特許第6985791号(P6985791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985791
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】データ転送デバイス及び無線通信回路
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/04 20060101AFI20211213BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20211213BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G06F1/04 511
   G06F13/38 350
   H04L7/00 080
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-188499(P2016-188499)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-55266(P2018-55266A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年6月6日
【審判番号】不服2021-2254(P2021-2254/J1)
【審判請求日】2021年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】中牟田 和周
(72)【発明者】
【氏名】新冨 雄二
(72)【発明者】
【氏名】松村 哲
(72)【発明者】
【氏名】飯島 正統
【合議体】
【審判長】 ▲吉▼田 耕一
【審判官】 林 毅
【審判官】 小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−293230(JP,A)
【文献】 特開2004−348186(JP,A)
【文献】 特開2016−063359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/04
G06F13/38
H04L7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアルクロックラインを通じてマスタデバイスから送信される第1のシリアルクロック信号に同期する第2のシリアルクロック信号を生成するクロック生成回路と、
前記第2のシリアルクロック信号に同期して動作し、前記マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てであるか否かを判定する判定回路と、
データ処理回路と、を備え、
前記クロック生成回路は、前記マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てであると判定された後に、前記第1のシリアルクロック信号の前記データ処理回路への転送を開始し、
前記データ処理回路は、前記クロック生成回路から転送される前記第1のシリアルクロック信号に同期して動作し、前記マスタデバイスから要求された処理を行
前記クロック生成回路から前記データ処理回路への前記第1のシリアルクロック信号の転送を休止する休止条件が満たされたか否かを判定するための休止条件判定回路を更に備え、
前記クロック生成回路は、前記休止条件が満たされたときに、前記データ処理回路への前記第1のシリアルクロック信号の転送を休止し、
前記休止条件は、
前記マスタデバイスから送信されるコマンドに誤りがあること、
前記マスタデバイスから送信されるコマンドが未定義であること、又は、
前記マスタデバイスからの要求処理の終了を指示する信号を受信せずに、前記マスタデバイスからの後続要求処理の開始を指示する信号を受信すること、
の何れかである、データ転送デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ転送デバイスを備える無線通信回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ転送デバイス及び無線通信回路に関わる。
【背景技術】
【0002】
マイクロコントローラとその周辺デバイスとの間では、8ビットデータを1つの単位としてシリアルデータの送受信が行われている。このようなシリアルデータの転送方式の一つとして、例えば、I2Cバスと呼ばれるバス形式が知られている。I2Cバス形式では、シリアルクロックラインとシリアルデータラインとから成る双方向2線式バスを用いてデータ転送が行われる。I2Cバスには、複数のデータ転送デバイスが接続可能である。各データ転送デバイスは、データ転送の制御権限を有するマスタデバイスとして機能するか、或いはマスタデバイスからの要求に応答してデータ転送を行うスレイブデバイスとして機能する。マスタデバイスから各スレイブデバイスにシリアルクロックラインを通じてシリアルクロック信号が供給される。各スレイブデバイスは、シリアルクロック信号に同期して動作する。I2Cバス方式では、マスタデバイスから処理要求がなされていないスレイブデバイスにもシリアルクロック信号が供給される。このような事情を背景にして、特開2008−293230号公報は、マスタデバイスからの処理要求が自デバイス宛てではないと判定したときに、マスタデバイスから自デバイスへのシリアルクロック信号の転送を休止することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−293230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開2008−293230号公報に記載の方法では、マスタデバイスからの処理要求が自デバイス宛てであるか否かを判定している最中にも、マスタデバイスから自デバイスへシリアルクロック信号が転送されてしまう。