特許第6985784号(P6985784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985784
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】マーブル模様のグリップ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20211213BHJP
   B29C 69/02 20060101ALI20211213BHJP
   A63B 53/14 20150101ALI20211213BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20211213BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29C69/02
   A63B53/14 Z
   A63B102:32
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-130820(P2017-130820)
(22)【出願日】2017年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-12330(P2018-12330A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2020年7月3日
(31)【優先権主張番号】62/363,878
(32)【優先日】2016年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/597,182
(32)【優先日】2017年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・リー・ウォールズ
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0166902(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0203517(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0228144(US,A1)
【文献】 特開2013−256085(JP,A)
【文献】 特開2000−168287(JP,A)
【文献】 特表2010−538787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
A63B 53/14
B29C 69/02
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外見がマーブル模様である特異なグリップを作成する二重成形工程であって、
グリップを成形する金型を提供するステップと、
前記金型の少なくとも1つのキャビティ内の異なる位置に異なるサイズの少なくとも1つの、選択した材料片を配置するステップと、
前記金型を閉じるステップと、
前記グリップを圧縮成形しながら、同時に射出成形工程を利用して第2の材料で前記少なくとも1つのキャビティを充填するステップと、
前記少なくとも1つのキャビティ内で両方の材料をランダムに移動させるため、前記金型の前記少なくとも1つのキャビティを完全に充填するステップと、
硬化サイクルが完了したとき、前記グリップを取り出すため前記金型を開けるステップと、を備える二重成形工程。
【請求項2】
前記少なくとも1つの材料が前記第2の材料とは異なる色を備える、請求項1に記載の二重成形工程。
【請求項3】
前記配置ステップが、前記金型の前記少なくとも1つのキャビティに前記選択した片をランダムに配置するステップを含む、請求項2に記載の二重成形工程。
【請求項4】
前記グリップがゴルフグリップである、請求項1に記載の二重成形工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、新しいグリップに関し、さらに特には、スポーツ用品用の、マーブル模様を有する新しいグリップと、その作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリップは、工具からスポーツ用品にわたる多くの製品、いくつか例を挙げると、ゴルフ、テニス、スカッシュ、ラケットボール、又は釣り竿等に広く使用されている。ハンドグリップもまた、自転車、オートバイ、又は水上オートバイのような、モーター付きのスポーツ用品又は機械に使用されている。本明細書で使用される「スポーツ用品」という用語は幅広く使用されており、シャフト、ロッド、又はハンドルに対して摺動するグリップを必要とする任意の用途を含むものとする。本明細書で使用される「シャフト」という用語は、シャフト、ロッド、又はハンドルを含むものとする。こうしたスポーツ競技の多くは社会性のあるものであり、グリップの外見は使用者を映し出すものとなるため、こうした種類のスポーツ用品のグリップの外見はますます重要になってきている。プレーヤーは、周りの人より目立ち、ある場合には自身を映し出すものとなり得、またある場合には単に新しいスタイルを打ち出すか又は彼らが使用している用品にも合うようなスタイルや外見のハンドグリップをたびたび探しているのである。
