(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光反射面を有するミラーと、前記ミラーを支持するミラー支持部と、前記ミラー支持部の両側に配置されて前記ミラー支持部を揺動可能に接続される一対の駆動梁と、前記駆動梁に設けられ、複数の圧電薄膜の積層体を含み、前記ミラー支持部を揺動させる駆動源と、前記駆動梁あるいは前記駆動源に連結する連結梁に形成され、前記複数の圧電薄膜より少ない層数の圧電薄膜を含む圧電センサとを有する光走査装置を製造するために、
支持層、埋め込み層及び活性層を有するSOI基板の駆動源形成領域及び圧電センサ形成領域において、第1導電層、第1圧電薄膜、第2導電層、第2圧電薄膜、及び第3導電層を、順に積層する工程と、
前記圧電センサ形成領域において、前記第3導電層及び前記第2圧電薄膜を除去して、前記第1導電層、前記第1圧電薄膜、及び前記第2導電層が積層してなる圧電センサを形成する工程と、
前記駆動源形成領域において、前記駆動源形成領域の一部における前記第3導電層及び前記第2圧電薄膜を除去して駆動源端子を形成し、第1導電層、第1圧電薄膜、第2導電層、第2圧電薄膜、及び第3導電層が積層してなる駆動源を形成する工程と
を有する光走査装置の製造方法。
前記光走査装置が、前記ミラー支持部の外周に設けられた可動枠と、前記ミラー支持部に接続されて前記ミラー支持部を揺動可能にする捻れ梁と、をさらに有し、前記駆動梁として、前記ミラー支持部の両側に配置されて前記可動枠の内周に接続し、かつ、連結梁を介して前記捻れ梁に接続された一対の第1の駆動梁を有し、
前記圧電センサ形成領域において、前記第3導電層及び前記第2圧電薄膜を除去して、前記第1導電層、前記第1圧電薄膜、及び前記第2導電層が積層してなる圧電センサを形成する工程により、前記連結梁に第1の圧電センサを形成する
請求項6に記載の光走査装置の製造方法。
前記光走査装置が、前記ミラー支持部の外周に設けられた可動枠を有し、前記駆動梁として、前記ミラー支持部の両側に配置されて前記可動枠の外周及び固定枠に接続された一対の第2の駆動梁を有し、
前記圧電センサ形成領域において、前記第3導電層及び前記第2圧電薄膜を除去して、前記第1導電層、前記第1圧電薄膜、及び前記第2導電層が積層してなる圧電センサを形成する工程により、前記第2の駆動梁に第2の圧電センサを形成する
請求項6に記載の光走査装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0015】
〈光走査装置〉
まず、実施の形態に係る光走査装置について説明する。
図1及び
図2は、実施の形態に係る光走査装置の一例を示す斜視図であり、
図1はパッケージカバーを取り外した状態の光走査装置を示し、
図2はパッケージカバーを取り付けた状態の光走査装置を示している。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、光走査装置1000は、光走査部100と、光走査部100を搭載するセラミックパッケージ200と、セラミックパッケージ200上に配されて光走査部100を覆うパッケージカバー300とを有する。光走査装置1000は、セラミックパッケージ200の下側に、基板や制御回路等を備えてもよい。
【0017】
光走査装置1000において、パッケージカバー300の略中央部には光反射面を有するミラー110の近傍を露出する開口部300Aが設けられている。開口部300Aは、ミラー110へのレーザ入射光Li及びミラー110からのレーザ出射光Lo(走査光)を遮らない形状とされている。
【0018】
なお、開口部300Aにおいて、レーザ入射光Liが通る側は、レーザ出射光Loが通る側よりも小さく開口されている。すなわち、レーザ入射光Li側が略半円形状に狭く開口しているのに対し、レーザ出射光Lo側は略矩形状に広く開口している。これは、レーザ入射光Liは一定の方向から入射するのでその方向のみを開口すればよいのに対し、レーザ出射光Loは2次元に走査されるため、2次元に走査されるレーザ出射光Loを遮らないように、走査される全範囲を開口する必要があるためである。
【0019】
〈光走査部〉
次に、光走査装置1000の光走査部100について説明する。
図3は、実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す上面側の斜視図である。
【0020】
図3に示されるように、光走査部100は、ミラー110を揺動させて光源から照射されるレーザ入射光を走査する部分である。光走査部100は、例えば圧電素子によりミラー110を駆動させるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等である。
