特許第6985716号(P6985716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985716
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ダミーブック
(51)【国際特許分類】
   B42D 3/18 20060101AFI20211213BHJP
   G09F 5/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B42D3/18 Z
   G09F5/04 A
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-106144(P2017-106144)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-199310(P2018-199310A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】517189630
【氏名又は名称】株式会社YAGOKORO
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉川 高広
(72)【発明者】
【氏名】岡田 一弥
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−074488(JP,U)
【文献】 特開2005−131889(JP,A)
【文献】 実開昭60−110209(JP,U)
【文献】 モノトーンで知的なディスプレイに。洋書風ダミーブック6set,[online],2016年08月15日,http://monoful.net/gray_item/モノトーンで知的なディスプレイに。洋書風ダミ/,monoful(モノフル) シンプル雑貨や家具のまとめ[検索日 2021.04.15]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00 −15/00
B42D 15/04 −19/00
G09F 1/00 − 5/04
A45C 11/00 −11/38
B65D 5/00 − 5/76
B65D 6/00 −13/02
B65D 85/00 −85/28
B65D 85/575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が空洞の本体部と、
前記本体部に対して開閉可能に構成された表紙及び裏表紙と、
を備え
以下の(A)及び/又は(B)の面にエンボス加工が施されているダミーブック。
(A):前記本体部の、前記表紙及び前記裏表紙に対向するそれぞれの面
(B):前記表紙及び前記裏表紙のそれぞれの内面
【請求項2】
前記本体部に固定された背表紙をさらに備え、
前記表紙及び前記裏表紙は、それぞれ、一辺が前記本体部ではなく前記背表紙につながって、前記本体部に対して開閉可能に構成されている、請求項1に記載のダミーブック。
【請求項3】
前記表紙、前記背表紙及び前記裏表紙は、カバーが着脱可能にかけられるように構成されており、
前記カバーがかけられた状態では、前記カバーの第1のそで部が前記表紙と前記本体部との間に位置し、かつ、前記カバーの前記第1のそで部とは反対側にある第2のそで部が前記裏表紙と前記本体部との間に位置する、請求項2に記載のダミーブック。
【請求項4】
前記表紙及び前記裏表紙は、それぞれ、前記背表紙につながる前記一辺に沿って溝が形成されている、請求項2又は3に記載のダミーブック。
【請求項5】
前記溝は、前記表紙及び前記裏表紙の外面に形成されている、請求項に記載のダミーブック。
【請求項6】
前記背表紙は、前記表紙及び前記裏表紙よりも厚さが大きい部分を有している、請求項2からのいずれか一項に記載のダミーブック。
【請求項7】
前記本体部は、前記表紙及び前記裏表紙を閉じた状態において外部に露出する面の少なくとも一部に、当該本体部の厚み方向に沿って凹凸を繰り返す凹凸模様を有している、請求項2からのいずれか一項に記載のダミーブック。
【請求項8】
前記凹凸模様は、前記本体部の天、地及び前小口を構成する面に形成されている、請求項に記載のダミーブック。
【請求項9】
前記本体部は、箱状に形成されている、請求項2からのいずれか一項に記載のダミーブック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダミーブックに関する。
【背景技術】
【0002】
ダミーブックとは、本物の本をイメージした装飾用の本であり、主としてディスプレイのために用いられる。例えば、カフェ、書店を併設した店舗、マンションのモデルルーム等の棚に置かれたダミーブックは、室内空間のインテリアをおしゃれに演出する。
