【実施例】
【0132】
[0143] 以下の実施例は、本発明の例証となる実施形態を実証するために記載される。これらの実施例で開示された技術は、本発明の実施の際によく機能することが見出された技術の代表であり、したがって本発明の実施の好ましい方式を構成すると見なすことができることは、当業者には理解されると予想される。しかし、当業者は、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、開示された特定の実施形態に多くの変更を加え、なお同様の又は類似の結果を得ることができることを、本開示に鑑みて理解しているものと予想される。
【0133】
実施例1−AAVベクターライブラリー構築
[0144] 遺伝子治療のための既存のAAVベクターを改善する方法論は、標的組織への優れた形質導入効率を特徴とする、カプシド変異体を誘導するための合理的アプローチ又は指向性進化のいずれかを含む。本発明では、カプシド表面の可変領域のみを修飾するコンビナトリアルカプシドライブラリーを得るために、両方のアプローチを「バーチャルファミリーシャッフリング」の1つの統一設計戦略に統合した。デッドエンド変異体の生成を最小にするために、個々のサブライブラリーを先ず組み立てて、限定された表面露出領域内の適合性アミノ酸残基を予備選択した。その後、成功したファミリーを交配して、約1×10
8複雑度の組み合わせライブラリーを得た。パッケージングされたウイルスDNAのNext−Genシークエンシングによって指向性進化を受けやすいカプシド表面エリアを明らかにし、このようにして将来の設計のためのガイダンスを得た。AAV2ベースのベクターを得ることによる遺伝子治療用途におけるこのライブラリーの有用性は、ネズミ肝臓において20倍高い形質導入効率を特徴とし、これは今やAAV8のものと等価である。
【0134】
実験方法
[0145] 本発明の実施に有用な実験方法は、現代分子遺伝学の文献において見つけることができ、遺伝子治療分野の当業者には周知である。AAVベクターの調製及び精製についての詳細な方法及びプロトコルは、米国特許第7,220,577号(この特許文献の明確な参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれている)で見出すことができる。
【0135】
[0146] ライブラリー内の改変された位置(X)を示すAAV2カプシドのCapLib−6アミノ酸配列を下に示す:
【0136】
[0147] MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSXXGXXNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNXXXXAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYFLSRTNXXXGXXTXSXLXFSQXXASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSXXXXXNNNSXFSWXGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHXDXXXXFFPQSGVLIFGKXXXXXXXXXXXXVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQXXXXXAAXXXVXTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNXXXXXXVXXTVDTNGVYSEPRPIGTRFLTRNL(配列番号105)
【0137】
[0148] このライブラリーをマウスの血流に注射し、3日後に肝臓からカプシドDNAを増幅し、それを使用して新たなウイルスライブラリーを生成した。3ラウンドのそのようなインビボでの選択ラウンド後、下記の変異体を得た:
【0138】
【表1】
【0139】
実施例2−−新規AAV変異体を得るためのコンビナトリアルアプローチと合理的アプローチの統合
[0149] AAVは、パルボウイルス科に属する一本鎖DNAウイルスである(Muzyczka及びBerns、2001)。AAV由来ベクターは、それらの病原性不在、エピソーム局在及び安定した導入遺伝子発現のため、ヒト遺伝子治療用途向けの有望なツールである(Wuら、2006)。しかし、AAVの臨床使用に対する重大な欠点は、その無差別性及びヒト抗体による中和に対するその感受性である(Louis-Jeuneら、2013)。これらの欠点の両方が、カプシドの表面に露出しているアミノ酸残基の性質によって決まる。