特許第6985746号(P6985746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985746
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
   A63F7/02 304D
【請求項の数】1
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2018-216961(P2018-216961)
(22)【出願日】2018年11月20日
(65)【公開番号】特開2020-81119(P2020-81119A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】海野 達也
(72)【発明者】
【氏名】大野 治隆
(72)【発明者】
【氏名】小澤 祐士
【審査官】 手塚 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−166377(JP,A)
【文献】 特開2016−172046(JP,A)
【文献】 特開2019−141126(JP,A)
【文献】 特開2017−042221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動口への遊技球の入球に起因して抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶された最古の保留記憶が大当りとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
前記最古の保留記憶に基づき図柄を変動表示した後に当たり確定図柄を停止表示することで前記大当りとなることを報知する図柄表示手段と、
前記入球時に記憶された保留記憶について、前記大当りとなる特定の値であるか否かの先読み判定を、前記保留記憶に係る前記当否判定に先んじて実行する先読み判定手段と、
初期態様から所定の動作態様となることで前記変動表示中の図柄が前記当たり確定図柄で停止表示することを報知可能な可動役物と、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたとき、可動役物2が前記所定の動作態様とは異なった動作態様である前提段階となることを条件として、前記保留記憶に基づく変動表示が終了するまでに前記可動役物を前記所定の動作態様となるよう動作制御する役物動作制御手段と、を備えた遊技機において、
前記初期態様から、可動役物2の前記前提段階を経て前記所定の動作態様となる最終段階に至る複数種類の動作パターンを備え、
前記複数種類の動作パターンは、前記先読み判定の対象の保留記憶に係る変動表示中に、前記前提段階を前記最終段階と併せて実行するものを設け、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたときの保留記憶の個数に応じて、前記複数種類の動作パターンの内から異なる動作パターンを選択する役物動作パターン選択手段と、を更に備え、
前記役物動作制御手段は、
前記選択された動作パターンに基づいて動作制御する、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機に代表される遊技機に関するものであり、特に演出用の可動役物を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパチンコ機(パチンコ遊技機)では、発射した遊技球が始動口に入球することで乱数値(数値データ)を抽出し、該抽出した乱数値を所定の上限個数を限度とする保留記憶として記憶し、該保留記憶に係る特別図柄の変動表示の開始契機が成立すると、該保留記憶に基づいて当たりかハズレかを当否抽選によって決定し、その抽選結果を特別図柄の確定表示の表示内容によって報知してきた。
【0003】
また、現在知られる多くのパチンコ機では、特別図柄を遊技領域の端に小さく表示し、特別図柄に対応して設けられた疑似図柄(装飾図柄、或いは飾り図柄とも呼称する)を、特別図柄の変動表示に伴って変動表示することで実行される疑似演出を、遊技領域の中央に設けられた演出図柄表示装置にて大きく表示する構成にして、遊技者には、疑似演出(疑似図柄)にて抽選結果を把握させる構成としている。
【0004】
加えて、始動口への入球時に記憶した保留記憶(抽出した乱数値)に関して、特別図柄の変動開始時の当否抽選が実行される前に、該保留記憶が当たりとなるかハズレとなるかを判定(先読み判定)し、該結果に基づいて、該保留記憶の変動開始されるまでに所謂先読み演出を行って、遊技者に当たりを期待させるものも多く知られるところである。
【0005】
なお、抽選結果に対して、遊技者に期待感を与えるための方法としては、演出図柄表示装置による演出表示によるだけではなく、可動物(演出用の可動役物とも呼称する)を備え、この可動物を駆動させることによって、遊技者に抽選結果に対しての期待感を与えることが可能なパチンコ機(例えば、特許文献1)も、広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−230549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、先読み演出を実行する場合、先読み演出の対象となる保留記憶が発生した時点の保留記憶数に応じて、該対象となる保留記憶に係る変動表示が実行されるまでの演出内容は、様々なバリエーションが有る。
【0008】
しかし、このような先読み演出を備えた構成を前提としたとき、先読み演出を可動物の駆動によって違和感無く実現すると共に、一層興趣を向上させるには、未だ工夫すべき点が多かった。
【0009】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、可動役物の動作態様による先読み演出を、違和感無く且つバリエーション豊かに実行可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑みてなされた請求項1に係る発明は、 始動口への遊技球の入球に起因して抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶された最古の保留記憶が大当りとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
前記最古の保留記憶に基づき図柄を変動表示した後に当たり確定図柄を停止表示することで前記大当りとなることを報知する図柄表示手段と、
前記入球時に記憶された保留記憶について、前記大当りとなる特定の値であるか否かの先読み判定を、前記保留記憶に係る前記当否判定に先んじて実行する先読み判定手段と、
初期態様から所定の動作態様となることで前記変動表示中の図柄が前記当たり確定図柄で停止表示することを報知可能な可動役物と、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたとき、可動役物2が前記所定の動作態様とは異なった動作態様である前提段階となることを条件として、前記保留記憶に基づく変動表示が終了するまでに前記可動役物を前記所定の動作態様となるよう動作制御する役物動作制御手段と、を備えた遊技機に関するものである。
この遊技機は、初期態様から、可動役物2の前記前提段階を経て前記所定の動作態様となる最終段階に至る複数種類の動作パターンを備え、
前記複数種類の動作パターンは、前記先読み判定の対象の保留記憶に係る変動表示中に、前記前提段階を前記最終段階と併せて実行するものを設け、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたときの保留記憶の個数に応じて、前記複数種類の動作パターンの内から異なる動作パターンを選択する役物動作パターン選択手段と、を更に備え、
前記役物動作制御手段は、
前記選択された動作パターンに基づいて動作制御する、
ことを特徴とする。

【0011】
なお、本明細書で参考として開示する参考発明は、 始動口への遊技球の入球に起因して抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶された最古の保留記憶が大当りとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
前記最古の保留記憶に基づき図柄を変動表示した後に当たり確定図柄を停止表示することで前記大当りとなることを報知する図柄表示手段と、
前記入球時に記憶された保留記憶について、前記大当りとなる特定の値であるか否かの先読み判定を、前記保留記憶に係る前記当否判定に先んじて実行する先読み判定手段と、
初期態様から所定の動作態様となることで前記変動表示中の図柄が前記当たり確定図柄で停止表示することを報知可能な可動役物と、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたとき、前記保留記憶に基づく変動表示が終了するまでに前記可動役物を前記所定の動作態様となるよう動作制御する役物動作制御手段と、を備えた遊技機に関するものである。
この遊技機は、初期態様から前記所定の動作態様に至る複数種類の動作パターンと、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたときの保留記憶の個数に応じて、前記複数種類の動作パターンの内から異なる動作パターンを選択する役物動作パターン選択手段と、を更に備え、
前記役物動作制御手段は、
前記選択された動作パターンに基づいて動作制御する、
ことを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、保留記憶の個数が異なることで先読み判定の対象の保留記憶までの総変動表示回数や変動表示の総所要時間が異なるにも拘らず、常に単一の動作パターンを実行することで遊技者に違和感を与えてしまうという問題を、保留記憶の個数に応じて好適な動作パターンを選択することにより、防止することができる。
【0013】
また、先読み判定にて先読み判定の対象の保留記憶について特定の値であると判定されたときの保留記憶の個数に応じて異なる動作パターンを選択するので、先読み演出を行うとした時点の保留記憶の個数が何個であっても常に同じ動作パターンとなって面白みの無い演出となってしまうことがなく、演出のバリエーションを豊かにすることができる。
【0014】
複数種類の動作パターンは、可動役物が所定の動作態様となることを最終段階として、他の可動役物が他の所定の動作態様となること等を、最終段階に先んじた前提段階として構成され、このような前提段階を経て最終段階に至る段階的プロセスで、大当りを報知するものが好適である。
【0015】
また、先読み判定の対象の保留記憶までの変動表示中には、前記前提段階は、多くても1段階を上限として実行する構成が好適である。そして、先読み判定の対象の保留記憶に係る変動表示中には、最終段階を含んで前提段階を併せて実行するようにしても良い。
【0016】
これにより、先読み判定時の保留記憶の個数と、前提段階および最終段階の段階数と、の関係で、先読み判定の対象の保留記憶に係る変動表示中に段階的プロセスを最終段階まで完了させて帳尻を合わせることが可能となり、違和感の無い演出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施例のパチンコ機50の正面図
図2】第1実施例におけるパチンコ機50の遊技盤1の正面図
図3】第1実施例におけるパチンコ機50の背面図
図4】第1実施例におけるパチンコ機50の電気構成図
図5】第1実施例におけるパチンコ機50の主制御装置80で実行される電源投入時処理のフローチャート
図6】第1実施例におけるパチンコ機50の主制御装置80で実行されるメインルーチンの概要を示すフローチャート
図7】第1実施例における主制御装置80が行う始動入賞確認処理のフローチャート
図8】第1実施例における主制御装置80が実行する先読み判定処理のフローチャート
図9】第1実施例における主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート1
図10】第1実施例における主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート2
図11】第1実施例における主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート3
図12】第1実施例における主制御装置80が実行する当否判定処理のフローチャート4
図13】第1実施例におけるサブ統合制御装置83が実行する可動役物テスト処理のフローチャート
図14】第1実施例におけるサブ統合制御装置83が実行する役物動作演出設定処理のフローチャート
図15】第1実施例におけるサブ統合制御装置83が実行する役物動作演出実行処理のフローチャート
図16】第1実施例におけるサブ統合制御装置83が実行する役物動作演出終了処理のフローチャート
図17】第1実施例におけるタイトル役物の駆動機構を示す説明図
図18】第1実施例における(a)役物動作パターンテーブルA、(b)役物動作パターンテーブルB
図19】第1実施例における(a)役物動作パターンテーブルC、(b)役物動作パターンテーブルD