【0003】
なお、ダミーブックについて先行の特許文献を調査したが、該当するものは見つからなかった。ダミーブックではないが、造花を収納する本型のパッケージを開示する特許文献1は見つかった。この特許文献1では、本物の本のように、多数枚の紙を積層して本体部を形成し、その後、本体部をくり抜いて造花を収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3159005号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダミーブックとして、仮に特許文献1のように多数枚の紙を積層したものとすると、重くなる。そうなると、ダミーブックの運搬効率が低下し、また、ダミーブックの設置場所(棚等)に十分な強度が求められてしまう。
【0006】
一方、市販されているダミーブックのように、表紙、裏表紙及び背表紙に文字やデザインを印刷し、これらすべてを本体部に固定したものとすると、ダミーブックとしてのデザイン等も固定されてしまう。このため、本のイメージを変えることができず、例えば部屋のインテリアの変更のたびにそれに合ったダミーブックを用意する必要があるなど、汎用性に欠けていた。
【0007】
本発明は、軽量かつ汎用性の高いダミーブックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るダミーブックは、内部が空洞の本体部と、本体部に対して開閉可能に構成された表紙及び裏表紙と、を備えたものである。
【0009】
この態様によれば、本体部の内部が空洞であるため、本体部を多数枚の紙を積層して形成する場合に比べて、本体部を軽量化することができる。加えて、表紙及び裏表紙が本体部に対して開閉可能であるため、汎用性を高めることができる。例えば、表紙及び裏表紙を開いてカバーを取り付け、表紙及び裏表紙を閉じてカバーの取付け状態を維持することができる。様々なカバーをつけかえることによって、ダミーブックの外観イメージを変えることができる。
【発明の効果】
【0010】
軽量で、しかも汎用性の高いダミーブックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るダミーブックを示す斜視図であり、(A)は表紙及び裏表紙を閉じた状態、(B)は表紙及び裏表紙を開いた状態を示すものである。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図1のダミーブックについて表紙及び裏表紙を閉じた状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。
図4図1のダミーブックにカバーをかける前の状態を示す斜視図である。
図5図1のダミーブックにカバーをかけた後の状態を示す斜視図であり、(A)は正面側斜視図、(B)は背面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係るダミーブックについて説明する。説明の便宜上、本の高さ方向を上下方向又は縦方向とする。各図において、同一の符号を付したものは、同一の又は同様の構成を有する。
【0013】
図1に示すように、ダミーブック10は、本体部12、表紙14、裏表紙16及び背表紙18を備えている。表紙14及び裏表紙16は、本体部12に対して開閉可能に構成されている。
【0014】
図1〜3に示すように、本体部12は、箱状に形成され、内部が空洞になっている。本体部12は、側面のうち、天20、地22及び前小口24を構成する面のそれぞれに凹凸模様26を有している。天20、地22及び前小口24は、本体部12の面のうち、表紙14及び裏表紙16を閉じた状態において外部に露出する面である。
【0015】
凹凸模様26は、本体部12の厚み方向に沿って凹凸を繰り返す模様となっている。凹凸模様26は、天20、地22及び前小口24の全面にわたって設けられている。凹凸模様26は、設けられた面において外側に向かって凸となる複数の凸部26aと、隣り合う凸部26a間にあって凸部26aに対して凹となる複数の凹部26bと、を有している。例えば、天20における凹凸模様26では、凸部26a及び凹部26bが、厚み方向において交互に繰り返されていると共に、本体部12の奥行方向に互いに平行に延在している(参照:図3(A))。この点、地22における凹凸模様26も同様である。一方、前小口24における凹凸模様26では、凸部26a及び凹部26bが、厚み方向において交互に繰り返されていると共に、本体部12の高さ方向に互いに平行に延在している(参照:図3(C))。凹凸模様26は、例えば、エンボス加工を施した紙を、本体部12の該当側面に貼り付けることで形成することができる。