【0021】
光走査部100は、ミラー110と、ミラー支持部120と、捻れ梁130A、130Bと、連結梁140A、140Bと、水平駆動梁150A、150Bと、可動枠160と、垂直駆動梁170A、170Bと、固定枠180とを有する。ミラー支持部120の上面にミラー110が支持されている。本実施の形態においては、ミラー支持部120と、捻れ梁130A、130Bと、連結梁140A、140Bと、水平駆動梁150A、150Bと、可動枠160をまとめて、ミラー110を支持するミラー支持体161と称する。
【0022】
ミラー支持体161の両側に、ミラー支持体161に接続される一対の垂直駆動梁170A、170Bが配置されている。ミラー支持体161と垂直駆動梁170Aは、ミラー支持体接続部A11により接続される。固定枠180と垂直駆動梁170Aは、固定枠接続部A12により接続される。ミラー支持体161と垂直駆動梁170Bは、ミラー支持体接続部A13により接続される。固定枠180と垂直駆動梁170Bは、固定枠接続部A14により接続される。垂直駆動梁170A、170Bの詳細については後述する。
【0023】
また、ミラー110を支持するミラー支持部120の両側に、ミラー支持部120に接続される一対の水平駆動梁150A、150Bが配置されている。また、水平駆動梁150A、150B、連結梁140A、140B、捻れ梁130A、130B、ミラー支持部120及びミラー110は、可動枠160によって外側から支持されている。即ち、水平駆動梁150A、150Bの一方の側は可動枠160の内周に接続され、支持されている。水平駆動梁150Aの他方の側は内周側に延びて連結梁140A、140Bと連結している。水平駆動梁150Bの他方の側も同様に、内周側に延びて連結梁140A、140Bと連結している。連結梁140A、140Bは、水平回転軸H方向に延びる捻れ梁130A、130Bに接続されており、捻れ梁130A、130Bは水平回転軸H方向の両側からミラー支持部120を支持している。上記のように、水平駆動梁150A、150Bは、捻れ梁130A、130Bの延びる水平回転軸H方向と直交する方向に、ミラー110及びミラー支持部120を挟むように、対をなして設けられている。水平回転軸H方向については後述する。
【0024】
水平駆動梁150A、150Bは、それぞれ水平駆動源151A、151Bを有する。また、垂直駆動梁170A、170Bは、それぞれ垂直駆動源171A、171Bを有する。水平駆動梁150A、150B、垂直駆動梁170A、170Bは、ミラー110を上下又は左右に揺動してレーザ光を走査するアクチュエータとして機能する。
【0025】
水平駆動梁150A、150Bの上面には、水平駆動源151A、151Bがそれぞれ形成されている。水平駆動源151A、151Bは、水平駆動梁150A、150Bの上面に形成された圧電素子の薄膜(以下「圧電薄膜」ともいう。)と、圧電薄膜に接続する第1電極と第2電極とを含む。水平駆動源151A、151Bの詳細は後述する。水平駆動源151A、151Bは、第1電極と第2電極に印加する駆動電圧の極性に応じて伸長したり縮小したりする。
【0026】
このため、水平駆動梁150Aと水平駆動梁150Bに逆位相となる正弦波の駆動電圧を印加すれば、ミラー110の左側と右側で水平駆動梁150Aと水平駆動梁150Bとが上下反対側に交互に振動する。これにより、捻れ梁130A、130Bを揺動軸又は回転軸として、ミラー110を水平回転軸Hの軸周りに揺動させることができる。ミラー110が捻れ梁130A、130Bの軸周りに揺動する方向を水平方向と呼び、ミラー110の光反射面の中心Cを通る上記の揺動軸を水平回転軸Hという。例えば水平駆動梁150A、150Bによる水平駆動には、共振振動が用いられ、高速にミラー110を揺動駆動することができる。
【0027】
ミラー支持部120には、ミラー110の円周に沿うようにスリット122が形成されている。スリット122により、ミラー支持部120を軽量化しつつ捻れ梁130A、130Bによる捻れをミラー110へ伝達することができる。
【0028】
また、垂直駆動梁170Aは、水平回転軸H方向に延在する複数の矩形状の垂直梁を有し、隣接する垂直梁の端部同士が連結され、全体としてジグザグ状(蛇腹状)の形状を有する。
【0029】
