特許第6985624号(P6985624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985624
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】電子部品、および電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20211213BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H05K1/14 C
   H05K3/36 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-29289(P2020-29289)
(22)【出願日】2020年2月25日
(65)【公開番号】特開2021-136262(P2021-136262A)
(43)【公開日】2021年9月13日
【審査請求日】2020年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新山 貴之
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特表昭62−500828(JP,A)
【文献】 特開平11−087888(JP,A)
【文献】 特開平06−242461(JP,A)
【文献】 特開平10−224031(JP,A)
【文献】 米国特許第06019271(US,A)
【文献】 特開昭48−016184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線および第2配線が露出するように設けられた第1面を含む基板と、
導電性接着剤と、第3配線と、第4配線と、前記導電性接着剤、前記第3配線、および前記第4配線を封入する絶縁性コーティングと、を含むフレキシブルケーブルと、
を備え、
前記フレキシブルケーブルは、前記第1面と交差する方向から見て前記第1配線の露出した部分および前記第2配線の露出した部分と前記第3配線および前記第4配線とが交差するように前記基板の前記第1面上に配置されており、
前記絶縁性コーティングのうち前記基板の前記第1面に面した領域には、前記第1面と交差する方向から見て前記第1配線の露出した部分と前記第3配線とが交差する第1位置に第1孔が設けられているとともに、前記第1面と交差する方向から見て前記第2配線の露出した部分と前記第4配線とが交差する第2位置に第2孔が設けられており、
前記第1配線と前記第3配線とは、前記第1孔を介して前記フレキシブルケーブル内からはみ出した前記導電性接着剤により接着されているとともに、前記第2配線と前記第4配線とは、前記第2孔を介して前記フレキシブルケーブル内からはみ出した前記導電性接着剤により接着されている、電子部品。
【請求項2】
前記第1面は、前記第1配線および前記第2配線の露出した面よりも突出するように前記基板上に設けられたレジストの表面として構成されている、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記絶縁性コーティングのうち前記第1面に面した領域のうち前記第1位置および前記第2位置以外の領域は、絶縁性接着剤により第1面に接着されている、
請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
第1配線および第2配線が露出するように設けられた第1面を含む基板の前記第1面上に、導電性接着剤と、第3配線と、第4配線と、前記導電性接着剤、前記第3配線、および前記第4配線を封入する絶縁性コーティングと、を含むフレキシブルケーブルが、前記第1面と交差する方向から見て前記第1配線の露出した部分および前記第2配線の露出した部分と前記第3配線および前記第4配線とが交差するように配置された状態で、前記第1配線および前記第3配線のうち一方を接地するとともに前記第1配線および前記第3配線のうち他方に前記絶縁性コーティングの絶縁耐力を上回る所定の電圧を印加し、前記第2配線および前記第4配線のうち一方を接地するとともに前記第2配線および前記第4配線のうち他方に前記所定の電圧を印加する第1工程を備える、
電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1工程は、前記第1面と交差する方向から見て前記第1配線および前記第2配線と前記第3配線および前記第4配線とが交差するように前記第1面と前記フレキシブルケーブルとが絶縁性接着剤により接着された状態で実施される、
請求項4に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記第1配線および前記第3配線に前記所定の電圧の印加に応じた所定の電流が流れた場合に前記所定の電圧の印加を終了し、前記第2配線および前記第4配線に前記所定の電圧の印加に応じた前記所定の電流が流れた場合に前記所定の電圧の印加を終了する第2工程をさらに備える、
