(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985652
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】磁性材料、該磁性材料を用いためがね、レンズおよびめがね用アクセサリー
(51)【国際特許分類】
H01F 1/06 20060101AFI20211213BHJP
G02C 7/02 20060101ALI20211213BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20211213BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20211213BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20211213BHJP
H01F 1/00 20060101ALI20211213BHJP
H01F 1/20 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
H01F1/06
G02C7/02
G02C7/04
G02C11/00
G02C13/00
H01F1/00
H01F1/20
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-25873(P2016-25873)
(22)【出願日】2016年2月15日
(65)【公開番号】特開2017-120868(P2017-120868A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2019年2月15日
【審判番号】不服2020-11137(P2020-11137/J1)
【審判請求日】2020年8月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-96890(P2015-96890)
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-238922(P2015-238922)
(32)【優先日】2015年11月19日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-257866(P2015-257866)
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514091105
【氏名又は名称】株式会社セルモエンターティメントジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】湯村 眞一郎
【合議体】
【審判長】
酒井 朋広
【審判官】
清水 稔
【審判官】
須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−224027(JP,A)
【文献】
特開平04−185675(JP,A)
【文献】
特開2004−184954(JP,A)
【文献】
特開平05−347206(JP,A)
【文献】
特開2011−219512(JP,A)
【文献】
実開昭61−160425(JP,U)
【文献】
特開2002−116416(JP,A)
【文献】
特開2007−39794(JP,A)
【文献】
特開2010−189679(JP,A)
【文献】
特開2013−65844(JP,A)
【文献】
特開2008−179841(JP,A)
【文献】
特開2009−117797(JP,A)
【文献】
特開2009−215583(JP,A)
【文献】
特開2012−197473(JP,A)
【文献】
特開2011−2604(JP,A)
【文献】
特開平05−182818(JP,A)
【文献】
特開2014−171498(JP,A)
【文献】
特開平4−185675(JP,A)
【文献】
特表2001−521976(JP,A)
【文献】
特開2013−10914(JP,A)
【文献】
特開平10−83903(JP,A)
【文献】
Yutaka Matsuo,Studies on Syntheses and Functions of Metal−Fullerene Complexes,Bull. Jpn. Soc. Coord. Chem.,2010年,55,39−51
【文献】
赤松健、土屋敬広,金属内包フラーレンの分子変換,分子研レターズ,2008年 8月,58,69−71
【文献】
塚原規志、川合眞紀、高木紀明、最近の研究から 走査トンネル顕微鏡で捉えた単一磁性分子の磁気異方性スイッチング、日本物理学会誌、第69巻、第11号、2014年、777頁、特に、右欄14−21行、インターネット、<URL:https://www.jps.or.jp/books/gakkaishi/2014/11/69−11researches2.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F1/06 H01F1/047 H01F1/20 H01F1/147 G02C7/04 G02C11/00 G02C13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石およびハードフェライト磁石よりなる群から選ばれる少なくとも1種の磁性粉状体(A)、および/または、ソフトフェライト、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、アモルファス磁性合金およびクリスタル磁性合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の磁性粉状体(B)を含むナノ粒子化された磁性粉状体(C)からなる磁性部材を有することを特徴とするめがねであって、
上記磁性粉状体(C)が、さらに有機磁性材料を含有する有機無機複合磁性粉状体であり、
該有機磁性材料が、フラーレン誘導体、フラーレン誘導体と金属フタロシアニンとの錯体、金属内包フラーレンおよび金属フタロシアニンから選ばれるd電子やf電子を持つ原子をスピン源として配位子と結合させた磁性錯体、ニトロニルニトロキシド、ならびに、TCNQアニオンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、
めがね。
【請求項2】
上記磁性粉状体(C)が、さらにトルマリン粉状体を含むことを特徴とする請求項1に記載のめがね。
【請求項3】
上記磁性粉状体(C)が、さらに、銅、珪素、ニッケル、ナトリウム、アルミナ、ベリリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の遠赤外線発生成分粉状体を含むことを特徴とする請求項1に記載のめがね。
【請求項4】
上記めがねが、メンソール、パンテノール、アスパラギン酸カリウムおよびタウリンよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の成分を含有する部材を有することを特徴とする請求項1に記載のめがね。
【請求項5】
