(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シーケンシャル制御を行う車両用灯具において、光が流れるように視認させるためには光の流れる方向に沿う十分な長さの発光面を必要とする。このため、特許文献1に記載の車両用灯具でシーケンシャル制御を行う場合には、光源の数が十分に必要であり、高価になるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みて提案されたものであり、シーケンシャル表示させることができる安価な車両用灯具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様としての車両用灯具は、車両の前後方向に沿って配列された3以上のLED光源と、前記LED光源の点灯および消灯を制御する制御部と、前記LED光源からの光を導光して車両の前方又は後方に出射する導光体と、を備え、前記導光体は、平面視で略三角形状を有し、その各辺にそれぞれ位置する入射部と、反射部と、出射面と、を有する車両用灯具であって、前記入射部は、前記3以上のLED光源にそれぞれ対向して配置され前記LED光源から出射された光を前記LED光源の配列方向と直交する方向に平行な一次平行光とする少なくとも3個の入射素子が車両の前後方向に沿って配列しており、前記入射素子は、当該入射素子のそれぞれに対向する各LED光源の光軸を中心とする回転対称形状を有し、各LED光源の位置を焦点とする第1の入射面と、各LED光源から出射する光のうち前記第1の入射面に入射する光に比べて各LED光源からの出射角が大きな光が入射する第2の入射面と、前記第2の入射面から入射した光を前記一次平行光となるよう内面反射するに前記第2の入射面を囲んで形成された外周反射面と、を有し、前記反射部は、前記入射素子のそれぞれに対応する少なくとも3個の反射領域が、平面視で直線状もしくは湾曲した基準線に沿って順に配列し、それぞれの前記反射領域は、前記一次平行光を内面反射して二次平行光として前記
出射面に向けて反射する反射形状とされ、前記出射面は、車両の左右方向に延び、前記反射領域のそれぞれで反射された前記二次平行光を出射するそれぞれの前記反射領域に対応する出射領域を長さ方向に沿って順に備え、平面視における前記出射面の表面長さが、平面視における前記3以上のLED光源のうち両端に位置するLED光源同士の距離より長いものとされ、前記制御部は、前記3以上のLED光源を配列方向に沿って順次点灯又は順次消灯させる制御を実行する。
【0007】
上記の車両用灯具によれば、出射面の表面長さが3以上の光源の配列長さ(すなわち、両端に位置する光源同士の距離)より長い。このため、少ない数の光源であっても、十分な表面長さの出射面を形成することができ、シーケンシャル制御を行う場合に光が自然に流れるように視認させることができる。すなわち、シーケンシャル表示を行う車両用灯具を、光源の個数を少なくして安価に提供することができる。
【0008】
また、前記車両用灯具において、前記反射部には、段差状の複数の反射素子面が形成され、前記反射素子面は、前記一次平行光を前記二次平行光として反射する、構成としてもよい。
【0009】
上記の車両用灯具によれば、反射部には、一次平行光を二次平行光として反射する複数の(無数の)反射素子面が形成されている。これにより一次平行光の進行方向に対する二次平行光の進行方向を任意の方向とすることができる。加えて、一次平行光に対して二次平行光の照射面積を容易に広くすることができる。
【0010】
また、前記車両用灯具において、前記反射部は、平面視で湾曲した基準線に沿って形成されている、構成としてもよい。
【0011】
上記の車両用灯具によれば、反射部は、平面視で湾曲した基準線に沿って形成されているため、反射部においてそれぞれの光源と対向する部分の表面長さを異ならせることができる。すなわち、それぞれに光源からの光に対応する出射面の出射領域の表面長さを異ならせることができる。これにより、3以上の光源の点灯又は消灯のタイミングを一様とした場合でも、光の流れる速さが変化したように認識させることができる。すなわち、この車両用灯具によれば、多様なシーケンシャル表示を可能とする。
【0012】
また、前記車両用灯具において、前記導光体には、上下方向に貫通し前記一次平行光と並行して延びる複数のスリットが形成され、前記スリットは、前記3以上の光源に対応する前記一次平行光の光路を区画する、構成としてもよい。
【0013】
上記の車両用灯具によれば、スリットが一次平行光L1の平行成分に対して傾いた光を内面反射させる。したがって、3以上の光源から出射した一次平行光が混ざり合うことを抑制できる。これにより、1つの光源から出射した光が、この光源と対応する出射面の出射領域以外の領域から出射することを抑制でき、明確なシーケンシャル表示が可能となる。
【0014】
また、前記車両用灯具において、互いに隣り合う前記光源同士の間に、遮光部が設けられている、構成としてもよい。
【0015】
