(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御対象における多点の温度を制御し、予め設定される目標値を与えられる修正量に応じて修正した修正目標値に従い制御対象を制御する多点制御系に対して、前記目標値の修正量を設計する制御系設計装置であって、
前記目標値の修正量を算出する修正量算出部
を備え、
前記修正量算出部は、
複数の入力チャンネルの目標値を順次変化させたときの、各入力チャンネルの変化に対する操作量の時系列データと制御対象における多点の温度の時系列データを取得し、
該操作量の時系列データに基づいて求めた操作量の単位パルス応答の時系列データを配列した操作量の影響度行列Cmvと、前記多点の温度の時系列データに基づいて求めた温度の単位パルス応答の時系列データを配列した温度の影響度行列Ctempを求め、
試験外乱を印加したときの操作量の時系列データと前記多点の温度の時系列データを取得し、
試験外乱を印加したときの操作量の時系列データを配列した既知操作量ベクトルMrefと、試験外乱を印加したときの多点の温度の時系列データを配列した既知温度ベクトルTrefを求め、
最小化する評価関数を制御対象の前記多点の予測温度の平均温度に対する分散に基づく関数とし、該評価関数のパラメータを温度の影響度行列Ctempと既知温度ベクトルTrefから算出し、
制約条件を、操作量が予め定められた範囲に収まることとし、該制約条件のパラメータを操作量の影響度行列Cmvと既知操作量ベクトルMrefから算出し、
前記制約条件の下で前記評価関数を最小化する目標値の修正量を算出し、
前記多点の予測温度は目標値の修正量に基づく制御系設計装置。
制御対象における多点の温度を制御し、予め設定される目標値を与えられる修正量に応じて修正した修正目標値に従い制御対象を制御する多点制御系に対して、前記目標値の修正量を設計する制御系設計装置であって、
前記目標値の修正量を算出する修正量算出部
を備え、
前記修正量算出部は、
複数の入力チャンネルの目標値を順次変化させたときの、各入力チャンネルの変化に対する操作量の時系列データと制御対象における多点の温度の時系列データを取得し、
該操作量の時系列データに基づいて求めた操作量の単位パルス応答の時系列データを配列した操作量の影響度行列Cmvと、前記多点の温度の時系列データに基づいて求めた温度の単位パルス応答の時系列データを配列した温度の影響度行列Ctempを求め、
所定の目標値が与えられて制御された安定状態での操作量の時系列データと前記多点の温度の時系列データを取得し、
該安定状態での操作量の時系列データを配列した既知操作量ベクトルMrefと、該安定状態での前記多点の温度の時系列データを配列した既知温度ベクトルTrefを求め、
最小化する評価関数を制御対象の前記多点の予測温度の平均温度に対する分散に基づく関数とし、該評価関数のパラメータを温度の影響度行列Ctempと既知温度ベクトルTrefから算出し、
第1制約条件を、操作量が予め定められた範囲に収まることとし、該第1制約条件のパラメータを操作量の影響度行列Cmvと既知操作量ベクトルMrefから算出し、
第2制約条件を、予め定められた時間における前記多点の平均温度が目標値又は修正目標値になることとし、該第2制約条件のパラメータを、温度の影響度行列Ctempと既知温度ベクトルTrefから算出し、
前記第1及び第2制約条件の下で前記評価関数を最小化する目標値の修正量を算出し、
前記多点の予測温度は目標値の修正量に基づく制御系設計装置。
制御対象における多点の温度を制御し、予め設定される目標値を与えられる修正量に応じて修正した修正目標値に従い制御対象を制御する多点制御系に対して、前記目標値の修正量を設計する制御系設計装置であって、
前記目標値の修正量を算出する修正量算出部
を備え、
前記修正量算出部は、
複数の入力チャンネルの目標値を順次変化させたときの、各入力チャンネルの変化に対する操作量の時系列データと制御対象における多点の温度の時系列データを取得し、
該操作量の時系列データに基づいて求めた操作量の単位パルス応答の時系列データを配列した操作量の影響度行列Cmvと、前記多点の温度の時系列データに基づいて求めた温度の単位パルス応答の時系列データを配列した温度の影響度行列Ctempを求め、
所定の目標値が与えられて制御された安定状態での操作量の時系列データと前記多点の温度の時系列データを取得し、
該安定状態での操作量の時系列データを配列した既知操作量ベクトルMrefと、該安定状態での前記多点の温度の時系列データを配列した既知温度ベクトルTrefを求め、
最小化する評価関数を制御対象の前記多点の各予測温度と前記多点の平均温度との差幅の最大値dとし、
第1制約条件を、操作量が予め定められた範囲に収まることとし、該第1制約条件のパラメータを操作量の影響度行列Cmvと既知操作量ベクトルMrefから算出し、
第2制約条件を、予め定められた時間における前記多点の平均温度が目標値又は修正目標値になることとし、該第2制約条件のパラメータを、温度の影響度行列Ctempと既知温度ベクトルTrefから算出し、
第4制約条件を、制御対象の前記多点の各予測温度と前記多点の平均温度との差Enが、前記差幅の最大値dに対して−d以上+d以下になることとし、該第4制約条件のパラメータを温度の影響度行列Ctempと既知温度ベクトルTrefから算出し、
前記第1、第2及び第4制約条件の下で前記評価関数を最小化する目標値の修正量を算出し、
前記多点の各予測温度は目標値の修正量に基づく制御系設計装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では温度を制御する例を説明するが、温度以外の物理量を制御してもよい。
【0014】
(システム構成)
図1は、本実施形態における制御系のブロック図である。
制御系1は、制御対象10と、多点温度コントローラ20と、目標温度修正量算出部(制御系設計装置)30を備える。なお、多点温度コントローラ20と目標温度修正量算出部30により、制御対象10に対する制御装置又は制御システムを構成してもよい。
