(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光触媒フィルタの光通過穴が、前記山部および谷部が延びている方向に長い貫通溝であり、該貫通溝の長手方向に沿った一対の互いに対向する開口縁部には、該貫通溝を形成するために切り起こされ、当該山部又は谷部の凸面側に起立する起立片がそれぞれ設けられている請求項1又は2記載の光触媒装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、気体の流通抵抗を増やすことなく、装置の薄型化または細径化などの小型化が可能であり、光照射効率も向上させることができ、構造も簡易で、省エネ、低コスト化を実現でき、熱の問題も解決できる光触媒装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者はかかる現況に鑑み、鋭意研究した結果、従来のように気体を光触媒フィルタの通気孔を通じてフィルタ面を貫くように一方の面から他方の面に通過させるのではなく、光触媒フィルタを波型部材とし、山部および谷部が延びている方向に沿って、その表裏面上を一端側から他端側に向けて気体を流通させるようにすることで、気体とフィルタ面との接触面積を維持しつつ、気体の入口側の流路及び出口側の流路をフィルタ面に対面する位置に設ける代わりに、フィルタの両端位置に気体の流入部、流出部を設けることで上記のとおり気体を流通させることができ、これによりフィルタの厚み方向の装置寸法を著しく小さくできること、また、これにより光照射部の設計の自由度も上がり、より光照射効率の高い新規な光照射形態を簡易な構造で実現でき、省エネ、コスト低減を実現できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 山部と谷部が交互に複数形成された波型の部材よりなり、前記山部の頂部および谷部の底部にそれぞれ紫外線又は可視光の光が通過する光通過穴が形成され、表面に光触媒が担持された光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタの表裏面のうち一方の面に対し、紫外線又は可視光の光を照射する光照射部と、前記光触媒フィルタの前記表裏面のうち他方の面に対面する側に設けられ、前記光照射部から照射されて前記光触媒フィルタの山部及び谷部の前記光通過穴を通過した光を前記他方の面に向けて反射させる反射壁と、前記光照射部および反射壁と前記光触媒フィルタとの間の各隙間に対し、該光触媒フィルタの表裏面上を山部および谷部が延びている方向に沿って一端側から他端側に向けて気体を流通させる、該光触媒フィルタの一端側および他端側に設けられる気体の流入部および流出部と、を備えたことを特徴とする光触媒装置。
【0009】
(2) 前記光触媒フィルタを前記一端側又は他端側で支持する金属製の支持部材を設け、該支持部材に前記光照射部を支持させてなる(1)記載の光触媒装置。
【0010】
(3) 前記光照射部が、前記光触媒フィルタの前記一端側又は他端側に対応する位置に設けられる光源と、前記光触媒フィルタの前記一方の面に対面する発光表面を有し、前記光源の光を内部に取り込んで前記発光表面から前記光触媒フィルタの前記一方の面に光を照射する導光部材と、より構成される(1)又は(2)記載の光触媒装置。
【0011】
(4) 前記光触媒フィルタの光通過穴が、前記山部および谷部が延びている方向に長い貫通溝であり、該貫通溝の長手方向に沿った一対の互いに対向する開口縁部には、該貫通溝を形成するために切り起こされ、当該山部又は谷部の凸面側に起立する起立片がそれぞれ設けられている(1)〜(3)の何れかに記載の光触媒装置。
【発明の効果】
【0012】
以上にしてなる本願発明に係る光触媒装置は、波型で十分な表面積を有する光触媒フィルタのフィルタ両面に、光照射しながら、当該両側のフィルタ面に沿って山部および谷部の延びる方向に気体(ガス)を通過させることで、気体中の有害物質や悪臭等を光触媒により効率よく分解・除去することができる。
【0013】
また、従来、フィルタ面に対面した位置に必要であった気体の入口側の流路および出口側の流路を省略し、代わりにフィルタの両端位置に気体の流入部、流出部を設けることで上記のとおり気体を流通させることができることから、フィルタの厚み方向の装置寸法を著しく小さくできるとともに、光照射部の設計の自由度も向上する。
【0014】
