(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の空間にわたって分散設置された複数の室内ユニット(21)、及び前記各室内ユニット(21)に対応する複数の圧縮機(12)を含む空調システムを制御する空調制御装置であって、
前記圧縮機(12)の起動制御を行う制御部(40)を備え、
前記各室内ユニットと前記各圧縮機とがそれぞれ1対1に対応しており、
前記制御部(40)は、
前記複数の室内ユニット(21)をそれらが設置されている前記空間ごとにグルーピングし、
同じ時期に前記複数の室内ユニット(21)を運転させる指令があった場合に、前記各室内ユニット(21)に対応する前記圧縮機(12)を、時期をずらして起動させ、
その際、前記複数の空間のうち第1空間および第2空間それぞれにおいて、少なくとも1台の前記室内ユニット(21)に対応する前記圧縮機(12)を最初の時期に起動させる、
空調制御装置。
複数の空間にわたって分散設置された複数の室内ユニット(21)、及び前記各室内ユニット(21)に対応する複数の圧縮機(12)を含む空調システムを制御する空調制御装置であって、
前記圧縮機(12)の起動制御を行う制御部(40)を備え、
前記各室内ユニットと前記各圧縮機とがそれぞれ1対1に対応しており、
前記制御部(40)は、
前記複数の室内ユニット(21)をそれらが設置されている前記空間ごとにグルーピングし、
同じ時期に前記複数の室内ユニット(21)を運転させる指令があった場合に、前記各室内ユニット(21)に対応する前記圧縮機(12)を、時期をずらして起動させ、
その際、前記制御部(40)は、前記複数の空間それぞれにおいて、少なくとも1台の前記室内ユニット(21)に対応する前記圧縮機(12)を最初の時期に起動させる、
空調制御装置。
複数の空間にわたって分散設置された複数の室内ユニット(21)、及び前記各室内ユニット(21)に対応する複数の圧縮機(12)を含む空調システムを制御する空調制御装置であって、
前記圧縮機(12)の起動制御を行う制御部(40)を備え、
前記各室内ユニットと前記各圧縮機とがそれぞれ1対1に対応しており、
前記制御部(40)は、
前記複数の室内ユニット(21)をそれらが設置されている前記空間ごとにグルーピングし、
同じ時期に前記複数の室内ユニット(21)を運転させる指令があった場合に、前記各室内ユニット(21)に対応する前記圧縮機(12)を、時期をずらして起動させ、
その際、前記複数の空間それぞれに対して予め優先順位を設定し、前記優先順位に沿って該当する前記空間に属する前記室内ユニット(21)を運転させる、
空調制御装置。
前記制御部(40)は、特定の前記空間に属する前記室内ユニット(21)だけを他の前記空間に属する前記室内ユニット(21)よりも先に運転させるようにユーザーに設定させる、第2設定機能を有する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空調制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、複数の空調機の起動時期をずらせば一斉起動を回避することは可能であるが、起動を遅らせたことによって、ユーザーの快適性を損なう虞もある。
【0004】
本発明の課題は、ユーザーの快適性を損なうことなく空調運転を開始することができる空調制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空調制御装置は、複数の空間にわたって分散設置された複数の室内ユニット、及び各室内ユニットに対応する複数の圧縮機を含む空調システム、を制御する空調制御装置であって、圧縮機の起動制御を行う制御部を備える。制御部は、複数の室内ユニットをそれらが設置されている空間ごとにグルーピングする。また、制御部は、同じ時期に複数の室内ユニットを運転させる指令があった場合に、各室内ユニットに対応する圧縮機を、時期をずらして起動させる。さらに、制御部は、圧縮機の起動の際、複数の空間のうち第1空間および第2空間それぞれにおいて、少なくとも1台の室内ユニットに対応する圧縮機を最初の時期に起動させる。
【0006】
この空調制御装置では、複数の圧縮機を、時期をずらして起動させるので、一時期に電力消費が集中することが防止される。さらに、いくつかの空間については当該空間ごとに少なくとも1台の室内ユニットを運転するので、例えば、常に人が利用する空間の空調開始時期が遅れることがなく、その空間の利用者に不快感を与えることも回避される。
【0007】
本発明の第2観点に係る空調制御装置は、
複数の空間にわたって分散設置された複数の室内ユニット、及び各室内ユニットに対応する複数の圧縮機を含む空調システム、を制御する空調制御装置であって、圧縮機の起動制御を行う制御部を備える。制御部は、複数の室内ユニットをそれらが設置されている空間ごとにグルーピングする。また、制御部は、同じ時期に複数の室内ユニットを運転させる指令があった場合に、各室内ユニットに対応する圧縮機を、時期をずらして起動させる。その際、制御部が、複数の空間それぞれにおいて、少なくとも1つの室内ユニットに対応する圧縮機を最初