例えば、ミラー支持体161側から数えて1番目の垂直梁の端部と2番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X1により連結されている。又、2番目の垂直梁の端部と3番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X2により連結されている。又、3番目の垂直梁の端部と4番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X3により連結されている。又、4番目の垂直梁の端部と5番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X4により連結されている。又、5番目の垂直梁の端部と6番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X5により連結されている。なお、
図3では、各折り返し部を、便宜上、梨地模様で示している。
【0030】
垂直駆動梁170Bも同様に、水平回転軸H方向に延在する複数の矩形状の垂直梁を有し、隣接する垂直梁の端部同士が連結され、全体としてジグザグ状(蛇腹状)の形状を有する。
【0031】
例えば、ミラー支持体161側から数えて1番目の垂直梁の端部と2番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y1により連結されている。又、2番目の垂直梁の端部と3番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y2により連結されている。又、3番目の垂直梁の端部と4番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y3により連結されている。又、4番目の垂直梁の端部と5番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y4により連結されている。又、5番目の垂直梁の端部と6番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y5により連結されている。上記と同様に、各折り返し部を、便宜上、梨地模様で示している。
【0032】
垂直駆動梁170A、170Bの上面には、それぞれ曲線部を含まない矩形単位である垂直梁ごとに垂直駆動源171A、171Bが形成されている。垂直駆動源171Aは、垂直駆動梁170Aの上面に形成された圧電薄膜と、圧電薄膜に接続する第1電極と第2電極とを含む。垂直駆動源171Bは、垂直駆動梁170Bの上面に形成された圧電薄膜と、圧電薄膜に接続する第1電極と第2電極とを含む。垂直駆動源171A、171Bの詳細は後述する。
【0033】
垂直駆動梁170A、170Bは、垂直梁ごとに隣接している垂直駆動源171A、171B同士で、駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形の駆動電圧を印加することにより、隣接する垂直梁を上方向に反らせ、各垂直梁の上下動の蓄積をミラー支持体161に伝達する。例えば、駆動波形は鋸波形とすることができる。垂直駆動梁170A、170Bは、この動作によりミラー110及びミラー支持体161が水平回転軸Hの方向と直交する方向に揺動され、この揺動する方向を垂直方向と呼び、ミラー110の光反射面の中心Cを通る上記の揺動軸を垂直回転軸Vという。例えば垂直駆動梁170A、170Bによる垂直駆動には、非共振振動を用いることができる。
【0034】
例えば、垂直駆動源171Aは、垂直駆動梁170Aを構成する1番目から6番目の各垂直梁の上にそれぞれ形成された6つの垂直駆動源171A1、171A2、171A3、171A4、171A5及び171A6を含む。また、垂直駆動源171Bは、垂直駆動梁170Bを構成する1番目から6番目の各垂直梁の上にそれぞれ形成された6つの垂直駆動源171B1、171B2、171B3、171B4、171B5及び171B6を含む。この場合、垂直駆動源171A1、171B1、171A3、171B3、171A5、171B5を同波形、垂直駆動源171A2、171B2、171A4、171B4、171A6及び171B6を前者と駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形で駆動することで、ミラー110及びミラー支持体161を垂直方向へ揺動できる。
【0035】
水平駆動源151Aの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。水平駆動源151Bの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。また、垂直駆動源171Aの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。垂直駆動源171Bの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。