上記めがねが、上記磁性部材をめがねフレームのツル部分の左右内側、かつ眼面寄りにチップ状にして付加し、この左右のチップから常時放出する磁気により濃縮された空気中の酸素を眼面に供給し、角膜へ充分な酸素を供給すると共に、トルマリンから発するマイナスイオン効果も加えてマイナスイオンの還元作用で、眼面近傍に漂うプラスイオンを中和することで目の安全と健康を守り、目の疲労軽減、除去を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のめがね。
【請求項6】
上記磁性部材を、チップ状に加工し、めがねのツル部分に固定するか、あるいは、ツルと一体成形して、めがねに設置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のめがね。
【請求項7】
上記設置方式が、接着方式、粘着方式、ねじ込み方式、はめ込み方式、固着方式、脱着可能な固定方式、一体成形方式のいずれかの方式であることを特徴とする請求項6に記載のめがね。
【請求項8】
上記磁性部材を設置する支持体が、非磁性体であることを特徴とする請求項6または7に記載のめがね。
【請求項9】
アルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石およびサマリウム鉄窒素磁石よりなる群から選ばれる少なくとも1種の磁性粉状体(A)、および/または、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、アモルファス磁性合金およびクリスタル磁性合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の磁性粉状体(B)を含む磁性粉状体(C)を有し、該磁性粉状体(C)がナノ粒子化されていることを特徴とする磁性材料であって、
上記磁性材料が、さらに有機磁性材料を含有する有機無機複合磁性粉状体であり、
該有機磁性材料が、フラーレン誘導体、フラーレン誘導体と金属フタロシアニンとの錯体、金属内包フラーレンおよび金属フタロシアニンから選ばれるd電子やf電子を持つ原子をスピン源として配位子と結合させた磁性錯体、ニトロニルニトロキシド、ならびに、TCNQアニオンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする磁性材料
を用いて形成した透明磁性層を有することを特徴とするレンズ。
【請求項10】
上記磁性材料が、さらにトルマリン粉状体を含むことを特徴とする請求項9に記載のレンズ。
【請求項11】
上記磁性材料が、さらに、銅、珪素、ニッケル、ナトリウム、アルミナ、ベリリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の遠赤外線発生成分粉状体を含むことを特徴とする請求項9に記載のレンズ。
【請求項12】
上記磁性材料が、メンソール、パンテノール、アスパラギン酸カリウムおよびタウリンよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の成分を含有することを特徴とする請求項9に記載のレンズ。
【請求項13】
上記磁性材料が、酸化亜鉛(ZnO)と二酸化マンガン(MnO2)とからなる化合物、酸化チタン(TiO2)、あるいは、鉄(Fe)の酸化物、ニッケル(Ni)の酸化物、コバルト(Co)の酸化物、モリブデン(Mo)の酸化物またはこれらの化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の透明磁性材料を含むことを特徴とする請求項9に記載のレンズ。
【請求項14】
上記磁性材料の平均粒子径が10nm以下であることを特徴とする請求項9に記載のレンズ。
【請求項15】
上記遠赤外線発生成分粉状体の、磁性粉状体(C)中における含有比率が、磁性粉状体(C)100重量%に対して、銅の場合10〜12重量%、珪素の場合5〜10重量%、ニッケルの場合3〜10重量%、ナトリウムの場合1〜2重量%、アルミナの場合20〜25重量%、ベリリウムの場合0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項11に記載のレンズ。
【請求項16】
上記レンズが、コンタクトレンズを含むことを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載のレンズ。
【請求項17】
上記レンズを構成する磁性材料が、酸化亜鉛(ZnO)と二酸化マンガン(MnO2)とからなる化合物、酸化チタン(TiO2)、あるいは、鉄(Fe)の酸化物、ニッケル(Ni)の酸化物、コバルト(Co)の酸化物、モリブデン(Mo)の酸化物、または、これらの化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の透明磁性材料を含むことを特徴とする請求項9乃至16のいずれか1項に記載のレンズ。
【請求項18】
アルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石およびサマリウム鉄窒素磁石よりなる群から選ばれる少なくとも1種の磁性粉状体(A)、および/または、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、アモルファス磁性合金およびクリスタル磁性合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の磁性粉状体(B)を含む磁性粉状体(C)を有し、該磁性粉状体(C)がナノ粒子化されていることを特徴とする磁性材料であって、
上記磁性材料が、さらに有機磁性材料を含有する有機無機複合磁性粉状体であり、
該有機磁性材料が、フラーレン誘導体、フラーレン誘導体と金属フタロシアニンとの錯体、金属内包フラーレンおよび金属フタロシアニンから選ばれるd電子やf電子を持つ原子をスピン源として配位子と結合させた磁性錯体、ニトロニルニトロキシド、ならびに、TCNQアニオンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする磁性材料が、めがね用ストラップ、チェーンに固定されていることを特徴とするめがね用アクセサリー。
【請求項19】
上記磁性材料が、さらに、銅、珪素、ニッケル、ナトリウム、アルミナ、ベリリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の遠赤外線発生成分粉状体を含むことを特徴とする請求項18に記載のめがね用アクセサリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の酸素濃度を上昇させ、マイナスイオン効果、磁気作用、遠赤外線効果を有する磁性材料およびそれを付加しためがね、レンズ並びにめがね用アクセサリーに関するものである。さらに詳しくは本発明は、磁性材料等により、めがね周辺雰囲気を遠赤外線効果、血流促進、冷感効果、鼻づまりや花粉症の症状の緩和、スマートフォン、パソコン、テレビ等のディスプレイから発する電磁波ノイズ、ブルーライト等の光成分を吸収低減に効果的な磁性方法、さらに磁界により酸素分子が移動することによって発生するめがね周辺の大気の気体分圧比の変化を利用した水蒸気量の増加と水蒸気(微細な水クラスタ)に溶存する酸素マイナスイオンによるめがね周辺からの眼面への酸素供給および湿度を供給する磁性材料、めがね、レンズ、コンタクトレンズ並びにめがね等の付属品、アクセサリー類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気は、窒素を約78%、酸素を約21%含有し、残りがアルゴン、水蒸気、二酸化炭素などで構成されている。
