【実施例】
【0016】
以下、実施例によって本発明に係る頭髪処理剤および頭髪処理方法について説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、実施例、比較例における特性の評価方法は以下の通りである。なお、下記の各官能評価においては、被験者3名分の各評価結果の平均的な段階(○,△,×)を最終的な評価結果とした。
【0017】
<溶存酸素量の測定>
カラーリングした後に頭髪処理剤によって処理する前後の頭髪を採取し、それらの頭髪を所定の温度(35℃)の水中(頭髪の水に対する重量比=5質量%)に浸漬させて約60分間に亘って放置した。しかる後、その頭髪を浸漬させた水中の溶存酸素量を、隔膜電極法を利用した溶存酸素計(東亜DDK株式会社製 COD(化学的酸素要求量)自動測定装置)によって測定し、その測定値を、カラーリング剤の酸性成分あるいはアルカリ成分の残存量の代替指標とした。
【0018】
<カラーリング状態>
被験者3名のカラーリング後の頭髪の状態を、美容師によって下記の3段階で官能評価した。
○:頭髪に染め斑がまったく認められない。
△:頭髪にわずかな染め斑が認められる。
×:頭髪に明確な染め斑が認められる。
【0019】
<頭髪の損傷度合い>
被験者3名のカラーリング後の頭髪の損傷状態を、美容師によって下記の4段階で官能評価した。
○:キューティクルの剥離、枝毛、切れ毛等の頭髪の損傷がほとんど見られず、頭髪に艶、ハリや潤いがある。
△:キューティクルの剥離、枝毛、切れ毛等の頭髪の損傷が散見され、頭髪に艶、ハリや潤いがあまりない。
×:キューティクルの剥離、枝毛、切れ毛等の頭髪の損傷が多数見られ、頭髪に艶、ハリや潤いがほとんどない。
【0020】
<皮膚の損傷状態>
被験者3名について、カラーリングした後に頭髪処理剤によって処理した後の皮膚の状態を、下記の3段階で官能評価した。
○:皮膚に紅斑等が全く見られない。
△:皮膚にわずかな紅斑が見られる。
×:皮膚に明確な紅斑が見られる。
【0021】
[実施例1]
<頭髪処理剤の調製>
下記の各成分を混合・攪拌することによって、頭髪処理剤Aを調製した。
・ブロム酸ナトリウム6質量%
・香料(オレンジ):0.05質量%
・界面活性剤(味の素(株)製 アミソフト(登録商標)(L−グルタミン酸およびヤシ油脂肪酸由来のアミノ酸系アニオン界面活性剤):4.0質量%
・精製水:残余量
【0022】
<頭髪のカラーリング>
市販のカラーリング剤(中野製薬株式会社製 キャラデコ サイセンカ(茶色))を、泡状に吐出して頭髪に付着させ、その付着部分で再度2秒間に亘って泡立てるという作業を繰り返しながら、頭髪全体に80gを付着させた。しかる後、再度頭髪全体での泡立て作業を15秒間行い、一定時間(20分間)放置した。
【0023】
<酸・アルカリ除去処理>
上記の如くカラーリングした頭髪を、水(35℃)のみで洗浄した後、その洗浄後の頭髪に、上記した頭髪処理剤を約20g塗布し、その塗布後の頭髪を3分間に亘って十分に揉み合わせた。しかる後、その頭髪を、再度、水(35℃)で洗浄した(すなわち、ブロム酸ナトリウム処理を施した)。さらに、そのブロム酸ナトリウム処理後の頭髪に、界面活性剤(川崎ファインケミカル株式会社製 アミゾール CDE)を約20g塗布し、その塗布後の頭髪を3分間に亘って十分に揉み合わせた。その後、その界面活性剤を塗布した頭髪を、水(35℃)で洗浄した(すなわち、界面活性剤処理を施した)。そして、上記と同様なブロム酸ナトリウム処理(頭髪処理剤の塗布+揉み合わせ+水洗い)および界面活性剤処理(界面活性剤の塗布+揉み合わせ+水洗い)を、3セット繰り返し行った後に、ドライヤーで約80℃の熱を加えて頭髪を乾燥させた。
【0024】
そして、上記した酸・アルカリ除去処理後の頭髪のカラーリング状態、頭髪の損傷度合い、皮膚の損傷状態を評価した。また、酸・アルカリ除去処理の前後の頭髪の溶存酸素量を測定した。評価結果および測定結果を頭髪の処理条件(酸・アルカリ除去条件)とともに表1に示す。
【0025】
[実施例2]
<頭髪処理剤の調製>
下記の各成分を混合・攪拌することによって、頭髪処理剤Bを調製した。
・ブロム酸ナトリウム4質量%
・香料(オレンジ):0.05質量%
・界面活性剤(実施例1と同じもの):4.0質量%
・精製水:残余量
【0026】
