特許第6985639号(P6985639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6985639-圧縮機 図000002
  • 特許6985639-圧縮機 図000003
  • 特許6985639-圧縮機 図000004
  • 特許6985639-圧縮機 図000005
  • 特許6985639-圧縮機 図000006
  • 特許6985639-圧縮機 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6985639
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/02 20060101AFI20211213BHJP
   F04B 39/02 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   F04C29/02 361A
   F04B39/02 Y
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2021-95044(P2021-95044)
(22)【出願日】2021年6月7日
【審査請求日】2021年6月7日
(31)【優先権主張番号】特願2020-113304(P2020-113304)
(32)【優先日】2020年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】梶原 幹央
(72)【発明者】
【氏名】西出 洋平
(72)【発明者】
【氏名】富岡 直人
(72)【発明者】
【氏名】足立 将彬
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】上田 仁
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−004991(JP,U)
【文献】 特開平08−065961(JP,A)
【文献】 特開2000−179463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/02
F04B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の胴部(11)を有し、底部に潤滑油が貯留する密閉容器状のケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)に収容され、吸入した流体を圧縮して前記ケーシング(10)の内部空間(S)へ吐出する圧縮機構(30)と、
前記ケーシング(10)に収容され、前記圧縮機構(30)を駆動する電動機(20)とを備え、
前記電動機(20)は、前記胴部(11)の内周面に沿った筒状のステータ(21)と、該ステータ(21)の内側に配置されるロータ(22)とを有し、
前記ステータ(21)は、該ステータ(21)の外周部分を構成するバックヨーク(27)、該バックヨーク(27)の内周面から径方向内側に延びる複数のティース(28)、及び、周方向に隣り合う前記ティース(28)と前記バックヨーク(27)とにより囲まれるスロット(29)を有し
前記ステータ(21)の外周面と前記胴部(11)の内周面との間には、前記ステータ(21)の一端から他端に亘り、且つ、前記圧縮機構(30)から吐出された流体が流れる流体通路(24)が形成され、
前記流体通路(24)は、
前記ステータ(21)の周方向に並ぶ複数の幅広部(25)と、
隣り合う幅広部(25)の間に形成され、前記ステータ(21)の径方向の幅が前記幅広部(25)よりも狭い狭窄部(26)とを有し、
前記狭窄部(26)は、前記ステータ(21)の外周面のうち前記スロット(29)の外側の面と、前記胴部(11)内周面との間に形成され、
前記幅広部(25)は、前記ステータ(21)の外周面に形成され、かつ、隣り合う前記スロット(29)の間において径方向内方に窪んだ凹溝状のコアカット(23)と、前記胴部(11)内周面との間に形成される
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
請求項1において、
前記狭窄部(26)の前記ステータ(21)の径方向の第1幅は、前記幅広部(25)の前記ステータ(21)の径方向の第2幅に対して、1/9〜2/3である
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ステータ(21)の外周面には、ステータ(21)の一端から他端に亘って前記胴部(11)の内周面に接する接合部(45)が形成されることを特徴とする圧縮機。
【請求項4】
請求項において、
前記流体通路(24)と前記接合部(45)とが、前記ステータ(21)の周方向に交互に配置されることを特徴とする圧縮機。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1つにおいて、
前記狭窄部(26)は、前記ロータ(22)の回転方向に向かって順に並ぶ第1狭窄部(26a)と第2狭窄部(26b)とを有し、
