(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の音波を利用した移動検知システムは上記のように構成されていた。
【0006】
しかしながら、このようなシステムにおいては、特別な電子チップが必要で、システムの普及が困難になる、という問題があった。
【0007】
この発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、汎用の携帯端末を利用して、音波を用いた移動検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る移動検知システムは、音波を出力する音波出力装置と汎用の携帯端末とを含む、音波を利用した携帯端末の移動検知システムである。音波出力装置は音波を出力し、汎用の携帯端末は音波出力装置の出力した音波を受信する受信部と、受信部が受信した音波を解析する制御部と、制御部の解析結果に基づいて、所定のデータを外部に通信する通信部とを含む。
【0009】
好ましくは、通信部の通信したデータを受信する管理装置をさらに含む。
【0010】
さらに好ましくは、音波出力装置は、それぞれが異なる複数の特性を有する音波を出力する。
【0011】
音波出力装置が出力するそれぞれが異なる複数の特性を有する音波は、それぞれが異なる複数の命令に対応する。
【0012】
携帯端末は表示部を有し、命令は、表示部に表示されてもよい。
【0013】
所定のデータは、音波のID、携帯端末のID、機器情報、または、通信部の受信時刻を含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
汎用の携帯端末で外部の音波を受信して解析し、その結果に基づいて、携帯端末が所定のデータを外部に出力する。
【0015】
汎用端末で音波を検出して人の移動管理ができるため、汎用の携帯端末を利用した音波を用いた移動検知システムが提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る音波を用いた移動検知システムの基本構成を示すブロック図である。
【0018】
図1を参照して、音波を用いた移動検知システム10は、個人が保持するスマートフォンのような汎用携帯端末20と携帯端末20に対して音波を出力する音波出力装置30と、携帯端末20と交信可能な外部に設けられた管理装置として作動するサーバ40とを含む。
【0019】
個人が有する携帯端末20は通話機能を有しているので、音波を受信する受信部のような受信機能や、インターネットを介して上位のサーバ40と通信する通信機能を有している。
【0020】
図2は携帯端末20(
図2(A))、および、音波出力装置30(
図2(B))の構成を示すブロック図である。
図2(A)を参照して、携帯端末20は携帯端末20全体を制御する制御部としてのCPU21と、CPU21によって制御される、外部の機器と通信する通信部22と、音波出力装置30からの音波を受信する、マイクロフォンのような音波受信部23と、端末利用者の操作を受け付ける入力部24と、端末利用者へ情報を表示する表示部25と、時刻を検出する計時部26と、各種データを記憶するメモリ27である格納部とを含む。
【0021】
音波受信部23はマイクロフォン等を有する。通信部22は無線ネットワーク接続機能によるインターネット回線接続機能を有し、外部のサーバ40に後に説明するデータを送信する。
【0022】
図2(B)を参照して、音波出力装置30は、音波出力装置30全体を制御するCPU31と、外部に出力する音波信号を出力するスピーカのような音波出力部32と、メモリ33とを含む。音波出力装置30は、後述する音波の伝達領域を複数の地点で発生させるために、複数の音波出力部32を有する場合がある。
【0023】
図1および2を参照して、所定の場所に設置された音波出力装置30は、IDデータに対応する特定周波数(絶対周波数)を組み合わせた音波信号として音波を出力する。
【0024】
携帯端末20は、上記音波信号の到達範囲内に移動すると音波受信部23で音波信号を受信し、CPU21で音波を検出し、IDデータ等を取得する。
【0025】
携帯端末20は、音波受信部23を介して取得した音波のIDや、携帯端末のID、機器情報、または、計時部で検出された受信時刻を含む情報を、通信部22を介してインターネット回線などのようなネットワークを経由し、上位システムのサーバ40へ伝達する。また、CPU21は、受信したIDデータの内容に応じて固有の処理を実行する。
【0026】
なお、携帯端末20は、ここに示すシステム専用ソフトウェアをインストールしたスマートフォンなどの機器であってもよい。
【0027】
また、位置の検出を行うGPS機能を有するのが好ましい。
【0028】
次に、携帯端末20および音波出力装置30の具体的な動作を説明する。
図3は、この動作を説明するためのブロック図である。
【0029】
