(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985577
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】コンデンサ感知を用いる共振整流器回路
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20211213BHJP
H02M 7/21 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
H02J50/12
H02M7/21 A
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-516996(P2019-516996)
(86)(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公表番号】特表2019-530416(P2019-530416A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】US2017054095
(87)【国際公開番号】WO2018064378
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2020年9月26日
(31)【優先権主張番号】15/279,094
(32)【優先日】2016年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】マルキ ムスタファ エル
(72)【発明者】
【氏名】イーサン オザレヴリ
(72)【発明者】
【氏名】トゥリ デイク
(72)【発明者】
【氏名】ディンクン ドゥー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンパオロ リーシ
(72)【発明者】
【氏名】ジンウェイ シュー
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−244684(JP,A)
【文献】
特開2014−079107(JP,A)
【文献】
特開2012−157197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
H02M 7/00 − 7/40
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H01F 38/14
H01F 38/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力レシーバであって、
インダクタと、前記インダクタに直列に接続されるコンデンサとを含む、共振回路と、
前記共振回路に結合される同期整流器と、
前記共振回路と前記同期整流器とに結合される回路要素であって、
前記コンデンサの電圧に基づいて前記インダクタを介して流れる交流のゼロ交差を識別し、
前記ゼロ交差のタイミングに基づいて前記交流の同期整流を制御する、
ように構成される、前記回路要素と、
を含む、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記回路要素がコンパレータを含み、
前記コンパレータの第1の入力端子が前記コンデンサの第1の端子に結合され、前記コンデンサの第2の入力端子が前記コンパレータの第2の端子に結合される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記コンパレータが、前記コンデンサの電圧のゼロ交差を識別するように構成される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項4】
請求項2に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記回路要素が、前記コンパレータの出力に結合される位相シフタを更に含み、
前記位相シフタが、90度位相がシフトされた前記コンパレータの出力における信号に対応する出力信号を生成するように構成される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項5】
請求項4に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記位相シフタが、位相ロックループと遅延ロックループとの一方を含む、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項6】
請求項4に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記同期整流器が、ブリッジとして接続される、2つのハイサイド電力トランジスタと2つのローサイド電力トランジスタとを含み、
前記ハイサイド電力トランジスタのうちの1つのハイサイド電力トランジスタの制御端子が、前記位相シフタのフィードバック入力に結合される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項7】