【0015】
制御対象10は、例えば、多点温度コントローラ20からの操作量に応じて発熱する熱板と、熱板により加熱されるワークを有する。熱板には操作量に応じて発熱する複数のヒータ(アクチュエータ)が設けられている。また、熱板の複数の位置に温度を検出するセンサなどの測定部が設けられている。制御系1においては、熱板の多点の温度を制御してもよいし、ワークの多点の温度を制御してもよい。なお、発熱及び加熱に限らず、冷却するものでもよい。
【0016】
多点温度コントローラ20は、制御対象10の予め定められた点の温度を制御する。多点温度コントローラ20は、例えば、チャンネル毎に、PID制御器21と加算器22を有する。また、多点温度コントローラ20は、修正パターン適用部23をさらに有する。PID制御器21は、対応するチャンネルについて、制御対象10の制御量(PV)が目標値(SV)になるように熱板などのアクチュエータへ出力する操作量を調節する。PID制御器21の制御パラメータは既知の方法で求めることができる。ここでは、PID制御器21の制御パラメータが既に求められており、PID制御器21によって制御対象10を制御できる状態にあるものとして説明する。
【0017】
加算器22は、対応するチャンネルについて、目標値(SV)と修正量算出部30から入力する目標温度修正パターンを加算することで修正された目標温度(修正目標温度)を求め、PID制御器21へ出力する。修正パターン適用部23は、チャンネル毎に目標温度の修正量ベクトルを保持し、所定の条件に従い修正量ベクトルに基づく修正パターンを各チャンネルの加算器22に出力する。ここで所定の条件とは、例えば、外乱を検出したこと、目標温度の変更を検出したことなどである。
【0018】
目標温度修正量算出部(以下、修正量算出部という)30は、各チャンネルの目標温度を変化させる目標温度修正量ベクトルを算出する。目標温度修正量ベクトルは、時間軸に沿って目標温度をどのように変化させるかを規定するものであり、要素として例えばパルスの振幅が時系列データとして含まれている。目標温度修正パターンは、目標温度修正量ベクトルに応じて発生させたパルス列により形成される波形である。詳細は後述する。
【0019】
修正量算出部30は、外乱を検出した際に目標温度を修正するための目標温度修正量ベクトルと、目標温度を変更する際に目標温度を修正するための目標温度修正量ベクトルのいずれか又は双方を算出する。算出方法の詳細は後述する。
【0020】
修正量算出部30は、多点温度コントローラ20は別個の独立した装置でもよい。例えば、修正量算出部30は、パーソナルコンピュータで構成されることができる。また、修正量算出部30は、パーソナルコンピュータ以外にも、タブレット端末又は専用装置で構成されてもよい。修正量算出部30は、CPUなどの処理部と、時系列データを記憶する記憶部と、多点温度コントローラ20とデータを送受信するためのインタフェース部とを有する。なお、修正量算出部30は、多点温度コントローラ20は別個の独立した装置で構成される以外に、多点温度コントローラ20と一体で構成されてもよい。
【0021】
(外乱応答設計)
図2は、外乱応答設計処理のフローチャートである。
まず、ステップS11では、修正量算出部30(例えば処理部、以下同様)は、チャンネル毎に目標温度を予め定められた形状に変化させ、各チャンネルの温度と各チャンネルの操作量の応答波形データを取得する(S11)。例えば、修正量算出部30は、複数の入力チャンネルのうちの任意の入力チャンネルの目標温度を変化させたときの、当該入力チャンネルの変化に対する操作量の時系列データと制御対象における多点の温度の時系列データを取得する。修正量算出部30は、目標温度を変化させる入力チャンネルを順次変更して、全ての入力チャンネルに対して操作量と温度の時系列データを得る。得られた時系列データは、修正量算出部30の記憶部に記憶される。なお、ステップS11は、PID制御器21が制御対象10を制御して安定した状態で開始される。
【0022】
より具体的な例を用いて説明すると、修正量算出部30はまず、パルスを用いて入力チャンネル1の目標温度を変化させる。
図3は、目標温度を変化させる具体例の説明図である。例えば、修正量算出部30は、積分器にパルス幅Tsが1秒、パルスの振幅Apulseが1℃のパルスを加え、積分器の出力を加算器22へ与える。積分器は、例えば修正パターン適用部22に備えることができる。積分器の積分動作により、例えば、目標温度130℃に対して、加算器22の出力は1秒かけて131℃まで上昇する。なお、このように目標温度を変化させる以外にも、目標温度の変化に応じて変化する操作量が飽和しないような、予め定められた適宜の形状に変化させてもよい。操作量が飽和しないような形状とは、例えば、目標温度の変化が急峻ではない形状でもよい。
【0023】
本明細書において、入力チャンネルiの目標温度を変化させたときに取得される温度の応答データ(時系列データ)をTemp
influence(OUTj,INi)(t)、操作量の応答データ(時系列データ)をMV
influence(OUTj,INi)(t)と記す。ここで、iはパルスを印加した入力チャンネル番号であり、例えば自然数で表すことができる。jは出力チャンネル番号であり、例えば自然数で表すことができる。
【0024】
ステップS12では、修正量算出部30は、温度と操作量の応答波形データから、影響度行列を構築する(S12)。
【0025】
より具体的に説明すると、修正量算出部30は、ステップS11で測定した温度の応答波形データTemp
influence(OUTj,INi)(t)と、パルス印加前の初期温度Temp
init(OUTj)と、印加したパルスの振幅A
Pulseより、以下の式を用いて温度の単位パルス応答Temp
pulse(OUTj,INi)(t)を算出する。
【0027】
なお、以下の説明において、各記号は以下の内容を表す。
M:入力チャンネル数
N:出力チャンネル数
Ts:パルス周期(パルス幅)
kmax:目標温度修正パターンで印加するパルスの個数
τ:予測する温度の時間間隔