1)ウイルス生物学の知識に基づく合理的アプローチによって結合、進入及び/又は細胞内トラフィッキングを助長するようにカプシド残基の突然変異を誘発する(Wuら、2000;Zhongら、2008;Lochrieら、2005;Aslanidiら、2012;Liら、2012;Gabrielら、2013;Pandyaら、2013;Senら、2013;Aslanidiら、2013)、及び2)指向性進化プロセス、すなわちAAVカプシドへの分子修飾のハイスループット導入法を利用して、自然進化の大いに加速された競争の中で多様性と選択の両方を操作する(Mullerら、2003;Peraboら、2003;Maheshriら、2006;Michelfelderら、2007;Kwon及びSchaffer、2008;Liら、2008;Koerberら、2008;Liら、2009;Yangら、2009;(Koerberら、2009;Maguireら、2010;Grayら、2010;Jangら、2011;Yangら、2011;Asuriら、2012;Dalkaraら、2013;Yang及びXiao、2013)、2つの主要な戦略を一般に用いて、AAVベクターを改善する。両方の方法論は、優れた形質導入能力を有するベクターの作成に成功しているが、それらの有用性は、AAV生活環の理解、及び定向進化プロトコルの技術的限界のために限定的である。
【0140】
[0150] 本発明に採用した戦略は、両方のアプローチを1つの統一設計に統合した。公知のAAVカプシド構造の詳細な知識(Xieら、2002;Kaludovら、2003;Waltersら、2004;Padronら、2005;Laneら、2005;DiMattiaら、2005;Millerら、2006;Namら、2007;Quesadaら、2007;DiPrimioら、2008;Mitchellら、2009;Ngら、2010;Agbandje-McKennaand Kleinschmidt、2011;DiMattiaら、2012;Govindasamyら、2013)及び150の天然に存在する変異体の配列を用いて、インシリコ「バーチャルファミリーシャッフリング」プロセスを行って、その構造の表面の可変領域のみが修飾されるコンビナトリアルカプシドライブラリーを得た。
【0141】
[0151] 得られたライブラリーの有用性を、4つの突然変異しか有さないAAV2由来ベクターでネズミ肝臓の形質導入を20倍増進すること−−合理的突然変異誘発と指向性進化の組み合わせ−−によって実証した。
【0142】
材料及び方法
[0152] ライブラリー構築。ライブラリーを2工程で造った:先ず、個々のVR系列(1つだけ又は2つの可変領域に突然変異を有する各々)を得て、カプシド集合に適合するアミノ酸の組み合わせについて選択し、次に、構造適合性配列を組み合わせて最終ライブラリーを生成した。以前に記載された(Cocoら、2002)ような縮重ホモ二本鎖遺伝子ファミリー組み換え(Degenerate Homoduplex Gene Family Recombination)(DHGFR)によってDNA断片を合成した:
記載された(Cost及びCozzarelli、2007)ようなヌクレアーゼによって支援される酵素的ライゲーション(ELAN)によって断片を組み立てた。6つの個々のVR系列についての断片を、野生型領域についてはpSub201(Samulskiら、1987)から誘導したPCR産物の、及び可変領域についてはDHGFR産物(又は適切なDHGFRテンプレートが入手できなかった場合にはELAN産物)から誘導したPCR産物の、オーバーラップ伸長(Hortonら、1989)によって生成した。組み立てた断片を、等温DNAアセンブリ(Gibsonら、2009)を用いて、線形化pSubEagApa(3764及び4049のApaI部位間に欠失を含有し、位置4373にEagI部位、サイレント突然変異、を含み、それ故、ApaI部位とEagI部位間への断片の挿入後、完全長cap遺伝子の再構成を可能にする、pSub201誘導体)に挿入した。各15cmディッシュにつきライブラリープラスミド10ng及びpHelper 70μg(1:5000のモル比)をHEK293細胞にコトランスフェクトしたことを除き、以前に記載された(Maheshriら、2006)通りにウイルスライブラリーを生成した。イオジキサノール勾配(Zolotukhinら、1999)を用いてAAVを精製し、rep遺伝子に特異的なプライマー(フォワード:5’−GCAAGACCGGATGTTCAAAT−3’(配列番号165)、リバース:5’−CCTCAACCACGTGATCCTTT−3’(配列番号166))を使用してqPCRによって力価測定した。最終ライブラリーを生成するために、可変領域を含有するオーバーラッピング断片を、個々のウイルスライブラリーから単離した精製DNAから増幅し、オーバーラップ伸長を用いて組み立てた。その産物を上で説明したように線形化pSubEagApaに挿入した。上で説明したように最終ウイルスライブラリーを生成し、精製し、定量した。
【0143】
[0153] ライブラリーシークエンシング。精製ウイルスDNAを、次のプライマーを使用して増幅した:それぞれフォワード及びリバースとして、
5’−CAACCACCTCTACAAACAAATTTCCAG−3’(配列番号167)及び
5’−CACGCCATTAGTGTCCACAG−3’(配列番号168)。
【0144】
