能なねじ付きナットと、ばね要素を軸方向に支持するためにねじ付きナット上に配置されたスプリングプレートとを備え、ねじ付きスピンドルは、アクチュエータによって駆動可能であり、アクチュエータは、ねじ付きスピンドル内に少なくとも部分的に配置され、軸方向に移動可能な追加ナットは、パルスを吸収し且つねじ付きスピンドルを介してパルスをハウジング内に導入するように、ねじ付きナットに軸方向に隣接するように配置されている。
【0006】
この装置は、ねじ付きスピンドルに対してねじ付きナットを軸方向にシフトすることによって持ち上げ動作を実行し、それによって車軸にかかっている車両の重量を担持および上昇または下降させるように意図される。これは、車両の高さを変化させ、車両は、所望の目標高さにされることができる。軸方向に移動不可能な、回転駆動可能なねじ付きスピンドルの回転駆動は、ねじ付きスピンドルに対するねじ付きナットおよび追加ナットの長手方向のシフトをもたらす。その結果、ねじ付きナットおよび追加のナットは、長手方向にシフトする。追加ナットは、調整中に無負荷で担持されることが好ましい。ねじ付きナットのものと同様に行われる追加ナットのシフトは、装置のエンドストップの同時調整をもたらす。
【0007】
エンドストップは、コイルばねの圧縮行程の構造上の制限として理解されるべきである。エンドストップは、特に、シャーシと高さを調整するための装置との間に配置された追加のコンポーネントによって実現することができる。調整不可能なエンドストップは、実際の車高設定に応じて、異なる圧縮行程、したがってパルスが装置に導入される異なる時点をもたらす。換言すれば、シフト不可能なエンドストップは、車両の高さに応じて車両の運転挙動に影響を与えるコイルばねのばね特性の変化をもたらす。したがって、車両を持ち上げると、エンドストップまで圧縮行程の延長をもたらし、ばね要素は、ストロークに応じて圧縮率が高くなる。これは、装置のシステム全体の負荷の大幅な増加をもたらし、ばねの早期故障をもたらす。シフト不可能なエンドストップの場合に車両を下降させると、ひいてはエンドストップへの圧縮行程を減少させ、ストロークに応じてより短い圧縮行程の後にパルスが装置のシステムに作用する。これは、小さな圧縮行程に起因して車両の運転挙動に悪影響を与え、それにより運転の快適性を損なう。
【0008】
その結果、エンドストップは、追加ナットをねじ付きナットと同時に調整することによっても調整される。換言すれば、エンドストップの調整は、ストロークの関数と同じ程度にばね要素の圧縮行程を調整または再調整する。ばね要素のばね特性は、車両の実際の高さ位置ごとに再調整され、一定に保たれる。
【0009】
例えば、車両が障害物や穴を通過すると、エンドストップに作用するパルスが生成され、サスペンションスプリングまたはばね要素が圧縮され、パルスが追加ナットに導入されるように車台がエンドストップに接触する。換言すれば、パルスは、装置に作用する追加の力、すなわち、エンドストップ力と呼ばれるものであり、エンドストップを介して追加ナットに導入され、コイルばねの通常のばね力に加えて、装置によっても吸収され、車両のハウジングまたは車体に導入される。
【0010】
換言すれば、パルスまたはエンドストップ力は、追加ナットを介してねじ付きスピンドルに導入され、ばね力は、スプリングプレートおよびねじ付きナットを介してねじ付きスピンドルに導入される。したがって、高さを調整するための装置には2つの負荷経路がある。車両の運転中に定期的に発生するばね力の第1の負荷経路と、発生する追加のエンドストップ力の第2の負荷経路である。
【0011】
軸受要素は、好ましくは、ねじ付きスピンドルとハウジングとの間に軸方向に配置され、ねじ付きスピンドルを回転可能に支持する。軸受要素は、特に、半径方向および軸方向の力をハウジング内に導入するように設計されている。軸受要素は、好ましくは、軸方向球面ころ軸受として設計され、ばね力およびエンドストップ力の双方が吸収されることができるように設計されている。軸受要素が軸方向力および半径方向力の双方を吸収することができることが重要である。