の時期に起動させる。
【0008】
この空調制御装置では、空間ごとに少なくとも1台の室内ユニットを運転するので、ある空間の空調開始時期が遅れて、その空間の利用者に不快感を与えることも回避される。
【0009】
本発明の第3観点に係る空調制御装置は、第1観点又は第2観点に係る空調制御装置であって、複数の空間それぞれには1又は2以上の室内ユニットが設置されている。制御部が、複数の空間のうち2以上の室内ユニットが設置されている所定空間については、予め所定空間ごとに各室内ユニット間で運転の優先順位を設定している。
【0010】
この空調制御装置では、各空間とも、優先順位第1位の室内ユニットが運転したのちは、順位第2位の室内ユニットを運転するように、順次運転していくことによって、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0011】
本発明の第4観点に係る空調制御装置は、
複数の空間にわたって分散設置された複数の室内ユニット、及び各室内ユニットに対応する複数の圧縮機を含む空調システム、を制御する空調制御装置であって、圧縮機の起動制御を行う制御部を備える。制御部は、複数の室内ユニットをそれらが設置されている空間ごとにグルーピングする。また、制御部は、同じ時期に複数の室内ユニットを運転させる指令があった場合に、各室内ユニットに対応する圧縮機を、時期をずらして起動させる。その際、制御部が、複数の空間それぞれに対して予め優先順位を設定し、優先順位に沿って該当する空間に属する室内ユニットを運転させる。
【0012】
この空調制御装置では、優先順位第1位の空間に属する全ての室内ユニットが運転したのちは、順位第2位の空間に属する全ての室内ユニットを運転するように、順次運転していくことによって、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0013】
本発明の第5観点に係る空調制御装置は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る空調制御装置であって、制御部が、空間ごとに最初に運転させる室内ユニットをユーザーに設定させる、第1設定機能を有する。
【0014】
この空調制御装置では、どの空間においても、先に運転してほしい室内ユニットを変えたい事情も有り得るので、そのような場合に第1設定機能によって希望する室内ユニットを先に運転させることができる。
【0015】
本発明の第6観点に係る空調制御装置は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る空調制御装置であって、制御部が、特定の空間に属する室内ユニットだけを他の空間に属する室内ユニットよりも先に運転させるようにユーザーに設定させる、第2設定機能を有する。
【0016】
この空調制御装置では、予め、どの空間よりも早く空調運転を開始しておく必要がある空間がわかっている場合は、第2設定機能によって当該空間の室内ユニットを優先的に運転させることができるので、使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1観点に係る空調制御装置では、複数の圧縮機を、時期をずらして起動させるので、一時期に電力消費が集中することが防止される。さらに、いくつかの空間については当該空間ごとに少なくとも1台の室内ユニットを運転するので、例えば、常に人が利用する空間の空調開始時期が遅れることがなく、その空間の利用者に不快感を与えることも回避される。
【0018】
本発明の第2観点に係る空調制御装置では、空間ごとに少なくとも1台の室内ユニットを運転するので、ある空間の空調開始時期が遅れて、その空間の利用者に不快感を与えることも回避される。
【0019】
本発明の第3観点に係る空調制御装置では、各空間とも、優先順位第1位の室内ユニットが運転したのちは、順位第2位の室内ユニットを運転するように、順次運転していくことによって、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0020】
本発明の第4観点に係る空調制御装置では、優先順位第1位の空間に属する全ての室内ユニットが運転したのちは、順位第2位の空間に属する全ての室内ユニットを運転するように、順次運転していくことによって、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0021】
本発明の第5観点に係る空調制御装置では、どの空間においても、先に運転してほしい室内ユニットを変えたい事情も有り得るので、そのような場合に第1設定機能によって希望する室内ユニットを先に運転させることができる。
【0022】
