特許第6985663号(P6985663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985663
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】窯業系サイディング廃材の再生方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/24 20060101AFI20211213BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20211213BHJP
   E04C 2/04 20060101ALI20211213BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C04B7/24ZAB
   B09B3/00 302Z
   E04C2/04 Z
   E04F13/14 102A
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-203283(P2017-203283)
(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公開番号】特開2019-77572(P2019-77572A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年8月3日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年8月18日にhttp://jsmcwm.or.jp/taikai2017/download/のアドレスのウェブサイトで公開された第28回廃棄物資源循環学会研究発表会の講演原稿にて公開 〔刊行物等〕 平成29年9月8日に第28回廃棄物資源循環学会研究発表会にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】591032703
【氏名又は名称】群馬県
(73)【特許権者】
【識別番号】502046375
【氏名又は名称】ベスト資材株式会社
(72)【発明者】
【氏名】恩田 紘樹
(72)【発明者】
【氏名】牛木 龍二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇
(72)【発明者】
【氏名】杉山 乃祐
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和則
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−091992(JP,A)
【文献】 特開2007−195455(JP,A)
【文献】 特開2003−327457(JP,A)
【文献】 特開2015−199634(JP,A)
【文献】 特開2004−217482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00−32/02, C04B40/00−40/06, C04B103/00−111/94
B09B 3/00
E04F 13/14
E04C 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機炭素の重量割合が1wt%以上40wt%以下の有機化合物を含有する窯業系サイディングの廃材を、JIS Z 8801に規定される目開き53mm、線形5mmのふるいを通過し、目開き4mm、線形1.4mmのふるいを通過しないサイズにする工程と
空気、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素のグループから選択される一種以上の支燃性ガスを供給しながら、200℃以上350℃以下で熱処理する工程と、
さらに空気、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素のグループから選択される一種以上支燃性ガスを供給しながら、500℃以上600℃以下で熱処理する工程と、
を有するポルトランドセメント含有する窯業系サイディング廃材の再生方法であって、
選択される前記支燃性ガスが、空気の場合、送り量が100aW/T〜900aW/Tの範囲であり、
選択される前記支燃性ガスが、酸素、オゾンまたは二酸化窒素の場合、送り量が20aW/T〜180aW/Tの範囲であり、
選択される前記支燃性ガスが、亜酸化窒素または一酸化窒素の場合、送り量が40aW/T〜360aW/Tの範囲である、
ポルトランドセメントを含有する窯業系サイディング廃材の再生方法。
ただし、前記支燃性ガスの送り量の単位記号において、Wは、窯業系サイディングの重量(kg)を表し、aは、窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合(wt%) を表し、Tは、熱処理時間(分)を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポルトランドセメント含有の窯業系サイディング廃材の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(窯業系サイディングについて)
窯業系サイディングはポルトランドセメントに繊維質原料、混和剤および水を添加し、任意の形状に成形したもので、主に住宅外壁材に利用されている。このうち、ポルトランドセメントには主にケイ酸三カルシウム(エーライト、3CaO・SiO)、ケイ酸二カルシウム(ビーライト、2CaO・SiO)からなり、水と反応してケイ酸カルシウム水和物(以下、CSH)を形成することにより硬化する。
【0003】
上述のようにして製造された窯業系サイディングは耐震性や遮音性、防火性などに優れ、また、原綿や木片、樹脂等の有機化合物を混合することにより、その機械的強度や吸湿性の向上といった機能性向上やデザイン性の付与が可能である。このため、窯業系サイディングは近年様々な機能やデザインのものが上市されている。
【0004】
一方、埋地の確保難や、資源の有効活用の観点から、建築物への施工、工場におけるプレカットで発生する窯業系サイディングの端材や粉末、また建築物の取り壊し等で発生する窯業系サイディング廃材について、再利用技術の確立が急務となっている。