【0012】
シャーシばねから発生するばね力は、ねじ付きナットにしっかりと接続されているスプリングプレートを介してボールねじ駆動装置のボールナットに伝達される。そこから、ばね力は、ねじ付きナットとねじ付きスピンドルとの間に空間的に配置された転動要素を介してねじ付きスピンドル内に導かれ、最後に軸受要素を介してハウジング内に導かれる。ねじ付きナットおよび転動要素は、シャーシばねからの最大負荷のみを吸収し、追加ナットに作用するパルスがねじ付きスピンドル内に導入される。その結果、高負荷であっても、ボールねじ駆動装置の寿命に悪影響を与えることはない。ボールねじ駆動装置は、コンパクトで安価とすることができ、ボールねじ駆動装置は、追加コンポーネント、すなわち、追加ナットと、追加ナットに動作可能に接続されている他のコンポーネントとを介して、よりストレスの多いパルスを吸収するが、発生頻度は低い。
【0013】
好ましくは、追加ナットは、その内側面に、ねじ付きスピンドルの雄ねじと相補的な雌ねじを有し、追加ナットは、その外側面において回転可能に固定される方法で、パルスを追加ナットに伝達するキャップ要素に接続される。キャップ要素を介してパルスが追加ナットに作用する場合、または追加ナットに作用する力が停止する場合、追加ナットは、ねじ付きナットの方向において軸方向にシフトし、その雌ねじは、ねじ付きスピンドルの雄ねじに接触する。
【0014】
ボールねじ駆動装置と比較して、追加ナットとねじ付きスピンドルとの間で利用可能な大きな力伝達面に起因して、パルスからハウジング内に大きな負荷が導入されることができ、したがって、ボールねじ駆動装置の転動要素は保護されるかまたは追加的に負荷がかけられない。換言すれば、追加ナットは、負荷方向においてねじ付きスピンドルと係合し、その結果、エンドストップ力がねじ付きスピンドルおよび軸受要素を介してハウジングに支持される。追加ナットは、自動ロック式であり、システムは、それぞれの位置に固定される。
【0015】
キャップ要素は、好ましくは、ギアユニットおよび/または駆動モーターがボールねじ駆動装置とキャップ要素との間に空間的に収容されることができ、且つねじ付きスピンドルもまた保護される方法で導かれるように、ドームの形状に設計されている。キャップ要素は、好ましくは、ばね止めまたは追加のばねを受けるように設計されている。換言すれば、キャップ要素は、パルスを受信および送信することができるようにエンドストップとして設計されている。
【0016】
ねじ付きスピンドルの雄ねじおよび追加ナットの雌ねじは、相互に遊びを有するように設計されていることが好ましい。換言すれば、したがって、ねじ付きスピンドルと追加ナットとの間に軸方向および半径方向の遊びが形成され、これは、特に調整プロセスの開始時に、追加ナットとねじ付きスピンドルとの間の詰まりを防止する。
【0017】
ねじ付きスピンドルの雄ねじと追加ナットの雌ねじとの間の軸方向の遊びは、ねじ付きナットとそれに隣接して軸方向に配置された追加ナットとの間の軸方向の遊びよりも小さくすることが好ましい。換言すれば、追加ナットが軸方向にシフトされると、追加ナットがねじ付きナットに接触することができる前に、ねじ付きスピンドルの雄ねじおよび追加ナットの雌ねじが負荷係合する。これは、2つの負荷経路が発生する全ての荷重に対して常に分離され、負荷は、ねじ付きナットを介してコイルばねから導入され、転動要素は、ねじ付きスピンドル内に導入され、パルスからのエンドストップ力がねじ付きスピンドル内に追加ナットを介してキャップ要素に作用することを確実にする。その結果、装置に作用する全ての負荷がねじ付きスピンドルにまとめられ、ハウジングにおいて支持される。
【0018】
ねじ付きスピンドルが駆動されることができるアクチュエータは、好ましくは、ギアユニットおよび駆動モーターを備え、駆動モーターは、例えば、電気モーターとして設計されている。ロック機構は、ギアユニット内に形成されることが好ましく、これは、ギアユニットにおける歯車の1つの回転をロックして、ねじ付きスピンドルの望ましくない回転およびねじ付きスピンドルに対するねじ付きナットの関連する軸方向シフトを防止するために設けられる。
