(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記周波数調整部は、基準値以下の上記差分が算出されたときの上記調整値が複数存在する場合、当該複数の調整値のうちの中央値を用いて上記調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の周波数調整装置。
上記調整実行部は、上記基準周波数が、上記フィルタに入力される信号の基となる調整信号を、該調整信号の周波数のチャンネルを周波数変換するための周波数で周波数変換した周波数である場合、
上記調整信号を、該調整信号の周波数の1つ後のチャンネルを周波数変換するための周波数で周波数変換した周波数を上記第1周波数とし、
上記調整信号を、該調整信号の周波数の1つ前のチャンネルを周波数変換するための周波数で周波数変換した周波数を上記第2周波数とする、ことを特徴とする請求項1または2に記載の周波数調整装置。
上記調整実行部は、上記第1周波数の信号が上記フィルタを通過した後の信号と、上記第2周波数の信号が上記フィルタを通過した後の信号とのうち、強度が大きい方の信号の周波数側に上記フィルタに入力される信号の周波数がシフトするように上記調整値を所定値ずつ変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の周波数調整装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、上述した従来技術であっても、所望の中心周波数に対するフィルタの中心周波数のズレを調整することはできる。しかし、上述の従来技術は、処理時間、処理工程といった点で改善の余地がある。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の技術では、フィルタの中心周波数を求める場合、以下の処理を行う必要がある。まず、入力を周波数シンセサイザに切り替え、所定周波数で基準レベルの連続波をミキサで周波数変換し、フィルタを介して復調した信号のレベルを検出する。次に、基準レベルより3dB高いレベルの信号を周波数±4kHzで掃引出力し、フィルタを経由した掃引各周波数でのレベルを比較する。そして、基準レベル0dBmの検出レベルと等しくなる周波数を求め、これらの周波数の中間値をフィルタの中心周波数とする。このように、特許文献1に記載の技術では、処理工程が多数にわたってしまう。
【0009】
また、個々の部品としての個体差のないデジタルフィルタを用いる場合、消費電力が大幅に増加するという問題が生じる。
【0010】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、従来技術から大幅な回路変更等を行うことなく、簡易な構成でフィルタの中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を適切に調整できる周波数調整装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る周波数調整装置は、フィルタに入力する信号の周波数を該フィルタの中心周波数のズレに対応させて調整する周波数調整装置であって、上記フィルタに基準周波数より高い第1周波数の信号と、上記基準周波数より低い第2周波数の信号とを順次入力させる処理と、上記第1周波数の信号が上記フィルタを通過した後の信号強度と、上記第2周波数の信号が上記フィルタを通過した後の信号強度との差分を算出する処理とを処理単位として、上記フィルタに入力される信号の周波数を変更する調整値を所定値ずつ変更する毎に上記処理単位を繰り返し実行する調整実行部と、基準値以下の上記差分が算出されたときの上記調整値を用いて上記調整を行う周波数調整部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、基準周波数を挟む前後の周波数が入力されたときのフィルタ通過後の信号の強度の差分を用いてフィルタの中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を調整する。フィルタ通過後の強度の差分は、フィルタに入力されるそれぞれの信号の周波数とフィルタの中心周波数との差が小さくなるほど小さくなる。よって、信号強度の差分を用いることにより適切にフィルタの中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を調整することができる。したがって、中心周波数の偏差が大きいフィルタであっても適切に性能を発揮させることができる。