【0005】
しかし、窯業系サイディングには酸化カルシウムや水酸化カルシウムが含有され、水と接触する場合には高アルカリを呈し、放置すると水質汚染の一因となる。このため、一般的には表面には水がしみこまないように塗装処理して出荷されている。また、窯業系サイディングには機能性向上やデザイン性付与を目的に混合された有機化合物は分離が困難なことなどから、現状では、再利用が困難であり、そのほとんどが産業廃棄物として処分されているのが現状である。
【0006】
このような背景から、例えば、特許文献1に示されているように、コンクリートの廃材を破砕して微粉末化した後、500〜750℃で加熱することで、水和自硬性能を再生し、セメント組成物として再利用する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−320201号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、窯業系サイディングには様々な有機化合物が混合されている。このため、熱処理により有機化合物が不完全燃焼した場合有機化合物が十分に除去できないだけでなく、タール分や揮発性有機化合物生成してしまうまた、有機化合物の不完全燃焼によりタール分が生成した場合、窯業系サイディングは茶色く変色してしまうこのような窯業系サイディングに付着したタール分は、分離困難である。一方で、揮発性有機化合物が発生した場合、これを除去するための排気設備が必要となり、関連する設備コストが嵩むことになる
【0009】
ここで、特許文献1に記載の熱処理工程に倣い、窯業系サイディングを破砕して微粉末化した後、急激に500〜750℃に温度上昇させ、CSHが著しく分解し、水和自硬性が再生されないという課題が浮上する
【0010】
そこで、本発明は、上述のような問題点を解決しようとするため、タール分や揮発性有機化合物を発生させないように有機化合物を除去し水和自硬性再生させることが可能な窯業系サイディング廃材の再生方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための手段1として、
有機炭素の重量割合が1wt%以上40wt%以下の範囲の有機化合物を含有する窯業系サイディングの廃材を、JIS Z 8801に規定される目開き53mm、線形5mmのふるいを通過し、目開き4mm、線形1.4mmのふるいを通過しないサイズにする。
その後、空気、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素のグループから選択される一種以上の支燃性ガスを、ガスの種類に応じて下記に示す範囲の流量で制御しながら供給燃焼させ、200℃以上350℃以下で熱処理する
つづいて、空気、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素のグループから選択される一種以上の支燃性ガスを、ガスの種類に応じて下記に示す範囲の流量で制御しながら供給燃焼させ、500℃以上600℃以下で熱処理することにより得られるポルトランドセメント含有の窯業系サイディング廃材の再生方法、を提供する。
なお、上述の支燃性ガスの送り量は、支燃性ガスが空気の場合、送り量が100aW/T〜900aW/Tの範囲にすることが好ましい。また、上述の支燃性ガスが酸素、オゾンまたは二酸化窒素の場合、送り量が20aW/T〜180aW/Tの範囲にすることが好ましい。さらに、上述の支燃性ガスが亜酸化窒素または一酸化窒素の場合、送り量が40aW/T〜360aW/Tの範囲にすることが好ましい。
ただし、上述の送り量の単位記号において、Wは、窯業系サイディングの重量(kg)を表し、aは、窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合(wt%) )を表し、Tは、熱処理時間(分)を表す。
【0012】
このような窯業系サイディング廃材の再生方法では、支燃性ガスの送り量を種類に相応しい範囲で送りながらまず200℃以上350℃以下で熱処理することにより、CSHを脱水させることが可能になる。その上で、支燃性ガスの送り量を種類に相応しい範囲で送りながら500℃以上600℃以下で熱処理することにより有機化合物を熱分解除去が可能になる。同時に、水酸化カルシウムを脱水させることも可能になる。結果的に有機化合物を除去し、タール分や揮発性有機化合物を発生させず、また、水和自硬性も失うことなく再生させることが可能となるのである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の手段1の再生方法によれば、窯業系サイディングに含有される有機化合物を効率よく除去できるだけでなく、タール分や揮発性有機化合物が発生させないため、より高品質なポルトランドセメント含有の窯業系サイディングの廃材を再生させることができる。また、建築系廃棄物の低減も期待できる。
【0014】
(課題を解決するためのその他の手段)
前記の上位概念の手段1における支燃性ガスには、例えば、空気、酸素、オゾンといった比較的手に入りやすいグループのガスを用いることができる。さらには、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素のグループのガスを用いることができる。上述したような種々のガスを二種以上の成分を含有させた手段2のポルトランドセメント含有の窯業系サイディング廃材の再生方法、を提供する。
【0015】
前記の上位概念の手段1における支燃性ガスが、例えば、支燃性ガスが空気、酸素、オゾンのグループから選択される一種類以上を使用した比較的に入手しやすく、取り扱い性もよく、低コスト化が可能な手段3のポルトランドセメント含有の窯業系サイディング廃材の再生方法を提供する。
【0016】
前記の上位概念の手段1における支燃性ガスが、例えば、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素のグループから選択される一種類以上を含有し、空気よりも効率よく有機化合物を熱分解除去可能な手段4のポルトランドセメント含有の窯業系サイディング廃材の再生方法を提供する