前記第2狭窄部(26b)は、前記第1狭窄部(26a)よりも前記ステータ(21)の径方向の幅が狭くなるように形成される
ことを特徴とする圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の圧縮機は、円筒状の胴板を有するケーシングと、該ケーシング内に配置されるモータと、該モータの下方に配置される圧縮要素を有する。モータは、筒状のステータコアとその内側に配置されるロータとを有する。ステータコアの外周面には、ステータの軸方向にコアカットが形成される。圧縮要素から吐出された冷媒ガスはコアカットを通過してケーシング内の上部空間に流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−47161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の圧縮機では、圧縮要素の運転により冷媒が圧縮されると共に、ケーシング底部の油貯まり部から潤滑油が各摺動部に供給される。この潤滑油は、摺動部に供給された後、ケーシングの内部空間に吐出される冷媒ガスに混じって、コアカットを通過してモータの上側の空間に巻き上げられる。巻き上げられた潤滑油は、自重によりコアカットを通ってケーシング底部に戻る。冷媒ガスの流速が高いと、潤滑油は、油貯まり部に戻らずに、冷媒ガスと共に吐出管から圧縮機外へ流出しやすくなる。そのため、圧縮機に貯留された潤滑油の量が少なくなり過ぎるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、圧縮機からの潤滑油の流出を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
円筒状の胴部(11)を有し、底部に潤滑油が貯留する密閉容器状のケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)に収容され、吸入した流体を圧縮して前記ケーシング(10)の内部空間(S)へ吐出する圧縮機構(30)と、
前記ケーシング(10)に収容され、前記圧縮機構(30)を駆動する電動機(20)とを備え、
前記電動機(20)は、前記胴部(11)の内周面に沿った筒状のステータ(21)と、該ステータ(21)の内側に配置されるロータ(22)とを有する一方、
前記ステータ(21)の外周面と前記胴部(11)の内周面との間には、前記ステータ(21)の一端から他端に亘り、且つ、前記圧縮機構(30)から吐出された流体が流れる流体通路(24)が形成され、
前記流体通路(24)は、
前記ステータ(21)の周方向に並ぶ複数の幅広部(25)と、
隣り合う幅広部(25)の間に形成され、前記ステータ(21)の径方向の幅が前記幅広部(25)よりも狭い狭窄部(26)とを有する。
【0007】
第1の態様では、ロータ(22)が回転すると、潤滑油を含む流体は、流体通路(24)をロータの回転方向に流れると共に上昇する。流体通路(24)の幅広部(25)と狭窄部(26)とがステータ(21)外周面の周方向に交互に形成されるため、流体通路(24)を流れる流体は、幅広部(25)と狭窄部(26)とを交互に流れる。幅広部(25)は狭窄部(26)よりもステータ(21)の径方向の幅が大きいため、狭窄部(26)から幅広部(25)に流入する冷媒ガスは減速する。この時、流体よりも比重の大きい潤滑油は急に減速できないため流体から分離されやすくなるため、潤滑油はケーシング(10)底部に戻りやすくなる。その結果、潤滑油が流体と共に圧縮機外へ流出することが抑制される。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記ステータ(21)の外周面には、ステータ(21)の一端から他端に亘って前記胴部(11)の内周面に接する接合部(45)が形成される。
【0009】
第2の態様では、流体通路(24)をロータ(22)の回転方向に流れる流体は接合部(45)によって遮られる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第2の態様において、
前記流体通路(24)と前記接合部(45)とが、前記ステータ(21)の周方向に交互に配置される。
【0011】
第3の態様では、ステータ(21)の周方向に隣り合う接合部(45)の間に流体通路(24)を形成できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記狭窄部(26)は、前記ロータ(22)の回転方向に向かって順に並ぶ第1狭窄部(26a)と第2狭窄部(26b)とを有し、
前記第2狭窄部(26b)は、前記第1狭窄部(26a)よりも前記ステータ(21)の径方向の幅が狭くなるように形成される。
【0013】
第4の態様では、幅広部(25)から狭窄部(26)へ流体が流入して減速する分、潤滑油を含んだ流体に圧力損失が生じる。流体の圧力損失が大きくなると圧縮機効率が低下してしまう。そこで、ロータ(22)の回転方向、言い換えると流体の流れる方向に対して、狭窄部(26)のステータ(21)の径方向の幅を段階に狭くすることで、流体の圧力損失を和らげることができる。その結果、圧縮機効率が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態の圧縮機の縦断面図である。