そして、実施例1と同様にカラーリングした頭髪に、頭髪処理剤Bを使用した以外は実施例1と同様にして、酸・アルカリ除去処理を施した(すなわち、ブロム酸ナトリウム処理および界面活性剤処理を繰り返して施した)。そして、その酸・アルカリ除去処理後の頭髪のカラーリング状態、頭髪の損傷度合い、皮膚の損傷状態を評価した。また、酸・アルカリ除去処理の前後の頭髪の溶存酸素量を測定した。評価結果および測定結果を頭髪の処理条件(酸・アルカリ除去条件)とともに表1に示す。
【0027】
[実施例3]
<頭髪処理剤の調製>
下記の各成分を混合・攪拌することによって、頭髪処理剤Cを調製した。
・ブロム酸ナトリウム2質量%
・香料(オレンジ):0.05質量%
・界面活性剤(実施例1と同じもの):4.0質量%
・精製水:残余量
【0028】
そして、実施例1と同様にカラーリングした頭髪に、頭髪処理剤Cを使用した以外は実施例1と同様にして、酸・アルカリ除去処理を施した(すなわち、ブロム酸ナトリウム処理および界面活性剤処理を繰り返して施した)。そして、その酸・アルカリ除去処理後の頭髪のカラーリング状態、頭髪の損傷度合い、皮膚の損傷状態を評価した。また、酸・アルカリ除去処理の前後の頭髪の溶存酸素量を測定した。評価結果および測定結果を頭髪の処理条件(酸・アルカリ除去条件)とともに表1に示す。
【0029】
[比較例1]
実施例1と同様にカラーリングした頭髪を、水(35℃)のみで洗浄した後、その洗浄後の頭髪に、実施例1と同様な界面活性剤を約20g塗布し、その塗布後の頭髪を3分間に亘って十分に揉み合わせた。その後、その界面活性剤を塗布した頭髪を、水(35℃)で洗浄した(すなわち、界面活性剤処理を施した)。そして、その界面活性剤処理(界面活性剤の塗布+揉み合わせ+水洗い)を、3セット繰り返し行った後に、ドライヤーで約80℃の熱を加えて頭髪を乾燥させた。そして、乾燥させた後の頭髪のカラーリング状態、頭髪の損傷度合い、皮膚の損傷状態を評価した。また、界面活性剤処理の前後の頭髪の溶存酸素量を測定した。評価結果および測定結果を頭髪の処理条件とともに表1に示す。
【0030】
[比較例2]
<頭髪処理剤の調製>
下記の各成分を混合・攪拌することによって、頭髪処理剤Dを調製した。
・ブロム酸ナトリウム2質量%
・香料(オレンジ):0.05質量%
・界面活性剤(実施例1と同じもの):4.0質量%
・精製水:残余量
【0031】
そして、実施例1と同様にカラーリングした頭髪に、頭髪処理剤Dを使用した以外は実施例1と同様にして、酸・アルカリ除去処理を施した(すなわち、ブロム酸ナトリウム処理および界面活性剤処理を繰り返して施した)。そして、その酸・アルカリ除去処理後の頭髪のカラーリング状態、頭髪の損傷度合い、皮膚の損傷状態を評価した。また、酸・アルカリ除去処理の前後の頭髪の溶存酸素量を測定した。評価結果および測定結果を頭髪の処理条件(酸・アルカリ除去条件)とともに表1に示す。
【0032】
[比較例3]
<頭髪処理剤の調製>
下記の各成分を混合・攪拌することによって、頭髪処理剤Eを調製した。
・ブロム酸ナトリウム13質量%
・香料(オレンジ):0.05質量%
・界面活性剤(実施例1と同じもの):4.0質量%
・精製水:残余量
【0033】
そして、実施例1と同様にカラーリングした頭髪に、頭髪処理剤Eを使用した以外は実施例1と同様にして、酸・アルカリ除去処理を施した(すなわち、ブロム酸ナトリウム処理および界面活性剤処理を繰り返して施した)。そして、その酸・アルカリ除去処理後の頭髪のカラーリング状態、頭髪の損傷度合い、皮膚の損傷状態を評価した。また、酸・アルカリ除去処理の前後の頭髪の溶存酸素量を測定した。評価結果および測定結果を頭髪の処理条件(酸・アルカリ除去条件)とともに表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1から、本発明に係る頭髪処理剤(A〜C)を用いて頭髪の酸・アルカリ除去処理を実施した場合は、頭皮に刺激を与えたり、頭髪を損傷させたりすることなく、良好なカラーリングを頭髪に施すことができることが分かる。また、カラーリング剤の酸性成分あるいはアルカリ成分が頭髪から効果的に除去されたことが推測される(溶存酸素量の低下が認められる)。一方、頭髪処理剤を用いることなく界面活性剤のみでカラーリング後の頭髪を洗浄した場合や、頭髪処理剤中のブロム酸の含有量が少ない場合(頭髪処理剤D)には、頭皮に刺激を与えたり、頭髪を損傷させたりすることが分かる。また、カラーリング剤の酸性成分あるいはアルカリ成分が頭髪から十分に除去されていないことが推測される(溶存酸素量の低下がほとんど認められない)。加えて、頭髪処理剤中のブロム酸の含有量が多すぎる場合(頭髪処理剤E)には、良好なカラーリング状態が得られないことが分かる。