(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6985755
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置及びそれを用いた非常用発電機の負荷試験方法
(51)【国際特許分類】
H02H 3/08 20060101AFI20211213BHJP
H02J 9/04 20060101ALI20211213BHJP
H02J 9/08 20060101ALI20211213BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
H02H3/08 L
H02J9/04
H02J9/08
H02H3/16 B
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-117694(P2020-117694)
(22)【出願日】2020年7月8日
【審査請求日】2020年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】520251287
【氏名又は名称】株式会社ジン・プロダクトライン
(74)【代理人】
【識別番号】100148688
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 裕行
(72)【発明者】
【氏名】安富 祐二
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴行
【審査官】
辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−197257(JP,A)
【文献】
国際公開第2018/225152(WO,A1)
【文献】
特開2015−087276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08
H02J 9/04
H02J 9/08
H02H 3/16
G01R 31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常用発電機から給電される非常用電気設備に過電流または漏洩電流が発生したときに給電を遮断する常設真空遮断器を備えた電気施設について、前記非常用発電機の負荷試験を行う際、入力端が前記非常用発電機と前記常設真空遮断器との間に接続され出力端が負荷試験機に接続される仮設受電装置であって、
前記非常用発電機で生成された高電圧を低電圧に変圧する変圧器と、前記非常用発電機で生成された高電流を低電流に変流する変流器と、前記非常用発電機から給電される前記負荷試験機に過電流または漏洩電流が発生したとき給電を遮断するための仮設真空遮断器とを備え、
前記変圧器、前記変流器、前記仮設真空遮断器が夫々別々の携行可能なケースに収容され、各ケース内の変圧器、変流器、仮設真空遮断器が接続ケーブルによって電気的に連結切離自在となっている、ことを特徴とする非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置。
【請求項2】
前記各ケースに、着脱自在な制御ケーブルを介して制御ユニットが接続され、
該制御ユニットの内部に、前記非常用発電機の負荷試験中に漏洩電流が発生したとき前記仮設真空遮断器をオンからオフにする地絡継電器、前記非常用発電機の負荷試験中に過電流が発生したとき前記仮設真空遮断器をオンからオフにする過電流継電器、通常時に前記仮設真空遮断器をオンからオフに切り替えるために必要な電力が充電され停電時に前記仮設真空遮断器をオンからオフに切り替える引き外しコンデンサ、前記変圧器で低電圧に変圧された電圧および前記変流器で低電流に変流された電流が入力されるマルチ計測器が収容されている、ことを特徴とする請求項1に記載の仮設受電装置。
【請求項3】
前記接続ケーブルが、三相交流のuケーブル、vケーブル、wケーブルから成り、これらuケーブル、vケーブル、wケーブルに、各ケーブルの間隔を保持すると共に各ケーブルと前記各ケースの内面との間隔を保持するスペーサが装着されており、該スペーサおよび前記接続ケーブルが前記各ケース内に収容されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置。
【請求項4】
前記ケース同士がロック機構によって互いに機械的に連結切離自在となっている、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置。
【請求項5】
非常用発電機から給電される非常用電気設備に過電流または漏洩電流が発生したときに給電を遮断する常設真空遮断器を備えた電気施設について、前記非常用発電機の負荷試験を行う方法であって、
前記非常用発電機の近傍に、前記非常用発電機で生成された高電圧を低電圧に変圧する変圧器が収容されたケース、前記非常用発電機で生成された高電流を低電流に変流する変流器が収容されたケース、前記非常用発電機から給電される負荷試験機に過電流または漏洩電流が発生したとき給電を遮断するための仮設真空遮断器が収容されたケースを搬入し、
各ケース内の変圧器、変流器、仮設真空遮断器を接続ケーブルによって電気的に連結して仮設受電装置を組み立て、
該仮設受電装置の入力端を前記非常用発電機と前記常設真空遮断器との間に接続し、前記仮設受電装置の出力端を前記負荷試験機に接続し、
前記常設真空遮断器が遮断された状態で、前記非常用発電機から前記仮設受電装置を介して前記負荷試験機に給電し、前記非常用発電機の負荷試験を行うようにした、ことを特徴とする仮設受電装置を用いた非常用発電機の負荷試験方法。