【0036】
また、光走査部100は、水平駆動源151A、151Bに駆動電圧が印加されてミラー110が水平方向に揺動している状態におけるミラー110の水平方向の傾き具合(水平方向の振角)を検出する水平振角センサとして、圧電センサ191、192を有する。圧電センサ191は連結梁140Aに設けられ、圧電センサ192は連結梁140Bに設けられている。
【0037】
また、光走査部100は、垂直駆動源171A、171Bに駆動電圧が印加されてミラー110が垂直方向に揺動している状態におけるミラー110の垂直方向の傾き具合(垂直方向の振角)を検出する垂直振角センサとして、圧電センサ195、196を有する。圧電センサ195は垂直駆動梁170Aを構成する垂直梁の一つに設けられており、圧電センサ196は垂直駆動梁170Bを構成する垂直梁の一つに設けられている。
【0038】
圧電センサ191は、ミラー110の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Aから伝達される連結梁140Aの変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ192は、ミラー110の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Bから伝達される連結梁140Bの変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ195は、ミラー110の垂直方向の傾き具合に伴い、垂直駆動梁170Aのうち圧電センサ195が設けられた垂直梁の変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ196は、ミラー110の垂直方向の傾き具合に伴い、垂直駆動梁170Bのうち圧電センサ196が設けられた垂直梁の変位に対応する電流値を出力する。
【0039】
実施の形態では、圧電センサ191、192の出力を用いてミラー110の水平方向の傾き具合を検出し、圧電センサ195、196の出力を用いてミラー110の垂直方向の傾き具合を検出する。なお、各圧電センサから出力される電流値からミラー110の傾き具合の検出を行う傾き検出部が光走査部100の外部に設けられていてもよい。又、傾き検出部の検出結果に基づき水平駆動源151A、151B、垂直駆動源171A、171Bに供給する駆動電圧を制御する駆動制御部が光走査部100の外部に設けられていてもよい。
【0040】
圧電センサ191、192、195、196は、圧電薄膜と、圧電薄膜に接続する第1電極と及び第2電極とを含む。圧電センサの詳細は後述する。実施の形態では、各圧電センサの出力は、第1電極と第2電極とに接続されたセンサ配線の電流値となる。
【0041】
圧電センサ191の第1電極及び第2電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。圧電センサ195の第1電極及び第2電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。また、圧電センサ192の第1電極及び第2電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。圧電センサ196の第1電極及び第2電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。
【0042】
光走査部100は、例えば支持層、埋め込み(BOX:Buried Oxide)層及び活性層を有するSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて形成することができる。例えば、可動枠160と、水平駆動梁150A、150Bの裏面に設けられたリブ、及び垂直駆動梁170A、170Bの裏面に設けられたリブ等は、支持層からパターン形成された部材である。また、水平駆動梁150A、150Bと垂直駆動梁170A,170B等は、活性層及びBOX層、または、活性層からパターン形成された部材である。
【0043】
図4は実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す要部を拡大した上面側の平面図である。