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1で使用した窯業系サイディングについて発生ガス分析を行った際のEGAサーモグラムである。
図2】実施例1で使用した窯業系サイディングの熱重量曲線を表す図である。
図3】実施例1で使用した窯業系サイディングの熱処理装置を模式的に表す図である。
図4】実施例1で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を表す図である。
図5】実施例2で使用した窯業系サイディングについて発生ガス分析を行った際のEGAサーモグラムである。
図6】実施例2で使用した窯業系サイディングの熱重量曲線を表す図である。
図7】実施例2で使用した窯業系サイディングの熱処理装置を模式的に表す図である。
図8】実施例2で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を表す図である。
図9】実施例3で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を表す図である。
図10】実施例4で使用した窯業系サイディングの熱処理装置を模式的に表す図である。
図11】オゾン発生部11の内部を模式的に表す図である。
図12】実施例4で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を表す図である。
図13】比較例1で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を表す図である。
図14】比較例2で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を表す図である。
図15】比較例3で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明における好適な実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明における特許請求の範囲に記載された内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0019】
( 窯業系サイディングに含有る有機化合物の種類)
窯業系サイディングに含有る有機化合物はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、フェノール系樹脂、アクリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドンといった合成高分子材料よりなる群から少なくとも1種類以上、絹、羊毛、羽毛よりなるタンパク質の群から少なくとも1種類以上、もしくは木材、木綿、麻、リヨセル、テンセル、パルプ、レーヨン、キュプラ、アセテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースよりなるセルロース系高分子材料の群から少なくとも1種類以上の成分を好ましく用いることができる。また、これらの合成高分子材料、タンパク質およびセルロース系高分子材料を2種以上混合していてもよい。
【0020】
これらの有機化合物に関し、合成高分子材料が好ましく、タンパク質がより好ましく、セルロース系高分子材料がさらに好ましい。この理由は、セルロース系高分子材料は熱処理時におけるタール分の発生がタンパク質や合成高分子材料と比較して少なく、取り扱い性が良好なためである。またタンパク質には硫黄分が含有され、熱処理により硫黄酸化物が生成する懸念があるものの、熱処理時において溶融固まりを形成せず、取り扱い性が良好なためセルロース系高分子材料に次いで好ましい。合成高分子材料は、セルロース系高分子材料と比較して、タール分や一酸化炭素が発生しやすく、また熱処理時に溶融固まりを形成する懸念があるものの、セルロース系高分子材料やタンパク質と比較して発熱量が大きく、窯業系サイディングの熱処理に要する燃料コストの低減が期待できるからである
【0021】
(窯業系サイディングに含有されるポルトランドセメントの種類)
ポルトランドセメントの種類は普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメントが好ましく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントがより好ましく、普通ポルトランドセメントが最も好ましい。普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメントは、カルシウムの割合が高く、より効率よく水和自硬性を付与できるためである。
【0022】
(窯業系サイディング廃材の好適なサイズ)
窯業系サイディング廃材のサイズは、JIS Z 8801に規定されている目開き53mm、線径5mmのふるいを通過し、目開き4mm、線径1.4mmのふるいを通過しないサイズが好ましく、目開き37.5mm、線径4.5mmのふるいを通過し、目開き8mm、線径2mmのふるいを通過しないサイズがより好ましく、目開き26.5mm、線径3.55mmのふるいを通過し、目開き16mm、線径3.15mmのふるいを通過しないサイズが最も好ましい。目開き4mm、線径1.4mmのふるいを通過するサイズの場合、セメント系廃材が加熱空気により飛散し、加熱筒内で滞留する懸念があり、一方、目開き53mm、線径5mmのふるいを通過しないサイズの場合には、窯業系サイディング内部が十分に加熱されず、有機化合物の除去効率、水酸化カルシウムの脱水反応効率が低下し、水和自硬性が阻害される懸念があるためである。
【0023】
(窯業系サイディング廃材の熱処理工程の概要)
窯業系サイディングの熱処理工程の概要について記載する。窯業系サイディングの熱処理工程は、窯業系サイディング中のCSHを脱水することを目的とした熱処理工程(以下、CSH脱水熱処理工程)と、その後の窯業系サイディング中の有機化合物を除去することを目的とした熱処理工程(以下、有機化合物除去熱処理工程)よりなる。
【0024】
CSH脱水熱処理工程では窯業系サイディングを200℃以上350℃以下で所定の時間熱処理する。その後の有機化合物除去熱処理工程では支燃性ガスを供給しながら500℃以上600℃以下で熱処理する。以下、CSH脱水熱処理工程および有機化合物除去熱処理工程について詳細を記載する。