【請求項6】
非常用発電機から給電される非常用電気設備に過電流または漏洩電流が発生したときに給電を遮断する常設真空遮断器を備えた電気施設について、前記非常用発電機の負荷試験を行う方法であって、
前記非常用発電機の近傍に、前記非常用発電機で生成された高電圧を低電圧に変圧する変圧器が収容されたケース、前記非常用発電機で生成された高電流を低電流に変流する変流器が収容されたケース、前記非常用発電機から給電される負荷試験機に過電流または漏洩電流が発生したとき給電を遮断するための仮設真空遮断器が収容されたケースを搬入すると共に、
内部に、前記非常用発電機の負荷試験中に漏洩電流が発生したとき前記仮設真空遮断器をオンからオフにする地絡継電器、前記非常用発電機の負荷試験中に過電流が発生したとき前記仮設真空遮断器をオンからオフにする過電流継電器、通常時に前記仮設真空遮断器をオンからオフに切り替えるために必要な電力が充電され停電時に前記仮設真空遮断器をオンからオフに切り替える引き外しコンデンサ、前記変圧器で低電圧に変圧された電圧および前記変流器で低電流に変流された電流が入力されるマルチ計測器が収容された制御ユニットを用意し、
前記各ケース内の前記変圧器、前記変流器、前記仮設真空遮断器を接続ケーブルによって電気的に連結し、前記各ケースと前記制御ユニットとを制御ケーブルによって電気的に接続して仮設受電装置を組み立て、
該仮設受電装置の入力端を前記非常用発電機と前記常設真空遮断器との間に接続し、前記仮設受電装置の出力端を前記負荷試験機に接続し、
前記常設真空遮断器が遮断された状態で、前記非常用発電機から前記仮設受電装置を介して前記負荷試験機に給電し、前記非常用発電機の負荷試験を行うようにした、ことを特徴とする仮設受電装置を用いた非常用発電機の負荷試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置及びそれを用いた非常用発電機の負荷試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工場、ビル、マンション等の大口の電気需要者の電気施設においては、
図1(a)に示すように、商用電源1(例えば、6.6kV、300kVA、50Hz)から常用電気設備(一般照明、一般動力等)2に向かう電気経路3に、常用電気設備2に漏電事故や過電事故が発生した場合に電気経路3を遮断する第1真空遮断器52Bが設けられ、常用電気設備2と非常用電気設備(非常照明、非常動力等)4とを接続する電気経路5に、第2真空遮断器52GBが設けられ、ディーゼルエンジンD/Eによって発電される非常用発電機G(例えば、6.6kV、300kVA、50Hz)から非常用電気設備4に向かう電気経路6に、第3真空遮断器52Gが設けられている。第1真空遮断器52Bおよび第2真空遮断器52GBは常時オン、第3真空遮断器52Gは常時オフであり、第1真空遮断器52Bがオフになると第2真空遮断器52GBがオフになり、第2真空遮断器52GBがオフになると第3真空遮断器52Gがオンになる所謂インターロックが組み込まれている(特許文献1、2参照)。
【0003】
この構成によれば、常用電気設備2に漏電事故や過電事故が発生して第1真空遮断器52Bがオフになると、インターロックによって、第2真空遮断器52GBがオフになり、第3真空遮断器52Gがオンになる。この状態で非常用発電機用のディーゼルエンジンD/Eが始動されて非常用発電機Gが駆動されると、非常用発電機Gで生成された電力は、オン状態の第3真空遮断器52Gを介して非常用電気設備(非常照明、非常動力等)4に給電される。また、第2真空遮断器52GBがオフとなっているので、非常用発電機Gの電力は、漏電事故や過電事故が発生した常用電気設備(一般照明、一般動力等)2に給電されることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−18320号公報
【特許文献2】特開平8−321232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、非常用発電機Gは、通常時には使用されず、非常時のみに使用されるものであるため、非常時に確実に作動させるため、定期的な試験が必要である。試験は、非常用発電機Gに負荷試験機を接続し、負荷試験機によって所定の負荷を掛けた状態で非常用発電機Gを動作させる。負荷試験機は、非常用発電機Gからの電流を負荷抵抗器で熱に変え、非常用発電機Gの運転に所定の負荷を加える。
【0006】
(二次側接続による負荷試験)
非常用発電機Gの負荷試験として、
図1(b)に示すように、第3真空遮断器52Gの二次側に仮設ケーブル7を介して負荷試験機8を接続し、負荷試験を行うことが考えられる。すなわち、第3真空遮断器52Gと非常用電気設備4とを繋ぐ電気経路6を切り離し、切離点6aより上流側で第3真空遮断器52Gより下流側(第3真空遮断器52Gの二次側)に仮設ケーブル7を接続し、その仮設ケーブル7に負荷試験機8を接続し、負荷試験を行う。
【0007】
この二次側接続においては、通常オフ状態となっている第3真空遮断器52Gを、インターロックを解除してオンにしなければ非常用発電機Gの電力を負荷試験機8に送電できない。しかし、一般に電気施設は後から様々な回路が増設されていることが多く、オンオフの対となるインターロックのシーケンスの読み取りが困難が場合があり、事実上、第3真空遮断器52Gを、インターロックを解除してオンにできないこともある。
