特許第6985587号(P6985587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985587
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/26 20120101AFI20211213BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B24B37/26
   H01L21/304 622F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-67861(P2017-67861)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-167371(P2018-167371A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005359
【氏名又は名称】富士紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 博仁
(72)【発明者】
【氏名】立野 哲平
(72)【発明者】
【氏名】松岡 立馬
(72)【発明者】
【氏名】三國 匠
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−124043(JP,A)
【文献】 特開2013−043243(JP,A)
【文献】 特開2011−177884(JP,A)
【文献】 特開2004−140178(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0017764(US,A1)
【文献】 特開2007−201449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/26
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研磨物と摺動する研磨面を備え、この研磨面に円周方向に沿った周方向溝を形成するとともに、該周方向溝と交差して研磨パッドの外周面に開口する複数の交差溝を形成し、上記周方向溝を、スラリーを保持する保持溝として構成し、上記複数の交差溝を、研磨屑や使用後のスラリーを排出する排出溝として構成した研磨パッドにおいて、
上記保持溝としての周方向溝の深さを、上記排出溝としての交差溝よりも深くしてあり、上記保持溝と排出溝とが交差する各交差部分は、研磨屑を収容して沈殿させる収容部となっており、
上記保持溝は、研磨面に同心状に配置された複数の円周方向溝、又は螺旋溝からなり、上記排出溝は、研磨面に形成された放射状溝又は格子溝からなることを特徴とする研磨パッド。
【請求項2】
上記保持溝の幅は、上記排出溝の幅よりも狭くなっており、上記保持溝の深さは、上記排出溝の深さの約2倍となっていることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
上記排出溝の断面は方形又はV字形となっており、上記保持溝の断面は、方形、V字形、底部中央に凹部を有する方形、台形、又は底部側が上方部よりも幅広となる凸状のいずれかとなっていることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨パッドに関し、より詳しくは、例えば光学材料やガラス基板等の研磨に用いて好適な研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研磨面に複数の同心円状の円周方向溝を形成するとともに、該円周方向溝と交差する複数の直線状溝を形成した研磨パッドは公知である(例えば特許文献1、特許文献2)。
こうした従来の研磨パッドは、上記円周方向溝をスラリーを保持する保持溝として構成し、上記直線状溝を研磨屑や使用後のスラリーを排出する排出溝として構成している。そして、特許文献1の研磨パッドは、排出溝の深さを保持溝よりも深くなるように構成してあり、特許文献2の研磨パッドは、保持溝のピッチと排出溝のピッチを特定の関係に設定してあり、それによって研磨レートを向上させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−156876号公報
【特許文献2】特開2013−35108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、研磨パッドにより被研磨物を研磨する際に研磨の高精度化が要求されており、そのために、研磨パッドに対して次のような要求がなされている。すなわち、(1)液状のスラリーを被研磨物の表面に均等かつ十分に行き渡らせること、(2)高価なスラリーの消費量を抑制すること、(3)スクラッチの原因となる研磨屑を効率的に排出すること等、スラリーの流れをコントロールすることが要求されている。
しかしながら、上記従来の研磨パッドにおいては、スラリーの流れのコントロールが必ずしも十分なものではなかった。そして、特許文献1の研磨パッドにおいては、スラリーの排出能力は優れる反面、スラリーの保持能力が十分とは言えず、必ずしも高い研磨レートが得られないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、被研磨物と摺動する研磨面を備え、この研磨面に円周方向に沿った周方向溝を形成するとともに、該周方向溝と交差して研磨パッドの外周面に開口する複数の交差溝を形成し、上記周方向溝を、スラリーを保持する保持溝として構成し、上記複数の交差溝を、研磨屑や使用後のスラリーを排出する排出溝として構成した研磨パッドにおいて、