請求項4に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記同期整流器が、ブリッジとして接続される、2つのハイサイド電力トランジスタと2つのローサイド電力トランジスタとを含み、
前記回路要素が、前記位相シフタの出力と前記ブリッジとに結合されるスイッチング制御回路を更に含み、
前記スイッチング制御回路が、前記ブリッジに前記同期整流器を介して流れる前記交流を整流させるために、前記ブリッジの各トランジスタに対応する駆動信号を生成するように構成される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項8】
ワイヤレス電力レシーバであって、
コンパレータと位相シフタとブリッジとを含み、
前記コンパレータが、前記ブリッジの両端に接続される直列共振回路のコンデンサの電圧におけるゼロ交差を識別するように構成され、
前記位相シフタが、前記コンパレータの出力に結合され、前記コンパレータにより識別された前記ゼロ交差に基づいて、前記直列共振回路を流れる交流のゼロ交差に時間的に対応するゼロ交差を有する信号を生成するように構成される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項9】
請求項8に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記位相シフタが、前記コンパレータの出力を90度位相シフトすることによって前記信号を生成するように更に構成される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項10】
請求項8に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記位相シフタが、位相ロックループと遅延ロックループとの一方を含む、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項11】
請求項8に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記ブリッジが、2つのハイサイド電力トランジスタと2つのローサイド電力トランジスタとを含む、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項12】
請求項11に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記位相シフタがフィードバック入力を含み、前記フィードバック入力が、前記ハイサイド電力トランジスタうちの1つのハイサイド電力トランジスタの制御端子に結合される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項13】
請求項8に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記位相シフタの出力と前記ブリッジとに結合されるスイッチング制御回路を更に含み、
前記スイッチング制御回路が、前記ブリッジに前記交流を整流させるために、前記ブリッジの各トランジスタに対応する駆動信号を生成するように構成され、前記ゼロ交差に基づく前記駆動信号のタイミングが前記コンパレータにより識別される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項14】
請求項13に記載のワイヤレス電力レシーバであって、
前記位相シフタが、前記コンデンサの電圧に対して、90、180、270及び360度の位相シフトを有する信号を生成するように更に構成され、
前記スイッチング制御回路が、前記位相シフタにより生成される前記信号における遷移のあたりに前記駆動信号におけるデッドタイムを提供するように更に構成される、ワイヤレス電力レシーバ。
【請求項15】
ワイヤレス電力伝送のための方法であって、
共振回路のインダクタとコンデンサとにおいて電流フローを誘導することと、
前記コンデンサの電圧を検出することであって、前記電圧が前記電流フローに関連付けられている、前記検出することと、
前記コンデンサの検出された電圧に基づいて前記インダクタを介する電流フローにおけるゼロ交差を識別することと、
前記ゼロ交差のタイミングに基づいて同期整流器のトランジスタを駆動することと、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記コンデンサの電圧のゼロ交差を識別することを更に含む、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記コンデンサの検出された電圧の周波数を有し、前記コンデンサの検出された電圧に対して90度位相がシフトされた第1の信号を生成することを更に含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
位相ロックループと遅延ロックループとの一方によって前記第1の信号を生成することを更に含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1の信号を生成する位相シフタに前記同期整流器のハイサイドに配置される前記トランジスタのうちの1つのトランジスタの制御端子から駆動信号をフィードバックすることを更に含む、方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、