また、基準周波数より高い周波数の信号と低い周波数の信号の信号強度の差分を算出するのみであるため、従来技術から大幅な回路変更を行うことなく簡易な構成で実現できるとともに、短時間で中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を調整することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る周波数調整装置では、上記周波数調整部は、基準値以下の上記差分が算出されたときの上記調整値が複数存在する場合、当該複数の調整値のうちの中央値を用いて上記調整を行うもであってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、基準値以下の差分となる調整値のうちの中央値を用いて中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を調整する。上述したように、フィルタ通過後の信号強度の差分は、フィルタに入力されるそれぞれの信号の周波数とフィルタの中心周波数との差が小さくなるほど小さくなるので、中央値を用いて中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を調整することにより、適切に中心周波数のズレを調整することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る周波数調整装置では、上記調整実行部は、上記基準周波数が、上記フィルタに入力される信号の基となる調整信号を、該調整信号の周波数のチャンネルを周波数変換するための周波数で周波数変換した周波数である場合、上記調整信号を、該調整信号の周波数の1つ後のチャンネルを周波数変換するための周波数で周波数変換した周波数を上記第1周波数とし、上記調整信号を、該調整信号の周波数の1つ前のチャンネルを周波数変換するための周波数で周波数変換した周波数を上記第2周波数とする、ものであってもよい。
【0016】
上記の構成によれば、第1周波数と第2周波数とを容易に設定することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る周波数調整装置では、上記調整実行部は、(1)上記調整値を初期値から上記所定値ずつ増加させる毎に上記差分が大きくなるときは、上記調整値を初期値から上記所定値ずつ減少させる、または、(2)上記調整値を初期値から上記所定値ずつ減少させる毎に上記差分が大きくなるときは、上記調整値を初期値から上記所定値ずつ増加させるものであってもよい。
【0018】
上記の構成によれば、調整値の増減方向が適切でない場合に、増減方向を適切なものに正すことができる。これにより、適切にフィルタの中心周波数のズレを調整することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る周波数調整装置では、上記調整実行部は、上記第1周波数の信号が上記フィルタを通過した後の信号と、上記第2周波数の信号が上記フィルタを通過した後の信号とのうち、強度が大きい方の信号の周波数側に上記フィルタに入力される信号の周波数がシフトするように上記基準周波数を所定値ずつ変更するものであってもよい。
【0020】
上記の構成によれば、調整値の増減方向を一意に決定することができる。これにより、フィルタの中心周波数のズレを速やかに調整することができる。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る無線機器は上記周波数調整装置を含む構成である。これにより、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る周波数調整方法は、フィルタに入力する信号の周波数を該フィルタの中心周波数のズレに対応させて調整する周波数調整方法であって、上記フィルタに基準周波数より高い第1周波数の信号と、上記基準周波数より低い第2周波数の信号とを順次入力させる処理と、上記第1周波数の信号が上記フィルタを通過した後の信号強度と、上記第2周波数の信号が上記フィルタを通過した後の信号強度との差分を算出する処理とを処理単位として、上記フィルタに入力される信号の周波数を変更する調整値を所定値ずつ変更する毎に上記処理単位を繰り返し実行する調整実行ステップと、基準値以下の上記差分が算出されたときの上記調整値を用いて上記調整を行う周波数調整ステップと、を含むことを特徴としている。
【0023】
上記の方法によれば、上述した効果を同様の効果を奏する。
【0024】