請求項4または5に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品、および電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タブレット端末などの電子機器の内部に、フレキシブルケーブルが接続された基板を含む電子部品が搭載されることがある。このような従来の電子部品において、フレキシブルケーブルと基板との電気的な接続は、基板側に設けられるコネクタと、フレキシブルケーブル側に設けられるコネクタと、を物理的に接続することで実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−74908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板とフレキシブルケーブルとをコネクタを介して物理的に接続する作業は、たとえばコネクタ同士の位置合わせなどのような、正確さが求められる作業を含むので、作業性が低下しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様にかかる電子部品は、基板と、フレキシブルケーブルと、を備える。基板は、第1配線および第2配線が露出するように設けられた第1面を含む。フレキシブルケーブルは、導電性接着剤と、第3配線と、第4配線と、導電性接着剤、第3配線、および第4配線を封入する絶縁性コーティングと、を含む。フレキシブルケーブルは、第1面と交差する方向から見て第1配線および第2配線と第3配線および第4配線とが交差するように基板の第1面上に配置されている。絶縁性コーティングのうち基板の第1面に面した領域には、第1面と交差する方向から見て第1配線と第3配線とが交差する第1位置に第1孔が設けられているとともに、第1面と交差する方向から見て第2配線と第4配線とが交差する第2位置に第2孔が設けられている。第1配線と第3配線とは、第1孔を介してフレキシブルケーブル内からはみ出した導電性接着剤により接着されているとともに、第2配線と第4配線とは、第2孔を介してフレキシブルケーブル内からはみ出した導電性接着剤により接着されている。
【0006】
本開示の第2態様にかかる電子部品の製造方法は、第1配線および第2配線が露出するように設けられた第1面を含む基板の第1面上に、導電性接着剤と、第3配線と、第4配線と、導電性接着剤、第3配線、および第4配線を封入する絶縁性コーティングと、を含むフレキシブルケーブルが、第1面と交差する方向から見て第1配線および第2配線と第3配線および第4配線とが交差するように配置された状態で、第1配線および第3配線のうち一方を接地するとともに第1配線および第3配線のうち他方に絶縁性コーティングの絶縁破壊が起こるような所定の電圧を印加し、第2配線および第4配線のうち一方を接地するとともに第2配線および第4配線のうち他方に所定の電圧を印加する第1工程を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電子部品、および電子部品の製造方法によれば、基板とフレキシブルケーブルとの接続の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかる電子部品の構成を示した例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、実施形態にかかる基板とフレキシブルケーブルとの接続構造を示した例示的かつ模式的な断面図である。
図3図3は、実施形態にかかる基板の配線とフレキシブルケーブルの配線とを電気的に接続する方法を説明するための例示的かつ模式的な断面図である。
図4図4は、実施形態にかかる基板の配線とフレキシブルケーブルの配線とを電気的に接続する方法を説明するための例示的かつ模式的な平面図である。
図5図5は、第1変形例にかかる電子部品の構成を示した例示的かつ模式的な図である。
図6図6は、第2変形例にかかる基板の配線とフレキシブルケーブルの配線とを電気的に接続する工程を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態および変形例を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態にかかる電子部品1の構成を示した例示的かつ模式的な平面図である。図1に示されるように、実施形態にかかる電子部品1は、基板100と、フレキシブルケーブル200と、を備えている。
【0011】
なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する三方向が定義される。X方向は、基板100の縦幅方向(図1の紙面における上下方向)に対応し、Y方向は、基板100の横幅方向(図1の紙面における左右方向)に対応し、Z方向は、基板100の厚さ方向(図1に紙面に直交する高さ方向)に対応する。
【0012】
図1に示されるように、基板100は、Z方向から見てX方向およびY方向に延びる矩形状に構成されている。基板100のZ方向側の第1面としての表面101には、電子回路110が設けられている。また、基板100の表面101には、電子回路110からX方向に延びる複数(図1では3つ)の配線121〜123が露出するように設けられている。なお、以下では、互いに区別する必要が無い場合、配線121〜123を配線120と表現することがある。
【0013】