シリアルクロック信号の高調波成分は、RF(Radio Frequency)信号のノイズとして作用することがあるため、シリアルクロック信号の不要な転送はできるだけ行わないことが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、シリアルクロック信号の不要な転送に起因するノイズの発生を低減するデータ転送デバイスを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明に係るデータ転送デバイスは、(i)シリアルクロックラインを通じてマスタデバイスから送信される第1のシリアルクロック信号に同期する第2のシリアルクロック信号を生成するクロック生成回路と、(ii)第2のシリアルクロック信号に同期して動作し、マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てであるか否かを判定する判定回路と、(iii)データ処理回路と、を備える。クロック生成回路は、マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てであると判定された後に、第1のシリアルクロック信号のデータ処理回路への転送を開始し、データ処理回路は、クロック生成回路から転送される第1のシリアルクロック信号に同期して動作し、マスタデバイスから要求された処理を行う。データ転送デバイスは、クロック生成回路からデータ処理回路への第1のシリアルクロック信号の転送を休止する休止条件が満たされたか否かを判定するための休止条件判定回路を更に備える。クロック生成回路は、休止条件が満たされたときに、データ処理回路への第1のシリアルクロック信号の転送を休止する。休止条件は、マスタデバイスから送信されるコマンドに誤りがあること、マスタデバイスから送信されるコマンドが未定義であること、又は、マスタデバイスからの要求処理の終了を指示する信号を受信せずに、マスタデバイスからの後続要求処理の開始を指示する信号を受信すること、の何れかである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不要なシリアルクロック信号の転送に起因するノイズの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る無線通信回路の概略回路構成を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係るデータ転送デバイスの概略回路構成を示す説明図である。
図3】本発明の実施形態に係る判定回路の詳細回路構成を示す説明図である。
図4】本発明の実施形態に係る判定回路の動作を示すタイミングチャートである。
図5】本発明の実施形態に係るクロック生成回路の詳細回路構成を示す説明図である。
図6】本発明の実施形態に係る各信号のタイミングチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る各信号のタイミングチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る各信号のタイミングチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る無線通信回路の概略回路構成を示す説明図である。
図10】本発明の実施形態に係る無線通信回路の概略回路構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここで、同一符号は同一の回路素子を示すものとし、重複する説明は省略する。また、説明の便宜上、信号のタイミングチャートは、正論理の場合を例示しているが、負論理に置換してもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信回路100の概略回路構成を示す説明図である。無線通信回路100は、例えば、携帯電話などの移動通信端末において、RF信号を送受信する処理を行う。無線通信回路100は、マスタデバイスとして機能するデータ転送デバイス20と、スレイブデバイスとして機能するN個のデータ転送デバイス10−1,10−2,…,10−Nと、を備えている。ここで、Nは1以上の整数である。それぞれのデータ転送デバイス10−1,10−2,…,10−Nは、シリアルクロックライン31及びシリアルデータライン32を通じてデータ転送デバイス20に接続している。無線通信回路100のバス形式として、例えば、I2Cバスを用いてもよく、或いは、任意のシリアルデータの転送方式を用いてもよい。I2Cバス形式では、「マスタデバイス」とは、「データ転送を開始し、シリアルクロック信号を生成し、データ転送を終了するデバイス」として定義されている。「スレイブデバイス」とは、「マスタデバイスからアドレス指定されるデバイス」として定義されている。マスタデバイスから各スレイブデバイスへシリアルクロックライン31を通じてシリアルクロック信号SCLK(第1のシリアルクロック信号)が供給される。また、マスタデバイスから各スレイブデバイスへシリアルデータライン32を通じてシリアルデータSDATAが供給される。無線通信回路100では、例えば、ベースバンドIC(Integrated Circuit)又はRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)がマスタデバイスとして動作し得る。一方、電力増幅モジュール、フロントエンドモジュール、スイッチ素子などがスレイブデバイスとして動作し得る。
【0010】
なお、本明細書では、「データ転送デバイス10」は、N個のデータ転送デバイス10−1,10−2,…,10−Nを総称する用語であるものとし、それぞれのデータ転送デバイス10−1,10−2,…,10−Nを区別する必要がないときには、「データ転送デバイス10」という用語を用いるものとする。
【0011】