図20】第1実施例における役物動作演出の動作1を説明する動作態様図
図21】第1実施例における役物動作演出の動作2を説明する動作態様図
図22】第1実施例における役物動作演出の動作3を説明する動作態様図
図23】第2実施例における(a)役物動作パターンテーブルA
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【0019】
[第1実施例]
図1に示すように、遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
【0020】
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が稼働して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0021】
上皿55の上部ほぼ中央には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられている。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
【0022】
図2は、第1実施例のパチンコ機50の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機50の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
【0023】
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり演出図柄を表示する。)の画面6aを臨ませる窓5a等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11と第2始動口12とが配置され、センターケース5の左方には、ゲート17が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。
【0024】
遊技領域3の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、第1特別図柄保留数表示装置18と、第2特別図柄保留数表示装置19と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9および第2特別図柄表示装置10とが配置されている。
【0025】
第2始動口12の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34は、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0026】
なお、本実施例の遊技盤1には、変位可能な演出可動役物としてのタイトル役物100が設けられている。タイトル役物100は、センターケース5の上部且つ略左右中央位置を初期位置として配設される。
ここで、図17を参照して、タイトル役物100の具体的な構成について説明する。タイトル役物100は、横長矩形状の略薄板状に形成され、その前面部に本パチンコ機50の機種タイトルを象ったロゴを備えてなる。また、タイトル役物100の裏面側には、該タイトル役物100を上下方向に変位(昇降)可能とする構成として、駆動機構を備える。詳述すると、図17に示すように、タイトル役物100は、センターケース5の所定位置に固定して取り付けられたタイトル役物モータ100aを動力源として、ピニオン100cが回転駆動されることにより、タイトル役物100の裏面側の所定位置に固定して取り付けられたラック100dが平行移動することにより、タイトル役物100を上下に移動させる。なお、タイトル役物センサ100bは、ラック100dが初期位置(タイトル役物100が図2のように収納された状態)にあることを検出する。
さらに、タイトル役物100は、上記駆動機構が後述するサブ統合制御装置83に駆動制御されることによって、図2に示す位置を初期位置として、下方に向かって下降変位が可能となっている。すなわち、下降した最終位置までの下降変位を行うよう構成されている。最終位置までの下降変位は、タイトル役物100が、初期位置から変位を開始して、最終位置まで変位を行うものである。また、何れの下降変位後には、所定時間の経過後すなわち、予め定められた動作パターンの内容としての、復帰動作を実行するタイミングとなると、初期位置への戻り変位を行う。タイトル役物100の具体的な作用については、後で詳述する。
【0027】
さらに、本実施例のパチンコ機50は、可動役物として、上述したタイトル役物100に加えて、剣役物41、および、盾役物101を備える。何れの可動役物も、該可動役物の動作態様によって、先読み演出の対象となる保留記憶に係る大当りの期待度を報知するよう構成されている。
剣役物41は、図2において、該剣役物41の初期位置に配置されている。つまり、剣役物41は、センターケース5の左側縁部の後方に、視認不能に被覆された状態で収納されている。
盾役物101も、図2において、盾役物101の初期位置に配置されている。つまり、盾役物101は、センターケース5の右上側縁部に、一部が視認不能に被覆された状態で収納されている。
すなわち、図2には、本実施例の3種類の可動役物が初期位置に配置されている状態が示されている。
【0028】
パチンコ機50の裏面は図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、電源基板85には、図示しないが、電源の入切操作を行うための電源スイッチ、及び、後述するRAMクリア処理を行うためのRAMクリアスイッチが設けられている。
【0029】
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子78が設けられており、この外部接続端子78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子78には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子78を介してホールコンピュータへ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
【0030】
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0031】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。
【0032】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
【0033】
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
【0034】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。
【0035】
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータ(ホールメインコンピュータ)87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0036】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0037】
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0038】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は清算表示装置(精算表示基板)25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための貸出ボタン(球貸スイッチ)57、精算を要求するための精算ボタン(清算スイッチ)58、残高表示器59(図4には図示せず、図1参照)が接続されている。
【0039】
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
【0040】
なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
【0041】
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
【0042】
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0043】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
【0044】
また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67が接続されており、遊技者が演出ボタン67を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0045】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
【0046】
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、演出図柄(疑似図柄、擬似図柄、装飾図柄、飾り図柄とも呼称する)等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
【0047】
なお、演出図柄は、特別図柄に対応して変動表示を行い、当否判定の結果を遊技者に示す演出用の図柄である。該演出図柄の変動表示を伴って、当否判定の結果を煽る表示演出を、本実施例では疑似演出として備えている。
【0048】
また、本発明の要部として、サブ統合制御装置83には、タイトル役物モータ100a、タイトル役物センサ100b、剣役物モータ41a、剣役物センサ41b、盾役物モータ101a、盾役物センサ101b、が接続されており、センサの検出結果や主制御装置80からのコマンドに応じ、作動すべき役物に対応したモータを駆動して演出動作を行なう。
【0049】
図5を参照して、本実施例のパチンコ機50の主制御装置80による電源投入時処理について説明する。図5は、電源投入時処理のフロー図である。
【0050】
パチンコ機50の電源が投入されると、主制御装置80は、スタックポインタのポイント値を8000Hに設定し(S500)、割込みモードを設定し(S505)、内蔵RAMのアクセスを許可し(S510)、電源断のフラグをクリアする処理を実行して(S515)、S520に処理を移行する。
【0051】
なお、これらの処理は、図示しないが、電源断発生時の処理、詳しくは、電源断フラグの設定処理、RAM判定値の算出保存処理、電源断時の発生情報の保存処理、内蔵RAMのアクセス禁止処理等により構成される「電源断発生時処理」に対応した電源投入時の処理となる。
「電源断発生時処理」は、パチンコ機50への電源供給が停止される直前に記憶していた数値データを、電源供給が遮断されている状態であっても保持するための処理である。
【0052】
S520では、主制御装置80は、RAMクリアスイッチがONであるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S520:Yes)、S560に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S520:No)、S525に処理を移行する。
【0053】
S525では、主制御装置80は、電源断時の発生情報が正常であるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S525:Yes)、S530に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S525:No)、S560に処理を移行する。
【0054】
S530では、主制御装置80は、主側RAMのRAM判定値を算出し、S535に処理を移行する。
【0055】
S535では、主制御装置80は、主側RAMのRAM判定値が正常であるか否かを判定する。そして、肯定判定が得られた場合には(S535:Yes)、S540に処理を移行し、否定判定が得られた場合には(S535:No)、S560に処理を移行する。
【0056】
S540では、主制御装置80は、電源断時の発生情報をクリアし、S545に処理を移行する。
【0057】
S545では、主制御装置80は、復電時のコマンド送信処理を実行し、S550に処理を移行する。
【0058】
S520で肯定判定、S525またはS535で否定判定の場合に移行する、S560では、主制御装置80は、初期状態に戻すための処理として、記憶された電源遮断直前の情報としての、主側RAMの全てを0クリアし、S565に処理を移行する。
【0059】
S565では、主制御装置80は、各種乱数の初期値設定を行い、S570に処理を移行する。
【0060】
S570では、主制御装置80は、主側RAMの初期設定を行い、S550に処理を移行する。
【0061】
S550では、主制御装置80は、可動役物テストフラグに1を設定する処理を実行して、S555に処理を移行する。可動役物テストフラグは、1が設定されていることにより、電源投入時に行われる可動役物のテスト駆動の実行条件となるフラグである。該フラグが立っていることを、後述するメインルーチンの「各出力処理」(S60)にて判定し、肯定判定であれば、電源投入時にのみ実行が予定される可動役物のテスト駆動に係る実行を指示するコマンドを、サブ統合制御装置83に送信する処理が行われるよう構成されている。