窒素は反磁性体で、酸素は分子状態において常磁性体である。即ち、窒素の磁化率は−0.4×10
-6(cm
3/g)であるのに対して、酸素の磁化率は104×10
-6(cm
3/g)であり、酸素は空気中の気体では、かなり顕著に磁場に反応する常磁性体である。
【0003】
従って、空気のような窒素、酸素などが混在した気体中に永久磁石を置いた場合、反磁性体である窒素は永久磁石に反発して磁石から遠ざかるが、磁化率が高く常磁性体である酸素は永久磁石に吸い寄せられ磁石近傍では酸素濃度が高くなることが知られている。
【0004】
2006年2月6日に東京大学にて開催された低温工学協会「新規磁場応用に関する調査研究会」第2回研究会において、物質・材料研究機構の若山信子氏は、磁気力が気体の流れや対流に与える影響、すなわち磁気空気力学に関する実験について「磁気力の新規利用に関する研究」と題して講演している(非特許文献1)。その報告によると、酸素ガスを
図1に示すような磁場中に、位置Aの下方から上向きに流すと、酸素ガスは磁場印加時には上方に吸い寄せられ位置Bの辺りに留まり、磁場なしの場合は、酸素は空気より重いので下方に流れていく様子が観察され、この現象は酸素ガスが気体としては比較的大きな常磁性を有しているため位置Aの磁場勾配により上向きの磁気力が作用した結果であると報告している。
【0005】
同様に、窒素ガスについては、位置Cの下方から上向きに流すと、磁場印加時には勢いよく上方に噴出していく様子が観察されたが、磁場を印加しないときにはこのような現象は観察されなかった。この実験から、窒素ガスは反磁性であるため位置Cの磁場勾配により上向きの磁気力が作用すると同時に、空気中の酸素ガスは下向きの磁気力を受け磁場中に吸い込まれていくことによって対流が生じ、ジェット気流のように噴出していくというメカニズムを解明している。
【0006】
このことは、実際に、磁気式酸素濃度計がこの理論、原理に基づき製造されていることからも明らかである。以下、簡単にその原理を説明する。
測定ガス中に酸素があると、酸素が磁界に引き付けられるため、
図2にあるように、B方向に流れる補助ガスの流量が減少する。この絞りの効果によって生じるB方向とA方向との流量比の差異は、測定ガス中の酸素濃度に比例しており、これを検出して酸素濃度として表示する。
【0007】
酸素ガスは、磁場勾配中において影響を受けるので、永久磁石の極付近では、酸素濃度が高くなることは原理的にも当然である。
また、常磁性体と反磁性体の気体の磁場における分離に関しても多くの研究発表がされている。
【0008】
ところで、上記の酸素ガスはイオン化することが知られており、ここでイオンとは、分子や原子が集まったもので、プラスかマイナスの電荷を帯びた目に見えない微粒子のことをいい、マイナスイオンは、正式にはnegative small ions(小イオン)と言われ、大気中のイオンは複数の分子よりなっている。マイナスイオンは、別名「空気のビタミン」あるいは「元気イオン」などとの愛称で呼ばれ、身体を整え調和させ、自律神経に作用し、心のリラックス、脳神経の活性化を促進するなど、身体の細胞を原子レベルで調和し癒してくれる効果があると言われている。
【0009】
イオンは宇宙線の影響や地殻の放射線の電離、熱による気体の酸化、雷のように氷の粒の摩擦などにより発生する。日常生活でも、空気の乾燥した冬など、車のドアなどに触れたとき、パチッと指先に静電気が放電して衝撃を受けることがあるが、この静電気もイオンである。
【0010】
通常の空気中には、イオンが1000〜2000(個/cm
3)あり、プラスとマイナスのイオンとが、概略5対4の割合でバランスよく浮遊しているが、これは気象条件によって大きく変化する。通常、中性の分子や原子でも、何らかの衝撃を受けると、自由にマイナスの電子が飛び出してしまい、残された原子核はプラスの電気を帯び、飛び出した電子を受け取った分子や原子がマイナスイオンになる。つまり、マイナスイオンとは電子を一つ余計にもっている原子または分子ということになる。
【0011】
例えば、寒冷前線や低気圧が通過するときプラスイオンが急増し、その影響で人体内のマイナスイオンが減少してしまうことになる。
そのため、こうした気象条件のときは神経痛やぜんそく、脳卒中の発生率が高くなることが医学的に知られている。
実際の空気中のマイナスイオン数に関して代表的な例を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
日常生活を営んでいる場所、地域においてはプラスイオンが多く存在していることが明らかである。
20世紀初頭には、大気中のイオンはプラスイオン1に対してマイナスイオンが1.2であったが、現代の大気の状態はプラスイオン1.2に対してマイナスイオンが1と逆転している。
【0014】
プラスイオン発生の原因として挙げられるのは、
1.排気ガス → 主原因
2.工場などから排出される煙
3.汚染された河川や酸性雨
4.ゴミの焼却時に出るダイオキシン
5.農薬や各種食品添加物
6.ホルムアルデヒド
7.日用品に使用されている有機リン化合物
8.放射線
9.紫外線
10.各種電気製品から放出される「電磁波」などである。
【0015】
プラスイオンが増えたことで、頭痛・めまい・吐き気・イライラなどの不定愁訴の増加、人体組織の細胞の酸化、さらに自律神経を刺激し、内分泌系や免疫、体液の循環作用を悪化させ、体の老化を早めている。
【0016】
プラスイオンが体内に入るとそれ自身が健康な細胞にダメージを与える活性酸素になったり、あるいは血液を酸性にし、さらに細胞が酸化すれば血液中に乳酸が多くなり、その結果様々な病気が起こると考えられている。
【0017】
マイナスイオンとプラスイオンの人体への作用、影響並びに効果については、日本では、昭和50年(1975年)に内科診療の南山堂により、イオン療法が「高血圧などの循環器病、リュウマチ、痛風などの運動系疾患、神経系疾患、呼吸器病、バセドウ氏病、老衰や病後回復、消化器病、更年期障害、皮膚病、耳鳴りなどに影響を及ぼしている」との研究成果が発表され、また、東京都立大学(現首都大学東京)理学研究科の粒子友男医学博士が、1997年にスポーツ医学の観点から「運動後にイオン療法を施すと、疲労した体が短時間で安静に戻り、血圧が安定し、セレトニンが減少する」との研究結果を報告しており、2000年には生体への効果を『臭気の研究』誌に発表している。
【0018】
プラスイオンは活性酸素の正体とも言われ、空気中で衝撃が加わるとすぐに発生し、人ごみ、自動車等の排気ガス、工場の噴煙、酸性雨、農薬、各種の食品添加用化学物、新建材の接着剤等により多く発生する。スマートフォン、パソコン、電子レンジ、テレビジョン等の電化製品、電子機器から放出する電磁波も同じプラスイオンである。
マイナスイオンとプラスイオンの人体への作用および効果について、表2に、その代表例を示す。
【0019】
【表2】
【0020】
さらに、マイナスイオンの効果に関して、以下に文献等からの抜粋を記載する。