図3の連結梁140B近傍部を拡大した図に相当する。ミラー110を支持するミラー支持部120に捻れ梁130Bが接続されている。捻れ梁130Bには、連結梁140Bを介して水平駆動梁150A、150Bが接続されている。水平駆動梁150A、150Bには、水平駆動源151A、151Bが形成されている。連結梁140Bには圧電センサ192が形成されている。
【0044】
水平駆動源151A、151Bは、SOI基板の活性層の表面に、熱酸化膜を介して、下部電極、下層圧電薄膜、中部電極、上層圧電薄膜、及び上部電極を積層して形成されている。ここで、下部電極と上部電極は接地(GND)され、中部電極に水平駆動梁を駆動するための信号が入力される。即ち、下部電極、下層圧電薄膜、及び中部電極が1つの圧電素子を構成し、中部電極、上層圧電薄膜、及び上部電極が他の圧電素子を構成し、これらの圧電素子が並列に接続されている。圧電薄膜が単層の構成である場合、即ち、圧電素子が1つの構成である場合より、水平駆動部の駆動効率を向上させることができる。垂直駆動源171A、171Bとしても、同様の構成である。2つの圧電素子を並列接続した構成として駆動効率を向上させることができ、これにより低電圧駆動が可能になり、耐電圧起因の素子破損を抑制し、昇圧ICまたは回路の負担を低減できる。
【0045】
上記の下部電極、下層圧電薄膜、中部電極、上層圧電薄膜、及び上部電極を積層した構成の圧電素子を圧電センサ192として用いると、圧電センサ192と水平駆動源151A、151B及び垂直駆動源171A、171Bを同時に形成することができる。しかし、連結梁140Bは非常に小さい梁であり、圧電センサ192が形成される領域は狭小面Sとなっている。狭小面Sは、水平駆動源151A、151B及び垂直駆動源171A、171Bが形成される領域よりも狭い。このため、圧電センサ192においては、水平駆動源151A、151B及び垂直駆動源171A、171Bと同様の配線を行うことが困難である。即ち、下部電極、下層圧電薄膜、及び中部電極からなる圧電素子と、中部電極、上層圧電薄膜、及び上部電極からなる圧電素子を並列に接続することが困難となっている。そこで、下部電極は接地(GND)され、中部電極は非接続(浮遊状態)とされ、上部電極からセンサ信号が取り出される構成として用いられる。即ち、下部電極、下層圧電薄膜、及び中部電極が1つの圧電素子を構成し、中部電極、上層圧電薄膜、及び上部電極が他の圧電素子を構成し、これらの2つの圧電素子が直列に接続されている構成として用いられる。この場合、例えば見かけ上の圧電薄膜の厚さが直列接続していない場合の2倍になっていることから、センサ出力電圧は直列接続していない場合の1/2になっている。
【0046】
本実施の形態に係る光走査装置においては、圧電センサ192として用いられる圧電素子として、下部電極、圧電薄膜、及び上部電極を積層した構成が用いられる。ここで、圧電センサ192の上部電極は、上記の2つの圧電素子が直列に接続されている構成における中部電極となる箇所に位置する電極である。圧電センサ192の圧電薄膜は、上記の2つの圧電素子が直列に接続されている構成における下層圧電薄膜となる箇所に位置する電極である。2つの圧電素子が直列に接続されている構成と比較して、圧電薄膜の厚さを1/2に薄化することができ、圧電センサの出力を2倍に高めることができる。圧電センサ192以外の圧電センサ191、195、196についても同様である。
【0047】
図5は、実施の形態に係る光走査装置の光走査部のシミュレーションによる応力分布図である。
図4中の狭小部Sに相当する部分である。シミュレーションは、水平駆動源に所定の駆動電圧を印加して水平駆動しているときの狭小面Sに発生する応力を求めた。
図5では、グラデーションが濃いほど応力が大きく、薄いほど応力が小さいことを示している。捻れ梁130Bの部分は応力が大きい。即ち、捻れ梁130Bから最も離れている角部の応力が最も小さい。圧電センサ192の領域は、
図5に図示されている中で最も応力が低い部分に準ずる、小さい応力となっていた。
【0048】
図6は、本実施の形態に係る光走査装置の光走査部を示す断面図である。SOI基板10に形成された、垂直駆動源領域RA、水平駆動源領域RB、及び圧電センサ領域RCの圧電素子を示している。SOI基板10のMEMS構造は
図6には示されていない。垂直駆動源領域RA、水平駆動源領域RB、及び圧電センサ領域RCにおいて、SOI基板10の上に、熱酸化膜11、下部電極12が形成されている。垂直駆動源領域RAにおいて、下部電極12の上層に、下層圧電薄膜13A、中部電極14A、上層圧電薄膜15A、上部電極16A、被覆膜(カウンタ膜)17Aが積層されている。上層圧電薄膜15A、上部電極16A、被覆膜(カウンタ膜)17Aの一部が除去されており、中部電極14Aが露出して端子14ATとして用いられる。下部電極12と上部電極16Aが接地(GND)され、中部電極14Aに垂直駆動信号VVが印加される。