本発明の第6観点に係る空調制御装置では、予め、どの空間よりも早く空調運転を開始しておく必要がある空間がわかっている場合は、第2設定機能によって当該空間の室内ユニットを優先的に運転させることができるので、使い勝手がよい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0025】
(1)空調システムの概要
図1Aは、空調システムを構成する複数の空調機10A〜10Uが据え付けられている建屋の平面図である。また、
図1Bは、
図1Aに記載の建屋のX−X線における断面図である。
【0026】
図1A及び
図1Bにおいて、複数の空調機10A〜10Uそれぞれは、天井に設置される利用側ユニットである室内ユニットと、天井裏に配置される熱源側ユニットとが一体化された空調機である。このような一体型の具体的構造については、例えば、公開特許公報の特開平9−324928に開示されているので、ここでは具体的構造の説明は省略する。
【0027】
複数の室内ユニット21A〜21Uは、建屋の天井に設置され、各室内ユニットに対応する熱源側ユニット11A〜11Uは天井裏空間CSに配置されている。
【0028】
なお、室内ユニット21A〜21Uをまとめて指す場合は「室内ユニット21」と表現し、熱源側ユニット11A〜11Uをまとめて指す場合は「熱源側ユニット11」と表現する。
【0029】
この空調システムでは、空調対象空間である部屋ごとに配置される室内ユニット21が決められており、例えば、第1部屋R1には空調機10A〜10Cの室内ユニット21A〜21Cが配置されている。
【0030】
同様に、第2部屋R2には空調機10E〜10Hの室内ユニット21E〜21H、第3部屋R3には空調機10I及び10Jの室内ユニット21I及び21Jが、第4部屋R4には空調機10Nの室内ユニット21N、第5部屋R5には空調機10Oの室内ユニット21Oが、第6部屋R6には空調機10P〜10Uの室内ユニット21P〜21Uが、配置されている。
【0031】
また、フロアFLには、空調機10D、10K、10L及び10Mの室内ユニット21D、21K、21L及び21Mが配置されている。
【0032】
図2は、空調システムの制御系の構成を示すブロック図である。
図2において、空調システムでは、集中制御部40が通信ネットワーク6を介して、複数の空調機10A〜10Uそれぞれに搭載された通信制御部50(
図4参照)との間で通信を行うことができる。
【0033】
通信ネットワーク6は、インターネット、イントラネット、LAN(Local・Area・Network)、VPN(Virtual・Private・Network)等の情報通信技術を利用した通信回線により構成されている。
【0034】
集中制御部40は、遠隔制御により空調機10A〜10Uに各種の運転を行わせることができる。
【0035】
以下、集中制御部40及び空調機10A〜10Uについて詳細を説明する。なお、空調機10A〜10Uをまとめて指す場合は、「空調機10」と表現する。
【0036】
(2)空調機10の構成
図3は、空調機10の構成図である。
図3において、空調機10は、冷房運転および暖房運転が可能な冷凍装置であり、熱源側ユニット11と、室内ユニット21と、熱源側ユニット11と室内ユニット21とを接続するための液冷媒連絡配管2、及びガス冷媒連絡配管3とを備えている。空調機10の冷媒回路Cには、例えば、単一冷媒であるR32が封入されている。
【0037】
(2−1)熱源側ユニット11の構成
図3において、熱源側ユニット11は、主に、圧縮機12、四方切換弁15、熱源側熱交換器13、及び膨張弁14を有している。さらに、熱源側ユニット11は熱源側ファン16も有している。
【0038】
(2−1−1)圧縮機12
圧縮機12は、低圧の冷媒を圧縮し、圧縮後の高圧の冷媒を吐出する。圧縮機12では、スクロール式、ロータリ式等の圧縮機構が圧縮機モータ12aによって駆動される。圧縮機モータ12aの運転周波数は、インバータ装置によって変更される。
【0039】
(2−1−2)熱源側熱交換器13
熱源側熱交換器13は、フィン・アンド・チューブ式の熱交換器である。熱源側熱交換器13の近傍には、熱源側ファン16が設置される。熱源側熱交換器13では、熱源側ファン16が搬送する空気と冷媒とが熱交換する。
【0040】
(2−1−3)膨張弁14
膨張弁14は、開度可変の電子膨張弁である。膨張弁14は、冷房運転時の冷媒回路Cにおける冷媒の流れ方向において熱源側熱交換器13の下流側に配置されている。
【0041】
冷房運転時、膨張弁14の開度は、室内熱交換器32に流入する冷媒を室内熱交換器32において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力)まで減圧するように調節される。また、暖房運転時は、膨張弁14の開度は、熱源側熱交換器13に流入する冷媒を熱源側熱交換器13において蒸発させることが可能な圧力まで減圧するように調節される。
【0042】
(2−1−4)四方切換弁15