【0062】
次いで、S555では、主制御装置80は、割込み許可設定を実行し、これによってパチンコ機50を電源遮断直前の状態に復旧して、或いは、パチンコ機50を電源遮断直前の記憶情報がクリアされた状態にして、本処理を終了し、メインルーチンに移行する。
【0063】
主制御装置80により実行されるメインルーチンを図6に従って説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S10〜S65までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS70の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
【0064】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、大抵が電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0065】
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(S70)に移行する。
【0066】
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理が実行される(S20)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「3966」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「3966」までの3967個の整数を繰り返し昇順に作成する。
【0067】
S20に続く大当り決定用乱数更新処理(S25)は、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「3966」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「3966」までの3967個の整数を繰り返し昇順に作成する。なお、大当り決定用乱数の最初の値は、初期値乱数設定処理で設定された値となる。この値が250であったとすると、大当り決定用乱数は「250」「251」「252」・・・「3966」「0」「1」・・・と更新されていく。
【0068】
なお、大当り決定用乱数が1巡(3967回、更新されること)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にし、大当り決定用乱数は、その初期値から+1するインクリメント処理を行う。そして、再び大当り決定用乱数が1巡すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行なう。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。前述の例では大当り決定用乱数が「249」になると1巡であるから、「249」の次は前記初期値乱数の値となる。仮に初期値乱数の値が「87」だったとすると、「249」「87」「88」・・・「3966」「0」「1」・・・「86」と変化していき、「86」の次は新たな前記初期値乱数の値となる。なお、通常確率状態時で大当りと判定される値の数は10で、値は「775」〜「777」「1775」〜「1777」「2774」〜「2777」であり、高確率状態時に大当りと判定される値の数は100で、値は「758」〜「777」「1314」〜「1333」「1758」〜「1777」「2758」〜「2777」「3314」〜「3333」である。
【0069】
大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)は「0」〜「99」の100個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
【0070】
S30に続く当り決定用乱数更新処理(S35)は、「0」〜「996」の997個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値は通常確率状態では31〜40、高確率状態では31〜996である。なお、この当り決定用乱数更新処理は普通図柄の抽選に使用し、その他の初期値乱数、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は特別図柄の抽選に使用する。
【0071】
リーチ判定用乱数更新処理(S40)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時にリーチとなる値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時にリーチとなる値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時にリーチとなる値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
【0072】
変動パターン決定用乱数更新処理(S45)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
【0073】
続く入賞確認処理(S50)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。
【0074】
本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を第1始動口11と第2始動口12でそれぞれ4個までとしており、保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第1始動口11又は第2始動口12に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
【0075】
続いて、大当りか否かを判定する当否判定手段としての当否判定処理(S55)を行う。この当否判定処理(S55)が終了すると、続いて画像出力処理等の各出力処理(S60)が実行される。
各出力処理(S60)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御装置81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S50)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置81に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機50に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
【0076】
なお、本実施例の各出力処理(S60)では、図示しないが上記処理に加えて、可動役物テストフラグに1が設定されているか否かの判定処理を実行し、該判定処理にて肯定判定となった場合に、電源投入時の最初の割り込み時のみに実行が予定される可動役物のテスト駆動に係る指示コマンドを、サブ統合制御装置83に送信する処理が行われる構成となっている。また、主制御装置80は、サブ統合制御装置83に対して可動役物のテスト駆動に係る指示コマンドを送信する処理と併せて、可動役物テストフラグに0を設定してクリアする処理を行う。これにより、可動役物のテスト駆動に係る指示コマンドの送信、及び該コマンドに基づいてサブ統合制御装置が実行する後述する可動役物のテスト駆動は、電源投入時のみ1回だけ実行可能に構成されている。
【0077】
続く不正監視処理(S65)は、普通入賞口(第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34)に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。
【0078】
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S70)から構成されるが、前述したS20と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S65までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図6に示された割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数に更新される値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性は極めて小さくなる。大当り決定用乱数が1巡したときの、初期値乱数の値(0〜3966の3967通り)が、同程度に発生するとすれば、同期する確率はわずか1/3967である。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S35)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
【0079】
前述のメインルーチンに設けられたS50の入賞確認処理(始動入賞確認処理)について、図7を参照して説明する。図7は、主制御装置80により実行される始動入賞確認処理のフローチャートである。主制御装置80は、第1始動口スイッチ11aの検出信号に基づいて、第1始動口11に遊技球が入球したか否かを判断する(S100)。肯定判断なら(S100:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等の各種数値データを該当の各カウンタから読み込んで、第1保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S105)。
【0080】
第1保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、上記の各乱数を第1保留記憶として記憶し、第1特別図柄保留数表示装置18の点灯数を1増加させ(S110)、S112に移行する。既に4個の第1保留記憶があれば(S105:yes)保留記憶せず、第1特別図柄保留数表示装置18の点灯数を増やすこともなくS115へ移行する。
【0081】
S112では、S110にて記憶した各種数値データ(乱数)を参照して当該保留記憶が大当りとなるか否か等を、先読み判定する先読み判定処理を実行し、S115に処理を移行する。
【0082】
第1始動口11に遊技球が入球していないと判定された場合(S100:no)もS115に進み、第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する。肯定判断(S115:yes)なら、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等の各種数値データを該当の各カウンタから読み込んで、第2保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S120)。
【0083】
第2保留記憶が満杯でなければ(S120:no)、上記の各乱数を第2保留記憶として記憶し、第2特別図柄保留数表示装置19の点灯数を1増加させ(S125)、S127に移行する。既に4個の第2保留記憶があれば(S120:yes)、第2保留を記憶せず、第2特別図柄保留数表示装置19の点灯数も増やさずに本処理を終了(リターン)する。また、第2始動口12に遊技球が入球していない場合(S115:no)も、本処理を終了する。
【0084】
S127では、S125にて記憶した各種数値データ(乱数)を参照して当該保留記憶が大当りとなるか否か等を、先読み判定する先読み判定処理を実行し、本処理を終了する。S127は、上記S112と同様の処理である。該先読み判定処理については、次に図8を参照して説明する。
【0085】
次に、新たに発生した特別図柄に係る保留記憶に関し、これに対応する大当り決定用乱数等の値と合致するか否かを判定する先読み判定処理について、図8に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、始動入賞確認処理からコールされる。
なお、本実施形態では、図8に示す処理は、上記S112、およびS127において実行される処理である。
【0086】
S150では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数の値が特定値(大当り抽選で当りとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S150:Yes)、S155に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S150:No)、S160に処理を移行する。
【0087】
S155では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数の値が上記特定値であることを示す先読みコマンド1を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