上記の車両用灯具によれば、遮光部が、光源から出射した光のうち対向する入射素子に入射しなかった光が隣接する入射素子に入射することを抑制する。これにより、1つの光源から出射された光により対応する出射領域以外の領域が発光することを抑制でき、明確なシーケンシャル表示が可能となる。
【0016】
また、前記車両用灯具において、前記3以上の光源のうち、少なくとも1つは他と比較して上下方向の異なる位置に配置されている、構成としてもよい。
【0017】
上記の車両用灯具によれば、斜め方向に光が流れるシーケンシャル表示およびジグザグ模様に光が流れるシーケンシャル表示など、多様なシーケンシャル表示を可能した車両用灯具を実現できる。
【0018】
また、前記車両用灯具において、前記3以上の光源が上下方向に多数列配置されている、構成としてもよい。
【0019】
上記の車両用灯具によれば、出射面は、二次元的に光が配列されたシーケンシャル表示のパターンを形成でき、多様なシーケンシャル表示を可能した車両用灯具を実現できる。
【0020】
また、前記車両用灯具において、前記光源の点灯および消灯を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記3以上の光源を配列方向に沿って順次点灯又は順次消灯させる制御を実行する、構成としてもよい。
【0021】
上記の車両用灯具によれば、シーケンシャル表示可能な車両用灯具を実現できる。
【0022】
また、前記車両用灯具において、前記光源の光軸は、前記一次平行光と異なる方向を向き、前記入射素子は、前記導光体の内部に入射した光を内面反射させる内面反射部を有する、構成としてもよい。
【0023】
上記の車両用灯具によれば、導光体が車両幅方向に延びる場合に導光体の上側又は下側に光源を配置することができ、車両幅方向の寸法をコンパクト化した車両用灯具を実現できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、シーケンシャル表示させることができる安価な車両用灯具を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態の車両用灯具1について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の車両用灯具1を搭載する車両100の平面図である。車両100は、例えば4つの車両用灯具1(1a、1b、1c、1d)を有する。本実施形態の車両用灯具1は、ターンランプである。車両用灯具1は、車両100の前部100bおよび後部100cの左右両側にそれぞれ左右対称に設けられている。本明細書では、車両100の前部左方に位置する車両用灯具1aに着目して説明を行う。
なお、本明細書において、「前後方向」とは、車両用灯具1が搭載される車両100の前後方向を意味し、「左右方向」とは、車両100の幅方向を意味する。また、本明細書では、「平面視」又は「平面図」を、上下方向(特に上から下)に見たときの様子を意味するものとして用いる。
【0028】
図2は、第1実施形態の車両用灯具1の平面図である。なお、
図2において分かり易さのため、導光体20を断面表示した。
車両用灯具1は、3以上(本実施形態では4つ)のLED光源(光源)15を順次点灯又は順次消灯させることでシーケンシャル表示するターンランプである。車両用灯具1は、4つのLED光源15が実装された光源ユニット10と、LED光源15から照射された光を前方(又は後方)に出射する導光体20と、を備える。
【0029】
<光源ユニット>
光源ユニット10は、回路基板11と、回路基板11上に実装された4つのLED光源15および制御チップ(制御部)13と、を有する。LED光源15は、車両の前後方向に沿って配列されている。制御チップ13は、回路基板11上で4つのLED光源15と接続されている。制御チップ13は、4つのLED光源15の点灯および消灯を制御する。なお、本実施形態のLED光源15は、LED光源15と同一の回路基板11上に実装された制御チップ13により制御されているが、基板外に設けられた制御部とケーブルハーネスを介して接続されて制御されていてもよい。
【0030】
<導光体>
導光体20は、例えばアクリルなどの透明樹脂材料からなる。導光体20は、水平面内に延びる板形状を有し、平面視で略三角形状を有する。導光体20は、略三角形状の各辺にそれぞれ位置する入射部21と、反射部26と、出射面29と、を有する。
【0031】
入射部21には、車両の前後方向に沿って配列された4つの入射素子22が形成されている。4つの入射素子22は、4つのLED光源15にそれぞれ対向して配置されている。4つの入射素子22は、対向するLED光源から出射された光をLED光源の配列方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に平行な一次平行光L1とする。4つの入射素子22は、導光体20の表面に一体的に形成されている。
【0032】
図3は、入射素子22を示し、
図2の領域IIIの拡大図である。