また、フレキシブルケーブル200は、Y方向に延びる複数(図1では3つ)の配線221〜223を有している。以下では、互いに区別する必要が無い場合、配線221〜223を配線220と記載することがある。フレキシブルケーブル200は、その配線220が基板100の配線120と交差する(図1では直交する)ように、基板100の表面101上に配置されている。
【0014】
ここで、実施形態では、基板100の配線121とフレキシブルケーブル200の配線221とが、互いに交差する位置P1において電気的に接続されており、基板100の配線122とフレキシブルケーブル200の配線222とが、互いに交差する位置P2において電気的に接続されており、基板100の配線123とフレキシブルケーブル200の配線223とが、互いに交差する位置P3において電気的に接続されている。
【0015】
以下、基板100とフレキシブルケーブル200との接続構造についてより詳細に説明する。
【0016】
図2は、実施形態にかかる基板100とフレキシブルケーブル200との接続構造を示した例示的かつ模式的な断面図である。より具体的に、図2は、図1において位置P1を通ってY方向に延びる切断線に沿った断面図である。
【0017】
図2に示されるように、フレキシブルケーブル200は、絶縁性コーティング210により覆われている。より具体的に、絶縁性コーティング210は、フレキシブルケーブル200の内部に設けられる配線221および導電性接着剤231を封入するように構成されている。導電性接着剤231は、配線221に対して基板100側に設けられている。なお、実施形態では、絶縁性コーティング210として、たとえばエポキシ樹脂などが用いられ、導電性接着剤351として、たとえば溶剤型で室温により硬化するという特徴を有した接着剤が用いられる。
【0018】
ここで、実施形態において、絶縁性コーティング210のうち基板100の表面101に面した領域には、Z方向から見て配線221と配線121とが交差する位置P1(図1参照)に局所的に孔241が設けられている。そして、配線221と配線121とは、孔241を介してフレキシブルケーブル200内からはみ出した導電性接着剤231により接着されている。
【0019】
また、実施形態において、基板100の表面101は、配線120の露出した面よりも突出するように基板100上に設けられたレジスト130の表面として構成されている。レジスト130は、孔241からはみ出した導電性接着剤231が配線121だけでなく隣接する配線122側にもはみ出すことで配線121と配線122とが短絡するのを抑制するための堤防としての効果を奏する。
【0020】
なお、図2には図示が省略されているが、実施形態では、他の配線222および223に対して基板100側にも、導電性接着剤231と同様の導電性接着剤が設けられている。以下、配線221に対応した導電性接着剤231と、配線222に対応した導電性接着剤と、を総称して、導電性接着剤230と表現することがある。これら3つの導電性接着剤230は、絶縁性コーティング210などを介して互いに絶縁されている。
【0021】
また、上記と同様に図示が省略されているが、実施形態では、絶縁性コーティング210のうち基板100の表面101に面した領域には、Z方向から見て配線232と配線122とが交差する位置P2と、Z方向から見て配線233と配線123とが交差する位置P3とにも、孔241と同様の局所的に孔が設けられている。以下、位置P1に設けられた孔241と、位置P2およびP3にそれぞれ設けられた孔と、を総称して孔240と表現することがある。実施形態では、位置P2に設けられた孔240からはみ出した導電性接着剤230により、配線232と配線122とが接着されており、位置P3に設けられた孔240からはみ出した導電性接着剤230により、配線233と配線123とが接着されている。
【0022】
なお、実施形態において、配線120のうち任意の2つは、第1配線および第2配線の一例であり、当該第1配線および第2配線にそれぞれ電気的に接続される2つの配線220は、第3配線および第4配線の一例である。そして、第1配線と第3配線とが交差する第1位置に設けられた孔240は、第1孔の一例であり、第2配線と第4配線とが交差する第2位置に設けられた孔240は、第2孔の一例である。したがって、たとえば配線121および122をそれぞれ第1配線および第2配線と表現すると、配線221および222をそれぞれ第3配線および第4配線、位置P1に設けられた孔241および位置P2に設けられた孔240をそれぞれ第1孔および第2孔と表現することができる。第1配線および第2配線の組み合わせが他の組み合わせである場合も同様の考え方で理解することができる。
【0023】
このように、実施形態にかかる電子部品1は、位置P1、P2、およびP3にそれぞれ設けられた孔240からはみ出した導電性接着剤230により基板100の配線120とフレキシブルケーブル200の配線220とが1対1で電気的に接続されることによって構成されている。
【0024】
以下、実施形態にかかる電子部品1の製造方法、より具体的には、実施形態にかかる基板100とフレキシブルケーブル200とを電気的に接続するための方法について説明する。
【0025】
実施形態では、まず、配線120が表面101から露出するように設けられた基板100と、配線220と導電性接着剤230とが絶縁性コーティング210により封入されることで構成されたフレキシブルケーブル200と、を準備する工程が実施される。