【0025】
(CSH脱水熱処理工程における熱処理温度)
CSH脱水熱処理工程における熱処理温度は200℃以上350℃以下が好ましく220℃以上290℃以下がより好ましく、260℃以上280℃以下が最も好ましい。200℃未満ではCSHの脱水が不十分となる懸念があり、350℃より高い温度ではCSHの脱水効果に違いは見られず、技術的意義が希薄になるためである。
【0026】
(CSH脱水熱処理工程における熱処理時間)
CSH脱水熱処理工程における熱処理時間は10分以上120分以下が好ましく、20分以上80分以下がより好ましく、50分以上70分以下が最も好ましい。熱処理時間が10分未満ではCSHの脱水が不十分となる懸念があるためである。また120分より長い熱処理時間ではCSHの脱水効果に変化は見られず、技術的意義が希薄になるためである。
【0027】
(有機化合物除去熱処理工程における熱処理温度)
有機化合物除去熱処理工程における熱処理温度は500℃以上600℃以下が好ましく520℃以上550℃以下がより好ましく、525℃以上530℃以下が最も好ましい。500℃未満では有機化合物の熱分解除去や水酸化カルシウムの脱水反応が不十分となる懸念があり、600℃より高い温度では有機化合物の除去効果や水酸化カルシウムの脱水効果に違いは見られず、技術的意義が希薄になること、エーライトやビーライトの構造が一部変化し、水を添加して再硬化した際の強度が低下することといった懸念があるためである。
【0028】
(有機化合物除去熱処理工程における支燃性ガスの種類)
支燃性ガスは、空気、酸素、オゾンのグループおよび、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素のグループの両グループの中から一種類以上で、一方もしくは双方のグループ中から選択されたガスが混合していてもよい。
【0029】
有機化合物除去熱処理工程における支燃性ガスはオゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素が好ましく、酸素がより好ましく、空気が最も好ましい。空気はコンプレッサーを用いて容易に供給可能で、かつ取り扱い性も良く、低コストなためである。また、酸素は入手が比較的容易で、効率よく窯業系サイディング中の有機化合物を熱分解除去できるため空気に次いで好ましい。さらにオゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素は腐食性ガスであり、熱処理装置の金属部材が腐食しやすい懸念があるものの、空気よりも効率よく窯業系サイディング中の有機化合物を熱分解除去できるというメリットがある。上記支燃性ガスはそれぞれ単独で供給しても良いし、種類以上を混合して供給してもよい。
【0030】
(有機化合物除去熱処理工程における支燃性ガス送り量)
有機化合物除去熱処理工程における支燃性ガス送り量は、窯業系サイディングの重量窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合、および熱処理時間により決定される。なお、窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合は以下の1により定義される。aは窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合(wt%)、W1は窯業系サイディング重量(g)、W2は530℃の熱処理により有機化合物を除去した後の窯業系サイディング重量(g)、C1は窯業系サイディングに含有される全炭素の重量割合(wt%)およびC2は530℃の熱処理により有機化合物を除去した後の窯業系サイディングに含有される炭素の重量割合(wt%)をそれぞれ表す。
【0031】
【数1】




【0032】
有機化合物除去熱処理工程において、支燃性ガスとして空気を用いる場合、支燃性ガス送り量は、以下の2を満たすことが好ましい。なお、Aは支燃性ガス送り量(L/min)、Wは窯業系サイディングの重量(kg)、aは窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合(wt%)およびTは熱処理時間(分)をそれぞれ表す。
【0033】
【数2】
【0034】
支燃性ガス送り量が100aW/Tより少ない場合には、有機化合物が完全燃焼せず、窯業系サイディングから十分に除去されない懸念がある。一方900aW/Tより多い場合には、有機化合物の除去効果に変化は、無いが、窯業系サイディングや支燃性ガスの加熱に必要なエネルギーが大きくなり、処理コストの増大に繋がる懸念があるためである。
【0035】
また、有機化合物除去熱処理工程において、支燃性ガスとして酸素、オゾンまたは二酸化窒素のいずれかを用いる場合、支燃性ガス送り量は、以下の3を満たすことが好ましい。なお、式2と同様、Aは支燃性ガス送り量(L/min)、Wは窯業系サイディングの重量(kg)、aは窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合(wt%)およびTは熱処理時間(分)をそれぞれ表す。
【0036】
【数3】
【0037】
支燃性ガス送り量が20aW/Tより少ない場合には、有機化合物が完全燃焼せず、窯業系サイディングから十分に除去されない懸念がある。一方、支燃性ガスの送り量が180aW/Tより多い場合は、有機化合物の除去効果に変化が無く、また排気設備コストの増大に繋がる懸念があるためである。
【0038】
さらに、有機化合物除去のための熱処理工程において、支燃性ガスとして亜酸化窒素または一酸化窒素のいずれかを用いる場合、支燃性ガス送り量は、以下の4を満たすことが好ましい。なお、式2と同様、Aは支燃性ガス送り量(L/min)、Wは窯業系サイディングの重量(kg)、aは窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合(wt%)およびTは熱処理時間(分)をそれぞれ表す。
【0039】
【数4】
【0040】
支燃性ガス送り量が40aW/Tより少ない場合には、有機化合物が完全燃焼せず、窯業系サイディングから十分に除去されない懸念があり、一方360aW/Tより多い場合は、有機化合物の除去効果に変化が無く、また排気設備コストの増大に繋がる懸念があるためである。