lmax:予測する温度データの個数。例えば0秒〜τ×(lmax−1)秒まで予測する。
【0028】
図4は、温度の影響度行列C
tempの説明図である。温度の影響度行列C
tempは、(lmax×N)行(kmax×M)列の実数定数行列である。例えば、入力チャンネル1の目標温度をステップS11のように変化させたときの出力チャンネル1に対応する温度の応答データから得られた単位パルス応答の時系列データTemp
pulse(OUT1,IN1)(t)を要素とする列ベクトルを
図4の矩形枠で示す位置に配置する。他の入力チャンネル及び出力チャンネルについても同様に配置する。なお、本実施形態では、ステップS11においてパルスを1つ、すなわち
図4における0番目のパルスしか入力していないが、パルスを時間方向にずらしていくことは、求められた単位パルス応答の時系列データを修正パターンのパルス周期だけずらせばよい。例えば、
図4において、1番目のパルス入力からの影響の位置には、0番目のパルス入力からの影響の位置に配置された列ベクトルの各要素を修正パターンのパルス周期だけずらせばよい。例えば、パルス周期が1秒、予測する温度の時間間隔も1秒の場合、0番目のパルス入力からの影響の位置に配置された列ベクトルの各要素をひとつ下にずらして、1番目のパルス入力からの影響の位置に配置すればよい。
【0029】
また、修正量算出部30は、ステップS11で測定した操作量の応答MV
influence(OUTj,INi)(t)とパルス印加前の初期操作量MV
init(OUTj)と、印加したパルスの振幅A
Pulseより、以下の式を用いて操作量の単位パルス応答MV
pulse(OUTj,INi)(t)を算出する。
【0031】
図5は、操作量の影響度行列C
mvの説明図である。操作量の影響度行列C
mvは、(lmax×M)行(kmax×M)列の実数定数行列である。単位パルス応答MV
pulse(OUTj,INi)(t)の時系列データの配置方法は、上述の温度の影響度行列と同様である。なお、求められた温度の影響度行列及び操作量の影響度行列は修正量算出部30の記憶部に記憶されることができる。
【0032】
ステップS13では、修正量算出部30は、外乱を印加したときの、温度の時系列データTemp
ref(OUTj)(t)と操作量の時系列データMV
ref(OUTj)をチャンネル毎に取得する(S13)。ここで外乱(試験外乱)として、例えばワークを熱板に載置して、ワークと熱板を接触させる。ワークの載置は例えばオペレータが行ってもよいし、自動で載置されるようにしてもよい。なお、外乱が印加されたときの温度の時系列データと操作量の時系列データは、修正量算出部30の記憶部に記憶されることができる。
【0033】
ここで、外乱を印加する際に、目標温度を一旦小さくして、その後外乱を印加するようにしてもよい。これにより、外乱を印加したときに出力飽和しないようにでき、出力飽和しない状態で、上記温度の時系列データと操作量の時系列データを得ることができる。なお、目標温度をその後大きくして元の目標温度に戻してもよい。換言すると、目標温度を一旦小さくした後、徐々に大きくするような、予め定められたパターンで変化させてもよい。
【0034】
ステップS14では、修正量算出部30は、ワークを熱板に載置してから制御量が安定するまでの各時刻/各チャンネルにおける目標温度(SV)の修正量ΔSV(修正量ベクトル)を未知数とし、ステップS11及びS13で取得された時系列データに基づいて、過渡状態における温度と操作量の予測式を構築する(S14)。
【0035】
具体的には、修正量算出部30は、外乱を印加したときの多点の温度の時系列データTemp
ref(OUTj)(t)を配列した既知温度ベクトルT
refを求める。また、修正量算出部30は、外乱を印加したときの操作量の時系列データMV
ref(OUTj)(t)のデータを配列した既知操作量ベクトルM
refを求める。
図6に、温度の出力チャンネル数が5、操作量の出力チャンネル数が3、予測する温度の個数が91個(0〜90秒までを予測)の場合における既知温度ベクトルT
refと既知操作量ベクトルM
refの構成例を示す。既知温度ベクトルT
refは、予測する温度の個数:91×温度の出力チャンネル数:5の長さを持つ実数定数からなる列ベクトルである。既知操作量ベクトルM
refは、予測する温度の個数:91×操作量の出力チャンネル数:3の長さを持つ実数定数からなる列ベクトルである。
【0036】
また、修正量算出部30は、入力チャンネル毎の目標温度修正量の時系列データを要素に持つ修正量ベクトル(設計パラメータベクトル)を定義する。
図7に、目標温度修正パターンで印加するパルスの個数が50、目標温度の入力チャンネル数が3の場合における修正量ベクトルθの構成例を示す。
【0037】
なお、予測温度ベクトルT
forecast及び予測操作量ベクトルM
forecastを以下のように定義できる。
【0039】
上述の式において、温度の影響度行列C
tempに目標温度修正量θを乗算すると温度変動量の予測値が求まる。温度変動量の予測値とリファレンスとなる外乱応答時の温度を加算すると予測温度T
forecastが求まる。操作量についても同様である。なお、予測温度ベクトルT
forecastは、予測する温度の個数:91×温度の出力チャンネル数:5の長さを持ち、θを変数とする列ベクトルである。予測操作量ベクトルM
forecastは、予測する温度の個数:91×操作量の出力チャンネル数:3の長さを持ち、θを変数とする列ベクトルである。
【0040】
ステップS15では、修正量算出部30は、例えば、過渡状態の操作量の予測値を、操作量の出力可能範囲内に収めることを制約条件(拘束条件)とし、過渡状態の温度の分散総和を最小化とする制約付き最適化計算を行い、目標温度の修正量ΔSV(修正量ベクトルθ)を算出する(S15)。操作量の出力可能範囲は、ヒータ等のアクチュエータの性能に応じて予め定められることができる。また、ここでの分散は、多点の予測温度の平均温度に対する分散を用いることができる。
【0041】
より具体的に説明すると、評価関数及び制約条件を次式で表す。
