特許第6985604号(P6985604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985604
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】光ノード装置
(51)【国際特許分類】
   H04J 14/02 20060101AFI20211213BHJP
   H04B 10/294 20130101ALI20211213BHJP
【FI】
   H04J14/02 101
   H04B10/294
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-20546(P2018-20546)
(22)【出願日】2018年2月7日
(65)【公開番号】特開2019-140471(P2019-140471A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年2月25日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「空間多重フォトニックノード基盤技術の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】福徳 光師
(72)【発明者】
【氏名】河合 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−303877(JP,A)
【文献】 特開2018−6474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 14/02
H04B 10/291 − 10/294
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の出力ポートを有し、入力した光を波長で分離し、分離された前記光それぞれを、分離された前記光の出力先に対応する前記出力ポートから出力する1以上の入力側波長選択スイッチと、
1以上の前記入力側波長選択スイッチそれぞれから出力された光を入力する入力ポートを有し、前記入力ポートから入力した前記光を合波して出力する複数の出力側波長選択スイッチと、
前記入力側波長選択スイッチの前記出力ポートそれぞれから出力された前記光を増幅し、増幅した前記光を前記出力ポートに対応する出力先の前記出力側波長選択スイッチに出力する増幅部と、
を備え
前記増幅部は、前記入力側波長選択スイッチそれぞれに対応したクラッド励起マルチコア光増幅器を有し、
前記クラッド励起マルチコア光増幅器は、対応する前記入力側波長選択スイッチの前記出力ポートそれぞれから出力された前記光を増幅し、増幅した前記光を前記出力ポートに対応する出力先の前記出力側波長選択スイッチに出力する、
光ノード装置。
【請求項2】
複数の出力ポートを有し、入力した光を波長で分離し、分離された前記光それぞれを、分離された前記光の出力先に対応する前記出力ポートから出力する1以上の入力側波長選択スイッチと、
1以上の前記入力側波長選択スイッチそれぞれから出力された光を入力する入力ポートを有し、前記入力ポートから入力した前記光を合波して出力する複数の出力側波長選択スイッチと、
前記入力側波長選択スイッチの前記出力ポートそれぞれから出力された前記光を増幅し、増幅した前記光を前記出力ポートに対応する出力先の前記出力側波長選択スイッチに出力する増幅部と、
を備え、
前記増幅部は、前記入力側波長選択スイッチそれぞれの前記出力ポートの数の合計値以上のコア数の光増幅器である
光ノード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ノード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPC(パーソナルコンピュータ)の普及により、光ネットワークのデータトラフィック量はますます増加している。特に、データトラフィックが集中する長距離・メトロ領域の光ネットワークシステムでは、毎年毎年増加する莫大な量のトラフィックに対して柔軟に対応を行い、効率的かつ経済的にトラフィックを収容することへの需要が高まっている。
【0003】
光ノードにおける光クロスコネクト技術は、高密度波長分割多重(DWDM)技術を活用することで、柔軟かつ経済的な光ネットワークシステムを実現している。この光ネットワークシステムのアーキテクチャは、光信号の波長分割多重(WDM)により大容量化を実現したポイント・ツー・ポイントに始まり、光信号をそのまま挿入・分岐する再構築可光分岐挿入装置(ROADM)を用いた単一リング構成を経て、多方路ROADMを用いたマルチリング構成へと発展している(例えば、非特許文献1参照)。マルチリングやメッシュネットワークを実現する多方路ROADMには、1×M(1ポート×多ポート)またはM×M(多ポート×多ポート)波長選択スイッチが用いられる(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】福徳 光師,外2名,“柔軟かつ経済的なネットワークを実現する光ノードおよびスイッチ技術”,NTT技術ジャーナル,2013年11月号,p.12-15
【非特許文献2】S. Yamakami,外4名,“Highly Reliable Large-Scale Optical Cross-Connect Architecture Utilizing MxM Wavelength-Selective Switches”,Proc. OFC2017,paper Th3K.5,2017年