図2図2は、電動機を上から見た図である。
図3図3は、ピストンの平面図である。
図4図4は、圧縮機構の動作を示す図である。
図5図5は、圧縮機内の冷媒ガスおよび潤滑油の流れを示す図である。
図6図6は、流体通路における冷媒ガスおよび潤滑油の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0016】
《実施形態》
本実施形態の圧縮機(1)は、ロータリ圧縮機である。圧縮機(1)は、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(図示省略)に接続され、冷媒を圧縮するものである。図1および図2に示すように、圧縮機(1)は、ケーシング(10)、電動機(20)、および圧縮機構(30)を有している。電動機(20)および圧縮機構(30)は、ケーシング(10)内に収納されている。圧縮機(1)は、圧縮機構(30)において圧縮された冷媒がケーシング(10)の内部空間(S)に吐出され、内部空間(S)が高圧となる所謂高圧ドーム型に構成されている。冷媒は、本開示の流体である。
【0017】
ケーシング(10)は密閉容器状である。ケーシング(10)は、上下方向に延びる円筒状の胴部(11)と、該胴部(11)の上端を閉塞する上部鏡板(12)と、該胴部(11)の下端を閉塞する下部鏡板(13)とを備えている。上部鏡板(12)および下部鏡板は、比較的肉厚に形成されている。胴部(11)の下部には、吸入管(14)が設けられる。上部鏡板(12)には、吐出管(15)と電動機(20)へ電力を供給するためのターミナル(16)とが設けられている。ケーシング(10)に底部には、油貯まり部(17)が形成されている。油貯まり部(17)には、圧縮機構(30)の各摺動部を潤滑するための潤滑油が貯留される。胴部(11)の内周面の概ね中腹にはマウンティングプレート(44)が固定される。マウンティングプレート(44)は円板状の部材である。マウンティングプレート(44)の外周縁の一部には、潤滑油が通過する油通路が形成される。摺動部に供給された潤滑油は油通路を通って油貯まり部(17)に再び貯留される。
【0018】
電動機(20)は、ケーシング(10)に収容される。電動機(20)は、圧縮機構(30)を駆動する。電動機(20)内において、マウンティングプレート(44)の上側に配置される。内部空間(S)は、電動機(20)の下側の第1内部空間(S1)と、電動機(20)の上側の第2内部空間(S2)とに区分される。電動機(20)は、胴部(11)の内周面に沿った筒状のステータ(21)と、該ステータ(21)の内側に配置されたロータ(22)とを有する。
【0019】
ステータ(21)は、ステータコア(21a)とステーコイル(図示省略)とを有する。ステータコア(21a)は、実質的に円筒状の部材である。ステータコア(21a)は、1つのバックヨーク(27)と、複数のティース(28)とを備える。バックヨーク(27)は、ステータコア(21a)の外周側の、平面視で環状の部分である。ティース(28)は、バックヨーク(27)の内周面から径方向内側に延びる。複数のティース(28)は、ステータコア(21a)の周方向に所定のピッチで配置されている。周方向に隣り合うティース(28)の間には、ステータコイル(図示省略)を収容するためのスロット(29)が形成される。本開示のステータコア(21a)では、第1スロット(29a)から9スロット(29i)までの9つのスロット(29)が、ステータコア(21a)を上から見たときの時計回りの方向に順に形成される。
【0020】
ステータコア(21a)の外周面には、コアカット(23)が形成される。具体的に、コアカット(23)は、ステータコア(21a)の軸方向に形成される。コアカット(23)は、周方向に隣り合うスロット(29)の間において、ステータコア(21a)の径方向内方に窪んだ凹溝状に形成される。コアカット(23)は、ステータコア(21a)の下端から上端にわたって、ステータコア(21a)の軸方向に沿って延びる。
【0021】
ステータコア(21a)の外周面と胴部(11)の内周面との間には、流体通路(24)が形成される。流体通路(24)は、ステータ(21)の一端から他端に亘って形成される。流体通路(24)には、圧縮機構(30)から吐出された流体が流れる。流体通路(24)の詳細は後述する。
【0022】
圧縮機構(30)は、ケーシング(10)内に収容される。圧縮機構(30)は、吸入した流体を圧縮して前記ケーシング(10)の内部空間(S)へ吐出する。具体的に、圧縮機構(30)は、マウンティングプレート(44)の下面に配置され、マウンティングプレート(44)とボルト(73)により締結される。圧縮機構(30)は、駆動軸(31)、第1シリンダ(34a)、第2シリンダ(34b)、フロントヘッド(41)、ミドルプレート(42)、リアヘッド(43)、第1ピストン(35a)、及び第2ピストン(35b)を備えている。
【0023】