上記保持溝としての周方向溝の深さを、上記排出溝としての交差溝よりも深くしてあり、上記保持溝と排出溝とが交差する各交差部分は、研磨屑を収容して沈殿させる収容部となっており、
上記保持溝は、研磨面に同心状に配置された複数の円周方向溝、又は螺旋溝からなり、上記排出溝は、研磨面に形成された放射状溝又は格子溝からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、保持溝によるスラリーの保持能力を大きくすることができるとともに、上記収容部に研磨屑を収容することができる。そのため、スクラッチの発生を抑制して研磨レートが高い研磨パッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施例を示す側面図。
図2図1の研磨パッドの平面図。
図3図2のIII方向からの要部の側面図。
図4図2のIV―IV線に沿う要部の断面図。
図5図2の要部を拡大した斜視図。
図6】本発明の研磨パッドの第2実施例を示す平面図。
図7】本発明の研磨パッドの第3実施例を示す平面図。
図8】保持溝に関する他の実施例を示す断面図。
図9】保持溝に関する他の実施例を示す断面図。
図10】保持溝に関する他の実施例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1は本発明にかかる研磨パッド1を備えた研磨装置2の側面図を示し、この研磨装置2は、被研磨物3を研磨パッド1により研磨するようになっている。
上記研磨装置2は、下方側に設けられて研磨パッド1を支持する研磨定盤4と、上方側に設けられて被研磨物3を支持する支持定盤5と、液状のスラリーSを供給するスラリー供給手段6とを備えている。
上記研磨パッド1および被研磨物3はそれぞれ略円盤状を有しており、本実施例では研磨パッド1の直径は被研磨物3の直径よりも大径となっている。また研磨パッド1は、その下面を両面テープ等によって研磨定盤4に固定されており、被研磨物3は支持定盤5に真空吸着されている。
また上記研磨定盤4および支持定盤5は図示しない駆動手段によって相対的に回転するとともに、上記支持定盤5は研磨定盤4の中心位置から半径方向に往復動可能に設けられており、これにより上記研磨パッド1と被研磨物3とが相対的に回転しながら摺動するようになっている。
スラリー供給手段6は、所要の薬品中に砥粒の混合された液状のスラリーSを上記研磨パッド1の研磨面1Aの中心部に供給し、これにより当該スラリーSが研磨面1Aと被研磨物3との間に入り込むことで、被研磨物3の研磨が行われるようになっている。
このような構成を有する研磨装置自体は従来公知であり、これ以上の詳細な説明については省略する。なお、上記構成を有する研磨装置2の他、例えば支持定盤5には駆動がなく、研磨定盤4の回転により支持定盤5が連れ回るようにした研磨装置2など、その他の構成を有した研磨装置2も使用可能である。
【0009】
本実施例の研磨パッド1の製造方法としては、例えば、少なくともプレポリマーとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物、硬化剤、中空体を準備する準備工程;少なくとも、上記ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物、硬化剤を混合して成形体成形用の混合液を得る混合工程;上記成形体成形用混合液からポリウレタンポリウレア樹脂成形体を成形する成形体成形工程;および上記ポリウレタンポリウレア樹脂成形体から、上記研磨面1Aを有する研磨層を形成する研磨層形成工程、を含むことが挙げられる。
以下、準備工程、混合工程、成形体成形工程、研磨層形成工程に分けて、それぞれ説明する。
【0010】
上記準備工程として、上記研磨パッド1の製造には、ポリウレタンポリウレア樹脂成形体の原料として、例えば、ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物、硬化剤、中空体が用いられる。更にポリオール化合物を上記成分とともに用いてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の成分を併せて用いてもよい。
【0011】
上記準備工程で準備される上記ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物は、下記ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、通常用いられる条件で反応させることにより得られる化合物であり、ポリウレタン結合とイソシアネート基を分子内に含むものである。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の成分がポリウレタン結合含有イソシアネート化合物に含まれていてもよい。