図2はデータ転送デバイス10の概略回路構成を示す説明図である。データ転送デバイス10は、クロック生成回路40、自デバイス判定制御回路50、データ処理制御回路90、クロック制御信号生成回路52、及びSSC信号検出回路53を備える。クロック生成回路40は、シリアルクロックライン31を通じてマスタデバイスから送信されるシリアルクロック信号SCLKに同期するシリアルクロック信号sa_clk(第2のシリアルクロック信号)を生成する。自デバイス判定制御回路50は、シリアルクロック信号sa_clkに同期して動作する順序回路であり、有限個のステート(状態)を有している。クロック生成回路40にシリアルクロック信号SCLKが供給され続けているときは、シリアルクロック信号sa_clkも同様に自デバイス判定制御回路50に供給され続けている。自デバイス判定制御回路50に入力される信号と、その信号が入力された時点での自デバイス判定制御回路50のステートとの組み合わせによって、自デバイス判定制御回路50の次のステートが定まる。自デバイス判定制御回路50は、そのステートに応じて、クロック生成回路40からデータ処理制御回路90へのシリアルクロック信号s_clk(第1のシリアルクロック信号)の転送を制御する。
【0012】
自デバイス判定制御回路50は、ステートマシン51及び判定回路60を備える。ステートマシン51は、状態遷移を制御する。判定回路60は、マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てであるか否かを判定する。クロック制御信号生成回路52は、クロックイネーブル信号s_clkenを制御する。SSC信号検出回路53は、シリアルデータライン32を通じてマスタデバイスから送信されるSSC信号を検出すると、検出信号ssc_detを自デバイス判定制御回路50に出力する。ここで、SSC信号は、マスタデバイスとスレイブデバイスとの間の通信の開始を示す信号であり、RFFE(RF Front-End Control Interface)バスでは、シーケンス・スタート・コンディションと呼ばれる。自デバイス判定制御回路50、クロック制御信号生成回路52、及びSSC信号検出回路53は、シリアルクロック信号sa_clkに同期して動作する。判定回路60は、データ転送デバイス10をアドレス指定するためにマスタデバイスから送信されるID(identification)と、データ転送デバイス10に固有のIDとを比較する。比較の結果、これらのIDが一致しているときは、判定回路60は、マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てであると判定し、ID一致信号をクロック制御信号生成回路52に出力する。一方、これらのIDが一致していないときは、判定回路60は、マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てでないものと判定し、ID不一致信号をクロック制御信号生成回路52に出力する。IDの一致は、クロック生成回路40からデータ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの転送開始条件であるため、判定回路60は、開始条件判定回路と称することもできる。クロック制御信号生成回路52は、アイドルステートのときに、判定回路60からID一致信号を受信すると、クロックイネーブル信号s_clkenを「1」にアサートする。クロック生成回路40は、クロックイネーブル信号s_clkenが「1」にアサートされたことを受けて、データ処理制御回路90へのシリアルクロック信号s_clkの転送を開始する。一方、クロック制御信号生成回路52は、アイドルステートのときに、判定回路60からID不一致信号を受信すると、クロックイネーブル信号s_clkenを「0」にネゲートされたままに維持する。クロック生成回路40は、クロックイネーブル信号s_clkenが「0」にネゲートされたことを受けて、データ処理制御回路90へのシリアルクロック信号s_clkの転送を休止する。ここで、シリアルクロック信号s_clkは、例えば、シリアルクロック信号SCLKとクロックイネーブル信号s_clkenとの論理積により得られる。
【0013】
データ処理制御回路90は、ステートマシン91、休止条件判定回路70、及びデータ処理回路80を備える。ステートマシン91は、状態遷移を制御する。休止条件判定回路70は、クロック生成回路40からデータ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの転送を休止する休止条件が満たされたか否かを判定する。データ処理回路80は、マスタデバイスから要求された処理を行う。マスタデバイスから要求される処理として、例えば、データ転送(マスタデバイスへのデータの送信処理、又はマスタデバイスからのデータの受信処理など)がある。ステートマシン91、休止条件判定回路70、及びデータ処理回路80は、シリアルクロック信号s_clkに同期して動作する。即ち、ステートマシン91、休止条件判定回路70、及びデータ処理回路80は、マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てであるときに動作する。
【0014】
休止条件として、例えば、以下に列挙する6つの条件を挙げることができる。一つ目の休止条件は、マスタデバイスから送信されるデータに誤り(例えば、パリティエラー)があることである。二つ目の休止条件は、マスタデバイスから送信されるコマンドに誤り(例えば、パリティエラー)があることである。三つ目の休止条件は、マスタデバイスから送信されるコマンドが未定義であることである。四つ目の休止条件は、マスタデバイスからの要求処理の終了を指示する信号を受信せずに、マスタデバイスからの後続要求処理の開始を指示する信号を受信することである。五つ目の休止条件は、マスタデバイスからの要求処理を完了したことである(正常終了)。六つ目の休止条件は、自デバイス判定制御回路50のステートがアイドルステートであることである。上述の休止条件は、例示に過ぎず、上述の休止条件以外の条件を用いてもよい。何れかの休止条件が満たされると、休止条件判定回路70は、休止条件が満たされたことを示す休止信号をクロック制御信号生成回路52に出力する。クロック制御信号生成回路52は、休止条件判定回路70から休止信号を受信すると、クロックイネーブル信号s_clkenをネゲートする。クロック生成回路40は、クロックイネーブル信号s_clkenがネゲートされたことを受けて、データ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの転送を休止する。