【0016】
表紙14及び裏表紙16は、それぞれ、一辺が背表紙18につながっている。表紙14及び裏表紙16は、本体部12にはつながっていない。表紙14の外面14aには、表紙14の背表紙18につながる一辺に沿って溝30が形成されている。同様に、裏表紙16の外面16aには、裏表紙16の背表紙18につながる一辺に沿って溝32が形成されている。溝30、32は、ダミーブック10の高さ方向に亘って形成されており、それぞれ、表紙14及び裏表紙16に、本体部12に対する開閉のヒンジ機能を提供している。すなわち、表紙14は、溝30を境として回動することで本体部12に対して開閉される。また、裏表紙16は、溝32を境として回動することで本体部12に対して開閉される。表紙14及び裏表紙16は、本体部12との間の角度が180°をわずかに超える範囲まで、回動することができるように構成されている。
【0017】
図示省略したが、表紙14の内面14b及び裏表紙16の内面16bには、エンボス加工が施されている。エンボス加工は、例えば、表紙14及び裏表紙16を形成するそれぞれの紙に直接施すことができる。別の態様では、エンボス加工を施した紙(見返し紙)を、表紙14及び裏表紙16を形成するそれぞれの紙に貼り付けることができる。エンボス加工は、点状、線状、幾何学形状など、各種の態様を採用することができ、例えば、上記の凹凸模様26のようにしてもよい。この場合、例えば、内面14b及び内面16bにおいては、エンボス加工された凸部及び凹部が、背表紙18側の一辺からこれと反対側のもう一辺にかけて交互に繰り返されると共に、内面14b及び内面16bの高さ方向に互いに平行に延在することができる。
【0018】
なお、本体部12の、表紙14及び裏表紙16に対向するそれぞれの内面12a、12bにも同様にエンボス加工を施すことができる。すなわち、表紙14及び裏表紙16を閉じた状態において内面14b、16bにそれぞれ対向する本体部12の内面12a、12bについても、内面14b、16bと同様に、エンボス加工を施すことができる。
【0019】
背表紙18は、いわゆる丸背又は角背とすることができ、ここでは、平面視、中央部18aが外に向かって凸となるような山型(丸背)に形成されている。背表紙18の中央部18aは、表紙14及び裏表紙16よりも厚さが大きくなっている。なお、背表紙18を平面視方形(角背)に形成した場合にも、背表紙18は、表紙14及び裏表紙16よりも厚さが大きい部分を有することができる。背表紙18の内面18bは、本体部12の側面のうち、本におけるのどを構成する面28に固定されている(参照:図2図3(A))。この固定は、のり、ボンド又はテープ等による接着によって行うことができる。
【0020】
表紙14、裏表紙16及び背表紙18は、本体部12よりも高さ方向にわずかに長く形成されており、本体部12の天20及び地22よりも上方及び下方に長く延在している(参照:図3(C))。したがって、ダミーブック10を接地面に立てた場合、表紙14、裏表紙16及び背表紙18の下面は接地面に接触する一方、本体部12の地22は接地面に非接触となる。同様に、表紙14及び裏表紙16は、背表紙18と反対側が本体部12よりも奥行き方向にわずかに長く形成されており、本体部12の前小口24よりも外側に長く延在している(参照:図2)。したがって、ダミーブック10を前小口24を下にして接地面に立てた場合、表紙14及び裏表紙16の側面は接地面に接触する一方、本体部12の前小口24は接地面に非接触となる。
【0021】
図4及び図5に示すように、表紙14、裏表紙16及び背表紙18は、カバー40が着脱可能にかけられるように構成されている。カバー40は、背表紙18、表紙14及び裏表紙16のそれぞれの外面にかけられる背部42、表部44及び裏部46を有している。また、カバー40は、表部44から内側に折り返された表側そで部47と、裏部46から内側に折り返された裏側そで部48と、を有している。ダミーブック10にカバー40がかけられた状態では、表部44が表紙14の端部を包みこんで表側そで部47が表紙14の内面14bと本体部12の面12aとの間に位置し、かつ、裏部46が裏表紙16の端部を包みこんで裏側そで部48が裏表紙16の内面16bと本体部12の面12bとの間に位置する。カバー40には、文字、デザイン、写真等が印刷される。
【0022】
以上説明したとおり、本実施形態に係るダミーブック10は、内部が空洞の本体部12と、本体部12に対して開閉可能に構成された表紙14及び裏表紙16と、を備えている。これにより、ダミーブック10の軽量化及び汎用性の向上を図ることができる。具体的には、本体部12の内部が空洞であるため、本体部12を多数枚の紙を積層して形成する場合に比べて、本体部12を軽量化することができる。このため、ダミーブック10を置くところにそれほどの強度を必要とせずに済む。