駆動軸(31)は、ケーシング(10)内において、上下方向に延びるように配置されている。駆動軸(31)の上部は、電動機(20)のロータ(22)に連結されている。駆動軸(31)の下部は、上から下に向かって順に、上側軸部(31a)、第1偏心部(32a)、中軸部(31b)、第2偏心部(32b)、及び下側軸部(31c)を有している。第1偏心部(32a)と第2偏心部(32b)とは、回転位相差が互いに180度となるように駆動軸(31)の軸心に対して偏心している。第1偏心部(32a)および第2偏心部(32b)は、上側軸部(31a)、中軸部(31b)、及び下側軸部(31c)よりも大径に形成されている。
【0024】
駆動軸(31)の下端部には、油ポンプ(61)が固定される。油ポンプ(61)は、油貯まり部(17)の潤滑油を吸引する。駆動軸(31)の内部には、給油通路(62)が形成される。給油通路(62)は、油ポンプ(61)によって吸引された潤滑油が流通する通路である。給油通路(62)は、主給油路(62a)と複数の給油口(62b)とを有する。主給油路(62a)は、上下方向に延び、その下端が油ポンプ(61)に連通する。複数の給油口(62b)は、該主給油路(62a)の途中で径方向外方へ延び、その外周端が駆動軸(31)の側面に開口する。この構成により、油溜まり部(17)の潤滑油は、駆動軸(31)やピストン(35a,35b)の各摺動部へ供給される。
【0025】
図3に示すように、第1シリンダ(34a)および第2シリンダ(34b)は、共に、略円筒状に形成される。第1シリンダ(34a)の軸および第2シリンダ(34b)の軸は、上下方向に延びるように配置される。第2シリンダ(34b)は、第1シリンダ(34a)の下方に配置されている。第1シリンダ(34a)には、駆動軸(31)の第1偏心部(32a)が挿入され、第2シリンダ(34b)には、駆動軸(31)の第2偏心部(32b)が挿入されている。
【0026】
第1ピストン(35a)は、第1シリンダ(34a)に収容される。第1ピストン(35a)は、上側のフロントヘッド(41)と下側のミドルプレート(42)の双方に摺動するように構成されている。第1ピストン(35a)は、第1ピストン本体(36a)と第1ブレード(37a)とを有している。
【0027】
第1ピストン本体(36a)は、環状に形成される。具体的に、第1ピストン本体(36a)は、やや厚肉の円筒状に形成されている。駆動軸(31)の第1偏心部(32a)が摺動可能に挿入されている。第1ピストン本体(36a)は、駆動軸(31)が回転すると、第1シリンダ(34a)の内周面に沿って公転するように構成されている。第1ピストン本体(36a)と第1シリンダ(34a)との間には、第1圧縮室(50a)が形成されている。
【0028】
第1ブレード(37a)は、第1ピストン本体(36a)と一体に形成される。第1ブレード(37a)は、第1ピストン本体(36a)の外周面から径方向外方へ突出している。第1ブレード(37a)は、第1シリンダ(34a)の内周面から径方向外方へ延びる第1ブッシュ溝(53a)に設けられた一対の第1揺動ブッシュ(54a,54b)に挟み込まれている。第1ブレード(37a)は、第1ピストン本体(36a)の公転時に、第1ピストン本体(36a)の自転を規制するように構成されている。また、第1ブレード(37a)は、第1圧縮室(50a)を第1低圧室(51a)と第1高圧室(52a)とに区画している。
【0029】
第1シリンダ(34a)には、第1吸入ポート(55a)が径方向に貫通形成されている。第1吸入ポート(55a)は、内周端が第1低圧室(51a)に連通し、外周端が第1吸入管(14a)に接続されている。
【0030】
第2ピストン(35b)は、第2シリンダ(34b)に収容され、上側のミドルプレート(42)と下側のリアヘッド(43)の双方に摺動するように構成されている。図2に示すように、第2ピストン(35b)は、第1ピストン(35a)と同じ構成である。具体的に、第2ピストン(35b)は、第2ピストン本体(36b)と第2ブレード(37b)とを有している。
【0031】
第2ピストン本体(36b)は、環状に形成される。具体的に、第2ピストン本体(36b)は、やや厚肉の円筒状に形成されている。駆動軸(31)の第2偏心部(32b)が摺動可能に挿入されている。第2ピストン本体(36b)は、駆動軸(31)が回転すると、第2シリンダ(34b)の内周面に沿って公転するように構成されている。第2ピストン本体(36b)と第2シリンダ(34b)との間には、第2圧縮室(50b)が形成されている。
【0032】
第2ブレード(37b)は、第2ピストン本体(36b)と一体に形成される。第2ブレード(37b)は、第2ピストン本体(36b)の外周面から径方向外方へ突出している。第2ブレード(37b)は、第2シリンダ(34b)の内周面から径方向外方へ延びる第2ブッシュ溝(53b)に設けられた一対の第2揺動ブッシュ(54c,54d)に挟み込まれている。第2ブレード(37b)は、第2ピストン本体(36b)の公転時に、第2ピストン本体(36b)の自転を規制するように構成されている。また、第2ブレード(37b)は、第2圧縮室(50b)を第2低圧室(51b)と第2高圧室(52b)とに区画している。
【0033】