実際に「どれくらいの量」が適量かという点に関しては、その量が提唱する人によって差があると考えられる。ここでは、文献またはその要約に記載されている実験時・治療時等に使用された「マイナスイオンの発生量の値」から適量がどの程度なのか、おおよそを参考値として
図4(非特許文献5)に記述する。
【0021】
この
図4から、その適量を推測すると、以下の結論が得られた。
1.効果的なマイナスイオン発生量は、1000〜500000(個/cm
3)の範囲で、全データの約85%にあたる。
2.特に全データの約54%にあたるマイナスイオン発生量が50000(個/cm
3)以下において、相当の効果が見られる。
3.データはある疾患に対する治療に関するものが多く、従って、一般の健康な人の場合にはマイナスイオン密度は低くてもよく、本データから考えて、マイナスイオン密度が5000〜10000(個/cm
3)程度であれば、効果があると思われる。
【0022】
この点に関し、資生堂のリポートによると、32000(個/cm
3)のプラスイオンの空気を20分間吸うと、身体に悪影響を与えるストレスホルモン「セレトニン」の影響で喉の渇き、声がしわがれ、鼻詰まりが始まり、反対にマイナスイオンの空気を10分間吸うと脳波が安定し、人々は安らぎを覚え、「セレトニン」はほとんど検出されないと報告されている。
【0023】
また、小じわの予防、肌の回復にも効果があると言われている。
プラスイオンは不安定な状態で存在しており、他の物質と結合する性質があることから、マイナスイオン物質と結合させることで、中和され無害とすることができる。
【0024】
特許文献1(特開平9−55309号公報)には、磁石用の原料粉末と遠赤外線放射材料粉末との混合形成により、磁気による人体の血行促進効果、動植物や水などの活性化効果、並びに遠赤外線による人体の血行促進効果、新陳代謝促進効果を得ることができること、永久磁石材料粉末と遠赤外線放射材料粉末に樹脂、ゴム等のバインダーを加えて成形するようにした複合材料が開示されている。
【0025】
さらに、特許文献2(特開平5−347206号公報)には、遠赤外線放射材料として、黒鉛、焼成白磁、アルミナ、酸化第一鉄、炭化珪素、炭素、マグネシア、シリカ等が用いられることについて記載されている。
【0026】
近年、特にスマートフォンやパソコンの急速な普及に伴いVDT(Visual display terminal)症候群と言われる目の疲労が大きな問題になってきている。スマートフォンやパソコンは画面の隅々から必要な情報を得て、その意味を咀嚼し、その情報に対しての指示、確認、実効およびその結果に反応する等、一連の動作をする必要であり、結果として長時間、目は近地点の一点に焦点を合わせ続けることになる。
【0027】
そのことは、長時間にわたって毛様体の筋を一定筋度に保つという酷使状態に置く事であり、テレビ番組を漠然と見続けることとは比較にならない程、過酷に目に負担をかけている事になる。
【0028】
目に近い一点に焦点を合わせ続け、凝視することは結果として、まばたきの回数を激減させ、涙が蒸発し、ドライアイになりやすくなり、目の疲労を大幅に増大する環境に置かれていると考えられる。
【0029】
さらに、コンタクトレンズの普及も酸素不足の大きな要因と言われており、近年は、カラーコンタクトレンズの普及がファッション面で特に進んだことにより、コンタクトレンズの需要、利用範囲が広がってきている。
【0030】
視覚は眼球から取り込まれた光学的な変化を認識し感知する機能であり、眼球は眼筋により支えられており、この眼筋の運動は一般的に1日10万回以上であると言われている。従って「酸素欠乏」状態は、目の眼筋運動機能に影響すると言われ、酸素欠乏状態により、毛様体の筋力と水晶体の弾力が低下し、近視や老眼の進行が加速される原因の一因と考えられている。さらに、水晶体の新陳代謝が衰えることにより、水晶体に濁りが生じ、白内障発症の原因となるほか、眼球内の老廃物排泄機能が不充分となり、飛蚊症が発症する一因と考えられている。
【0031】
しいては、眼球の角膜と虹彩との間、および虹彩と水晶体の間を満たす房水という体液の排泄機能が不充分となり機能が滞ることで、酸素や栄養の供給が減少し、眼圧の上昇、緑内障の要因ともなり、さらに、視神経が栄養不足になることにより、視野が狭まる視野狭窄の要因にもなる。
【0032】
目の角膜は周囲の空気から酸素を直接吸収する器官であるが、コンタクトレンズには酸素透過率の高いものもあるが、その多くは酸素透過率に問題がある。いずれにしても、コンタクトレンズを装着すると角膜からの酸素吸収を妨げるため、装着時間を短く制限するなどの必要がある。酸素不足によって起こる角膜血管新生等の病気に陥らないような手段を講じる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開平9−055309号公報
【特許文献2】特開平5−347206号公報
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】「磁気力の新規利用に関する研究」第2回研究会、「新規磁場応用に関する調査研究会」物質・材料研究機構、若山信子;2006年2月6日
【非特許文献2】北里大学医学部眼科、宮田ほか、眼科臨床医報;1998年
【非特許文献3】大矢康裕 Sevemation review 2003年2月号
【非特許文献4】木村正一、谷口正弘 共著;医学領域 空気イオンの理論と実際;南山堂書店発行
【非特許文献5】琉子友男・佐々木久夫(編著)/日本住宅環境医学会(監修);空気マイナスイオン応用事典;人間と歴史社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
近年、スマートフォンやパソコンが社会生活の中心となり、日常的に利用される現代においてVDT症候群と言われる目の疲労、さらにはコンタクトの普及、高齢化に伴う目の疲労、老化対策は差し迫った大きな課題である。
【0036】
本発明は、場所を選ばず通常の日常生活、業務等を行いながら、目の安全と優れた健康増進作用により目の疲労軽減および除去することを目的とした酸素供給による効果、マイナスイオン効果、磁気効果、光触媒効果に加えて遠赤外線効果との複合効果を有する磁性材料を提供すること、この磁性材料を用いた装置であるめがね、レンズおよびアクセサリーなどを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の磁性材料は、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石およびハードフェライト磁石よりなる群から選ばれる少なくとも1種の軟質磁性粉状体、および/または、ソフトフェライト、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、アモルファス磁性合金およびクリスタル磁性合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の硬質磁性粉状体からなる磁性粉状体とを有し、該磁性粉状体がナノ粒子化されていることを特徴としている。
【0038】
本発明の磁性材料は、磁性材料がさらに有機磁性材料を含有する有機無機複合磁性粉状体であることが好ましい。
本発明の磁性材料は、さらにトルマリン粉状体を含むことが好ましい。
【0039】