【0008】
また、インターロックを解除せず、第3真空遮断器52Gを手動でオンにした場合、第2真空遮断器52GBおよび第1真空遮断器52Bが自動的にオフとなり、商用電源1から常用電気設備2に給電できなくなる。よって、非常用発電機Gの負荷試験中、常用電気設備2が停電し、全館停電となってしまう。
【0009】
また、負荷試験中に地震等の災害が発生し、第1真空遮断器52Bがオフになって商用電源1がカットされた場合、インターロックによって第3真空遮断器52Gがオンになっても、第3真空遮断器52Gと非常用電気設備4とを繋ぐ電気経路6が切離点6aで切れているため、これを接続しなければ非常用発電機Gから非常用電気設備4に給電できず、復旧に時間がかかる。
【0010】
(一次側接続による負荷試験)
別の負荷試験として、
図1(c)に示すように、第3真空遮断器52Gの一次側に仮設ケーブル7を介して負荷試験機8を接続して負荷試験を行うことも考えられる。すなわち、非常用発電機Gとオフ状態の第3真空遮断器52Gとを繋ぐ電気経路6b(第3真空遮断器52Gの一次側)に仮設ケーブル7を接続し、仮設ケーブル7に負荷試験機8を接続し、負荷試験を行う。
【0011】
しかし、かかる一次側接続においては、非常用発電機Gで生成された電力を第3真空遮断器52Gを介さずに負荷試験機8に給電しているため、試験中に負荷試験機8に過電流または漏洩電流が発生した場合、負荷試験機8への給電を遮断できず、重大事故に繋がりかねない。なお、
図1(b)に示す二次側接続であれば、負荷試験機8に過電流または漏洩電流が発生した場合、インターロックを解除して或いは手動でオンとした第3真空遮断器52Gがオフになるため、重大事故を回避できる。
【0012】
また、負荷試験中に地震等の災害が発生し、第1真空遮断器52Bがオフになって商用電源1から常用電気設備2への給電がカットされた場合、インターロックによって第3真空遮断器52Gがオンになることで、非常用発電機Gから非常用電気設備4に速やかに給電できるものの、非常用発電機Gと第3真空遮断器52Gとの間に接続された仮設ケーブル7には非常用発電機Gで生成された高電圧高電流(例えば、6.6kV、300kVA、50Hz)が流れているため、仮設ケーブル7および負荷試験機8を撤去できず、これらが災害復旧作業の邪魔になる。
【0013】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、非常用発電機の負荷試験を行う際、常設真空遮断器(第3真空遮断器)のインターロックの解除が不要で、負荷試験中に過電流または漏洩電流が発生した場合に負荷試験機への送電を直ちに遮断でき、狭い場所に人力で搬入して仮設可能な、非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置、及びそれを用いた非常用発電機の負荷試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成すべく創案された本発明によれば、非常用発電機から給電される非常用電気設備に過電流または漏洩電流が発生したときに給電を遮断する常設真空遮断器を備えた電気施設について、非常用発電機の負荷試験を行う際、入力端が非常用発電機と常設真空遮断器との間に接続され出力端が負荷試験機に接続される仮設受電装置であって、非常用発電機で生成された高電圧を低電圧に変圧する変圧器と、非常用発電機で生成された高電流を低電流に変流する変流器と、非常用発電機から給電される負荷試験機に過電流または漏洩電流が発生したとき給電を遮断するための仮設真空遮断器とを備え、変圧器、変流器、仮設真空遮断器が夫々別々の携行可能なケースに収容され、各ケース内の変圧器、変流器、仮設真空遮断器が接続ケーブルによって電気的に連結切離自在となっている、ことを特徴とする非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置が提供される。
【0015】
本発明に係る非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置においては、各ケースに、着脱自在な制御ケーブルを介して制御ユニットが接続され、制御ユニットの内部に、非常用発電機の負荷試験中に漏洩電流が発生したとき仮設真空遮断器をオンからオフにする地絡継電器、非常用発電機の負荷試験中に過電流が発生したとき仮設真空遮断器をオンからオフにする過電流継電器、通常時に仮設真空遮断器をオンからオフに切り替えるために必要な電力が充電され停電時に仮設真空遮断器をオンからオフに切り替える引き外しコンデンサ、変圧器で低電圧に変圧された電圧および変流器で低電流に変流された電流が入力されるマルチ計測器が収容されていてもよい。
【0016】
本発明に係る非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置においては、接続ケーブルが、三相交流のuケーブル、vケーブル、wケーブルから成り、これらuケーブル、vケーブル、wケーブルに、各ケーブルの間隔を保持すると共に各ケーブルと各ケースの内面との間隔を保持するスペーサが装着されており、スペーサおよび接続ケーブルが各ケース内に収容されていてもよい。
【0017】
本発明に係る非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置においては、ケース同士がロック機構によって互いに機械的に連結切離自在となっていてもよい。
【0018】
