(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キーシリンダにより、前記ロック部材の、前記ロック部に対するロック状態が解除され、かつ、前記把持部を前記ベース部材から離反する方向に、前記操作部材を回動した状態で、前記押圧面は、前記ベース部材の外側から、前記壁部の開口を通して視認可能とされている請求項2記載の開閉体のロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1〜19を参照して、本発明に係る開閉体のロック装置の、一実施形態について説明する。
【0013】
図1や
図16に示すように、この実施形態における開閉体のロック装置10(以下、「ロック装置10」という)は、例えば、車両のインストルメントパネル等の固定体1の開口部1aに開閉可能に取付けられる、グローブボックス等の開閉体2を、開閉ロックするために用いられるものである。
【0014】
この実施形態のロック装置10は、開閉体2に形成された取付孔6と、固定体1の開口部1aに設けられた一対のロック部1b,1bと、取付孔6の表側から挿入されて取付けられるベース部材20と、開閉体2に対してスライド可能に配置され、操作部材40を介して動作してロック部1b,1bに係脱する一対のロック部材50,50と、これらの一対のロック部材50,50のスライド動作を連動させるための回転部材60と、各ロック部材50をロック部1bに係合する方向に付勢する第1付勢手段70と、基端部41が回動支持部29を介してベース部材20に回動可能に取付けられ、把持部42をベース部材20に対して近接離反することで、ロック部材50をスライド操作する操作部材40とを有している。
【0015】
なお、この実施形態においては、取付孔6は開閉体2に形成され、ロック部材50は開閉体2にスライド可能に配置されているが、取付孔を固定体に形成すると共に、ロック部材を固定体側にスライド可能に配置してもよい。
【0016】
更に
図2に示すように、この実施形態における前記第1付勢手段70は、トーションバネとなっており、巻回部71と、この巻回部71から延出した一対のアーム部72,72とからなる。この第1付勢手段70は、回転部材60に装着され回転付勢することで、回転部材60に連結されるロック部材50をロック部1bに係合する方向に付勢するが(
図18参照)、第1付勢手段としては、例えば、ロック部材の一方をロック部側に向けて引っ張る、引きばね等であってよく、ロック部材をロック部に係合する方向に付勢可能であればよい。
【0017】
また、
図8に示すように、操作部材40には、キーシリンダ80が配置されており、ロック部材50,50の、ロック部1b,1bに対するロック状態を維持又は解除可能となっている。
図7を参照すると、この実施形態におけるキーシリンダ80は、操作部材40の後述するシリンダ収容部44(
図6参照)に収容されると共に、同シリンダ収容部44の軸方向に沿って延びる本体部81を有している。この本体部81は、略円筒状をなしたカバー82と、その内周に回転可能に配置される回転体83とから構成されている。
【0018】
また、前記回転体83の正面側(表面側)からは、図示しないキーを差し込むためのキー孔83aが形成されており(
図4参照)、同回転体83の背面側(裏面側)からは、キー突起84が一体的に突設されている。そのため、キー孔83aにキーを差し込んで、回転体83を回転させることで、それに追随してキー突起84が回動するようになっている。
【0019】
更に、本体部81を構成する回転体83の背面側外周からは、図示しない付勢手段によって、本体部81の外径方向に向けて突出付勢されるキープレート85が設けられている。
図11に示すように、このキープレート85は外径方向に突出した状態で、シリンダ収容部44の裏側開口部44b(
図6参照)に係合して、本体部81を抜け止め保持するようになっている。また、キープレート85は、その外周面が円弧状に形成されており、同外周面が、
図13や
図15に示すような解除具100によって押圧されて、キープレート85をシリンダ収容部44の裏側開口部44bに係合しない方向に引き込み可能とする、押圧面85aをなしている。
【0020】
なお、この実施形態では、上述したように、例えば、インストルメントパネルの開口部に箱状のグローブボックスが回動可能に取付けられた構造に適用されているが(この場合、インストルメントパネルが「固定体」、グローブボックスが「開閉体」をなす)、インストルメントパネルの開口部にリッドが開閉可能に取付けられた構造(この場合、インストルメントパネルが「固定体」、リッドが「開閉体」をなす)に適用したりしてもよく、固定体の開口部を開閉する各種の開閉体に広く用いることができる。
【0021】
図1や