[0154] 得られた増幅産物をゲル精製した。次いで、それをUF ICBR NextGenコアラボラトリーにおいて1つのSMRTセルを使用してPacBio RS機器で処理した。データを分析するために、Python 2.7プログラミング言語を用いて専用コードを記述した。そのコードによってCCSリードを含有するオリジナルfastqファイルを通訳し、リードを参照配列にアラインすることによって補正し、補正されたリードをタンパク質配列に翻訳し、その後、その結果を分析した。シークエンシングエラーの高い発生率にもかかわらず、有用なリードを回収することができた。カプシド配列の大部分が保存され、可変領域内の配列のみを必要とするからである。
【0145】
[0155] この実施例において、可変領域は、1399のうちの182のヌクレオチドを含んでいた。したがって、caplibによって生成された補正リードは、可変領域にエラーがない(あいまいなヌクレオチドを含めて、参照配列と正確にマッチする)可能性が高いCCSリードから導出されたものであった。明らかに、このアプローチは、可変領域内に挿入又は欠失の可能性があるすべてのリードを排除し、保存領域において起こりうる一切の変異を無視する。
【0146】
[0156] インビボでの選択。インビボでの選択アプローチの各ラウンドにおいて、8〜10週齢の2匹のオスC57BL/6Jマウスにウイルス調製物1×10
10〜1×10
11vg(第一ラウンドについてはオリジナルライブラリー、後続のラウンドでは標的濃縮ライブラリー)を尾静脈経由で注射した。3〜4日後、イソフルランでの麻酔後に頸椎脱臼によってマウスを安楽死させた。改良型Hirt DNA抽出(Arad、1998)を用いて採取した肝臓からエピソームDNAを精製し、テンプレートとして使用して、下記プライマーを使用してカプシドDNA配列を増幅した:
フォワード:5’−GGATGGGCGACAGAGTCATC−3’(配列番号169)及び
リバース:5’−CAAGCAATTACAGATTACGAGTCAGG−3’(配列番号170)
【0147】
[0157] ゲル精製後、増幅産物を上で説明したように線形化pSubEagApaに挿入した。次いで肝臓濃縮ライブラリーを上で説明したように生成し、精製し、定量した。第3ラウンドの選択ラウンド後、増幅されたカプシドDNAを線形化pACG2−m56、すなわち、pSubEagApaと同じ修飾(ApaI部位とEagI部位間での増幅カプシド断片のクローニングを可能にする、2つのApaI部位間の欠失及びEagI部位の導入)を有するpACG−2から誘導したベクター(Liら、1997)、に挿入した。その後、シークエンシングによってランダムクローンを分析した。
【0148】
[0158] ルシフェラーゼ発現。pACG2−m56の選択されたカプシド変異体、すなわち、等モル量のルシフェラーゼ発現性バーコード付きベクターpTR−UF50−BC(GenBankアクセッション番号KF926476)及びpHelper、を各変異体について別々のトランスフェクションでHEK293細胞にコトランスフェクトした。したがって、各カプシド変異体を異なる配列識別子(バーコード)に物理的に連結させた。結果として生じた遺伝子導入AAVを上で説明したように精製し、定量したが、ただしCBAプロモーターに特異的なプライマー:
フォワード:5’−TCCCATAGTAACGCCAATAGG−3’(配列番号171)
リバース:5’−CTTGGCATATGATACACTTGATG−3’(配列番号172)
をqPCRに使用した。
【0149】
[0159] 等モル混合物(qPCR導出力価から算出)をテンプレートとして使用してバーコード領域を増幅し、次いで、それをIonTorrentシークエンシング反応に加えた。各変異体に特異的なバーコードを定量することによって、正確な相対力価測定を果たした。ウイルス調製物(バーコード補正力価に従って)1×10
11vgを9週齢オスBALB/cマウス(Charles River Laboratories)に、各変異体につき3匹に、尾静脈経由で注射した。40日間、5日ごとに、体重1gにつきルシフェリン150μgの腹腔内注射の10〜12分後にXenogen IVISイメージングシステムでルシフェラーゼ発現をモニターした。
【0150】
[0160] バーコードシークエンシング。バーコード付きDNAのシークエンシングをUF ICBR NextGenコアラボラトリーでIonTorrent PGMシステムを使用して行った。下記のバーコード付きプライマーを使用してサンプルを増幅した:
フォワード:5’−CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAGNNGGACGAGCTGTACAAGTAAATCG−3’(配列番号173)及び
リバース:5’−CCTCTCTATGGGCAGTCGGTGATNNCCATTATAAGCTGCAATAAACAAG−3’(配列番号174)