【0088】
一方、S160では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2の値が特定値(疑似演出でスーパーリーチとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S160:Yes)、S165に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S160:No)、S170に処理を移行する。
【0089】
S165では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2の値が上記特定値であることを示す先読みコマンド2を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
【0090】
また、S170では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2の値が特定値(疑似演出でノーマルリーチとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S170:Yes)、S175に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S170:No)、S180に処理を移行する。
【0091】
S175では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2の値が上記特定値であることを示す先読みコマンド3を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
【0092】
一方、S180では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数やリーチ判定用乱数や変動パターン決定用乱数1,2が、上記特定値のうちのいずれでもないことを示す先読みコマンド4を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
また、他の構成として、ハズレ図柄も複数備え、該ハズレ図柄には予め大まかな変動内容が指定されており、変動パターン決定用乱数を用いて変動パターンを選択する構成も考えられる。この場合は、大当り図柄決定用乱数ではなく、図柄決定用乱数となる。
大まかな変動内容とは、リーチを行わずにハズレる変動か、リーチを行った後にハズレる変動か、或いは、疑似連続変動(一変動中に、あたかも複数回変動したかのように見せかける変動演出)を行なう変動か、といった情報である。そして、該大まかな変動内容が、ハズレ図柄によって指定されており(例えばリーチハズレの場合は変動パターン決定用乱数にて、複数あるリーチ演出の中から選択することになる。)、これにより、図柄情報を先読みコマンドで送るだけで、サブ統合制御装置83は当否結果、及び変動内容を把握することができ、その内容によって「先読み演出」を実行するか否かを決定することができる。
先読み判定処理で判断する内容は特に限定するものではなく、「先読み演出」で行ないたい内容に合致したデータを主制御装置80が送ればよい。
【0093】
本実施形態の主制御装置80は、上述した、S155、S165、S175、およびS180の各種先読みコマンドの送信設定処理では、何れにおいても、先読みコマンドと併せて、「変動テーブル種別コマンド(情報)」を生成してサブ統合制御装置83に送信する。
「変動テーブル種別コマンド」は、現状、後述する当否判定処理(図10参照)のS250及びS260にて変動パターンを決定する際に参照する変動テーブルが、平均変動時間の異なる第1変動テーブル又は第2変動テーブルの何れに設定されている状態であるかを判断し、参照することが設定されている変動テーブルの種別を示唆するコマンドである。
本実施形態では、通常遊技状態では第1変動テーブルが、特別図柄の変動時間が短縮された時短遊技状態中には第2変動テーブルが参照されるように設定されているので、上記判定に際し、確変フラグ又は時短フラグの値を判定し、該フラグに1が設定されていれば第2変動テーブルを、0が設定されていれば第1変動テーブルを参照する状態にあると判断し、当該内容のコマンドを生成する。
なお、このような構成に限らず、参照する変動テーブル種別を示唆するフラグを個別に備えてこれを判定するようにしても良いし、参照する変動テーブル種別を示唆する情報を所定のバッファに格納して、該格納された情報を判定するようにしても良い。
【0094】
図9図12に示す当否判定処理では、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S200)。S200の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S205:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S210:no)、図10のS250に移行し、第2保留記憶(上記、S125による保留記憶)があるか否かを判断する(S250)。
【0095】
この保留記憶があれば(S250:yes)、第2保留記憶数をデクリメントし(S255)、S270に進む。第2保留記憶がなければ(S250:no)、第1保留記憶(上記、S110による保留記憶)があるか否かを判断する(S260)。第1保留記憶があれば(S260:yes)、第1保留記憶数をデクリメントし(S265)、S270に進む。
【0096】
S270では第2保留記憶(S265から移行した場合は第1保留記憶)の中で最も古いものを読み込んで(その保留記憶は消去する)、確変フラグがセットされている(すなわち1)か否かを判定する。ここで確変フラグが1とは、現在のパチンコ機50が高確率遊技状態であることを意味する。肯定判断であれば(S270:yes)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合する(S275)。ここで当り値の数は100で、758〜777、1314〜1333、1758〜1777、2758〜2777、3314〜3333である。つまり当たり確率は1/39.67となる。否定判断であれば(S270:no)、読み込んだ大当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合する(S280)。ここで当り値の数は10で、775〜777、1775〜1777、2774〜2777である。つまり当たり確率は約1/397となる。
【0097】
S275またはS280の判定に基づき、大当りか否かを判定し(S285)、肯定判定であれば(S285:yes)、大当り図柄決定用乱数によって当り図柄を決定する(S290)。こうして大当り図柄が決定すると、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定し(S295)、大当り設定処理を行う(S300)。大当り設定処理とは決定した大当り図柄によって、大当り後の遊技状態(確変や開放延長の有無等)や大当り遊技にかかる情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)を取得する処理である。なお、2ラウンド確変大当り又は2ラウンド通常大当りの場合のオープニング時間およびエンディング時間は、特別図柄の保留記憶数に応じ異なった時間が設定される。以下、2ラウンド確変大当り及び2ラウンド通常大当りを総じて2ラウンド大当りとも言う。
【0098】
S285において外れと判定された場合は、小当りか否かを判定する(S305)。小当りとは、最大0.5秒の大入賞口15の開放を2回行なうもので、その終了後には、確率変動機能、時間短縮機能、及び開放延長機能のいずれも作動しない。ただし、これは「小当りの発生・終了を契機としてこれらの機能が作動することはない」という意味であり、小当りを発生することとなった特別図柄の変動開始時の状態は維持される。すなわち、確率変動状態で該変動が開始された場合、小当り後の遊技状態は確率変動状態であり、時短状態で該変動が開始された場合には時短状態であり、開放延長状態で該変動が開始された場合には開放延長状態である。ここで大当り決定用乱数が、301〜313のときに小当りとする。つまり小当り確率は約1/305である。肯定判断であれば、小当り図柄を決定し(S310)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定する(S315)。小当り図柄の決定は、第1始動口11または第2始動口12に入球したときに取得される小当り図柄決定用乱数によって行なわれる。この乱数は0〜9の値をとり、大当り図柄決定用乱数を更新する際に更新される。小当りも外れのときは(S305:no)、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する(S320)。こうしてS315またはS320により変動パターンが設定されると、ハズレ設定処理を行なう(S325)。ハズレ設定処理では、時短回数または確変回数がプラスであれば、それぞれ−1する。
【0099】
S300又はS325に続いては、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当り、確変大当り、ラウンド数、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、小当り、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力し(S330)、特別遊技処理を行なう。なお、S330の処理により演出図柄表示装置6では演出図柄の変動表示が開始されるが、ほぼ同時に特別図柄の変動も主制御装置80によって開始される。
【0100】
図9のS205において特別図柄が変動中(S205:yes)と判定された場合には、図11のS350に移行し、図柄変動時間(S295、S315、又はS320の変動パターンに基づく)を経過したか否かを判定する。否定判定の場合(S350:no)は特別遊技処理を行う。肯定判定(S350:yes)の場合は、確定図柄を表示する設定を行い(S355)、確定表示された特別図柄が大当りになる図柄か否かを判定する(S360)。肯定判断された場合(S360:yes)は、確変フラグが1か否かを判定する(S365)。確変フラグが1であれば(S365:yes)、S370にて確変フラグを0にし、S375に移行する。確変フラグが1でなければ(S365:no)、そのままS375に移行する。S375では、時短フラグが1か否かを判定する。時短フラグが1の場合、特別図柄および普通図柄の時間短縮機能が作動していることを示す。時短フラグが1であれば(S375:yes)、S380にて時短フラグを0にし、S385に移行する。時短フラグが1でなければ(S375:no)、そのままS385に移行する。
【0101】
S385では条件装置作動開始処理により、大当りフラグをセットする。続くS390にて役物連続作動装置を作動させ、S395にて大当り開始演出処理を行なう。大当り開始演出処理では、大当り遊技を開始するコマンド及び大当り遊技に係る情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)をサブ統合制御装置83に送信する。大当り開始演出処理が終了すると、特別遊技処理を行なう。
【0102】
S360で、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示でないと判定された場合(S360:no)は、確変フラグが1か否かを判定し(S400)、1であれば(S400:yes)、確変回数が0か否かを判定する(S405)。確変回数が0であれば(S405:yes)、S410にて確変フラグを0にしてS415に進む。確変フラグが1でないとき(S400:no)又は確変回数が0ではないとき(S405:no)はそのままS415に移行する。
S415では、時短フラグが1か否かを判定し、1であれば(S415:yes)、時短回数が0か否かを判定する(S420)。時短回数が0であれば(S420:yes)、S425にて時短フラグを0にしてS430に進む。時短フラグが1でないとき(S415:no)又は時短回数が0ではないとき(S420:no)はそのままS430に移行する。
【0103】
S430では、確定表示させた特別図柄が小当りになる図柄か否かを判定する。小当りになる図柄であれば(S430:yes)、特別電動役物作動開始処理(S435)を行い、S440にて小当り開始演出処理を行なう。小当り開始演出処理では、小当り遊技を開始するコマンド及び小当り遊技に係る情報(小当りのオープニング時間、小当りのエンディング時間等)をサブ統合制御装置83に送信する。小当り開始演出処理が終了すると、特別遊技処理を実行する。S430で、小当りになる図柄でないと判定された場合は(S430:no)、そのまま特別遊技処理を実行する。
【0104】
