【実施例】
【0011】
(構成)
まず、
図1を用いて本実施例のフックとしてのメインフック30を備える移動式クレーンとしてのラフテレーンクレーン1の全体構成について説明する。以下の実施例では、移動式クレーンとしてラフテレーンクレーン1を例にして説明するが、これに限定されるものではなく、カーゴクレーン、トラッククレーン、オールテレーンクレーンなどの他の移動式クレーンにも広く本発明を適用できる。
【0012】
(クレーンの全体構成)
本実施例のラフテレーンクレーン1は、
図1に示すように、車体フレーム10、アウトリガ11,・・・、旋回台12、旋回台12の旋回フレーム上部13に取り付けられたブーム14、などを備えている。さらに、ラフテレーンクレーン1は、車体フレーム10の前端、かつ、走行姿勢のブーム14の下方に、フック格納容器20を有している。
【0013】
旋回台12は、前方右側に配置された運転室18と、後方中央に配置された旋回フレーム上部13と、後方下部に配置されたカウンタウェイト19と、を有している。
【0014】
ブーム14は、基端ブーム141、1乃至複数の中間ブーム142、先端ブーム143などによって入れ子式に構成されており、内部に配置された伸縮シリンダによって伸縮できるようになっている。先端ブーム143の最先端のブームヘッド144にはシーブ(滑車)が配置され、シーブにワイヤロープ16(以下、ワイヤ16と称する)が掛け回されてメインフック30が吊下げられている。図示しないが、車体フレーム10上には、所定の位置にサブフック(80)も搭載されている。
【0015】
ワイヤ16の末端は、ウインチ(不図示)に巻き回されている。ここにおいて、本実施例のラフテレーンクレーン1は、ウインチ(不図示)を1つだけ搭載している。すなわち、本実施例では、従来と異なり、ワイヤ16は、サブフック(80)とメインフック30に共通して使用される。したがって、作業の状況に応じて、サブフック(80)又はメインフック30のいずれかが、交換されて使用されることになる。
【0016】
旋回フレーム上部13と基端ブーム141の下面との間には、起伏シリンダ15が架け渡されており、起伏シリンダ15を伸縮することでブーム14全体を起伏することができるようになっている。
【0017】
(フックの構成)
次に、本実施例のフックとしてのメインフック30の構成について説明する。メインフック30は、
図2及び
図3に示すように、対向して配置される一対の側板31、32と、一対の側板31、32間に架け渡される回転軸33と、回転軸33を介して回転自在に支承される3枚のシーブ34〜36と、荷を吊り下げるための鉤針状のハッカ部37と、を備えている。
【0018】
側板31、32は、下部が長く伸びた八角形状に形成されるものであり、回転軸33、シーブ34〜36、ハッカ部37の他に、側板31、32間に架け渡される第1のピン41と、側板31、32間に架け渡される第2のピンとしてのワイヤ外れ防止ピン42と、側板31、32間に架け渡される第3のピンであるワイヤ外れ防止ピン43と、側板31、32間に架け渡される第4のピンであるワイヤ外れ防止ピン44と、をさらに備えている。
【0019】
第1のピン41は、シーブ34〜36から所定の距離だけ離れるように、左右の側板31、32の上部から上方に突出したブラケット間に架け渡されている。より詳細に言うと、第1のピン41は、八角形状の側板31、32の上辺の一方の端部(角部)の上側に配置されている。そして、第1のピン41には、第1の巻過ウエイトガード50(の第1円筒部51)が回動自在に支承されている。第1の巻過ウエイトガード50の構成については後述する。
【0020】
3つのワイヤ外れ防止ピン42〜44は、いずれもワイヤ16がシーブ34〜36から逸脱するのを防止するとともに、メインフック30全体の剛性を高めるためにシーブ34〜36の周囲に設置される。より詳細に言うと、ワイヤ外れ防止ピン42、43は、八角形状の側板31、32の左右の垂直辺の近傍に、回転軸33と略同一の高さ位置(正確には、やや下寄りの位置)に配置されている。また、ワイヤ外れ防止ピン44は、八角形状の側板31、32の中央から下寄りの位置であって、シーブ34〜36の回転軸33とハッカ部37の回転軸39との間に配置されている。そして、ワイヤ外れ防止ピン42〜44は、いずれも内部にボルトを挿通できるようになっており、ワイヤ16の掛け替えの際などには、側板31、32に対して容易に取外し/取付け可能に構成されている。
【0021】
(巻過ウエイトガードの構成)
第1の巻過ウエイトガード50は、巻過ウエイト38が直接シーブ34〜36に接触することを防止するために取り付けられる部材である。この巻過ウエイト38は、ブームヘッド144からチェーンを介して吊り下げられており、内部にワイヤ16が挿通されるようになっている。そして、ブームヘッド144の下方の所定高さに保持されて、ワイヤ16が巻上げられて下方からフック(メインフック又はサブフック)の上部が接触(衝突)すると、これを感知して巻き上げ操作を停止するように構成されている。
【0022】
そして、本実施例の第1の巻過ウエイトガード50は、側板31、32間に架け渡される第1のピン41から第2のピンとしてのワイヤ外れ防止ピン42へ架け渡されている。具体的に言うと、第1の巻過ウエイトガード50は、第1のピン41が挿通される第1円筒部51と、メインフック30の側板32の外形に沿って曲げられるアーム部52と、ワイヤ外れ防止ピン42が挿通される第2円筒部53と、を備えている。
【0023】
第1円筒部51は、円筒状に形成されて、第1のピン41が挿通されることで、この第1円筒部51を中心として、第1の巻過ウエイトガード50全体が回動できるようになっている。第1円筒部51の側面には、アーム部52が突設されている。
【0024】