図2および
図3を参照して、音波出力装置30のメモリ33は、予め定められたIDを有する複数の音波出力データを有し、それぞれの音波出力データの周波数の組み合わせは定められている。各IDの周波数の組み合わせ例を
図3(A)に示す。
【0030】
この例では、複数の周波数を有する信号の組み合わせでIDを決定する。
図3(A)を参照して、ここでは、周波数12kHzと14kHzとを有する信号をID001と定め、周波数12kHzと16kHzとを有する信号をID010と定める。
【0031】
このように定められた出力信号のレベル対周波数を
図3(B)に示す。
図3(B)に示された出力信号の波形の例を
図3(C)に示す。この出力信号が音波出力部32から出力される。
【0032】
なお、予め定められた時間単位で出力する周波数の組み合わせを変化させ、その変化の組み合わせによってIDを決定してもよい。
【0033】
次に、携帯端末20について説明する。携帯端末20は、音波受信部23のマイクロフォンを介してスピーカのような音波出力部32から出力された音波データを受信する。受信データの一例を
図3(D)に示す。CPU21はその音波の周波数を解析して、そのIDを特定する。
【0034】
なお、必要に応じて、計時部26で検出した受信時刻とともに音波IDをメモリ27に格納する。
【0035】
次に、音波出力装置30からの音波データの出力方法について
図4を参照して説明する。音波の出力は連続した出力と、断続的な出力との用途に応じた組合わせを作ることができる。
【0036】
図4(A)は2つの音波1と音波2とを相互に重ならないように出力した場合の図である。
図4(B)は音波2のみを断続的に出力した場合の図である。
図4(C)は音波1のみを連続出力した場合の図である。
【0037】
CPU21は、音波受信部23から、1つの音波を連続して検出している時は、一定時間の検出でデータとして扱う。
図4(A)〜(C)に示したように、検出している音波が断続の場合と連続の場合のそれぞれで、異なる処理を行ってもよい。
【0038】
連続出力と断続出力とのそれぞれの利点と欠点は次のとおりである。
【0039】
図4(C)に示した連続出力の利点は、音波の検出時間を長くできる為、ノイズを排除しやすいという点である。一方、欠点は、2つの音波が重なった場所でIDデータの誤認識の確率が高くなる、という点である。
【0040】
図4(A)や(B)に示したような断続出力の利点は、異なるIDデータの音波同士の干渉が無い為、認識率が高い、という点であり、2つの音響コマンドの重なりを認識できる。
【0041】
一方、欠点は、連続出力に比べると検出時間が短くノイズに弱い為、検出失敗が起こりやすい。
【0042】
また、2つの音波を交互検出するため、通過判定に最初にどちらを検出し、最後にどちらを検出したかのような判定が必要である。
【0043】
次に、
図5〜6を参照して、このシステムを利用したマラソンなどのレースでのタイム計測を行う場合について説明する。
【0044】
図5はマラソンなどのレースのコース55とその経路に沿って配置されたスタート地点51、中継地点52、およびゴール地点53と、それぞれの地点に配置された音波出力部51a,51b,51c,51d,52a,52b,53a,53b、およびその音波の伝達領域56a〜56c、57a〜57b、58a〜58bを示す図である。
【0045】
スタート地点51の中央には、音波出力部51a,51bが配置され、それによってかなり広い音波の伝達領域56aが得られる。実際に競技者がスタート地点を出るのはその音波が途切れて、異なる音波出力部51c,51dからの音波に変わる領域である。スタート地点のスタートを検出するための、異なる音波出力部51c,51dはそれぞれ、相互に重なる領域と重ならない領域を有する伝達領域56bと56cとを有する。
【0046】
なお、スタート地点51と、実際に競技者がスタート地点を出る地点とを明確に区別するために、例えば、スタート地点51は連続出力を使用し、実際のスタート地点は断続出力とするように、相互に変えるのが好ましい。この実施の形態では、相互に重なる領域と重ならない領域とを有する異なる音波出力部は、断続出力を使用するが、これに限らず、連続出力を使用してもよいし、断続出力と連続出力とを組み合わせてもよい。
【0047】
また、中継地点52にはそれぞれが伝達領域57aと57bとを有する、異なる音波出力部52a,52bが設けられる。異なる音波出力部52a,52bの伝達領域57aと57bはそれぞれ、相互に重なる領域と重ならない領域を有する。
【0048】
さらに、ゴール地点53にはそれぞれが伝達領域58aと58bとを有する、異なる音波出力部53a,53bが設けられる。ここでも、異なる音波出力部53a,53bの伝達領域58aと58bはそれぞれ、相互に重なる領域と重ならない領域を有する。
【0049】
