特許第6985673号(P6985673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985673加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6985673
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20211213BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G05B19/4093 D
   B23Q15/00 301C
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2021-73344(P2021-73344)
(22)【出願日】2021年4月23日
【審査請求日】2021年8月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520426542
【氏名又は名称】株式会社空間精度研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤井 良純
(72)【発明者】
【氏名】木谷 晋也
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−207095(JP,A)
【文献】 特開2018−60501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/4093
B23Q 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する方法であって、
前記第1加工プログラムは、前記ワークの形状データと、前記ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、
前記第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、前記第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める第1工程と、
前記第1ツールパス情報と前記第2ツールパス情報の一致点について、前記第1加工プログラムの前記第1ツールパス情報を前記第2ツールパス情報で置き換えることで前記第3加工プログラムを生成する第2工程と、
を備える、加工プログラム生成方法。
【請求項2】
第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する方法であって、
前記第1加工プログラムは、前記ワークの形状データと、前記ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、
前記第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、前記第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める第1工程と、
前記第1ツールパス情報と前記第2ツールパス情報の相違点について、前記第2加工プログラムの前記第2ツールパス情報を前記第1ツールパス情報で置き換えることで前記第3加工プログラムを生成する第2工程と、
を備える、加工プログラム生成方法。
【請求項3】
前記工作機械の機械精度のうち空間誤差補正で対応できないものが異常値である場合に警告を発する第3工程をさらに備える、請求項1または2に記載の加工プログラム生成方法。
【請求項4】
第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する装置であって、
前記第1加工プログラムは、前記ワークの形状データと、前記ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、
前記第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、前記第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求めるツールパス比較部と、
前記第1ツールパス情報と前記第2ツールパス情報の一致点について、前記第1加工プログラムの前記第1ツールパス情報を前記第2ツールパス情報で置き換えることで前記第3加工プログラムを生成するプログラム生成部と、
を備える、加工プログラム生成装置。
【請求項5】
第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する装置であって、
前記第1加工プログラムは、前記ワークの形状データと、前記ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、
前記第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、前記第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求めるツールパス比較部と、
前記第1ツールパス情報と前記第2ツールパス情報の相違点について、前記第2加工プログラムの前記第2ツールパス情報を前記第1ツールパス情報で置き換えることで前記第3加工プログラムを生成するプログラム生成部と、
を備える、加工プログラム生成装置。
【請求項6】