図9のS210において確定図柄を表示中と判定された場合には、図12のS450に移行し、確定図柄の表示時間が終了したか否かを判定する。否定判断(S450:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断(S450:yes)であれば確定図柄表示処理(S455)を行なってから特別遊技処理を行う。確定図柄表示処理では、確定図柄を表示する旨のコマンド(図柄確定コマンド)をサブ統合制御装置83に出力するとともに、特別図柄表示装置9,10にコマンドを出力して確定図柄にて停止させる。
【0105】
このように、本実施例の主制御装置80による「当否判定処理」は、第1始動口11または第2始動口12への入球に起因して抽出された数値データ(乱数値)に基づいて、大当り遊技を実行するための契機である当選(当り、又は大当り)とするか否かを判定する処理である。
【0106】
また、当否判定処理による判定結果は、前述した第1特図表示装置9および第2特図表示装置10における、変動表示態様また、該変動表示の結果である確定表示態様によって表示されるようになっている。
【0107】
また、演出図柄表示装置82では、上記特別図柄に対応した疑似図柄(飾り図柄、或いは装飾図柄とも呼称する)を変動表示することで、遊技者に当否抽選の結果を煽り、また報知するものである。
【0108】
次に、図13を参照して可動役物テスト処理について説明する。可動役物テスト処理は、前述した主制御装置80による各出力処理(S60)において、可動役物テストフラグに1が設定されていると判定されたことに基づいて送信される演出可動役物のテスト駆動に係る指示コマンドを受信した場合に、サブ統合制御装置83が演出可動役物(本実施例では、タイトル役物100、剣役物41、盾役物101)のテスト駆動を実行するための処理である。
【0109】
S580で、サブ統合制御装置83は、主制御装置80から演出可動役物のテスト駆動に係る指示コマンドを受信したか否かの判定処理を実行し、肯定判定であれば(S580:yes)、S585に処理を移行し、否定判定であれば(S580:no)、本処理を終了する。
【0110】
S585で、サブ統合制御装置83は、演出可動役物のテスト駆動処理を実行して、本処理を終了する。第1実施例のS585が実行されることで、タイトル役物100、剣役物41、盾役物101は、最終位置まで変位するテスト駆動を行う。
【0111】
なお、本実施例の可動役物テスト処理では、前述したように電源投入時にのみ送信されてくるテスト駆動に係る指示コマンドを受信したときだけ、テスト駆動を実行するように構成されている。
【0112】
[役物動作演出設定処理]
次に、図14を参照して、サブ統合制御装置83が実行する、役物動作演出設定処理について説明する。
本実施例の役物動作演出設定処理は、サブ統合制御装置83が、前述した主制御装置80から先読みコマンド1または2を受信したとき、タイトル役物100、剣役物41、および盾役物101の動作演出の実行可否判定、さらに、実行するのであれば役物動作パターンを選択決定する処理である。
【0113】
先ず、S600で、サブ統合制御装置83は、主制御装置80から先読みコマンド1または2を受信したか否かの判定を行い、肯定判定であれば(S600:yes)、S605に処理を移行し、否定判定であれば(S600:no)、本処理を終了する。
先読みコマンド1または2は、上述した先読み判定処理(図8参照)の、S155またはS165にて主制御装置80から送信されるコマンドである。すなわち、本実施例では、先読み判定にて先読み判定の対象となる保留記憶に関して、大当りとなるか或いは、スーパーリーチとなると判定された場合に、S605以降の処理を実行するものである。
【0114】
S605で、サブ統合制御装置83は、役物動作フラグが0か否かを判定し(S605)、肯定判定であれば(S605:yes)、S610に処理を移行し、否定判定であれば(S605:no)、本処理を終了する。
役物動作フラグは、1が設定されていることで、本実施例の役物動作演出が実行中であることを示すフラグである。
【0115】
S610で、サブ統合制御装置83は、先読み演出として役物動作演出を実行するか否かの判定処理を実行し(S610)、S615に処理を移行する。
本実施例では、例えば、先読みコマンド1または2を受信するのに併せて、対象となる保留記憶に係る大当り決定用乱数も受信して、該乱数が所定の判定値と合致するか否かにより判定を行う構成とする。該判定処理は、大当り決定用乱数に限らず、始動入賞確認処理(図7参照)のS110またはS125で記憶した他の乱数に基づく判定としても良いし、サブ統合制御装置83が本処理に専用の乱数カウンタを備えて、該乱数カウンタにより生成した乱数に基づき判定を行う構成としても良い。
【0116】
S615で、サブ統合制御装置83は、S610の判定処理の結果を参照して役物動作演出を実行するか否かを判定し(S615)、肯定判定であれば(S615:yes)、S620に処理を移行し、否定判定であれば(S615:no)、本処理を終了する。
【0117】
S620で、サブ統合制御装置83は、役物動作パターン決定処理を実行し(S620)、S625に処理を移行する。
[役物動作パターン決定処理について]
役物動作パターン決定処理では、先ず、現在の保留記憶の個数を参照する。現在の保留個数とは、今回、主制御装置80から先読みコマンド1または2を受信する契機となった始動入賞により発生した保留記憶を含む保留個数である。例えば、変動表示中且つ保留記憶個数が2個の状態で、始動入賞して新たに抽出された乱数が保留記憶されて、先読み判定が行われて、先読みコマンド1または2がサブ統合制御装置83に送信された場合、この時点の保留記憶の個数は3個となる。
サブ統合制御装置83は、参照した保留記憶数に基づいて、後述する役物動作パターンテーブルA〜Dのうちの何れかのテーブルを選択する。
サブ統合制御装置83は、選択したテーブルを参照して、次いで、受信した先読みコマンドの種別(1または2)に応じて、予め設定された振分け率に基づいて振分け抽選を実行し、動作パターン種別(シナリオ)を選択決定する。
例えば、原時点の保留記憶の個数が3個で、先読みコマンド1を受信した場合、役物動作パターンテーブルB(図18(b)を参照)を参照する。そして、75%で動作パターンB−1が、15%で動作パターンB−2が、5%で動作パターンB−3が、さらに、何れも1%で動作パターンB−4〜B−8が、選択される。
【0118】
サブ統合制御装置83は、選択決定した動作パターン種別(シナリオ)を、固有の「動作パターン用バッファ」に格納する。該「動作パターン用バッファ」は、後述するS670(図15参照)や、S710(図16参照)にて参照される。サブ統合制御装置83は、このように参照することで、現時点すなわち現在の変動表示において、動作パターン種別(シナリオ)の予定されたどの動作種別まで完了しているか、また今回実行すべき動作種別は何れか、さらに残りの動作種別の有無等、動作種別の経過段階(進捗状況)を、把握可能となり、正確に役物動作演出の演出制御を行うことが可能となっている。
【0119】
ここで、動作パターンの内容について、図18(b)を参照して説明する。動作パターンB−1が選択された場合、現在実行中の変動表示が終了して、保留記憶3個中の最古の保留記憶が消化されて該保留記憶に基づく変動表示(変動1)を実行中に、動作種別1を行う。次いで、次に古い保留記憶が消化されて該保留記憶に基づく変動表示(変動2)を実行中に、動作種別2を行う。さらに、次に古い保留記憶(今回の先読み演出の対象となった保留記憶)が消化されて該保留記憶に基づく変動表示(変動3)を実行中に(変動表示が終了するまでに)、動作種別3を行う。そして動作種別3を行った後、可動役物の復帰処理を実行して、動作パターンB−1が終了する。
【0120】
ここで、動作種別1とは、タイトル役物100が、図2に示す初期位置から、図20に示す位置まで下降変位して停止状態を維持する動作態様である。動作種別2とは、剣役物41が、図2に示す初期位置から、図21に示す位置まで変位して停止状態を維持する動作態様である。動作種別3とは、盾役物101が、図2に示す初期位置から、図22に示す位置まで変位して停止状態を維持する動作態様である。動作種別3は、大当りの期待度の高い動作態様である。また、上記可動役物の復帰処理とは、停止状態を維持しているタイトル役物100、剣役物41、盾役物101を、初期位置へ復帰変位させる処理である。
【0121】
本実施例では、先読み演出の一形態としての役物動作演出において、動作3の動作態様となることで、大当りとなることを報知するものである。但し、動作3に至ったとしても結果的に大当りとならない、所謂ガセ演出(例えば、先読みコマンド2を受信した場合の役物動作パターンテーブルAにおける、動作パターンA−1〜A−3)も備えている。また、動作3に至っていなくても結果的に大当りとなる、レア演出(例えば、先読みコマンド1を受信した場合の役物動作パターンテーブルAにおける、動作パターンA−4〜A−8)も備えている。
【0122】
上述したように、基本的には、動作3は遊技者に大当りとなることを強く期待させる動作態様となっている。動作2は、動作3が発生することを期待させる動作態様である。さらに、動作1は、動作2が発生すること、延いては動作3まで至ることを期待させる動作態様である。本実施例では、動作3は、動作2が発生することを条件として発生する可能性を有するよう構成され、また、動作2は、動作1が発生することを条件として発生する可能性を有するよう構成される。つまり、動作1、動作2、次いで動作3の順に発生するものであって、該順序に従わずに、唐突に動作2や動作3が発生したり、動作2や動作3が発生した後に動作1が発生するようなプロセスを辿ることは無い構成となっている。
【0123】
図18および図19の役物動作パターンテーブルA〜Dは、S620の実行時の保留記憶の個数に応じて、選択される。そして、該役物動作パターンテーブルA〜Dは、それぞれ異なる内容のテーブルとして構成されている。つまり、それぞれのテーブルを構成する動作パターン種別(シナリオ)は、異なる内容となっている。すなわち、本実施例では、役物動作演出を実行する際に、その時点の保留個数に応じて、異なる役物動作パターンテーブル延いては、異なる動作パターン種別(シナリオ)が選択決定されるように構成されている。各種役物動作パターンテーブルに備えられた各種動作パターン種別(シナリオ)の具体的な内容等については、後で詳述する。
【0124】
図14に戻って、このように、S620の実行時に、保留個数に基づき、役物動作パターンテーブル種別が選択され、選択されたテーブルを参照して、先読みコマンド種別に基づき設定された振分け率に応じて、動作パターン種別が選択決定されると、続くS625において、サブ統合制御装置83は、役物動作フラグに1を設定して、本処理を終了する。
【0125】
[役物動作演出実行処理]
次に、図15を参照して、サブ統合制御装置83が実行する、役物動作演出実行処理について説明する。
本実施例の役物動作演出実行処理は、サブ統合制御装置83が、前述した主制御装置80から特図変動開始コマンドを受信したとき、役物動作演出の実行中であれば、当該変動表示に対応したタイトル役物100、剣役物41、または盾役物101の動作演出を実行する処理である。
【0126】
先ず、S650で、サブ統合制御装置83は、主制御装置80から特図変動開始コマンドを受信したか否かの判定を行い、肯定判定であれば(S650:yes)、S655に処理を移行し、否定判定であれば(S650:no)、本処理を終了する。特図変動開始コマンドは、当否判定処理(図10)のS330にて、主制御装置80から送信されるコマンドであって、特別図柄の変動開始時、つまり、最古の保留記憶が消化されて該保留記憶に基づく変動表示が開始されるときに送信されてくるコマンドである。
【0127】
S655で、サブ統合制御装置83は、役物動作フラグが1か否かの判定処理を実行し(S655)、肯定判定であれば(S655:yes)、S660に処理を移行し、否定判定であれば(S655:no)、本処理を終了する。
【0128】
S660で、サブ統合制御装置83は、当該変動表示に対応した役物動作を実行し(S660)、本処理を終了する。すなわち、サブ統合制御装置83は、上述したS620(図14)にて動作パターン種別を格納した「動作パターン用バッファ」を参照して、動作パターン種別の経過段階を判断することで、当該変動表示中に実行する動作種別が有るか否か、また有るのであれば如何なる動作種別を実行する予定であるかを判断し、該予定つまりシナリオに従って動作制御を実行する。
【0129】
[役物動作演出終了処理]
次に、図16を参照して、サブ統合制御装置83が実行する、役物動作演出終了処理について説明する。
本実施例の役物動作演出終了処理は、サブ統合制御装置83が、前述した主制御装置80から特図変動開始コマンドを受信したときから当該変動に係る変動時間が経過するタイミングが到来した場合に、当該変動表示が役物動作演出の対象となる保留記憶に基づく変動表示であるとき、変位している可動役物(タイトル役物100、剣役物41、または盾役物101)を原点復帰させて役物動作演出を終了させる処理である。
【0130】