上記ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物としては、市販されているものを用いてもよく、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて合成したものを用いてもよい。上記反応に特に制限はなく、ポリウレタン樹脂の製造において公知の方法および条件を用いて付加重合反応すればよい。
例えば、40℃に加温したポリオール化合物に、窒素雰囲気にて撹拌しながら50℃に加温したポリイソシアネート化合物を添加し、30分後に80℃まで昇温させ更に80℃にて60分間反応させるといった方法で製造することが出来る。
【0012】
まず、上記ポリイソシアネート化合物とは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。またポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有していれば特に制限されるものではない。
例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。
さらに、ポリイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物が好ましく、中でも2,4−TDI、2,6−TDI、MDIがより好ましく、2,4−TDI、2,6−TDIが特に好ましい。
これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、複数のポリイソシアネート化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
次に上記ポリオール化合物とは、分子内に2つ以上のアルコール性水酸基(OH)を有する化合物を意味する。
上記ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物の合成に用いられるポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール等のジオール化合物、トリオール化合物等;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(又はポリテトラメチレンエーテルグリコール)(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物;エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物;ポリカーボネートポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物等を挙げることができる。
また、エチレンオキサイドを付加した3官能性プロピレングリコールを用いることもできる。これらの中でも、PTMG、又はPTMGとDEGの組み合わせが好ましい。
上記ポリオール化合物は単独で用いてもよく、複数のポリオール化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
ここで、NCO基1個当たりのPP(プレポリマー)の分子量を示すプレポリマーのNCO当量としては、200〜800であることが好ましく、300〜700であることがより好ましく、400〜600であることがさらにより好ましい。
具体的に上記プレポリマーのNCO当量は以下のようにして求めることができる。
プレポリマーのNCO当量=(ポリイソシアネート化合物の質量部+ポリオール化合物の質量部)/[(ポリイソシアネート化合物1分子当たりの官能基数×ポリイソシアネート化合物の質量部/ポリイソシアネート化合物の分子量)−(ポリオール化合物1分子当たりの官能基数×ポリオール化合物の質量部/ポリオール化合物の分子量)]
【0015】
上記硬化剤(鎖伸長剤ともいう)としては、例えば、ポリアミン化合物および/又はポリオール化合物を用いることができる。
ポリアミン化合物とは、分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物を意味し、脂肪族や芳香族のポリアミン化合物、特にはジアミン化合物を使用することができる。
例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(メチレンビス−o−クロロアニリン)(以下、MOCAと略記する。)、MOCAと同様の構造を有するポリアミン化合物等を挙げることができる。
また、ポリアミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。
ポリアミン化合物としては、ジアミン化合物が好ましく、MOCA、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンがより好ましく、MOCAが特に好ましい。
ポリアミン化合物は、単独で用いてもよく、複数のポリアミン化合物を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミン化合物は、他の成分と混合し易くするためおよび/又は後の成形体形成工程における気泡径の均一性を向上させるために、必要により加熱した状態で減圧下脱泡することが好ましい。減圧下での脱泡方法としては、ポリウレタンの製造において公知の方法を用いればよく、例えば、真空ポンプを用いて0.1MPa以下の真空度で脱泡することができる。