第2シリンダ(34b)には、第2吸入ポート(55b)が径方向に貫通形成されている。第2吸入ポート(55b)は、内周端が第2低圧室(51b)に連通し、外周端が第2吸入管(14b)に接続されている。
【0034】
フロントヘッド(41)は、シリンダ(34)の上端にボルト(73)によって締結される。フロントヘッド(41)は、シリンダ(34)の上端を塞ぐ。このフロントヘッド(41)は、上側軸受部(41a)と第1吐出弁(41i)とを有する。上側軸受部(41a)は、円筒状に形成される。上側軸受部(41a)は、駆動軸(31)の上側軸部(31a)を回転自在に支持する。第1吐出弁(41i)は、第1高圧室(52a)と後述する第1マフラ室(R1)とを連通する吐出ポート(図示省略)に設けられる弁である。第1吐出弁(41i)は、第1高圧室(52a)の冷媒の圧力が所定値以上になったときに開くように構成されている。
【0035】
フロントヘッド(41)には、フロントマフラ(71)が固定される。フロントマフラ(71)は、第1吐出弁(41i)を覆うように設けられる。フロントマフラ(71)とフロントヘッド(41)との間には、第1マフラ室(R1)が形成される。第1マフラ室(R1)は、第1高圧室(52a)および第2高圧室(52b)に連通している。フロントマフラ(71)には、第1マフラ室(R1)と第1内部空間(S1)とを連通する連通孔(図示省略)が形成されている。
【0036】
ミドルプレート(42)は、第1シリンダ(34a)の下端と第2シリンダ(34b)の上端とに固定され、第1シリンダ(34a)の下端と第2シリンダ(34b)の上端とを塞ぐ。このミドルプレート(42)には、駆動軸(31)の中軸部(31b)が挿入されている。
【0037】
リアヘッド(43)は、シリンダ(34)の下端にボルト(図示省略)によって締結される。リアヘッド(43)は、シリンダ(34)の下端を塞ぐ。リアヘッド(43)は、下側軸受部(43a)と第2吐出弁(43d)とを有する。下側軸受部(43a)は、円筒状に形成される。下側軸受部(43a)は、駆動軸(31)の下側軸部(31c)を回転自在に支持する。第2吐出弁(43d)は、第2高圧室(52b)と後述する第2マフラ室(R2)とを連通する吐出ポート(図示省略)に設けられる弁である。第2吐出弁(43d)は、第2高圧室(52b)の冷媒の圧力が所定値以上になったときに開くように構成されている。
【0038】
リアヘッド(43)には、リアマフラ(72)が固定される。リアマフラ(72)は、第2吐出弁(43d)を覆うように設けられる。リアヘッド(43)とリアマフラ(72)との間には、第2マフラ室(R2)が形成される。第2マフラ室(R2)は、図示しない連通路により第1マフラ室(R1)と連通している。
【0039】
−流体通路−
図2に示すように、流体通路(24)は、ステータコア(21a)の外周面と、胴部(11)の内周面との間に形成される。以下、具体的に説明する。
【0040】
ステータコア(21a)の外周面には、接合部(45)が形成される。接合部(45)は、胴部(11)の内周面と接し、胴部(11)と溶接によって接合される。本開示のステータコア(21a)では、3つの接合部(45)(第1接合部(45a)〜第3接合部(45c))が形成される。各接合部(45)は、ステータコア(21a)の一端から他端に亘って形成される。
【0041】
3つの接合部(45)は、ステータコア(21a)の周方向に概ね等間隔に配置される。厳密に、時計回りの順に配列される第1スロット(29a)〜第9スロット(29i)のうち、第1接合部(45a)は、ステータコア(21a)の外周面のうち第1スロット(29a)の外側の面である。第2接合部(45b)は、ステータコア(21a)の外周面のうち第4スロット(29d)の外側の面である。第3接合部(45c)は、ステータコア(21a)の外周面のうち第7スロット(29g)の外側の面である。
【0042】
流体通路(24)と接合部(45)とが、ステータコア(21a)の周方向に交互に配置される。厳密に、本開示の圧縮機(1)では、3つの流体通路(第1流体通路(24a)〜第3流体通路(24c))が形成される。第1流体通路(24a)は、第1接合部(45a)と第2接合部(45b)との間に形成される。第2流体通路(24b)は、第2接合部(45b)と第3接合部(45c)との間に形成される。第3流体通路(24c)は、第3接合部(45c)と第1接合部(45a)との間に形成される。いずれの流体通路(24a〜24c)は、同一形状である。
【0043】
具体的に、各流体通路(24)は、3つの幅広部(25)と2つの狭窄部(26)とを有する。幅広部(25)は、各コアカット(23)と該コアカット(23)に対向する胴部(11)の内周面との間の空間である。
【0044】
狭窄部(26)は、ステータコア(21a)の外周面のうち、第1スロット(29a)、第4スロット(29d)、および第7スロット(29g)を除いた各スロット(29)の外側の面と、胴部(11)の内周面との間の空間である。狭窄部(26)は、隣り合う幅広部(25)の間に形成される。この構成により、ステータコア(21a)の周方向に幅広部(25)と狭窄部(26)とが交互に形成される。
【0045】