先ず、S700で、サブ統合制御装置83は、S650(図15参照)にて主制御装置80から特図変動開始コマンドを受信した時点を起点として変動時間が経過するタイミングが到来したか否かを判定し(S700)、肯定判定であれば(S700:yes)、S705に処理を移行し、否定判定であれば(S700:no)、本処理を終了する。サブ統合制御装置83は変動時間の経過を計時するための固有のカウンタを備え、特図変動開始コマンドを受信したときに該カウンタのカウントを開始し、該変動表示の変動時間に対応したカウント値となったか否かを判定することで、変動時間満了を検出するように構成されている。このような構成に限らず他の構成によって、変動時間の終了を判定するようにしても良い。
【0131】
S705で、サブ統合制御装置83は、役物動作フラグが1か否かの判定処理を実行し(S705)、肯定判定であれば(S705:yes)、S710に処理を移行し、否定判定であれば(S705:no)、本処理を終了する。
【0132】
S710で、サブ統合制御装置83は、「動作パターン用バッファ」に格納した動作パターン種別(シナリオ)を参照して、予定された最終の動作種別が完了しているか否かの判定処理を実行し(S710)、肯定判定であれば(S710:yes)、S715に処理を移行し、否定判定であれば(S710:no)、本処理を終了する。なお、S710では、シナリオを参照して、「予定された最終の動作種別が完了しているか否か」を判定する処理に代わって、「当該変動が予定した最終の変動表示であるか否か」を判定する処理としても良い。
【0133】
S715で、サブ統合制御装置83は、動作後に姿勢を維持している可動役物に関して、原点復帰する動作を実行し(S715)、S720に処理を移行する。
S720で、サブ統合制御装置83は、役物動作フラグに0を設定し(S720)、本処理を終了する。
【0134】
[役物動作演出について]
このように、本実施例では、サブ統合制御装置83が、上述した「役物動作演出設定処理」、「役物動作演出実行処理」、「役物動作演出終了処理」を実行することで、先読み演出として役物動作演出を実行可能となっている。次いで、図18図22を参照して、本実施例の役物動作演出に関してより詳細に説明する。
先ず本実施例の役物動作演出は、先読み演出として機能する。先読み演出の対象となる保留記憶の変動表示が終了して確定表示される前に、大当りとなる期待度を可動役物の動作態様を用いて報知するものである。具体的は、大当りとなることを、「動作種別3」すなわち盾役物101による初期位置から変位して図示動作態様(図22参照)となることによって報知する構成である。
なお、このとき図22に示すように、他の可動役物(タイトル役物100、剣役物41)も初期位置から変位している。このように、本実施例では、盾役物101による「動作種別3」は、剣役物41による「動作種別2」を条件として実行可能であり、また、剣役物41による「動作種別2」は、タイトル役物100による「動作種別1」を条件として実行可能となっている。つまり、「動作種別3」は、「動作種別1」、「動作種別2」に続いて実行され、「動作種別2」や「動作種別3」が単独で実行されることはない。
但し、最終段階の「動作種別3」に至るまでに、「動作種別1」や、「動作種別1」および「動作種別2」まで完了した中途段階で終了する動作パターン種別(例えば、動作パターンA−4〜A−8、動作パターンB−4〜B−8、動作パターンC−3〜C−4、動作パターンD−2)も設けられている。これにより、期待度の高い「動作種別3」まで発展するかという期待感を遊技者に与えることができる。
【0135】
また、以下に説明する本実施例の役物動作パターンテーブルA〜Dにおいて、先読み演出の対象となる保留記憶に係る変動表示すなわち最終の変動に限って、複数の動作種別をまとめて実行可能な構成となっており、該最終の変動以外の変動表示では、1種類の動作種別のみを行うか、或いは動作を行わないよう設定されている。
この点を換言すれば、本実施例では、先読み演出の対象となる保留記憶に係る変動表示すなわち先読み演出の最終変動においては、役物動作パターン(シナリオ)に設定された動作種別について、実行されることで大当りを報知することとなる動作種別3を少なくとも含む複数種類の動作種別(動作種別3と動作種別2、或いは、動作種別3と動作種別2と動作種別1)を実行可能となっている(動作種別3単独の実行も可能)。これに対して、該最終変動以外の、つまりそれ以前に実行される他の変動表示において、その変動表示中に実行される動作種別は、多くても1種類の動作種別を超えないように構成されている。このように構成されることで、最終変動に至るまでに、動作種別1または、動作種別1および動作種別2を未実行のシナリオであっても、最終変動にて、動作種別3を含めて残りの全ての動作種別を一括して実行することで、帳尻を合わせることが可能である。
なお、本実施例では、最終変動のみを、複数の動作種別の実行可能な構成としたが、最終変動および、最終変動の一つ前の変動表示も、複数の動作種別を実行可能な構成としても良い。これにより帳尻を合わせるシナリオを設定する上で、自由度が向上する。
本実施例では、先読みコマンド1を受信時に、当該構成を前提とした場合、つまり役物動作演出の「1変動につき1動作」という実行状態を基本としたとき、動作種別1〜3を完了させる上で最も無理なく実現できるのは、保留個数が3個の場合に選択される役物動作パターンテーブルBの、動作パターンB−1である。
【0136】
但し本実施例では、保留個数が4個すなわち動作種別の個数より1個多い場合には、例えば動作パターンA−1のように、役物動作演出が開始されても、シナリオの最初の段階である動作種別1を、変動1では実行せず、変動2となってから実行するようにして、遊技者に違和感を与えないようにしている。
また、保留個数が2個すなわち動作種別の個数より1個少ない場合には、例えば動作パターンC−1のように、役物動作演出が開始されると、シナリオの最初の段階である動作種別1を、変動1で実行して、最終変動となる変動2となると、残りの変動種別2、および3を一括で実行するようにして、遊技者に可能な限り違和感を与えないようにしつつ、最終変動でシナリオの帳尻を合わせることで役物動作演出を完了させるように構成されている。
さらに、保留個数が1個すなわち動作種別の個数より2個少ない場合には、例えば動作パターンD−1のように、役物動作演出が開始されて、即時、最終変動となる変動1となると、シナリオを構成する全ての変動種別すなわち、動作種別1、2、および3を一括で実行するようにして、遊技者に衝撃的な興趣を与えつつ、最終変動でシナリオの帳尻を合わせることで役物動作演出を完了させるように構成されている。
【0137】
このように、本実施例では、保留個数の多寡に応じて、異なるシナリオとなる動作パターン種別を選択決定する。これにより、先読み演出の対象となる保留記憶に係る変動表示を実行するまでの過程において、変動表示回数換言すれば、先読みの対象となる保留記憶の変動表示が行われるまでの期間が異なることになる。しかし、この異なる期間に対応して、画一的な動作パターンではなく、対応した異なる動作パターンを選択することで、演出上の違和感を遊技者に与えることを防止できる。
また、異なる保留記憶の個数に対応した内容の、異なる動作パターン種別を選択することで、可動役物が所定の動作態様となって大当りとなることの報知を、確実に完了させることができる。すなわち、動作種別1、2の実行完了を条件として実行される動作種別3を、確実に実行することが可能となる。
さらに、保留個数の多寡に応じて、異なる動作パターン種別が選択決定されることで、演出のバリエーションが豊かとなり、興趣が向上する。
【0138】
[役物動作パターンテーブルAについて]
図18(a)を参照して、サブ統合制御装置83が具備する、本実施例の役物動作パターンテーブルAについて説明する。
役物動作パターンテーブルAは、主制御装置80から、先読みコマンド1または2を受信した場合に(図14のS600を参照)、また、役物動作パターン決定処理(図14のS620)の実行時における保留記憶の個数が、「4個」の場合に参照するテーブルである。
役物動作パターンテーブルAには、動作パターンA−1〜A−8が設けられている。動作パターンA−1〜A−8は、受信した先読みコマンドの種別に応じて異なる振分け率にて選択される。すなわち、先読みコマンド1(大当り)の場合の振分け率は、動作パターンA−1は75%、動作パターンA−2は15%、動作パターンA−3は5%、動作パターンA−4〜A−8は何れも1%、となっている。すなわち、大半は動作パターンA−1〜A−3が、なかでも、動作パターンA−1が高い確率で選択される。また、先読みコマンド2(スーパーリーチ)の場合の振分け率は、動作パターンA−1〜A−3は何れも1%、動作パターンA−4は45%、動作パターンA−5は22%、動作パターンA−6〜A−8は何れも10%、となっている。すなわち、大半は動作パターンA−4〜A−8が、なかでも、動作パターンA−4が比較的高い確率で選択される。
【0139】
役物動作パターンテーブルAの各動作パターンの内容について以下に説明する。なお、図示した変動1は最古の保留記憶に係る変動表示を、変動2は次に古い保留記憶に係る変動表示を、変動3は3番目に古い保留記憶に係る変動表示を、変動4は4番目に古いすなわち先読み演出の対象となる保留記憶に係る変動表示を、示している。また、図示した「―」は、当該変動表示中に、役物動作演出中であるが可動役物の動作を行わないことを示唆している。さらに、何らかの動作種別が実行されると、復帰(原点復帰)制御が行われるまではその姿勢を維持するよう構成されている。
動作パターンA−1は、変動1で動作せず、変動2で動作種別1、変動3で動作種別2、変動4で動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−2は、変動1〜2で動作せず、変動3で動作種別1、変動4で動作種別2、動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−3は、変動1〜3で動作せず、変動4で動作種別1、動作種別2、動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−4は、変動1で動作せず、変動2で動作種別1、変動3で動作種別2、変動4で動作せずに、動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−5は、変動1〜2で動作せず、変動3で動作種別1、変動4で動作種別2、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−6は、変動1〜3で動作せず、変動4で動作種別1、動作種別2、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−7は、変動1〜2で動作せず、変動3で動作種別1、変動4で動作せずに、動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−8は、変動1〜3で動作せず、変動4で動作種別1、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
【0140】
役物動作パターンテーブルAの各種動作パターン種別は、何れも、変動1では動作を実行しないよう設定されている。変動1で動作しなくても、変動2以降で動作種別1〜3までが実行されて大当りの期待度が高い先読み演出が行われる場合がある。これにより、今回の変動表示にて何ら動作種別が行われなかった場合でも、次の変動から役物動作演出が展開するかもしれない、という期待を遊技者に与えることができる。
また、動作パターンA−1に対して、動作パターンA−2や動作パターンA−3は、同様に変動4において結果的に動作種別3を行うものであるが、役物動作演出の最初のステップである動作種別1を実行する変動表示が、変動3や変動4まで遅延して実行される。これにより、動作種別3までを行うシナリオを完結させる(帳尻を合わせる) ために、変動4では複数の動作種別を一括して実行するよう設定されている。
【0141】
[役物動作パターンテーブルBについて]
図18(b)を参照して、サブ統合制御装置83が具備する、本実施例の役物動作パターンテーブルBについて説明する。
役物動作パターンテーブルBは、主制御装置80から、先読みコマンド1または2を受信した場合に(図14のS600を参照)、また、役物動作パターン決定処理(図14のS620)の実行時における保留記憶の個数が、「3個」の場合に参照するテーブルである。
役物動作パターンテーブルBには、動作パターンB−1〜B−8が設けられている。動作パターンB−1〜B−8は、受信した先読みコマンドの種別に応じて異なる振分け率にて選択される。すなわち、先読みコマンド1(大当り)の場合の振分け率は、動作パターンB−1は75%、動作パターンB−2は15%、動作パターンB−3は5%、動作パターンB−4〜B−8は何れも1%、となっている。すなわち、大半は動作パターンB−1〜B−3が、なかでも、動作パターンB−1が高い確率で選択される。また、先読みコマンド2(スーパーリーチ)の場合の振分け率は、動作パターンB−1〜B−3は何れも1%、動作パターンB−4は45%、動作パターンB−5は22%、動作パターンB−6〜B−8は何れも10%、となっている。すなわち、大半は動作パターンB−4〜B−8が、なかでも、動作パターンB−4が比較的高い確率で選択される。
【0142】