図16に示すように、この実施形態では、固定体1の開口部1aの幅方向の両側内面に、孔状をなしたロック部1b,1bが設けられている。また、固定体1の開口部1aの両側部には、開閉体回動溝1c,1cが形成されている(
図1参照)。なお、ロック部は、孔状でなくとも、凹状や、突起状、枠状等であってもよく、また、固定体の開口部ではなく、開閉体に設けてもよく、特に限定はされない。
【0022】
図1に示すように、この実施形態における開閉体2は、車室内方側に配置されるアウター部材3と、その裏側に配置されるインナー部材4とから構成されている。なお、開閉体としては、アウター部材3とインナー部材4との2部材構成ではなく、一枚の板材からなる構成であってもよい。また、アウター部材3の幅方向一側であって、その上方には、横長の長方形状の凹状をなした収容凹部5が形成されている。
図9〜11に示すように、この収容凹部5に操作部材40が収容されるようになっている。
【0023】
また、収容凹部5の長手方向の一側部に、開閉体2の幅方向に沿って長く延びる、長孔状をなした取付孔6が形成されている(
図1参照)。なお、取付孔は長孔状をなしていなくともよく、例えば、略正方形状をなした孔や、略楕円形状をなした孔、略小判状をなした孔等であってもよい。
【0024】
また、上記取付孔6の表側から、ベース部材20が挿入されて取付けられるようになっているが、ここでいう「表側」又は「表面側」とは、車両等の固定体の開口部から、開閉体が開く方向に位置する面を意味する。なお、固定体が車両に設けられている場合には、車両の車内空間側を、「表側」又は「表面側」としてもよい。また、「裏側」又は「裏面側」とは、前記「表側」又は「表面側」とは反対側の面、すなわち、開閉体が閉じる方向に位置する面を意味する。なお、「表側」、「表面側」、「裏側」、「裏面側」とは、取付孔のみならず、本実施形態で説明する他の部材(操作部材40等)においても、同様の意味である。
【0025】
一方、インナー部材4は、
図1に示すように、全体として上方が開口した箱状をなしている。また、インナー部材4の、アウター部材3側に対向配置される表面側(正面側)であって、その上方部分には、前記一対のロック部材50,50をスライド可能に配置する、横長の凹状をなしたロック配置凹部4aが設けられている。
図16や
図17に示すように、このロック配置凹部4aの長手方向両側には、ロック挿出孔4b,4bがそれぞれ形成されている。また、
図1に示すように、インナー部材4の奥側の両側部外面からは、ストッパ4c,4cが突設されており、これらのストッパ4c,4cが、固定体1のガイド孔1c,1cにそれぞれ挿入されて、固定体1の開口部1aに対する開閉体2の開閉角度を規制するようになっている。
【0026】
また、
図16及び
図17に示すように、前記ロック配置凹部4aの底面の表面側からは、回転部材60を回転支持するための、回転部材支持部7が突設されている。
図2や
図3を併せて参照すると、この回転部材支持部7は、正面側が開口したドッグハウスのような箱型状をなしており、その天井面に円形孔状の支持孔7aが形成されている。この回転部材支持部7に隣接した位置には、バネ係止壁8が立設している。このバネ係止壁8には、係止溝8aが形成されており、この係止溝8aに、第1付勢手段70の一方のアーム部72が係止される。
【0027】
また、
図1や
図2に示すように、この実施形態における一対のロック部材50,50は、両者同一形状となっており、基端部51側がクランク状に屈曲すると共に、先端側に向けて直線状に延びており、先端部52がロック部1bに係脱するようになっている(
図16〜19参照)。なお、
図2に示すように、ロック部材50の基端部51には、凹状をなした嵌合凹部51aが設けられており、この嵌合凹部51aに、回転部材60の後述するロック連結部64が嵌合する部分となっている。また、各ロック部材50の先端側には、四角枠状をなした枠状部53が設けられている。
【0028】
更に
図2に示すように、回転部材60は、略ひし形状をなした本体61と、この本体61の裏側中央から突設した略筒状の回転支持部62と、本体61の表側中央から突設した略筒状のバネ装着部63と、本体61の裏側であって、長手方向両端から突設した球状のロック連結部64,64と、本体61の表側であって、長手方向両端から突設したバネ係止片65,65とからなる。また、回転支持部62の外周には、スリットを介して撓み可能な係合片62a,62aが形成されている。
【0029】
各ロック連結部64を、各ロック部材50の基端部51に設けられた嵌合凹部51aに嵌合させて連結することで、回転部材60の長手方向両端部に一対のロック部材50,50の基端部51が回動可能に連結されるようになっている。また、回転支持部62を、上述した回転部材支持部7の支持孔7aに挿入することで、係合片62a,62aが支持孔7aの裏側周縁に係止して、回転支持部62に対して回転部材60が回転可能に支持されると共に、抜け止め保持される(
