【実施例1】
【0023】
図20(b)に示す様に、複合樹脂成形品である接続部品Wは、タンク本体の開口部(図示せず)を閉鎖する蓋部Waと該蓋部Waの側部より突出する接続パイプ部Wbとを有し、一次成形部材である外側部位W1と、二次成形部材で外側部位W1の内面を覆う内側部位W2で構成されており、蓋部Waの外周部にアンダーカット部W3を形成している。
【0024】
固定金型1は、
図1〜19に示す様に、基本的に、固定側取付板17と固定金型本体18とを有し、望ましくは固定側取付板17と固定金型本体18との間にランナストリッパプレート18a を有している。
【0025】
固定側取付板17は、移動せず固定状態で、固定側取付板17とランナストリッパプレート18a との間、ランナストリッパプレート18a と固定金型本体18との間を離間可能としている。
そして、下記〔第2工程〕及び〔第6工程〕時に、固定側取付板17とランナストリッパプレート18a との間を離間させて、後述する一次成形樹脂流路20、20a 内で形成されたランナR1及び二次成形樹脂流路21内で形成されたランナR2を除去可能としている。
【0026】
固定金型本体18は、1箇所に1個の一次成形凸型6と、もう1箇所に1個の一次成形凸型6aと、一次成形凸型6、6a間に配した1箇所に1個の二次成形凸型7とを有し、基本的に、固定側型板19と、一方の一次成形凸型6と、他方の一次成形凸型6aと、1個の二次成形凸型7で構成されていることで、2つの一次成形部材用キャビティ15、15a 及び2つの二次成形部材用キャビティ16、16a を形成可能としている。
【0027】
図17、18に示す様に、一方の一次成形部材用キャビティ15は、固定金型1と、一次成形凸型6aと、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9とにより、他方の一次成形部材用キャビティ15a は、固定金型1と、一次成形凸型6aと、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9aとにより形成され、これらキャビティ15、15a への一次成形樹脂流路20、20a を、固定側型板19と一次成形凸型6、6aを直線状に貫通する様に固定金型1に形成している。
【0028】
図19に示す様に、一方の二次成形部材用キャビティ16は、固定金型1と、二次成形凸型7と、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9にセット状態の一次成形部材W1とにより、他方の二次成形部材用キャビティ16a は、固定金型1と、二次成形凸型7と、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9aにセット状態の一次成形部材W1とにより形成され、これら二次成形部材用キャビティ16、16a への二次成形樹脂流路21を、固定側型板19と二次成形凸型7を直線状に貫通する様に固定金型1に形成している。
【0029】
スライド金型2は、
図1〜19に示す様に、1箇所に1個の割型ユニット9を、もう1箇所に1個の割型ユニット9aを設置し、これら割型ユニット9、9aは開口部11、11a に収容され、可動金型3に対し接離自在なベース22における固定金型1との対向面に形成した矩形状の開口部23内に往復スライド可能に収容され、ベース22とスライド金型2の固定金型1との対向面を面一とし、ベース22の端面部に配設したシリンダー24のロッド25の先端部をスライド金型2の端面に固設している。
そして、下記〔第7工程〕時に、シリンダー24のロッド25の後退により第2位置のスライド金型2を第1位置に、下記〔第3工程〕時に、ロッド25の進行により第1位置のスライド金型2を第2位置にスライドさせている。
【0030】
図17〜19に示す様に、割型ユニット9、9aの夫々は、2個の割型ブロック12、12a を有し、割型ブロック12、12a の背面に外側且つ下方への傾斜面26、26a を形成している。
【0031】