四方切換弁15は、第1から第4までのポートP1〜P4を有している。四方切換弁15では、第1ポートP1が圧縮機12の吐出側に接続され、第2ポートP2が圧縮機12の吸入側に接続され、第3ポートP3が熱源側熱交換器13のガス側端部に接続され、第4ポートP4がガス側閉鎖弁5に接続されている。
【0043】
四方切換弁15は、第1状態(
図1の実線で示す状態)と第2状態(
図1の破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁15では、第1ポートP1と第3ポートP3とが連通し且つ第2ポートP2と第4ポートP4とが連通する。第2状態の四方切換弁15では、第1ポートP1と第4ポートP4とが連通し且つ第2ポートP2と第3ポートP3とが連通する。
【0044】
(2−1−5)熱源側ファン16
熱源側ファン16は、プロペラファン16aと、プロペラファン16aを駆動するモータ16bとで構成されている。モータ16bは、インバータ装置によって、その回転数が可変である。
【0045】
(2−1−6)熱源側制御部41a
図3に示すように、熱源側ユニット11には熱源側制御部41aが搭載されている。また、
図4は、空調機10の制御部41を示すブロック図である。
図4において、熱源側制御部41aは、マイコン41aa、メモリ41abを内蔵している。マイコン41aaは、各種の演算を行い、制御対象機器への指令を行う。メモリ41abは、各種データを格納する。
【0046】
(2−1−7)天井裏温度センサ36
天井裏温度センサ36は、熱源側ユニット11の空気の吸入口側で、熱源側ユニット11内に流入する空気の温度を検出する。本実施形態において、天井裏温度センサ36は、サーミスタからなる。
【0047】
(2−2)室内ユニット21の構成
室内ユニット21は、室内熱交換器32と、室内ファン27とを有している。また、室内ユニット21には、リモートコントロールユニット(以下、「リモコン42」という。)が付帯されている。ユーザーは、リモコン42を介して、空調機10の各種運転モード等を設定することができる。
【0048】
(2−2−1)室内熱交換器32
室内熱交換器32は、フィン・アンド・チューブ式の熱交換器である。室内熱交換器32の近傍には、室内ファン27が設置される。
【0049】
室内熱交換器32は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する。
【0050】
(2−2−2)室内ファン27
室内ファン27は、クロスフローファンである。室内ファン27は、ファン27aと、ファン27aを回転させるための室内ファンモータユニット27bとを有している。
【0051】
室内ファン27の稼動によって、室内ユニット21は内部に室内空気を吸入し、室内熱交換器32において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給する。また、室内ファン27は、室内熱交換器32に供給する空気の風量を所定風量範囲において変更することができる。
【0052】
(2−2−3)室内側制御部41b
図1に示すように、室内ユニット21には、室内側制御部41bが搭載されている。また、
図4に示すように、室内側制御部41bは、マイコン41ba及びメモリ41bbを内蔵している。
【0053】
マイコン41baは、各種の演算を行う。また、メモリ41bbは、各種データを格納する。
【0054】
また、室内側制御部41bは、室内ユニット21を個別に操作するためのリモコン42との間で制御信号等の通信を行い、さらに、熱源側ユニット11との間で伝送線を介して制御信号等の通信を行う。
【0055】
(2−2−4)各種センサ
室内ユニット21には、室内熱交温度センサ44と室内温度センサ46とが設けられている。室内熱交温度センサ44は、室内熱交換器32の中間位置に設置され、冷媒の飽和温度を検出する。
【0056】
室内温度センサ46は、室内ユニット21の室内空気の吸入口側に設けられている。室内温度センサ46は、室内ユニット21内に流入する室内空気の温度を検出する。
【0057】
本実施形態において、室内熱交温度センサ44、及び室内温度センサ46は、サーミスタからなる。
【0058】
また、室内ユニット21には、人検知センサ48が搭載されている。なお、人検知センサの動作原理については、既に多くの技術文献が刊行されており、例えば、特許第5310792号公報に詳しく記載されているので、ここでは説明を省略する。
【0059】
(2−3)集中制御部40
集中制御部40は、圧縮機12の運転周波数、四方切換弁15の切換動作、膨張弁14の開度、および熱源側ファン16、室内ファン27の回転を遠隔制御することができる。そのため、集中制御部40は、外部との通信制御も行うことができる。
【0060】
図2において、集中制御部40は、通信ネットワーク6を介して各空調機10A〜10Uを制御する。各空調機10A〜10Uの各室内ユニット21には、集中制御部40との間で信号の送受信が行えるように通信制御部50(