(ここで、「NN」は特有の配列を示す)。したがって、各リードは、3つのバーコード、すなわち、テンプレート内に位置する、カプシド変異体を識別する1つのバーコードと、プライマー内に位置する、組織サンプルを識別する2つのバーコードを含有する。dna−バーコード、すなわちPython2.7で記述された専用スクリプト、によってシークエンシングデータを分析した。
【0151】
[0161] hFIX発現。AAV8又はLiCカプシドを含有するウイルスベクター、及びApoE−hAAT−hF9ベクター(Mannoら、2006)を上で説明したように生成した。いずれかの調製物1×10
10vgを6〜8週齢のオスC57BL/6マウス(Jackson Laboratories)に、各ベクターにつき4匹に、尾静脈に注射した。注射したマウスを3か月間追跡し、ヘパリン処理されたマイクロキャピラリーチューブを使用して後眼窩神経叢から月1回採血した。hFIX抗原の血漿レベルを、発表された(Mingozziら、2003;Caoら、2009)ようにELISAによって測定した。
【0152】
[0162] 体内分布。バーコード付きカプシド変異体のウイルス調製物の等モル混合物を3匹の9週齢オスBALB/cマウス(Charles River Laboratories)にマウス1匹につき2×10
11vgの用量で尾静脈注射した。3週間後にマウスを上で説明したように安楽死させた。全DNAを組織サンプルから単離し、定量した。組織中のAAVゲノムの存在を、上で説明したようなCBAプロモーターに特異的なプライマーを使用するqPCRによって定量した。各サンプル中の様々なカプシド変異体の相対量をバーコードシークエンシングデータから算出した。
【0153】
結果
[0163] ライブラリー設計。様々な血清型間のAAVカプシドタンパク質の構造比較によって、より進化的に分岐したエリアが散在する高相同配列が明らかになった。これらのアミノ酸ストレッチは、可変領域I〜IX(VR、「ループ」としても公知)と一般に呼ばれる(Govindasamyら、2006)。ちなみに、VRは、集合カプシドの表面に局在しており、細胞表面受容体及び他の宿主因子との相互作用に関与していると考えられている。それらの位置のため、VRはまた、カプシド集合にあまり重要でないと予測される。したがって、ライブラリー設計の指針は、集合する足場の完全性を維持するために主鎖配列を変更しないまま表面VRのみを修飾することであった。突然変異誘発のすべての候補位置を150の天然に存在するAAV変異体のアラインメントから選択し、その後、AAV2カプシドの3Dモデル(Xieら、2002)を用いて評価した。
【0154】
[0164] 表面に明らかに露出している残基だけを修飾に選択した。不一致の残基の出現率を低減させるために、導入された置換の選択を、分析した150の相同体からの少なくとも1つにおける所与の位置に出現するものに限定した。合理的設計戦略に加えて、さらに次の4カ所:形質導入効率を増加させるための、表面Y444F及びY500F(Zhongら、2008)、ならびにAAV2の一次受容体であるヘパラン硫酸プロテオグリカン(Summerford及びSamulski、1998)への結合を脱標的化する(de-target)ための、表面R585F及びR588F(Opieら、2003)を修飾した。
【0155】
[0165] ヌクレオチド配列及び結果として生じたアミノ酸多様性を含む、各可変領域の詳細な組成を、添付の図に示す。所望の組成を達成するために、場合によっては、コドン1つにつき1つより多くのヌクレオチドを変化させてさらなるアミノ酸多様性を生じさせる必要があった。すべての置換を組み込んでいるAAV2カプシド遺伝子断片を合成オリゴヌクレオチドから組み立て、対応するWT配列が除去されたAAV2ゲノムを含有するプラスミドベクターに挿入した。
【0156】
[0166] 1×10
8の推定複雑度を有するプラスミドライブラリーをランダムクローンのシークエンシングによって分析し、このライブラリーは、予想されたヌクレオチド置換、位置及びタイプを含めてライブラリー設計を正確に反映することが判明した。しかし、この非常に代表的なプラスミドライブラリーは、より高い力価のパッケージングされたウイルスを生じさせることができなかった。明らかな説明は、集合活性化タンパク質(AAP)をコードする代替オープンリーディングフレーム(ORF)の存在であった(Sonntagら、2010)。AAP ORFはVR I及びIIのコード領域とオーバーラップするので、それらの突然変異誘発は、ことによるとAAP構造及び機能に干渉することになり、多くのカプシド変異体の集合を妨げる可能性が高い。しかし、AAPの破壊は、初期設計からの低いウイルスライブラリー複雑度の唯一の理由ではなかった。置換の一部は3D構造の関連で不適合性であったので、高い多様性は、ライブラリーを非機能性にさせるようであった。例えば、プラスミドとカプシド封入ウイルスDNAは両方とも、単一VR−IIIライブラリーがパッケージングされ、すべての可変位置に設計通りにヌクレオチドが組み込まれると、予想された複雑度を示した(CapLib3A)。しかし、同じVR−IIIをVR−IV〜VR−VIIIプラスミドライブラリーと組み合わせると、パッケージングされたビリオンには、プラスミドレベルで予想された多様性を有するにもかかわらず、主としてWT AAV2ゲノムを組み込んだ(CapLib3B)。多数の同時置換の存在は、カプシドフォールディング及び/又は集合と不適合性である組み合わせの尤度を増し、その結果、一部の生存可能な変異体が劇的に増加するようであった。