また、本発明によれば、非常用発電機から給電される非常用電気設備に過電流または漏洩電流が発生したときに給電を遮断する常設真空遮断器を備えた電気施設について、非常用発電機の負荷試験を行う方法であって、非常用発電機の近傍に、非常用発電機で生成された高電圧を低電圧に変圧する変圧器が収容されたケース、非常用発電機で生成された高電流を低電流に変流する変流器が収容されたケース、非常用発電機から給電される負荷試験機に過電流または漏洩電流が発生したとき給電を遮断するための仮設真空遮断器が収容されたケースを搬入し、各ケース内の変圧器、変流器、仮設真空遮断器を接続ケーブルによって電気的に連結して仮設受電装置を組み立て、仮設受電装置の入力端を非常用発電機と常設真空遮断器との間に接続し、仮設受電装置の出力端を負荷試験機に接続し、常設真空遮断器が遮断された状態で、非常用発電機から仮設受電装置を介して負荷試験機に給電し、非常用発電機の負荷試験を行うようにした、ことを特徴とする仮設受電装置を用いた非常用発電機の負荷試験方法が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、非常用発電機から給電される非常用電気設備に過電流または漏洩電流が発生したときに給電を遮断する常設真空遮断器を備えた電気施設について、非常用発電機の負荷試験を行う方法であって、非常用発電機の近傍に、非常用発電機で生成された高電圧を低電圧に変圧する変圧器が収容されたケース、非常用発電機で生成された高電流を低電流に変流する変流器が収容されたケース、非常用発電機から給電される負荷試験機に過電流または漏洩電流が発生したとき給電を遮断するための仮設真空遮断器が収容されたケースを搬入すると共に、内部に、非常用発電機の負荷試験中に漏洩電流が発生したとき仮設真空遮断器をオンからオフにする地絡継電器、非常用発電機の負荷試験中に過電流が発生したとき仮設真空遮断器をオンからオフにする過電流継電器、通常時に仮設真空遮断器をオンからオフに切り替えるために必要な電力が充電され停電時に仮設真空遮断器をオンからオフに切り替える引き外しコンデンサ、変圧器で低電圧に変圧された電圧および変流器で低電流に変流された電流が入力されるマルチ計測器が収容された制御ユニットを用意し、各ケース内の変圧器、変流器、仮設真空遮断器を接続ケーブルによって電気的に連結し、各ケースと制御ユニットとを制御ケーブルによって電気的に接続して仮設受電装置を組み立て、仮設受電装置の入力端を非常用発電機と常設真空遮断器との間に接続し、仮設受電装置の出力端を負荷試験機に接続し、常設真空遮断器が遮断された状態で、非常用発電機から仮設受電装置を介して負荷試験機に給電し、非常用発電機の負荷試験を行うようにした、ことを特徴とする仮設受電装置を用いた非常用発電機の負荷試験方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置及びそれを用いた非常用発電機の負荷試験方法によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)非常用発電機の負荷試験を行う際、非常用発電機の電力を負荷試験機に給電する仮設受電装置が、非常用発電機と常設真空遮断器との間すなわち常設真空遮断器の一次側に接続されるので、常設真空遮断器のインターロックを解除する必要がない。
(2)非常用発電機の電力を負荷試験機に給電する仮設受電装置に仮設真空遮断器が備えられているので、非常用発電機の負荷試験中に過電流または漏洩電流が発生した場合、非常用発電機から負荷試験機への給電を直ちに遮断できる。
(3)地震等の災害時に、仮設真空遮断器をオフとして負荷試験機への給電を遮断することで、仮設真空遮断器よりも下流側の電気ケーブルおよび負荷試験機を撤去できるので、これら電気ケーブルおよび負荷試験機が災害復旧作業の邪魔になることはない。
(4)仮設受電装置を構成する変圧器、変流器、仮設真空遮断器が夫々別々の携行可能なケースに収容されているので、重量物が各ケースに分散され、各ケースを人力で非常用発電機の近傍に搬入できる。また、各ケース内の変圧器、変流器、仮設真空遮断器が接続ケーブルによって電気的に連結切離自在となっているので、これらを接続ケーブルで繋いだ仮設受電装置を非常用発電機の近傍に容易に仮設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は非常用発電機から給電される非常用電気設備に過電流または漏洩電流が発生したときに給電を遮断する常設真空遮断器(第3真空遮断器)を備えた電気施設の概略図、(b)は常設真空遮断器の二次側に負荷試験機を接続して負荷試験を行う概略図、(c)は常設真空遮断器の一次側に負荷試験機を接続して負荷試験を行う概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る仮設受電装置を用いた非常用発電機の負荷試験方法を表す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る仮設受電装置の概略図である。
【
図5】仮設受電装置を構成する各ケースを機械的に連結切離自在とするロック機構の説明図であり、(a)は連結時の概略図、(b)は切離時の斜視図である。
【
図6】仮設受電装置の内部に収容されたケーブルおよびスペーサを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0023】
(電気施設)
図2に、本発明の一実施形態に係る仮設受電装置9が組み込まれた電気施設を示す。この電気施設は、