【0026】
そして、実施形態では、基板100の表面101に交差するZ方向から見て基板100の配線120とフレキシブルケーブル200の配線220とが交差するように、基板100の表面101上にフレキシブルケーブル200を配置する工程が実施される。この工程は、導電性接着剤230が配線120と配線220との間に位置し、かつ基板100の配線120とフレキシブルケーブル200の配線220とが交差するように実施されればよい。したがって、この工程は、詳細な位置合わせを必要としない。
【0027】
そして、実施形態では、基板100の配線120とフレキシブルケーブル200の配線220とを電気的に接続する工程が、以下に説明されるような方法により実施される。
【0028】
図3は、実施形態にかかる基板100の配線120とフレキシブルケーブル200の配線220とを電気的に接続する工程を説明するための例示的かつ模式的な断面図であり、図4は、実施形態にかかる基板100の配線120とフレキシブルケーブル200の配線220とを電気的に接続する工程を説明するための例示的かつ模式的な平面図である。
【0029】
図3に示されるように、実施形態では、基板100の配線120とフレキシブルケーブル200の配線220とを電気的に接続するにあたり、まず、基板100の配線121をグランドGに接続することで接地するとともに当該配線121と電気的に接続すべきフレキシブルケーブル200の配線221に所定の電圧Vを印加する工程が実施される。
【0030】
ここで、電圧Vは、絶縁性コーティング210の絶縁耐力を上回る程度の大きさに設定される。たとえば、絶縁性コーティング210が厚み0.005[mm]程度のエポキシ樹脂により構成されている場合、絶縁性コーティング210の絶縁耐力は、50〜80[V]となる。
【0031】
基板100の配線121を接地するとともにフレキシブルケーブル200の配線221に上記のような電圧Vを印加すると、絶縁性コーティング210のうち基板100の表面101に面した領域のうちZ方向から見て配線121と配線221とが交差する位置P1に絶縁破壊が起こる。すると、当該位置P1に電圧Vに応じた所定の電流が流れることで熱が発生し、当該熱により絶縁性コーティング210が溶け、孔241が開く(図2参照)。
【0032】
すると、絶縁性コーティング210内に封入された導電性接着剤231も熱により溶けて孔241から流出し、配線121に接触するように絶縁性コーティング210の外にはみ出す(図2参照)。その結果、配線121と配線221とが導電性接着剤231により電気的に接続される。なお、実施形態では、絶縁破壊が起こったときに配線121を介して電子回路110にかかる電圧を抑制し、電子回路110を保護するために、配線221と電圧Vの供給源との間に、抵抗Rが設けられる。
【0033】
孔241は、局所的なもので十分である。したがって、実施形態では、配線121および配線221に電圧Vに応じた電流が流れた時点で、フレキシブルケーブル200の配線221への電圧Vの印加を終了するのが妥当である。電圧Vの印加が終了すると、孔241の近傍の温度が常温に戻り、導電性接着剤231が硬化する。
【0034】
そして、図4に示されるように、実施形態では、配線121および配線221の組み合わせを対象として実施した上記の工程が、配線122および配線222の組み合わせと、配線123および配線223の組み合わせと、に対して順次実施される。これにより、Z方向から見て配線122と配線222とが交差する位置P2と、Z方向から見て配線123と配線223とが交差する位置P3と、にも、上記の孔241と同様の孔240が設けられ、基板100とフレキシブルケーブル200とが電気的に接続される。
【0035】
なお、実施形態において、上記の工程により孔240を開ける位置の順序が、位置P1、P2、P3の順序に限らず、任意であることは、言うまでもない。また、実施形態では、説明の便宜上、孔240(図2参照)のY方向の幅が配線120のY方向の幅と一致するように例示されている。しかしながら、上記の工程により孔240の大きさを制御するのは困難であるので、孔240のY方向の幅が配線120のY方向の幅と必ずしも一致するとは限らない。
【0036】
以上説明したように、実施形態にかかる電子部品1は、基板100と、フレキシブルケーブル200と、を備えている。基板100は、X方向に延びる複数の配線120が露出するように設けられた表面101を含む。フレキシブルケーブル200は、導電性接着剤230と、配線220と、導電性接着剤230および配線220を封入する絶縁性コーティング210と、を含む。フレキシブルケーブル200は、基板100の表面101と交差するZ方向から見て配線120と配線220とが交差するように基板100の表面101上に配置されている。絶縁性コーティング210のうち基板100の表面101に面した領域には、Z方向から見て配線120と配線220とが交差する位置P1〜P3に孔240が設けられている。配線120と配線220とは、孔240を介してフレキシブルケーブル200内からはみ出した導電性接着剤230により接着されている。
【0037】