図4参照)が搭載されている。
【0061】
また、集中制御部40は、記憶部401と、判定部403と、通信部405と、指令部407とを有している。
【0062】
(2−3−1)記憶部401
記憶部401は、集中制御部40の各部間のデータ、及び集中制御部40と各空調機10A〜10Uとの間で通信された運転情報を記憶する。
【0063】
(2−3−2)判定部403
判定部403は、上記運転情報に基づいて各空調機10A〜10Uの運転状態が予め設定される運転条件を充足しているか否かを判断する。
【0064】
(2−3−3)通信部405
通信部405は、通信ネットワーク6に対するインタフェースであり、指令部407の命令に従って通信ネットワーク6に信号を送信し、或いは通信ネットワーク6から信号を受信し、その旨を表す信号を指令部407に送る。
【0065】
(2−3−4)指令部407
指令部407は、通信部405を制御して各空調機10A〜10Uから送信された運転情報を受信し、且つその運転情報に基づき集中制御部40の各部の動作を制御する。
【0066】
(3)空調機10の動作
空調機10では、四方切換弁15によって、冷媒の循環サイクルを冷房運転時の循環サイクルおよび暖房運転時の循環サイクルのいずれか一方に切り換えることが可能である。
【0067】
(3−1)冷房運転
冷房運転では、
図3に示す四方切換弁15が実線で示す状態となり、圧縮機12、室内ファン27、熱源側ファン16が運転状態となる。これにより、冷媒回路Cでは、熱源側熱交換器13が凝縮器となり、室内熱交換器32が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0068】
具体的には、圧縮機12で圧縮された高圧冷媒は、熱源側熱交換器13を流れ、空気と熱交換する。熱源側熱交換器13では、高圧冷媒が空気へ放熱して凝縮する。熱源側熱交換器13で凝縮した冷媒は、室内熱交換器32へ送られる途中において、膨張弁14で減圧され、その後、室内熱交換器32を流れる。
【0069】
室内ユニット21では、室内ファン27によって吸い込まれた室内空気が、室内熱交換器32を通過し、その際に冷媒と熱交換する。室内熱交換器32では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、その際に空気が冷却される。室内熱交換器32で冷却された空気は、室内空間へ供給される。また、室内熱交換器32で蒸発した冷媒は、圧縮機12に吸入され再び圧縮される。
【0070】
(3−2)暖房運転
暖房運転では、
図1に示す四方切換弁15が破線で示す状態となり、圧縮機12、室内ファン27、熱源側ファン16が運転状態となる。これにより、冷媒回路Cでは、室内熱交換器32が凝縮器となり、熱源側熱交換器13が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0071】
具体的には、圧縮機12で圧縮された高圧冷媒は、室内熱交換器32を流れる。室内ユニット20では、室内ファン27よって吸い込まれた室内空気が、室内熱交換器32を通過し、その際に冷媒と熱交換する。室内熱交換器32では、冷媒が室内空気へ放熱して凝縮し、その際に空気が加熱される。室内熱交換器32で加熱された空気は、室内空間へ供給される。また、室内熱交換器32で凝縮した冷媒は、膨張弁14で減圧された後、熱源側熱交換器13を流れる。熱源側熱交換器13では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。熱源側熱交換器13で蒸発した冷媒は、圧縮機12に吸入され再び圧縮される。
【0072】
(4)空調機10の起動制御
この空調システムでは、集中制御部40が、複数の空調機10A〜10Uそれぞれの制御部41を介して、複数の空調機10A〜10Uの各種運転を遠隔制御している。本発明に係る空調制御装置は、集中制御部40、及び複数の空調機10A〜10Uそれぞれの制御部41で構成されている。
【0073】
日々の空調運転開始時に全ての空調機10A〜10Uを一斉に起動させると、消費電力が契約電力のピーク電力量を超えてしまったり、或いは、一時的に供給能力を超えることによって停電を引き起こしたりする虞がある。
【0074】
そこで、本実施形態に係る空調システムでは、全ての空調機10A〜10Uを対象に、予めグループ分けし、それを集中制御部40の記憶部401に記憶させている。さらに、記憶部401は、グループごとに、それに属する空調機に対して最初に圧縮機12を起動させる空調機を設定し、記憶している。
【0075】
図1Aの各空調機を示す枠で囲まれたアルファベットに隣接して記載されている丸括弧内の番号は、各部屋における空調機の優先順位を示している。
【0076】