役物動作パターンテーブルBの各動作パターンの内容について以下に説明する。なお、図示した変動1は最古の保留記憶に係る変動表示を、変動2は次に古い保留記憶に係る変動表示を、変動3は3番目に古いすなわち先読み演出の対象となる保留記憶に係る変動表示を、示している。
動作パターンB−1は、変動1で動作種別1、変動2で動作種別2、変動3で動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンB−2は、変動1で動作せず、変動2で動作種別1、変動3で動作種別2、動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンB−3は、変動1〜2で動作せず、変動3で動作種別1、動作種別2、動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンB−4は、変動1で動作種別1、変動2で動作種別2、変動3で動作せずに、動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンB−5は、変動1で動作せず、変動2で動作種別1、変動3で動作種別2、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンB−6は、変動1〜2で動作せず、変動3で動作種別1、動作種別2、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンB−7は、変動1で動作せず、変動2で動作種別1、変動3で動作せずに、動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンB−8は、変動1〜2で動作せず、変動3で動作種別1、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
【0143】
役物動作パターンテーブルBの各種動作パターン種別も、変動1で動作しなくても、変動2以降で動作種別1〜3までが実行されて大当りの期待度が高い先読み演出が行われる場合がある。これにより、今回の変動表示にて何ら動作種別が行われなかった場合でも、次の変動から役物動作演出が展開するかもしれない、という期待を遊技者に与えることができる。
また、動作パターンB−1に対して、動作パターンB−2や動作パターンB−3は、同様に変動3において結果的に動作種別3を行うものであるが、役物動作演出の最初のステップである動作種別1を実行する変動表示が、変動2や変動3まで遅延して実行される。これにより、動作種別3までを行うシナリオを完結させる(帳尻を合わせる) ために、変動3では複数の動作種別を一括して実行するよう設定されている。
【0144】
[役物動作パターンテーブルCについて]
図19(a)を参照して、サブ統合制御装置83が具備する、本実施例の役物動作パターンテーブルCについて説明する。
役物動作パターンテーブルCは、主制御装置80から、先読みコマンド1または2を受信した場合に(図14のS600を参照)、また、役物動作パターン決定処理(図14のS620)の実行時における保留記憶の個数が、「2個」の場合に参照するテーブルである。
役物動作パターンテーブルCには、動作パターンC−1〜C−4が設けられている。動作パターンC−1〜C−4は、受信した先読みコマンドの種別に応じて異なる振分け率にて選択される。すなわち、先読みコマンド1(大当り)の場合の振分け率は、動作パターンC−1は79%、動作パターンC−2は19%、動作パターンC−3〜C−4は何れも1%、となっている。すなわち、大半は動作パターンC−1〜C−3が、なかでも、動作パターンC−1が高い確率で選択される。また、先読みコマンド2(スーパーリーチ)の場合の振分け率は、動作パターンC−1〜C−2は何れも1%、動作パターンC−3は79%、動作パターンC−4は19%、となっている。すなわち、大半は動作パターンC−3〜C−4が、なかでも、動作パターンC−3が比較的高い確率で選択される。
【0145】
役物動作パターンテーブルCの各動作パターンの内容について以下に説明する。なお、図示した変動1は最古の保留記憶に係る変動表示を、変動2は2番目に古いすなわち先読み演出の対象となる保留記憶に係る変動表示を、示している。
動作パターンC−1は、変動1で動作種別1、変動2で動作種別2、動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンC−2は、変動1で動作せず、変動2で動作種別1、動作種別2、動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンC−3は、変動1で動作種別1、変動2で動作種別2、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンC−4は、変動1で動作せず、変動2で動作種別1、動作種別2、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
【0146】
役物動作パターンテーブルCの各種動作パターン種別も、変動1で動作しなくても、変動2以降で動作種別1〜3までが実行されて大当りの期待度が高い先読み演出が行われる場合がある。これにより、今回の変動表示にて何ら動作種別が行われなかった場合でも、次の変動から役物動作演出が展開するかもしれない、という期待を遊技者に与えることができる。
また、動作パターンC−1に対して、動作パターンC−2は、同様に変動2において結果的に動作種別3を行うものであるが、役物動作演出の最初のステップである動作種別1を実行する変動表示が、変動2まで遅延して実行される。これにより、動作種別3までを行うシナリオを完結させる(帳尻を合わせる) ために、変動2では複数の動作種別を一括して実行するよう設定されている。
【0147】
[役物動作パターンテーブルDについて]
図19(b)を参照して、サブ統合制御装置83が具備する、本実施例の役物動作パターンテーブルDについて説明する。
役物動作パターンテーブルDは、主制御装置80から、先読みコマンド1または2を受信した場合に(図14のS600を参照)、また、役物動作パターン決定処理(図14のS620)の実行時における保留記憶の個数が、「1個」の場合に参照するテーブルである。
役物動作パターンテーブルDには、動作パターンD−1〜D−2が設けられている。動作パターンD−1〜D−2は、受信した先読みコマンドの種別に応じて異なる振分け率にて選択される。すなわち、先読みコマンド1(大当り)の場合の振分け率は、動作パターンD−1は99%、動作パターンD−2は1%、となっている。すなわち、大半は動作パターンD−1が高い確率で選択される。また、先読みコマンド2(スーパーリーチ)の場合の振分け率は、動作パターンD−1は1%、動作パターンD−2は99%、となっている。すなわち、大半は動作パターンD−2が高い確率で選択される。
【0148】
役物動作パターンテーブルDの各動作パターンの内容について以下に説明する。なお、図示した変動1は最古の、且つ先読み演出の対象となる保留記憶に係る変動表示を、示している。
動作パターンD−1は、変動1で動作種別1、動作種別2、動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンD−2は、変動1で動作種別1、動作種別2、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
【0149】
本実施例の構成を換言すると、先読み判定に基づく役物動作演出を、複数の段階を経て予め定められた最終状態(形態、位置)に到達したことによって大当りとなる旨を示唆することを前提として、先読み演出開始時の保留個数に応じて複数種類のプロセスから、役物動作演出を実行する上で好適な何れかのプロセスを選択し、実行するものである。
【0150】
[第2実施例]
次に第2実施例について説明する。第2実施例は前述した第1実施例と略同様の構成を備えており、当該同様の構成に係る図面及び説明は第1実施例を援用することで、割愛するものとする。具体的には、第1実施例の図18(a)に対して、第2実施例の図23(a)を示して、主にこの相違点について説明する。
【0151】
図23は、第2実施例における(a)役物動作パターンテーブルAを示す図である。第2実施例の役物動作パターンテーブルAは、上述した第1実施例の役物動作パターンテーブルAとの相違点として、動作パターンA−9〜A−12を新たに備えている。
また、本実施例では、最終変動となる変動4に限らず、他の変動においても、当該1変動中に複数の動作種別を実行可能な構成となっている。
さらに、図示するのみで詳述を避けるが、振分け率についても、第1実施例の役物動作パターンテーブルAとは異なる設定となっている。
【0152】
[第2実施例の動作パターンA−9〜A−12について]
図23(a)を参照して、本実施例の役物動作パターンテーブルAが備える、動作パターンA−9〜A−12の内容について以下に説明する。
動作パターンA−9は、変動1で動作種別1、変動2で動作種別2、変動3で動作せず、変動4で動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−10は、変動1で動作せず、変動2で動作種別1、および動作種別2、変動3で動作せず、変動4で動作種別3、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−11は、変動1で動作種別1、動作種別2および動作種別3、変動2で動作せず、変動3で動作せず、変動4で動作せずに、動作済み可動役物の原点復帰動作が実行される。
動作パターンA−12は、変動1で動作種別1、変動2で動作種別2、および動作済み可動役物の原点復帰動作が実行され、役物動作演出が終了する。
【0153】
動作パターンA−9は、第1実施例の各種動作パターンとは異なり、変動1で動作種別1を実行する。保留個数(4個)が、動作種別の個数(3個)よりも1個多いので、変動3にて動作を実行しないようにして、最終変動で動作種別3を実行して完了させるよう構成している。これにより、役物動作演出の途中段階で一旦何も実行されない変動表示が行われても、後の変動表示でプロセスが再開するかもしれない、という期待を遊技者に与えることができる。
動作パターンA−10は、第1実施例の各種動作パターンとは異なり、最終変動以外の変動表示中であっても、複数の動作種別を1回の変動表示中に実行可能となっている。つまり、変動2において、動作種別1および2を一括して実行可能となっている。併せて、変動1および3では動作種別を実行しない。このように構成することで、最終変動にて動作種別3の前提となる条件の実現が、一層容易となり、遊技者に高い期待を抱かせることができる。
動作パターンA−11は、変動1にて、動作種別1〜3までを全て実行する。このように、最初の変動に限らず、最終変動となる前に、動作種別3までの動作を終了させて、早期に大当りとなる旨の報知を行うことで、より多い変動表示に亘って、遊技者に達成感を与えることができる。
動作パターンA−12は、変動1にて動作種別1を、変動2にて動作種別2を実行するとそれ以上発展させず、さらに動作済み可動役物を原点復帰させる。該パターンを先読みコマンド1の場合にも選択可能に設定するとで、役物動作演出が完全に終了したと遊技者が思っている変動4にて大当りとなるため、遊技者に驚きと喜びを提供することができ、さらに、同様に可動役物を原点復帰した場合でも遊技者に期待感を抱かせることができる。
【0154】
第1実施例では、上述したように、最終変動のみを、複数の動作種別の実行可能な構成としたが、第2実施例では、動作パターンA−10やA−11に示すように、最終変動よりも前に実行される変動表示においても、複数の動作種別を実行可能な構成としている。これにより帳尻を合わせるシナリオを設定する上で、自由度が向上する。
【0155】
[変形例1]
上述した第1実施例および第2実施例の変形例1について以下に説明する。
第1実施例および第2実施例では、動作種別1を行うタイトル役物100、動作種別2を行う剣役物41、動作種別3を行う盾役物101、の3種類の可動役物を備えた。そして、結果的には、盾役物101による動作種別3が実行されることで、先読み判定の対象となる保留記憶が大当りとなることを報知可能な構成を例示した。この前提として、動作種別3は、動作種別2の実行を条件として実行可能であり、さらに、動作種別2は、動作種別1の実行を条件として実行可能とした。
したがって、第1実施例および第2実施例のパチンコ機50は、
始動口への遊技球の入球に起因して抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶された最古の保留記憶が大当りとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
前記最古の保留記憶に基づき図柄を変動表示した後に当たり確定図柄を停止表示することで前記大当りとなることを報知する図柄表示手段と、
前記入球時に記憶された保留記憶について、前記大当りとなる特定の値であるか否かの先読み判定を、前記保留記憶に係る前記当否判定に先んじて実行する先読み判定手段と、