【0015】
図3は判定回路60の詳細回路構成を示す説明図である。判定回路60は、データ転送デバイス10をアドレス指定するためにマスタデバイスから送信されるID91と、データ転送デバイス10に固有のID92とを比較する比較回路61を備える。比較回路61は、二つのID91,92が一致しているときは、ID一致信号(saddr_match=1)を出力する。一方、比較回路61は、二つのID91,92が一致していないときは、ID不一致信号(saddr_match=0)を出力する。比較回路61は、NOTゲート62、NORゲート63、NANDゲート64、NOTゲート65、ANDゲート66、及びDフリップフロップ67を備えている。NORゲート63は、ID92と、NOTゲート62によって論理否定されたID91とを入力する。NANDゲート64は、NORゲート63の出力信号と、Dフリップフロップ67の出力信号saddr_matchとを入力する。ANDゲート66は、NANDゲート64の出力信号と、NOTゲート65によって論理否定された検出信号ssc_detとを入力する。検出信号ssc_detは、SSC信号検出回路53によってSSC信号が検出されたタイミングを示す。Dフリップフロップ67のクロック端子には、シリアルクロック信号sa_clkが入力される。Dフリップフロップ67のD端子には、ANDゲート66の出力信号が入力される。Dフリップフロップ67のリセット端子には、リセット信号por_bが入力される。Dフリップフロップ67の出力端子からは、出力信号saddr_matchが出力される。
【0016】
図4は判定回路60の動作を示すタイミングチャートである。マスタデバイスからSSC信号が出力された後に、シリアルクロック信号sa_clkに同期して、ID91の各ビットデータSA3、SA2、SA1、及びSA0がこの順番でシリアルデータライン32に出力される。SSC信号が出力されると、シリアルデータライン32は、ビジー状態となる。検出信号ssc_detは、SSC信号の立下りエッジで「0」から「1」に変化し、ビットデータSA3が出力されたときのシリアルクロック信号sa_clkの立ち上がりエッジで「1」から「0」に変化する。同図に示すタイミングチャートでは、二つのID91,92が一致している場合の出力信号saddr_matchの論理値の変化と、二つのID91,92が一致していない場合の出力信号saddr_matchの論理値の変化とを示している。なお、時刻t0と時刻t1と間、及び時刻t2と時刻t3との間における、出力信号saddr_matchの論理値は、「1」でもよく、或いは「0」でもよい。
【0017】
図5はクロック生成回路40の詳細回路構成を示す説明図である。クロック生成回路40は、ANDゲート41、及びNOTゲート42,43を備えている。クロック生成回路40が生成するシリアルクロック信号sa_clkは、マスタデバイスから供給されるシリアルクロック信号SCLKに同期する同相信号である。シリアルクロック信号sa_clk_bは、NOTゲート42によって、シリアルクロック信号SCLKの論理値を反転した逆相信号である。シリアルクロック信号s_clkは、ANDゲート41による、シリアルクロック信号SCLKとクロックイネーブル信号s_clkenとの論理積として得られる。即ち、クロックイネーブル信号s_clkenが「1」にアサートされている期間中に、シリアルクロック信号s_clkが生成される。シリアルクロック信号s_clk_bは、NOTゲート43によって、シリアルクロック信号s_clkの論理値を反転した逆相信号である。
【0018】
図6は、マスタデバイスからの要求に応答して、エラーなく、スレイブデバイスが処理を完了させるときの各信号のタイミングチャートを示す。クロック制御信号生成回路52は、判定回路60からsaddr_match=1が出力されたことを受けて、処理開始信号ckstartの論理値を「0」から「1」に変更する。また、自デバイス判定制御回路50は、マスタデバイスからの要求処理の終了を指示するBP信号を検出すると、処理終了信号ckstopの論理値を「0」から「1」に変更する。BP信号は、マスタデバイスとスレイブデバイスとの間の通信の終了を示す信号であり、RFFEバスでは、バス・パークと呼ばれる。クロック制御信号生成回路52は、処理開始信号ckstartの論理値が「0」から「1」に変更されたことを受けて、クロックイネーブル信号s_clkenを「1」にアサートする。また、クロック制御信号生成回路52は、処理終了信号ckstopの論理値が「0」から「1」に変更されたことを受けて、シリアルクロック信号sa_clk_bの立ち上がりのタイミングで、クロックイネーブル信号s_clkenを「0」にネゲートする。クロックイネーブル信号s_clkenが「1」にアサートされている期間中に、シリアルクロック信号s_clkがクロック生成回路40からデータ処理回路80に転送される。
【0019】
図7は、マスタデバイスから要求された処理をスレイブデバイスが完了させることなく、エラー終了するときの各信号のタイミングチャートの一例を示す。マスタデバイスからスレイブデバイスに供給されるシリアルデータSDATAに、パリティエラーなどの誤りが存在することがある。休止条件判定回路70は、データ誤りが検出されると、休止条件が成立したことを示す休止信号をクロック制御信号生成回路52に出力する。クロック制御信号生成回路52は、休止信号を受信すると、シリアルクロック信号sa_clk_bの立ち上がりのタイミングで、クロックイネーブル信号s_clkenを「0」にネゲートする。これにより、クロック生成回路40からデータ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの転送を休止できる。
【0020】