より具体的に、上記のような構成を備えた電子部品1は、Z方向から見て配線120と配線220とが交差するように基板100の表面101上にフレキシブルケーブルが配置された状態で、配線120および配線220のうち一方を接地するとともに配線120および配線220のうち他方に絶縁性コーティング210の絶縁破壊が起こるような所定の電圧Vを印加する工程を含んだ製造方法により製造される。
【0038】
したがって、上記のような構成によれば、たとえばコネクタ同士の位置合わせなどのような正確さが求められる作業を要することなく、基板100とフレキシブルケーブル200とを簡単に接続することができる。したがって、基板100とフレキシブルケーブル200との接続の作業性を向上させることができる。
【0039】
<変形例>
なお、上述した実施形態では、基板に設けられた配線とレジストに設けられた配線とがそれぞれ3つである構成が例示されている。しかしながら、配線の個数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0040】
<第1変形例>
また、上述した実施形態では、基板上に設けられたレジストが、孔からはみ出した導電性接着剤が目的の配線だけでなく隣接する配線側にもはみ出すことで短絡を抑制するための堤防として機能している。しかしながら、第1変形例として、次の図5に示されるような、堤防として機能する構成がレジスト以外にも設けられた構成も考えられる。
【0041】
図5は、第1変形例にかかる電子部品1aの構成を示した例示的かつ模式的な図である。
【0042】
図5に示されるように、第1変形例では、基板100の表面101としてのレジスト130の表面とフレキシブルケーブル200の絶縁性コーティング210とが、絶縁性接着剤500により接着されている。つまり、第1変形例では、絶縁性コーティング210のうち基板100の表面101に面した領域のうち、Z方向から見て配線121と配線221とが交差する位置P1以外の領域が、絶縁性接着剤500により基板100の表面101に接着されている。
【0043】
絶縁性接着剤500は、所定の厚みを有した絶縁テープなどにより構成される。これにより、第1変形例では、レジスト130のみならず、絶縁性接着剤500も、孔241からはみ出した導電性接着剤231が目的の配線121だけでなく隣接する配線122側にもはみ出すことで短絡を抑制するための堤防として機能する。
【0044】
<第2変形例>
また、上述した実施形態にかかる基板とフレキシブルケーブルとの電気的な接続をより簡単にまたは効率的に実行する構成として、次の図6に示されるような第2変形例が考えられる。
【0045】
図6は、第2変形例にかかる基板100aとフレキシブルケーブル200との接続方法を説明するための例示的かつ模式的な平面図である。
【0046】
図6に示されるように、第2変形例では、基板100aとフレキシブルケーブル200との接続に、所定の治具J1およびJ2が用いられる。
【0047】
治具J1には、フレキシブルケーブル200の配線221、222、および223にコネクタC1を介してそれぞれ接続される配線W11、W12、およびW13が設けられている。そして、治具J1には、上述した所定の電圧Vを抵抗Rを介して配線W11〜W13に選択的に供給するためのスイッチS1が設けられている。
【0048】
一方、治具J2には、基板100aの配線121、122、および123にそれぞれ接続される配線W21、W22、およびW23が設けられている。そして、治具J2には、配線W21〜W23を選択的にグランドGに接続するためのスイッチS2が設けられている。
【0049】
ここで、第2変形例において、基板100aには、配線121、122、および123にそれぞれ接続される外部接続用のパッド151、152、および153が設けられている。パッド151、152、および153は、配線W30を介して配線W21、W22、およびW23に1対1で接続可能に構成されている。
【0050】
このような構成により、第2変形例では、治具J1のスイッチS1と治具J2のスイッチS2とを適切に切り替えるだけで、フレキシブルケーブル200の配線221に電圧Vを印加するとともに基板100aの配線121を接地する工程と、フレキシブルケーブル200の配線222に電圧Vを印加するとともに基板100aの配線122を接地する工程と、フレキシブルケーブル200の配線223に電圧Vを印加するとともに基板100aの配線123を接地する工程と、を順次実施することができる。
【0051】
したがって、第2変形例によれば、基板100とフレキシブルケーブル200との電気的な接続をより簡単にまたは効率的に実行することができる。
【0052】
以上、本開示の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1、1a 電子部品
100、100a 基板
101 表面(第1面)
120、121、122、123 配線(第1配線、第2配線)
130 レジスト
200 フレキシブルケーブル
210 絶縁性コーティング
220、221、222、223 配線(第3配線、第4配線)
230、231 導電性接着剤
240、241 孔(第1孔、第2孔)
500 絶縁性接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6