【0043】
これは、上記制約条件の下で評価関数を最小化する条件付き最適化問題である。評価関数について説明する。評価関数は、例えば平均温度に対する分散σ
2の総和であり、温度の出力チャンネルが5個(N=5)の場合、次式で表すことができる。
【0045】
これは、(予測温度−予測平均温度)の二乗を出力チャンネル数で割ったものである。ここで、予測平均温度ベクトルT
aveは、予測する温度の個数:91×温度の出力チャンネル数:5の長さを持つ列ベクトルである。予測平均温度ベクトルT
aveは、次式で表すことができる。なお、K
aveは、予測する温度の個数が91個、温度の出力チャンネル数が5個の例を示している。
【0047】
評価関数F(θ)は以下のように展開できる。
【0049】
従って、評価関数F(θ)を以下のように表すことができる。
【0051】
次に、制約条件について説明する。操作量は、出力可能な範囲に対して、常に0%〜100%の値になるようにする。制約条件は、予測操作量ベクトルM
forecastを用いて表すと、以下のように表すことができる。
【0053】
上記制約条件の式は、以下のように展開できる。
【0055】
上式を以下のようにおいて、制約条件を表すことができる。
【0057】
修正量算出部30は、上記評価関数のパラメータQ、p及びrを、温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出する。より具体的には、修正量算出部30は、評価関数F(θ)を上記式(1)で表したときのパラメータQ、p及びrを、温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから上記式(2)で算出する。さらに、修正量算出部30は、制約条件を上記式(3)で表したときのパラメータA
in及びA
ubを、操作量の影響度行列C
mvと既知操作量ベクトルM
refから上記式(4)で算出する。そして、修正量算出部30は、上記制約条件の下で評価関数を最小化する条件付き最適化問題を解く。この条件付き最適化問題は、凸二次計画問題であり、例えば二次計画法などの既知の方法を用いることで解くことができる。これにより、修正量算出部30は、最適な目標温度修正量θ
*を求めることができる。
【0058】
ステップS16では、修正量算出部30は、目標温度の修正量ベクトルθ
*を、例えば、多点温度コントローラ20の修正パターン適用部23に出力する(S16)。修正パターン適用部23は、目標温度の修正量ベクトルθ
*を記憶する。
【0059】
以上の処理により、外乱が印加された場合に適用する修正量ベクトルを求めることができる。
【0060】
次に、目標温度の修正パターンを用いた制御について説明する。
【0061】
求められた目標温度の修正量ベクトルθ
*は、各入力チャンネルに対する積分器に入力するパルス列の振幅を表している。各パルスが積分器で加算されて積分器から目標温度の修正パターンが出力される。積分器から出力された修正パターン(波形)が加算器22で目標温度(SV)に加算されてPID制御器21に出力される。
【0062】
図8に、目標温度の修正量ベクトルθ
*と目標温度の修正パターンSV
correct(INi)(t)の説明図を示す。入力チャンネル1について説明すると、h
1(0)
*〜h
1(49)
*の振幅を有する50個のパルスを入力チャンネル1に対応する積分器に出力する。この例では、各パルスのパルス幅は1秒であり、各パルスが立ち上がる間隔も1秒である。すなわち直前のパルス及び直後のパルスと隙間を空けずに出力する。積分器では、パルスの振幅の分だけ振幅が増減する波形が得られる。他の入力チャンネルについても同様である。
【0063】
例えば外乱を検出することにより、上記パルス列を積分器に出力し、積分器から目標温度の修正パターンを加算器22へ出力する。これにより、外乱が印加されたときに目標温度の修正パターンを適用して制御対象10を制御できる。なお、外乱の検出は修正パターン適用部23が検出してもよいし、他のブロックが検出して修正パターン適用部23に通知してもよい。
【0064】
このように、ワークが熱板に載置された際は、修正パターンにより調整された目標温度でPID制御を行い、過渡状態の操作量を出力可能範囲内に収めつつ、温度のバラツキを小さくする制御を実現できる。
【0065】
(目標値応答設計1)
次に、目標値応答の設計と制御について説明する。本実施形態では、上述の外乱応答設計に代えて目標値応答設計を行うことができる。
【0066】
図9は、目標値応答設計処理のフローチャートである。ステップS21〜S24は、上述の外乱応答設計における処理と同一又は類似する。
【0067】
ステップS21では、修正量算出部30(例えば処理部、以下同様)は、チャンネル毎に目標温度を予め定められた形状に変化させ、各チャンネルの温度と各チャンネルの操作量の応答波形データを取得する(S21)。ステップS22では、修正量算出部30は、温度と操作量の応答波形データから、影響度行列を構築する(S22)。ステップS21及びS22は、外乱応答設計のステップS11及びS12と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0068】
ステップS23では、修正量算出部30は、目標温度変更前に温度を安定させたときの、温度の時系列データTemp
ref(OUTj)(t)と操作量の時系列データMV
ref(OUTj)をチャンネル毎に取得する(S23)。ステップS23は、外乱を印加した状態か目標温度変更前に温度を安定させた状態かの違いを除き、外乱応答設計のステップS13と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0069】
ステップS24では、修正量算出部30は、目標温度を変更してから制御量が安定するまでの各時刻/各チャンネルにおける目標温度(SV)の修正量ΔSVを未知数とし、ステップS21及びS23で取得された時系列データに基づいて、過渡状態における温度と操作量の予測式を構築する(S24)。