前記駆動することが、ブリッジに前記同期整流器を介して流れる交流を整流させるために、前記同期整流器における前記ブリッジとして接続される前記トランジスタの各々に対応する駆動信号を生成することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エネルギーストレージデバイスを充電及び/又は電子デバイスを給電するためのワイヤレス電力伝送の支持率が急速に増している。例えば、モバイル電子デバイスは、現在広く用いられており、将来利用が増えるものと思われる。モバイルデバイスは概して、バッテリー、又は定期的に再充電される必要のあるその他のエネルギーストレージデバイスにより給電される。充電は、有線で、又は電源へのワイヤレス接続を介して達成され得る。有線による充電は、充電されているデバイスが、充電ケーブルを介して電源に接続されることを必要とし、これは不都合であることがある。これに対し、ワイヤレス再充電システムは、接続ケーブルなしに電力を搬送し、従って、有線の充電器よりも便利な充電を提供し得る。
【0002】
ワイヤレス電力伝送は、利便性以外の理由でも有利である。例えば、ワイヤレス電力伝送は、有線充電器からの火花が爆発性気体に引火し得るインダストリアル環境に用いるため、及び無菌の機密ケースを要する生物医学的デバイスと共に用いるためによく適している。
【0003】
より長い距離にわたる電力伝送を促進するため、及びシステム受動構成要素(例えば、インダクタ)のサイズの低減を許容するため、ワイヤレス充電システムの周波数のオペレーションが増大している。
【発明の概要】
【0004】
ワイヤレス電力伝送システムの記載される例において、ワイヤレス電力伝送システムは、パワーレシーバ共振回路及び同期整流器を含む。パワーレシーバ共振回路は、インダクタ、及びインダクタと直列に接続されるコンデンサを含む。同期整流器は、コンデンサの電圧に基づいてインダクタを介して流れる交流のゼロ交差を識別し、ゼロ交差のタイミングに基づいて交流の同期整流を制御するように構成される。
【0005】
別の例において、同期整流器が、コンパレータ、位相シフタ、及びブリッジを含む。同期整流器は、ブリッジの両端に接続される直列共振回路のコンデンサの電圧におけるゼロ交差を識別するように構成される。位相シフタは、コンパレータの出力に結合され、コンパレータにより識別されたゼロ交差に基づいて、共振回路を流れる交流のゼロ交差に時間的に対応するゼロ交差を有する信号を生成するように構成される。
【0006】
更なる例において、ワイヤレス電力伝送のための方法が、共振回路のインダクタ及びコンデンサにおける電流フローを誘導することを含む。コンデンサの電圧が検出される。この電圧は、電流フローに関連付けられる。同期整流器のトランジスタが、コンデンサの両端で検出された電圧のタイミングに基づいて駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】種々の実施例に従ったコンデンサ感知を備える共振整流器を含むワイヤレス電力伝送システムのための高レベル図を示す。
【0008】
【
図2】種々の実施例に従ったコンデンサ感知を含む共振整流器回路における電流及び電圧信号を示す。
【0009】
【
図3】種々の実施例に従ったコンデンサ感知を備える共振整流器回路を含むワイヤレスパワーレシーバのための概略図を示す。
【0010】
【
図4】種々の実施例に従ったコンデンサ感知を用いる共振整流のための方法のためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本記載において、「結合する(couple)」という用語は、間接的又は直接的接続のいずれかを意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的接続を介し得、或いは、他のデバイス及び接続を介する間接的接続を介し得る。「〜に基づく」という記載は、「少なくとも部分的に〜に基づく」を意味する。従って、XがYに基づく場合、Xは、Yに及び任意の数の他の要因に基づき得る。
【0012】
図面及びこれ以降の記載において、明確さ及び簡潔さのため、或る特徴が、寸法において誇張して又はいくらか概略的に示され得、従来の要素の詳細の一部が示されない可能性がある。これ以降の本明細書に記載される実施例の異なる教示及び構成要素は、所望の結果をもたらすために別個に又は任意の適切な組み合わせで用いられ得る。
【0013】
