(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
<炭酸カルシウム粒子群>
本発明の炭酸カルシウム粒子群は、以下の要件を全て満たす。
(要件1)炭酸カルシウム粒子群が、立方体状炭酸カルシウム粒子を、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対して70.0%以上含む。
(要件2)上記(要件1)における立方体状炭酸カルシウム粒子の各片の長さが0.5μm以上15.0μm以下であり、かつ、同一の立方体状炭酸カルシウム粒子における各片の長さの差が±0.5μm以下である。
(要件3)炭酸カルシウム粒子群が、軽質炭酸カルシウム粒子を、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対して90.0%以上含む。
【0026】
本発明において、「炭酸カルシウム粒子群」とは、炭酸カルシウム粒子を主に含む混合物を意味する。
【0027】
本発明の炭酸カルシウム粒子群は、炭酸カルシウム粒子群に対して、好ましくは90.0質量%以上、より好ましくは95.0質量%以上、更に好ましくは99.0質量%以上、最も好ましくは100質量%の炭酸カルシウム粒子を含む。
【0028】
(要件1)のとおり、本発明の炭酸カルシウム粒子群は、立方体状炭酸カルシウム粒子を、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対して、70.0%以上含む。
【0029】
本発明において、「立方体状炭酸カルシウム粒子」とは、結晶の形状が立方体である軽質炭酸カルシウム粒子を意味する。
【0030】
(要件1)を満たす炭酸カルシウム粒子群は、従来の立方体状炭酸カルシウムの製造方法によって得られる炭酸カルシウム粒子群と比べて、立方体状炭酸カルシウム粒子の割合が高いことを意味する。従来の方法では、凝集体が生じ易く、立方体状炭酸カルシウム粒子の割合が高い炭酸カルシウム粒子群が得られにくかったためである。
【0031】
炭酸カルシウム粒子群が(要件1)を満たすかどうかは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像解析等によって特定される。
【0032】
(要件1)において、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対する、立方体状炭酸カルシウム粒子数の割合の下限は、好ましくは80.0%以上、より好ましくは90.0%以上である。
【0033】
(要件1)において、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対する、立方体状炭酸カルシウム粒子数の割合の上限は、好ましくは100%である。
【0034】
(要件2)のとおり、本発明の炭酸カルシウム粒子群に含まれる立方体状炭酸カルシウム粒子は、立方体状炭酸カルシウム粒子の各片の長さが0.5μm以上15.0μm以下であり、かつ、同一の立方体状炭酸カルシウム粒子における各片の長さの差が±0.5μm以下である。
ただし、本発明の炭酸カルシウム粒子群には、(要件1)を満たす限り、(要件2)を満たさない立方体状炭酸カルシウム粒子や、その他の形状の炭酸カルシウム粒子等が含まれていても良く、含まれていなくても良い。
【0035】
本発明において、「同一の立方体状炭酸カルシウム粒子における各片の長さの差」は絶対値で示す。
【0036】
炭酸カルシウム粒子が(要件2)を満たすかどうかは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像解析等によって特定される。
【0037】
(要件2)において、立方体状炭酸カルシウム粒子の各片の長さの下限は、好ましくは0.7μm以上、より好ましくは0.9μm以上である。
【0038】
(要件2)において、立方体状炭酸カルシウム粒子の各片の長さの上限は、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下である。
【0039】
(要件2)において、同一の立方体状炭酸カルシウム粒子における各片の長さの差の下限は、好ましくは0μmである。
【0040】
(要件2)において、同一の立方体状炭酸カルシウム粒子における各片の長さの差の上限は、好ましくは0.4μm以下である。
【0041】
(要件3)のとおり、本発明の炭酸カルシウム粒子群における軽質炭酸カルシウム粒子の粒子数は、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対して90.0%以上である。
この値は、炭酸カルシウム粒子群の純度ともいえる。
【0042】
本発明において「軽質炭酸カルシウム粒子」とは、化学的沈殿反応等によって製造される合成炭酸カルシウムを意味し、天然炭酸カルシウムを機械的に粉砕等することで得られる重質炭酸カルシウムとは明確に区別される。
