(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985677
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ジューサー
(51)【国際特許分類】
A47J 19/00 20060101AFI20211213BHJP
A23N 1/00 20060101ALI20211213BHJP
A47J 27/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
A47J19/00 A
A23N1/00 A
A47J27/04
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-171894(P2017-171894)
(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公開番号】特開2019-42419(P2019-42419A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】507152202
【氏名又は名称】吉村 清己
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 清己
【審査官】
石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102613873(CN,A)
【文献】
特開2005−265341(JP,A)
【文献】
米国特許第09642486(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 19/00
A23N 1/00−1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾汁室と、
前記搾汁室に過熱蒸気を供給する過熱蒸気発生器を備え、
前記搾汁室は網状の分離部と、食材を押し付ける螺旋スクリューと、前記分離部にて分離された汁の排出部とカスの排出部とを有し、
前記汁の排出部は前記汁を貯めるための容器に連結され、前記過熱蒸気発生器にて得られた過熱蒸気は前記汁の排出部から前記搾汁室に供給されるものであることを特徴とする生ジュースを作るためのジューサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等から青汁,果物等から生ジュース,豆乳等を作るのに適したジューサーに関する。
【背景技術】
【0002】
ジューサーには、高速に破砕して遠心分離によりジュース等を作るタイプと、例えば特許文献1に開示する螺旋スクリューにて食材を押し込み、網にてカスを分離しながら汁を排出するタイプとがある。
従来は、上記のいずれのタイプのジューサーにおいても、食材を破砕したり、搾汁するための搾汁室は、空気中の酸素にて酸化される状態で行われるため、得られた生ジュース,青汁,豆乳等がすぐに変色したり、味,風味が低下し、鮮度を保つのが難しい問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、生ジュース,青汁等の鮮度が高く、保存性に優れたジューサーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るジューサーは、搾汁室と、前記搾汁室に過熱蒸気を供給する過熱蒸気発生器を備えたことを特徴とする。
本発明は、搾汁室に過熱蒸気を供給することで、この搾汁室を還元状態にし、食材から生ジュース等が搾汁される際に、空気中の酸素による酸化を抑えた点に特徴がある。
従って、ジューサーの搾汁構造に制限はない。
例えば、搾汁室は網状の分離部と、食材を押し付ける螺旋スクリューと、前記分離部にて分離された汁の排出部とカスの排出部とを有する構造が例として挙げられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るジューサーは、搾汁室に過熱蒸気を供給する過熱蒸気発生器を備えているので、食材からジュース等が搾汁される工程が還元雰囲気で行われる。
これにより、ジュース等の酸化を抑えることができ、変色もなく、栄養価の高い状態が維持される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るジューサーは、搾汁室を還元状態にするのが目的であり、過熱蒸気発生器がジューサーと一体的であっても附属品として取り付け可能であってもよい。
以下、図に基づいて説明する。
図1,2は、食材を押し込み搾汁するタイプのジューサー例になっている。
ジューサー10は、モーター及び制御部等が内蔵されている駆動部11と、その上に搾汁室11を有する。
図2に示すように搾汁室11は、上部に食材の投入口13を有し、内部にメッシュ状の網からなる分離部18と、食材を圧縮する螺旋スクリュー16を有する。
食材は螺旋スクリューの回転により、そのつば部16aにて搾汁され、汁は分離部を介してその外側から汁排出部14を経由して容器(グラス)19に貯められる。
一方、搾汁されたカスは、カス排出部15から外に排出される。
【0009】
この搾汁室11には、過熱蒸気発生器17にて発生させた過熱蒸気が供給されていて、還元状態になっている。
ここで過熱蒸気とは、100℃を超えるように過熱された乾燥した蒸気をいう。
このような上記が搾汁室内に充満することで、相対的に酸素濃度が低下し、還元雰囲気となる。
【0010】
過熱蒸気発生器17の構造に制限はない。
図3に示した例は、略L字型の内部構造になっている。
底部の貯水部17aに原水Wを貯水し、この水を沸騰させるヒーター17cが取り付けられている。
発生した蒸気は、立上部17b内に設けた過熱ヒーター17dにより、100℃以上に過熱され、乾燥した蒸気になっている。
このような乾燥した蒸気を、供給口17eと汁排出部14と連結することで、この汁排出部を介して搾汁室11に投入する例になっているが、搾汁室に投入できれば、どのような連結方法でもよい。
【0011】
本発明に係るジューサーを用いて、りんご,もも等の食材から生ジュースを作ったところ、まろやかな風味を有し、保存性に優れ、約3日間変色がなく、味の低下がなかった。
従来のジューサーでは、1時間もすれば変色が始まっていたので、本発明に係るジューサーはそれに比較して、長期間鮮度を保つことができた。
【符号の説明】
【0012】
10 ジューサー
11 搾汁室
12 駆動部
13 投入口
14 汁排出部
15 カス排出部
16 螺旋スクリュー
17 過熱蒸気発生器
18 分離部