本発明の各態様に係る周波数調整装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記周波数調整装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記周波数調整装置をコンピュータにて実現させる周波数調整装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、RSSI電圧の強度の差分を用いることによりフィルタの中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を適切に調整することができるという効果を奏する。したがって、中心周波数の偏差が大きいフィルタであっても適切に性能を発揮させることができるという効果を奏する。
【0026】
また、基準周波数の前後のチャンネルの信号強度の差分を算出するのみであるため、従来技術から大幅な回路変更を行うことなく簡易な構成で実現できるとともに、短時間で中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を調整することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔実施形態〕
〔概要〕
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、ダブルスーパーヘテロダイン方式の無線機器を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。まず、
図1を参照して本実施形態に係る無線機器1の概要について説明する。
図1は、無線機器1の要部構成を示すブロック図である。なお、
図1に示す機能ブロック図では、無線機器1の機能のうち、本発明と関係しない機能を示すブロックについては省略している。
【0029】
図1に示すように、無線機器1は、調整装置(周波数調整装置)10、第1局部発振器20、第2局部発振器30、周波数逓倍器40、混合器51、IFフィルタ52(1st IFフィルタ)、増幅器53、混合器54、IFフィルタ55(2nd IFフィルタ)、増幅器56、増幅器57、AM検波回路58、およびFM検波回路59を含む。
【0030】
そして、
図1に示すように、無線機器1では、以下に詳述する周波数調整処理において、シグナルジェネレータ(不図示)から入力信号として調整信号が混合器51に入力される。混合器51は、調整信号と第1局部発振器20にて生成された第1局部信号と混合し、調整信号の周波数を変換してIFフィルタ52に出力する。第1局部発振器20および第2局部発振器30は調整装置10から出力された制御電圧に応じた周波数の局部信号を生成し、発振する。例えば、第1局部発振器20は、受信周波数+46.35MHzの周波数の信号を発振する。また、第2局部発振器30は、後述する「調整値」に基づく周波数の信号を発振する。なお、上述通り、本実施形態では周波数調整処理を実行するときに無線機器1に入力される信号のことを調整信号と呼ぶ。また、第1局部発振器20が生成する局部信号を「第1局部信号」と呼び、第2局部発振器30が生成する局部信号を「第2局部信号」と呼ぶ。
【0031】
IFフィルタ52は、帯域制限フィルタである。IFフィルタ52の例としては、水晶フィルタ(XTALフィルタ)が挙げられる。また、IFフィルタ52の中心周波数の例は、46.35MHzである。
【0032】
IFフィルタ52を通過した信号は、増幅器53で増幅され混合器54に入力される。混合器54は、増幅器53を通過した信号と第2局部発振器30にて生成された第2局部信号を周波数逓倍器40にて逓倍した信号とを混合し、入力された信号を周波数変換してIFフィルタ55に出力する。IFフィルタ55は、帯域制限フィルタである。IFフィルタ55の例としては、セラミックフィルタが挙げられる。また、IFフィルタ55の理想的な中心周波数の例は、0.450MHzである。セラミックフィルタは、中心周波数(特性)のばらつきが大きいため、無線機器1の受信選択度が低下してしまう。本実施形態の構成により中心周波数のズレを第2局部発振器30が発振する第2局部信号を調整して吸収することで、無線機器1の受信選択度の低下を防止することができる。
【0033】
IFフィルタ55を通過した信号は、増幅器56および増幅器57にそれぞれ入力され、復調可能なレベルまで増幅された後、AM検波回路58またはFM検波回路59に入力される。AM検波回路58およびFM検波回路59では、それぞれ入力された信号を復調する。
【0034】
また、増幅器57を通過した信号のRSSI(Received Signal Strength Indication:受信信号強度)が調整装置10に入力される。
【0035】
調整装置10は、第1局部発振器20が発振する第1局部信号の周波数を調整する制御電圧を第1局部発振器20に出力する。第1局部信号の周波数を調整することにより、調整信号が入力されたときの周波数とは異なる周波数(チャンネル)を受信するための周波数に変更することができる。