共振ワイヤレス電力伝送システムにおいて、ブリッジ回路電界効果トランジスタ(FET)アクティベーションのタイミングは、効率を最適化するために慎重に制御される必要がある。共振整流器が、ブリッジFETアクティベーションタイミングを制御するフィードバックループを含む。従来の共振整流器において、フィードバックループは、感知電流を生成するため、ブリッジハイサイドパワーFETと並列の感知FETを含む。感知電流は、レシーバコイルを流れる電流のゼロ交差の検出を可能にするため、感知抵抗器を介して流れる。残念なことに、ブリッジFETの全ては、レシーバコイルにおける電流がゼロを交差する時オフであり、これは、ハイサイドブリッジFET電流にグリッチを導入しがちであり、それにより、ハイサイドブリッジFET電流を損傷させる。グリッチは、ループ制御回路要素に、共振周波数のサイクル内に複数パルスを生成させ得、及びフィードバックループの制御を最終的に失わせ得、その結果、パワー効率及び出力レギュレーションの劣化となる。また、このような従来のシステムにおける電流感知不正確さは、遅延及びジッタを誘発し得、これは、不適切なゼロ電流検出につながる。
【0014】
例示の実施例は、直列共振回路のインダクタを介する電流ではなく、直列共振回路のコンデンサの電圧を監視することにより、従来のシステムが被るゼロ交差検出の問題を克服する。コンデンサの電圧はブリッジFETのスイッチングにより影響を受けないので、本明細書に記載の実施例において適用される感知波形には、従来の共振整流器において見られる欠陥がない。コンデンサの電圧は、インダクタの電流に対して位相が90度シフトされ、実施例は、共振回路のインダクタにおける電流のゼロ交差に時間的に対応する信号遷移を生成するため、コンデンサの両端で検出された電圧信号を90度シフトする。実施例は、ブリッジFETを制御するために、位相シフトされた信号を適用する。共振コンデンサ電圧に基づいてブリッジFETのタイミングを制御することにより、例示の実施例は、従来のワイヤレス電力伝送システムにおいて提供されるより更によりロバストな同期整流器を提供する。
【0015】
図1は、種々の実施例に従ったコンデンサ感知を備える共振整流器を含むワイヤレス電力伝送システム100のための高レベル図を示す。システム100は、パワートランスミッタ102及びパワーレシーバ108を含む。パワートランスミッタ102は、インダクタ104及びコンデンサ106によって形成される共振回路を含む。パワートランスミッタ102は、明確にするために省略されている任意の数の付加的な構成要素を含み得る。例えば、パワートランスミッタ102は、電源、タイミング回路、及びインダクタ104及びコンデンサ106に印加される駆動信号を生成するための駆動回路を含み得る。パワートランスミッタ102は、共振周波数で発振磁場を生成するために、インダクタ104及びコンデンサ106の共振周波数でインダクタ104及びコンデンサ106を駆動する。幾つかの実施例において、パワートランスミッタ102により生成される発振磁場の周波数は、比較的高くし得る(例えば、6.78メガヘルツ又はそれ以上)。
【0016】
パワーレシーバ108は、コンデンサ112と直列のインダクタ110によって形成される共振回路を含む。インダクタ110及びコンデンサ112の共振周波数は、パワートランスミッタ102により生成される発振磁場の周波数とほぼ同じであり得る。パワートランスミッタ102により生成される磁場は、磁場発振の周波数でのインダクタ110及びコンデンサ112における電流を誘導する。
【0017】
パワーレシーバ108はまた、同期整流器120、コンパレータ116、クランピング/スケーリング回路要素114、及び位相シフト回路要素118を含む。コンパレータ116は、クランピング/スケーリング回路要素114を介してコンデンサ112の両端に接続される。より具体的には、コンパレータ116の一方の入力端子が、クランピング/スケーリング回路要素114を介してコンデンサ112の各端子に接続される。クランピング/スケーリング回路要素114は、コンパレータ116及び/又はダイオード、又は、コンパレータ116により受信される電圧信号を制限するためのその他の回路要素により受信される電圧信号の振幅を、所定の振幅(例えば、コンパレータ116を給電する電源の電圧)未満まで調節するため、抵抗器ネットワークを含み得る。
【0018】
コンパレータ116は、コンデンサの正弦波電圧112のゼロ交差に時間的に対応するゼロ交差を有する矩形波を生成する。コンデンサ112の電圧が、インダクタ110を流れる電流に対して位相が90度シフトされ、そのため、ゼロ交差電圧のタイミングが、電流感知においてみられる歪みを受けないので、パワーレシーバ108は、ゼロ交差を感知するためのコンデンサ112の電圧を用いる。インダクタ電流とコンデンサ電圧との間の90度の位相シフトは、同じであるインダクタ110及びコンデンサ112を流れる電流(即ち、インダクタ110及びコンデンサ112が、直列に接続され、そのため、電流は同じになるはずである)に基づいて検証され得る。コンデンサ112を介する電流は、下記のように表すことができる。
i
C=C(dv
C/dt) (1)
ここで、i
Cは、コンデンサ112を流れる電流であり、v
cはコンデンサ112の電圧である。共振周波数では、コンデンサ112の電圧は正弦波である。従って、コンデンサ112の電圧及びコンデンサ112における電流は、下記のように表すことができる。
v
c=Asin(ωt)+θ
0 (2)、及び
i
C=Aωcos(ωt) (3)
【0019】