本発明の炭酸カルシウム粒子群に含まれる立方体状炭酸カルシウム粒子は、軽質炭酸カルシウム粒子の一種である。
【0043】
本発明の炭酸カルシウム粒子群に含まれる軽質炭酸カルシウム粒子の形状は特に限定されないが、本発明の効果が奏され易いという観点から立方体状炭酸カルシウム粒子の割合が高いほど好ましい。
本発明は、例えば、本発明の炭酸カルシウム粒子群に含まれる軽質炭酸カルシウム粒子の全てが立方体状炭酸カルシウム粒子である態様を包含する。
【0044】
炭酸カルシウム粒子群が(要件3)を満たすかどうかは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像解析等によって特定される。
【0045】
(要件3)において、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対する、軽質炭酸カルシウム粒子の粒子数の割合の下限は、好ましくは92.0%以上、より好ましくは95.0%以上である。
【0046】
(要件3)において、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対する、軽質炭酸カルシウム粒子の粒子数の割合の上限は、好ましくは100%である。
【0047】
(その他の要件)
本発明の炭酸カルシウム粒子群は、上記の要件に加えて、以下のいずれか、又は全てを満たしていても良い。
【0048】
本発明の炭酸カルシウム粒子群のBET比表面積は、好ましくは0.1m
2/g以上20.0m
2/g以下、より好ましくは1.0m
2/g以上15.0m
2/g以下である。
BET比表面積が上記範囲であると、炭酸カルシウム粒子群を配合した樹脂組成物に対し、良好な加工性を付与し易い。
【0049】
本発明において、「BET比表面積」とは、BET吸着法(窒素ガス吸着法)によって特定された比表面積を意味する。BET比表面積の測定機器としては、「BELSORP−mini」(マイクロトラック・ベル社製)を好ましく用いることができる。
【0050】
本発明の炭酸カルシウム粒子群は、純度の高い炭酸カルシウム粒子群を得る観点から、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウムを実質的に含まないことが好ましい。
本発明において「炭酸カルシウム粒子群が成分Aを実質的に含まない」とは、成分Aの含有量(成分Aの換算量)が、炭酸カルシウム粒子群に対して、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、最も好ましくは0質量%であることを意味する。
【0051】
本発明の炭酸カルシウム粒子群に含まれる立方体状炭酸カルシウム粒子の表面には、目的(分散性の向上等)に応じて表面処理を施しても良く、施さなくても良い。
表面処理剤の種類としては、脂肪酸(高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等)が挙げられる。
【0052】
<炭酸カルシウム粒子群の製造方法>
本発明は、下記の工程を含む炭酸カルシウム粒子群の製造方法も包含する。
カルシウム含有量測定工程:カルシウム化合物を含むカルシウム含有溶液中のカルシウム含有量を測定する。
晶出工程:カルシウム含有量測定工程後、カルシウム含有溶液に二酸化炭素を導入することで炭酸カルシウムを晶出させる。晶出工程における二酸化炭素の導入量は、カルシウム含有量測定工程で特定されたカルシウム含有量に基づき決定される。
【0053】
上記カルシウム含有量測定工程及び晶出工程を含む製造方法によれば、本発明の炭酸カルシウム粒子群を効率的に得ることができる。
【0054】
(カルシウム含有量測定工程)
カルシウム含有量測定工程は、カルシウム化合物を含むカルシウム含有溶液中のカルシウム含有量を測定する工程である。
【0055】
本発明において、「カルシウム化合物」とは、炭酸カルシウムの原料となり得る化合物であり、カルシウムからなる化合物や、カルシウムを含む化合物を包含する。
【0056】
カルシウム化合物としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
【0057】
カルシウム化合物は、固体、液体(溶液)、スラリー等のいずれの状態であっても良い。
【0058】
カルシウム化合物の形態は特に限定されず、精製品であっても良く、カルシウム化合物を含む任意の材料(カルシウムを含む廃棄物等)であっても良い。
カルシウムを含む廃棄物としては、コンクリートスラッジ、鉄鋼スラグ、石炭灰、バイオマス灰、焼却灰等が挙げられる。
ただし、炭酸カルシウム粒子の回収量を高める観点から、カルシウム化合物の形態は、カルシウム以外の易溶解性元素(ナトリウム、カリウム、マグネシウム等)の含有量が少ないか、又は、易溶解性元素を全く含まないものが好ましい。
【0059】