【0036】
また、調整装置10は、取得したRSSIを用いて第2局部発振器30が発振する第2局部信号の周波数を調整する調整値(制御電圧)を決定し、決定した調整値に対応する制御電圧(2nd Lo Control (2LOC))を第2局部発振器30に出力する。第2局部信号の周波数を調整することにより、混合器54から出力される信号(つまり、IFフィルタ55に入力される信号)の周波数が変更される。よって、調整値は、IFフィルタ55に入力される信号の周波数を変更するものである。これにより、調整装置10は、IFフィルタ55の中心周波数のズレを第2局部発振器30が発振する第2局部信号を調整して吸収するための周波数調整処理を行う。周波数調整処理の詳細については後述する。
【0037】
〔調整装置10の構成〕
次に、
図2を参照して、調整装置10について説明する。
図2は、調整装置10の要部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、調整装置10は、RSSI取得部11、電圧差判定部12、調整値格納部13、最終調整値決定部(周波数調整部)14、調整部(調整実行部)15、および記憶部16を含む。
【0038】
RSSI取得部11は、増幅器57から出力された信号のRSSI電圧を取得する。そして、取得したRSSI電圧を電圧差判定部12に出力する。RSSI取得部11は、後述する第1局部発振器調整部152により制御電圧が出力されてから所定時間(例えば数十ms)が経過した後に、所定回数(例えば数回〜数十回)、RSSI電圧を取得し、それらの平均値を電圧差判定部12に出力する。
【0039】
電圧差判定部12は、後述する第1周波数の信号および第2周波数の信号がIFフィルタ55を通過し、増幅器57で増幅されたRSSI電圧の電圧差が基準値(例えば数百mV)以下であるか否かを判定する。そして、基準値以下である場合、その旨を調整値格納部13に通知する。
【0040】
調整値格納部13は、上述した電圧差が基準値以下であることを電圧差判定部12から通知された場合、そのときの調整値を記憶部16に記憶させる。
【0041】
最終調整値決定部14は、記憶部16に記憶されている調整値のうちの中央の値を最終調整値と決定し、調整部15に通知する。
【0042】
調整部15は、周波数調整処理において、第1局部信号の周波数を切り替えるための制御信号を第1局部発振器20に出力し、第2局部信号を調整するための調整値に対応した制御電圧を第2局部発振器30に出力する。また、調整部15は、最終調整値決定部14が決定した調整値に基づいて第2局部発振器30が発振する第2局部信号を調整する。調整部15は、第2局部発振器調整部151、および第1局部発振器調整部152を含む。
【0043】
第2局部発振器調整部151は、第2局部発振器30が発振する第2局部信号の周波数を決定する制御電圧を第2局部発振器30に出力する。また、IFフィルタ55の中心周波数のズレを吸収するための第2局部信号を調整する処理を行う場合、第2局部発振器調整部151は、調整値の初期値を決定し、決定した初期値に対応する制御電圧を第2局部発振器30に出力する。
【0044】
そして、第2局部発振器調整部151は、調整値を、初期値から所定の値ずつ(例えば、10進数で10ずつ)変更して、変更した調整値に対応する制御電圧を出力する。
【0045】
第1局部発振器調整部152は、周波数調整処理を行う場合、無線機器1に入力された調整信号の周波数より高い周波数である1つ後のチャンネル、および、当該周波数より低い周波数である1つ前のチャンネルを受信するときに、第1局部発振器20が発振する第1局部信号の周波数となる制御電圧を出力する。なお、第1周波数とは、調整信号の周波数より1つ後のチャンネルを受信するときに第1局部発振器が発振する第1局部信号と調整信号とを混合器51で混合したときにIFフィルタ55に入力される信号の周波数のことである。つまり、第1周波数とは、調整信号を、調整信号の周波数の1つ後のチャンネルを周波数変換するための周波数で周波数変換した周波数である。
【0046】
また、第2周波数とは、調整信号の周波数より1つ前のチャンネルを受信するときに第1局部発振器が発振する第1局部信号と調整信号とを混合器51で混合したときにIFフィルタ55に入力される信号の周波数のことである。つまり、第2周波数とは、上記調整信号を、該調整信号の周波数の1つ前のチャンネルを周波数変換するための周波数で周波数変換した周波数である。
【0047】