具体的には、各部屋R1〜R6及びフロアFLそれぞれを一つのグループとし、第1部屋R1では空調機10A、第2部屋R2では空調機10E、第3部屋R3では空調機10I、第4部屋R4では空調機10N、第5部屋R5では空調機10O、第6部屋R6では空調機10Pが、最初に圧縮機12を起動させる空調機として設定されている。
【0077】
(4−1)集中制御部40の動作
図5は、集中制御部40の動作フローチャートである。以下、
図5を参照しながら、その動作を説明する。
【0078】
(ステップS1)
先ず、集中制御部40は、ステップS1において、圧縮機12の起動指令の有無を判定し、起動指令が有る場合はステップS2へ進み、起動指令が無い場合は、起動指令の有無の判定を継続する。
【0079】
(ステップS2)
次に、集中制御部40は、ステップS2において、起動指令が一斉起動に該当するか否かを判定する。ここで、一斉起動とは、全空調機10A〜10Uの圧縮機12を起動すること、又は所定数以上の部屋の空調機の圧縮機12を起動することである。
【0080】
集中制御部40は、一斉起動に該当すると判定したときはステップS3に進み、一斉起動に該当しないと判定したときはステップS12に進む。
【0081】
(ステップS3)
次に、集中制御部40は、ステップS3において、運転を開始させる空調機の順序を設定するため、圧縮機12を最初に起動させる第1優先空調機群、次に起動させる第2優先空調機群、その次に起動させる第3優先空調機群、さらにその次に起動させる第4優先空調機群を特定する。
【0082】
本実施形態では、圧縮機12を最初に起動させる第1優先空調機群として、第1部屋R1の空調機10A、フロアFLの空調機10D、第2部屋R2の空調機10E、第3部屋R3の空調機10I、第4部屋R4の空調機10N、第5部屋R5の空調機10O、及び第6部屋R6の空調機10Pが、予め記憶部401に記憶されている。
【0083】
同様に、第1優先空調機群の次に、圧縮機12を起動させる第2優先空調機群として、第1部屋R1の空調機10B、フロアFLの空調機10K、第2部屋R2の空調機10F、第3部屋R3の空調機10J、及び第6部屋R6の空調機10Qが、記憶部401に記憶されている。
【0084】
さらに、第2優先空調機群の次に、圧縮機12を起動させる第3優先空調機群として、第1部屋R1の空調機10C、フロアFLの空調機10L、第2部屋R2の空調機10G、及び第6部屋R6の空調機10Rが、記憶部401に記憶されている。
【0085】
そして、最後に圧縮機を起動させる第4優先空調機群として、フロアFLの空調機10M、第6部屋R6の空調機10S、10T、及び10Uが、記憶部401に記憶されている。
【0086】
(ステップS4)
集中制御部40は、ステップS4において、第1優先空調機群に属する全ての空調機10A、10D、10E、10I、10N、10O、及び10Pの圧縮機12を起動させる。
【0087】
(ステップS5)
集中制御部40は、ステップS5において、第1優先空調機群に属する全ての空調機10A、10D、10E、10I、10N、10O、及び10Pの圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していればステップS6に進む。
【0088】
(ステップS6)
集中制御部40は、ステップS6において、第2優先空調機群に属する全ての空調機10B、10K、10F、10J、及び10Qの圧縮機12を起動させる。
【0089】
(ステップS7)
集中制御部40は、ステップS7において、第2優先空調機群に属する全ての空調機10B、10K、10F、10J、及び10Qの圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していればステップS8に進む。
【0090】
(ステップS8)
集中制御部40は、ステップS8において、第3優先空調機群に属する全ての空調機10C、10L、10G、及び10Rの圧縮機12を起動させる。
【0091】
(ステップS9)
集中制御部40は、ステップS9において、第3優先空調機群に属する全ての空調機10C、10L、10G、及び10Rの圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していればステップS10に進む。
【0092】
(ステップS10)
集中制御部40は、ステップS10において、第4優先空調機群に属する全ての空調機10M、10S、10T、及び10Uの圧縮機12を起動させる。
【0093】
(ステップS11)
集中制御部40は、ステップS11において、第4優先空調機群に属する全ての空調機10M、10S、10T、及び10Uの圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していれば起動制御を終了する。
【0094】
(ステップS12)
一方、集中制御部40は、先のステップS2において、一斉起動に該当しないと判定した場合にはステップS12に進み、通常の起動制御を行う。
【0095】