さらに、山部の頂部および谷部の底部にそれぞれ紫外線又は可視光の光が通過する光通過穴が形成され、光触媒フィルタの表裏面のうち一方の面に対し、紫外線又は可視光の光を照射する光照射部と、光触媒フィルタの前記表裏面のうち他方の面に対面する側に設けられ、前記光照射部から照射されて前記光通過穴を通過した光を前記他方の面に向けて反射させる反射壁とを設けたので、フィルタ両面を効率よく照射でき、光照射効率の高い光照射形態が簡易な構造で実現され、省エネ、コスト低減を実現でき、発熱量も抑えることができる。この光通過穴は、空気も流通できるが、従来のように主に気体の流通路として設けたものではなく、主に光を通す穴として設けたものである。
【0015】
このような光照射部および反射壁による高効率の光照射形態は、上述のとおりフィルタ面に対面した位置に必要であった気体の入口側の流路および出口側の流路が省略されることで実現されるものである。また、気体は波型のフィルタの山部及び谷部の延びる方向に沿って流れ、上記光照射部や反射壁は気体の流通の邪魔にならないことから、これら光照射部や反射壁とフィルタ面との距離を近づけ、フィルタの厚み方向の装置寸法を小さい寸法に抑えることが可能である。したがって、例えば冷蔵庫内に設けて冷蔵室の脱臭や野菜室のVOCの分解に用いたり、自動車の飲料用ホルダーにフィットするようにして車内の脱臭や除菌に用いたり、家庭のベッドサイドや靴箱内、洋服クローゼット内、机の上などにおいて小スペースでの脱臭や除菌に用いるのに好適な装置に構成することができる。
【0016】
ここで、前記光触媒フィルタを前記一端側又は他端側で支持する金属製の支持部材を設け、該支持部材に前記光照射部を支持させたものでは、光照射部が発する熱を支持部材を通じて同じく金属製の光触媒フィルタに伝達し、該光触媒フィルタをヒートシンクとして表面を流通する前記気体により効率よく放熱させることができる。
【0017】
また、光照射部が、光触媒フィルタの前記一端側又は他端側に対応する位置に設けられる光源と、前記光触媒フィルタの前記一方の面に対面する発光表面を有し、前記光源の光を内部に取り込んで前記発光表面から前記光触媒フィルタの前記一方の面に光を照射する導光部材とより構成したものでは、光照射部の薄型化が可能となり、フィルタの厚み方向の装置寸法をより小さい寸法に抑えることが可能となる。このような導光部材は、上述のとおりフィルタ面に対面した位置に必要であった気体の入口側の流路および出口側の流路が省略されることで効率良く用いることが可能となるものである。
【0018】
また、前記光触媒フィルタの光通過穴が、前記山部および谷部が延びている方向に長い貫通溝であり、該貫通溝の長手方向に沿った一対の互いに対向する開口縁部には、該貫通溝を形成するために切り起こされ、当該山部又は谷部の凸面側に起立する起立片がそれぞれ設けているものでは、山部と谷部による凹凸表面により大きな表面積を備えるとともに、その山部又は谷部に形成される貫通溝の開口縁部の起立片の分も表面積が増え、気体と当該光触媒フィルタ表面との接触面積を十分に確保することができ、触媒反応がより効率良く行われるとともに光触媒層も多く設けることができ、優れた清浄化効果が得られる。
【0019】
また、凹凸波型の部材に貫通溝と起立片が形成される構造であるため、従来のセラミックフィルタやエッチング処理を必要とするフィルタに比べ、プレス等の機械加工により生産コストを低く抑えることが可能である。また山部の頂部および谷部の底部に貫通溝が設けられるため、変形が容易であり、形状の自由度が高くなる。さらに、切り起こし片とすることで、母材を無駄にすることなく、接触面積を最大限に維持することができるとともに機械加工で効率よく低コストに形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。まず、
図1〜10に基づき、第1実施形態を説明する。
【0022】
本発明の光触媒装置1は、
図1〜
図4に示すように、山部21と谷部22が交互に複数形成された波型の部材20よりなり、前記山部21の頂部および谷部22の底部にそれぞれ紫外線又は可視光の光が通過する光通過穴23が形成され、表面に光触媒が担持された光触媒フィルタ2と、この光触媒フィルタ2の表裏面のうち一方の面2aに対して紫外線又は可視光の光を照射する光照射部3と、光触媒フィルタ2の他方の面2bに対面する側に設けられ、光照射部3から照射されて光触媒フィルタ2の光通過穴23を通過した光を、他方の面2bに向けて反射させる反射壁4と、光照射部3と光触媒フィルタ2との間の隙間s1、および光触媒フィルタ2と反射壁4との隙間s2に対して、それぞれ光触媒フィルタ2の表/裏面上を山部および谷部が延びている方向に沿って一端側から他端側に向けて気体を流通させる、該光触媒フィルタ2の一端側2cおよび他端側2dに設けられる気体の流入部11および流出部12とを備えたことを特徴とする。
【0023】
光触媒フィルタ2は、
図6〜