【0019】
さらにまた、歯がねじ付きスピンドルの内周面に形成され、それを介してアクチュエータがねじ付きスピンドルを駆動するのが好ましい。歯は、ギアユニットの1つ以上のギアと噛合する。歯は、ねじれ歯として設計されることが好ましいが、直線歯として設計されることもできる。
【0020】
本発明は、弾性要素がねじ付きナットと追加ナットとの間に軸方向に配置されるという技術的教示を含む。これは、当接するコンポーネントによって引き起こされるガタガタ音や打撃ノイズを回避するのに役立つ。弾性要素は、好ましくは、Oリングとして設計され、位置を固定するために、ねじ付きおよび/または追加ナットにおける対応する溝に受け入れられる。
【0021】
好ましい実施形態によれば、キャップ要素およびスプリングプレートは、少なくとも部分的に封止要素によって囲まれている。これは、ほこりや湿気などの外部の影響から装置の内部を保護する。封止要素は、ねじ付きナットと追加ナットとの間の軸方向の移動が封止効果を損なうことなく可能であるように、カラーとして設計されることが好ましい。あるいは、封止要素がキャップ要素とスプリングプレートとの間に軸方向に配置され、ねじ付きナットと追加ナットとの間の軸方向シフトが生じた場合であっても、十分な封止効果がここでも実現されることが考えられる。
【0022】
少なくとも1つの溝がキャップ要素に形成されて、ねじ付きナットおよび追加ナットが回転しないようにすることが好ましい。特に、それぞれの溝は、その上にまたは軸方向構成において配置された本質的に形状適合したノーズと相互作用する。
【0023】
4つの車輪を備えた車両において、車体の高さを調整するための本発明にかかる装置は、好ましくは、車両の各ばね支柱に設けられる。あるいは、4つの車輪を備えた車両において、車体の高さ調整のための本発明にかかる装置は、1つの車軸の2つのサスペンション支柱に少なくとも設けられる。さらにまた、アクチュエータは、好ましくは、ホイールキャリアと下部スプリングプレートとの間、または車体と上部スプリングプレートとの間に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明を改善するさらなる方策を、単一の図に基づいて本発明の好ましい例示的な実施形態の説明とともに以下に詳細に示す。
【
図1】車体の高さを調整するための本発明にかかる装置の概略断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
単一の図によれば、車体の高さを調整するための装置は、回転駆動される軸方向に移動不可能なねじ付きスピンドル1と、ねじ付きスピンドル1に沿って軸方向に移動可能なねじ付きナット3とを備えるボールねじ駆動装置2を備える。ねじ付きナット3は、ねじ付きスピンドル1の半径方向外側に配置されている。スプリングプレート17がねじ付きナット3上に配置され、これに対してばね要素18が軸方向に支持される。スプリングプレート17は、ばね要素18を受け入れるための半径方向脚と、ねじ付きナット3の半径方向外側に配置され且つこのねじ付きナット3に回転可能に固定される方法で接続された軸方向脚とを有する。
【0026】
ねじ付きスピンドル1は、管要素またはスリーブ要素として設計されており、その外周面に雄ねじ12または外側軌道を有する。ねじ付きナット3は、その内周面に雌ねじまたは内側軌道22を有し、ねじ付きスピンドル1の外側軌道とねじ付きナット3の内側軌道との間を多数の転動要素10が転動する。ばね要素18を介して装置に作用するばね力は、最初にスプリングプレート17およびねじ付きナット3内に導入され、転動要素10を介してねじ付きスピンドル1に伝えられる。ばね力は、ねじ付きスピンドル1とハウジング8との間に軸方向に配置された軸受要素15を介してハウジング8内に支持される。軸受要素15は、ハウジングに対してねじ付きスピンドル1を回転可能に支持し、力を軸方向に伝達するための軸方向軸受として設計されている。