【0003】
外見が特異な、新しいグリップが依然として必要とされている。そのようなグリップはスポーツ用品に際立った特徴を与え、特異で、他にはない外見を与える。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、外見が改良された新しいグリップに関する。
【0005】
本開示はまた、外見が特異なハンドグリップを作成する二重成形工程に関し、グリップを成形する二重金型を提供するステップと、金型のキャビティ内の異なる位置に、選択した少なくとも1種類の、異なるサイズの材料片を配置するステップと、金型を閉じるステップと、金型のキャビティを充填するため第2の液体材料を金型に射出するステップと、外見が特異なグリップを形成するステップと、を備える。
【0006】
本開示を特徴付ける新規性の様々な特徴が、添付の、本開示の一部を形成する特許請求の範囲により特に示される。いっそう理解し、本開示の使用により達成される本開示の動作の利点のために、添付の図面及び説明的事項に対する参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、シャフト上のゴルフクラブグリップの断面図である。
図2図2は、本開示で使用するのに適した、開いた状態の金型の正面図である。
図3図3は、ランナーとスプルーが図示された、射出成形上型スプループレートの上面図である。
図4図4は、射出スプルーを有する1つの上型キャビティを図示した部分的断面下面図である。
図5図5は、本開示に従った方法のステップを記載したフロー図である。
図6図6は、本開示に従って作られ、形成された各グリップの特異なマーブル模様を示した、ゴルフグリップの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図を参照すると、その図は本開示を限定するものではなく、同じ番号がいくつかの図にわたって同じ又は類似の特徴を示し、まず特に図1では、シャフト12上に配置されたグリップ10の断面図が示されている。グリップ10は、シャフトに対して摺動し、その上で保持されるよう構成された型式である。グリップ10は通常、ゴム又はゴムのような材料で作られた細長い中空筒状本体14であり、シャフトを滑るようサイズ決めされた開口端部16と、本体の反対端部に、シャフトの端部に嵌合する突合わせ端部(butt end)18を有する。本開示においては、ゴルフグリップに対して特定の参照がなされているが、本開示の方法及び原則は、シャフト上を滑るよう構成された、スポーツ用品の任意の型式のグリップに適用することが理解されるべきである。先に簡潔に述べたように、熱硬化性材、熱可塑性ゴム(「TPR」)材、又は熱可塑性エラストマー(「TPE」)材のような、ゴムや、その他のエラストマー性ポリマーといったゴムのような材料を使用してグリップ10を形成し得る。
【0009】
次に図2を参照すると、本開示に従ってグリップ10を製造するのに適した二重金型(dual mold)32の1つの実施形態が示されている。この二重金型は、市販の射出成形プレス金型である。金型32は、本明細書では二重金型とも称され、後に本明細書でさらに詳細を説明する通り、圧縮及び射出成形の一体成形工程を扱う構造及び機能性を有している。金型32は、図3に見られる射出成形上型スプループレート又はセクション34と下型セクション又はプレート36の2つの部分と、その中で均等に中央に配置され、図2に見られるようにサポート39上に共に取り付けられた、1つ又は複数の芯棒又はマンドレル38を有する、クランプタイプの圧縮式金型を含む。金型32は、一体型ヒーター(図示なし)を含むか、あるいは既知の方法で外部から加熱され得る。金型を加熱するその他の好適な方法は、グリップ10の最終形態を製造する際に金型内の材料を加熱し、加硫し、硬化するのに用いられ得る。射出成形上型スプループレート34は、ゴム又はゴムのような材料を射出するのに好適な条件を提供するため、電気加熱されたプラテンシステム(図示なし)に接続されている。
【0010】
上下の金型セクション34、36はそれぞれ、成形工程が完了するとグリップ10を所望の形態に形成する形で、上下の金型キャビティ40、42の対抗面に、上下の金型キャビティ40、42を含む。金型キャビティ40、42はそれぞれ、一方の端部では閉じられており、その閉じられた端部から軸方向に所望の距離だけ反対側に位置した開口端部を有する。芯棒38は、成形工程中にグリップ10の内径を形成し、開口端部を密封する。所望の距離とは、形成されるグリップ10の所望の軸方向長さであり、用途に応じて変わることになる。単に例示目的だが、通常のゴルフのスインググリップの軸方向長さは、約27センチである。
【0011】
金型キャビティ40、42は柄、デザイン、又は印(図示なし)を含むことができ、該当するデザインをグリップの外側表面に施せるよう、溝やライン又は図形を金型キャビティの壁部に加工することによって、又は、金型キャビティの壁部に隆起部分を与えることによって形成される。こうしたデザインは、美的目的のため、又は、グリップの取扱いやグリップの感触属性を与えるためのものになり得る。