本発明において、「カルシウム含有溶液」とは、カルシウム化合物を含む溶液を意味する。
溶液の溶媒としては特に限定されないが、例えば、水等が挙げられる。
【0060】
カルシウム含有溶液の調製方法は特に限定されず、カルシウム化合物に溶媒を加えて調製しても良く、カルシウム化合物が溶液の状態であればそのままカルシウム含有溶液として用いても良い。
【0061】
カルシウム含有溶液は、カルシウム含有量の測定に供する前に、固液分離操作を施されたものであっても良い。この様な操作により、夾雑物(微粒子等)の少ないカルシウム含有溶液が得られ、カルシウム含有量をより正確に測定できるうえ、後述する晶出工程において、夾雑物の表面での炭酸カルシウム粒子同士の凝集を防ぐことができる。
固液分離操作を行った場合、固形分が除かれた溶液を、カルシウム含有溶液として回収する。
【0062】
固液分離操作において用いる固液分離装置としては、特に限定されないが、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、真空回転ろ過機、スクリューデカンタ、遠心脱水機等が挙げられる。
【0063】
従来、固液分離の前に、カルシウム含有溶液に凝集剤(特に、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等を含むもの)を添加することで、微粒子(コロイド粒子等)を凝集させ、固液分離し易くする方法が知られる。
しかし、この様な操作は、炭酸カルシウム粒子同士の凝集体をも形成させ易くし、立方体状炭酸カルシウム粒子の回収量が低下する可能性がある。そのため、本発明においては、この様な凝集剤を用いないことが好ましい。
換言すれば、本発明におけるカルシウム含有溶液は、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウムを実質的に含まないことが好ましい。
本発明において「カルシウム含有溶液が成分Aを実質的に含まない」とは、成分Aの含有量(成分Aの換算量)が、カルシウム含有溶液に対して、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、最も好ましくは0質量%であることを意味する。
【0064】
カルシウム含有溶液中のカルシウム含有量の測定方法は、実施例に示した方法を採用できる。
本発明において「カルシウム含有量」とは、カルシウムイオン換算量を意味する。
【0065】
(晶出工程)
晶出工程は、カルシウム含有量測定工程後、カルシウム含有溶液に二酸化炭素を導入することでCa
2+イオンとCO
32−イオンとの反応を生じさせ、炭酸カルシウムを晶出させる工程である。
【0066】
本発明の炭酸カルシウム粒子群の製造方法は、晶出工程における二酸化炭素の導入量が、カルシウム含有量測定工程で特定されたカルシウム含有量に基づき決定される点に技術的特徴を有する。
【0067】
本発明者の検討の結果、カルシウム含有量測定工程で特定されたカルシウム含有量に対する、カルシウム含有溶液に導入する二酸化炭素の量の質量比(以下、「CO
2/Ca質量比」ともいう。)に応じて、得られる炭酸カルシウム粒子の形状が変化することを見出した。
具体的には、「CO
2/Ca質量比」が小さいと、炭酸カルシウム粒子が凝集し易いうえ、様々な結晶型の炭酸カルシウム粒子が形成され得ることがわかった。
「CO
2/Ca質量比」が大きいと、pHが高くなり、炭酸カルシウム粒子が結晶化しにくくなることがわかった。
他方で、「CO
2/Ca質量比」が所定範囲であると、立方体状炭酸カルシウム粒子が形成し易くなることがわかった。
したがって、「CO
2/Ca質量比」を調整することで、炭酸カルシウム粒子群に含まれる結晶の形状を制御できる。
【0068】
立方体状炭酸カルシウム粒子を充分量含み、かつ、凝集体が少ない炭酸カルシウム粒子群が得られ易いという観点から、「CO
2/Ca質量比」は、好ましくは1.5以上10.0以下、より好ましくは2.0以上5.0以下、更に好ましくは3.0以上5.0以下である。
【0069】
立方体状炭酸カルシウム粒子を充分量含み、かつ、凝集体が少ない炭酸カルシウム粒子群が得られ易いという観点から、「CO
2/Ca質量比」は、モル比に換算した場合、1.3以上9.1以下に調整しても良い。
例えば、カルシウム含有溶液中のカルシウム含有量が10g(=0.25mol)の場合、二酸化炭素の導入量を20g(=0.45mol)に調整しても良い。
【0070】
晶出工程におけるその他の条件(用いる装置、二酸化炭素の導入(吹き込み等)方法等)は特に限定されず、従来の炭酸カルシウムの製造方法において使用されるものを採用できる。
【0071】
二酸化炭素の導入速度は、0.01L/min以上10L/min以下であっても良い。
【0072】
二酸化炭素の導入時間は、60分以上240分以下であっても良い。
【0073】
二酸化炭素の導入温度は、10℃以上40℃以下であっても良い。