図3参照)。そして、回転部材60が所定方向に回転することで、同回転部材60を介して、一対のロック部材50,50が同期してスライドするようになっている。
【0030】
また、バネ装着部63を、第1付勢手段70の巻回部71内に挿入することで、第1付勢手段70が回転部材60に装着される。そして、第1付勢手段70の他方のアーム部72を、一方のバネ係止片65に係止させることで、
図18の矢印E1方向に示すように、回転部材60が回転付勢され、それによって一対のロック部材50,50の先端部52,52が、一対のロック部1b,1bに係合する方向(
図18の矢印E2方向)に付勢されるようになっている。なお、一対のロック部材50,50は、上述したように、開閉体2を構成するインナー部材4の、ロック配置凹部4a内にスライド可能に配置されるが、その先端部52,52は、ロック配置凹部4aに設けたロック挿出孔4b,4bから挿出する。
【0031】
取付孔6の表側から挿入されて取付けられるベース部材20は、この実施形態の場合、
図2や
図3に示すように、一方向に長い長尺の板状をなした底壁21と、この底壁21の長辺に沿った両側辺の周縁から立設した一対の側壁22,22と、底壁21の長手方向の一端側に配置され、一対の側壁22,22どうしを連結する壁部23と、底壁21の長手方向の他端側に配置され、一対の側壁22,22どうしを連結する壁部24とからなり、底壁21とは反対の上方側が開口し、内部にシリンダ配置空間25が画成された、略長尺箱状をなしている。前記シリンダ配置空間25には、操作部材40の後述するシリンダ収容部44(
図6参照)が配置されるようになっている。
【0032】
なお、底壁21の長手方向の一端は、前述した取付孔6の長手方向一端と同じ向きに配置され、底壁21の長手方向の他端は、取付孔6の長手方向他端と同じ向きに配置されるようになっている。
【0033】
また、前記壁部23は、操作部材40の先端側に位置しており(すなわち、後述する把持部42側に位置する)、本発明における「壁部」をなしている。なお、前記壁部24は、操作部材40の基端部41側に位置している。また、前記壁部23には、前記シリンダ配置空間25に連通する開口28が形成されている。この実施形態における壁部23は、
図14に示すように、前記底壁21から立設した略コ字枠状をなしており、その内側部分に略長孔状の開口28が設けられている。
【0034】
前記開口28は、
図13に示すように、操作部材40の後述する凸部47が係合して、操作部材40の回動角度を規制すると共に、シリンダ収容部44の裏側開口部44bとキープレート85との係合状態を解除するための、解除具100をベース部材外側からシリンダ配置空間25内に挿入するためのものである。なお、開口としては、例えば、略楕円孔状や略小判孔状等であってもよく、上記目的(操作部材の回動規制及び解除具挿入)を達成できれば、どのような形状でもよい。
【0035】
また、前記底壁21の長手方向他端側には、操作部材40の後述する作動レバー45を、スライド移動可能となるように受け入れる、スライド溝21aが前記シリンダ配置空間25に連通して形成されている。
図5や
図12に示すように、底壁21には、上記スライド溝21aの幅方向一側部から、細溝状をなしたキー溝31が、底壁21の長手方向一端側に向けて延設されており、このキー溝31の長手方向他端側には、突片状をなしたキー当接部32が設けられている。なお、キー溝31は、スライド溝21aに連通している。
【0036】
また、壁部23の底壁21側であって、その幅方向(長手方向に直交する方向)両側からは、取付孔6の長手方向一端の裏側周縁に係合する、一対のフック26,26が突設されている。更に、ベース部材20の壁部24の外周の所定高さ位置からは、取付孔6の他端側に対向配置される、薄肉フランジ状の壁部27がベース部材外方に向けて突設されている。また、一対の側壁22,22の上方であって壁部24寄りの外面には、操作部材40の基端部41を回動支持する、略円弧突起状をなした回動支持部29が突設されている。更に、壁部24の幅方向両側には、取付孔6の裏側周縁に係合する、弾性変形可能な一対の弾性係合爪30,30が設けられている。
【0037】
また、
図5(b)に示すように、壁部24側の幅方向中央からは、バネ支持部33が設けられている。このバネ支持部33の表面(操作部材40との対向面)からは、第2付勢手段75の他端を支持する、バネ支持突部33aが突設されている。
【0038】
そして、