【非特許文献3】H. Ono,外6名,“12-Core Double-Clad Er/Yb-Doped Fiber Amplifier Employing Free-space Coupling Pump/Signal Combiner Module”,Proc. ECOC2013, paper We.4.A.4,2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4は、多方路ROADMを実現する従来の光ノード装置9の構成を示すブロック図である。光ノード装置9は、複数の波長選択スイッチ91を備える。ここでは、その他の機能を実現するための構成要素を省略している。波長選択スイッチ91は、光ノード装置9の入力側と出力側とに配置される。同図では、入力側のN台の波長選択スイッチ91を波長選択スイッチ91−11〜91−1Nと記載し、出力側のN台の波長選択スイッチ91を波長選択スイッチ91−21〜91−2Nと記載している。入力側の波長選択スイッチ91−11〜91−1Nと、出力側の波長選択スイッチ91−21〜91−2Nとをメッシュ状に接続することにより、多方路経路選択において波長設定を自由に行うことができる。
【0006】
ここで、方路数が多くなると、波長選択スイッチ91の入出力ポート数が多くなる。これにより、波長選択スイッチ91の規模が大きくなるとともに、透過損失が大きくなる。波長選択スイッチ91の透過損失が大きくなると、伝送させる信号光パワー低下により信号対雑音比(SNR)が劣化し、伝送距離(またはスパン数)の減少を招く。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、伝送距離の減少を抑制できる光ノード装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、複数の出力ポートを有し、入力した光を波長で分離し、分離された前記光それぞれを、分離された前記光の出力先に対応する前記出力ポートから出力する1以上の入力側波長選択スイッチと、1 以上の前記入力側波長選択スイッチそれぞれから出力された光を入力する入力ポートを有し、前記入力ポートから入力した前記光を合波して出力する複数の出力側波長選択スイッチと、前記入力側波長選択スイッチの前記出力ポートそれぞれから出力された前記光を増幅し、増幅した前記光を前記出力ポートに対応する出力先の前記出力側波長選択スイッチに出力する増幅部と、を備え、前記増幅部は、前記入力側波長選択スイッチそれぞれに対応したクラッド励起マルチコア光増幅器を有し、前記クラッド励起マルチコア光増幅器は、対応する前記入力側波長選択スイッチの前記出力ポートそれぞれから出力された前記光を増幅し、増幅した前記光を前記出力ポートに対応する出力先の前記出力側波長選択スイッチに出力する、光ノード装置である。
【0010】
本発明の一態様は、複数の出力ポートを有し、入力した光を波長で分離し、分離された前記光それぞれを、分離された前記光の出力先に対応する前記出力ポートから出力する1以上の入力側波長選択スイッチと、1以上の前記入力側波長選択スイッチそれぞれから出力された光を入力する入力ポートを有し、前記入力ポートから入力した前記光を合波して出力する複数の出力側波長選択スイッチと、前記入力側波長選択スイッチの前記出力ポートそれぞれから出力された前記光を増幅し、増幅した前記光を前記出力ポートに対応する出力先の前記出力側波長選択スイッチに出力する増幅部と、を備え、前記増幅部は、前記入力側波長選択スイッチそれぞれの前記出力ポートの数の合計値以上のコア数の光増幅器である、光ノード装置である
【発明の効果】
【0011】
本発明により、光ノード装置の伝送距離の減少を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による光ノード装置の構成を示すブロック図である。
図2】同実施形態による光ノード装置の他の構成を示すブロック図である。
図3】同実施形態による光ノード装置と従来の光ノード装置の伝送特性を示す図である。
図4】従来の光ノード装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本願発明の一実施形態による光ノード装置1の構成を示すブロック図である。同図において、光ノード装置1は、2N台の波長選択スイッチ11及びN台のクラッド励起マルチコア光増幅器21を備える(Nは2以上の整数)。同図では、入力側のN台の波長選択スイッチ11を波長選択スイッチ11−11〜11−1Nと記載し、出力側のN台の波長選択スイッチ11を波長選択スイッチ11−21〜11−2Nと記載している。また、波長選択スイッチ11−1n(nは1以上N以下の整数)が出力した光を入力するクラッド励起マルチコア光増幅器21をクラッド励起マルチコア光増幅器21−nと記載している。以下では、N=9の場合を例に説明する。
【0014】
波長選択スイッチ11は、1×9のポートを有する。入力側の波長選択スイッチ11と出力側の波長選択スイッチ11の合計挿入損失は、接続損失も含めて33dBである。波長選択スイッチ11−11〜11−1Nは、1つの入力側のポートから入力した光を波長ごとに分離する。波長選択スイッチ11−11〜11−1Nは、分離された光をそれぞれ、9個の出力側のポート(出力ポート)のうち、分離されたその光(波長)の出力先に応じた出力側のポートから出力する。波長選択スイッチ11−11〜11−1Nの各出力側のポートはそれぞれ、波長選択スイッチ11−21〜11−2Nに対応する。波長選択スイッチ11−21〜11−2Nの9つの入力側のポート(入力ポート)はそれぞれ、波長選択スイッチ11−11〜11−1Nが出力した光を入力する。波長選択スイッチ11−21〜11−2Nは、9つの入力側のポートそれぞれから入力した光を合波し、1つの出力側のポートから出力する。波長選択スイッチ11として、図4に示す波長選択スイッチ91を用いることもできる。
【0015】