図1(a)に示すものと同様であり、商用電源1(例えば、6.6kV、300kVA、50Hz)から常用電気設備2(一般照明、一般動力等)に向かう電気経路3に、常用電気設備2に漏電事故や過電事故が発生した場合に電気経路3を遮断する第1真空遮断器52Bが設けられ、常用電気設備2と非常用電気設備4(非常照明、非常動力等)とを接続する電気経路5に、第2真空遮断器52GBが設けられ、ディーゼルエンジンD/Eによって発電される非常用発電機G(例えば、6.6kV、300kVA、50Hz)から非常用電気設備4に向かう電気経路6に、第3真空遮断器52G(請求項1の常設真空遮断器に相当)が設けられている。第1真空遮断器52Bおよび第2真空遮断器52GBは常時オン、第3真空遮断器52Gは常時オフであり、第1真空遮断器52Bがオフになると第2真空遮断器52GBがオフになり、第2真空遮断器52GBがオフになると第3真空遮断器52Gがオンになる所謂インターロックが組み込まれている。
【0024】
この構成によれば、常用電気設備2に漏電事故や過電事故が発生して第1真空遮断器52Bがオフになると、インターロックによって、第2真空遮断器52GBがオフになり、第3真空遮断器52Gがオンになる。この状態で非常用発電機用のディーゼルエンジンD/Eが始動されて非常用発電機Gが駆動されると、非常用発電機Gで生成された電力は、オン状態の第3真空遮断器52Gを介して非常用電気設備4(非常照明、非常動力等)に給電される。また、第2真空遮断器52GBがオフとなっているので、非常用発電機Gの電力は、漏電事故や過電事故が発生した常用電気設備2(一般照明、一般動力等)に給電されることはない。
【0025】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る仮設受電装置9は、非常用発電機Gから給電される非常用電気設備4に過電流または漏洩電流が発生したときに給電を遮断する第3真空遮断器52G(以下、常設真空遮断器とも言う)を備えた電気施設について、非常用発電機Gの負荷試験を行う際、入力端(入力ケーブル71)が非常用発電機Gと常設真空遮断器52Gとの間に接続され出力端(出力ケーブル72)が負荷試験機8に接続される。すなわち、負荷試験機8は、第3真空遮断器52Gの一次側に、仮設受電装置9を介して接続される。
【0026】
(仮設受電装置9)
図3に示すように、仮設受電装置9は、非常用発電機G(Electrical Generator)で生成された高電圧を低電圧に変圧する変圧器VT(Voltage Transforme)と、非常用発電機Gで生成された高電流を低電流に変流する変流器CT(Current Transformer)と、非常用発電機Gから給電される負荷試験機8に過電流または漏洩電流が発生したとき給電を遮断するための仮設真空遮断器VCB(Vacuum Circuit Breaker)とを備え、変圧器VT、仮設真空遮断器VCB、変流器CTが夫々別々の携行可能な第1、第2、第3ケース10、11、12に収容され、各ケース10、11、12内の変圧器VT、仮設真空遮断器VCB、変流器CTが接続ケーブル13、14によって電気的に連結切離自在となっている。
【0027】
図3に示すように、第1ケース10には、変圧器VT、零相変流器ZCT(Zero-phase Current Transformer)が収容されている。変圧器VTは、非常用発電機Gで生成された高電圧(例えば6.6kV)を後述する制御ユニット19内のマルチ計測器20に対応する低電圧(例えば110V)に変圧するものであり、変圧用のコイルを備えているため、一定の重量を有する。零相変流器ZCTは、
図4に示すように、リンク状の鉄心の内方に非常用発電機Gからの入力ケーブル71(三相交流のuケーブル、vケーブル、wケーブル)が挿通され、行きの電流値と帰りの電流値との差を検出することで漏洩電流、地絡電流を検知する。
【0028】
図3に示すように、第2ケース11には、非常用発電機Gから給電される負荷試験機8に過電流または漏洩電流が発生したとき給電を遮断するための仮設真空遮断器VCBが収容されている。仮設真空遮断器VCBは、高真空の容器内に電極が収容された構造であり、高真空の優れた絶縁耐力および消アーク能力を利用することで、非常用発電機Gから供給された高電流(例えば600A)を遮断するものである。仮設真空遮断器VCBは、高真空の容器及び高電流用の電極を備えているため、一定の重量を有する。仮設真空遮断器VCBは、
図2において、オンにされた状態で非常用発電機8の負荷試験が行われ、負荷試験中に過電流または漏洩電流が検出されたときオフにされる。
【0029】
図3に示すように、第3ケース12には、変流器CTが収容されている。変流器CTは、非常用発電機Gから供給された高電流(例えば600A)を後述する制御ユニット19内のマルチ計測器20に対応する低電流(例えば5A)に変圧するものであり、変流用のコイルを備えているため、一定の重量を有する。変流器CTには、負荷試験機8に接続される出力ケーブル72(uケーブル、vケーブル、wケーブル)が接続されている。出力ケーブル72には、非常用発電機Gで生成された高電圧高電流(例えば、6.6kV、300kVA、50Hz)が流れ、それが負荷試験機8に給電される。
【0030】
図4に示すように、これら第1〜第3ケース10、11、12は、本実施形態においては、上から下へこの順番で重ねられているが、重ねる順番はどの順番でもよい。最下段のケース(本実施形態では第3ケース12)の底面には、キャスター15が取り付けられている。なお、各ケース10、11、12を縦ではなく横に並べてもよい。