図10に示すように、第2付勢手段75の他端が、ベース部材20側のバネ支持突部33aで支持されると共に、第2付勢手段75の一端が、操作部材40側の後述するバネ支持突部46で支持されて、両部材の間で圧縮状態で保持されることとなり、操作部材40の基端部41側が、ベース部材20から離反する方向に回動付勢される。そのため、
図13に示すように、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動した後、手を把持部42から離すと、把持部42をベース部材20に近接する方向に付勢して、収容凹部5から突出しないように保持するようになっている。
【0039】
また、
図5に示すように、ベース部材20の側壁22,22の外面であって、回動支持部29,29よりも壁部23側には、コ字状のスリット35aを介して、撓み可能な弾性係合片35,35が形成されている。更に側壁22,22の壁部23寄りの外面であって、前記弾性係合片35,35に隣接する位置には、リブ36,36が突設している。そして、取付孔6の長手方向に沿った両側部の裏側周縁に、一対の弾性係合片35,35が係合すると共に、同取付孔6の両側部の表側周縁に、一対のリブ36,36が係合するようになっている(
図11参照)。
【0040】
更に
図5(b)に示すように、ベース部材20の一端側の角部には、ダンパー装着孔38が形成されている。
図4に示すように、このダンパー装着孔38には、ゴム製のダンパー39が装着されて、操作部材40の回動時における打音の低減が図られるようになっている。
【0041】
上記回動支持部29,29を介して、ベース部材20に回動可能に取付けられる操作部材40は、この実施形態の場合、
図6や
図8に示すように、全体として一方向に長い長尺状をなしている。この操作部材40は、基端部41がベース部材20の回動支持部29に回動支持され、長手方向の先端部には、操作部材40を回動操作する際に、操作者が把持する部分となる把持部42が設けられている。また、基端部41の両側(長手方向に直交する幅方向両側)には、略円弧形の溝状をなした溝部43,43が形成されており、これらの溝部43,43に、ベース部材20の円弧突起状をなした回動支持部29,29がそれぞれ挿入されることで、操作部材40の基端部41が、回動支持部29を介して回動可能に支持されるようになっている。
【0042】
そして、
図13に示すように、操作部材40は、ベース部材20の回動支持部29に回動支持された基端部41を支点として、先端部側の把持部42を、ベース部材20から離反したり近接したりする方向に回動させることができるようになっている。
【0043】
また、
図6に示すように、操作部材40の基端部41寄りの位置であって、その裏面側からは、円筒状をなしたシリンダ収容部44が突設されている。
図4に示すように、このシリンダ収容部44の、操作部材40の表面側には、円形状をなした表側開口部44aが開口して設けられており、この表側開口部44aからキーシリンダ80を挿入可能となっている。また、シリンダ収容部44の突出方向先端側にも、円形状をなした裏側開口部44bが開口して設けられており、キープレート85が係脱可能となっている。
【0044】
上記シリンダ収容部44にキーシリンダ80を収容して抜け止め固定する際には、キープレート85を図示しない付勢手段の付勢力に抗して押し込んだ状態としてから、キー突起84側から表側開口部44aを通して、シリンダ収容部44内にキーシリンダ80を挿入していく。そして、シリンダ収容部44内に本体部81が収容され、シリンダ収容部44の裏側開口部44bからキープレート85が抜け出ると、キープレート85が外径方向に突出付勢されて、
図11に示すように、シリンダ収容部44の裏側開口部44bに、キープレート85が係合するので、シリンダ収容部44にキーシリンダ80を抜け止め状態で収容可能となる。なお、シリンダ収容部44へのキーシリンダ80の収容状態では、キー突起84は、ベース部材20のキー溝31及びキー当接部32の間を移動可能に配置されるようになっている(
図12参照)。
【0045】
更に
図6に示すように、操作部材40の基端部41側の裏面であって、前記シリンダ収容部44に隣接した位置からは、操作部材40の把持部42がベース部材20から離反する方向に回動した際に、ロック部材50の先端部52を固定体1のロック部1bに係合しない方向にスライドさせる、作動レバー45が突設されている。この作動レバー45は、横断面が略コ字枠状をなして、所定長さで延出している。なお、この作動レバー45は、ベース部材20のシリンダ配置空間25内に挿入されると共に、底壁21に形成したスライド溝21aに挿通されて、同スライド溝21a内を、ベース部材20の長手方向に沿ってスライド可能となっている。また、作動レバー45の延出方向先端部は、スライド溝21aから挿出されて、
図18に示すように、一方のロック部材50の枠状部53内に入り込むようになっている。
【0046】
そして、
図13や