前記工作機械の機械精度のうち空間誤差補正で対応できないものが異常値である場合に警告を発する警告部をさらに備える、請求項4または5に記載の加工プログラム生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械の主軸(あるいは、送り軸)の三次元的な位置誤差を補正する方法が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の方法では、座標系を各座標軸方向に一定間隔の格子状領域に分割し、格子状領域の格子点において予め測定された格子点補正ベクトルを記憶しておく。そして、記憶した格子点補正ベクトルと主軸の現在位置とに基づいて、主軸の三次元的な位置誤差を補正する。以下、工作機械の主軸の三次元的な位置誤差を空間誤差と称し、特許文献1の方法あるいはこれと似た方法による空間誤差の補正を空間誤差補正と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−152909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械は、加工プログラムに基づいてワークの加工を行う。加工プログラムは、主軸の移動経路に関する情報であるツールパス情報と、ツールパス情報とセットになった加工条件情報(例えば、送り速度の情報など)とを含む。中でも、既存の加工プログラムは、工作機械が設置されている場所の温度環境、工作機械の空間誤差や機械精度(例えば、主軸の振れ、二平面の直角度など)、および組立ての都合などに対応した傾向付けや、傾向付けを付与したツールパス情報に対して最適化された加工条件情報を含むことがある。
【0005】
ここで、傾向付けとは、ワークの形状データに基づいて生成される加工プログラム(すなわち、各種誤差がゼロの理想的な工作機械を想定した加工プログラム)を現実の工作機械にそのまま適用したときに生じる加工誤差を相殺するようにツールパス情報を補正するための情報である。そのような傾向付けやこれに対して最適化された加工条件情報は、熟練技術者のノウハウに依存するところが大きい情報でもあり、傾向付けを含む既存の加工プログラムを有効活用することが望まれる。
【0006】
ところで、空間誤差補正や機械精度に対応した補正(具体的には、部品の交換や構成要素の角度調節など。以下、機械精度補正と称する。)を、工作機械に新たに適用することがある。この場合、各種補正の適用前の工作機械によって、傾向付けを含む既存の加工プログラムに基づいて適切なワーク加工が行われていたなら、当該補正の適用により、加工誤差がかえって大きくなってしまうことがある。つまり、空間誤差補正や機械精度補正を工作機械に適用すると、傾向付けを含む既存の加工プログラムを活用できない事態が生じ得る。このような状況において、本開示は、工作機械に各種補正(空間誤差補正および/または機械精度補正)を適用する場合に、傾向付けを含む既存の加工プログラムを有効活用することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一局面は、加工プログラム生成方法に関する。当該加工プログラム生成方法は、第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する方法であって、前記第1加工プログラムは、前記ワークの形状データと、前記ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、前記第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、前記第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める第1工程と、前記第1ツールパス情報と前記第2ツールパス情報の一致点について、前記第1加工プログラムの前記第1ツールパス情報を前記第2ツールパス情報で置き換えることで前記第3加工プログラムを生成する第2工程と、を備える。
【0008】
本開示に係る別の一局面は、加工プログラム生成方法に関する。当該加工プログラム生成方法は、第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する方法であって、前記第1加工プログラムは、前記ワークの形状データと、前記ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、前記第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、前記第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める第1工程と、前記第1ツールパス情報と前記第2ツールパス情報の相違点について、前記第2加工プログラムの前記第2ツールパス情報を前記第1ツールパス情報で置き換えることで前記第3加工プログラムを生成する第2工程と、を備える。
【0009】
本開示に係る別の一局面は、加工プログラム生成装置に関する。当該加工プログラム生成装置は、第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する装置であって、前記第1加工プログラムは、前記ワークの形状データと、前記ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、前記第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、前記第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求めるツールパス比較部と、前記第1ツールパス情報と前記第2ツールパス情報の一致点について、前記第1加工プログラムの前記第1ツールパス情報を前記第2ツールパス情報で置き換えることで前記第3加工プログラムを生成するプログラム生成部と、を備える。
【0010】
本開示に係る別の一局面は、加工プログラム生成装置に関する。当該加工プログラム生成装置は、第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する装置であって、前記第1加工プログラムは、前記ワークの形状データと、前記ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、前記第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、前記第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求めるツールパス比較部と、前記第1ツールパス情報と前記第2ツールパス情報の相違点について、前記第2加工プログラムの前記第2ツールパス情報を前記第1ツールパス情報で置き換えることで前記第3加工プログラムを生成するプログラム生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、工作機械に各種補正を適用する場合に、傾向付けを含む既存の加工プログラムを有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の加工プログラム生成装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1の加工プログラム生成方法を示すフローチャートである。