つまり、例えば、第1部屋R1の空調機10A、10B及び10Cだけを起動するような場合には、3台同時に起動させても、消費電力が契約電力のピーク電力量を超えてしまったり、或いは、一時的に供給能力を超えることによって停電を引き起こしたりする虞はないので、通常の起動制御を行う。
【0096】
(ステップS13)
集中制御部40は、ステップS13において、起動対象の空調機の圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していれば起動制御を終了する。
【0097】
(4−2)作用と効果
上記のように、集中制御部40が、複数の空調機10A〜10Uを部屋単位及びフロア単位でグループ分けをし、グループごとに圧縮機12を起動させる空調機の優先順位を設定し、記憶部401に記憶しているので、ステップS3における空調機の特定が容易である。
【0098】
そして、ステップS4〜ステップS11では、各グループの優先順位第1位の空調機群それぞれの圧縮機12が起動したのちは、順位第2位の空調機群それぞれの圧縮機12を起動するように、時期をずらして起動させるので、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0099】
さらに、部屋ごとに少なくとも1台の空調機の圧縮機12が起動し運転を開始するので、常に人が利用する空間の空調開始時期が遅れることがなく、その空間の利用者に不快感を与えることも回避される。
【0100】
(5)変形例
第1実施形態では、集中制御部40が、複数の空調機10A〜10Uを部屋単位及びフロア単位でグループ分けし、グループごとに圧縮機12を起動させる空調機の優先順位を設定し、時期をずらして圧縮機12を起動させる制御を行っている。
【0101】
しかし、それに限定されるものではなく、集中制御部40は、フロア及び複数の部屋それぞれに対して予め優先順位を設定し、その優先順位に沿って該当するその部屋に属する空調機の圧縮機12を起動させることができる。
【0102】
(5−1)集中制御部40の動作の変形例
図6は、変形例における集中制御部40の動作フローチャートである。
図6のフローチャートは、
図5のフローチャートのステップS3からステップS11を変形したものであるので、それら各ステップの符号の末尾に「m」を添えた符号を使用している。以下、
図5を参照しながら、その動作を説明する。
【0103】
(ステップS1)
先ず、集中制御部40は、ステップS1において、圧縮機の起動指令の有無を判定し、起動指令が有る場合はステップS2へ進み、起動指令が無い場合は、起動指令の有無の判定を継続する。
【0104】
(ステップS2)
次に、集中制御部40は、ステップS2において、起動指令が一斉起動に該当するか否かを判定する。
【0105】
集中制御部40は、一斉起動に該当すると判定したときはステップS3mに進み、一斉起動に該当しないと判定したときはステップS12に進む。
【0106】
(ステップS3m)
集中制御部40は、ステップS3mにおいて、運転を開始させる空調機の順序を設定するため、圧縮機12を最初に起動させる第1優先空間空調機群、次に起動させる第2優先空間空調機群、その次に起動させる第3優先空間空調機群、さらにその次に起動させる第4優先空間空調機群を特定する。
【0107】
図1Aの各部屋及びフロアのコーナーに記載されている角括弧内の番号は、優先順位を示している。
【0108】
本実施形態では、圧縮機12を最初に起動させる第1優先空間空調機群として、第3部屋R3、第4部屋R4及び第5部屋R5に属する空調機10I、10J、10N及び10Oが、予め記憶部401に記憶されている。
【0109】
同様に、第1優先空間空調機群の次に、圧縮機12を起動させる第2優先空間空調機群として、第2部屋R2に属する空調機10E、10F、10G及び10Hが、記憶部401に記憶されている。
【0110】
さらに、第2優先空間空調機群の次に、圧縮機12を起動させる第3優先空間空調機群として、第1部屋R1及びフロアFLに属する空調機10A、10B、10C、10D、10K、10L及び10Mが、記憶部401に記憶されている。
【0111】
そして、最後に圧縮機12を起動させる第4優先空間空調機群として、第6部屋R6の空調機10P、10Q、10R、10S、10T及び10Uが、記憶部401に記憶されている。
【0112】
(ステップS4m)
集中制御部40は、ステップS4mにおいて、第1優先空間空調機群に属する全ての空調機10I、10J、10N及び10Oの圧縮機12を起動させる。
【0113】
(ステップS5m)
集中制御部40は、ステップS5mにおいて、第1優先空間空調機群に属する全ての空調機10I、10J、10N及び10Oの圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していればステップS6mに進む。
【0114】
(ステップS6m)
集中制御部40は、ステップS6mにおいて、第2優先空間空調機群に属する全ての空調機10E、10F、10G及び10Hの圧縮機12を起動させる。