図17に示すように、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させることによって、その作動レバー45が、一方のロック部材50の枠状部53内面を押圧して、
図19に示すように、第1付勢手段70に起因する付勢力に抗して、一方のロック部材50の先端部52をロック部1bから係合しない方向に引き込むと共に、それと連動(同期)して、回転部材60を介して、他方のロック部材50の先端部52を、ロック部1bから係合しない方向に引き込むことができ、それによって、固定体1の開口部1aを閉じた開閉体2のロック状態を解除可能となっている。
【0047】
なお、この実施形態では、上述したように操作部材40を回動操作すると、一方のロック部材50をスライドさせ、回転部材60を介して他方のロック部材50をスライドさせるようになっているが、操作部材40の回動操作によって回転部材60を回転させて、それによってロック部材50をスライドさせるように構成してもよい。
【0048】
また、このロック装置10においては、上記のように、操作部材40の把持部42を、ベース部材20から離反したり近接したりする方向に回動させることができるようになっているが、この操作部材40の回動動作は、キーシリンダ80の動作によって規制されるようになっている。
【0049】
すなわち、
図12(a)に示すように、キー突起84が、ベース部材20のキー溝31に位置した状態では、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動させることができる(操作部材40の回動自由状態)。その結果、作動レバー45を介して、一方のロック部材50の先端部52をロック部1bに係合しない方向にスライドさせることができるので、ロック部材50によるロック部1bに対するロック状態を解除可能となる。
【0050】
一方、回転体83を回転させて、
図12(b)に示すように、キー突起84が、ベース部材20のキー当接部32に近接した状態では、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動させようとしても、キー突起84がキー当接部32に当接するので、操作部材40の回動が規制される(操作部材40の回動規制状態)。その結果、いずれのロック部材50もスライド操作不能となり、ロック部材50によるロック部1bに対するロック状態が維持される。
【0051】
更に
図6に示すように、操作部材40の基端部41の裏面側の最基端からは、コイルスプリングからなる第2付勢手段75の一端を支持する、バネ支持突部46が突設されている。
【0052】
また、
図6に示すように、操作部材40のシリンダ収容部44の、作動レバー45とは反対側の開口周縁部には、凸部47が突設されている。
図13に示すように、この凸部47は、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させたときに、ベース部材20の壁部23に設けた開口28の内側28a(開口28の開口方向に直交する方向であって、ベース部材内方に向く側部を意味する)に係合して、その回動角度を規制するようになっている。
【0053】
上記のように、キーシリンダ80を収容保持するシリンダ収容部44が、ベース部材20のシリンダ配置空間25に配置されているが、更にこのロック装置10においては、
図10に示すように、シリンダ収容部44に収容されたキーシリンダ80のキープレート85の押圧面85a(キープレート85の付勢力に抗して押圧することで、シリンダ収容部44の裏側開口部44bに係合しない方向に引き込み可能とする部分)は、ベース部材20のシリンダ配置空間25内に露出し、かつ、壁部23に形成された開口28の縁部よりも、操作部材40の基端部41側に配置されている(押圧面85aは、開口28の縁部よりも、シリンダ配置空間25内に引き込んだ位置に配置されている、とも言える)。
【0054】
すなわち、
図10に示すように、開口28は、壁部23の板厚方向外側(操作部材40の把持部42側)に位置する外側縁部28bと、壁部23の板厚方向内側(操作部材40の基端部41側)に位置する内側縁部28cとを有するが、キープレート85の押圧面85aは、このいすれの縁部28b,28cよりも、操作部材40の基端部41側に配置されている。このように、開口28の縁部よりキープレート85の押圧面85aが、操作部材40の基端部41側に配置されているので、開口28の外側から解除具100をシリンダ配置空間25内に向けて挿入する際に、開口28の内側28a、又は、外側縁部28b、内側縁部28cのいずれかによってガイドすることが可能となっている。また、この実施形態においては、
図10に示すように、キープレート85の外周の押圧面85aは、ベース部材20の開口28に向けて配置されている。