図3】実施形態2の加工プログラム生成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示に係る加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置の実施形態について例を挙げて以下に説明する。しかしながら、本開示は以下に説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
【0014】
(加工プログラム生成方法)
本開示に係る加工プログラム生成方法は、第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する方法である。
【0015】
第1加工プログラムは、ワークの形状データと、ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成される。例えば、工作機械に空間誤差補正を適用する場合、第1加工プログラムは、ワークの形状データと、工作機械の空間誤差とに基づいて生成されてもよい。一方、例えば、工作機械に機械精度補正を適用する場合、第1加工プログラムは、ワークの形状データと、工作機械の機械精度とに基づいて生成されてもよい。第1加工プログラムのツールパス情報である第1ツールパス情報は、主軸の移動経路に関してはワークの加工に用いて差し支えないが、ノウハウ情報(例えば、主軸の送り速度に関する情報など)を含まない点で改善の余地がある。本開示に係る加工プログラム生成方法によると、その改善を実現することができる。
【0016】
ここで、工作機械としては、例えば、旋盤、マシニングセンタ、固定工具を用いた旋削機能と回転工具を用いたミーリング機能とを有する複合加工機、または金属付加加工が可能なAdditive Manufacturing(AM)機などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本開示に係る加工プログラム生成方法には、二通りのものが含まれる。以下、その一方を加工プログラム生成方法Aと称し、他方を加工プログラム生成方法Bと称することがある。加工プログラム生成方法Aと加工プログラム生成方法Bは、それぞれ第1工程および第2工程を備える。
【0018】
加工プログラム生成方法Aおよび加工プログラム生成方法Bの第1工程では、第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、第2加工プログラムのツールパス情報である第2ツールパス情報とを比較し、両者の一致点および相違点を求める。例えば、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報とにおいて、ワークの第1面に対応する主軸の移動経路が互いに一致する一方、第1面とは別のワークの第2面に対応する主軸の移動経路は互いに相違する場合を想定する。この場合、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報のうちワークの第1面に対応する部分は互いの一致点となり、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報のうちワークの第2面に対応する部分は互いの相違点となる。
【0019】
加工プログラム生成方法Aの第2工程では、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報の一致点について、第1加工プログラムの第1ツールパス情報を第2ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する。上述の場合を例にすると、ワークの第1面に対応する部分について、第1加工プログラムの第1ツールパス情報を第2ツールパス情報で置き換える一方、ワークの第2面に対応する部分については第1加工プログラムの第1ツールパス情報をそのまま利用する。これにより、主軸の移動経路については第1加工プログラムのそれと同じものを含む一方、第2加工プログラムが含むノウハウ情報の少なくとも一部を利用可能な第3加工プログラムが生成される。
【0020】
加工プログラム生成方法Bの第2工程では、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報の相違点について、第2加工プログラムの第2ツールパス情報を第1ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する。上述の場合を例にすると、ワークの第2面に対応する部分について、第2加工プログラムの第2ツールパス情報を第1ツールパス情報で置き換える一方、ワークの第1面に対応する部分については第2加工プログラムの第2ツールパス情報をそのまま利用する。これにより、主軸の移動経路については第1加工プログラムのそれと同じものを含む一方、第2加工プログラムが含むノウハウ情報の少なくとも一部を利用可能な第3加工プログラムが生成される。
【0021】
加工プログラム生成方法は、工作機械の機械精度のうち空間誤差補正で対応できないものが異常値(すなわち、所定の許容範囲を外れた値)である場合に警告を発する第3工程をさらに備えてもよい。これにより、工作機械をハード的に修正する必要がある場合に、その旨をオペレータに伝えることが可能となる。
【0022】
(加工プログラム生成装置)
本開示に係る加工プログラム生成装置は、第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する装置である。
【0023】