次に、本実施形態における信号の周波数例について説明する。例えば、シグナルジェネレータから周波数が127.510MHz、+60dBμ以上の強度の無変調の調整信号が入力され、1つ前のチャンネルの周波数を127.505MHz、1つ後のチャンネルの周波数を127.515MHzとした場合、各部から発振または出力される信号の周波数は以下の通りとなる。
【0048】
第1局部発振器20から発振される信号の周波数は、受信周波数+46.35MHzなので、受信周波数127.510MHzの信号を受信する場合、127.510+46.35=176.860MHzとなる。また、1つ前のチャンネルの場合、127.505+46.35=173.855MHzとなり、1つ後のチャンネルの場合、127.515+46.35=173.865MHzとなる。
【0049】
混合器51の出力は、1つ前のチャンネルの場合、173.855−127.510=46.345MHzとなり、1つ後のチャンネルの場合、173.865−127.510=46.355MHzとなる。なお、これらの信号は、IFフィルタ52の通過帯域内であるので、この周波数の信号が混合器54に入力されることになる。
【0050】
調整値が0x82のときの第2局部発振器30から発振される信号の周波数が、15.3MHzの場合、周波数逓倍器40により3倍されて、混合器54には、15.3×3=45.9MHzの信号が入力される。
【0051】
よって、混合器54の出力は、1つ前のチャンネルの場合、46.345−45.9=0.445MHzとなり、1つ後のチャンネルの場合、46.355−45.9=0.455MHzとなる。
【0052】
なお、上述した数値は一例であり、これに限られるものではない。
【0053】
以上のように、調整装置10は、周波数調整処理を行う場合、第1周波数の信号および第2周波数の信号が、IFフィルタ55を通過した後の信号のRSSI電圧の差分(電圧差)が基準値以下となる調整値に基づいてIFフィルタ55の中心周波数のズレを第2局部発振器30が発振する第2局部信号を調整して吸収する。これにより、フィルタの中心周波数のズレに対応してフィルタに入力される信号の周波数を適切に調整することができる。
【0054】
調整装置10は、IFフィルタ55に入力する信号の周波数をIFフィルタ55の中心周波数のズレに対応させて調整する装置であって、IFフィルタ55に基準周波数より高い周波数(第1周波数)である信号と、基準周波数より低い周波数(第2周波数)である信号とを順次入力させる処理と、上記第1周波数の信号がIFフィルタ55を通過した後のRSSI電圧(信号強度)と、上記第2周波数の信号がIFフィルタ55を通過した後のRSSI電圧(信号強度)との差分を算出する処理とを処理単位として、IFフィルタ55に入力される信号の周波数を変更する調整値を所定値(例えば、10進数で10)ずつ変更する毎に上記処理単位を繰り返し実行する調整実行部(調整部15)と、基準値以下の上記差分が算出されたときの上記調整値を用いて上記調整を行う周波数調整部(最終調整値決定部14)と、を備えている。
【0055】
なお、基準周波数とは、調整信号の周波数のチャンネルを無線機器1が受信するときに、IFフィルタ55に入力される信号の周波数のことである。
【0056】
上記の構成により、IFフィルタ55の中心周波数のズレを第2局部発振器30が発振する第2局部信号を調整して吸収できる理由について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3および
図4は、本実施形態の構成により、IFフィルタ55の中心周波数のズレを第2局部発振器30が発振する第2局部信号を調整して吸収できる理由を説明するための図である。
【0057】
図3および
図4は、IFフィルタ55のフィルタ特性と、IFフィルタ55を通過した後の第1周波数の信号および第2の周波数の信号の信号強度とを示しており、横軸が周波数、縦軸が信号強度を示している。
図3の(a)は、調整値が初期値の「0x82」のとき、IFフィルタ55の中心周波数にズレがない場合を示している。このとき、IFフィルタ55の中心周波数は0.450MHzであり、IFフィルタ55を通過した後の第1周波数の信号および第2の周波数の信号の信号強度の差はない。
図3の(b)は、IFフィルタ55の中心周波数にズレがある場合を示しており、中心周波数にズレがない場合のフィルタ特性を破線で示し、中心周波数にズレがある場合のフィルタ特性を実線で示す。
図3の(b)に示すように、中心周波数にズレがある場合、IFフィルタ55を通過した後の第1周波数の信号および第2の周波数の信号の信号強度には差があることが分かる。この信号強度の差が基準値以上である場合、調整値を増減し、信号強度の差が基準値以下となるように調整する。ちなみに、
図3の(b)では、第2周波数の信号は、IFフィルタ55で十分に減衰されるが、第1周波数の信号は、あまり減衰されていない。このことが受信選択度を低下させる原因となる。