本発明の磁性材料は、さらに、銅,珪素、ニッケル、ベリウム、ナトリウム、アルミナ、ベリリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種類の遠赤外線発生成分粉状体とを含むことが好ましい。
【0040】
本発明の磁性材料は、さらに、メンソール、パンテノール、アスパラギン酸カリウムおよびタウリンよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の成分を含有することが好ましい。
上記磁性粉状体が、コバルトドープ酸化チタンおよび/またはチタンアパタイト粉状体を含むことが好ましい。
【0041】
本発明の磁性材料は、酸化亜鉛 (ZnO)と二酸化マンガン(MnO
2)とからなる化合物、酸化チタン(TiO
2)、あるいは、鉄(Fe)の酸化物、ニッケル(Ni)の酸化物、コバルト(Co)の酸化物、モリブデン(Mo)の酸化物などの酸化物またはこれらの化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の透明磁性材料であることが好ましい。
【0042】
本発明において、遠赤外線効果を発する成分の磁性粉状体中における含有比率が、磁性粉状体100重量部に対して銅の場合10〜12重量%、珪素の場合5〜10重量%、ニッケルの場合3〜10重量%、ナトリウムの場合1〜2重量%、アルミナの場合20〜25重量%、ベリリウムの場合0.1〜2重量%であることが好ましい。
【0043】
本発明の磁性材料において、ナノ粒子化された磁性粉状体の平均粒子径が10nm以下であることが好ましい。
本発明のめがねは、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石およびハードフェライト磁石よりなる群から選ばれる少なくとも1種の軟質磁性粉状体、および/または、ソフトフェライト、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、アモルファス磁性合金およびクリスタル磁性合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の硬質磁性粉状体からなるナノ粒子化された磁性粉状体からなる磁性部材を有することを特徴としている。
【0044】
本発明のめがねは、上記磁性材料以外の成分を含むものであってもよい。
本発明のめがねは、磁性体、トルマリン、その他の鉱石を、粉末混合加工した磁性材料をめがねフレームのつる部分の左右内側、かつ眼面寄りにチップ状にして付加し、この左右のチップから常時放出する磁気により濃縮された空気中の酸素を眼面に供給し、角膜へ充分な酸素を供給すると共に、トルマリン粉状体等から発するマイナスイオン効果も加えてマイナスイオンの還元作用で、眼面近傍に漂うプラスイオンを中和することで目の安全と健康を守り、目の疲労軽減、除去を行うことを特徴としている。
【0045】
本発明のめがねにおいて、上記磁性材料を、チップ状に加工した磁性部材を、めがねのツル部分に固定するか、あるいは、ツルと一体成形して、めがねに設置することが好ましく、設置方式が、接着方式、粘着方式、ねじ込み方式、はめ込み方式、固着方式、脱着可能な固定方式、一体成形方式のいずれかの方式であることが好ましく、上記磁性材料からなる磁性部材を設置する支持体が、非磁性体であることが好ましい。
【0046】
本発明のレンズは、上述の磁性材料を、レンズ本体に溶着層、装着層あるいは積層した透明磁性層を有する。
本発明において、レンズには度の入っていないレンズおよびコンタクトレンズも含まれる。
【0047】
本発明のレンズにおいて、レンズを構成する磁性材料は、酸化亜鉛 (ZnO)と二酸化マンガン(MnO
2)とからなる化合物、酸化チタン(TiO
2)、あるいは、鉄(Fe)の酸化物、ニッケル(Ni)の酸化物、コバルト(Co)の酸化物、モリブデン(Mo)の酸化物、または、これらの化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の透明磁性材料を含むものであることが好ましい。
【0048】
本発明のめがね用アクセサリーは、上述の磁性材料が、めがね用ストラップ、チェーンに固定されていることを特徴としている。
本発明によれば、磁気ナノ粒子の磁性材料からなる磁性部材を使用することで優れた酸素濃縮効果と、空気中の酸素は下向きの磁気力を受け磁場中に吸い込まれていくことにより対流が生じ、ジェット気流のように噴出する特性による効果的な目の角膜への酸素の吸収並びにマイナスイオン効果、磁気作用効果、加えてトルマリンによるマイナスイオン効果、銅、珪素、ニッケル、ナトリウム、アルミナ、ベリリウム等の一つないしは複合材による遠赤外線効果を有する材料を用いた磁性粉状体を、既存のめがねのツルの一部にチップ状にして支持体を用いて付加、あるいはこの磁性粉状体をシート状にしてツルに接着、二重成形等の手段で一体化して使用する。
【0049】
本発明では、上記のような有機無機複合磁性体と共に、高分子ポリマー、強磁性化合物、非磁性金属および金属酸化物セラミックスよりなる群から選ばれる少なくとも一種の成分を使用して磁性体混合物を製造し、この磁性混合物から、磁性材料を形成することができる。
【0050】
ここで使用することができる高分子ポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を挙げることができ、非磁性金属としては、例えば、アルミニウム、マンガン、クロム、銀、白金、金などを挙げることができ、さらに金属酸化物セラミックスとしては、例えばコバルトドープ酸化チタン、チタンアパタイト、亜鉛マンガン酸化物、ネオジム鉄酸化物などを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。中でもコバルトドープ酸化チタン、および/または、チタンアパタイトは、強磁性を示すと共に光触媒活性を示す。
【発明の効果】
【0051】
本発明の磁性材料からなる磁性部材は、空気中の主な気体である窒素、酸素などの混合気体の中から変動磁場の働きにより安価かつ簡便に酸素を効率的に分離し濃縮するという利点がある。
【0052】
即ち、磁気ナノ粒子による磁性材料からなる磁性部材により空気中の酸素を濃縮され、かつ空気中の酸素は磁性部材により下向きの磁気力を受け磁場中に吸い込まれて対流が生じ、ジェット気流のように噴出することにより効果的に目の角膜に充分な酸素を供給でき、目の疲労低減、コンタクトレンズによる水晶体への酸素供給不足の改善、老化の抑制等に効果が見られる。
【0053】
本発明は磁力による、空気中の酸素濃縮効果により目の角膜に多くの酸素を常時供給することおよびマイナスイオン発生効果によるプラスイオンの中和とマイナスイオンの環境造りに加え、さらにトルマリンによるマイナスイオン効果、磁石や遠赤外線から放出する物質等を体に接触させること、微弱な磁気作用、遠赤外線作用により、血行の促進作用を加えることで、効果的な目の疲労軽減し、しいては眼精疲労を除去を行うことができる。
【0054】
トルマリン枌状体はトルマリン鉱石を粉砕生成したもので、空気中にある水分と反応してマイナスイオンを発生し、また併せて遠赤外線を放射することから、疲労軽減等に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は、実験の電磁石の配置と磁場の様子を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、磁気式酸素濃度測定器の原理を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明のめがね(チップタイプ)の一実施例の概略図である。