【0023】
加えて、表紙14及び裏表紙16が本体部12に対して開閉可能であるため、汎用性を高めることができる。例えば、表紙14及び裏表紙16を開いてカバー40を取り付け、表紙14及び裏表紙16を閉じてカバー40の取付け状態を維持することで、ダミーブック10の外観イメージを変えることができる。これにより、例えば部屋のインテリアの変更のたびにそれに合ったダミーブック自体を用意せずに済む。一例を挙げると、ダミーブック10を置く室内インテリアを和から洋に変更したい場合、カバー40を和書のデザインのものから洋書のデザインのものに取り換えれば済む。
【0024】
また、ダミーブック10は、本体部12に固定された背表紙18をさらに備え、表紙14及び裏表紙16は、それぞれ、一辺が本体部12ではなく背表紙18につながって、本体部12に対して開閉可能に構成されている。こうすることで、ダミーブック10の構成を、表紙用のもの(14、16、18)と空洞用のもの(12)とに分けて作った後で、両者の固定を背表紙18を利用して行うことができる。これにより、表紙14及び裏表紙16が開閉するダミーブック10の製造が容易となり得る。
【0025】
また、表紙14、裏表紙16及び背表紙18は、カバー40が着脱可能にかけられるように構成されており、カバー40がかけられた状態では、カバー40の表側そで部47(第1のそで部)が表紙14と本体部12との間に位置し、かつ、カバーの表側そで部47ととは反対側にある裏側そで部48(第2のそで部)が裏表紙16と本体部12との間に位置するようになっている。このように、カバー40を簡単にかけることができるので、ダミーブック10の外観イメージを簡単に変更することができる。
【0026】
また、表紙14及び裏表紙16は、それぞれ、内面14b及び16bにエンボス加工が施されている。同様に、本体部12についても、表紙14及び裏表紙16に対向するそれぞれの面12a、12bにエンボス加工を施すことができる。このようなエンボス加工を施すことで、例えば、ダミーブック10にかけたカバー40の表側そで部47及び裏側そで部48が本体部12、表紙14及び裏表紙16の接触面に対してずれにくくなる。すなわち、カバー40を外れにくくすることができる。
【0027】
また、表紙14及び裏表紙16は、それぞれ、背表紙18につながる一辺に沿って溝30、32が形成されている。これにより、本体部12に対する表紙14及び裏表紙16の開閉の起点として溝30、32を利用することができるので、開閉がスムーズとなる。しかも、溝30、32は、表紙14及び裏表紙16の外面に形成されているので、表紙14及び裏表紙16の開閉がより一層容易となる。
【0028】
また、背表紙18は、表紙14及び裏表紙16よりも厚さが大きい部分(中央部18a)を有している。これにより、背表紙18の強度を上げることができるので、例えば背表紙18に本体部12を接着するときの作業がし易くなる。
【0029】
また、本体部12は、表紙14及び裏表紙16を閉じた状態において外部に露出する面の少なくとも一部に、本体部12の厚み方向に沿って凹凸を繰り返す凹凸模様26を有している。このような凹凸模様26を設けることで、本物の本のページの束をイメージした外観となるので、ダミーブック10を本物の本のイメージにより近づけることができる。とりわけ、凹凸模様26は、本体部12の天20、地22及び前小口24を構成する面に形成されているので、ダミーブック10を縦置き及び横置きのいずれの向きに置いた場合であっても、凹凸模様26を外部から見えるようにすることが可能となる。
【0030】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0031】
例えば、内部が空洞の本体部12を収納空間として利用してもよい。具体的には、本体部12の内面12aの一部又は全部を設けないようにした場合、本体部12の内部に本体部12の外部からアクセス可能な収納空間が構成される。この場合、表紙14が、この収納空間を開閉する蓋として機能することになる。
【符号の説明】
【0032】
10…ダミーブック、12…本体部、12a、12b…内面、14…表紙、14a…外面、14b…内面、16…裏表紙、16a…外面、16b…内面、18…背表紙、18a…中央部、18b…内面、20…天、22…地、24…前小口、26…凹凸模様、26a…凸部、26b…凹部、28…面(のど)、30、32…溝、40…カバー、42…背部、44…表部、46…裏部、47…表側そで部、48…裏側そで部
図1
図2
図3
図4
図5