【0055】
更に、前記キープレート85は、キーシリンダ80により、ロック部材50の、ロック部1bに対するロック状態が解除され、かつ、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動した状態で、前記開口28を通じて、解除具100で押し込み可能な位置となっている。具体的には、
図12(a)に示すように、キー突起84がベース部材20のキー溝31に位置しており、キーシリンダ80による、ロック部材50のロック部1bに対するロック状態が解除され、かつ、そのキーロック解除時に、
図13に示すように、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動した状態において、前記キープレート85は、壁部23に形成した開口28を通じて、解除具100で押し込み可能な位置となるように配置されている。
【0056】
また、
図14に示すように、キーシリンダ80により、ロック部材50のロック部1bに対するロック状態が解除され、かつ、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動した状態で、キープレート85の押圧面85aは、ベース部材20の外側から、開口28を通して視認可能とされている。
【0057】
更に、キーシリンダ80により、ロック部材50のロック部1bに対するロック状態が解除され、かつ、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動した状態において、ベース部材20の外側であって、壁部23の面方向に直交する方向(
図10に示すように、壁部23の面方向Mに対して直交する方向V)から、
図14に示すように、前記開口28を見たときに、開口28の内側28aに、キープレート85の押圧面85aの一部が位置するように構成されている。
【0058】
また、この実施形態では、上述したように、操作部材40に設けられ、把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させたときに、開口28の内側aに係合して、操作部材40の回動角度を規制する凸部47が設けられているが、この凸部47と、開口28と、キープレート85の押圧面85aとは、次のような関係となっている。すなわち、キーシリンダ80により、ロック部材50のロック部1bに対するロック状態が解除され、かつ、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動した状態において、
図14に示すように、ベース部材20の外側から開口28を見たときに、凸部47の一側面47aと、開口28の内側28aとの間に、キープレート85が位置するように構成されている。
【0059】
次に、上記構成からなるロック装置10の作用効果について説明する。
【0060】
このロック装置10においては、固定体1の開口部1aから開閉体2が開いた状態から開閉体2を閉じて、一対のロック部材50,50の先端部52,52が、固定体1のロック部1b,1bに係合することで、開閉体2が閉じた状態にロックされる(
図16及び
図18参照)。
【0061】
この状態から、
図13や
図17に示すように、操作部材40の把持部42をベース部材20から離反する方向に回動させると、
図19に示すように、一方のロック部材50の先端部52を、回転部材60の回転付勢力に抗して、ロック部1bから係合しない方向に引き込むと共に、それと連動して回転部材60を介して、他方のロック部材50の先端部52を、ロック部1bから係合しない方向に引き込むので、開閉体2のロック状態を解除して、固定体1の開口部1aから開閉体2を開くことができる。
【0062】
そして、キーシリンダ80を操作部材40のシリンダ収容部44から取外したい場合には、まず、キー突起84が、ベース部材20のキー溝31に位置して(
図12(a)参照)、キーシリンダ80により、ロック部材50の、ロック部1bに対するロック状態が解除された状態から、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動させる。
【0063】
その後、
図13に示すように、ベース部材20の壁部23の開口28に、ベース部材20の外側から、キープレート85に狙いを定めて、例えば、棒状に延びる解除具100を挿入していく。ここでは、