【0031】
(制御ユニット19)
図4に示すように、第1、第2、第3ケース10、11、12には、着
脱自在な制御ケーブル16、17、18を介して、制御ユニット19が接続される。
図3に示すように、制御ユニット19の内部には、非常用発電機Gの負荷試験中に漏洩電流が発生したとき商用電源1の電力を用いて仮設真空遮断器VCBをオンからオフにする地絡継電器GR(Ground Relay)と、非常用発電機Gの負荷試験中に過電流が発生したとき商用電源1の電力を用いて仮設真空遮断器VCBをオンからオフにする過電流継電器OCR(Over Current Relay)と、通常時に仮設真空遮断器VCBをオンからオフに切り替えるために必要な電力が商用電源1の電力によって充電され停電時に商用電源1の電力を用いることなく仮設真空遮断器VCBをオンからオフに切り替える引き外しコンデンサCTD(Condenser Trip Device )と、変圧器VTで低電圧に変圧された電圧および変流器CTで低電流に変流された電流が入力されるマルチ計測器20とが収容されている。
【0032】
図3に示す、地絡継電器GRは、非常用発電機Gの負荷試験中、零相変流器ZCTが漏洩電流や地絡電流を検出したとき、商用電源1の電力を用いて仮設真空遮断器VCBをオフにする継電器である。過電流継電器OCRは、負荷試験中、電気経路の短絡や負荷の過負荷による過電流を検出したとき、商用電源1の電力を用いて仮設真空遮断器VCBをオフにする継電器である。引き外しコンデンサCTDは、通常時に仮設真空遮断器VCBをオンからオフに切り替えるために必要な電力が商用電源1の電力によって充電され、停電時に商用電源1の電力を用いることなく仮設真空遮断器VCBをオンからオフに切り替えるものである。すなわち、引き外しコンデンサCTDは、仮設真空遮断器VCBをオンオフ動作させるための制御電源(商用電源1)が停電等によって落ちたとき、引き外しコンデンサCTDに充電された電気を仮設真空遮断器VCBに送って仮設真空遮断器VCBをオンからオフに切り替える。仮設真空遮断器VCBは、通常時には建物の商用電源1の電力によってオンオフ動作されるが、商用電源1の停電時には引き外しコンデンサCTDに充電された電力によってオンからオフにされることになる。マルチ計測器20は、負荷試験中、電力KW、電圧V、電流A、周波数Fを計測する。
【0033】
図3に示すように、第1〜第3ケース10〜12とは別体の制御ユニット19内に、地絡事故時に仮設真空遮断器VCBをオフにするため第1ケース10内の零相変流器ZCTに接続された地絡継電器GRと、過電流事故時に仮設真空遮断器VCBをオフにするため第3ケース12内の変流器CTに接続された過電流継電器OCRと、商用電源1の停電時に第2ケース11内の仮設真空遮断器VCBをオフにするため仮設真空遮断器VCBに接続された引き外しコンデンサCTDと、第1ケース10内の変圧器Vおよび第3ケース12内の変流器CTに接続されたマルチ計測器20とを収容するようにしたので、地絡継電器GR、過電流継電器OCR、引き外しコンデンサCTD、マルチ計測器20を各ケース10〜12内に収容した場合と比べると、重量物が分散される。よって、
図4に示す第1、第2、第3ケース10、11、12及び制御ユニット19の重量を、夫々、人力で運べる程度の重さ(例えば20kg程度)とすることが可能となる。なお、制御ユニット19の底面には、キャスター15が取り付けられている。
【0034】
図4に示すように、制御ユニット19のケースの前面には、操作電源のランプ21、仮設真空遮断器VCBオンのランプ22、過電流発生のランプ23、地絡発生のランプ24、100V回路のランプ25、200V回路のランプ26、仮設真空遮断器VCBオフのランプ27、6600V受電のランプ28が設けられている。また、100Vと200Vを切り替えるセレクタスイッチ29、仮設真空遮断器VCBのオンオフを手動で切り替えるトグルスイッチ30、マルチ計測器20の測定値を表示するマルチメーター31、引き外しコンデンサCTDの充電表示32、地絡継電器GRの作動表示33、過電流継電器OCRの作動表示34が設けられている。仮設真空遮断器VCBは、
図2において、オン状態で非常用発電機Gの負荷試験が行われ、試験中に過電流または地絡電流が検出されたときオフとなり、商用電源1が停電となったときにもオフとなる。
【0035】
(ロック機構35)
図4に示すように、第1〜第3ケース10、11、12は、ロック機構35によって互いに連結切離自在となっている。
図5(a)、
図5(b)に示すように、ロック機構35は、連結する一方のケース(例えば第1ケース10)の側面に取り付けられた筒状のホルダ36と、ホルダ36内に昇降自在に配設されたロックピン37と、ロックピン37の側部に設けられた操作レバー38と、操作レバー38が挿通するようにホルダ36に形成されたガイド溝39と、連結する他方のケース(例えば第2ケース11)の側面に設けられロックピン37の下部が差し入れられる筒状のストライカー40とを備えており、操作レバー38をガイド溝39の上部水平溝39aに移動させることでアンロック状態となり(
図5(b))、操作レバー38をガイド溝39の下部水平溝39bに移動させることでロック状態となる(
図5(a))。
【0036】
(スペーサ41、42)
図6は、第1〜第3ケース10、11、12が重ねられた仮設受電装置9の裏面(
図4の零相変流器ZCTとは反対側の面)の蓋を取り外した状態の背面図である。