図8に示すように、部材20をプレス加工することにより、複数の山部21の頂部、複数の谷部22の底部がそれぞれすべて同一平面上に位置する平坦な波板形状に加工され、表面に光触媒層が被覆形成された後、表裏面のうち一方の面2aを内側に向けて山部21および谷部22が各々延びている方向に平行な軸を中心に筒状に丸め、両端の山部21または谷部22を互いに重ね合わせて接合することで、
図5に示すように筒状形状に構成されたものである。この筒状の光触媒フィルタ2が、同じく筒状の周壁61を有する筐体6の内部に該筐体6と同軸になるように収納される。
【0024】
本例の光触媒フィルタ2は、山部21及び谷部22を角張った方形状して全体として凹凸形状の波型に構成されているが、山部及び谷部がなだらかな連続した曲面形状にされた波型に構成したものでも勿論よい。「山部」及び「谷部」は、凹凸形状(波型)の凹凸面の一方の面を上面、他方の面を下面として、上面側に突出した部位を「山部」、下面側に突出した部位を「谷部」とする。部材の素材としては、アルミニウムやステンレスその他、種々の金属素材を用いることができるが、これに限定されない。
【0025】
光通過穴23は、すべての山部21又はすべての谷部22に設ける必要はなく、たとえば一つ又は二つ以上の山部21又は谷部22を飛ばして形成してもよい。光通過穴23の寸法や数、配置なども、本装置の用途や大きさ等に応じた適した保形性が得られるように、適宜決めることができる。本例では、一つの山部21又は谷部22に対して、山部21又は谷部22が延びている方向に長い貫通溝よりなる光通過穴23を二つ、間隔をあけて連設し、間に形成される橋渡し部25(当該山部21又は谷部22における光通過穴23間の残部)によって全体として保形性を維持できる構造とされている。ただし、板厚やその他の寸法、求められる保形性の程度に応じて、光通過穴23の長さや間隔を適宜決めることができ、例えば、列方向に光通過穴23を三つ以上連設してもよいし、一つのみ構成したものでもよい。
【0026】
光通過穴23の長手方向に沿った一対の互いに対向する開口縁部には、該光通過穴23を形成するために切り起こされた、当該山部21又は谷部22の凸面側に起立する起立片24がそれぞれ設けられている。このように起立片24が形成された光触媒フィルタ2は、山部21と谷部22による波型の凹凸表面によって気体に接触する大きな表面積を備えると同時に、その山部21又は谷部22に形成される光通過穴23の内面、開口縁部の起立片24の分も、気体及び光との接触面積が増えている。したがって、触媒反応が効率よく行われることになる。また起立片24は、山部21又は谷部22の凸面側に起立しているため、起立片24が光の進入を邪魔することなく、凹凸表面や貫通溝内面、起立片24の表面に形成される当該触媒層に光を効率よく照射することができる。
【0027】
起立片24は、凹凸形状のプレス加工と同時、または直後に、打ち抜きによる切り起こし加工により効率良く形成することができる。開口縁部の双方に設けられる起立片24は、各開口縁部のほぼ全長にわたって延びる長片とされているが、間隔をあけて複数の起立片24を設けることも勿論できる。この場合、両開口縁部に交互に(千鳥状に)突出長さの長い起立片24を切り起こしにより形成することもできる。中央から両側に切り起こすことにより、開口縁部の双方に設けられる起立片24の高さ寸法は、同じ寸法となり、具体的には当該貫通溝の列方向に直交する幅方向の寸法の略半分の寸法となる。起立片24を切り起こし加工により形成することで母材を無駄なく用いて形成することができ、接触面積を最大限に高めることが可能となる。
【0028】
光触媒層は、酸化チタン等の紫外線励起型の光触媒粒子や、三酸化タングステンを主成分とした可視光励起型の光触媒粒子などの光触媒粒子を、部材の表面に担持させた層である。山部21と谷部22よりなる凹凸形状をプレス加工で成形する場合においては、あらかじめ表面に光触媒層を形成していると該層が剥がれてしまったり形状精度を狂わせる原因になることもある。これを避けるためには、凹凸形状に加工した後に上記層を形成すればよい。光触媒粒子の担持(光触媒層の形成)の方法は特に限定されないが、比較的コストの掛からないスラリー浸漬含浸法が好ましい。その他の浸漬含浸法、真空含浸法、ゾルゲル法などの手段を用いることもできる。
【0029】
筐体6の中心位置には、
図3及び
図4から分かるように、外方に向けて光を放ち、対面する上記筒状の光触媒フィルタ2の内側を向いた一方の面2aに光を照射する光照射部3が設けられている。光照射部3は、前記光触媒フィルタ2の面2aの全面にほぼ均等に光を照射するべく、軸方向に光触媒フィルタ2と略同じ長さの領域にわたって設けられている。このような光照射部3としては、本例では前記フィルタ面2aに対面する外周面31bに発光表面を有する前記長さの柱状の導光部材31を設けるとともに、該導光部材31の一端側31cに光源30を設け、これにより光源30の光が導光部材31の内部に取り込まれ、前記発光表面(外周面31b)からフィルタ面2aに光を照射するものとされている。