2つの狭窄部(26)は、ロータ(22)の回転方向の前方に位置する狭窄部(26)ほど、ステータ(21)の径方向の幅が狭くなるように形成される。具体的に、2つの狭窄部(26)の一方を第1狭窄部(26a)、および他方を第2狭窄部(26b)とする。電動機(20)を上から見たときの時計回り方向において、第2狭窄部(26b)は、第1狭窄部(26a)よりも前方に位置する。本開示のロータ(22)は、電動機(20)を上から見たときの時計回りに回転する。そのため、第2狭窄部(26b)の径方向の幅D2は、第1狭窄部(26a)の径方向の幅D1よりも狭い。
【0046】
例えば、第1流体通路(24a)において、第1狭窄部(26a)は、第2スロット(29b)の外側の面と、胴部(11)の内周面との間に形成される。第2狭窄部(26b)は、第3スロット(29c)の外側の面と、胴部(11)の内周面との間に形成される。
【0047】
第1狭窄部(26a)の径方向の幅D1は、幅広部(25)の径方向の幅D3よりも狭い。厳密には、幅広部(25)の径方向の幅のうち最も広い幅D3の方が、第1狭窄部(26a)の径方向の幅D1よりも広い。
【0048】
このように、流体通路(24)では、時計回りの方向に、幅広部(25)、第1狭窄部(26a)、幅広部(25)、第2狭窄部(26b)および幅広部(25)が形成される。第2流体通路(24b)および第3流体通路(24c)も第1流体通路(24a)と同様に構成される。
【0049】
−運転動作−
図4に示すように、圧縮機(1)では、電動機(20)を起動してロータ(22)を回転させると、駆動軸(31)が回転し、2つの偏心部(32a,32b)が180度の回転位相差を維持しながら偏心回転する。そして、これら偏心部(32a,32b)の偏心回転に伴って、2つのピストン(34a,35b)が自転を規制しながら各シリンダ(34a,34b)の内周面に沿って公転する。
【0050】
第1圧縮室(50a)へ冷媒を吸入する吸入行程について説明する。駆動軸(31)が回転角0°の状態(図4(A)の状態)から僅かに回転すると、第1ピストン(35a)と第1シリンダ(34a)の接触位置が第1吸入ポート(55a)の内周端を通過する。このとき、第1低圧室(51a)への冷媒の吸入が開始される。
【0051】
冷媒の吸入は、第1吸入管(14a)から第1吸入ポート(55a)を介して行われる。そして、駆動軸(31)の回転角が大きくなると、次第に、第1低圧室(51a)の容積が増大し、第1低圧室(51a)へ吸入される冷媒量が増加する(図4(B)〜(H)の状態)。そして、この冷媒の吸入行程は、駆動軸(31)の回転角が360°になるまで続き、その後、吐出行程へと移行する。第2圧縮室(50b)における冷媒の吸入工程は、第1圧縮室(50a)における吸入工程と同じである。
【0052】
続いて、第1圧縮室(50a)で冷媒を圧縮して吐出する吐出行程について説明する。駆動軸(31)が回転角0°の状態(図4(A)の状態)から僅かに回転すると、第1ピストン(35a)と第1シリンダ(34a)の接触位置が再び第1吸入ポート(55a)の内周端を通過する。このとき、第1低圧室(51a)における冷媒の閉じ込みが完了する。
【0053】
第1吸入ポート(55a)に繋がっていた第1低圧室(51a)が、吐出ポート(図示省略)だけに繋がる第1高圧室(52a)となる。この状態から、第1高圧室(52a)における冷媒の圧縮が開始される。駆動軸(31)の回転角が大きくなると、第1高圧室(52a)の容積が減少し、第1高圧室(52a)の圧力が上昇する。第1高圧室(52a)の圧力が所定圧力を上回ると、吐出弁(41d)が開く。このとき、第1高圧室(52a)の冷媒が、吐出ポート(図示省略)を介して第1マフラ室(R1)へ吐出される。第2圧縮室(50b)においても、第1圧縮室(50a)と同様の吐出工程が行われる。第2高圧室(52b)の冷媒は、吐出ポート(図示省略)を介して第2マフラ室(R2)へ吐出される。第2マフラ室(R2)に吐出された冷媒は、図示しない連通路を通過して、第1マフラ室(R1)内の冷媒と合流する。
【0054】
第1マフラ室(R1)内の冷媒は、第1内部空間(S1)に吐出される。この冷媒は、コアカット(23)、およびステータ(21)とロータ(22)との間を通って、第2内部空間(S2)に流入する。第2内部空間(S2)に流入したガス冷媒は、吐出管(15)を介して圧縮機(1)の外部へと吐出される。この冷媒の吐出行程は、駆動軸(31)の回転角が360°になるまで続き、その後、吸入行程へと移行する。
【0055】
このように、圧縮機(1)では、各圧縮室(50a,50b)において、吸入行程と吐出行程とが交互に繰り返されることによって、冷媒の圧縮動作が連続的に行われる。
【0056】
−冷媒ガスの流れ−
上述したように、圧縮機構(30a,30b)において圧縮された冷媒は、第1マフラ室(R1)から内部空間(S1)へ吐出される。このため、ケーシング(10)の油貯まり部(17)に貯まった潤滑油の圧力は、圧縮機構(30)からケーシング(10)の内部空間(S1)へ吐出された高圧冷媒の圧力と実質的に等しい。
【0057】