【0041】
以下に、詳細な実施例の説明をする。これは本発明の主旨を正確に示すことを目的とするものであり、本発明を限定的に捉えることがあってはならない。
【実施例1】
【0042】
(窯業系サイディング)
住宅外壁用窯業系サイディング加工会社において窯業系サイディングの裁断加工で発生した端材が収容されたつのコンテナ(以下、それぞれコンテナA、コンテナBとする)のうち、コンテナAからJIS Z 8801に規定されている目開き26.5mm、線径3.55mmのふるいを通過し、目開き16mm、線径3.15mmのふるいを通過しないサイズの窯業系サイディングの端材を選別し、これを、本実施例における窯業系サイディングとした。
【0043】
(本実施例における窯業系サイディングに含有される有機化合物の分析)
本実施例における窯業系サイディングについて、熱分解装置(EGA/PY−3030D、フロンティア・ラボ製)およびガスクロマトグラフ質量分析装置(ガスクロマトグラフ:7890B、四重極型質量分析計:5977A、アジレント製)を用い、以下の条件で発生ガス分析を行った。
【0044】
試料は、熱分解装置により室温から昇温速度20℃/minで600℃まで昇温した。GCの測定条件は注入温度300℃、注入口圧力16.1psiとし、カラムオーブン温度は40℃〜240℃(昇温20℃/min)、カラム流量は1.0ml/min、スプリット比は50:1に設定した。また、カラムは不活性キャピラリ管(Ultra Alloy DTM 2.5m, 0.15mm φi.d、フロンティア・ラボ製)を使用した。なお、キャリヤーガスはヘリウムを用いた。MSのイオン化電圧70eV、質量範囲(m/z)は29〜550とした。
【0045】
このようにして得られた窯業系サイディングのEGAサーモグラムを図1に示す。EGAサーモグラムで見られた354℃および433℃ピークについてMSスペクトルを解析したところ、それぞれ木綿およびスチレン・ブタジエンゴムに由来することが分かった。
【0046】
(窯業系サイディングの熱重量測定)
示差熱-熱重量同時測定装置(TG−DTA2000、ブルカーAXS製)を使用し、室温から600℃まで空気雰囲気下で昇温した。また、昇温速度は10℃/minとした。窯業系サイディングの熱重量曲線を図2に示す。室温から250℃、250℃から530℃の温度域で重量減少が見られた。また、250℃、530℃および600℃における重量残存率はそれぞれ92.2%、51.4%、および50.7%だった。室温から250℃の温度域で見られた重量減少は主にCSHの脱水、250℃から530℃の温度域で見られた重量減少は、主に有機化合物の熱分解およびCa(OH)2の脱水(Ca(OH)2→CaO+H2O)によるものと考えられた。
【0047】
(窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合測定)
窯業系サイディング1gを磁性るつぼに入れ、電気炉を用いて530℃で2時間加熱して有機化合物を除去した。またこの熱処理により有機化合物を除去した後の窯業系サイディング(以下、有機化合物除去窯業系サイディング)の重量は0.51gだった。次に窯業系サイディングおよび有機化合物除去窯業系サイディングに含油される炭素重量割合は有機元素分析装置2400 2 CHNS/O(Perkin Elmer社製)を用いて定量した。燃焼管温度は950℃、還元管温度は640℃とし、3回測定した平均値を測定値とした。また、窯業系サイディングに含有される有機炭素の重量割合は前述の式1により算出した。
【0048】
その結果、窯業系サイディングおよび有機化合物除去窯業系サイディングの炭素重量割合はそれぞれ23.2%および3.6%だった。このことから、窯業系サイディングに含有される有機化合物に由来する有機炭素の重量割合は21.4%だった。
【0049】
(窯業系サイディングの熱処理工程)
本実施例における窯業系サイディングの熱処理装置の模式図を図3に示す。窯業系サイディング1を石英ガラス管2に0.01kg入れ、中央部にφ1/4インチの穴の開いた耐熱ゴム栓3を石英ガラス管2の一端にはめ込んだ。φ1/4のSUS316製配管4を耐熱ゴム栓3の中央部にある穴に通した。本実施例では支燃性ガスは空気とし、コンプレッサー5(日立製 ベビコン0.2LE−8S)により、空気を送り量0.36L/minで石英ガラス管2内に供給した。その上でCSH脱水熱処理工程として電気炉6(光洋製、KTF030N1)を用いて窯業系サイディングを200℃で120分間加熱し、これを熱処理窯業系サイディング(CSH脱水熱処理)とした。その後さらに、有機化合物除去熱処理工程として電気炉6を用いて熱処理窯業系サイディング(CSH脱水熱処理)を530℃で60分加熱し、これを熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)とした。なお、石英ガラス管2からの排気ガスはダクト7を通じて屋外へと排出された。
【0050】
(熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線)
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を図4に示す。600℃時点での重量残存率は96.0%であり、CSHの脱水や有機化合物除去とみられる重量減少は見られなかった。
【0051】
(熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価)
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観について、目視により表1に示す様な5段階評価を行った。その結果、本実施例の熱処理窯業系サイディングの外観評価は5だった。
【0052】
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量測定および外観評価の結果から、本実施例の熱処理工程により、CSHの脱水および有機化合物除去は十分に進行したと考えられた。
【0053】
【表1】



















【0054】
(水和自硬性評価)