図15に示すように、操作部材40の凸部47の一側面47aと、開口28の内側28aとの間に、解除具100を挿入していく。すると、開口28の内側28aや凸部47の一側面47aにより、解除具100がガイドされつつ挿入されていく。そして、解除具100によって、キープレート85の押圧面85aを押圧して、その付勢力に抗してキープレート85を押し込んで、シリンダ収容部44の裏側開口部44bに係合しない方向に引き込ませることで、キープレート85とシリンダ収容部44の裏側開口部44bとの係合が解除される。この状態を維持しながら、キーシリンダ80をシリンダ収容部44の表側開口部44aから引き抜くことで、シリンダ収容部44からキーシリンダ80を取外すことができる。
【0064】
このように、このロック装置10においては、上述したように、ベース部材20に設けた開口28を通じて、キープレート85とシリンダ収容部44の裏側開口部44bとの係合を解除することにより、シリンダ収容部44からキーシリンダ80を取外すことができるので、特許文献1のロック装置のように、操作部材及びアッパー本体部材の2部品からなるアッパー部材を、ロア部材から取外した後でなければ、操作部材からキーシリンダを取外せない構造と比べて、アッパー本体部材のような部品がない分だけ、部品点数を削減することができる。
【0065】
また、
図10に示すように、このロック装置10では、キープレート85の押圧面85aは、ベース部材20の壁部23に形成された開口28の縁部(外側縁部28b及び内側縁部28c)よりも、操作部材40の基端部41側に配置されている。そのため、壁部23の開口28に、ベース部材外側から解除具100を挿入する際に、開口28の縁部28b,28cや内側28aで解除具100をガイドしつつ挿入することができ、解除具100を挿入しやすくすることができ、キープレート85とシリンダ収容部44の裏側開口部44bとの係合解除を容易にして、キーシリンダ80の取外し作業性を高めることができる。或いは、解除具100を開口28に挿入した後に、キープレート85を押し込む際に、開口28の縁部28b,28cや内側28aに解除具100を当てて、こじったり、梃子の原理を利用したりして、押し込み力を作用させることができ、この場合も、キープレート85とシリンダ収容部44の裏側開口部44bとの係合解除を容易にして、キーシリンダ80の取外し作業性を高めることができる。
【0066】
また、この実施形態では、キープレート85の押圧面85aは、ベース部材20の開口28に向けて配置されている(
図10参照)。この態様によれば、キーシリンダ80を操作部材40のシリンダ収容部44から取外すべく、開口28に解除具100を挿入する際に、キープレート85の押圧面85aを押圧しやすくして、キープレート85を容易に押し込むことができ、キーシリンダ80の取外し作業性をより高めることができる。
【0067】
更に、この実施形態においては、
図14に示すように、キーシリンダ80により、ロック部材50のロック部1bに対するロック状態が解除され、かつ、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動した状態で、キープレート85の押圧面85aは、ベース部材20の外側から、開口28を通して視認可能とされている。この態様によれば、キーシリンダ80を操作部材40のシリンダ収容部44から取外すべく、開口28に解除具100を挿入する際に、キープレート85を視認しやすくすることができるので、キープレート85を押し込みやすくすることができ、キーシリンダ80の取外し作業性をより一層高めることができる。
【0068】
また、この実施形態においては、キーシリンダ80により、ロック部材50のロック部1bに対するロック状態が解除され、かつ、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動した状態において、ベース部材20の外側であって、壁部23の面方向に直交する方向から、
図14に示すように、前記開口28を見たときに、開口28の内側28aに、キープレート85の押圧面85aの一部が位置するように構成されている。この態様によれば、キーシリンダ80を操作部材40のシリンダ収容部44から取外すべく、開口28に解除具100を挿入する際に、
図15に示すように、開口28の内側28aを、解除具100の挿入時のガイドや、キープレート85の押圧面85aに押し込み力を作用させる際の当接部として、より利用しやすくすることができる。
【0069】
更に、この実施形態では、キーシリンダ80により、ロック部材50のロック部1bに対するロック状態が解除され、かつ、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動した状態において、
図14に示すように、ベース部材20の外側から開口28を見たときに、凸部47の一側面47aと、開口28の内側28aとの間に、キープレート85が位置するように構成されている。この態様によれば、キーシリンダ80を操作部材40のシリンダ収容部44から取外すべく、開口28に解除具100を挿入する際に、開口28の内側28aに加えて、凸部47の一側面47aをガイドとして利用することができ、解除具100の挿入時のガイド性をより高めることができる。