【0070】
具体的には、修正量算出部30は、目標温度変更前に温度を安定させたときの、多点の温度の時系列データTemp
ref(OUTj)(t)を配列した既知温度ベクトルT
refを求める。また、修正量算出部30は、目標温度変更前に温度を安定させたときの、操作量の時系列データMV
ref(OUTj)(t)のデータを配列した既知操作量ベクトルM
refを求める。修正量算出部30は、目標温度修正量を要素に持つ修正量ベクトル(設計パラメータベクトル)を定義する。なお、各ベクトルの求め方については外乱応答設計と同様である。また、予測温度ベクトルT
forecast及び予測操作量ベクトルM
forecastも外乱応答設計と同様に定義できる。
【0071】
ステップS25では、修正量算出部30は、例えば、過渡状態の操作量の予測値を、操作量の出力可能範囲内に収めること等を制約条件とし、過渡状態の温度の分散総和を最小化とする制約付き最適化計算を行い、目標温度の変更量ΔSV(修正量ベクトルθ)を算出する(S25)。操作量の出力可能範囲は、ヒータ等のアクチュエータの性能に応じて予め定められることができる。また、ここでの分散は、多点の予測温度の平均温度に対する分散を用いることができる。
【0072】
ここで、制約条件として、操作量の飽和に関する第1制約条件と、最終温度に関する第2制約条件と、整定時間に関する第3制約条件を規定することができる。なお、整定時間に関する第3制約条件を除外してもよい。例えば、第1制約条件として、操作量の出力可能範囲内に収めることを規定する。また、第2制約条件として、予め定められた時間における多点の平均温度が目標値又は修正目標値になることを規定する。第3制約条件として、
多点の平均温度が所望の整定時間で目標値又は修正目標値になることを規定する。
【0073】
より具体的に説明すると、評価関数及び制約条件を次式で表す。
【0075】
これは、上記制約条件の下で評価関数を最小化する条件付き最適化問題である。評価関数については、上述の外乱応答設計における評価関数と同様のため詳細な説明を省略する。
【0076】
次に、制約条件について説明する。操作量に関する第1制約条件は上述の外乱応答設計における制約条件と同様である。最終温度に関する第2制約条件は、制御する各点の温度が変更後の目標温度に安定するための条件である。例えば、変更後の目標温度が120℃であり、上述のように0秒から90秒までの予測をする場合を例に説明する。例えば、90秒時点の各点の平均温度が変更後の目標温度120℃になるようにする。第2制約条件は、予測温度ベクトルT
forecastを用いて表すと、以下のように表すことができる。
【0078】
ここで、K
ave_at90secは、予測温度ベクトルT
forecastから90秒時点の要素を抽出するための係数ベクトルである。
図10に、平均温度算出用の係数ベクトルK
ave_at90secの説明図を示す。
【0079】
上記第2制約条件の式は、以下のように展開できる。
【0081】
上式を以下のようにおいて、第2制約条件を表すことができる。
【0083】
なお、120は変更後の目標温度の例であり、適宜、目標温度変更後の最終的な目標値又は修正目標値SV
lastとすることができる。また、90秒時点以外にも安定状態と想定される適宜の時点t3を用いてもよく、平均温度算出用の係数ベクトルは、予測温度ベクトルT
forecastから所望の時点の要素を抽出するよう適宜設定することができる。安定状態と想定される適宜の時点としては、例えば、設計する整定時間以降の任意の時点とすることができる。
【0084】
整定時間に関する第3制約条件は、制御する各点の温度が指定した整定時間で目標温度に安定するための条件である。例えば、変更後の目標温度が120℃であり、安定するまでの目標時間(整定時間の設計値)が15秒、安定と判断する条件が各点の温度が120℃から誤差0.1℃以内に所定時間以上収まることを例に説明する。安定するまでの時間(整定時間)と、安定と判断する条件は、適用する装置や制御対象により適宜設定できる。
【0085】
この例では、15秒以降の、各点(例えば、ワーク上の各点)の予測温度が120℃から誤差0.1℃以内に収まればよいので、15秒以降のワークの予測温度ベクトルT
steadyを予測温度ベクトルT
forecastより抽出する。
図11に、15秒以降のワークの予測温度ベクトルT
steadyの例を示す。
図12に、15秒以降の予測温度ベクトル算出用の係数行列K
steadyの例を示す。係数行列K
steadyは、この例では(76×5)行(91×5)列の実数定数の行列である。図中の零行列0(m,n)は、すべての要素が0であるm行n列の行列である。第3制約条件は、15秒以降のワークの予測温度ベクトルT
steadyを用いて表すと、以下のように表すことができる。
【0087】
また、上記第3制約条件の式は、以下のように展開できる。
【0089】
すわなち、第1〜第3の制約条件は以下の通りとなる。
【0091】
以上の第1〜第3の制約条件をまとめると、以下のように表すことができる。
【0093】
修正量算出部30は、上記評価関数のパラメータQ、p及びrを、温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出する。より具体的には、修正量算出部30は、評価関数F(θ)を、外乱応答設計の説明において示した上記式(1)で表したときのパラメータQ、p及びrを、温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから外乱応答設計の説明において示した上記式(2)で算出する。さらに、修正量算出部30は、制約条件を上記式(5)で表したときのパラメータA
in、A
ub、A
eq及びb
eqを、操作量の影響度行列C
mvと、温度の影響度行列C
tempと、既知操作量ベクトルM
refと、既知温度ベクトルT
refとから上記式(6)で算出する。
【0094】