第1加工プログラムは、ワークの形状データと、ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成される。例えば、工作機械に空間誤差補正を適用する場合、第1加工プログラムは、ワークの形状データと、工作機械の空間誤差とに基づいて生成されてもよい。一方、例えば、工作機械に機械精度補正を適用する場合、第1加工プログラムは、ワークの形状データと、工作機械の機械精度とに基づいて生成されてもよい。第1加工プログラムのツールパス情報である第1ツールパス情報は、主軸の移動経路に関してはワークの加工に用いて差し支えないが、ノウハウ情報(例えば、主軸の送り速度に関する情報など)を含まない点で改善の余地がある。本開示に係る加工プログラム生成装置によると、その改善を実現することができる。
【0024】
本開示に係る加工プログラム生成装置には、二通りのものが含まれる。以下、その一方を加工プログラム生成装置Aと称し、他方を加工プログラム生成装置Bと称することがある。加工プログラム生成装置Aと加工プログラム生成装置Bは、それぞれツールパス比較部およびプログラム生成部を備える。
【0025】
加工プログラム生成方法Aおよび加工プログラム生成方法Bのツールパス比較部は、第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、第2加工プログラムのツールパス情報である第2ツールパス情報とを比較し、両者の一致点および相違点を求める。例えば、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報とにおいて、ワークの第1面に対応する主軸の移動経路が互いに一致する一方、第1面とは別のワークの第2面に対応する主軸の移動経路は互いに相違する場合を想定する。この場合、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報のうちワークの第1面に対応する部分は互いの一致点となり、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報のうちワークの第2面に対応する部分は互いの相違点となる。
【0026】
加工プログラム生成装置Aのプログラム生成部は、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報の一致点について、第1加工プログラムの第1ツールパス情報を第2ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する。上述の場合を例にすると、ワークの第1面に対応する部分について、第1加工プログラムの第1ツールパス情報を第2ツールパス情報で置き換える一方、ワークの第2面に対応する部分については第1加工プログラムの第1ツールパス情報をそのまま利用する。これにより、主軸の移動経路については第1加工プログラムのそれと同じものを含む一方、第2加工プログラムが含むノウハウ情報の少なくとも一部を利用可能な第3加工プログラムが生成される。
【0027】
加工プログラム生成装置Bのプログラム生成部は、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報の相違点について、第2加工プログラムの第2ツールパス情報を第1ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する。上述の場合を例にすると、ワークの第2面に対応する部分について、第2加工プログラムの第2ツールパス情報を第1ツールパス情報で置き換える一方、ワークの第1面に対応する部分については第2加工プログラムの第2ツールパス情報をそのまま利用する。これにより、主軸の移動経路については第1加工プログラムのそれと同じものを含む一方、第2加工プログラムが含むノウハウ情報の少なくとも一部を利用可能な第3加工プログラムが生成される。
【0028】
加工プログラム生成装置は、工作機械の機械精度のうち空間誤差補正で対応できないものが異常値(すなわち、所定の許容範囲を外れた値)である場合に警告を発する警告部をさらに備えてもよい。これにより、工作機械をハード的に修正する必要がある場合に、その旨をオペレータに伝えることが可能となる。
【0029】
以上のように、本開示によれば、工作機械に各種補正を適用する場合に、傾向付けを含む既存の加工プログラムを有効活用することができる。
【0030】
以下では、本開示に係る加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置の一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する一例の加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置の工程および構成要素には、上述した工程および構成要素を適用できる。以下で説明する一例の加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置の工程および構成要素は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。以下で説明する一例の加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置の工程および構成要素のうち、本開示に係る加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置に必須ではない工程および構成要素は省略してもよい。なお、以下で示す図は模式的なものであり、実際の部材の形状や数を正確に反映するものではない。
【0031】
《実施形態1》
本開示の実施形態1について説明する。図1に示すように、本実施形態の加工プログラム生成装置10は、入力装置20と、制御装置30とを備える。
【0032】
入力装置20は、例えば、工作機械が備える操作盤(図示せず)によって構成される。入力装置20は、測定結果入力部21と、結果表示部22と、演算部23とを有する。
【0033】
測定結果入力部21は、オペレータによる、ワークの加工に用いる工作機械(図示せず)の機械精度の測定結果の入力を受ける。測定結果入力部21は、オペレータによる、工作機械の空間誤差に関するデータの入力をさらに受ける。入力された測定結果および空間誤差のデータは、結果表示部22および演算部23にそれぞれ送られる。測定結果入力部21は、例えば、タッチパネルによって構成されてもよい。