硬化剤(鎖伸長剤)として固体の化合物を用いる場合は、加熱により溶融させつつ、減圧下脱泡することができる。
【0016】
また、硬化剤としてのポリオール化合物としては、ジオール化合物やトリオール化合物等の化合物であれば特に制限なく用いることができる。また、プレポリマーを形成するのに用いられるポリオール化合物と同一であっても異なっていてもよい。
具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの低分子量ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの高分子量のポリオール化合物などが挙げられる。
上記ポリオール化合物は単独で用いてもよく、複数のポリオール化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
ここで、上記ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤に存在する活性水素基(アミノ基および水酸基)の当量比であるR値が、0.60〜1.40となるよう、各成分を混合する。R値は、0.65〜0.1.30が好ましく、0.70〜1.20がより好ましい。
【0018】
上記中空体とは、空隙を有する微小球体を意味する。微小球体には、球状、楕円状、およびこれらに近い形状のものが含まれる。中空体の例としては、熱可塑性樹脂からなる外殻(ポリマー殻)と、外殻に内包される低沸点炭化水素とからなる未発泡の加熱膨張性微小球状体を、加熱膨張させたものが挙げられる。
上記ポリマー殻としては、特開昭57−137323号公報等に開示されているように、例えば、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。同様に、ポリマー殻に内包される低沸点炭化水素としては、例えば、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、石油エーテル等を用いることができる。
なお、上記中空体を用いる他、水発泡等の化学的発泡や機械的な撹拌による発泡を用いて気泡を形成しても良く、これらの方法を組み合わせても良い。
【0019】
次に混合工程について説明すると、当該混合工程では、上記準備工程で準備した、プレポリマーとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物、硬化剤および中空体を、混合機内に供給して攪拌・混合する。混合工程は、上記各成分の流動性を確保できる温度に加温した状態で行われる。
混合順序に特に制限はないが、ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物と中空体とを混合した混合液と、硬化剤および必要に応じて他の成分を混合した混合液とを用意し、両混合液を混合器内に供給して混合撹拌することが好ましい。このようにして、成形体成形用の混合液が調製される。
【0020】
次に成形体成形工程では、上記混合工程で調製された成形体成形用混合液を50〜100℃の型枠内に流し込み、硬化させることによりポリウレタンポリウレア樹脂成形体を成形する。
このとき、プレポリマー、硬化剤が反応してポリウレタンポリウレア樹脂を形成することにより該混合液は硬化する。
【0021】
そして、研磨層形成工程では、上記成形体成形工程により得られたポリウレタンポリウレア樹脂成形体をシート状にスライスするとともに、スライスした樹脂シートを円形に裁断することで、円盤状の研磨パッド1が形成され、その一方となる上面が研磨面1Aとなり、反対側となる下面は前述した両面テープの装着面となる。
【0022】
上述した工程を経て円盤状の研磨パッド1を製造するが、さらに本実施例では、研磨パッド1の上面となる研磨面1Aに、スラリーSを保持する複数の保持溝1Bを形成するとともに、研磨屑や使用後のスラリーSを排出するための複数の排出溝1Cを形成している。
すなわち、図2に平面図で示すように、研磨パッド1の研磨面1Aには、その中心から同心円状に等ピッチPで複数の円周方向溝が形成されており、各円周方向溝がスラリーSを保持する保持溝1Bとなっている。円周方向からなる各保持溝1Bは、研磨パッド1の外周面1Dには開口しておらず、閉じられた形状となっている。保持溝1Bとしての各円周方向溝の幅及び深さは全て同一寸法となっている。図4ないし図5に示すように、保持溝1Bの断面形状は縦長の長方形となっている。
また、研磨面1Aには、中心から放射方向に延びて、外周面1Dに開口する直線状の複数の放射方向溝が形成されており、各放射方向溝が排出溝1Cとなっている。排出溝1Cは、円周方向において等角度で合計16箇所に形成されており、これら各排出溝1Cは上記円周方向溝からなる保持溝1Bと実質的に直交した状態となっている(図2ないし図5参照)。この放射方向溝からなる排出溝1Cが、上記保持溝1Bと交差する交差溝となっている。排出溝1Cの断面形状は横長の長方形となっている。そして、図5に示すように、上記排出溝1Cの幅は、上記保持溝1Bの幅の約3倍の寸法に設定されている。なお、排出溝1Cの幅は、保持溝1Bの幅の2倍〜10倍程度に設定しても良い。
さらに、図3図5に示すように、保持溝1Bの深さは、排出溝1Cよりも深くなっている。より詳細には、保持溝1Bの深さは、排出溝1Cの深さの約2倍に設定されている。なお、保持溝1Bの深さは、排出溝1Cの深さの1.1倍〜3倍程度に設定しても良い。