油貯まり部(17)の高圧の潤滑油は、駆動軸(31)の給油通路(62)を通って圧縮機構(30)へ供給される。圧縮機構(30)へ供給された高圧の潤滑油は、上側軸部(31a)及び下側軸部(31c)と駆動軸(31)との隙間、第1偏心部(32a)と第1ピストン(35a)との隙間、第2偏心部(32b)と第2ピストン(35b)との隙間に流入する。また、圧縮機構(30)へ供給された高圧の潤滑油は、第1ピストン(35a)の上端面とフロントヘッド(41)との隙間と、第2ピストン(35b)の下端面とリアヘッド(43)の隙間にも流入する。
【0058】
図5および図6に示すように、圧縮機構(30)に供給された油の一部は、第1内部空間(S1)に吐出された冷媒ガスに混じって、各流体通路(24)に流入する。図5の実線矢印は潤滑油の流れを示し、破線矢印は冷媒ガスの流れを示す。図6の矢印は、潤滑油および冷媒ガスの流れを示す。ロータ(22)は時計回りに回転しているため、流体通路(24)に流入した冷媒ガスは、流体通路(24)を時計回りに流れながら上昇する。具体的に、冷媒ガスは、流体通路(24)を幅広部(25)、第1狭窄部(26a)、幅広部(25)、第2狭窄部(26b)、幅広部(25)の順に流れながら、流体通路(24)を上昇する。流体通路(24)を上昇した冷媒ガスは、第2内部空間(S2)に流入し、吐出管(15)から圧縮機(1)外へ流出する。
【0059】
−油戻りの課題−
圧縮機構の各摺動部に供給された潤滑油は、圧縮機構から第1内部空間(S1)へ吐出される冷媒ガスと共に、第1内部空間(S1)からコアカット(23)やステータコア(21a)とロータ(22)との間を通って、第2内部空間(S2)に流入する。この場合、冷媒ガスに巻き上げられ第2内部空間(S2)に流入した潤滑油は、自重によりコアカット(23)を落下して油貯まり部(17)に貯留されるが、冷媒ガスの流速が高い場合、潤滑油は冷媒ガスに巻き上げられて油貯まり部(17)に戻りにくくなる。そのため、潤滑油の一部は、冷媒ガスとともに吐出管から圧縮機外へ流出しやすくなる。潤滑油が圧縮機(1)外へ流出すると、圧縮機に貯留される潤滑油の量が少なくなりすぎるおそれがある。
〈潤滑油の流出量を低減する効果〉
上述した問題を解決するため、本実施形態の圧縮機(1)では、ステータ(21)の外周面と胴部(11)の内周面との間に、ステータ(21)の一端から他端に亘り、且つ、圧縮機構(30)から吐出された流体が流れる流体通路(24)が形成される。流体通路(24)は、ステータ(21)の周方向に並ぶ複数の幅広部(25)と、隣り合う幅広部(25)の間に形成され、ステータ(21)の径方向の幅が幅広部(25)よりも狭い狭窄部(26)とを有する。
【0060】
図6に示すように、ロータ(22)が回転すると、潤滑油を含む冷媒ガスは、ステータ(21)の外周面の周方向に、流体通路(24)の幅広部(25)と狭窄部(26)とを交互に流れる。狭窄部(26)は、幅広部(25)よりもステータ(21)の径方向の幅が狭い。そのため、冷媒ガスが幅広部(25)から狭窄部(26)に流入すると、冷媒ガスの流速が上昇する。また、冷媒ガスが狭窄部(26)から幅広部(25)に流入すると、冷媒ガスの流速が低下する。狭窄部(26)から幅広部(25)に流入して減速する冷媒ガスに対し、冷媒ガスよりも比重の大きい潤滑油は急に減速することができず冷媒ガスから分離されやすくなる。分離された冷媒ガスはコアカット(23)の壁面等に衝突し、コアカット(23)および胴部(11)の内周面を落下して油貯まり部(17)に戻りやすくなる。その結果、油貯まり(17)に戻らずに再び冷媒ガスにより内部空間(S)に巻き上げられる潤滑油の量を削減できると共に、冷媒ガスと共に圧縮機(1)外へ流出する潤滑油の量を削減できる。
【0061】
加えて、幅広部(25)と狭窄部(26)とは、ステータ(21)の周方向に交互に形成されるため、流体通路(24)を流れる冷媒ガスは、加速と減速とを繰り返す。このことにより、冷媒ガスからの潤滑油の分離を確実に促進できる。
【0062】
本実施形態の圧縮機(1)では、ステータ(21)の外周面には、ステータ(21)の一端から他端に亘って胴部(11)の内周面に接する接合部(45)が形成される。接合部(45)は、胴部(11)の内周面と接合しているため、流体通路(24)の冷媒ガスの流れが遮られる。このことにより、ステータ(21)の周方向に流れる冷媒ガスが、接合部(45)に隣接するコアカット(23)に衝突するので、冷媒ガスに含まれる潤滑油が壁面に付着して冷媒ガスと分離されやすくなる。
【0063】
本実施形態の圧縮機(1)では、流体通路(24)と接合部(45)とが、ステータ(21)の周方向に交互に配置される。この構成により、ステータ(21)の周方向に隣り合う接合部(45)の間に流体通路(24)を形成できる。このように、流体通路(24)がステータコア(21a)の周方向に複数に区分されることにより、流体通路(24)に流入した冷媒ガスは比較的早く第2内部空間(S2)へ流入できる。
【0064】