【0030】
なお、このような導光部材31を用いるのではなく、光源としてのLED素子が軸方向に沿って所定間隔おきに設けられた前記長さのLED基板を複数枚、互いに異なる方向に向けて配置し、周囲のフィルタ面2aの全面に光を照射するように構成したものも好ましい。ただし、本例のように導光部材とその一端側の光源により構成したものは、より均一的に周囲に光を放射できるとともに、熱を発する光源を局所的に設けることができ、その放熱も後述のように支持部材5等を通じて効率よく行うことができるため、より好ましい例である。
【0031】
導光部材31は、円柱状のものとされ、光源30に対面する一端側と反対側の他端側31dには、内面が反射面となった遮光層32が設けられている。光源30としては、光触媒フィルタ2の光触媒に適した波長の紫外線又は可視光の光を発するLED素子が用いられ、該LED素子を有するLED基板33が導光部材31の一端側に対面するように配置されている。
【0032】
光触媒フィルタ2および光照射部3は、
図2および
図3に示すように、金属製の共通の支持部材5により同軸状に支持されている。具体的には、支持部材5は、外側の位置に、光触媒フィルタ2の一端側2c(図では下端側)の端部外周面を保持する第1の保持片51が突設されるとともに、その内側の位置に、光照射部3の導光部材31の同じく一端側31c(図では下端側)の端部外周面を保持する第2の保持片52が突設されており、第2の保持片52のさらに内側の中央領域に、上記LED基板33を取り付ける取付面53が設けられている。
【0033】
導光部材31の発光表面(外周面31b)からフィルタ面2aに照射された光は、該面2a上の光触媒を活性化させるとともに、該フィルタ2の光通過穴23から他方の面2b側に抜け、筐体周壁61の内周面よりなる反射壁4に反射され、光触媒フィルタ2の他方の面2bの全体に照射され、該面2b上の光触媒を同じく活性化させる。反射壁4は、筐体の金属素材面をそのまま又は鏡面に加工した面や、鏡面シートを周壁61内面に貼り付けたものなどで構成される。
【0034】
このように光触媒フィルタ2と光照射部3とが金属製の支持部材5により支持されているため、光照射部3に生じる熱は、当該支持部材5を通じて金属製の光触媒フィルタ2に伝わり、該光触媒フィルタ2の表面から気体に効率よく排熱されることになる。すなわち、本例によれば、支持部材および光触媒フィルタ2をヒートシンクとして効率よく機能させることができるのである。特に、本例では光照射部3の熱はLED基板33から発するため、これが直接的に取り付けられる支持部材5に効率よく熱が伝熱される。
【0035】
支持部材5の第1の保持片51が設けられる外側の位置と第2の保持片52が設けられる内側の位置との間の領域には、支持される光触媒フィルタ2の内側の面2aと導光部材31の外周面31bとの間の隙間s1に気体を流入させるための通気孔54が設けられている。本例では、支持部材5は前記通気孔54に気体を強制的に送り込むファン7を介して筐体6の底板62に取り付けられている。
【0036】
ファン7には、互いに隙間をあけて配置される筒状の複数の脚部材70が設けられ、該脚部材70を介して上側に配置される支持部材5とともに取付ネジ71により筐体底板62にネジ止めされている。筐体周壁61の底板62との接続端部には、周方向に間隔をあけて内外貫通した複数の通気窓63が設けられており、筐体外部から筐体底部に気体を取り込むことができる。ファン7は、この通気窓63から筐体外部の気体を内部に引き込み、さらに脚部材70の間から取り込んで上記隙間s1に送り込む。支持部材5に支持された光触媒フィルタ2の外側の面2bと筐体周壁61の内面との間にも、隙間s2が形成されており、前記通気窓63から取り込まれた外気は、一部、当該隙間s2にも流入する。
【0037】
筐体周壁61の底板62と反対側(図示上側)の端部には、前記隙間s1、s2と筐体外部とを連通する貫通した通気窓65を有する蓋部材64が取り付けられている。このように、通気窓63から筐体内部に入り、筐体底側、すなわち光触媒フィルタ2の一端側2cから隙間s1、s2に流入した気体は、光触媒フィルタ2の山部21および谷部22が延びる方向に沿って、隙間s1、s2内をそれぞれ他端側2dに向けて流通した後、通気窓65から筐体外部に放出される。
【0038】