アーム部52は、後述する側板32の上縁の第2の巻過ウエイトガード60との間にワイヤ16を通すための隙間を空けつつ、側板32の上縁と平行に折り曲げられている。換言すると、アーム部52は、2回屈曲されて、水平部、傾斜部、及び垂直部の3つの直線部から構成されている。そして、アーム部52の一方の端部は、前述した第1円筒部51に取り付けられ、他方の端部は、後述する第2円筒部53に取り付けられている。
【0025】
第2円筒部53は、円筒状に形成されて、第2のピンとしてのワイヤ外れ防止ピン42が挿通されている。このため、ワイヤ外れ防止ピン42が取り外されることで、第2円筒部53は、固定状態から開放されるようになっている。第2円筒部53の側面には、アーム部52が突設されている。
【0026】
前述したように、第2のピンとしてのワイヤ外れ防止ピン42は容易に取り外し可能に構成されているため、
図4及び
図5に示すように、ワイヤ外れ防止ピン42を取り外すことによって、第2円筒部53が開放されて、アーム部52及び第2円筒部53は第1のピン41(第1円筒部51も同じ)を回転中心として回動できるようになっている。
【0027】
したがって、ワイヤ16の掛け替えの際などには、ワイヤ外れ防止ピン42を含む全てのワイヤ外れ防止ピン42〜44を外し、第1円筒部51を中心としてアーム部52及び第2円筒部53を上方に約50度〜60度回転させることで、メインフック30の正面からシーブ34〜36にアクセスして作業しやすいようになっている。すなわち、第2のワイヤ外れ防止ピン42を取り外し、かつ、アーム部52を上方に回動させることで、
図5に示すように、シーブ34〜36の正面付近に障害物が完全になくなる。
【0028】
加えて、側板32には、八角形状の側板32の上縁に沿って、棒状の第2の巻過ウエイトガード60が設置されている。すなわち、第2の巻過ウエイトガード60は、前述した第1の巻過ウエイトガード50と略平行に配置されており、第1の巻過ウエイトガード50と第2の巻過ウエイトガード60の間に、ワイヤ16が挿通されている。
【0029】
第1の巻過ウエイトガード50と第2の巻過ウエイトガード60の間に形成される隙間の幅は、ワイヤ16がスムーズに移動するようにワイヤ16の太さよりも広く、かつ、巻過ウエイト38が通過することのないように巻過ウエイト38の大きさよりも狭くなるように形成される。
【0030】
(効果)
次に、本実施例のフックとしてのメインフック30の奏する効果を列挙して説明する。
【0031】
(1)上述してきたように、本実施例のフックとしてのメインフック30は、対向して配置される一対の側板31、32と、一対の側板31、32間に架け渡される回転軸33と、回転軸33を介して回転自在に支承されるシーブ34〜36と、一対の側板31、32間に架け渡される第1のピン41と、一対の側板31、32間に架け渡される第2のピンとしてのワイヤ外れ防止ピン42と、巻過ウエイト38がシーブ34〜36に接触することを防止する第1の巻過ウエイトガード50であって、第1のピン41から第2のピンとしてのワイヤ外れ防止ピン42へ架け渡される、第1の巻過ウエイトガード50と、を備えている。このような構成であれば、巻過ウエイト38がシーブ34〜36に直接に接触することを防止できる。さらに、第1の巻過ウエイトガード50は、その両端が第1のピン41から第2のピンとしてのワイヤ外れ防止ピン42へと架け渡される構造であるため、一端を片持ち状に支持される従来のウエイトガードと比べて著しく強度が大きくなる。
【0032】
逆に言えば、第1の巻過ウエイトガード50は、その両端が第1のピン41からワイヤ外れ防止ピン42へと架け渡される構造であるため、従来よりもアーム部52を長くとることができるようになる。このため、ワイヤ16が掛け回されたメインフック30がフック格納容器20に収容された状態において、ワイヤ16の折れ曲がり角度を最小限にすることができる。すなわち、
図6(b)に示す従来の巻過ウエイトガードを用いた場合と比べて、
図6(a)に示す本発明の巻過ウエイトガード50を用いた場合のほうが、巻過ウエイトガード50が上方に長く延びたことによって、ワイヤ16の折れ曲がり角度が小さくなる。
【0033】
(2)また、第1の巻過ウエイトガード50は、第1のピン41を介して回動自在に支承されており、第2のピンとしてのワイヤ外れ防止ピン42を取り外すことで回動して開放可能に構成されている。このような構成であるから、ワイヤ16の架け替えの際に、
索端を分解することなくワイヤ16の架け替えが可能で、かつ、架け替えの支障になることのない、メインフック30となる。
【0034】
すなわち、第1の巻過ウエイトガード50を回動させることで、索端を分解せずにワイヤ16をシーブ34〜36に掛け回すことができる。さらに、フック格納容器20内に収容されたメインフック30の正面に障害物が全くなくなるため、メインフック30の正面からワイヤ16の掛け替え作業ができるようになる。
【0035】
(3)また、第1の巻過ウエイトガード50と略平行に、側板32の上縁に沿って固定される第2の巻過ウエイトガード60をさらに備えることによって、第1の巻過ウエイトガード50と第2の巻過ウエイトガード60の間にワイヤ16を通すことができる。そのため、側板32の上縁(隅角部)と接触したワイヤ16が擦れて摩擦によって損傷することを防止できる。
【0036】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0037】
例えば、実施例では、相対的に上方に位置する第1のピン41を支点として回動する例について説明したが、これに限定されるものではなく、相対的に下方に位置する第2のピン(ワイヤ外れ防止ピン)42を支点として回動するように構成することもできる。