【
図4】
図4は、マイナスイオン発生量別効果を示すためのグラフである。
【
図5】
図5は、有機磁性体の分子性磁性体の一例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、有機磁性体の有機ラジカルアニオンによる磁性材料の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の磁性体近傍と離れた位置での水蒸気量(水クラスタ量)の比較実験の特性曲線である。
【
図8】
図8は、本発明の磁性材料を適用した酸素透過性コンタクトレンズの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の磁性材料には、軟質磁性粉状体および硬質磁性粉状体がある。
ここで軟質磁性粉状体としては、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石およびハードフェライト磁石を挙げることができる。軟質磁性粉状体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0057】
また、硬質磁性粉状体としては、ソフトフェライト、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、アモルファス磁性合金およびクリスタル磁性合金を挙げることができる。硬質磁性粉状体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0058】
本発明において、軟質磁性粉状体と硬質磁性粉状体(無機磁性粉状体)とは、通常は、0:100〜100:0の範囲内の重量比で使用される。すなわち、軟質磁性粉状体および硬質磁性粉状体は、いずれか一方を使用することもできるし、両者を組み合わせて使用することもできる。
【0059】
これらの粉状体からなる磁性粉状体は、何れもハンマーミル、ホモジナイザーなどの粉砕装置で粗粉砕を行い、ボールミル、ビーズミルなど湿式あるいは乾式粉砕装置によって、粒径100nm以下のナノ粒子を形成して、必要により分級して、平均粒子径が10nm以下の範囲内のナノ粒子を形成して使用する。このような微粒子状の磁性材料を使用することにより強い磁性体を形成することができる。
【0060】
本発明では、磁性粉状体として有機無機複合磁性粉状体を用いることもできる。ここで有機無機複合磁性粉状体としては、上記のような軟質磁性粉状体および/または硬質磁性粉状体に、遷移金属やランタノイドなどのようにd電子やf電子を持つ原子をスピン源とし,配位子と結合させ磁性錯体としたもの(フラーレン誘導体、フラーレン誘導体と金属フタロシアニンとの錯体、金属内包フラーレンや金属フタロシアニンなど)や、ニトロニルニトロキシド、TCNQアニオンなどのような安定な有機ラジカルを分子種として用いて複合化したものであり、この分子種が結晶構造となるときに強い磁性が発現する(
図5,
図6参照)。これらは単独あるいは組み合わせにて使用できる。有機無機複合磁性粉状体とする場合には、ボールミルあるいはビーズミルの工程の終盤において有機磁性材料を添加し、粉砕と同時に合成を行うことで、有機無機複合磁性粉状体を得ることができる。この際、有機磁性粉状体と無機磁性粉状体との配合比は、前述の粉砕・合成工程にて調整することができる。
【0061】
本発明で使用するナノ粒子化された有機無機複合磁性粉状体の平均粒子径は通常は10μm以下である。
なお、本発明では有機磁性粉状体あるいは無機磁性粉状体をそれぞれ単独で使用することもできる。また、これらの磁性粉状体は、酸素と接触することによりマイナスイオンを発生させる。
【0062】
本発明で使用する磁性材料には、トルマリン粉状体が含有されている。このトルマリン粉状体もナノ粒子化されており、平均粒子径は、通常は10μm以下である。トルマリン粉状体を配合することにより、本発明の磁性材料の成形体からマイナスイオンが発生するようになる。
【0063】
このトルマリン粉状体は、上記磁性粉状体100重量部に対して、通常は、1〜20重量部の範囲内の量で使用される。
このトルマリン粉状体としては、磁性粉状体と同様に何れもハンマーミル、ホモジナイザーなどの粉砕装置で粗粉砕を行い、ボールミル、ビーズミルなど湿式あるいは乾式粉砕装置によって、ナノ化、即ち、粒径100nm以下のナノ粒子を形成して、必要により分級して、平均粒子径が10nm以下の範囲内のナノ粒子を形成して使用する。
【0064】
本発明の磁性材料には、さらに、遠赤外線発生成分粉状体が含有されている。ここで、遠赤外線発生成分粉状体としては、銅,珪素、ニッケル、ナトリウム、アルミナ、ベリリウムを挙げることができる。これらの遠赤外線発生成分粉状体は単独で或いは組み合わせて使用することができる。これらの遠赤外線発生成分粉状体は、磁性粉状体100重量部に対して、銅の場合10〜12重量%、珪素の場合5〜10重量%、ニッケルの場合3〜10重量%、ナトリウムの場合1〜2重量%、アルミナの場合20〜25重量%、ベリリウムの場合0.1〜2重量%程度の比率で配合されていることが好ましい。これらの遠赤外線発生成分粉状体は、ボールミル、ビーズミルなど湿式あるいは乾式粉砕装置によって、ナノ化、即ち、粒径100nm以下のナノ粒子を形成して、必要により分級して、平均粒子径が10nm以下の範囲内のナノ粒子を形成して使用する。
【0065】
本発明の磁性材料にはさらに高分子ポリマーが含有されていてもよく、高分子ポリマーの例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を挙げることができる。
また、本発明の磁性材料には非磁性金属が含有されていてもよく、非磁性金属の例としては、アルミニウム、マンガン、クロム、銀、白金、金などを挙げることができる。
【0066】
さらに本発明の磁性材料には、金属酸化物セラミックスとしては、例えばコバルトドープ酸化チタン、チタンアパタイト、亜鉛マンガン酸化物、ネオジム鉄酸化物などを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。特にコバルトドープ酸化チタン、チタンアパタイトは光触媒作用を有しており、接触した有機物質、例えば細菌や花粉などを光を照射することにより、炭酸ガスと水に分解することができる。
【0067】
本発明の磁性材料は、上記磁性粉状体、トルマリン粉状体および遠赤外線発生成分粉状体を混合して所望の形状に賦形することにより製造することができる。即ち、本発明において、磁性粉状体は、チップ状に成形し、めがねのツルにこの磁性粉状体からなるチップを、めがねのツルを支持体として固定、あるいはこの磁性粉状体をシート状にしてツルと二重成形法等も含めて一体化する設置方式により設置することができる。
【0068】
こうして得られた本発明のめがねは、空気中の酸素濃度を上昇させ眼面近傍に高濃度の酸素を供給するとともにマイナスイオンを増加させ眼面近傍のプラスイオンを中和させ血液の浄化、疲労防止、疲労回復等の効果に加え、加えて、この磁性粉状体より発生する変動磁場により、眼面近傍の血行をよくする等、複合して人体に作用し、より一層の健康増進作用により、目の疲労軽減および除去することができる。