この隙間s1、s2内の流通過程で、気体は光触媒フィルタ2の波板状の表裏面2a,2bに効率よく接し、光を照射されて活性化された当該表裏面2a,2b上の光触媒により効率よく浄化されることになる。筐体内に気体を流入させる通気窓63およびその内側の光触媒フィルタ一端側2cとの間の空間s3は、気体の流入部11として機能し、光触媒フィルタ他端側2dと蓋部材64との間の空間s4および蓋部材の通気窓65などは、気体の流出部12として機能する。
【0039】
このように、筐体6の内部では、筒状にして筐体6と同軸に配置された光触媒フィルタ2に対し、内側から外側に向けて放射方向に光が照射され、光通過穴23を通じて内外の面に光が照射されるのに対し、気体はこれに交差する軸方向(山部21および谷部22が延びている方向)に沿って表裏両面の隙間s1、s2を流通路として流通し、その過程で活性化された光触媒により気体が効率よく浄化されることになる。このような交差形態により、本発明では隙間s1、s2を小さく設定することが可能とされ、装置全体をコンパクトに構成することを可能としている。
【0040】
光通過穴23は貫通した穴であり、当該穴を通じて光のみならず気体も隙間s1、s2間で行き交うことが可能とされている。当該穴に光透過性のフィルムを張り付けて光のみ通過可能とし、気体の流通は阻止するようにすることも可能である。通気窓63、65には、紫外線等が外部に出ないように遮光性を有する集塵フィルタを設けることが好ましく、該集塵フィルタにも光触媒を担持させることがより好ましい。
【0041】
ファン7は、強制的に気体を筐体6内の隙間s1、s2の流路に流通させるための手段であり、省略することも可能であるし、配置箇所を筐体6内の他端側や筐体外部などに変更することもできる。底板62の中央の貫通穴66は、光照射部3のLED基板33やファン7に電力を供給するための配線を通す穴である。
【0042】
本実施形態では、内部に光触媒フィルタ2、光照射部3を配置した筐体6により、外部から電源供給されれば光触媒装置として機能する一つの光触媒デバイスユニットU1が構成されている。
【0043】
符号8は、内部に制御基板80やバッテリ81などが設けられる電源ケースであり、上述の筐体6によりまとめられた光触媒デバイスユニットU1の底板62側に、同軸状に着脱可能に連結されている。電源ケース8の外周面には、電源スイッチ85およびUSB接続用のコネクタ86が露出して設けられており、USBケーブルを通じてバッテリ81を内蔵のまま充電できるように構成されている。電源ケース8には、さらに臭いセンサを設け、このセンサ出力に基づきオンオフ制御するようにして省電力化することも好ましい。このように、ユニットU1と電源ケース8とを着脱可能に構成することで、ユーザはバッテリ電力が無くなった場合に、予備の電源ケース8に付け替えて継続して使用することが可能となり、利便性が向上する。
【0044】
電源ケース8の連結側の上板82には、
図2に示すように、ユニットU1側の底板62の対応する位置に設けられただるま穴67に着脱可能に係合する連結用のボルト頭部からなる係合突部83が突設されている。これによりユニットU1と電源ケース8とは回転連結される。また、同じく上板82の前記底板62の貫通穴66に対応する位置には貫通穴84が形成され、ユニットU1側の光源30及びファン7の図示しない配線を引き込み、電源ケース8内の対応する図示しない配線にコネクタ等で着脱可能に接続できるように構成されている。
【0045】
なお、ユニットU1側の光源30及びファン7と電源ケース8側との電気接続は、上述のように配線を通して接続すること以外に、たとえば
図9に示すように、対面する底板62の下面および上板82の上面に、それぞれユニットU1と電源ケース8を上記回転連結させることで対応する端子間が電気接続することとなる接続端子68、69を設けたものが好ましい。これにより、配線を通してコネクタ接続する等の作業が不要となり、ユニットU1側と電源ケース8側の着脱作業も容易となる。本例では一方の接続端子(上板82側の接続端子69)をスプリングピン型コネクタとし、他方の接続端子(底板62側の接続端子68)を該スプリングピン型コネクタが前記回転連結により乗り上げて圧接する傾斜付きの端子板としているが、このような組み合わせに特に限定されない。
【0046】
図9のように接続端子68、69で電気接続させる場合、光源30用のプラス/マイナス端子、ファン7用のプラス/マイナス端子を一対一で合わせる必要がある。したがって、だるま穴67及び係合突部83の組み合わせを固定化するため、だるま穴67及び係合突部83の位置は、他と等間隔に配置されるのではなく、周方向または半径方向にずれた位置に設けられることが好ましい。これにより、だるま穴67及び係合突部83を他と同じ形状、構造のものを用いつつ、組み合わせを固定化させることができる。
【0047】