入射素子22は、光軸J22を中心とする回転対称形状を有する。入射素子22は、第1の入射面23aおよび第2の入射面23bを含む入射面23と、入射面23を囲む外周反射面24と、を有する。
【0033】
第1の入射面23aは、LED光源15と対向する。第1の入射面23aは、光軸J22を中心に放物線を回転させることにより得られる回転放物面の一部によって構成される。第2の入射面23bは、第1の入射面23aを囲むように形成されている。第2の入射面23bは、光軸J22を中心に、光軸J22に対して傾斜した直線を回転させることにより得られる円環面によって構成される。
【0034】
第1の入射面23aには、LED光源15から出射する光のうち比較的出射角の小さい光が入射する。第1の入射面23aの焦点は、LED光源15の中心と略一致する。第1の入射面23aは、入射した光を略平行光となるように屈折させる。
一方、第2の入射面23bには、LED光源15から出射する光のうち比較的出射角の大きな光が入射する。第2の入射面23bからレンズ内に入射した光は、入射面23を囲むように位置する外周反射面24に入射する。外周反射面24は、光軸J22を中心に放物線を回転させることにより得られる回転放物面の一部によって構成されている。外周反射面24は、第2の入射面23bからの光を略平行光となるよう内面反射(全反射)する。
【0035】
図3に示すように、互いに隣り合うLED光源15の間には、遮光部19が設けられている。遮光部19は、回路基板11に固定されている。遮光部19は、導光体20の厚さ方向(すなわち上下方向)に断面三角形状で延びる。遮光部19の頂点は、隣り合う入射素子22が構成する谷部分に入り込んでおり、遮光部19の側面が入射素子22の外周反射面24と対向する。
【0036】
遮光部19の表面は、例えば光を吸収しやすい黒色塗装されるなどして反射が抑制されている。遮光部19は、LED光源15から出射した光のうち対向する入射素子22に入射しなかった光を遮光して隣接する入射素子に入射することを抑制する。
【0037】
図2に示す反射部26は、一次平行光L1を内面反射(全反射)して二次平行光L2として出射面29に向けて出射する。本実施形態において、一次平行光L1と二次平行光L2は、互いに直交する。
【0038】
図4は、反射部26を示し、
図2の領域IVの拡大図である。
反射部26には、導光体20の厚さ方向(すなわち上下方向)に沿って平行に延びる段差状の複数の反射素子面27aが形成されている。複数の(無数の)反射素子面27aは、一次平行光L1を、出射面29に向けて内面反射(全反射)させて二次平行光L2とする。反射素子面27aには、反射膜が形成されていてもよい。本実施形態の二次平行光L2は一次平行光L1と直交する。したがって、反射素子面27aは、一次平行光L1の入射角を45°とするように配置されている。反射素子面27a同士の間には、段差側面27bが設けられている。段差側面27bは、一次平行光L1が入射しない方向を向いている。
【0039】
なお、二次平行光L2は、反射素子面27aからのみ出射され、段差側面27bから出射されない。したがって、反射部26の近傍で、二次平行光L2は縞模様となる。反射素子面27aに入射する一次平行光L1には、平行成分に対してわずかに傾いた光を含む。このため、反射部26から十分に離れることで、二次平行光L2は徐々に均一な光となる。
【0040】
図4に示すように、反射素子面27aと段差側面27bと間には、頂点Pが設けられている。本明細書において、反射部26の複数の頂点Pを繋ぐ線を基準線P26とする。本実施形態において反射部26は、直線状の基準線P26に沿って形成されている。反射部26は、一次平行光L1を基準線P26の法線方向に対して鋭角となるように入射させる向きに配置されている。このため、反射部26で反射した二次平行光L2の光の幅H2は、一次平行光L1の光の幅H1より広くなる。なお、ここで光の幅とは、平面視で光の進行方向と直交する方向の平行光の光路の幅である。
【0041】
図2に示すように、出射面29は、車両の左右方向に延びる平坦面である。出射面29は、二次平行光L2に対して直交する方向に延びる。出射面29は、二次平行光L2を車両の前方(又は後方)に向けて出射する。なお本実施形態の出射面29は、平坦面であるが曲面形状を有していてもよい。さらに、出射面29には、出射方向を所定の方向に向けるための微細なプリズムが形成されていてもよい。
【0042】
以下、4つのLED光源15を車両前方側から後方側に向かって順番に第1のLED光源15A、第2のLED光源15B、第3のLED光源15C、第4のLED光源15Dと区別して、各LED光源15から照射される光の光路について説明する。
反射部26は、第1〜第4のLED光源15A〜15Dからそれぞれ照射された一次平行光L1を反射する4つの反射領域(第1〜第4の反射領域26a、26b、26c、26d)に区分される。第1〜第4の反射領域26a〜26dは、平面視における表面長さが等しい。