【0074】
晶出工程は、カルシウムの溶解を防ぐ観点から、好ましくはpH7.0以上、より好ましくはpH8.0以上の環境下で行う。
pHの上限は特に限定されないが、通常、pH13.0以下である。
【0075】
従来、晶出工程において、少量の種結晶を用いることで、結晶化を促進させる方法が知られる。
しかし、種結晶を用いると、種結晶表面での結晶成長によって炭酸カルシウム粒子同士の凝集体が形成し易くなったり、種結晶表面での結晶成長及び新たな結晶核生成が同時に進行することで粒度分布がブロードになったりする可能性がある。そのため、本発明においては、種結晶を用いないことが好ましい。
【0076】
(その他の工程)
本発明の炭酸カルシウム粒子群の製造方法は、カルシウム含有量測定工程及び晶出工程を設ける点以外は特に限定されず、従来の炭酸カルシウムの製造方法において使用される諸条件を採用できる。
例えば、晶出工程後、固液分離(ろ過等)等によって炭酸カルシウム粒子群を回収しても良い。
回収された炭酸カルシウム粒子群に対しては、乾燥や粉砕を行っても良い。
【0077】
<樹脂組成物>
本発明の炭酸カルシウム粒子群は、炭酸カルシウム粒子を要する任意の用途に利用できる。例えば、本発明の炭酸カルシウム粒子群は、樹脂組成物に好ましく配合することができる。
【0078】
樹脂組成物中の炭酸カルシウム粒子が凝集体を含む場合、成形時にトルクが上昇し得る。かかる場合、成形や延伸が困難となるうえ、得られる成形品の特性(引張強さ、切断時伸び等)も劣る。この様な問題は、炭酸カルシウム粒子の含有量が多い樹脂組成物ほど生じ易い。
しかし、本発明の炭酸カルシウム粒子群は、凝集体の含有量が少ないため、上記の問題が生じにくい。
【0079】
(樹脂組成物の組成)
本発明の樹脂組成物の組成は、特に限定されないが、炭酸カルシウム粒子群と、熱可塑性樹脂との質量比(炭酸カルシウム粒子群:熱可塑性樹脂)が、好ましくは50:50〜90:10、より好ましくは60:40〜80:20、更に好ましくは60:40〜70:30である。
【0080】
熱可塑性樹脂の種類は特に限定されないが、好ましくは、ポリプロピレン樹脂及び/又はポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)である。
【0081】
炭酸カルシウム粒子群の含有量の上限は、樹脂組成物に対して、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは80.0質量%以下である。
【0082】
炭酸カルシウム粒子群の含有量の下限は、樹脂組成物に対して、好ましくは50.0質量%以上、より好ましくは60.0質量%以上である。
【0083】
熱可塑性樹脂の含有量の上限は、樹脂組成物に対して、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは40.0質量%以下である。
【0084】
熱可塑性樹脂の含有量の下限は、樹脂組成物に対して、好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上である。
【0085】
(樹脂組成物中のその他の成分)
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記の成分に加えて、任意の成分が更に含まれ得る。この様な成分は、単独又は2種以上の組み合わせで使用できる。また、この様な成分の種類や配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定し得る。
【0086】
本発明の樹脂組成物に含まれ得る成分としては、可塑剤、熱可塑性樹脂以外の樹脂、充填剤、色剤、滑剤、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
【0087】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、上記の成分を用いて、樹脂組成物の製造方法として従来知られる方法に基づき製造できる。
【0088】
樹脂組成物は、例えば、成分の混合及び溶融混練等によって得られる。
混合や溶融混練のタイミングは、採用しようとする成形方法(押出成形、射出成形、真空成形等)に応じて適宜設定できる。例えば、混合は、成形機のホッパーから投入する前や、成形と同時に行っても良い。例えば、溶融混練は、二軸混練機等によって行っても良い。
【0089】
本発明の樹脂組成物の形態は、例えば、任意の大きさ及び形状のペレットであり得る。
【0090】
ペレットの形状は、例えば、円柱、球形、楕円球状等であり得る。
【0091】
ペレットのサイズは特に限定されない。例えば、球形ペレットの場合、直径1〜10mmであり得る。楕円球状のペレットの場合、縦横比0.1〜1.0、縦横の長さ1〜10mmであり得る。円柱ペレットの場合、直径1〜10mm、長さ1〜10mmであり得る。