そして、修正量算出部30は、上記制約条件の下で評価関数を最小化する条件付き最適化問題を解く。この条件付き最適化問題は、凸二次計画問題であり、例えば二次計画法などの既知の方法を用いることで解くことができる。これにより、修正量算出部30は、最適な目標温度修正量θ
*を求めることができる。
【0095】
ステップS26では、修正量算出部30は、算出された修正量ベクトルθ
*を、例えば、多点温度コントローラ20の修正パターン適用部23に出力する(S26)。
【0096】
修正パターン適用部23では、例えば目標温度を変更する際(又は目標温度の変更を検出した際)に、算出された修正量ベクトルθ
*の各要素を振幅とするパルスを積分器に出力し、積分器から目標温度の修正パターンを加算器へ出力する。算出された修正量ベクトルθ
*に基づく目標温度の修正パターンの構成等は上述の外乱応答設計と同様である。
【0097】
このように、目標温度を変更する際、修正パターンにより調整された目標温度でPID制御を行い、過渡状態の操作量を出力可能範囲内に収めつつ、温度のバラツキを小さくする制御を実現できる。
【0098】
(目標値応答設計2)
次に、目標値応答の設計の他の例について説明する。上述の目標値応答設計1の評価関数及び制約条件を以下のようにしてもよい。他の処理は上述の目標値応答設計1と同様である。
【0099】
本設計例では、評価関数として制御する各点の温度における、平均温度からの最大差温幅dとし、これを最小化する。平均温度からの最大差温幅とは、制御対象の多点の各予測温度と多点の平均温度との差幅(差の絶対値)の最大値である。換言すると、平均温度に対する各点の温度のバラツキを最小化する。
制約条件としては、操作量の飽和に関する第1制約条件と、最終温度に関する第2制約条件と、整定時間に関する第3制約条件に加えて、平均温度からの差温に関する第4制約条件を規定することができる。なお、整定時間に関する第3制約条件を除外してもよい。例えば、第1〜第3制約条件は、目標値応答設計1と同様である。第4制約条件として、
制御する各点の平均温度からの差温E
nが±d℃以内であることを規定する。
【0100】
より具体的に説明すると、評価関数及び制約条件を次式で表す。
【0102】
評価関数について説明すると、制御する各点の平均温度からの最大差温幅をd℃とおく(dは0以上)。また、設計パラメータを修正量ベクトルθと最大差温幅dで構成されるベクトルφとし、以下のように評価関数を表す。
【0104】
次に制約条件について説明する。操作量に関する第1制約条件、最終温度に関する第2制約条件、整定時間に関する第3制約条件は、上述の目標値応答設計1における対応する制約条件と同様である。第4制約条件について以下説明する。制御する各点の平均温度からの予測差温ベクトルE
nは、予測するデータ数91×出力チャンネル数5の長さを有する列ベクトルであり、以下のように表すことができる。
【0106】
なお、K
aveは、外乱応答設計で説明したものと同じである。制御する各点の平均温度からの差温E
nが±d℃以内とする第4制約条件は、以下のように表すことができる。
【0108】
また、上記第4制約条件の式は、以下のように展開できる。
【0110】
以上の第1〜第4制約条件をまとめると、以下のようになる。
【0112】
従って、第1〜第4制約条件を以下のように表すことができる。
【0114】
修正量算出部30は、制約条件を上記式(7)で表したときのパラメータA
in、A
ub、A
eq及びb
eqを、操作量の影響度行列C
mvと、温度の影響度行列C
tempと、既知操作量ベクトルM
refと、既知温度ベクトルT
refとから上記式(8)で算出する。その後、修正量算出部30は、最適化問題を解くことで最適な目標温度修正量θ
*を求めることができる。この最適化問題は、線形計画問題であり、既知の方法を用いることで解くことができる。
【0115】
(効果)
図13は、本実施形態における制御系(外乱応答設計時)の効果を示す図である。
図13(a)は、修正パターン適用前の応答波形(w11〜w15)を示し、
図13(b)は、修正パターンを適用した場合の応答波形(w21〜w25)を示す。
図13(c)は、修正パターンを適用した場合の操作量の変化(ch1〜ch3)を示す。
図13(a)及び
図13(b)において、縦軸は、ワークの各点の温度平均値と各点との差温(℃)を示し、横軸は、ワークを熱板に置載してからの経過時間(秒)を示す。
図13(c)において、縦軸は、各チャンネルの操作量の最大出力を100とした割合(%)で示し、横軸は、ワークを熱板に置載してからの経過時間を示す。
【0116】
図13(a)は、例えば、上述のステップS13で得られる波形に相当し、
図13(b)は、上述のステップS15で求められた目標温度修正量ベクトルに基づく修正パターンを適用した際の波形に相当する。
【0117】
図13(a)及び
図13(b)からわかるように、本実施の形態で得られる修正パターンを適用すると各点での温度のばらつきを抑えることができる。また、
図13(c)に示すように、操作量は0〜100%の間で変化しており、
図13(b)に示すような応答がシミュレーション上だけでなく、実際のシステムにおいても得ることができる。
【0118】
(変形例)
なお、上述の実施形態では外乱応答設計と目標値応答設計をそれぞれ説明したが、各設計の一部を他の設計に適用してもよい。例えば、目標値応答設計における制約条件の一部を外乱応答設計に適用してもよい。また、上述の実施形態では、外乱応答設計及び制御に代えて目標値応答設計及び制御を行う例を説明したが、両者を組み合わせてもよい。例えば、目標値応答設計により求められた修正量ベクトル(修正パターン)を適用して制御対象10を制御している際に、外乱応答設計により求められた修正量ベクトル(修正パターン)をさらに加算するように構成してもよい。この場合、該外乱応答設計は、目標値応答設計により求められた修正量ベクトル(修正パターン)を適用した制御が安定状態にあるときに実行されてもよい。
【0119】
上述の例では温度を例に説明したが温度以外の物理量を制御してもよい。この場合、上述の目標温度は目標値に対応し、熱板は適宜のアクチュエータに対応する。また、熱板とワークを有する構成以外にも適用できる。