【0070】
図20〜22には、本発明に係る開閉体のロック装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図20や
図22に示すように、この実施形態の開閉体のロック装置10A(以下、「ロック装置10A」)は、ベース部材20のキー溝31Aや、キーシリンダ80のキープレート85の配置が、前記実施形態と異なっている。
【0072】
すなわち、この実施形態におけるベース部材20の底壁21には、
図22に示すように、スライド溝21aの幅方向中央から、細溝状のキー溝31Aが、底壁21の長手方向一端側に向けて形成されており、また、キー溝31Aの、長手方向他端側に、キー当接部32Aが設けられている。
【0073】
そして、
図22(a)に示すように、キー突起84が、キー溝31Aの延長線上に位置している場合には、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動させることができ、ロック部材50によるロック部1bに対するロック状態を解除可能となる。一方、
図22(b)に示すように、キー突起84が、キー当接部32Aに近接した状態では、操作部材40の回動が規制されて、ロック部材50によるロック部1bに対するロック状態が維持される。
【0074】
また、
図20に示すように、キープレート85の外周の押圧面85aは、ベース部材20の開口28に向けて配置されており、ベース部材20の外側であって、壁部23の面方向に直交する方向から、前記開口28を見たときに、開口28の内側28aに、キープレート85の押圧面85aの一部が位置する。ただし、この実施形態のロック装置10Aの場合、前記実施形態のロック装置10に比べて、開口28の開口面積に対する、キープレート85の押圧面85aの占有面積が大きくなっている(
図20参照)。
【0075】
そして、この実施形態のロック装置10Aにおいても、前記実施形態のロック装置10と同様の作用効果を奏する。また、この実施形態のロック装置10Aでは、上述したように、ロック装置10に比べて、開口28の開口面積に対する、キープレート85の押圧面85aの占有面積が大きいので、解除具100でキープレート85を押し込みやすくなるという効果を得ることができる。
【0076】
図23及び
図24には、本発明に係る開閉体のロック装置の、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0077】
この実施形態の開閉体のロック装置10B(以下、「ロック装置10B」)は、ベース部材20のキー溝31Bや、キーシリンダ80のキープレート85の配置が、前記実施形態と異なっている。
【0078】
すなわち、この実施形態におけるベース部材20の底壁21には、
図24に示すように、スライド溝21aの長手方向他端側であって、その幅方向中央に、キー当接部32Bが突設されている。また、スライド溝21aの長手方向他端部であって、キー当接部32Bに隣接した位置に、短小溝状をなしたキー溝31Bが形成されている。
【0079】
そして、
図24(a)に示すように、キー突起84が、キー溝31Bに位置している場合には、把持部42をベース部材20から離反する方向に、操作部材40を回動させることができ、ロック部材50によるロック部1bに対するロック状態を解除可能となる。一方、
図24(b)に示すように、キー突起84が、キー当接部32Bに近接した状態では、操作部材40の回動が規制されて、ロック部材50によるロック部1bに対するロック状態が維持される。
【0080】
また、
図23に示すように、この実施形態におけるキープレート85の押圧面85aは、ベース部材20の開口28とは反対方向に向けて配置されている。
【0081】
なお、この実施形態における解除具100は、先端部101が鉤爪状に屈曲した形状をなしている。そして、キーシリンダ80を操作部材40のシリンダ収容部44から取外したい場合には、開口28に解除具100を挿入した後、ベース部材20のシリンダ配置空間25内において、解除具100の先端部101をキープレート85の押圧面85aに引き掛ける。その状態で、解除具100を、開口28への挿入方向とは反対側に引き戻すことによって(
図23の矢印参照)、キープレート85を付勢力に抗して押し込んで、シリンダ収容部44の裏側開口部44bに係合しない方向に引き込ませて、キープレート85とシリンダ収容部44の裏側開口部44bとの係合を解除することができ、シリンダ収容部44からキーシリンダ80を取外すことができる。
【0082】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。