【0157】
[0167] 選択形質としての構造適合性。単一VRライブラリーは予想された多様性と高い力価両方のウイルスストックを生成するようであったので、個々のVRごとにカプシドフォールディングとの適合性について選択することによってできる限り大きい多様性を生じさせる新たな戦略に着手した。そこで、回収したカプシド封入ウイルスDNAを使用して、予備選択した構造適合性変異体を組み合わせることによって最終ライブラリーを作成した。構築された個々のライブラリーの配列分析後、ウイルスDNAは、VR−IIでの多様性なし(WT配列のみ)(オーバーラッピングAAP ORFのため予想通り)、VR III及びVIでの低い多様性、ならびにすべての他のVRでの高い多様性を明示した。次いで、これらのVR系列からの配列を組み合わせて最終ライブラリーを生成した。得られた配列は、136の縮重位置を含み、59の可変アミノ酸位置をコードし、それらの可変アミノ酸位置の各々に2〜16の順列があり、その結果、4×10の理論複雑度(可能性のあるアミノ酸組み合わせの総数)となる(Govindasamyら、2006)。VP3単量体及び集合カプシドの三次元モデルをレンダリングし、可変アミノ酸位置をVR同一性に従って彩色した。
【0158】
[0168] コロニー数を外挿し、陽性クローンを補正することによって演繹して、9.2×10
7の推定複雑度を有するプラスミドライブラリーを生成した。対応する21のタンパク質配列すべてが特有のものであることが判明した21クローンのランダムサンプルをシークエンシングすることによってライブラリーの質を評定した。各々と参照AAV2配列との差は、24〜41のアミノ酸置換であった。置換は、1配列につき5〜7VR内に分布していた。VR II及びIIIは、すべての場合、WTであった。組み立て手順のため、位置444及び500はY/F多型性を呈示し、1/21及び8/21はそれぞれの位置にWT Tyr残基を含有した。
【0159】
[0169] ウイルスライブラリー特性評価。コロニー数の外挿、及びランダムな個々のクローンのシークエンシングは、ライブラリー複雑度を常に過剰推定する。一部の変異体ゲノムは生存可能なカプシドを形成できないからである。よりストリンジェントな条件下でライブラリーの複雑度を評定するために、カプシド封入ウイルスDNAをNext−Genシークエンシングに付した。VR間の距離、及びVRの小さいサイズのため、短いリードから完全長配列コンティグを正確に再構成することはできないと予想される。それ故、そのより低いスループット及び高いエラー率にもかかわらず、PacBioサーキュラーコンセンサスシークエンシング(CCS)プラットフォームを、現行の方法論に最も適した適合性リード長を有するものとして選択した。得られるデータセットを分析するソフトウェアサポートが存在しないので、本発明者らは、シークエンシングデータを処理及び分析するための専用コード(caplib)も開発した。19,455のオリジナルCCSリードから、caplibソフトウェアは、840の補正リードのリストを生成し、それらのリードを、上で説明したように分析するタンパク質配列に翻訳した。
【0160】
[0170] 順序を入れ替えたVRの複雑度を例証する適便な方法として、シャノンエントロピー(Shannonら、1948)を840の個々のタンパク質配列のアラインメントからコンピュータ計算した。データが明かすように、エントロピーは、VR I、IV及びVIIにおいて最高であり、VR V、VI及びVIIIでは中等度であり、VR IXでは非常に低く、VR IIIでは殆ど存在しなかった。840のタンパク質配列の比較によって、1つより多くのコピーに存在した41配列を含む、699の別個の配列を同定した。各配列は、43以下の突然変異(置換)を有し、平均は19.16であった。
【0161】
[0171] 突然変異誘発されたVRの頻度分布及び相互依存性によって、配列の大部分(75%)が3〜5(平均3.76)VRに突然変異を有することが明らかになった。配列のほぼ半分(414又は49.3%)は、突然変異体VRの組み合わせ3つのうちの1つ、I−IV−V−VII(179)、I−IV−V−VI−VII(134)又はI−IV−VII(101)を有する。配列の三分の二(557又は66.3%)は、3つのVR I、IV及びVIIに突然変異を有する。4/5(677又は80.6%)より多くが少なくともVR I及びIVに突然変異を有する。
【0162】