図10は、ユニットU1内に、複数(本例では2つ)の光触媒フィルタ2を軸方向に沿って複数設けた変形例にかかる光触媒装置1Aを示している。本例では、光照射部3も光触媒フィルタ2に対応させて複数設けているが、導光部材31を2つ以上の光触媒フィルタ2を貫通する長尺ものにして、光照射部3を2つ以上の光触媒フィルタ2に対して一つのみで構成することもできる。また、図示しないが、径の異なる筒状の光触媒フィルタを同軸状に径方向に複数重ねるように設けたものでもよい。
【0048】
次に、
図11〜
図16に基づき、本発明の第2実施形態を説明する。
【0049】
本実施形態の光触媒装置1Aは、内部に光触媒フィルタ2、光照射部3を配置した筐体6Aにより、外部から電源供給されれば光触媒装置として機能する一つの光触媒デバイスユニットU2が構成されている。このユニットU2は、第1実施形態のユニットU1と異なり、筐体6Aが光触媒フィルタ2および導光部材31に対面する反射壁4が内側に設けられた上側周壁611と上端に通気窓65Aを有する蓋部641とが一体形成された上側筐体601と、光触媒フィルタ2および導光部材31それぞれの一端側2c、31c(図示下端側)および光源30を支持する支持部材5A、光源30、並びにファン7を囲み、通気窓63Aを有する下側周壁612と、電源ケース8A側の接続端子69Aに電気接続される接続端子68Aおよびだるま穴67を有する底板62とが一体形成された下側筐体602とより分割構成されている。
【0050】
このように筐体6Aを上下に分割構成することで、内部の光触媒フィルタ2や光照射部3、ファン7等の組み付けや分解清掃、一部再利用、部品交換などが容易となり、製造コストを低減できるとともに利便性が向上する。上側筐体601および下側筐体602の互いに接合する箇所には、互いに係合する突起613および該突起613が係止する係止凹部614がそれぞれ設けられている。
【0051】
上側筐体601の蓋部641の内面側には、通気窓65Aを塞ぐように一面に活性炭フィルタ72が取り付けられている。これにより筐体6Aから排出される気体を清浄化すると同時に、光照射部3の光が当該通気窓を通じて外部に漏れるのを防止している。このフィルタ72は、
図13に示すように光触媒フィルタ2および導光部材31と上側筐体601の蓋部641との間に挟持されるように介装され、上側筐体601を下側筐体602から分離させることで交換できるように構成されている。このような活性炭フィルタ72は、活性炭繊維で編んだものがより好ましい。
【0052】
下側筐体602の各通気窓63Aには、該通気窓63Aを塞ぐように集塵フィルタ73が取り付けられている。本例では通気窓63Aごとに集塵フィルタ73を内側の縁部に貼り付けるように設けられているが、一枚のフィルタを環状にして全周にわたり内面側に貼り付け等で取り付けたものや、差し込み用の案内片を設ける等して各々着脱可能に設けることも好ましい。
【0053】
光触媒フィルタ2および光照射部3を支持する支持部材5Aは、中央部にLED基板33を取り付ける取付面53を有する取付部55を有し、その周囲に複数の通気孔541が開設された金属製で平板状の第1の支持部材501と、その上面側に取り付けられ、外側の位置に光触媒フィルタ2の一端側2c(図では下端側)の端部外周面を保持する第1の保持片51Aが軸方向に突設されるとともに、内側の位置に、光照射部3の導光部材31の同じく一端側31c(図では下端側)の端部外周面を保持する第2の保持片52Aが軸方向に突設され、第1の保持片51Aと第2の保持片52Aとの間の領域に通気孔542が設けられ、第2の保持片52Aの内側の領域には、光源30の光を導光部材31に通すための貫通穴56が設けられた金属製で立体的な形状の第2の支持部材502とより分割構成されている。
【0054】
このように支持部材5Aを分割構成することで、光源30と導光部材31の端部との隙間を適した距離に容易に設定できるとともに、製作も容易となり、コストダウンを図ることが可能となる。第1の支持部材501の前記取付部55の通気孔541を臨む周縁部には凹凸部55aが形成されており、光源30から生じた熱を通気孔541を通る気体に効率よく排熱できるように構成されている。このような第1の支持部材501は部材の打ち抜き加工等で容易に作製できる。
【0055】