初期態様1から所定の動作態様1(動作種別2)に動作可能な可動役物1(剣役物41)と、前記可動役物1が前記所定の動作態様1となることを条件として、初期態様2から所定の動作態様2に動作可能であって、前記所定の動作態様2(動作種別3)となることで前記変動表示中の図柄が前記当たり確定図柄で停止表示することを報知可能な可動役物2(盾役物101)と、を少なくとも備える可動役物群(タイトル役物100、剣役物41、盾役物101)と、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたとき、前記保留記憶に基づく変動表示が終了するまでに、少なくとも前記可動役物1を前記所定の動作態様1とし、前記可動役物2を前記所定の動作態様2となるよう動作制御する役物動作制御手段と、を備えた遊技機において、
少なくとも前記可動役物1を前記初期態様1から前記所定の動作態様1とし、前記可動役物2を前記初期態様2から前記所定の動作態様2に至る複数種類の動作パターンと、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたときの保留記憶の個数に応じて、前記複数種類の動作パターンの内から異なる動作パターンを選択する役物動作パターン選択手段と、を更に備え、
前記役物動作制御手段は、
前記選択された動作パターンに基づいて動作制御する、
ことを特徴とする遊技機、である。
【0156】
このように第1実施例および第2実施例では、複数の可動役物で構成される可動役物群を備えていて、そのうち、少なくとも可動役物1が動作態様1となることを条件として、可動役物2が動作態様2となることで、大当り報知を行う複数種類の動作パターンを備えて、先読み演出を実行する時点の保留記憶の個数に対応して、異なる動作パターンを選択する、よう構成する。これにより、可動役物群による動作態様によって先読み判定の結果を報知する際、保留記憶の個数に対応した動作パターンを、複数種類の動作パターンから選択して実行するので、単一的ではなく、バリエーションに富んだ先読み演出を行うことができる。
【0157】
このような第1実施例および第2実施例の構成に対して、変形例1のパチンコ機では、可動役物を単数として、該可動役物が備える複数の可動部が各々所定の動作態様となることが可能な構成とする。
すなわち、変形例1のパチンコ機50は、
始動口への遊技球の入球に起因して抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶された最古の保留記憶が大当りとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
前記最古の保留記憶に基づき図柄を変動表示した後に当たり確定図柄を停止表示することで前記大当りとなることを報知する図柄表示手段と、
前記入球時に記憶された保留記憶について、前記大当りとなる特定の値であるか否かの先読み判定を、前記保留記憶に係る前記当否判定に先んじて実行する先読み判定手段と、
初期態様1から所定の動作態様1(動作種別2に相当)に動作可能な可動部1と、前記可動部1が前記所定の動作態様1となることを条件として、初期態様2から所定の動作態様2(動作種別3に相当)に動作可能な可動部2と、を少なくとも具備すると共に、前記可動部2が前記所定の動作態様2(動作種別3)となることで前記変動表示中の図柄が前記当たり確定図柄で停止表示することを報知可能な可動役物と、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたとき、前記保留記憶に基づく変動表示が終了するまでに、少なくとも前記可動部1を前記所定の動作態様1とし、前記可動部2を前記所定の動作態様2となるよう動作制御する役物動作制御手段と、を備えた遊技機において、
少なくとも前記可動部1を前記初期態様1から前記所定の動作態様1とし、前記可動部2を前記初期態様2から前記所定の動作態様2に至る複数種類の動作パターンと、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたときの保留記憶の個数に応じて、前記複数種類の動作パターンの内から異なる動作パターンを選択する役物動作パターン選択手段と、を更に備え、
前記役物動作制御手段は、
前記選択された動作パターンに基づいて動作制御する、
ことを特徴とする遊技機、である。
【0158】
このように変形例1では、可動役物が少なくとも複数の可動部(例えば、可動部1と可動部2)を備えていて、そのうち、少なくとも可動部1が動作態様1となることを条件として、可動部2が動作態様2となることで、大当り報知を行う複数種類の動作パターンを備えて、先読み演出を実行する時点の保留記憶の個数に対応して、異なる動作パターンを選択する、よう構成する。これにより、可動役物に設けられた可動部1の動作を前提とした可動部2による動作態様によって先読み判定の結果を報知する際、保留記憶の個数に対応した動作パターンを、複数種類の動作パターンから選択して実行するので、単一的ではなく、バリエーションに富んだ先読み演出を行うことができる。
【0159】
[変形例2]
次に、第1実施例および第2実施例の変形例2について以下に説明する。
変形例2のパチンコ機50は、
遊技を統括制御する主制御手段と、
前記主制御手段から送信されるコマンドに基づいて各種演出の制御を行うサブ制御手段と、
特別図柄を表示する図柄表示装置と、
前記特別図柄に対応する疑似図柄を表示すると共に演出表示を行う演出表示装置と、を備え、
前記主制御手段は、
始動口への遊技球の入球に起因して抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶された最古の保留記憶が大当りとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、
前記図柄表示装置にて前記最古の保留記憶に基づき前記特別図柄を変動表示した後に当たり確定図柄を停止表示することで前記大当りとなることを報知する図柄表示手段と、
前記入球時に記憶された保留記憶について、前記大当りとなる特定の値であるか否かの先読み判定を、前記保留記憶に係る前記当否判定に先んじて実行する先読み判定手段と、を備え、
前記サブ制御手段は、
前記演出表示装置を表示制御する演出表示制御手段と、
初期態様1から所定の動作態様1(動作種別2)に動作可能な可動役物1(剣役物41)と、前記可動役物1が前記所定の動作態様1となることを条件として、初期態様2から所定の動作態様2に動作可能であって、前記所定の動作態様2(動作種別3)となることで前記変動表示中の前記特別図柄が前記当たり確定図柄で停止表示することを報知可能な可動役物2(盾役物101)と、を少なくとも備える可動役物群(タイトル役物100、剣役物41、盾役物101)と、を動作制御し、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたとき、前記保留記憶に基づく変動表示が終了するまでに、前記演出表示装置にて前記先読み判定の結果を報知する先読み演出表示を行う先読み演出表示手段と、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたとき、前記保留記憶に基づく変動表示が終了するまでに、少なくとも前記可動役物1を前記所定の動作態様1とし、前記可動役物2を前記所定の動作態様2となるよう動作制御する役物動作制御手段と、を備えた遊技機において、
前記サブ制御手段は、
少なくとも前記可動役物1を前記初期態様1から前記所定の動作態様1とし、前記可動役物2を前記初期態様2から前記所定の動作態様2に至る複数種類の動作パターンと、
前記先読み判定の対象の保留記憶について前記特定の値であると判定されたときの保留記憶の個数に応じて、前記複数種類の動作パターンの内から、前記先読み演出表示の報知(内容や時期)に合致した異なる動作パターンを選択する役物動作パターン選択手段と、を更に備え、
前記役物動作制御手段は、
前記選択された動作パターンに基づいて動作制御する、
ことを特徴とする遊技機、である。
【0160】
このように変形例2では、サブ制御手段により制御される演出表示装置において先読み演出表示を行う構成を前提として、これに加えて、先読み判定結果に基づく大当り報知を、結果的に可動役物2が所定の動作態様2となることにより実現する役物動作制御手段を備えており、役物動作パターン選択手段は、保留記憶の個数に応じて動作パターンを選択する構成である。さらに、該動作パターンは、演出表示装置で実行される先読み演出表示の内容や実行時期に対して齟齬のない、異なる動作パターンが選択されるものである。したがって、演出表示装置で展開される先読み演出表示と、可動役物の役物動作による演出とが、違和感なく調和した演出を実現することができる。このような構成は、具体的には、役物の動作パターンと、演出表示の演出パターンを予め、関連付けて1つのパターンとして設けておき、このようなパターンを複数種類具備したパターンテーブルから、所定の振分け処理によって選択するよう構成する方法が好ましい。
【0161】
以上、本発明に係る実施形態として、複数の実施例を示して説明してきたが、これに限定することなく、本発明の技術思想の範疇であれば、他の構成を採用しても構わない。
【0162】
なお、上述した実施例では、役物動作演出設定処理(図14のS600参照)にて、先読みコマンド1および2を受信したときに限定して、役物動作演出を実行する可能性を有するよう構成したが、これに限定しない。他の先読みコマンド3、4を受信した場合を含めて行う構成でもよい。これにより、役物動作演出を、あまり期待出来ないノーマルリーチ等の、対象となる保留記憶が大当りとならない場合でも実行する機会が増加し、興趣が向上する。
【0163】
また、上述した実施例では、盾役物101による動作種別3(図22参照)が結果的に実行されることをもって、大当りとなることの報知を行うものとし、動作種別3は動作種別2の実行完了を条件として実行可能で、動作種別2は動作種別1の実行完了を条件として実行可能な構成を例示した。つまり、動作種別3や、動作種別2が、前提の条件を満たすことなく唐突に実行されることが無い構成となっていた。しかし、これに限定せず、結果的に動作種別3が実行されると大当りを報知する構成で、唐突に動作種別2や、動作種別3が実行されるような構成としても良い。これにより、いきなり期待度の高い動作種別が実行される場合を発生可能となり、演出が多彩となり興趣が向上する。
【0164】
変形例2では、演出表示装置にて先読み演出表示を行うものとし、該先読み演出表示との齟齬が無い内容で、且つ、保留記憶の個数に応じた動作パターンが選択される構成を例示したがこれに限定しない。例えば、先読み演出の他の例として、保留図柄を変化させる保留先読み演出等に対応して、該演出の内容に合致するよう予め設定された動作パターンを選択するように構成しても良い。さらに、保留先読み演出と演出表示装置にて実行される先読み演出表示とを実行する構成を前提として、これらの演出に対応した役物動作演出を行うようにしても良い。これにより、先読み判定の結果を受けて実行される複数種類の演出が、相互に協調して違和感を遊技者に与えることがない。
【0165】
複数の可動役物として、3種類の可動役物を備えた構成を例示したが、3種類の限定する必要はなく、複数種類であれば他の個数としても良い。また、可動役物を単数設ける構成で、該可動役物に、複数種類の可動部が設けられる構成であっても良い。該複数種類の可動部が、各々所定の動作態様となるようにしても良い。
また、所定の動作態様として、可動役物の変位する場合を例示したが、他の動作態様を為すものでも良い。可動役物がA地点からB地点に変位する、といった構成だけではなく、可動役物が内外に備える回転軸により回転変位したり、或いは振動変位や往復変位したり、する構成でも良い。
【0166】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0167】
第1始動口11および第2始動口12が、始動口の一例に相当する。
始動入賞確認処理(図7)の第1抽出乱数保留記憶処理(S112)及び第2抽出乱数保留記憶処理(S125)が、保留記憶手段の一例に相当する。
主制御装置80が実行する当否判定処理(図10)のS275、S280、およびS285が、当否判定手段の一例に相当する。
第1特図表示装置9および第2特図表示装置10が、図柄表示手段の一例に相当する。
主制御装置80が実行する始動入賞確認処理(図7)のS112およびS127、の先読み判定処理(図8)が、先読み判定手段の一例に相当する。
盾役物101が可動役物の一例に、また、図22に示した動作3(動作種別3)が所定の動作態様の一例に相当する。
役物動作演出設定処理(図14)、役物動作演出実行処理(図15)、及び役物動作演出終了処理(図16)が、役物動作制御手段の一例に相当する。
パチンコ機50が、遊技機の一例に相当する。
役物動作パターンA−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3、C−1、C−2、D−1、が、複数種類の動作パターンの一例に相当する。
役物動作演出設定処理(図14)の役物動作パターン決定処理(S620)が、役物動作パターン選択手段の一例に相当する。
【符号の説明】
【0168】
11:第1始動口 12:第2始動口 66:スピーカ
80:主制御装置 83:サブ統合制御装置
41:剣役物 100:タイトル役物 101:盾役物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23