各進退ユニット13、13a は、スライド金型2の開口部11、11a と割型ユニット9、9aの割型ブロック12、12a との間に挟入される一対の楔27、27a を有し、該楔27、27a の夫々の先端内面を、割型ブロック12、12a の傾斜面26、26a に合致する様に形成し、該傾斜面26、26a に蟻28、28a を、楔27、27a の傾斜面26、26a との対応面に蟻溝29、29a を形成して、型締め過程において、進退ユニット13、13a が前進し楔27、27a の蟻溝29、29a に割型ブロック12、12a の蟻28、28a が入り込み開口部11、11a と割型ブロック12、12a との間に徐々に挟入されることで、割型ブロック12、12a を型締め方向にスライド可能にし、型開き過程において、進退ユニット13、13a が後退し開口部11、11a と割型ブロック12、12a との間から徐々に引き抜かれることで、割型ブロック12、12a を型開き方向にスライドさせて、蟻28、28a が蟻溝29、29a から外れる。
【0032】
ベース22は、割型ユニット9、9aの貫通部位30が形成され、該貫通部位30はスライド金型2のスライド方向に長く、貫通部位30を貫通した各進退ユニット13、13a の楔27、27a の先端部が、割型ユニット9、9aに係合可能と成っている。
【0033】
可動金型3は、
図1〜19に示す様に、基本的に、可動側取付板31と進退ユニット13、13a の固定手段14である離脱プレート32とを有している。
図17〜19に示す様に、離脱用プレート32は、スライド金型2が第1位置で進退ユニット13a を、第2位置では進退ユニット13を固定状態とする機能を有し、具体的にはスライド金型2側の面に、進退ユニット13、13a におけるベース22から突出した、断面T字状の係止突起33、33a を収容する溝部34を形成し、該溝部34はスライド金型2のスライド方向に長く、第1位置での進退ユニット13a の係止突起33a 、第2位置での進退ユニット13の係止突起33に係合する突条35、35a を形成し、該突条35、35a は溝部34の内壁面中央より内方突出し、長さを溝部34の約1/3として、進退ユニット13、13a の係止突起33、33a を貫通部位30内に位置させたままスライド金型2をスライド可能にすることで、スライド金型2に対する離脱用プレート32の移動量をなるべく少量に抑えている。
そして、スライド金型2が第1位置の場合に、進退ユニット13の係止突起33は溝部34における突条35、35a の無い部位に収容状態で離脱用プレート32に対し未固定状態となると共に、進退ユニット13a の係止突起33a は溝部34における突条35、35a に係合状態で離脱用プレート32に対し固定状態となり、スライド金型2が第2位置の場合に、進退ユニット13a の係止突起33a は溝部34における突条35、35a の無い部位に収容状態で離脱用プレート32に対し未固定状態となると共に、進退ユニット13の係止突起33は溝部34における突条35、35a に係合状態で離脱用プレート32に対し固定状態となる様にしている。
【0034】
スライド金型2における割型ユニット9、9aよりシリンダー24側に、第2位置の一方の一次成形凸型6の逃がし凹部36を形成し、スライド金型2の長さは、先端が、第1位置における他方の一次成形凸型6aがスライド金型2に衝突しない様に設定されている。
【0035】
図13〜16に示す様に。ベース22の側部に、接続部品Wにおける接続パイプ部Wbを形成するための一次成形用サイドコア40、40a 及び二次成形用サイドコア41を配置し、該サイドコア40、40a 及び二次成形用サイドコア41は丸棒状で、一次成形用サイドコア40、40a の方を大径とし、割型ユニット9、9a内に対し出没自在にすべくシリンダにより往復スライド可能にし、一次成形用サイドコア40、40a 及び二次成形用サイドコア41の先端を型締め時に、ベース22、スライド金型2及び割型ユニット9、9aを貫通して、一次成形凸型6、6a及び二次成形凸型7の側面に当接可能としている。
そして、一次成形用サイドコア40、40a と割型ユニット9、9aとの間に接続パイプ部Wbの外側部位Wb1を、二次成形用サイドコア41と外側部位Wb1間に接続パイプ部Wbの内側部位Wb2を成形可能にしている。
【0036】
次に、実施例1における複合樹脂成形品Wの製造方法としては、下記第1〜8工程を1サイクルとして、一次成形部材W1及び複合樹脂成形品Wを同時に連続成形する。
【0037】
先ず、スライド金型2の第2成型部位8aにおける型締め状態の割型ユニット9aに、予め成形された一次成形部材W1がセットされ、固定金型1、スライド金型2、可動金型3の相互間を離間させた状態を初期状態として説明する。