図6に示すように、第1ケーズ10の底板、第2ケーズ11の天板および底板、第3ケース12の天板が外された状態となっており、第2ケース11内の仮設真空遮断器VCBと第1ケース10内の変圧器VTとが、連結切離自在な上側の接続ケーブル13によって電気的接続され、第2ケース11内の仮設真空遮断器VCBと第3ケース12内の変流器CTとが、連結切離自在な下側の接続ケーブル14によって電気的に接続されている。接続ケーブル13、14は、各ケース10〜12内に収容されている。
【0037】
図6に示すように、上側の接続ケーブル13は、夫々、三相交流のuケーブル13u、vケーブル13v、wケーブル13wから成り、下側の接続ケーブル14は、uケーブル14u、vケーブル14v、wケーブル14wから成る。上側の接続ケーブル13を構成するuケーブル13u、vケーブル13v、wケーブル13wには、各ケーブルの間隔を保持すると共に各ケーブルとケース10、11の内面との間隔を保持する上側のスペーサ41が装着されており、同様に、下側の接続ケーブル14を構成するuケーブル14u、vケーブル14v、wケーブル14wには、各ケーブルの間隔を保持すると共に各ケーブルとケース11、12の内面との間隔を保持する上側のスペーサ42が装着されている。
【0038】
上側のスペーサ41、下側のスペーサ42は、例えば、ポリエステル、エポキシ樹脂、エボナイト等の絶縁体製の絶縁ロッドからなり、上側のスペーサ41を構成する絶縁ロッドには、uケーブル13u、vケーブル13v、wケーブル13wが、長手方向に所定間隔を隔てて絶縁クリップ43で支持され、下側のスペーサ42を構成する絶縁ロッドには、uケーブル14u、vケーブル14v、wケーブル14wが、長手方向に所定間隔を隔てて絶縁クリップ44で支持されている。これにより、uケーブル13u(14u)、vケーブル13v(14v)、wケーブル13w(14w)の間隔が高圧受変電設備指針に定められた法定間隔(8cm)以上に保持され、各ケーブル13u、13v、13w、14u、14v、14wとケース10〜12の内面との間隔が法定間隔(5cm)以上に保持されている。
【0039】
(作用・効果)
図2に示すように、本実施形態に係る仮設受電装置9を用いた非常用発電機Gの負荷試験方法によれば、非常用発電機Gの電力を負荷試験機8に給電する仮設受電装置9が、非常用発電機Gと第3真空遮断器52G(常設真空遮断器)との間すなわち第3真空遮断器52Gの一次側に接続されているので、第3真空遮断器52Gのインターロックを解除して第3真空遮断器52Gをオフからオンにすることなく、非常用発電機Gの電力を負荷試験機8に給電できる。
【0040】
この点を詳述すると、
図2において、仮にインターロックを解除して或いは手動で第3真空遮断器52Gをオフからオンにすると、インターロックによって自動的に、第2真空遮断器52GBがオフとなり、第1真空遮断器52Bがオフになるため、商用電源1から常用電気設備2(一般照明、一般動力)に給電できなくなり、非常用発電機Gの負荷試験中に、常用電気設備2が停電すなわち全館停電となってしまうが、このような全館停電を回避できる。
【0041】
図2に示すように、非常用発電機Gの電力を負荷試験機8に給電する仮設受電装置9に仮設真空遮断器VCBが備えられているので、非常用発電機Gの負荷試験中に、仮設受電装置9から負荷試験機8に接続された電気ケーブル(出力ケーブル72)または負荷試験機8自体に過電流または漏洩電流が発生した場合、仮設真空遮断器VCBがオフになって非常用発電機Gから負荷試験機8への給電を直ちに遮断でき、重大事故(過電事故、漏電事故、地絡事故)を回避できる。
【0042】
非常用発電機Gの負荷試験中に商用電源1が停電となった場合には、商用電源1の電力を用いることなく
図3に示す引き外しコンデンサCTDに充電された電力よって、仮設真空遮断器VCBが自動的にオフにされるので、仮設真空遮断器VCBよりも下流側の電気ケーブル(出力ケーブル72:
図3、
図4参照)及びそれに繋がれた負荷試験機8に非常用発電機Gからの高電圧高電流(例えば、6.6kV、300kVA、50Hz)が加わらない状態となり、安全性が高まる。
【0043】
非常用発電機Gの負荷試験中に地震等の災害が発生し、
図2に示す第1真空遮断器52Bがオフになって商用電源1から常用電気設備2(常用照明、一般動力)への給電がカットされた場合、インターロックによって第2真空遮断器52GBがオンとなって、第3真空遮断器52Gがオンになることで、非常用発電機Gから非常用電気設備4(非常用照明、非常用動力)に速やかに給電でき、災害時に非常用電気設備4を速やかに作動させることができる。
【0044】
また、このような災害時に、停電となっていれば
図2に示す仮設受電装置9内の仮設真空遮断器VCBが
図3の引き外しコンデンサCTDによって自動的
にオフとされ、停電となっていなければ仮設真空遮断器VCBを手動でオフにすることで、非常用発電機Gから負荷試験機8への給電を遮断できるので、仮設真空遮断器VCBよりも下流側の電気ケーブル(出力ケーブル72:
図3、
図4参照)及びそれに繋がれた負荷試験機8を撤去できる。この電気ケーブル(出力ケーブル72)及び負荷試験機8には、通常、非常用発電機Gの高電圧高電流(例えば、6.6kV、300kVA、50Hz)が負荷された状態となっているので、これらを撤去することで安全性が高まり、これらが災害復旧作業の邪魔になる事態を回避できる。
【0045】
図3、