【0069】
磁性材料の設置手段は、めがねフレームなどの非磁性支持体に、接着方式、粘着方式、ねじ込み方式、固着方式、脱着可能な方式、あるいはツルに一体化、さらにはレンズ本体に加工処理する方式等の方法を採用することができる。
【0070】
このようにしてチップを設置する支持体は非磁性体であることが好ましく、磁性体である場合には、公知の方法により非磁性体化処理をして支持体として用いる。
さらに本発明では、メンソール、パンテノール、アスパラギン酸カリウムおよびタウリンのいずれかを配置することにより、清涼感が発現する。
【0071】
本発明のめがねは、従来の磁性粉状体に変えて本発明の磁気ナノ粒子の磁性粉状体を使用して空気中からの効果的な酸素濃縮効果による充分な目の角膜への酸素供給およびマイナスイオン効果、並びに磁気による効果や遠赤外線による効果に加えて、さらにトルマリンが有するマイナスイオン効果との複合効果による健康増進作用により、目の疲労軽減および除去効果が必要な時にいつでもどこでも簡便に提供できることができる。
【0072】
特に本発明のめがねは、磁性粉状体およびトルマリン粉状体に加えて、遠赤外線効果を有する材料である銅、珪素、ニッケル、ナトリウム、アルミナ、ベリリウムのいずれかを配合しているので、遠赤外線照射により、眼精疲労に対する回復効果が大きい。
【0073】
本発明のめがね(チップタイプ)において、磁性粉状体のマイナスイオンは、マイナスイオン測定器を使用して10分間測定を行った結果、めがねの左右のツルの部分から、平均4000〜5000(個/cm
3)の空気マイナスイオン放出が測定された。なお、この数値は、前掲の非特許文献3(Sevemation review 2003年2月号)の記載によれば、マイスイオン発生量と効果の関連から健康体であれば、効果は充分期待できる発生量である。
【0074】
上記記述の本発明のめがね(チップタイプ)の本発明の磁性粉状体の磁束密度は、平均100ミリテスラで、この磁束密度は、知名度のある「ピップエレキバン
TM」の磁束密度が80〜190ミリテスラであることからも、効果があると言える。なお、磁束密度は任意の密度に調整可能である。
【0075】
めがねを必要としない人に対しては素通しレンズのめがねにて使用する。
また、上記はめがねのツルにチップを装着した例を中心に説明したが、レンズ自体に本発明の磁性粉状体からなる薄膜を形成しても良い。また、コンタクトレンズにも磁性粉状体からなる薄膜を形成することもでき、この場合も同等の効果を奏する。
【0076】
図8は、本発明によって試作したコンタクトレンズの説明図である。
図8において、701は前面光学部、702はフロントベゼル、703は後面光学部、704はベゼル、705は前面、706は後面、707はフロントブレンド、708はブレンド、709はエッジ、710は透明磁性体コーティング層、711は酸素透過性レンズ素材である。
【0077】
その前面705から透明磁性体710の磁界によって集められた酸素(O
2)が、多孔質である透明磁性体コーティング層710を通過して、さらに、同じく多孔質の酸素透過性レンズ材料711を通過し、角膜と涙の膜を介して接触するブレンド708から角膜に酸素(O
2)を供給することができる。
【0078】
すなわち、本発明のコンタクトレンズにおいては、酸素透過性レンズ素材711に、透明磁性体コーティング層710を真空蒸着あるいはスパッタリング法によって、コーティングしたものであり、従来の酸素透過性レンズ素材711としては、ソロキサニルメタクリート(SMA)、あるいは、フルオロメタクリルート(FMA)などを使用することができる。
【0079】
ここで使用される磁性材料は、透明磁性材料であることが好ましい。即ち本発明で使用される磁性材料は、前掲の無機磁性粉状体および有機磁性粉状体とともに、あるいはこれらとは別に、酸化亜鉛 (ZnO)と二酸化マンガン(MnO
2)とからなる化合物、酸化チタン(TiO
2)、あるいは、鉄(Fe)の酸化物、ニッケル(Niの酸化物)、コバルト(Co)の酸化物、モリブデン(Mo)の酸化物などの酸化物またはこれらの化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の透明磁性材料を用いることが好ましい。
【0080】
こうして形成される磁性材料の膜厚は、通常2〜100nmであり、15〜50nmの範囲が好ましい。膜厚が2nm以下であると、形成される磁界が弱く、酸素および水蒸気の対流がほとんど期待できず、また、花粉症の症状の緩和、ブルーライトならびに電磁波ノイズの軽減も同様にほとんど期待できない。なお、膜厚が100nmを超えるとレンズの全光線透過率が低くなり、めがねレンズ、コンタクトレンズとしての機能が失わる。
【0081】
上記の膜を形成する場合は、レンズ表面および裏面のいずれか、あるいは両面に形成しても良い。但し、コンタクトレンズの場合は凹部分が眼球と接触していることから、表面(前面)に形成することが好ましい。
【0082】
本発明における全光線透過率は通常は95%以上になるように、好ましくは95〜99%の範囲内になるように磁性材料からなる膜を形成する。なお、本発明ではブルーライトの少なくとも50%は吸収でき、それ以外の可視光線透過率は80%以上であることから、色調の変化はほとんど感じられない。そして、上記のような透明磁性材料を用いることにより、上記の可視光線透過率を達成することができる。
【0083】
膜を形成するレンズは、ガラスレンズでもプラスチックレンズのいずれでもよく、特にコンタクトレンズにおいては、従来の酸素透過性レンズ材料を使用して、製造することができる。
【0084】
さらに、本発明の磁性粉状体を用いてめがねアクセサリー、例えばめがね用ストラップあるいはチェーン等に磁性粉状体からなるチップを埋め込むことにより、同等の効果が得られる。
【0085】
本発明の磁性材料を用いためがね、レンズ、コンタクトレンズの機能を充分に発揮するために、磁性体による電気信号ノイズ、電磁波ノイズ等を除去するためにノイズアース電極を形成することが好ましい。
【0086】
このノイズアース電極は、金属片でも、あるいは上述の磁性材料からも形成することができ、例えば
図3におけるテンプル、モダン部に形成することもでき、また、ノーズパットの表面に粘着あるいは、ノイズパット自体をノイズアース電極とすることも可能である。
【実施例】
【0087】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定的に解されるべきではない。
〔実施例1〕
空気中から酸素のみを濃縮して得る、マイナスイオンによるプラスイオンの中和とマイナスイオン環境化にする目的を、通常のめがねのツルに磁性粉状体を装着する簡単な方法で実現した。
【0088】
図3は、本発明の一実施例を示した無機粉状体から形成されたチップタイプの本発明のめがねの説明図である。
図3において、1はめがねのリム、2はヨロイ、3はブリッジ、4は丁番、5はクリングス、6はツル(テンプル)、7はノーズパット、8はモダン、9はチップ状の本発明の磁性材料である。
【0089】