【0115】
(ステップS7m)
集中制御部40は、ステップS7mにおいて、第2優先空間空調機群に属する全ての空調機10E、10F、10G及び10Hの圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していればステップS8mに進む。
【0116】
(ステップS8m)
集中制御部40は、ステップS8mにおいて、第3優先空間空調機群に属する全ての空調機10A、10B、10C、10D、10K、10L及び10Mの圧縮機12を起動させる。
【0117】
(ステップS9m)
集中制御部40は、ステップS9mにおいて、第3優先空間空調機群に属する全ての空調機10A、10B、10C、10D、10K、10L及び10Mの圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していればステップS30に進む。
【0118】
(ステップS10m)
集中制御部40は、ステップS10mにおいて、第4優先空間空調機群に属する全ての空調機10P、10Q、10R、10S、10T及び10Uの圧縮機12を起動させる。
【0119】
(ステップS11m)
集中制御部40は、ステップS11mにおいて、第4優先空間空調機群に属する全ての空調機10P、10Q、10R、10S、10T及び10Uの圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していれば起動制御を終了する。
【0120】
(ステップS12)
一方、集中制御部40は、先のステップS12において、一斉起動に該当しないと判定した場合にはステップS12に進み、通常の起動制御を行う。
【0121】
(ステップS13)
集中制御部40は、ステップS13において、起動対象の空調機の圧縮機12が起動を完了したか否かを判定し、起動が完了していれば起動制御を終了する。
【0122】
(5−2)作用と効果
上記のように、集中制御部40が、複数の空調機10A〜10Uを部屋単位及びフロア単位でグループ分けし、各グループに優先順位を設定してそれを記憶部401に記憶しているので、「優先順位の高いグループに属する空調機の圧縮機12を起動させる」という方法で、ステップS3mにおける空調機の特定をすることができる。
【0123】
そして、ステップS4m〜ステップS11mでは、複数の空調機10A〜10Uを、優先順位第1位の空調機群それぞれの圧縮機12が起動したのちは、順位第2位の空調機群それぞれの圧縮機12を起動するように、時期をずらして起動させるので、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0124】
(6)特徴
(6−1)
集中制御部40は、複数の空調機10A〜10Uの圧縮機12を、時期をずらして起動させるので、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0125】
また、部屋ごとに少なくとも1台の空調機を運転するので、例えば、常に人が利用する部屋の空調開始時期が遅れることがなく、その部屋の利用者に不快感を与えることも回避される。
【0126】
(6−2)
各部屋とも、優先順位第1位の空調機が運転したのちは、順位第2位の空調機を運転するように、順次運転していくことによって、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0127】
(6−3)
或いは、優先順位第1位の部屋に属する全ての空調機を運転したのちは、順位第2位の部屋に属する全ての空調機を運転するように、順次運転していくことによって、一時期に電力消費が集中することが防止される。
【0128】
(7)その他
(7−1)
集中制御部40は、部屋ごとに最初に運転させる空調機をユーザーに設定させる、第1設定機能を有している。ユーザーは、リモコン42を介して第1設定機能を利用することができる。
【0129】
どの部屋においても、先に運転させたい空調機を変える事情も有り得るので、そのような場合に第1設定機能によって希望する空調機を先に運転させることができる。
【0130】
(7−2)
集中制御部40は、特定の部屋に属する空調機だけを他の部屋に属する空調機よりも先に運転させるようにユーザーに設定させる、第2設定機能を有している。ユーザーは、リモコン42を介して第2設定機能を利用することができる。
【0131】
予め、どの部屋よりも早く空調運転を開始しておく必要がある部屋がわかっている場合は、第2設定機能によって当該部屋の空調機を優先的に運転させることができるので、使い勝手がよい。
【0132】
(7−3)
上記実施形態及び上記変形例では、集中制御部40が空調機10A〜10Uの各制御部41とは別個に設けられている構成である。しかし、これに限定されるものではなく、空調機10A〜10Uのいずれかを親機として、親機の制御部41を集中制御部として設定しても良い。