図4に示すように仮設受電装置9を構成する変圧器VT、仮設真空遮断器VCB、変流器CTが夫々別々の携行可能なケース(第1ケース10、第2ケース11、第3ケース12)に収容されているので、重量物が第1〜第3ケース10、11、12に分散され、各ケースを人力で非常用発電機Gの近傍に搬入できる。また、各ケース内の変圧器VT、仮設真空遮断器VCB、変流器CTが接続ケーブル13、14によって電気的に連結切離自在となっているので、第1〜第3ケース10、11、12を個別に非常用発電機Gの近傍に搬入した後、各ケース内の変圧器VT、仮設真空遮断器VCB、変流器CTを接続ケーブル13、14で繋いて仮設受電装置9を組み立てることで、仮設受電装置9を非常用発電機Gの負荷試験時に発電機Gの近傍に人力で容易に仮設置できる。
【0046】
図4に示すように、第1〜第3ケース10、11、12に、着脱自在な制御ケーブル16、17、18を介して制御ユニット19が接続され、
図3に示すように、制御ユニット19の内部には、非常用発電機Gの負荷試験中に漏洩電流が発生したとき仮設真空遮断器VCBをオンからオフにする地絡継電器GR、非常用発電機の負荷試験中に過電流が発生したとき仮設真空遮断器VCBをオンからオフにする過電流継電器OCR、停電時に仮設真空遮断器VCBをオンからオフに切り替えるために必要な電力が充電される引き外しコンデンサCTD、変圧器VTで低電圧に変圧された電圧および変流器CTで低電流に変流された電流が入力されるマルチ計測器20が収容されているので、重量物が、第1〜第3ケース10、11、12、制御ユニット19に分散される。よって、第1〜第3ケース10、11、12、制御ユニット19の重量を、これらを容易に人力で非常用発電機Gの近傍に搬入して仮設置できる程度の重量(例えば20kg程度)に抑えることができる。また、非常用発電機Gの負荷試験終了後にこれらを容易に人力で撤去できる。
【0047】
図6に示すように、第2ケース11内の仮設真空遮断器VCBと第1ケース10内の変圧器VTとを接続する上側の接続ケーブル13を構成するuケーブル13u、vケーブル13v、wケーブル13wに上側のスペーサ41が取り付けられ、第2ケース11内の仮設真空遮断器VCBと第3ケース12内の変流器CTとを接続する下側の接続ケーブル14を構成するuケーブル14u、vケーブル14v、wケーブル14wに下側のスペーサ42が取り付けられているので、uケーブル13u(14u)、vケーブル13v(14v)、wケーブル13w(14w)の間隔を高圧受変電設備指針に定められた法定間隔(8cm)以上に保持でき、各ケーブル13u、13v、13w、14u、14v、14wと各ケース10〜12の内面との間隔が法定間隔(5cm)以上に保持できる。
【0048】
図4、
図5に示すように、縦に積み重ねられた第1〜第3ケース10、11、12をロック機構35によって互いに連結しているので、作業員が不注意で押して第1〜第3ケース10、11、12が崩れる事態や、地震時の揺れで第1〜第3ケース10、11、12が崩れる事態を防止できる。仮に、第1〜第3ケース10、11、12が崩れると、
図6に示すように、第1ケーズ10の底板および第2ケーズ11の天板が外されてそこを通して接続された上側の接続ケーブル13(uケーブル13u、vケーブル13v、wケーブル13w)、第2ケーズ11の底板および第3ケーズ12の天板が外されてそこを通して接続された下側の接続ケーブル14(uケーブル14u、vケーブル14v、wケーブル14w)が露出し、崩れたケース10〜12の重量によって各ケーブルが引っ張られてケーブルの接続端子が外れると端子が露出する等して危険であるが、これを回避できる。
【0049】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置及びそれを用いた非常用発電機の負荷試験方法に利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 商用電源
2 常用電気設備
D/E ディーゼルエンジン
G 非常用発電機
4 非常用発電設備
52B 第1真空遮断器
52GB 第2真空遮断器
52B 第3真空遮断器(常設真空遮断器)
8 負荷試験機
9 仮設受電装置
VT 変圧器
CT 変流器
VCB 仮設真空遮断器
10 第1ケース
11 第2ケース
12 第3ケース
13 接続ケーブル
13u uケーブル
13v vケーブル
13w wケーブル
14 接続ケーブル
14u uケーブル
14v vケーブル
14w wケーブル
16 制御ケーブル
17 制御ケーブル
18 制御ケーブル
19 制御ユニット
CTD 引き外しコンデンサ
GR 地絡継電器
OCR 過電流継電器
20 マルチ計測器
35 ロック機構
41 スペーサ
42 スペーサ
71 入力ケーブル(入力端)
72 出力ケーブル(出力端)
【要約】
【課題】非常用発電機の負荷試験を行う際、インターロックの解除が不要で、地絡事故等が発生した場合に負荷試験機への送電を直ちに遮断でき、狭い場所に人力で仮設可能な、非常用発電機の負荷試験に用いる仮設受電装置を提供する。
【解決手段】非常用発電機Gの近傍に、非常用発電機Gで生成された高電圧を低電圧に変圧する変圧器VTが収容されたケース10、非常用発電機Gで生成された高電流を低電流に変流する変流器CTが収容されたケース12、地絡事故等が発生した場合に給電を遮断するための仮設真空遮断器VCBが収容されたケース11を搬入し、各ケース内の変圧器VT、変流器CT、仮設真空遮断器VCBを接続ケーブル13、14で連結して仮設受電装置9を組み立て、仮設受電装置9の入力端71を非常用発電機Gに接続し、仮設受電装置9の出力端72を負荷試験機8に接続し、非常用発電機Gの負荷試験を行う。
【選択図】
図3