[0172] 各可変アミノ酸位置での突然変異体残基の−プラスミドライブラリーとウイルスライブラリーの両方における−予測及び実測百分率の比較を添付の図に示す。個々のVRライブラリーに由来するパッケージングされたウイルスDNAから組み合わせプラスミドライブラリーを構築したので、理論ライブラリーとプラスミドライブラリーの比較は、個々のVRにおける突然変異のビリオン集合に対する影響を示す。VR IV、VI及びVIIIのみにおける突然変異は、カプシド集合に有意に干渉しないようであるが、対照してVR III及びIXにおける突然変異は強く選択される。プラスミドライブラリーとウイルスライブラリーの比較によって、複数の突然変異VRを組み合わせることの効果を評価することが可能になる。突然変異体VR I、IV及びVは、他のVRにおけるさらなる突然変異に十分寛容であり(プラスミドライブラリーからの数とウイルスライブラリーからの数の間に殆ど差は見られず)、VR VIIIは異なり、より小さい程度にVR VI、VII及びIXは寛容であるようである。
【0163】
[0173] 840配列のコンセンサスを、4つより多くのコピーに見られた9つの配列とアラインした(突然変異を有する領域のみを表示する)。すべての場合、VR III、VIII及びIXは完全にWTであり、これは、これらの領域がビリオン集合効率に影響を及ぼす変化に対して最も感受性でありうることを示唆していた。興味深いことに、コンセンサス配列自体が、840の分析した配列の中で同定されなかった。
【0164】
[0174] 各可変位置でのアミノ酸組成を決定した。何らかのレベルの多様性が殆どの位置で見られる(位置383のみが単一同一性を有する)が、多くの場合、単一アミノ酸が支配的である。しかし、単一変異体が配列の50%より多くに存在しない14の位置をVR I(位置263)、IV(450〜461)及びVII(548〜550、555及び556)で見出すことができる。
【0165】
[0175] 理論値と比較して可変アミノ酸位置の実測複雑度も算出した。実験に基づく複雑度は、理論複雑度についての1〜16の範囲及び6.79の平均と比較して、1と14の間で変動し、平均は5.93である。位置383だけは1の実測複雑度を有し、これは、840配列のうち14配列のみがVR IIIにおける突然変異を有するので、おそらくサンプリングバイアスの結果である。8つの可変領域の複雑度もまた同様にコンピュータ計算した(表1参照)。
【0166】
【表2】
【0167】
[0176] 興味深いことに、それらの複雑度は、殆どの場合、予測されたものよりはるかに小さかった。カプシド集合に適合する組み合わせが殆どなかった、又は異なる組み合わせが集合効率の劇的な相違、VRレベルで複雑度を低減させる効果の劇的な相違をもたらしたように見える。しかし、多くの配列は単一コピーとして存在したので、実際のVR複雑度はサンプルにおいて観察されたものよりことによるとはるかに高かったことに留意しなければならない。例示的ライブラリー自体の複雑度に関しては、小さいサンプルサイズにより、信頼できる複雑度の決定ができなかった。しかし、可能性のあるVR組み合わせの総数は、(上で説明したように過小推定される)実測複雑度に基づいて、2.0×10
14である。VRにおけるアミノ酸の組み合わせに関して得られた実測最低値の予想最低値に対する比(18/699)を適用すると5.0×10
12が得られ、これは、上に記載した9.2×10
7の限界よりなおはるかに高い数字である。その限界は、実測複雑度とサンプルサイズ間の比(699/840)に従って調整する必要がある。したがって、7.7×10
7の下限を、このライブラリーの複雑度について自信をもって推定することができた。
【0168】
[0177] 肝臓標的指向型AAV変異体のインビボでの選択。肝臓は、多くの遺伝性障害を処置するための重要な遺伝子治療標的である(Sands、2011;Sharlandら、2010)。いくつかの血清型は肝臓を優先的に標的にし、最高形質導入効率はネズミ肝臓においてAAV8によって示され(Gaoら、2002;Nakaiら、2004)、発現レベルはAAV2のものより2桁高い。しかし、これは霊長類には言えず、AAV8の効率は霊長類でのほうが劇的に低い(Hurlbutら、2010)が、それでもAAV8は、ヒト肝臓指向性遺伝子治療に最良の候補ベクターの1つと見なされている。AAV2をライブラリーの基幹として使用したので、本発明者らは、AAV8のものに匹敵する効率で肝臓を標的にする新規カプシド変異体を単離できるかを問うた。
【0169】
【表3】
【0170】
[0178] 3ラウンドのインビボでの選択後、41クローンをシークエンシングし、反復性配列の可変領域のアラインメントを生成した。7つの肝臓選択配列はいずれも840の翻訳配列リード中で見つけることができなかった。これは、それらの存在度がオリジナルライブラリーにおける既存普及率の結果ではなく、真の選択の結果である可能性が最も高いことを示している。興味深いことに、LiCにおけるK507T置換はライブラリーの設計に含まれなかった。肝臓選択変異体のモチーフ濃縮の比較を表3に要約する。
【0171】
【表4】
【0172】
[0179] モチーフ中の太字の文字は、(AAV2参照と比較した)アミノ酸置換を示す。右側の2列は、ライブラリーシークエンシングサンプル(CapLib)における及びシークエンシングされた肝臓選択変異体におけるモチーフ出現率を示す。