出射面29は、第1〜第4の反射領域26a〜26dで反射された二次平行光L2を出射する4つの出射領域(第1〜第4の出射領域29a、29b、29c、29d)に区分される。第1〜第4の出射領域29a〜29dは、平面視における表面長さが等しい。
【0043】
<シーケンシャル制御>
光源ユニット10の制御チップ13は、4つLED光源15を配列方向に沿って順次点灯又は順次消灯させる制御を実行する。より具体的には、制御チップ13は、以下の第1〜第3のシーケンシャル制御のうち、いずれかの制御を実行する。
【0044】
第1のシーケンシャル制御は、第1〜第4のLED光源15A〜15Dを同時に点灯させた後に、第1、第2、第3、第4のLED光源15A〜15Dをこの順で順次消灯する制御である。制御チップ13が、第1のシーケンシャル制御を行うと、出射面29は、全体が同時に発光した後に、第1、第2、第3および第4の出射領域29a〜29dの順で徐々に暗くなる。すなわち、車両用灯具1において、車両100の中央側から側部100aに向かって徐々に暗くなる発光パターンを実現できる。
【0045】
第2のシーケンシャル制御は、第1、第2、第3および第4のLED光源15A〜15Dをこの順で順次点灯させた後に、第1〜第4のLED光源15A〜15Dを同時に消灯させる制御である。制御チップ13が、第2のシーケンシャル制御を行うと、出射面29は、第1、第2、第3および第4の出射領域29a〜29dの順で徐々に発光した後に、全体が同時に消灯する。すなわち、車両用灯具1において、車両100の中央側から側部100aに向かって徐々に明るくなった後に同時に暗くなる発光パターンを実現できる。
【0046】
第3のシーケンシャル制御は、第1、第2、第3および第4のLED光源15A〜15Dをこの順で順次点灯させるとともに、遅れて第1、第2、第3および第4のLED光源15A〜15Dをこの順で順次消灯させる制御である。制御チップ13が、第2のシーケンシャル制御を行うと、出射面29は、第1、第2、第3および第4の出射領域29a〜29dの順で徐々に発光するとともに、追いかけるように第1、第2、第3および第4の出射領域29a〜29dの順で徐々に暗くなる。すなわち、車両用灯具1において、車両100の中央側から側部100aに向かって徐々に明るくなった後に徐々に暗くなる発光パターンを実現できる。
【0047】
<作用効果>
本実施形態の車両用灯具1は、導光体の内部を通過する一次平行光L1の光の進行方向と直交する幅H1に対して二次平行光L2の光の進行方向と直交する幅H2が広くなる。すなわち、光が出射される出射面29の平面視における表面長さは、4つのLED光源15のうち両端に位置するLED光源(第1のLED光源15Aと第4のLED光源15D)同士の平面視における距離より長い。このため、少ない数のLED光源15であっても、十分な表面長さの出射面29を形成することができる。すなわち、少ない数のLED光源15を有する安価な車両用灯具1において、光が自然に流れるように視認させるシーケンシャル表示を実現できる。
【0048】
本実施形態の車両用灯具1は、3以上のLED光源に対して、反射部26により光路を車両100の前後方向に向ける1つの導光体20を有する。したがって本実施形態によれば、それぞれのLED光源15に対して複数の反射部を有する場合と比較して、部品点数を減らして安価な構成とすることができる。
【0049】
本実施形態の車両用灯具1は、入射部21の入射素子22においてLED光源15から出射された光を一次平行光L1としている。これにより、4つのLED光源(第1〜第4のLED光源15A〜15D)の発光に応じて、4つの出射領域(第1〜第4の出射領域29a〜29d)を個別に発光させることができる。
【0050】
本実施形態の車両用灯具1は、
図3に示すように、互いに隣り合うLED光源同士の間に、遮光部19が設けられている。遮光部19は、LED光源15から出射した光のうち対向する入射素子22に入射しなかった光が隣接する入射素子に入射することを抑制する。1つのLED光源15から出射された光により対応する出射領域以外の領域が発光することを抑制できる。
【0051】
本実施形態によれば、LED光源15から照射された光は、反射部26を介して前方(又は後方)に照射される。LED光源15は、前方(又は後方)から直接的に観察されることがないため、導光体20全体が発光している意匠性の高い車両用灯具1を提供できる。さらに、本実施形態によれば、導光体20の下面などにドット上の微小なプリズムを形成するなどして、発光パターンをさらに加飾できる。
【0052】
<変形例1>
図5は、第1実施形態の変形例の車両用灯具1Aの斜視図である。
本変形例の車両用灯具1Aは、第1実施形態の車両用灯具1を上下方向に積層した構成を有する。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