本実施例により得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)1重量部に対し、蒸留水を0.5重量部添加し混練した後、JIS R5201に記載された方法に準拠して圧縮強さを測定した。その結果、硬化して3日後、7日後および28日後の圧縮強さはそれぞれ14.5N/mm、24.5N/mmおよび46.7N/mmであり、JIS R5210で規定された基準を満たした。
【0055】
(総合評価)
以上の結果から、本実施例で総合評価は適であった。
【実施例2】
【0056】
(窯業系サイディング)
住宅外壁用窯業系サイディング加工会社において窯業系サイディングの裁断加工で発生した端材が収容された2つのコンテナ(以下、それぞれコンテナA、コンテナBとする)のうち、コンテナBから、JIS Z 8801に規定されている目開き26.5mm、線径3.55mmのふるいを通過し、目開き16mm、線径3.15mmのふるいを通過しないサイズの窯業系サイディングの端材を選別し、これを、本実施例における窯業系サイディングとした。
【0057】
(本実施例における窯業系サイディングに含有される有機化合物種の分析)
本実施例における窯業系サイディングについて、実施例1に記載の方法で発生ガス分析を行った。
【0058】
本実施例における窯業系サイディングのEGAサーモグラムを図5に示す。EGAサーモグラムで見られた330℃および424℃ピークについてMSスペクトルを解析したところ、それぞれ木綿およびパルプに由来することが分かった。
【0059】
(熱重量測定)
本実施例の窯業系サイディングについて、実施例1に記載の方法で熱重量測定を行った。図6に示すように、室温から250℃および250℃から530℃の温度域で重量減少が見られた。また、250℃、530℃および600℃における重量残存率はそれぞれ90.1%、72.2%、および71.2%だった。実施例1で用いた窯業系サイディングと同様、室温から250℃の温度域で見られた重量減少は主にCSHの脱水、250℃から530℃の温度域で見られた重量減少は、主に有機化合物の熱分解およびCa(OH)の脱水(Ca(OH)→CaO+HO)によるものと考えられた。
【0060】
(有機炭素の重量割合測定)
本実施例における窯業系サイディングの有機炭素重量割合測定は実施例1に記載の方法で測定した。なお、窯業系サイディング1gを磁性るつぼに入れ、電気炉を用いて530℃で2時間加熱して得た有機化合物除去窯業系サイディングの重量は0.72gだった。
【0061】
その結果、窯業系サイディングおよび有機化合物除去窯業系サイディングの炭素重量割合はそれぞれ10.8%および2.3%だった。前述の式1により、本実施例の窯業系サイディングに含有される有機化合物に由来する有機炭素の重量割合は9.1%だった。
【0062】
(窯業系サイディングの熱処理工程)
本実施例における窯業系サイディングの熱処理装置の模式図を図7に示す。窯業系サイディング1を石英ガラス管2に0.01kg入れた後、中央部にφ1/4インチの穴の開いた耐熱ゴム栓3を石英ガラス管2の一端にはめ込み、φ1/4のSUS316製配管4を耐熱ゴム栓3の中央部にある穴に通した。本実施例では支燃性ガスは酸素とし、支燃性ガス充填ボンベ8から圧力調整弁9およびマスフローコントローラー10を通じて酸素を送り量0.50L/minで石英ガラス管2内に供給した。その上でCSH脱水熱処理工程として電気炉6(光洋製、KTF030N1 )を用いて窯業系サイディングを260℃で50分間加熱し、これを熱処理窯業系サイディング(CSH脱水熱処理)とした。その後有機化合物除去熱処理工程として電気炉6を用いて熱処理窯業系サイディング(CSH脱水熱処理)を600℃で10分加熱し、これを熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)とした。なお、石英ガラス管2からの排気ガスはダクト7を通じて屋外へと排出された。
【0063】
本実施例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を図8に示す。600℃時点での重量残存率は94.2%であり、CSHの脱水や有機化合物除去とみられる重量減少は見られなかった。
【0064】
(熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価)
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観について、実施例1に記載の方法で評価した結果、本実施例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価は5だった。
【0065】
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量測定および外観評価の結果から、本実施例の熱処理工程により、CSHの脱水および有機化合物の除去は十分に進行したと考えられた。
【0066】
(水和自硬性評価)
本実施例により得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)1重量部に対し、蒸留水を0.5重量部添加し、混練した後、実施例1に記載の方法で圧縮強さを測定した。その結果、硬化して3日後、7日後および28日後の圧縮強さはそれぞれ13.9N/mm、25.1N/mmおよび46.1N/mmであり、JIS R5210で規定された基準を満たした。
【0067】
(総合評価)
以上の結果から、本実施例で総合評価は適であった。
【実施例3】
【0068】
(窯業系サイディング)
窯業系サイディングは実施例1と同様のものを用いた。
【0069】
(窯業系サイディングの熱処理工程)
支燃性ガスとして亜酸化窒素を使用し、また支燃性ガス送り量を1.0L/min、CSH脱水熱処理工程における熱処理時間を10分、有機化合物除去処理工程における熱処理温度を525℃、熱処理時間を55分とした以外は実施例2と同様の方法で熱処理を行った。
【0070】
さらに、本実施例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を図9に示す。600℃時点での重量残存率は97.8%であり、CSHの脱水や有機化合物除去とみられる重量減少は見られなかった。
【0071】
(熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価)
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観について、実施例1に記載の方法で評価した結果、本実施例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価は5だった。
【0072】
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量測定および外観評価の結果から、本実施例の熱処理工程により、CSHの脱水、有機化合物の除去は十分に進行したと考えられた。
【0073】
(水和自硬性評価)
本実施例により得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)1重量部に対し、蒸留水を0.5重量部添加し混練した後、実施例1に記載の方法で圧縮強さを測定した。その結果、硬化して3日後、7日後および28日後の圧縮強さはそれぞれ14.1N/mm、25.6N/mmおよび45.5N/mmであり、JIS R5210で規定された基準を満たした。
【0074】
(総合評価)
以上の結果から、本実施例で総合評価は適であった。
【実施例4】
【0075】
(窯業系サイディング)
窯業系サイディングは実施例1と同様のものを用いた。
【0076】
(オゾン発生部の構造)
オゾン発生部4の模式図を図11に示す。直流電源111から10kVの電圧をかけることで、負極112および正極113間で放電し、SUS316製配管4を通じてオゾン発生部4内に導入された酸素の一部はオゾンに変化する。
【0077】
(窯業系サイディングの熱処理工程)
本実施例における窯業系サイディングの熱処理装置の模式図を図10に示す。窯業系サイディング1を石英ガラス管2に0.01kg入れ、中央部にφ1/4インチの穴の開いた耐熱ゴム栓3を石英ガラス管2の一端にはめ込み、φ1/4のSUS316製配管4を耐熱ゴム栓3の中央部にある穴に通した。本実施例では支燃性ガスは空気とし、コンプレッサー5(日立製 ベビコン0.2LE−8S)により、空気を送り量0.30L/minでオゾン発生部11に導入し、オゾンと空気の混合ガスを生成した。このオゾンと空気の混合ガスをφ1/4のSUS316製配管4を通じて石英ガラス管2内へと供給した。その上でCSH脱水熱処理工程として電気炉6(光洋製、KTF030N1 )を用いて窯業系サイディングを350℃で60分間加熱し、これを熱処理窯業系サイディング(CSH脱水熱処理)とした。その後有機化合物除去熱処理工程として電気炉6を用いて熱処理窯業系サイディング(CSH脱水熱処理)を530℃で120分加熱し、これを熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)とした。なお、石英ガラス管2からの排気ガスはダクト7を通じて屋外へと排出された。
【0078】
本実施例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を図12に示す。600℃時点での重量残存率は97.1%であり、CSHの脱水や有機化合物除去とみられる重量減少は見られなかった。
【0079】
(熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価)
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観について、実施例1に記載の方法で評価した結果、本実施例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価は5だった。
【0080】
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量測定および外観評価の結果から、本実施例の熱処理工程により、CSHの脱水や有機化合物の除去は十分に進行したと考えられた。
【0081】
(水和自硬性評価)
本実施例により得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)1重量部に対し、蒸留水を0.5重量部添加し混練した後、実施例1に記載の方法で圧縮強さを測定した。その結果、硬化して3日後、7日後および28日後の圧縮強さはそれぞれ13.2N/mm、25.0N/mmおよび44.6N/mmであり、JIS R5210で規定された基準を満たした。
【0082】
(総合評価)
以上の結果から、本実施例で総合評価は適であった。
【比較例1】
【0083】
(窯業系サイディング)
本比較例における窯業系サイディングは実施例1と同様のものを使用した。
【0084】
(窯業系サイディングの熱処理工程)
支燃性ガスである空気の送り量を0.005L/minとした以外は実施例1と同様の方法で熱処理工程を行った。
【0085】
(熱重量測定)
さらに、本比較例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を図13に示す。600℃時点での重量残存率は88.4%だった。
【0086】
(熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価)
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観について、実施例1に記載の方法で評価した結果、本比較例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価は3だった。
【0087】
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量測定および外観評価の結果から、本比較例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)には有機化合物が残存したものと考えられた。
【0088】
(水和自硬性評価)
本比較例で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)1重量部に対し、蒸留水を0.5重量部添加し、混練した後、実施例1に記載の方法で圧縮強さを測定した。その結果、硬化して3日後、7日後および28日後の圧縮強さはそれぞれ7.4N/mm、13.9N/mmおよび25.1N/mmであり、JIS R5210で規定された基準を満たさなかった。