この実施の形態においては、各地点に、それぞれが異なる音波を出力する1対の音波出力部を有し、それぞれの音波の強さの変化から、スタート地点、中間地点、ゴール地点等の境界の通過を判断し、通過時刻として決定している。
【0050】
具体的には、中継およびゴール地点においては、地点の前後に音波出力部を設置し、それぞれ異なるIDデータの音波信号を出力する。走者の移動により、携帯端末20で受信する音波IDが変化する。IDデータの変化や、それぞれの音波の強さの変化から、通過のタイミング等を判定する。
【0051】
なお、具体的には、それぞれの音波出力部の強度が固定されており、携帯端末20の音波受信部23が受信する音波を有効とするレベルが予め定められており、このレベルを超えたときに、その音波領域に入ったと認識してもよいし、相互に重なる音波の強度が反転した時をその音波領域に移動したと認識してもよい。
【0052】
特定の周波数で信号の有無により、0/1のデジタル信号として判定するには、一般的にはその周波数において信号と不要波の妨害波とのレベル比(D/U比)で6dB以上が必要である。
【0053】
不要波として、携帯端末20の電気回路自体の持つ熱雑音、周囲環境、衣類のすれる音、会話、呼吸音などの生体起因の雑音(外乱騒音)がある。また、信号源として出力する異なる音波出力部を並列して2つ設置している場合には、互いの音波出力部からの音波も信号の判定に干渉する不要波となる。
【0054】
一般的に球状に放射する音源からの音波の強さは音源からの距離の2乗に反比例することが知られており、同じ音波の強さの2つの音源を、距離を空けて設置する為、音波を受信する携帯端末の位置によってそれぞれの音源からの音波の減衰量に差が出る。減衰量の差が6dB以上になる領域が、携帯端末が音源からの音波を信号として認識できる通信可能な領域である。
【0055】
また、携帯端末の感度がメーカーごと、機種ごとに変わる場合では、信号を検出する最低レベルの音波強度に閾値を定めることで、複数信号源を使用しない単独信号の信号検出範囲を一定の範囲に規定できる。
【0056】
図6はスマートフォン20を有する参加者が、この仕組みを利用して、境界の通過を認識する場合の具体的な構成を示す図である。
【0057】
ここでは、境界にそれぞれが異なるIDを有する2つの音波出力部59a,59bが設けられ、それぞれから、伝達領域60a,60bで音波ID(例えば100と101)が出力される。この例では、スマートフォン20が20aの位置から20bを経て20cの位置へ移動したときに、IDデータの変化や、それぞれの音波の強さの変化から、この境界の通過と判断する。
【0058】
なお、スタート地点51では、スタート待機者に対して、スタート前、スタート直前、スタート後を表すIDデータの音波信号を出力する。
【0059】
スタート前IDデータ(音波出力部51c)からスタート後IDデータ(音波出力部51d)の切り替わりのタイミングを判断し、スタートライン通過時刻とする。
【0060】
中継およびゴール地点52,53においては、地点の前後に音波出力部57a,57bおよび58a,58bを設置し、それぞれ異なるIDデータの音波信号を出力する。走者の移動により、機器で受信するIDデータが変化する。IDデータの変化や、それぞれの音波の強さの変化から、通過のタイミングを判定する。
【0061】
なお、携帯端末20の表示部25に所有者に対する、音波IDに応じたメッセージを表示してもよいし、携帯端末20のメモリ27にデータを蓄積してもよい。
【0062】
次に、このシステムを入退出管理システムに用いた場合について説明する。
図7はこの場合の構成を示すブロック図である。
【0063】
図7を参照して、通路70に沿って部屋62等が並んでおり、各部屋にはドア61が設けられ、そのドアを挟んで内側に音波出力部63が設けられ、外側に音波出力部73が設けられる。なお、これらの音波出力部は、床または天井に埋め込まれてもよいし、部屋の壁に設けられてもよい。内側の音波出力部63および外側の音波出力部73からは、
図6で説明した音波出力部59a,59bのように、異なるIDを有する音波が出力されている。
【0064】
例えば、携帯端末を有する利用者が、携帯端末の電源をオンした状態でドア61を開けて部屋62に入る場合、携帯端末20は、まず音波ID201を検出し、その後、音波ID200を検出する。そして、これらの受信データを図示の無い、外部のサーバに送信する。
【0065】
外部のサーバは、これらの音波出力部からの音波の強さの変化やIDデータの変化から、出入口の通過時刻および利用者が入室したか退出したかを判定する。あるいは、出口と入口の音波IDが検出されるときは、通過と判定しないで、どちらか一方になって通過と判定する。
【0066】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示する実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。