【0034】
工作機械の機械精度のデータとしては、例えば、XY平面の直角度、YZ平面の直角度、ZX平面の直角度、主軸の振れ、テーブルとX軸方向の平行度、テーブルとZ軸方向の平行度、およびY軸方向の真直度などが挙げられる。
【0035】
結果表示部22は、測定結果入力部21に入力された測定結果および空間誤差のデータを、視認可能な態様で表示する。結果表示部22は、測定結果のデータのうち空間誤差補正で対応できないもの(上記データの中では、テーブルとX軸方向の平行度、およびテーブルとZ軸方向の平行度)が異常値である場合、オペレータに対して警告を発する。結果表示部22は、例えば、タッチパネルによって構成されてもよい。結果表示部22は、警告部の一例である。
【0036】
演算部23は、測定結果入力部21に入力された測定結果および空間誤差のデータを制御装置30に送る。演算部23は、工作機械の機械精度のうち計算で得られるものを算出してもよい。例えば、演算部23は、YZ平面の直角度、およびテーブルとZ軸方向の平行度に基づいて、Y軸方向の真直度を算出してもよい。
【0037】
制御装置30は、CPUおよびCPUによって実行可能なプログラムを格納する記憶装置を備える。制御装置30は、プログラム記憶部31と、工具データ記憶部32と、プログラム解析編集部33と、解析結果記憶部34と、駆動制御部35とを有する。
【0038】
プログラム記憶部31は、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムを記憶する。第2加工プログラムは、工作機械の主軸の移動経路に関する情報である第2ツールパス情報と、第2ツールパス情報とセットになった第2加工条件情報とを含む。第2ツールパス情報および第2加工条件情報は、それぞれ過去の加工実績に基づくノウハウが蓄積された情報でもある。第2加工プログラムの情報は、プログラム解析編集部33に送られる。
【0039】
工具データ記憶部32は、工作機械の主軸に取り付ける工具(図示せず)に関するデータを記憶する。例えば、工具データ記憶部32は、工具の種類やサイズ(例えば、直径)のデータを記憶してもよい。工具に関するデータは、プログラム解析編集部33に送られる。
【0040】
プログラム解析編集部33は、入力装置20の演算部23から送られる機械精度の測定結果および空間誤差のデータと、ワークの形状データに基づいてCAM(computer aided manufacturing)が生成する加工プログラム(以下、CAMプログラム)とに基づいて、第1ツールパス情報を含む第1加工プログラムを生成する。例えば、プログラム解析編集部33は、CAMプログラムのツールパス情報に機械精度および空間誤差に対応する修正を加えることで第1ツールパス情報を生成してもよい。第1ツールパス情報は、工作機械の主軸の移動経路に関しては、ワークの加工に用いて差し支えないものである。一方、第1加工プログラムは、加工条件情報に関するノウハウを含まない。ただし、第1加工プログラムは、加工条件情報に関するノウハウを含んでいてもよい。
【0041】
プログラム解析編集部33は、第1加工プログラムと、プログラム記憶部31から送られる第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する。具体的に、プログラム解析編集部33は、第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める。そして、プログラム解析編集部33は、両者の一致点について、第1加工プログラムの第1ツールパス情報を第2ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する。プログラム解析編集部33は、工具データ記憶部32から送られる工具データを加味して第3加工プログラムを生成してもよい。第3加工プログラムの情報は、解析結果記憶部34に送られる。プログラム解析編集部33は、ツールパス比較部およびプログラム生成部の一例である。
【0042】
解析結果記憶部34は、プログラム解析編集部33から送られる第3加工プログラムの情報を記憶する。第3加工プログラムの情報は、駆動制御部35に送られる。
【0043】
駆動制御部35は、解析結果記憶部34から送られる第3加工プログラムに基づいて、ワークの加工に用いる工作機械が備える駆動部40を制御する。第3加工プログラムに基づいて制御される駆動部40により工作機械の主軸(図示せず)が駆動され、ワークが加工される。
【0044】
−加工プログラム生成方法−
上述の加工プログラム生成装置10によって実行され得る加工プログラム生成方法について説明する。なお、加工プログラム生成方法は、他の構成を有する装置またはシステムによって実行されてもよい。
【0045】
図2に示すように、加工プログラム生成方法は、第1工程(S11)と、第2工程(S12)とを備える。
【0046】
第1工程では、プログラム解析編集部33が、第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める。例えば、第1ツールパス情報および第2ツールパス情報の各々に、ワークの第1面に対応する主軸の移動経路のデータ(以下、第1経路データ)と、ワークの第2面に対応する主軸の移動経路のデータ(以下、第2経路データ)と、ワークの第3面に対応する主軸の移動経路のデータ(以下、第3経路データ)とが含まれるとする。この場合において、プログラム解析編集部33は、第1ツールパス情報の第1経路データと第2ツールパス情報の第1経路データとが互いに一致するか相違するかを判定する。第2経路データおよび第3経路データについても同様である。
【0047】