【0089】
(総合評価)
以上の結果から、本比較例における熱処理工程のように支燃性ガス送り量が少ない場合には窯業系サイディングに含有される有機化合物の除去が不十分となるため、本比較例で総合評価は不適であった。
【比較例2】
【0090】
(窯業系サイディング)
本比較例における窯業系サイディングは実施例1と同様のものを使用した。
【0091】
(窯業系サイディングの熱処理工程)
CSH脱水熱処理工程における熱処理温度を250℃、熱処理時間を60分、有機化合物除去熱処理工程における熱処理温度を50℃とした以外は実施例1と同様の方法で熱処理を行った。
【0092】
(熱重量測定)
さらに、本比較例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を図14に示す。600℃時点での重量残存率は59.2%だった。
【0093】
(熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価)
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観について、実施例1に記載の方法で評価した結果、本比較例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価は2だった。
【0094】
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量測定および外観評価の結果から、本比較例における熱処理工程では水酸化カルシウムの脱水や有機化合物の除去が不十分だったものと考えられた。
【0095】
(水和自硬性評価)
本比較例で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)1重量部に対し、蒸留水を0.5重量部添加し混練した後、実施例1に記載の方法で圧縮強さを測定した。その結果、硬化して3日後、7日後および28日後の圧縮強さはそれぞれ8.2N/mm、12.5N/mmおよび22.7N/mmであり、JISR5210で規定された基準を満たさなかった。
【0096】
(総合評価)
以上の結果から、本比較例における熱処理工程のように有機化合物除去熱処理時の熱処理温度が低い場合には水酸化カルシウムの脱水や有機化合物の除去が不十分であり、硬化した際の圧縮強度がJIS R5210で規定された基準を満たさなかったため、本比較例で総合評価は不適であった。
【比較例3】
【0097】
(窯業系サイディング)
本比較例における窯業系サイディングは実施例1と同様のものを使用した。
【0098】
(窯業系サイディングの熱処理工程)
支燃性ガスの代わりに窒素ガスとした以外は実施例1と同様の方法で熱処理を行った。
【0099】
(熱重量測定)
さらに、本比較例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量曲線を図15に示す。600℃時点での重量残存率は82.6%だった。
【0100】
(熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価)
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観について、実施例1に記載の方法で評価した結果、本比較例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の外観評価は2だった。
【0101】
熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)の熱重量測定および外観評価の結果から、本比較例の熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)には有機化合物が残存したものと考えられた。
【0102】
(水和自硬性評価)
本比較例で得られた熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)1重量部に対し、蒸留水を0.5重量部添加し、混練した後、実施例1に記載の方法で圧縮強さを測定した。その結果、硬化して3日後、7日後および28日後の圧縮強さはそれぞれ8.4N/mm、11.5N/mmおよび23.0N/mmであり、JIS R5210で規定された基準を満たさなかった。
【0103】
(総合評価)
以上の結果から、本比較例における熱処理工程のように窯業系サイディングに供給するガス種を不燃性ガスである窒素とした場合、有機化合物の除去が不十分だったため、本実施例で総合評価は不適であった。
【0104】
実施例1〜4および比較例1〜3で行った窯業系サイディングの熱処理工程の条件を表2に、また熱処理工程前の窯業系サイディングについて熱重量測定を行った場合の600℃時点における重量残存率、熱処理工程前の窯業系サイディングの有機炭素の重量割合、熱処理窯業系サイディング(有機化合物除去熱処理)について熱重量測定を行った場合の600℃時点における重量残存率、外観評価、硬化処理後の圧縮強度および総合評価を表3にまとめて示す。
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の適用により、廃材となった窯業系サイディングに含有される有機化合物を除去し、タール分や揮発性有機化合物も発生させることなく水和自硬性を再生できる方法を提供した。このため、建築物への施工、工場におけるプレカットで発生する窯業系サイディングの端材や粉末、さらには建築物の取り壊し等で発生する窯業系サイディング廃材を再利用させることが可能となる。
【符号の説明】
【0108】
1…窯業系サイディング、2…石英ガラス管、3…ゴム栓、4…φ1/4 SUS316配管、5…コンプレッサー、6…電気炉、7…ダクト、8…支燃性ガス充填ボンベ、9…圧力調整器、10…マスフローコントローラー、11…オゾン発生部、111…直流電源、112…負極、113…正極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15