クラッド励起マルチコア光増幅器21は、ダブルクラッド・9コアエルビウム添加ファイバ、及び、マルチモード980nm帯半導体レーザ(LD)を有する。クラッド励起マルチコア光増幅器21が有する信号光ポートのうち、増幅用マルチコアファイバ側の光ファイバはダブルクラッド9コアファイバ、他方のポートの光ファイバはシングルクラッド9コアファイバであり、励起光源側の光ファイバはシングルクラッドマルチモードである。クラッド励起マルチコア光増幅器21は、レンズ光学系で両マルチコアファイバの対応するコアを結合すると共に、ダイクロイックミラーにより励起光と信号光を合波してマルチコアファイバへ結合させる機能を有する合分波器を備える。一例として、クラッド励起マルチコア光増幅器21は、非特許文献3に記載の構成である。
【0016】
クラッド励起マルチコア光増幅器21−nの入力側の9つの信号光ポートはそれぞれ、入力側の波長選択スイッチ11−1nの9ポートからの光を入力する。また、クラッド励起マルチコア光増幅器21−nの出力側の9つの信号光ポートはそれぞれ、出力側の波長選択スイッチ11−21〜11−2Nに光を出力する。クラッド励起マルチコア光増幅器21−nは、波長選択スイッチ11−1nが光を出力したポートに対応した波長選択スイッチ11−21〜11−2Nに、増幅した光を出力する。例えば、クラッド励起マルチコア光増幅器21−nは、波長選択スイッチ11−1nのi番目(iは1以上9以下の整数)のポートから入力した光を増幅し、波長選択スイッチ11−2iに出力する。クラッド励起マルチコア光増幅器21は、約10dbの利得を有しており、光ノード装置1内の波長選択スイッチ11の挿入損失の一部分を補償する。これにより、信号光パワーが光ノード装置1内において極度に低下することを防ぐ。
【0017】
図2は、本実施形態の光ノード装置1aの構成を示すブロック図である。同図において、図1に示す光ノード装置1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。光ノード装置1aは、光ノード装置1のクラッド励起マルチコア光増幅器21−1〜21−Nに代えて、光増幅器31を備える。このように、N台のクラッド励起マルチコア光増幅器21に代えて、入力側及び出力側のそれぞれに、波長選択スイッチ11−11〜11−1Nそれぞれのポート数(1×MのM、Mは正の整数)の合計値と同じかそれ以上のコア数のコアを有する一つの光増幅器31を備える構成とすることも可能である。光増幅器31は、波長選択スイッチ11−1nが光を出力したポートに応じた波長選択スイッチ11−21〜11−2Nに増幅した光を出力する。例えば、光増幅器31は、波長選択スイッチ11−1nのi番目(iは1以上N以下の整数)のポートから入力した光を増幅し、波長選択スイッチ11−2iに出力する。
【0018】
図3は、本実施形態の光ノード装置1と従来の光ノード装置9の伝送特性を示す図である。同図に示すグラフは、本実施形態の光ノード装置1を使用した光伝送システム及び従来の光ノード装置9を使用した光伝送システムそれぞれの伝送特性として、Qファクターのスパン数依存性を比較したものである。Qファクターの値が大きいほど、光を長時間蓄えることができる。光伝送システムは、36Gbaud(ギガボー)偏波分割多重16QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交位相振幅変調)信号を伝送しており、光ノード装置1、9の入力側に配置された光増幅器(不図示)は入力パワーが−26dBm、利得が20dBである。光ノード装置1、9の出力側に配置された光増幅器(不図示)は出力光パワーが−10dBm、利得が実施形態の光ノード装置1では19dB、従来の光ノード装置9では29dBである。伝送ファイバ(その他付加部品および接続損失も含む)損失は16dBである。伝送信号は、20%のオーバーヘッドを持ち、低密度パリティ検査符号を用いるアルゴリズムで符号化され、受信機で誤り訂正を行う。このときの受信Qファクター限界は5.7dBとなる。
【0019】
同図に示すように、従来の光ノード装置9では、3スパン伝送後にQファクターが5.7dBを下回るため、伝送可能スパン数はたかだか2しかない。一方、本実施形態の光ノード装置1は、18スパンまではQファクターが5.7dBを上回っており、伝送可能スパン数を従来の9倍である18にまで増加できることを示している。
【0020】
なお、上述した実施形態では、入力側の波長選択スイッチ11と出力側の波長選択スイッチ11とが同じ台数である場合を説明したが、異なる台数であってもよい。異なる台数の場合、入力側の波長選択スイッチ11は1台であってもよい。
【0021】
以上説明した実施形態によれば、光ノード装置は、入力側波長選択スイッチ及び出力側波長選択スイッチを有し、入力側波長選択スイッチと出力側波長選択スイッチとはメッシュ状に接続される。入力側波長選択スイッチは、例えば、波長選択スイッチ11−11〜11−1Nであり、出力側波長選択スイッチは、例えば、波長選択スイッチ11−21〜11−2Nである。光ノード装置は、入力側波長選択スイッチと、出力側の波長選択スイッチとの間に、入力側波長選択スイッチが波長ごとに分離した光を増幅する増幅部を備える。増幅部は、例えば、クラッド励起マルチコア光増幅器21又は光増幅器31である。この構成により、本実施形態の光ノード装置は、入出力ポート数の増大に伴う波長選択スイッチの透過損失を補償し、伝送距離(またはスパン数)の減少を抑制できるという効果を奏する。
【0022】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0023】
1、1a…光ノード装置, 11−11〜11−1N、11−21〜11−2N…波長選択スイッチ, 21−1〜21−N…クラッド励起マルチコア光増幅器, 31…光増幅器
図1
図2
図3
図4