【0120】
上述の処理は、処理部が実行する制御系設計方法としても実現可能である。また、処理部に上述の処理を実行させるための命令を含むプログラム又はプログラム媒体、該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び非一時的な記録媒体等により実現可能である。
【0121】
(構成例)
上述の実施形態では具体的な数を例に挙げて説明したが、本実施の形態の装置及びシステムは以下のように構成することもできる。
【0122】
[構成例1]
制御対象における多点の温度を制御し、予め設定される目標値を与えられる修正量に応じて修正した修正目標値に従い制御対象を制御する多点制御系に対して、上記目標値の修正量を設計する制御系設計装置であって、
上記目標値の修正量を算出する修正量算出部
を備え、
上記修正量算出部は、
複数の入力チャンネルの目標値を順次変化させたときの、各入力チャンネルの変化に対する操作量の時系列データと制御対象における多点の温度の時系列データを取得し、
該操作量の時系列データに基づいて求めた操作量の単位パルス応答の時系列データを配列した操作量の影響度行列C
mvと、上記多点の温度の時系列データに基づいて求めた温度の単位パルス応答の時系列データを配列した温度の影響度行列C
tempを求め、
試験外乱を印加したときの操作量の時系列データと上記多点の温度の時系列データを取得し、
試験外乱を印加したときの操作量の時系列データを配列した既知操作量ベクトルM
refと、試験外乱を印加したときの多点の温度の時系列データを配列した既知温度ベクトルT
refを求め、
最小化する評価関数を制御対象の上記多点の予測温度の平均温度に対する分散に基づく関数とし、該評価関数のパラメータを温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出し、
制約条件を、操作量が予め定められた範囲に収まることとし、該制約条件のパラメータを操作量の影響度行列C
mvと既知操作量ベクトルM
refから算出し、
上記制約条件の下で上記評価関数を最小化する目標値の修正量を算出する。
【0123】
[構成例2]
構成例1の制御系設計装置において、上記修正量算出部は、
上記評価関数F(θ)を次式(F1)で表したときのパラメータQ、p及びrを、温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから次式(F2)で算出し、
上記制約条件を次式(F3)で表したときのパラメータA
in及びA
ubを、操作量の影響度行列C
mvと既知操作量ベクトルM
refから次式(F4)で算出し、
上記評価関数と上記制約条件で表される凸二次計画問題を予め定められた手法で解くことで目標値の修正量ベクトルθを算出する。
【0125】
I
lmax:(lmax×lmax)の単位行列
e
0:lmax×入力チャンネル数のベクトルであって、各要素が1のベクトル
lmax:1入力チャンネルに対して予測する温度の時系列データ数
θ:修正量を表すベクトル
N:出力チャンネル数
【0126】
[構成例3]
構成例1又は2の制御系設計装置において、試験外乱を印加する際に、目標温度を一旦小さくして、その後試験外乱を印加する。
【0127】
[構成例4]
制御対象における多点の温度を制御し、予め設定される目標値を与えられる修正量に応じて修正した修正目標値に従い制御対象を制御する多点制御系に対して、上記目標値の修正量を設計する制御系設計装置であって、
上記目標値の修正量を算出する修正量算出部
を備え、
上記修正量算出部は、
複数の入力チャンネルの目標値を順次変化させたときの、各入力チャンネルの変化に対する操作量の時系列データと制御対象における多点の温度の時系列データを取得し、
該操作量の時系列データに基づいて求めた操作量の単位パルス応答の時系列データを配列した操作量の影響度行列C
mvと、上記多点の温度の時系列データに基づいて求めた温度の単位パルス応答の時系列データを配列した温度の影響度行列C
tempを求め、
所定の目標値が与えられて制御された安定状態での操作量の時系列データと上記多点の温度の時系列データを取得し、
該安定状態での操作量の時系列データを配列した既知操作量ベクトルM
refと、該安定状態での上記多点の温度の時系列データを配列した既知温度ベクトルT
refを求め、
最小化する評価関数を制御対象の上記多点の予測温度の平均温度に対する分散に基づく関数とし、該評価関数のパラメータを温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出し、
第1制約条件を、操作量が予め定められた範囲に収まることとし、該第1制約条件のパラメータを操作量の影響度行列C
mvと既知操作量ベクトルM
refから算出し、
第2制約条件を、予め定められた時間における上記多点の平均温度が目標値又は修正目標値になることとし、該第2制約条件のパラメータを、温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出し、
上記第1及び第2制約条件の下で上記評価関数を最小化する目標値の修正量を算出する。
【0128】
[構成例5]
構成例4の制御系設計装置において、上記修正量算出部は、
第3制約条件を、上記多点の平均温度が所望の整定時間で目標値又は修正目標値になることとし、該第3制約条件のパラメータを温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出し、
上記第1乃至第3制約条件の下で上記評価関数を最小化する目標値の上記修正量ベクトルθを算出する。
【0129】
[構成例6]
構成例4又は5の制御系設計装置において、上記修正量算出部は、
上記評価関数F(θ)を次式(F1)で表したときのパラメータQ、p及びrを、温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから次式(F2)で算出し、
上記制約条件を次式(F5)で表したときのパラメータA
in、A