第2の支持部材502の保持片51Aは、周方向に沿って複数設けられており、保持片52Aについても、同じく周方向に沿って複数設けられている。いずれも筒状の一つの保持片としても勿論よい。また、第2の支持部材502の通気孔542は、前記第1の支持部材501の複数の通気孔541に対応させて複数設けられている。保持片52Aは、保持片51Aに対して軸方向上側にオフセットされており、第1の支持部材501に取り付けられる光源30と導光部材31の端部との間に隙間が維持されている。このような軸方向へのオフセットは、保持片51Aが設けられる外側の領域と保持片52Aが設けられる内側の領域とを橋渡しする複数の連結部57を軸方向に傾斜させることで実現されている。このような第の支持部材502は、打ち抜きおよびプレス加工によって容易かつ効率よく作製できる。
【0056】
ファン7、第1の支持部材501及び第2の支持部材502は、外側の領域の互いに対応する連通位置に、通孔7a、58、59が複数組設けられ、これを貫通して下側筐体602の底板62の同じく対応する位置に設けられたネジ孔部62bに螺合する取付ネジ71により、当該下側筐体602内に固定されている。
【0057】
本実施形態の電源ケース8Aは、筐体6Aと同様、制御基板80を内蔵し、外周面に露出するスイッチ85やUSB接続用のコネクタ86などが設けられる上側ケース801と、バッテリ81が内蔵される下側ケース802とより分割構成されている。このように電源ケース8Aを上下に分割構成することで、内部の制御基板やバッテリ等の組み付けや分解清掃、一部再利用、部品交換などが容易となり、製造コストを低減できるとともに利便性が向上する。上側ケース801および下側ケース802の互いに接合する箇所には、互いに係合する突起813および該突起813が係止する係止凹部814がそれぞれ設けられている。
【0058】
ユニットU2と電源ケース8Aとの組み付け構造および電気接続構造は、上述の第1実施形態の
図9の構造と基本的に同じであるが、本例では、組み付け状態でのロック機構として、電源ケース8Aの上板82に、略くの字状に屈曲した板ばね87が設けられるとともに、ユニットU2の底板62の対応する位置に、電源ケース側の係合突部83をユニットU2側のだるま穴67に挿入して相対回転させた際に、前記板ばね87の先端が乗り越えることで逆回転可能に係止する係止突部74が設けられている。板バネ87の先端部には、L字状に上側ケース801の通孔88を貫通して外周面上に突出する操作片87aが設けられており、突出した操作片87aを下側ケース802の方向に指で押し下げることにより、板バネ87と係止突部74との係合状態が解除され、前記逆回転への操作が可能となり、ユニットU2と電源ケース8Aを分離できるように構成されている。このようなロック機構を設けたことで不必要なときにユニットU2と電源ケース8Aとが分離してしまうことを防止できる。
【0059】
その他の構成、変形例、作用効果等については、基本的には上述の第1実施形態と同じであるため、同一構造には同一符号を付し、説明を省略する。
【0060】
次に、
図17及び
図18に基づき、本発明の第3実施形態を説明する。
【0061】
本実施形態の光触媒装置1Bは、光触媒フィルタ2Bとして、
図6に示すようにフラットな形態で使用する例、すなわち、第1、第2実施形態のように筒状に丸めて使用するのではなく、フラットのままで使用する例である。光照射部3についても、円柱状の導光部材31ではなく、前記光触媒フィルタ2Bと平行に配置される同じくフラット板状の導光部材31Bが用いられている。
【0062】
筐体6Cは箱状に構成され、図示上側の内部領域に、フラット状の光触媒フィルタ2Bが配置され、上側の内部領域に、前記光触媒フィルタ2Bと間隔をあけて同じくフラット状の導光部材31Bが平行に配置されている。このような導光部材31Bを用いるのではなく、光源としてのLED素子が所定間隔おきに設けられた同じく板状のLED基板を配置したものも好ましい。
【0063】
導光部材31Bは、光触媒フィルタ2Bの山部及び谷部が延びる方向の一端側2cに対応する側の端面310を、対面配置された光源30の光を入射させる入射面とし、且つ、端面310および光触媒フィルタ2Bに対面する光放出面311を除く面に、内面が反射面となった遮光層32が設けられている。
【0064】
導光部材31Bの発光表面(光放出面311)からフィルタ面2aに照射された光は、該面2a上の光触媒を活性化させるとともに、該フィルタ2Bの光通過穴から他方の面側に抜け、筐体6Cの上壁615の内面よりなる反射壁4に反射され、光触媒フィルタ2Bの他方の面2bの全体に照射され、該面2b上の光触媒を同じく活性化させる。反射壁4は、筐体の金属素材面をそのまま又は鏡面に加工した面や、鏡面シートを上壁615内面に貼り付けたものなどで構成される。
【0065】
光触媒フィルタ2と光照射部3とは、前記一端側2cの端部をそれぞれ筐体6C内の金属製の支持部材5Bにより支持されているため、光照射部3に生じる熱は、当該支持部材5Bを通じて金属製の光触媒フィルタ2Bに伝わり、該光触媒フィルタ2Bの表面から気体に効率よく排熱されることになる。すなわち、本例によれば、支持部材5Bおよび光触媒フィルタ2Bをヒートシンクとして効率よく機能させることができるのである。