式(2)及び(3)におけるサイン及びコサイン項により、コンデンサ112の電圧及びコンデンサ112における電流は90度位相がずらされるので、インダクタ110における電流及びコンデンサ112の電圧も90度位相がずれている。コンパレータ116により生成される90度位相シフトされた感知信号の使用により、パワーレシーバ108は、インダクタ110における電流のゼロ交差において見られるスイッチングノイズ及びグリッチを避け得る。
【0020】
図2は、システム100における代表的な電圧及び電流信号を示す。
図2において、信号VC2はコンデンサ112の電圧を表し、信号IC2はコンデンサ112を流れる電流を表し、信号IL2はインダクタ110を流れる電流を表す。
図2に示すように、コンデンサ112の電圧は、コンデンサ112及びインダクタ110を流れる電流に対して位相が90度シフトされる。コンパレータ出力信号122におけるゼロ交差は、コンデンサ112の電圧におけるゼロ交差に時間的に対応する。
【0021】
再び
図1を参照すると、コンパレータ116は、位相シフト回路要素118に結合され、コンパレータ出力信号122は位相シフト回路要素118に提供される。位相シフト回路要素118は、コンパレータ出力信号122を90度シフトする。位相シフト回路要素118は、位相ロックループ(PLL)、遅延ロックループ(DLL)、又は、位相が90度シフトされたコンパレータ出力信号122に対応する信号を生成することが可能なその他の位相シフト回路要素を含み得る。コンパレータ出力信号122を90度シフトすることにより、位相シフト回路要素118は、インダクタ110を流れる電流のゼロ交差に対応及び整合するゼロ交差を有する信号を生成する。
【0022】
位相シフト回路要素118はまた、同期整流器120を駆動するための制御信号を生成するための回路要素を含み得る。制御信号のタイミングは、位相が90度シフトされたコンパレータ出力信号122のタイミング(例えば、ゼロ交差タイミング)に基づき得る。同期整流器120は、Hブリッジとして配されるパワーFETを含む。位相シフト回路要素118により生成される制御信号は、クロスコンダクションを防止するタイミングでパワーFETを駆動する。従って、制御信号は、接続されているハイサイドパワーFET及びローサイドパワーFETが同時にオンにならないようにするタイミングでパワーFETを駆動し得る。これにより、全てのパワーFETがオフにされる「デッドタイム」がつくられる。デッドタイムは、コンデンサ112の電圧のゼロ交差から導出されるようにインダクタ110を流れる電流におけるゼロ交差と一致する。
【0023】
同期整流器120は、レギュレートされ、フィルタされ、一層高い又は下側DC電圧などに変換され得る、DC出力(VR)を生成し、システム100及び/又はシステム100のパワー回路要素のバッテリーを充電するために用いられる。
【0024】
図3は、種々の実施例に従ったコンデンサ感知を備える共振整流器回路を含むワイヤレスパワーレシーバ300のための概略図を示す。ワイヤレスパワーレシーバ300は、ワイヤレスパワーレシーバ108の一実施例であり得る。
図3において、パワートランスミッタのインダクタ104は、レシーバ300の一部ではないが、参照のため示されている。ワイヤレスパワーレシーバ300は、インダクタ110、コンデンサ112、コンパレータ116、PLL302、デューティサイクル制御及びドライバ回路要素304、及びパワーFET306、308、310、及び312を含む。ワイヤレスパワーレシーバ300は、クランピング/スケーリング回路要素114も含み得る。ワイヤレスパワーレシーバ300の幾つかの実施例において、PLL302は、DLL又はその他の位相シフト回路要素で置換され得る。
【0025】
パワーFET306、308、310、及び312は、Hブリッジを形成するように接続される。インダクタ100及びコンデンサ112によって形成される共振回路は、Hブリッジの両端に接続される。パワートランスミッタのインダクタ104により生成される発振磁場は、インダクタ110及びコンデンサ112において電流フローを誘導する。コンパレータ116、PLL302、及びデューティサイクル制御及びドライバ回路要素304は、Hブリッジ及び共振回路に接続されて、パワーFET306、308、310、及び312を制御し、整流をインダクタ110において誘導される電流波形と同期させるフィードバックループを形成する。
【0026】
コンパレータ116の入力端子は、パワーレシーバ108に関して本明細書に記載するようにコンデンサ112の両端に接続される。コンパレータ116は、コンデンサ112の正弦波電圧に周波数及び位相において対応する出力信号122(例えば、矩形波)を生成する。コンパレータ116の出力信号122は、PLL302のための基準クロックとして機能する。
【0027】