【0027】
ねじ付きスピンドル1は、電気モーターとして設計された駆動モーター7およびギアユニット6を備えるアクチュエータ5を部分的に受け入れる。ギアユニット6は、ねじ付きスピンドル1と相互作用し、ねじ付きスピンドル1は、アクチュエータ5によって駆動可能であり、ねじ付きナット3をねじ付きスピンドル1に対して軸方向にシフトさせる。ギアユニット6は、ねじ付きスピンドル1の回転運動を阻止するロック機構(ここではさらに説明および図示されていない)を有する。ねじ付きスピンドル1を駆動するために、ギアユニット6の歯車21と噛合する歯4がその内周面に形成される。
【0028】
軸方向に移動可能な追加ナット9もまた、ねじ付きスピンドル1に沿ってねじ付きナット3とともにねじ付きナット3に軸方向に隣接して配置される。ねじ付きスピンドル1がアクチュエータ5によって駆動されると、追加ナット9は、無負荷でねじ付きナット3とともにねじ付きスピンドル1に沿ってシフトされる。
【0029】
追加ナット9は、パルスを受け取り、それをねじ付きスピンドル1を介してハウジング8内に導入するために設けられる。追加ナット9は、その外周面においてキャップ要素14に回転不能に接続され、キャップ要素14は、ばね止めまたは追加のばね(ここでは図示せず)を収容するように設計されている。パルスは、このばね止めまたは追加のばねを介して、キャップ要素14または追加ナット9内に導入される。この場合、キャップ要素14は、ドーム形状を有する。
【0030】
追加ナット9は、その内周面において、ねじ付きスピンドル1の雄ねじ12と相補的な雌ねじ13を有し、雄ねじ12および雌ねじ13は、互いに対して遊びを有するように設計されている。雄ねじ12と雌ねじ13との間の遊びは、追加ナット9とねじ付きスピンドル1との間の詰まりを防止する。
【0031】
追加ナット9に作用するパルスは、例えば、障害物を乗り越えることによって生成され、この衝撃力は、スプリングプレート17またはねじ付きナット3に作用するばね力よりも大きい。パルスが追加ナット9に作用すると、それは、ねじ付きスピンドル1の雄ねじ12と追加ナット9の雌ねじ13との間の軸方向の遊びの軸方向寸法だけシフトし、追加ナット9は、ねじ付きスピンドル1と接触する。
【0032】
ねじ付きナット3および追加ナット9は、互いに軸方向に間隔を置いて配置され、軸方向距離は、追加ナット9とねじ付きスピンドル1との間の前述の軸方向遊びよりも大きい。さらにまた、弾性要素16は、ねじ付きナット3と追加ナット9との間に軸方向に配置され、当接するコンポーネントによるガタガタ音または衝撃ノイズを回避する。この場合、弾性要素は、Oリングとして設計されており、Oリングの半径方向位置を固定するために、ねじ付きまたは追加ナットの端面の対応する反対側の溝に部分的に受け入れられている。
【0033】
追加ナット9がパルスを拾い、それをねじ付きスピンドル1に直接導くことから、第2の負荷経路が生成され、ボールねじ駆動装置2は、ばね要素18から作用する負荷のみを吸収する。したがって、ボールねじ駆動装置2、特にねじ付きナット3および転動要素10が保護され、それにより、ボールねじ駆動装置2の耐用年数が増加する。
【0034】
キャップ要素14およびスプリングプレート17は、汚れおよび/または湿気から装置の内部を保護するために、少なくとも部分的に封止要素19によって囲まれている。さらに、キャップ要素14には溝11が形成され、ねじ付きナット3および追加ナット9が回転するのを防止する。
【符号の説明】
【0035】
1 ねじ付きスピンドル
2 ボールねじ駆動装置
3 ねじ付きナット
4 歯システム
5 アクチュエータ
6 ギアユニット
7 駆動モーター
8 ハウジング
9 追加ナット
10 転動要素
11 溝
12 雄ねじ
13 内周面
14 キャップ要素
15 軸受要素
16 弾性要素
17 スプリングプレート
18 ばね要素
19 封止要素
20 内周面
21 歯車
22 内側軌道