そして、図5に示すように、保持溝1Bと排出溝1Cとが交差する各交差部分は、保持溝1Bの底部1Baが排出溝1Cの底部1Caを兼ねており、これら各交差部分が研磨屑を収容して沈殿させる収容部1Eとなっている。
【0023】
以上のように、本実施例の研磨パッド1は、研磨面1Aに複数の保持溝1Bが形成されるとともに、それらと交差する交差溝としての複数の排出溝1Cが形成されており、保持溝1Bの深さは排出溝1Cよりも深くなっている。換言すると、排出溝1Cは保持溝1Bよりも深さが浅くなっているので、研磨作業中におけるスラリーSの排出量を適度に抑制することができる。
そのため、スラリーSを研磨面1Aの中心部に供給して被研磨物3を研磨パッド1によって研磨する際に、研磨面1Aの保持溝1BがスラリーSを保持する保持能力が大きくなっている。それにより、保持溝1BのスラリーSは研磨面1Aと被研磨物3との摺動部分に満遍なく供給され、その状態で研磨面1Aにより被研磨物3が研磨される。
そして、研磨作業中に生じる研磨屑や使用後のスラリーSは、各排出溝1Cを介して研磨面1Aの放射方向の外方へ向けて排出される。その際に、排出溝1C内を移動する研磨屑が上記各収容部1E内に落下して、そこに収容されて沈殿するようになっている(図4図5参照)。このように、研磨屑が各収容部1Eに収容されて沈殿するので、研磨屑によるスクラッチの発生を抑制することができる。
本実施例によれば、保持溝1BがスラリーSを保持する保持能力を向上させることができるとともに、収容部1Eに研磨屑を収容することができる。したがって、スクラッチの発生を抑制して研磨レートが高い研磨パッド1を提供することができる。
【0024】
次に、図6は研磨パッド1の第2実施例を示したものであり、この第2実施例は、前述した第1実施例における放射方向溝の代わりに格子状溝を研磨面1Aに形成したことが特徴である。この第2実施例においては、格子状溝が排出溝1Cとなっている。その他の構成は図2に示した第1実施例の研磨パッド1と同じであり、対応する箇所には同じ番号を付している。このような構成の第2実施例の研磨パッド1であっても上述した第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0025】
次に、図7は研磨パッド1の第3実施例を示したものである。この第3実施例は、図2に示した第1実施例における複数の円周方向溝の代わりに一条の螺旋状溝1Fを形成したものである。この螺旋状溝1Fが円周方向に沿った周方向溝となっている。螺旋状溝1Fの外方端1Faは、研磨パッド1の外周面1Dには開口しておらず、したがって、螺旋状溝1Fは閉じた形状の周方向溝となっている。その他の構成は上記図2に示した第1実施例と同じである。この第3実施例においては、螺旋状溝1F全体が保持溝1Bとなっており、螺旋状溝1Fと排出溝1C(放射方向溝)とが交差する各交差部分が収容部1Eとなる。なお、第3実施例における上記第1実施例の研磨パッド1との対応箇所には同じ部材番号を付している。このような構成の第3実施例の研磨パッド1であっても上述した第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0026】
次に、図8図10は、上記保持溝1Bの断面形状に関する他の実施例を示したものである。つまり、図8は、上記図1の保持溝1Bの底部1Baの中央に長手方向に沿った直線状の方形溝を形成したものである。それにより、保持溝1Bは、底部中央に小さな方形の凹部が形成された断面形状となっている。
次に、図9は、保持溝1Bの断面形状を台形にしたものである。さらに、図10は、保持溝1Bの底部1Ba側の幅を、上方側の箇所よりも幅広の方形に形成してあり、それにより全体として凸状の断面となっている。図9図10に示した保持溝1Bは、底部1Baの溝幅が上方側よりも幅広となっている。そのため、上記収容部1Eにおける研磨屑の収容量を多くすることができるとともに、収容部1Eに収容された研磨屑が研磨面1Aに流出しにくい構成となっている。
これら図8図10の保持溝1Bを有する研磨パッド1は、収容部1Eでの研磨屑の収容量が多く、かつ、収容部1Eから流出しにくい構成なっている。
【0027】
なお、上記第1実施例及び第2実施例においては、研磨面1Aに同心状に形成した複数の円周方向溝を形成して、それらを保持溝1Bとしているが、円周方向に沿って同心円状に複数の八角形を研磨面1Aに形成して、それらを保持溝1Bとしても良い。そのように形成された複数の八角形の周方向溝であっても、上記円周方向溝からなる保持溝1Bを設けた上記実施例と同様の作用効果を得ることできる。
また、上記実施例における放射状溝や格子状溝の代わりに、排出溝1Cとして複数の平行な直線状溝を研磨面1Aに形成しても良い。また、排出溝1Cとしては直線状溝に限らず、複数の円弧状溝を保持溝1Bと交差するように研磨面1Aに形成してもよい。
さらに、上記第1実施例ないし第3実施例では、保持溝1Bおよび排出溝1Cの断面形状は方形となっているが、保持溝1Bおよび排出溝1Cのいずれかの断面形状をV字形としても良い。
【符号の説明】
【0028】
1‥研磨パッド 1A‥研磨面
1B‥保持溝 1C‥排出溝
1E‥収容部 S‥スラリー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10