【0066】
支持部材5Bには、光触媒フィルタ2Bの上下の隙間s1、s2にそれぞれ連通する図示しない通気孔が設けられ、支持部材5Bに対して光触媒フィルタ2Bと反対側の筐体内部領域には、前記通気孔に気体を強制的に送り込むファン7が設けられている。また、ファン7に対して支持部材5Bと反対側の筐体上下左右の壁には、内外貫通した複数の通気窓63Bが設けられており、筐体外部から筐体内に気体を取り込むことができる。ファン7は、この通気窓63Bから筐体外部の気体を内部に引き込み、上記通気孔から上記隙間s1、s2に送り込む。
【0067】
筐体6Bの前記光触媒フィルタ2Bの他端側2dに対面する端部の壁616には、隙間s1、s2と筐体外部とを連通する貫通した通気窓65Bが設けられている。このように、通気窓63Bから筐体内部に入り、隙間s1、s2に流入した気体は、光触媒フィルタ2Bの山部21および谷部22が延びる方向に沿って、隙間s1、s2内をそれぞれ他端側2dに向けて流通した後、通気窓65Bから筐体外部に放出される。
【0068】
この隙間s1、s2内の流通過程で、気体は光触媒フィルタ2Bの波板状の表裏面2a,2bに効率よく接し、光を照射されて活性化された当該表裏面2a,2b上の光触媒により効率よく浄化されることになる。筐体内に気体を流入させる通気窓63Bおよびその内側の光触媒フィルタ一端側2cとの間の空間s3は、気体の流入部11として機能し、光触媒フィルタ他端側2dと端部壁616との間の空間s4および通気窓65Bは、気体の流出部12として機能する。
【0069】
このように、筐体6Bの内部では、光触媒フィルタ2Bに対し、下側から上側に向けて光が照射され、光通過穴を通じて内外の面に光が照射されるのに対し、気体はこれに交差する軸方向(山部21および谷部22が延びている方向)に沿って表裏両面の隙間s1、s2を流通路として流通し、その過程で活性化された光触媒により気体が効率よく浄化されることになる。このような交差形態により、本発明では隙間s1、s2を小さく設定することが可能とされ、装置全体をコンパクトに構成することを可能としている。
【0070】
本実施形態でも、内部に光触媒フィルタ2B、光照射部3を配置した筐体6Bにより、外部から電源供給されれば光触媒装置として機能する一つの光触媒デバイスユニットU3が構成されている。この光触媒デバイスユニットU3に、第1実施形態や第2実施形態と同様、ユニットU3と同じく箱型の電源ケースを接続すれば、電源ケース内のバッテリ電力で駆動する装置とすることができる。
【0071】
その他の構成、変形例、作用効果等については、基本的には上述の第1実施形態、第2実施形態と同じであるため、同一構造には同一符号を付し、説明を省略する。
【0072】
次に、
図19に基づき、本発明の第3実施形態を説明する。
【0073】
本実施形態の光触媒装置1Cは、
図19に示すように、第1実施形態のユニットU1とほぼ同じ構造のユニットU4を用いて、照明装置(ランプ)として機能する光触媒装置を構成したものである。
【0074】
電源供給は、照明装置(ランプ)の電力を利用できる。ここでは、ユニットU4の筐体6の周壁61の一部を切り起こす等して、筐体6の外周面上に突出して照明用の光源90を載置する載置片75が設けられている。ユニットU4の周りには、透明なレンズ体が設けられる。レンズ筐体91のユニットU4の通気窓63、65にそれぞれ対応する位置には、外気を導入する導入口92及び排出する排気口93が設けられる。これら導入口92、排気口93には、好ましくは防塵フィルタや防光ネットが設けられる。
【0075】
尚、照明用光源90を設ける位置は、本例のように筐体周壁61ではなく、通気窓65で囲まれた筐体先端側の壁部の中央部やその他の部位に設けたものでも勿論よい。また、人感センサを設けて、センサが人を感知しない間は照明のみ消して、光触媒装置としては動作しつづけるように制御することも好ましい例である。本例の照明装置として構成した光触媒装置はトイレなどの小スペースの照明装置として用いるのに特に好適である。
【0076】
その他の構成、変形例、作用効果等については、基本的には上述の第1実施形態、第2実施形態と同じであるため、同一構造には同一符号を付し、説明を省略する。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、共通のユニットを用いて照明装置以外にも種々の装置に組み込んだりすることもでき、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。