【0092】
本発明の樹脂組成物を必要に応じて乾燥させた後、成形することで、所望の成形品を得ることができる。
成形方法としては、インフレーション成形法、押出成形法、射出成形法、発泡射出成形法、射出圧縮成形法、ブロー成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、真空成形法等が挙げられる。
成形品としては、フィルム、シート、容器体(食品容器等)、日用品、自動車用部品、電気電子部品、各種消耗品等が挙げられる。
【実施例】
【0093】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0094】
<炭酸カルシウム粒子群の作製>
以下の方法で、カルシウム含有原料から、炭酸カルシウム粒子群を作製した。
なお、以下の試験は全て室温(20℃前後)で行った。
【0095】
(カルシウム含有原料の準備)
カルシウム含有原料として、市販のポルトランドセメントを準備した。該ポルトランドセメントは、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物を含む。
【0096】
(カルシウム含有懸濁液の作製)
カルシウム含有原料(800g)に、イオン交換水(3200mL)を加え、撹拌し、カルシウム含有懸濁液を得た。
【0097】
(固液分離工程)
固液分離装置によって、カルシウム含有懸濁液をろ過し、カルシウム含有溶液及び固形分を得た。
固形分を廃棄し、カルシウム含有溶液を以下の工程に供した。
【0098】
(カルシウム含有量測定工程)
得られたカルシウム含有溶液(2000mL)中のカルシウム含有量を、ICP発光分光分析法に基づき測定した。
その結果、カルシウム含有溶液中のカルシウム含有量は2.93g(濃度1463mg/L)であると特定した。
【0099】
なお、カルシウム含有溶液中には、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウムが含まれていなかった。
【0100】
(晶出工程)
カルシウム含有溶液に対し、グラスフィルターに通した二酸化炭素ガスを180分間導入し(流量=0.05L/min)、炭酸カルシウムを晶出させた。
二酸化炭素ガスは、窒素ガスに希釈して用いた。
表1に示すとおり、二酸化炭素ガスの導入量は、カルシウム含有溶液中のカルシウム含有量に対する二酸化炭素の量の質量比(CO
2/Ca質量比)が1.0〜15.0となるように設定した。
【0101】
なお、表1中、「条件3(種晶)」とは、種晶(炭酸カルシウム、0.6g)を添加したカルシウム含有溶液を用いた点以外は、表1中の「条件3」と同様にして晶出工程を行った例である。
【0102】
(炭酸カルシウム粒子群の回収)
晶出工程後、吸引ろ過を行い、固形分(炭酸カルシウム粒子群に相当する。)を回収した。
【0103】
(SEM観察)
得られた各炭酸カルシウム粒子群に含まれる結晶の形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した。その結果の一部を
図1に示す。
また、各炭酸カルシウム粒子群に含まれる結晶について、SEM観察の画像解析に基づき、形状、凝集体の多寡、及び、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対する立方体状炭酸カルシウム粒子数の割合を特定した。
なお、本例において、「立方体状炭酸カルシウム粒子」とは、各片の長さが0.5μm以上15.0μm以下であり、かつ、同一の立方体状炭酸カルシウム粒子における各片の長さの差が±0.5μm以下であるものを意味する。
その結果を表2の「主な形状」、「凝集体」、及び「立方体状粒子の割合」の項に示す。
【0104】
(純度)
得られた各炭酸カルシウム粒子群について、X線回折及び走査型電子顕微鏡(SEM)画像解析等で、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対する、軽質炭酸カルシウム粒子の粒子数(純度)を測定した。その結果の一部を表2の「純度」に示す。
【0105】
(比表面積)
得られた各炭酸カルシウム粒子群について、「BELSORP−mini」(マイクロトラック・ベル社製)を用いて、BET吸着法(窒素ガス吸着法)に基づき、比表面積(BET比表面積)を測定した。その結果の一部を表2の「比表面積」に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
表2に示される炭酸カルシウム粒子群のうち、本発明の要件を満たすものは、条件2〜4で得られた炭酸カルシウム粒子群である。
表2及び
図1に示されるとおり、「CO
2/Ca質量比」の調整により、凝集の少ない立方体状の炭酸カルシウム粒子群を高い割合で得られることがわかった。
【0109】
「CO