図8は、マスタデバイスから要求された処理をスレイブデバイスが完了させることなく、エラー終了するときの各信号のタイミングチャートの他の例を示す。スレイブデバイスは、マスタデバイスからの要求処理の終了を指示するBP信号を受信せずに、マスタデバイスからの後続要求処理の開始を指示するSSC信号を受信することがある。このような場合、クロック制御信号生成回路52は、SSC信号の立下りのタイミングで、クロックイネーブル信号s_clkenを「0」にネゲートする。これにより、クロック生成回路40からデータ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの転送を休止できる。
【0021】
なお、上述の6つの休止条件のうち図7及び図8に示す休止条件以外の休止条件が成立した場合の各信号のタイミングチャートは、図7に示すものと類似しているため、図示を省略する。
【0022】
また、無線通信回路100内の各データ転送デバイス10−1,10−2,…,10−Nの接続形式は、図1に示す例に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、マスタデバイスとして機能するデータ転送デバイス20−1と、スレイブデバイスとして機能するデータ転送デバイス10−1,10−3,…,10−(2k+1)とを接続してもよい。同様に、マスタデバイスとして機能するデータ転送デバイス20−2と、スレイブデバイスとして機能するデータ転送デバイス10−2,10−4,…,10−(2k)とを接続してもよい。但し、2k+1=Nとする。或いは、図10に示すように、スレイブデバイスとして機能するそれぞれのデータ転送デバイス10−1,10−2,…,10−Nを、マスタデバイスとして機能する複数のデータ転送デバイス20−1,20−2に接続してもよい。図10に示す構成では、複数のデータ転送デバイス20−1,20−2の間でバス調停が行われ、バス使用権限を有する何れか一つのデータ転送デバイスがマスタデバイスとして、各スレイブデバイスとの間でデータ転送を行う。
【0023】
本実施形態によれば、データ転送デバイス10は、マスタデバイスからの要求が自デバイス宛てであると判定された後に、クロック生成回路40からデータ処理回路80にシリアルクロック信号s_clkを転送する。これにより、マスタデバイスからの処理要求が自デバイス宛てであるか否かを判定している最中における、データ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの不要な転送を禁止できる。シリアルクロック信号s_clkのデータ処理回路80への不要な転送を抑制することにより、輻射ノイズを低減し、ひいては、低消費電力化にも資することができる。
【0024】
また、予め定められた休止条件が満たされたときに、データ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの転送を休止することにより、データ処理回路80の処理を適切に休止することができる。例えば、マスタデバイスから送信されるデータに誤りがあることを休止条件とすることにより、データの誤りを検出した後のデータ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの不要な転送を抑制できる。また、マスタデバイスから送信されるコマンドに誤りがあることを休止条件とすることにより、コマンドの誤りを検出した後のデータ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの不要な転送を抑制できる。また、マスタデバイスから送信されるコマンドが未定義であることを休止条件とすることにより、コマンドの未定義を検出した後のデータ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの不要な転送を抑制できる。また、マスタデバイスからの要求処理の終了を指示するBP信号を受信せずに、マスタデバイスからの後続要求処理の開始を指示するSSC信号を受信することを休止条件とすることにより、BP信号を受信しない場合でも、SSC信号を受信した後のデータ処理回路80へのシリアルクロック信号s_clkの不要な転送を抑制できる。この結果、ノイズ源となるシリアルクロック信号s_clkの不要な転送を休止することができる。
【0025】
また、データ転送デバイス10が、複数のマスタデバイスと通信する場合には、シリアルクロック信号s_clkの数も多くなるため、シリアルクロック信号s_clkの不要な転送を禁止することによる利点は大きい。また、無線通信回路100では、シリアルクロック信号の高調波成分は、RF信号のノイズとして作用することがあるため、シリアルクロック信号s_clkの不要な転送を禁止することによる利点は大きい。
【0026】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更又は改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。実施形態が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、「回路素子Aが回路素子Bに接続する」とは、回路素子Aが回路素子Bに直接接続している場合のみならず、回路素子Aと回路素子Bとの間に回路素子C(例えば、スイッチ素子)を経由して信号経路が選択的に確立され得る場合も含まれるものとする。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図示の比率に限定されるものではない。また、実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0027】
10,20…データ転送デバイス
31…シリアルクロックライン
32…シリアルデータライン
40…クロック生成回路
50…自デバイス判定制御回路
60…判定回路
70…休止条件判定回路
80…データ処理回路
100…無線通信回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10