【0173】
[0180] 最高濃縮度を有するモチーフは、VR IではSASGASN(配列番号175)、VR IVではNSEGGSLTQSSLGFS(配列番号177)及びVR VではSEFSWPGATT(配列番号179)であり、これは、変異体LiA及びLiCが最も強く選択されたことを示唆している。
【0174】
[0181] 肝臓選択変異体LiA及びLiCの特性評価。変異体カプシドLiA及びLiC、ならびに対照AAV2及びAAV8をルシフェラーゼ発現性バーコード付きベクターpTR−UF50−BCでパッケージングした。肝臓におけるルシフェラーゼ発現の動態は、すべての血清型及び変異体について非常に異なった:AAV8は急速な初期増加を媒介し、その後、ゆっくりと横ばい状態になった。LiAは、より低い発現レベルで同様の傾向をたどった。その一方で、LiCは、着実な増加をもたらし、約30日後にAAV8のレベルと合流した。40日の時点で、AAV8及びLiC媒介ルシフェラーゼ発現は、AAV2の発現を20倍上回った。ルシフェラーゼ発現と一致して、ApoE−hAATプロモーターによって駆動されるhFIX導入遺伝子発現が同じパターンをたどり、AAV8及びLiCについては同様の効率、LiAについては2倍低い効率を示した。
【0175】
【表5-1】
【0176】
【表5-2】
【0177】
【表5-3】
【0178】
[0182] 注射の42日後にマウスを安楽死させて、様々な組織及び器官におけるウイルスゲノムの体内分布を検査した。全DNAをサンプルから単離し、定量し、qPCRのためのテンプレートとして使用して、ウイルスゲノムコピー数を決定した。
【0179】
考察
[0183] より好適な規制環境に付随する、AAVベクターを伴う臨床試験の最近の進歩は、より高い形質導入効率、より高い標的親和性、及びより低い免疫原性を有するビヒクルを得るための努力を刺激した。今までに最も多くの実績があるアプローチの1つは、新規AAV血清型の単離であった。その明白な成功にもかかわらず、1度に1つの、新たな血清型の特性評価は、多くの時間と労力を要する。代替方法論は、特定の用途の要求を満たす新たな変異体をランダムに作ることを目指して高複雑度のコンビナトリアルカプシドライブラリーを生成することであった。しかし、カプシドライブラリーを生成するために利用できる様々な戦略には、配列バイアス又は限られた多様性という欠点がある。最後に、多くの好適な突然変異を組み合わせて相加効果を生じさせることができないのは明らか(Aslanidiら、2013)なので、カプシド構造の理解に基づくアミノ酸残基の合理的な突然変異誘発アプローチには実際的な限界があるだろう。本実施例では、3つの戦略(天然に存在する血清型の利用、指向性進化の適用、及び合理的突然変異誘発)すべてを1つの統一アプローチで開発して、遺伝子治療及び関連方法論で使用するためのAAVベクターの可用性を大いに向上させた。
【0180】
[0184] 150の天然に存在するAAV変異体の既存配列データベースの生物情報学的分析を用いてコンセンサスAAVカプシドテンプレートを作り、それによって9つの可変領域に、血清型の少なくとも1つにおける所与の位置に存在する代替残基を組み込んだ。唯一実行可能なアプローチ−デノボDNA合成−を用いて、このインシリコ導出アルゴリズムをコンビナトリアルプラスミドDNAライブラリーに変換した。プラスミドライブラリーは初期設計を忠実に反映することが判っているにもかかわらず、3D構造適応性の新たな選択形質を導入して、個々のVR各々の中の構造的に堅固な変異体を単離しなければならなかった。その後、成功したファミリーを交配して、約1×10
8複雑度の組み合わせウイルスライブラリーを得、Next−Genシークエンシングを用いてそれを綿密に特性評価した。
【0181】
[0185] WT親と4カプシド残基しか異ならないが20倍向上した効率を有するネズミ肝臓を標的にするAAV2変異体(LiC)の反復選択によって、このライブラリーの有用性を実証した。分析した両方の肝臓特異的変異体におけるすべての突然変異は、AAVカプシドの公知抗原部位及び組織形質導入を制御する領域内に位置する。VR−Iにおける残基263は、A20モノクローナル抗体の結合部位内(Lochrieら、2005)、及びAAV1のADK1bフットプリント内にある。この領域が形質導入を制御することも公知である(Lochrieら、2005)。Q263A突然変異は、AAV2.5、すなわちAAV2に由来する筋肉親和性ベクター(Bowlesら、2011)、における突然変異の1つでもある。VR−V残基は、AAV1のADK1aフットプリント及びAAV1の4E4フットプリント内にある(Gurdaら、2013)。残基490〜500は、AAV2のC37Bフットプリント及びAAV1の5H7フットプリント内にあり(Gurdaら、2013)、AAV9における肝臓親和性に影響を及ぼすと報告されている(Pulicherlaら、2011)。
【0182】