この実施例においては、無機磁性粉状体からなる粉砕してナノ粒子化した磁性材料のチップ9を接着剤等にてツル6に固定する。
めがねの周囲にある空気中の窒素は反磁性体であるため、ツル(テンプル)6に固定された磁性材料であるチップ9の磁極磁石に反発して遠ざけられる。
【0090】
一方、酸素は磁性材料であるチップ9の磁極と反対の磁性に帯磁するために磁性粉状体9に引き寄せられるため磁性材料であるチップ9の周囲は高濃度の酸素が集まる。
このときの磁極の向きは図示していないが、より気体に近い磁極の極性に対して窒素は反磁性の性質を示すことから、いずれの極性であっても窒素は遠ざかる。
【0091】
一方、酸素の場合には、逆に極性がいずれかであっても酸素が吸い寄せられる。
これだけでは磁性粉状体から形成されているチップ9の周囲に集まった酸素は動くことはないが、空気中の酸素は下向きの磁気力を受け磁場中に吸い込まれていくことによる対流で、ジェット気流のような状態になり、チップの周囲の高濃縮された酸素が眼面から入ることになる。
【0092】
上記記述の本発明のめがね(チップタイプ)の評価試験の結果を以下に記載する。
評価方法:官能検査法
被験者数:100名
性別:男性50名、女性:50名
年齢:20〜50代
試験方法:本発明のめがね使用および未使用状態で各2時間パソコンによる業務処理(表計算ソフトへのデータ入力作業)
評価 :アンケート集計結果
(目のかすみ、目の奥が痛くなる、目がしょぼしょぼする等)
効果あり:37名
効果なし:6名
不明 :57名
結果として、不明を除くと43名中37名(約85%)に効果が確認できる。
【0093】
〔実施例2〕
有機磁性粉状体として、C
60フラーレン誘導体と金属フタロシアニンとの錯体を選択し、無機磁性粉状体として、ネオジム鉄ボロンを選択して、有機磁性体:無機磁性体=3:7の比率で混合し、トルマリンおよびチタンアパタイトを配合して、粉砕してナノ粒子化した後、300℃以下の低温での粉体焼結を行い、有機無機複合磁性体を製造した。
【0094】
実環境に設置した試験を行った結果、磁性体から離れた位置の湿度が40%、気温が25℃の時に、磁性体近傍の湿度は58%、気温は25℃となり、下記式1によって水蒸気量(水クラスタ量)を算出すると、約12.7(g/cm
3)であった。
水蒸気量(水クラスタ量)
=飽和水蒸気量 × 湿度/100[g/cm
3]・・ 式1
※飽和水蒸気量は、その環境の気温と大気圧から算出される。
【0095】
同様に式1によって、磁性体から離れた位置の水蒸気量(水クラスタ量)を算出すると、約9.2(g/cm
3)となり、明らかに磁性体近傍の水蒸気量(水クラスタ量)は、磁性体から離れた位置よりも高い値であると言える。
【0096】
さらに、このようにして形成された透明磁性体層は、その磁性体の特性により、非磁性体である花粉を遠ざけ、花粉症の症状の軽減を可能にすることができる。
併せて、このようにして形成された透明磁性体層は、波長380〜500nmのブルーライトおよび電磁波の一部を遮断することができる。
【0097】
さらに、ここで使用した本発明の磁性材料は光触媒の機能も有しており、活性酸素OH
-:ヒドキシルラジカル)を、紫外光により発生した電子とホールの対のホール(h
+)により、還元して分解し水と酸素を生成する効果を有している。従って、光触媒反応による付着した花粉の分解効果および殺菌効果も期待できる。
【0098】
〔実施例3〕
本発明による磁性材料を有機磁性体として、C
60フラーレン誘導体と金属フタロシアニンとの錯体を選択し、無機磁性体として、ネオジム鉄ボロンを選択して、有機磁性体:無機磁性体=3:7の比率で混合し、チタンアパタイト粉状体を配合し、粉砕してナノ化した後、300℃以下の低温での粉体焼結を行い、有機無機複合磁性体として試作し、実環境に設置した試験を行った結果、磁性体から離れた位置の湿度が40%、気温が25℃の時に、磁性体近傍の湿度は58%、気温は25℃となり、式1によって、水蒸気量(水クラスタ量)を算出すると、約12.7(g/cm
3)を得られた。
水蒸気量(水クラスタ量)
=飽和水蒸気量 × 湿度/100[g/cm
3]・・・ 式1
※飽和水蒸気量は、その環境の気温と大気圧から算出される。
【0099】
同様に式1によって、磁性体から離れた位置の水蒸気量(水クラスタ量)を算出すると、約9.2(g/cm
3)となり、明らかに磁性体近傍の水蒸気量(水クラスタ量)は、磁性体から離れた位置よりも高い値であると言える。
【0100】
さらに、このようにして形成された透明磁性体層は、その磁性体の特性により、非磁性体である花粉を遠ざけ、花粉症の症状の軽減を可能にすることができる。
併せて、このようにして形成された透明自生体層は、波長380〜500nmのブルーライトおよび電磁波の一部を遮断することができる。
【0101】
さらに、本発明の磁性材料は光触媒の機能も有しており。活性酸素OH
-:ヒドキシルラジカル)を紫外光により派生した電子とホールの対のホール(h
+)により、還元して分解し水と酸素を生成する効果を有し、めがね近傍の湿度を向上させる効果がある。従って、光触媒反応による付着した花粉の分解効果および殺菌効果も期待できる。
【0102】
図7は、本発明の磁性体をめがねの左右のテンプル前縁部に設置すると共にノーズパットにメンソールを含有する部材を配置し、テンプル前縁部の左右同じ位置に2個の温湿度センサを取り付け、比較のために、めがねから離れた位置にも、温湿度センサを取り付け、パーソナルコンピュータを用いた自動計測機によって、約3700分(61時間以上)連続で、1分間隔の計測を行った結果を集計した特性曲線である。めがねの左右で値が異なるが、めがねから離れた位置での値と比較すると、めがね左右のセンサの方が離れた位置のセンサに対し、明らかに変動が少なく、かつ高い値を示している。
【0103】
本発明の磁性材料の磁界による酸素分子と酸素を主に溶存していると考えられる水蒸気(水クラスタ)の増加現象は、目の表面と周囲の湿度を高める効果があると言え、目の潤いのために理想的な湿度条件とされる湿度40〜60%程度に保つことが可能である。また、本発明によれば、自然に存在している水蒸気(水クラスタ)を利用するため、従来の方法である水タンク等の容器に入れた水を体温で揮発させる方法比べて、水の補充や水タンク等の容器の洗浄が必要なく、取扱いが容易であり、かつ常に衛生的であると言える。
さらに、ノーズパットにメンソールを含有した部材を配置したことにより、清涼感が発現した。
【0104】
また、このめがねに装着されたレンズは、波長380〜500nmのブルーライトを50%以上カットでき、電磁波ノイズも50%以上カットでき、他の可視光線に対しては全光線透過率が80%以上であることから、めがねを通して見た色調と、めがねを用いないで見た場合の色調に変化は感じられなかった。
【符号の説明】
【0105】
1・・・リム
2・・・ヨロイ
3・・・ブリッジ
4・・・丁番
5・・・クリングス
6・・・ツル(テンプル)
7・・・ノーズパット
8・・・モダン
9・・・磁性粉状体のチップ
701・・・全面光学部
702・・・フロントベゼル
703・・・後面光学部
704・・・ベゼル
705・・・前面
706・・・後面
707・・・フロントブレンド
708・・・ブレンド
709・・・エッジ
710・・・透明磁性体コーティング層
711・・・酸素透過性レンズ素材