【0049】
水平駆動源領域RBにおいて、下部電極12の上層に、下層圧電薄膜13B、中部電極14B、上層圧電薄膜15B、上部電極16Bが積層されている。上層圧電薄膜15B、上部電極16Bの一部が除去されており、中部電極14Bが露出して端子14BTとして用いられる。下部電極12と及び上部電極16Bが接地(GND)され、中部電極14Bに水平駆動信号VHが印加される。
【0050】
圧電センサ領域RCにおいて、下部電極12の上層に、圧電薄膜13C、上部電極14Cが積層されている。下部電極12が接地(GND)され、上部電極14Cからセンサ信号SEが出力される。
【0051】
下層圧電薄膜13A、13B、圧電薄膜13C、上層圧電薄膜15A、15Bとしては、鉛系材料であるPb(Zr、Ti)O
3(チタン酸ジルコン酸鉛:所謂PZT)を用いることができる。この場合、PZTに、La
2O
3、Nd
2O
3、Nd
2O
5、Ta
2O
5、WO
3等の添加物を添加してもよい。また、圧電材料として、例えば、非鉛系材料であるBaTiO
3系、KNbO
3−NaNbO
3−LiNbO
3系、(Bi
1/2Na
1/2)TiO
3系非鉛圧電セラミックス等を用いてもよい。下部電極12、中部電極14A、14B、上部電極14C、上部電極16A、16Bは、導電材料からなる導電層であり、例えば、LaNiO
3/Pt/LaNiO
3をこの順番で積層した積層膜を用いることができる。この場合、各LaNiO
3の厚さは、例えば、10〜100nm程度とすることができる。又、Ptの厚さは、例えば、50〜200nm程度とすることができる。これ以外の電極の構成としては、例えば、Au、Pt等の金属、LaNiO
3、SrRuO
3、IrO
3等の金属酸化物、これらの組み合わせを挙げることができる。また、被覆膜(カウンタ膜)17Aは、TiW(チタンタングステン)などからなる。
【0052】
圧電薄膜は強誘電体であり、圧電薄膜を電極で挟む構造はコンデンサと等価であるため、圧電センサとして用いられる圧電センサの発生電荷Qは容量Cに比例する。
【0054】
上記の式(1)より、容量が大きいほど発生電荷は大きくなる。一方、発生電荷Qは外部からセンサに加わる応力σに比例する。
【0055】
Q=a×σ (aは比例定数) (2)
【0056】
上記の式(1)、(2)から、次式が得られる。
【0058】
上記の式(1)〜(3)より、容量Cが大きいか、外部印加応力σが大きいほど発生電荷Qが大きく、センサの出力は増加する。センサへの外部印加応力σを大きくすると、素子破損リスクが高くなる。従って、不用意に外部印加応力σを大きくすることはできない。よって、発生電荷Qを大きくするためには、容量Cを大きくする必要がある。圧電薄膜の誘電率をε、センサの面積をS、圧電薄膜の膜厚をdとすると、容量Cは次式のように表される。
【0060】
上記の式(4)より、容量Cを増加させるためには、以下の方法が考えられる。
【0061】
(A)圧電薄膜の膜材料の誘電率εを高くする。圧電薄膜材料は、駆動源として低電圧・大変位のd定数が高い材料を用いるが、一般にd定数が高い材料は誘電率εが高く、駆動源と兼用している圧電薄膜では、さらに圧電薄膜材料の誘電率εを高くするのは困難である。
【0062】
(B)圧電センサ面積Sを大きくする。面積を大きくすることも容量Cを大きくする手段である。しかし、センサ面には応力分布があり、小応力部に圧電センサが配されると、面積を大きくすることで圧電センサの歪みが面積内で相殺され、実素子では発生電荷Qが期待通りに大きくならない。本実施の形態では、
図5に示されるように、圧電センサは小応力部に設けられているので、圧電センサ面積Sを大きくして容量Cを大きくするのは難しいと考えられる。
【0063】
(C)圧電薄膜の厚みdを小さくする。圧電薄膜の厚みdは容量Cと反比例の関係にあり、圧電薄膜の厚みdの減少により、容量Cが大きくなる。
【0064】
上記のように、圧電薄膜を圧電センサとして用いる場合、圧電薄膜の厚みdを薄くすることで容量Cが増加し、センサ出力が増加する。これにより、センサ信号のS/N比を改善することができる。本実施の形態の光走査装置の圧電センサにおける圧電薄膜の厚みdは、2つの圧電素子を直列に接続する場合の1/2に相当する。これにより、容量Cは2倍になり、センサ出力を2倍に高め、S/N比を改善することができる。
【0065】
〈光走査装置の製造方法〉