【0012】
金型32は、手動又は自動作動プレス44を含み得、矢印Aが示す通り、上昇又は開口位置に金型32を開き、プレスが金型32を完全に閉じる場合は矢印Bの方向に下降するよう動作する。圧縮成形のために金型が閉じて圧縮される場合、開口部(図示なし)で受けるよう構成された位置合わせピン48が、上下の金型セクション34、36の適切な位置合わせを容易にする。芯棒38を有する芯棒サポート39が、プレス44の作動中に適切な位置まで移動し、金型32内で芯合わせする。金型32は、1つ又は複数の金型32を支持するサポートテーブル50上に配置され得る。図3は、本明細書では射出成形金型スプループレート34とも称される、上型セクション34を示しており、ランナー62及びスプルー64が図示されている。ランナー62は、射出工程中に液体のゴム又はゴムのような材料が通り流れるチャネルである。スプルー64は、金型32のキャビティを充填するノズル及び通路である。射出成形上型スプループレート34は、締結具66でプレス44に取り付けるための溝70を有するブラケット68を含む。スプルー64は、図4において最もよく分かるように、上型40のキャビティそれぞれと流体連通しており、グリップ10の圧縮と射出成形を同時に達成するよう、溶融エラストマー、ゴム、又はゴムのような材料を高圧下で金型32のキャビティに移動させている。
【0013】
次に図5を参照すると、外見が特異なグリップを作成するために活用される、本主題の開示の方法がさらに詳しく記述されている。ブロック20のステップ1によって示されている、工程の第1ステップでは、サイズが不揃いな選択した片を上下の金型キャビティ40、42内、及び/又は前述の、又は圧縮成形と射出成形が同時に行える金型の芯棒38の頭部上の様々な位置に配置し、その選択した片は、第1のゴム又はゴムのような材料(このステップでは色が異なる2種類以上の材料を使用し得る)の範囲及び/又は形状、及び/又は厚さが異なる、様々なサイズの材料片であることが望ましい。2種類以上の材料片が使用され得、1色又は複数の色を有し得る、サイズが不揃いな少なくとも1種類の材料片が、上下の金型キャビティ40、42の位置に、又は芯棒38上に、選択的に配置され得るか又はそれらは上下の金型キャビティ40、42の位置に、及び/又は芯棒38上にランダムに配置され得る。単に例示目的であるが、グリップの上部分には繊維強化材料が望ましい場合があり、繊維強化を有する第1の材料片は、上下の金型キャビティ内のその位置に、選択的に配置されることになる。グリップの特定の位置、例えばグリップの上部分あるいはグリップの下部分に、マーブル模様範囲をより多くしたい場合は、上下の金型キャビティの所望の範囲に材料片を配置することになる。
【0014】
次に、ブロック22で示されるように、工程のステップ2において金型32を閉じる。本工程のステップ3で、ブロック24に示されるように、射出成形工程を利用して第2のゴム又はゴムのような材料で金型32のキャビティを充填する。さらにステップ4において、ブロック26に示されるように、キャビティが完全に充填され、キャビティ内で材料がランダムに移動する。金型32はゴム又はゴムのような第1の材料を液体化するのに十分な温度まで加熱し、次に続いて、硬化温度及び硬化時間でグリップの形状に硬化し、さらに、硬化サイクルが完了するときに金型32を開き、完成したグリップ10を取り出す。所望であれば、第2の材料がゴム又はゴムのような材料と繊維の混合物でもよい。外見が特異なマーブル模様であるグリップを形成するため、圧縮成形工程と射出成形工程が同時に実施される。異なる外見や効果を生み出せるよう、射出工程の圧力及び速度パラメーターが調整され得る。本工程により、マーブル模様の不揃いな外見を有する各グリップが特異に形成される。加工方法又は設備の型式に基づき、グリップの生産に活用される材料は熱硬化性又はTPR型の材料と互換可能でなくてはならない。
【0015】
図6は、本開示に従って作成されたゴルフグリップ10を斜視図で示しており、それぞれのマーブル模様を有する各グリップの特異性を示している。
【0016】
外見のマーブル模様に影響及ぼすよう、以下の方法で設備設定を変えることができる。温度設定は摂氏160度から175度の範囲とすることができる。射出圧は、機械の型式や圧力範囲を基に調整することができる。単に説明目的であるが、使用されている設備はクランプ圧が150トンであり、1平方インチあたり(「psi」)1350ポンドから2275ポンド(1平方センチメートルあたり160キログラム)の範囲となり得る、射出圧設定を有する。外見のマーブル模様に影響を及ぼすことになるその他のパラメーターには、射出工程を遅らせたり、金型を閉じるのを遅らせたりすることが含まれる。
【0017】
本発明の特定の実施形態は、本開示の原則の用途を説明するために詳細に示され、記述されてきたが、本開示はそのような原則から逸脱しない範囲で具体化され得ることが理解されるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6