[0186] ライブラリー構築の段階的アプローチはもちろん、カプシド封入ウイルスゲノムのNext−Genシークエンシングも、全カプシド完全性のための個々のVR各々の構造的要件を理解する上で有用である。例えば、VR−IIをコードするヌクレオチド配列は、AAP ORFとオーバーラップしているので肝要であるようであり、突然変異誘発することができない。VR III及びIXは、低い複雑度値を示しており、これは、カプシド構造にとってのこれらの領域の重要性を示す。これらのVRにおける残基は2回軸に最も近く、このことが組み立てに重要であることは証明されている(Naumerら、2012)。その一方で、VR I、IV及びVIIは最も寛容であり、それらの残基の置換は、他のVRにおける突然変異に適合する。立体的には、VR−Iは、カプシド上に隆起し、他の単量体と相互作用せず、VR−IVは、表面から最も遠くに突き出し、このVRの基部のみが他のVP単量体と相互作用する。VR I、IV、VII、V及びVIは、突然変異位置の最高含有量を有するが、VR III、IX及び、より小さい程度にだが、VIIIは、殆ど不変であり、これは以前の報告(Ngら、2010)と一致する。これらのデータは、特定のVRの構造適合性を不可欠な選択形質としてうまく利用することができる、よりいっそう高い複雑度を有する次世代カプシドライブラリーの設計の明確なガイダンスをもたらす。
【0183】
参考文献
[0187] 下記参考文献は、本明細書に記載されるものを補足する例示的手順又は他の詳細を提供する程度に、下記参考文献の明確な参照によりそれら全体が本明細書に具体的に組み込まれている:
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【0184】
[0188] 本明細書に記載される実施例及び実施形態が単に例証を目的とするものであること、及び本明細書に記載される実施例及び実施形態に鑑みて様々な修飾形態又は変更形態が当業者に示唆されることになり、本出願の主旨及び権限ならびに添付の請求項の範囲内に含まれることになることは、理解されるはずである。
【0185】
[0189] 本明細書に引用するすべての参考文献(出版物、特許出願及び特許を含む)は、各々の参考文献が、参照により組み込まれていると個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0186】
[0190] 本明細書における値の範囲についての列挙は、本明細書中での別段の指示がない限り、その範囲内に入る別々の値各々に個々に言及する簡単な方法として役立つことを意図したものに過ぎず、別々の値各々が本明細書に個々に列挙されているかのごとく本明細書に組み込まれている。
【0187】
[0191] 本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書中での別段の指示がない限り、又は文脈による別段の明確な否定がない限り、任意の適する順序で行うことができる。
【0188】
[0192] 本明細書において提供する任意の及びすべての例、又は例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、本発明をよりよく例証することを意図したものに過ぎず、別段の指示がない限り本発明の範囲に制限を課さない。本明細書中のいずれの言葉も、いずれかの要素が本発明の実施に不可欠であることを示すと、そのように明確に述べられていない限り、解釈すべきではない。
【0189】
[0193] 1つ又は複数の要素に関して「含むこと(comprising)」、「有すること(having)」、「含むこと(including)」又は「含有すること(containing)」などの用語を用いる本発明の任意の態様又は実施形態の本明細書における記載は、別段の記述又は文脈による明確な否定がない限り、その特定の1つ又は複数の要素「からなる」、「から本質的になる」又は「を実質的に含む」本発明の類似の態様又は実施形態もサポートすることを意図したものである(例えば、特定の要素を含むと本明細書に記載される組成物は、別段の記述又は文脈による明確な否定がない限り、その要素からなる組成物も記載していると解されるものとする)。
【0190】
[0194] 本明細書に開示され、特許請求の範囲に記載される組成物及び方法のすべては、本開示に鑑みて過度の実験なしに作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態の観点から説明したが、本発明の概念、主旨及び範囲から逸脱せずに、本明細書に記載される組成物及び方法にならびに方法の工程及び一連の工程に変化を加えることができることは、当業者には明らかであると予想される。より具体的には、化学的及び/又は生理的に関連する特定の薬剤を、本明細書に記載される薬剤で置換することができ、その上、同じ又は類似の結果が達成されることになることは、明らかであると予想される。当業者には明らかなそのような類似の置換形態及び修飾形態はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の主旨、範囲及び概念内であると考えられる。