【0058】
図4の(a)〜(c)に、IFフィルタ55の中心周波数にズレがある場合の調整の様子を示す。
図4の(a)は、調整値が初期値の「0x82」、
図4の(b)は、調整値が「0x78」、
図4の(c)は、調整値が「0x6E」の場合を示している。本実施形態では、IFフィルタ55を通過した後の第1周波数の信号および第2周波数の信号の信号強度の差を、Dn(n=1、2、3・・・n)とし、調整値を増減することで信号強度の差Dnが基準値以下になるように調整する。
【0059】
例えば、
図4の(a)に示すように、調整値が「0x82」のときのIFフィルタ55を通過した後の第1周波数の信号および第2の周波数の信号の信号強度の差であるD1が基準値以上である場合、調整値を増減する。ここでは「0x82」から「0x78」に減らすこととする。
図4の(b)は調整値を「0x78」に減らしたときの状態を示す。
図4の(b)では、調整値「0x82」のときの第1周波数の信号と第2周波数の信号を破線で示し、調整値「0x78」のときを実線で示している。IFフィルタ55に入力される第1周波数の信号および第2周波数の信号は、
図4の(a)と比較して高い方にシフトしていることが分かる。このときの信号強度の差をD2とする。
図4の(a)および(b)からD1>D2であることが分かる。ここでD2が基準値以下でなければ、さらに調整値を「0x6E」に減らす。
図4の(c)は、調整値が「0x6E」の場合を示している。
図4の(a)〜(c)よりD1>D2>D3であることが分かる。
【0060】
以上のように、IFフィルタ55の中心周波数が理想とする中心周波数からズレている場合、上述のように調整値を調整することにより第2局部信号の周波数を調整し、IFフィルタ55を通過させる信号の周波数を、中心周波数がズレたIFフィルタ55の中心周波数に近づけるようにすることで、IFフィルタ55の中心周波数のズレを吸収することができる。
【0061】
〔処理の流れ〕
次に、
図5を参照して、無線機器1における処理の流れを説明する。
図5は、無線機器1における処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
図5に示すように、まず、所定(例えば127.510MHz)の周波数の調整信号を無線機器1に入力し、第2局部発振器調整部151は、調整値を初期値に設定する(S101)。調整値の初期値は、例えば、16進数で、「0x00」から「0xFF」までの中央値である「0x82」である。また、無線機器1に入力される調整信号の周波数は、例えば、127.510MHzであり、その信号強度は+60dBμ以上である。なお、調整信号は無変調の信号が好ましいため、シグナルジェネレータで生成した信号を入力すればよい。
【0063】
次に、第1局部発振器調整部152は、第1局部信号が、調整信号の周波数の1つ前のチャンネルを受信するときの周波数となるように制御電圧を出力する(S102)。そして、RSSI取得部11は、増幅器57を通過した信号のRSSI電圧を取得する(S103)。
【0064】
次に、第1局部発振器調整部152は、第1局部信号が、調整信号の周波数の1つ後のチャンネルを受信するときの周波数となるように制御電圧を出力する(S104)。そして、RSSI取得部11は、増幅器57を通過した信号のRSSI電圧を取得する(S105)。
【0065】
そして、電圧差判定部12は、ステップS103で取得したRSSI電圧とステップS105で取得したRSSI電圧との差分を求める(S106)。次に、第2局部発振器調整部151は、調整値を所定回数変更したか、または調整値を所定回数変更した結果、差分が大きくなったか否かを判定し(S107)、調整値を所定回数変更していない場合、または調整値を所定回数変更した結果、差分が大きくなっていない場合(S107でNO)、ステップS108に進む。そして、差分が基準値以下であれば(S108でYES)、調整値格納部13はそのときの調整値を記憶部16に記憶させる(S109)。一方、差分が基準値より大きければ(S108でNO)、調整値を所定値(10進数で10)だけ減らして(S121)、ステップS102に進む。その後、ステップS106まで進み、所定回数(例えば、数回)、調整値を変更した結果、RSSI電圧の差分が大きくなっていく場合(S107でYES)、ステップS131に進み、第2局部発振器調整部151は、調整値を初期値(ここでは、0x82)に戻す。そして、第2局部発振器調整部151は、調整値を変更する方向(つまり、増加させるか減少させるか)を変えて、ステップS121に進む。ステップS121では、第2局部発振器調整部151は、調整値を所定値(10進数で10)だけ増やしてステップS102に進む。