図7は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の製造方法の工程の一例を示す断面図である。まず、例えば、垂直駆動源領域RA、水平駆動源領域RB、及び圧電センサ領域RCにおいて、SOI基板10の表面に熱酸化膜11を形成し、熱酸化膜11の上層に、PVD(Physical Vapor Deposition)法により下部電極12を形成し、さらにCSD(Chemical Solution Deposition)法により下層圧電薄膜13を形成する。下層圧電薄膜13の上層に、PVD法により中部電極14を形成し、さらにCSD法により上層圧電薄膜15を形成する。上層圧電薄膜15の上層に、PVD法により上部電極16と被覆膜(カウンタ膜)17を形成する。下層圧電薄膜13、上層圧電薄膜15はPZT等の圧電薄膜である。下部電極12、中部電極14、上部電極16は導電材料からなる導電層である。
【0066】
図8は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の製造方法の工程の一例を示す断面図である。例えば、フォトリソグラフィー工程によりフォトレジスト膜をパターン形成し、RIE(Reactive Ion Etching)等のドライエッチング処理を行うことで、端子14ATとなる部分を除く垂直駆動源領域RAにおいて被覆膜(カウンタ膜)17Aを残して、他の部分の被覆膜(カウンタ膜)17を除去する。
【0067】
図9は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の製造方法の工程の一例を示す断面図である。例えば、フォトリソグラフィー工程によりフォトレジスト膜をパターン形成し、RIE等のドライエッチング処理を行うことで、端子14ATとなる部分を除く垂直駆動源領域RAと端子14BTを除く水平駆動源領域RBにおいて、上部電極16A、16Bを残して、他の部分の上部電極16を除去する。
【0068】
図10は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の製造方法の工程の一例を示す断面図である。例えば、フォトリソグラフィー工程によりフォトレジスト膜をパターン形成し、RIE等のドライエッチング処理を行うことで、端子14ATとなる部分を除く垂直駆動源領域RAと端子14BTを除く水平駆動源領域RBにおいて、上層圧電薄膜15A、15Bを残して、他の部分の上層圧電薄膜15を除去する。
【0069】
図11は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の製造方法の工程の一例を示す断面図である。例えば、フォトリソグラフィー工程によりフォトレジスト膜をパターン形成し、RIE等のドライエッチング処理を行うことで、垂直駆動源領域RA、水平駆動源領域RB及び圧電センサ領域RC以外の中部電極14を除去する。この結果、垂直駆動源領域RA、水平駆動源領域RBで中部電極14A、14Bが残される。圧電センサ領域RCでは、上部電極16と上層圧電薄膜15は除去されており、残された電極を上部電極14Cと称する。
【0070】
図12は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の製造方法の工程の一例を示す断面図である。例えば、フォトリソグラフィー工程によりフォトレジスト膜をパターン形成し、RIE等のドライエッチング処理を行うことで、垂直駆動源領域RA、水平駆動源領域RB及び圧電センサ領域RC以外の下層圧電薄膜13を除去する。この結果、垂直駆動源領域RA、水平駆動源領域RBで下層圧電薄膜13A、13Bが残される。圧電センサ領域RCでは、上部電極16と上層圧電薄膜15は除去されており、残された下層圧電薄膜を圧電薄膜13Cと称する。
【0071】
上記のようにして、
図6に示される構成の圧電素子を有する光走査装置を製造することができる。上記の光走査装置の製造方法によれば、センサ出力を2倍に高め、S/N比を改善することができる光走査装置を製造することができる。圧電センサ領域RCにおいて上層圧電薄膜と上部電極を残して、2つの圧電素子が直列に接続されている構成とする場合と比べて、製造工程を増加させずに実現することができる。
【0072】
以上、好ましい実施の形態について説明したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。上記の実施の形態では、駆動梁の駆動源として2層の圧電薄膜が積層した積層体を用い、圧電センサとして単層の圧電薄膜を用いているが、これに限定されず、圧電センサの圧電薄膜の層数が駆動源の圧電薄膜の層数より少なければよい。