2/Ca質量比」が低い場合、立方体状の炭酸カルシウム粒子群は得られにくいうえ、多くの凝集体が生じた(条件1)。
他方で、「CO
2/Ca質量比」が高い場合、二酸化炭素ガス量の増加によりpHが7.0を顕著に下回り、炭酸カルシウムが一部溶解し、正確な測定が出来なかった(条件5)。
ただし、「CO
2/Ca質量比」が適当な値であっても、種晶が存在していると種晶表面で結晶成長が生じ、凝集体が形成され、立方体状の炭酸カルシウム粒子群は得られにくかった(条件3(種晶))。
【0110】
晶出工程について、「条件3」での結晶型の経時変化を観察したところ、まずコロイド状の凝集体が多数生じ、それがバラバラとなり、立方体状の結晶に変化していた。
この反応には少なくとも60分を要したので、晶出工程は120分以上かけて行うことが好ましいと思われた。
【0111】
なお、いずれの炭酸カルシウム粒子群もナトリウム、カリウム、及びマグネシウムを含んでいなかった。
【0112】
<樹脂組成物の作製>
上記<炭酸カルシウム粒子群の作製>で得られた炭酸カルシウム粒子群のうち一部を用いて、以下の方法で樹脂組成物を作製した。
【0113】
表3〜5に示す各成分を溶融混練し、ペレット(樹脂組成物に相当する。)を作製した。なお、表中の組成の数値の単位は「質量%」である。
【0114】
樹脂としては、ポリプロピレン(PP)及び/又はポリエチレン(PE)を用いた。
【0115】
用いた炭酸カルシウム粒子群の種類は、表3〜5中の「CaCO
3」の項に示す。この項において、例えば、「条件3」とは、上記<炭酸カルシウム粒子群の作製>における「条件3」で得られた炭酸カルシウム粒子群を意味する。
【0116】
<成形品の作製>
成形品として、インフレーションフィルムを作製した。
具体的には、インフレーションフィルム押出ライン(60mmの円形ダイ、1.2mmのダイギャップ、30mmのネジ直径、L/D比=30)により、厚さ30μmのフィルムを作製した。フィルムは、2.5のBUR(ブローアップ比)で処理した。
なお、押出機において、各区域の温度は180℃〜200℃に設定し、回転数は20rpmに維持した。
【0117】
<成形品の評価>
得られた成形品の引張強さ、切断時伸びを下記の方法で評価した。その結果を表3〜5に示す。
【0118】
(引張強さ、及び切断時伸び)
各フィルムから、JIS K6251:2017のダンベル状3号形試験片を得た。
得られた試験片の引張試験を、ストログラフ(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、23℃で行った。延伸速度は100mm/分に設定した。
得られた応力−歪曲線に基づき、引張強さ(単位:MPa)及び切断時伸び(単位:%)を測定し、以下の基準で評価した。
なお、引張強さ及び切断時伸びの値が高いほど、引張強さ及び切断時伸びが良好であることを意味する。
【0119】
[引張強さの評価基準]
A:引張強さが25MPa超である。
B:引張強さが15MPa以上25MPa未満である。
C:引張強さが5MPa以上15MPa未満である。
D:引張強さが5MPa未満である。
【0120】
[切断時伸びの評価基準]
A:切断時伸びが250%超である。
B:切断時伸びが150%以上250%未満である。
C:切断時伸びが50%以上150%未満である。
D:切断時伸びが50%未満である。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
【表5】
【0124】
表3〜5に示されるとおり、本発明の要件を満たす炭酸カルシウム粒子群を含む樹脂組成物から得られたシートは、引張強さ及び切断時伸びのいずれも良好だった。
また、本発明の要件を満たす炭酸カルシウム粒子群は、樹脂組成物作製時に流動性に優れ、混練し易く、トルクの上昇も認められなかった。
更に、本発明の要件を満たす炭酸カルシウム粒子群を含む樹脂組成物から得られたシートは、表面の凹凸が少なく、外観も良好だった。
【0125】
これに対し、表3〜5に示されるとおり、本発明の要件を満たさない炭酸カルシウム粒子群を含む樹脂組成物から得られたシートは、引張強さ及び切断時伸びのいずれか、又は両方が劣っていた。
更に、本発明の要件を満たさない炭酸カルシウム粒子群は、樹脂組成物作製時に流動性に劣り、トルクの上昇が認められた。
【解決手段】本発明は、炭酸カルシウム粒子群であって、前記炭酸カルシウム粒子群が、立方体状炭酸カルシウム粒子を、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対して70.0%以上含み、前記立方体状炭酸カルシウム粒子の各片の長さが0.5μm以上15.0μm以下であり、かつ、同一の立方体状炭酸カルシウム粒子における各片の長さの差が±0.5μm以下であり、前記炭酸カルシウム粒子群が、軽質炭酸カルシウム粒子を、炭酸カルシウム粒子群全体の粒子数に対して90.0%以上含む、炭酸カルシウム粒子群を提供する。