PLL302は、電圧制御発振器、位相コンパレータ、チャージポンプ、ローパスフィルタ、周波数分周器、及び、PLLにコンパレータ116の出力信号122に位相ロックされる種々の周波数を生成させる他の構成要素を含み得る。PLL302は、コンパレータ116の出力信号122に対して位相が90度、180度、270度及び/又は360度シフトされた出力信号を生成する(例えば、順次ロジックによって形成される)遅延要素を含み得る。例えば、PLL302は、コンパレータ116の出力信号122の周波数の4倍の、及び、コンパレータ116の出力信号122に位相ロックされるクロックを生成し得、信号122の90度、180度、270度及び360度位相シフトされたバージョンを生成するためクロックを印加し得る。幾つかの実施例において、90度、180度、270度、及び360度位相シフトされたバージョンの一つ又は複数が、信号122の周波数の2倍で生成され得、50%デューティサイクルを確保するために2で除算され得る。
【0028】
デューティサイクル制御及びドライバ回路要素304は、それぞれ、パワーFET308、306、312、及び310を制御するため、ゲート制御信号314、316、318、及び320を生成する。デューティサイクル制御及びドライバ回路要素304は、PLL302により生成された信号112の90度位相シフトされたバージョンを受け取り、PLL出力信号324によって提供されるように、インダクタ100における電流のゼロ交差に基づくタイミングでゲート制御信号314、316、318、及び320を生成する。上述したように、デューティサイクル制御及びドライバ回路要素304は、インダクタ110の電流におけるゼロ交差辺りにデッドタイムを提供するために、ゲート制御信号314、316、318、及び320を生成する。デューティサイクル制御及びドライバ回路要素304は、ゲート制御信号314、316、318、及び320のタイミングを生成するため、順次及び/又は組み合わせ論理を含み得る。ハイサイドFET310及び312はnチャネルFETであり得るので、デューティサイクル制御及びドライバ回路要素304は、ゲート制御信号318及び320を駆動するためのレベルシフタを含み得る。
【0029】
ゲート制御信号314、316、318、及び320の一つが、PLL302のフィードバック入力322に接続され得る。幾つかの実施例において、制御信号318及び320の一つが、ハイサイドパワーFET310及び312を駆動するレベルシフタにおける遅延を補償するために、PLL302のフィードバック入力322に接続され得る。
【0030】
図4は、種々の実施例に従った容量性感知を用いる共振整流のための方法400のフローチャートを示す。便宜上順次示されるが、少なくとも幾つかの行為が、異なる順で及び/又は並列して成され得る。また、幾つかの実施例が、示される行為の幾つかのみを実施し得る。幾つかの実施例において、方法400の少なくともの幾つかのオペレーションが、パワーレシーバ回路108又は300の構成要素により実装されてもよい。
【0031】
ブロック402において、電流フローが、ワイヤレスパワーレシーバ108のインダクタ110及びコンデンサ112によって形成される共振回路において誘導される。幾つかの実施例において、ワイヤレスレシーバ108は、インダクタ110及びコンデンサ112におけるAC電流のフローを開始するためにワイヤレスパワートランスミッタ102により生成される発振磁場内に位置し得る。
【0032】
ブロック404において、コンパレータ116は、コンデンサ112の電圧を感知する。コンデンサ112の電圧は正弦波である。コンパレータ116は、コンデンサ112の正弦波電圧のゼロ交差に時間的に対応するエッジを有する矩形波を生成する。
【0033】
ブロック406において、コンパレータ116の出力122は、位相シフタ118によって位相が90度シフトされ、位相シフタ118は、PLL、DLL、又はその他の位相シフトデバイスであり得る。コンパレータ116の出力122の90度位相シフトされたバージョンにおける遷移は、共振回路を流れるAC電流におけるゼロ交差に対応する時間に起こる。
【0034】
ブロック408において、ブリッジトランジスタ制御回路要素(例えば、デューティサイクル制御及びドライバ回路要素304)が、ブリッジトランジスタを制御するためタイミング信号を生成する。信号のタイミングは、90度位相シフトされたコンパレータ116の出力122に基づく。例えば、第1のハイサイドパワートランジスタ及び第1のローサイドパワートランジスタが、AC電流の正のハーフサイクルの間、タイミング信号によりイネーブルされ得、第2のハイサイドパワートランジスタ及び第2のローサイドパワートランジスタが、AC電流の負のハーフサイクルの間、タイミング信号によりイネーブルされ得る。タイミング信号は、90度位相シフトされたコンパレータ116の出力122における遷移の辺り(即ち、整流されるべきAC電流におけるゼロ交差の辺り)の時間期間の間、トランジスタの全てをディセーブルし得る。
【0035】
ブロック410において、タイミング信号は、ブリッジを流れるAC電流の整流を制御するためブリッジ回路のトランジスタを駆動する。ブリッジの出力は、他の回路要素を給電するためにフィルタ及び/又はレギュレートされ得る。
【0036】
ワイヤレスパワーレシーバ100、300の整流器ブリッジは、FETを含むように説明されてきたが、幾つかの実施例においてブリッジはバイポーラトランジスタを含み得る。
【0037】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。