本実施形態の圧縮機(1)では、流体通路(24)は、2つ以上の狭窄部(26)を有し、2つ以上の狭窄部(26)は、ロータ(22)の回転方向の前方に位置する狭窄部(26)ほど、ステータ(21)の径方向の幅が狭くなるように形成される。幅広部(25)から狭窄部(26)へ冷媒ガスが流入して減速する分、潤滑油を含んだ冷媒ガスに圧力損失が生じる。例えば、すべての狭窄部(26)を比較的狭く設計すると、冷媒ガスの圧力損失が増大する。流体通路(24)を周方向に流れる冷媒ガスのうち上流側の冷媒ガスほど比較的大きな油滴が含まれる。冷媒ガスに含まれる油滴が大きいほど、幅広部(25)から狭窄部(26)へ流入する時の冷媒ガスと潤滑油と速度差が比較的小さくても冷媒ガスから分離されやすい。そこで、ロータ(22)の回転方向(言い換えると冷媒ガスの流れる方向)に対して、上流側(手前側)において、狭窄部(26)の径方向の幅を比較的広く設計することによって、冷媒ガスの圧力損失の低減を図ることができる。また、ロータ(22)の回転方向に流れる冷媒ガスに含まれる油滴は、狭窄部(26)から幅広部(25)に流入するごとに小さくなる。そのため、狭窄部(26)のステータ(21)の径方向の幅を段階に狭くすることにより、潤滑油を冷媒ガスから分離されやすくなると共に、冷媒ガスに生じる圧力損失を抑えることができる。その結果、冷媒ガスの圧力損失が大きくなることに起因する圧縮機効率の低下が抑制され、圧縮機効率が低下することを抑制できる。
【0065】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0066】
接合部(45)は、3つに限られない。ステータコア(21a)の外周面に形成される接合部(45)は2以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。また、接合部(45)はステータコア(21a)の周方向に等間隔に配置されていなくてもよい。
【0067】
接合部(45)は、ステータコア(21a)の一端から他端までの一部のみに形成されていてもよい。
【0068】
接合部(45)は、ステータコア(21a)の外周面の一部でなくてもよい。接合部(45)は別途設けられる別部材であってもよい。
【0069】
流体通路(24)は、3つに限られない。流体通路(24)は1つまたは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0070】
流体通路(24)内に形成される流体通路(24)内に形成される幅広部(25)および狭窄部(26)の数に限りはない。流体通路(24)において、ロータ(22)の回転方向に、幅広部(25)および狭窄部(26)が隣り合っていればよい。
【0071】
流体通路(24)内に3つ以上の狭窄部(26)を有する場合、そのうちの一部のみがロータの回転方向の前方に位置するほどステータ(21)の径方向の幅が狭くなるように形成されていてもよい。すべての狭窄部(26)のステータ(21)の径方向の幅は同一であってもよい。
【0072】
狭窄部(26)を形成するステータコア(21a)の外周面は、胴部(11)の内周面に沿って形成されていなくてもよい。例えば、該外周面は、ステータコア(21a)を上から見て傾斜するように形成されてもよいし、波状に形成されてもよい。
【0073】
圧縮機(1)の圧縮機構は、一組のシリンダおよびピストンを有する一気筒の圧縮機構であってもよい。
【0074】
圧縮機(1)は、スクロール圧縮機であってもよい。
【0075】
流体通路(24)において隣り合う2つの狭窄部(26,26)のステータ(21)の径方向の幅は異なっていればよい。例えば、複数の狭窄部(26,26,…,26)は、ロータ(22)の回転方向に向かって順にステータ(21)の径方向の幅が広くなるように、狭窄部(26)は形成されてもよい。具体的に、第2狭窄部(26b)は、第1狭窄部(26a)よりもステータ(21)の径方向の幅が広くてもよい。
【0076】
狭窄部(26)のステータ(21)の径方向の幅は、ロータ(22)が回転したとき冷媒が狭窄部(26)を流通できる広さであればよい。例えば、狭窄部(26)のステータ(21)の径方向の幅は、0.1mm以上であればよく、好ましくは、1mm以上であればよい。
【0077】
狭窄部(26)のステータ(21)の径方向の幅は、幅広部(25)のステータ(21)の径方向の幅に対して、1/9〜2/3である。
【0078】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本開示は、圧縮機について有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 圧縮機
10 ケーシング
11 胴部
20 電動機
21 ステータ
22 ロータ
24 流体通路
25 幅広部
26 狭窄部
30 圧縮機構
45 接合部
【要約】
【課題】圧縮機からの潤滑油の流出を抑制する。
【解決手段】圧縮機(1)のステータ(21)の外周面と胴部(11)の内周面との間には、ステータ(21)の一端から他端に亘り、且つ、圧縮機構(30)から吐出された流体が流れる流体通路(24)が形成され、流体通路(24)は、ステータ(21)の周方向に並ぶ複数の幅広部(25)と、隣り合う幅広部(25)の間に形成され、ステータ(21)の径方向の幅が幅広部(25)よりも狭い狭窄部(26)とを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6