ub、A
eq及びb
eqを、操作量の影響度行列C
mvと、温度の影響度行列C
tempと、既知操作量ベクトルM
refと、既知温度ベクトルT
refから次式(F6)で算出し、
上記評価関数と上記制約条件で表される凸二次計画問題を予め定められた手法で解くことで目標値の修正量ベクトルθを算出する。
【0131】
K
t1_to_t2:時刻t1からt2までの要素を抽出するための係数行列
SVp:安定を判断する目標値の上限値
SVn:安定を判断する目標値の下限値
e
1:lmax×入力チャンネル数のベクトルであって、各要素が1のベクトル
lmax:1入力チャンネルに対して予測する温度の時系列データ数
e
3:(lmax−z)×出力チャンネル数のベクトルであって、各要素が1のベクトル
z:整定時間までのデータ数に相当する数
θ:修正量を表すベクトル
N:出力チャンネル数
0
(x、y):対応する行及び列を0で満たすx行y列の行列又はベクトル
SV
last:目標温度変更後の最終的な目標値又は修正目標値
K
t3:時刻t3の要素を抽出するための係数ベクトル
【0132】
[構成例7]
制御対象における多点の温度を制御し、予め設定される目標値を与えられる修正量に応じて修正した修正目標値に従い制御対象を制御する多点制御系に対して、上記目標値の修正量を設計する制御系設計装置であって、
上記目標値の修正量を算出する修正量算出部
を備え、
上記修正量算出部は、
複数の入力チャンネルの目標値を順次変化させたときの、各入力チャンネルの変化に対する操作量の時系列データと制御対象における多点の温度の時系列データを取得し、
該操作量の時系列データに基づいて求めた操作量の単位パルス応答の時系列データを配列した操作量の影響度行列C
mvと、上記多点の温度の時系列データに基づいて求めた温度の単位パルス応答の時系列データを配列した温度の影響度行列C
tempを求め、
所定の目標値が与えられて制御された安定状態での操作量の時系列データと上記多点の温度の時系列データを取得し、
該安定状態での操作量の時系列データを配列した既知操作量ベクトルM
refと、該安定状態での上記多点の温度の時系列データを配列した既知温度ベクトルT
refを求め、
最小化する評価関数を制御対象の上記多点の各予測温度と上記多点の平均温度との差幅の最大値dとし、
第1制約条件を、操作量が予め定められた範囲に収まることとし、該第1制約条件のパラメータを操作量の影響度行列C
mvと既知操作量ベクトルM
refから算出し、
第2制約条件を、予め定められた時間における上記多点の平均温度が目標値又は修正目標値になることとし、該第2制約条件のパラメータを、温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出し、
第4制約条件を、制御対象の上記多点の各予測温度と上記多点の平均温度との差E
nが、上記差幅の最大値dに対して−d以上+d以下になることとし、該第4制約条件のパラメータを温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出し、
上記第1、第2及び第4制約条件の下で上記評価関数を最小化する目標値の修正量を算出する。
【0133】
[構成例8]
構成例7の制御系設計装置において、上記修正量算出部は、
第3制約条件を、上記多点の平均温度が所望の整定時間で目標値になることとし、該第3制約条件のパラメータを温度の影響度行列C
tempと既知温度ベクトルT
refから算出し、
上記第1乃至第4制約条件の下で上記評価関数を最小化する目標値の上記修正量ベクトルθを算出する。
【0134】
[構成例9]
構成例7又は8の制御系設計装置において、上記修正量算出部は、
上記制約条件を次式(F7)で表したときのパラメータA
in、A
ub、A
eq及びb
eqを、操作量の影響度行列C
mvと、温度の影響度行列C
tempと、既知操作量ベクトルM
refと、既知温度ベクトルT
refとから次式(F8)で算出し、
上記評価関数と上記制約条件で表される線形計画問題を予め定められた手法で解くことで目標値の修正量ベクトルθを算出する構成例8に記載の制御系設計装置。
【0136】
SVp:安定を判断する目標値の上限値
SVn:安定を判断する目標値の下限値
e
1:lmax×入力チャンネル数のベクトルであって、各要素が1のベクトル
lmax:1入力チャンネルに対して予測する温度の時系列データ数
e
3:(lmax−z)×出力チャンネル数のベクトルであって、各要素が1のベクトル
z:整定時間までのデータ数に相当する数
e
4:lmax×出力チャンネル数のベクトルであって、各要素が1のベクトル
θ:修正量を表すベクトル
N:出力チャンネル数
0
(x、y):対応する行及び列を0で満たすx行y列の行列又はベクトル
I
lmax:(lmax×lmax)の単位行列
SV
last:目標温度変更後の最終的な目標値又は修正目標値
K
t3:時刻t3の要素を抽出するための係数ベクトル
【0137】
[構成例10]
制御対象における多点の温度を制御し、予め設定される目標値を与えられる修正量に応じて修正した修正目標値に従い制御対象を制御する制御器と、
構成例1乃至3のいずれかに記載の制御系設計装置と、
外乱を検出した際に上記制御系設計装置で算出された修正量に基づく修正パターンを出力する修正パターン適用部と、
予め設定される上記目標値と、上記修正パターン適用部からの修正パターンを加えて上記修正目標値を求めて上記制御器に与える加算器と
を備えた制御システム。
【0138】
[構成例11]
制御対象における多点の温度を制御し、予め設定される目標値を与えられる修正量に応じて修正した修正目標値に従い制御対象を制御する制御器と、
構成例4乃至9のいずれかに記載の制御系設計装置と、
目標温度の変更を検出した際又は目標温度を変更する際に上記制御系設計装置で算出された修正量に基づく修正パターンを出力する修正パターン適用部と、
予め設定される上記目標値と、上記修正パターン適用部からの修正パターンを加えて上記修正目標値を求めて上記制御器に与える加算器と
を備えた制御システム。