【0038】
〔第1工程〕
型開き状態の固定金型1、全ての割型ユニット9、9aが進退ユニット13、13a の進行により型締め状態の第1位置のスライド金型2、及び可動金型3を型締めし(
図1参照)、一次成形樹脂流路20から一方の一次成形用キャビティ15内に一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材W1を成形し、二次成形樹脂流路21から他方の二次成形用キャビティ16a 内に一次成形樹脂材料と異なる二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材W2を形成して、後述する第5工程で成形された一次成形部材W1と一体化した複合樹脂成形品Wを成形する(
図2参照)。
〔第2工程〕
固定金型1と前記第1工程により成形した一次成形部材W1及び複合樹脂成形品Wが残ったスライド金型2との間を離間させ(
図3参照)、スライド金型2と、固定手段14による一方の進退ユニット13の固定状態が解除され且つ固定手段14により他方の進退ユニット13a を固定状態とした可動金型3との間を離間させると、一方の進退ユニット13がスライド金型2に残り、他方の進退ユニット13a は可動金型3に固定され後退して他方の割型ユニット9aを型開き状態とし、完全に型開きされた他方の割型ユニット9aから複合樹脂成形品Wを取り出す(
図4参照)。
〔第3工程〕
可動金型3に対しスライド金型2を型締めして、他方の進退ユニット13a を進行させ2つの割型ユニット9、9aを型締め状態とし(
図5参照)、その後スライド金型2を第2位置へスライドさせる(
図6参照)。
〔第4工程〕
他方の割型ユニット9aに係合させ割型ユニット9aを型締めさせた他方の進退ユニット13a の可動金型3に対する固定手段14による固定状態を解除すると共に、一方の割型ユニット9に係合状態の一方の進退ユニット13を固定手段14により可動金型3に固定する。
〔第5工程〕
固定金型1、スライド金型2及び可動金型3を型締めし(
図7参照)、一次成形樹脂流路20a から他方の一次成形用キャビティ15a 内に一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材W1を成形し、二次成形樹脂流路21から一方の二次成形用キャビティ16内に、一次成形樹脂材料と異なる二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材W2を形成して、先に成形した一次成形部材W1と一体化した複合樹脂成形品Wを成形する(
図8参照)。
〔第6工程〕
固定金型1と前記第5工程により成形した一次成形部材W1及び複合樹脂成形品Wが残ったスライド金型2との間を離間させ(
図9参照)、スライド金型2と、固定手段14による他方の進退ユニット13a の固定状態が解除され且つ固定手段14により一方の進退ユニット13を固定状態とした可動金型3との間を離間させると、他方の進退ユニット13a がスライド金型2に残り、一方の進退ユニット13は可動金型3に固定され後退して一方の割型ユニット9を型開き状態とし、完全に型開きされた一方の割型ユニット9から複合樹脂成形品Wを取り出す(
図10参照)。
〔第7工程〕
可動金型3に対しスライド金型2を型締めして、一方の進退ユニット13を進行させ2つの割型ユニット9、9aを型締め状態とし(
図11参照)、その後スライド金型2を第1位置にスライドさせる(
図12参照)。
〔第8工程〕
一方の割型ユニット9に係合させ割型ユニット9を型締めした一方の進退ユニット13の可動金型3に対する固定手段14による固定状態を解除すると共に、他方の割型ユニット9aに係合状態の他方の進退ユニット13a を可動金型3に固定する。
【0039】
尚、固定金型1には1箇所に1個の一次成形凸型6と、もう1箇所に1個の一次成形凸型6aと、一次成形凸型6、6aの間の1箇所に1個の二次成形凸型7が、スライド金型2には1箇所に1個の割型ユニット9と、もう1箇所に1個の割型ユニット9aが配置されているが、一次成形凸型6、一次成形凸型6a、二次成形凸型7、割型ユニット9、割型ユニット9aの個数は、同数であれば複数個であっても良い。
又、固定金型1は1箇所の一次成形凸型6と1箇所の二次成形凸型7だけを、スライド金型2は1箇所の割型ユニット9だけを配置しても良い。