【0066】
ステップS109で、RSSI電圧の差分が基準値以下のときの調整値を記憶部16に記憶させた後、第2局部発振器調整部151は、調整値を所定値(10進数で10)ずつ変更してステップS102からS106までの処理と同様の処理を行い、RSSI電圧の差分を求める(S110)。そして、電圧差判定部12は、RSSI電圧の差分が基準値以下であるか否かを判定し(S111)、基準値以下であれば(S111でYES)、ステップS109に戻り、調整値格納部13はそのときの調整値を記憶部16に記憶させる。そして、調整装置10は、ステップS109からS111までの処理をRSSI電圧の差分が基準値より大きくなるまで繰り返す。(ステップS101からS111までの処理が調整実行ステップに対応する。)
その後、電圧差判定部12が、RSSI電圧の差分が基準値より大きいと判定した場合(S111でNO)、最終調整値決定部14は、記憶部16に記憶されている調整値のうちの中央の値を最終調整値として決定する(S112、周波数調整ステップ)。
【0067】
その後、無線機器1は、決定した最終調整値に基づく第2局部信号を用いて入力信号の受信処理を行う。
【0068】
次に、
図6を参照して、調整値を増減させる様子について説明する。
図6は、調整値を増減させる様子について説明するための図である。
【0069】
図6に示すように、第2局部発振器調整部151は、調整値の初期値を「0x82」に設定する(
図6の「1」。
図5のステップS101に対応)。そして、第2局部発振器調整部151は、調整値が小さくなるように、10進数で10ずつ減らしていく(0x78→0x6E→0x64→・・・)(
図6の「2」)。この過程において、RSSI電圧の差分が基準値以下になった場合は、調整値格納部13は、そのときの調整値を記憶部16に記憶させる。
【0070】
一方、調整値を徐々に小さくした結果として、RSSI電圧の差分が徐々に大きくなった場合(
図6の「3」)、第2局部発振器調整部151は、調整値をいったん初期値に戻した上で(
図6の「4」)、調整値が大きくなるように、10進数で10ずつ増やしていく(0x8c→0x96→0xA0→・・・)(
図6の「5」)。
【0071】
そして、調整値格納部13は、RSSI電圧の差分が基準値以下の調整値(例えば、0x96、0xA0、0xAA)を記憶部16に記憶させる(
図6の「6」)。そして、最終調整値決定部14は、記憶部16に記憶されている調整値のうちの中央値(0xA0)を最終調整値として決定する。
【0072】
なお、上述した実施形態では、最初に調整値を減らすように徐々に変更し、その結果としてRSSI電圧の差分が徐々に大きくなる場合、調整値を増やすように徐々に変更した。本発明はこの構成に限られるものではなく、逆に、最初に調整値を増やすように徐々に変更し、その結果としてRSSI電圧の差分が徐々に大きくなる場合、調整値を減らすように徐々に変更する構成であってもよい。
【0073】
〔変形例〕
調整値の増減方法は上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、調整値の増減をRSSI電圧の大きさに基づいて決定する構成であってもよい。具体的には、第2局部発振器調整部151は、RSSI取得部11が取得した1つ前および1つ後のチャンネルのRSSI電圧の値をRSSI取得部11から取得し、これらのRSSI電圧うち、1つ後のチャンネルのRSSI電圧が大きければ調整値を減らし、1つ前のチャンネルのRSSI電圧が大きければ調整値を増やすように調整値を変更する構成であってもよい。すなわち、RSSI電圧が大きい方の信号の周波数側にIFフィルタ55に入力される信号の周波数がシフトするように調整値を変更する構成であってもよい。
【0074】
これにより、IFフィルタ55の中心周波数の調整時間を短縮することができる。
【0075】
〔ソフトウェアによる実現例〕
調整装置10の制御ブロック(特にRSSI取得部11、電圧差判定部12、調整値格納部13、最終調整値決定部14、調整部15(第2局部発振器調整部151、第1局部発振器調整部152))は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0076】
後者の場合、調整装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばDSP(digital signal processor)やCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0077】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。