【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0032】
(実施例1)
分子線堆積法により、石英ガラス基板上に、基板温度T
dを50℃〜200℃の範囲で設定した状態で、ゲルマニウム(Ge)粒子を堆積させ、厚さ100nmのGe薄膜を形成(蒸着)した(第一工程)。成膜レートを1nm/minとし、成膜時間を100分間とした。
【0033】
その後、第一工程を経た試料を、窒素雰囲気とした電気炉内に導入し、第一工程で形成したGe薄膜に対し、375℃で140時間、400℃で60時間、450℃で5時間の熱処理を行い、固相成長を促した(第二工程)。
【0034】
第一工程で形成したGe薄膜に対し、X線反射率測定(XRR)を行った結果を
図3(a)のグラフに示す。グラフの横軸は試料の傾斜角(2θ)[deg]を示し、縦軸は反射光の強度[a.u.]を示している。
【0035】
この測定結果に基づいて、第一工程で設定した基板温度T
dに対応する、Ge薄膜の粒子密度を算出した。算出結果を
図3(b)のグラフに示す。グラフの横軸は基板温度T
d[℃]を示し、縦軸は粒子密度[g/cm
3]を示している。Geが結晶化した場合の粒子密度は約5.34[g/cm
3]と推定され、これを一点鎖線で示している。
【0036】
粒子密度に着目すると、Ge薄膜の構成粒子は、基板温度T
dを低く設定して形成した場合には、低密度の非晶質の構造をとるが、設定温度を上げるにつれて緻密化し、100℃以上とした場合には、粒子密度が結晶に漸近することが分かる。
【0037】
第二工程を経て得られた半導体装置に対し、ラマン分光測定を行ったところ、第一工程においてT
d>175℃とした場合においては、堆積時の核発生が確認された。
【0038】
また、Ge薄膜の形成時に設定する基板温度T
dを高くするほど、第二工程での核の成長速度は上昇する傾向にあり、例えば、T
dを100℃以上とした場合には、375℃、140時間程度の熱処理で結晶化することが確認された。この温度(375℃)は、プラスティック上での薄膜合成も可能とする温度である。
【0039】
第二工程を経て得られた多結晶Ge膜の構成粒子の粒径について、電子線後方散乱回折(EBSD)法を用いて評価した。
【0040】
図4(a)〜(c)は、基板温度T
dを50℃、100℃、200℃とした場合のEBSD画像である。これらのEBSD画像から、多結晶Ge膜の結晶方位は、T
dを50℃、200℃とした場合にはランダムであるのに対し、T
dを100℃とした場合には特定の方向に優先配向していることが分かる。また、T
dを100℃とした場合には1μm以上の結晶粒が得られていることが分る。
【0041】
図5は、多結晶Ge膜の構成粒子の粒径と、第一工程で設定した基板温度T
dとの関係を示すグラフである。グラフの横軸は基板温度T
d[℃]を示し、縦軸は粒径[μm]を示している。ここには、第二工程の熱処理温度T
gを375℃、400℃、450℃とした場合の粒径を、それぞれ四角プロット、三角プロット、円プロットで示している。
【0042】
Ge薄膜の粒径は、基板温度T
dに強く依存しており、基板温度T
dが125℃のときに最大値(約5μm)となっている。この結果は、下記〔1〕、〔2〕の事項を示唆している。
〔1〕基板温度T
dが100〜150℃の範囲において、非晶質Geは、その密度を結晶レベルに近づけることにより、核成長が促進され、大粒径化する。
〔2〕基板温度T
dが150℃より大きい範囲において、堆積時に発生した初期核は高密度であり、固相成長時に小粒径化を促す。
【0043】
第二工程を経て得られた多結晶Ge膜の電気的特性について、van der Pauw法を用いて評価した。
【0044】
図6は、第一工程で設定した基板温度T
dと、多結晶Ge膜の正孔移動度、および正孔密度との関係を示すグラフである。グラフの横軸は基板温度T
d[℃]を示し、縦軸は正孔移動度(左側)、正孔密度(右側)を示している。基板温度T
dを125℃とした場合に、結晶粒径を反映し、多結晶Ge膜として最低レベルの正孔密度(3×10
17cm
−3)および最高の正孔移動度(340cm
2/V・s)が得られている。
【0045】
(実施例2)
分子線堆積法により、石英ガラス基板上に、基板温度T
dを150℃で設定した状態で、ゲルマニウム(Ge)粒子を堆積させ、厚さ300nmのGe薄膜を形成(蒸着)した(第一工程)。成膜レートを1nm/minとし、成膜時間を300分間とした。
【0046】
その後、第一工程を経た試料を、窒素雰囲気とした電気炉内に導入し、第一工程で形成したGe薄膜に対し、450℃で5時間の熱処理を行い、固相成長を促した(第二工程)。
【0047】
第二工程を経て得られた多結晶Ge膜の電気的特性について、実施例1と同様に評価したところ、実施例1よりもさらに高い正孔移動度380cm
2/V・sが得られた。