第2工程では、プログラム解析編集部33が、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報の一致点について、第1加工プログラムの第1ツールパス情報を第2ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する。ここでは、一例として、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報において、第1経路データおよび第2経路データが互いに一致する一方、第3経路データは互いに相違するものとする。この場合、プログラム解析編集部33は、第1ツールパス情報の第1経路データおよび第2経路データを、第2ツールパス情報の第1経路データおよび第2経路データで置き換える一方、第1ツールパス情報の第3経路データはそのまま利用する。その結果、第3加工プログラムの第3ツールパス情報は、第2ツールパス情報の第1経路データと、第2ツールパス情報の第2経路データと、第1ツールパス情報の第3経路データとを含むことになる。このうち前二者については、上述のとおり過去に蓄積されたノウハウを含む加工条件情報(第2加工条件情報)がセットになっており、当該ノウハウを有効活用することが可能となる。
【0048】
加工プログラム生成方法は、第3工程をさらに備えてもよい。
【0049】
第3工程では、結果表示部22が、工作機械の機械精度のうち空間誤差補正で対応できないものが異常値である場合に警告を発する。例えば、結果表示部22は、警告画面を表示してもよいし、警告音を発してもよいし、もしくは警告用の光を発してもよいし、またはこれらを適宜組み合わせてもよい。
【0050】
《実施形態2》
本開示の実施形態2について説明する。本実施形態は、プログラム解析編集部33の動作が上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0051】
本実施形態のプログラム解析編集部33は、第1加工プログラムと、プログラム記憶部31から送られる第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する。具体的に、プログラム解析編集部33は、第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める。そして、プログラム解析編集部33は、両者の相違点について、第2加工プログラムの第2ツールパス情報を第1ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する。プログラム解析編集部33は、工具データ記憶部32から送られる工具データを加味して第3加工プログラムを生成してもよい。プログラム解析編集部33は、ツールパス比較部およびプログラム生成部の一例である。
【0052】
−加工プログラム生成方法−
図3に示すように、加工プログラム生成方法は、第1工程(S21)と、第2工程(S22)とを備える。
【0053】
第1工程では、プログラム解析編集部33が、第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める。例えば、第1ツールパス情報および第2ツールパス情報の各々に、ワークの第1面に対応する主軸の移動経路のデータ(以下、第1経路データ)と、ワークの第2面に対応する主軸の移動経路のデータ(以下、第2経路データ)と、ワークの第3面に対応する主軸の移動経路のデータ(以下、第3経路データ)とが含まれるとする。この場合において、プログラム解析編集部33は、第1ツールパス情報の第1経路データと第2ツールパス情報の第1経路データとが互いに一致するか相違するかを判定する。第2経路データおよび第3経路データについても同様である。
【0054】
第2工程では、プログラム解析編集部33が、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報の相違点について、第2加工プログラムの第2ツールパス情報を第1ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する。ここでは、一例として、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報において、第1経路データおよび第2経路データが互いに一致する一方、第3経路データは互いに相違するものとする。この場合、プログラム解析編集部33は、第2ツールパス情報の第3経路データを、第1ツールパス情報の第3経路データで置き換える一方、第2ツールパス情報の第1経路データおよび第2経路データはそのまま利用する。その結果、第3加工プログラムの第3ツールパス情報は、第2ツールパス情報の第1経路データと、第2ツールパス情報の第2経路データと、第1ツールパス情報の第3経路データとを含むことになる。このうち前二者については、上述のとおり過去に蓄積されたノウハウを含む加工条件情報(第2加工条件情報)がセットになっており、当該ノウハウを有効活用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、加工プログラム生成方法および加工プログラム生成装置に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
10:加工プログラム生成装置
20:入力装置
21:測定結果入力部
22:結果表示部(警告部)
23:演算部
30:制御装置
31:プログラム記憶部
32:工具データ記憶部
33:プログラム解析編集部(ツールパス比較部、プログラム生成部)
34:解析結果記憶部
35:駆動制御部
40:駆動部
【要約】
【課題】工作機械に各種補正を適用する場合に、傾向付けを含む既存の加工プログラムを有効活用する。
【解決手段】開示される加工プログラム生成方法は、第1加工プログラムと、傾向付けを含む既存の第2加工プログラムとに基づいて、ワークの加工に用いる第3加工プログラムを生成する方法であって、第1加工プログラムは、ワークの形状データと、ワークの加工に用いる工作機械の機械精度および/または空間誤差とに基づいて生成され、第1加工プログラムの第1ツールパス情報と、第2加工プログラムの第2ツールパス情報とを比較して両者の一致点および相違点を求める第1工程と、第1ツールパス情報と第2ツールパス情報の一致点について、第1加工プログラムの第1ツールパス情報を第2ツールパス情報で置き換えることで第3加工プログラムを生成する第2工程と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3