車両用灯具1Aは、8つのLED光源15が実装された光源ユニット10Aと、LED光源15から照射された光を前方(又は後方)に出射する2つの導光体20と、を備える。光源ユニット10Aにおいて、8つのLED光源15は、回路基板11A上で車両の前後方向に沿って4つ上下に二列配列されている。
【0054】
本変形例によれば、2つの導光体20が積層されることで形成された出射面29Aには、8つのLED光源15に対応する8つの出射領域29Aa、29Ab、29Ac、29Ad、29Ae、29Af、29Ag、29Ahが形成される。8つの出射領域29Aa〜29Ahは、左右方向に4行、上下に2列並んでいる。本変形例によれば、出射面29Aに、二次元的に光が配列されたシーケンシャル表示のパターンを形成できる。なお、本変形例では、4つのLED光源を上下方向に2列配置する例を説明したが、3列以上配置してもよい。また本変形例では、2つの導光体20が上下に積層された例を説明したが、これらが一体化された1つの導光体を有していてもよい。
【0055】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の車両用灯具101の平面図である。なお、
図6において分かり易さのため、導光体120を断面表示した。
第2実施形態の車両用灯具101は、第1実施形態と比較して、主に導光体120の反射部126の構成が異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
車両用灯具101は、4つのLED光源15が実装された光源ユニット10と、LED光源15から照射された光を前方(又は後方)に出射する導光体120と、を備える。導光体120は、入射部121と、反射部126と、出射面129と、を有する。
【0057】
第1実施形態と同様に、入射部121には、4つの入射素子22が形成されている。入射部121は、入射素子22において、4つのLED光源15から出射された光を一次平行光L1とする。
【0058】
反射部126は、一次平行光L1を内面反射(全反射)して二次平行光L2として出射面129に向けて出射する。第1実施形態の反射部26と同様に、反射部126には、上下方向に沿って延びる段差状の反射素子面27aが無数に形成されている(
図4参照)。反射部126は、平面視で湾曲した基準線P126に沿って形成されている。ここで、基準線P126とは、第1実施形態の反射部26の基準線P26に対応し、反射素子面27aと段差側面27bとの頂点Pを繋ぐ線である(
図4参照)。基準線P126は、後方側に凸となるように湾曲する。
【0059】
反射部126は、第1〜第4のLED光源15A〜15Dからそれぞれ照射された一次平行光L1を反射する4つの反射領域(第1〜第4の反射領域126a、126b、126c、26d)に区分される。反射部126は、後方側に凸となるように湾曲する基準線P126に沿って形成されている。このため、第1のLED光源15Aに対向する第1の反射領域126aの表面長さが最も長く、第2、第3、第4の反射領域126b、126c、126dの表面長さが、順に徐々に短くなる。
【0060】
第1実施形態と同様に、出射面129は、二次平行光L2に対して直交する方向に延び、二次平行光L2を車両の前方(又は後方)に向けて出射する。出射面129は、第1〜第4の反射領域126a〜126dで反射された二次平行光L2を出射する4つの出射領域(第1〜第4の出射領域129a、129b、129c、129d)に区分される。第1〜第4の出射領域129a〜129dは、第1〜第4の反射領域126a〜126dに対応して、表面長さがこの順に短くなる。
【0061】
本実施形態の車両用灯具101は、第1実施形態と同様に、制御チップ13によりシーケンシャル制御を実行することにより車両の内側から側部100aに向かって流れるような発光パターンを実現することができる。本実施形態の車両用灯具101は、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0062】
また、本実施形態の車両用灯具101において、第1、第2、第3、第4の出射領域129a〜129dは、この順で表面長さが短くなる。したがって、4つのLED光源15が順次、点灯又は消灯するタイミングが一様であっても、光の流れが車両の中央側から側部100aに向かって徐々に速くなるように視認される。すなわち、本実施形態によれば、反射部126を湾曲する基準線P126に沿って形成することで、出射領域129a〜129dの表面長さを自由に設定でき、光の流れる速さを変化させた多様なシーケンシャル表示を可能とする。
【0063】
また、本実施形態の車両用灯具101において、反射部126は湾曲する基準線P126に沿って形成されている。このため出射面129の明るさは、車両100の中央側から側部100aに向かって徐々に明るくなる。すなわち、第1、第2、第3、第4の出射領域129a〜129dは、この順で明るくなる。
【0064】
車両用灯具101の外側には、車両100の外形を構成する透光性のアウターレンズ2が配置されている。アウターレンズ2は、車両の前部100b(又は後部100c)と側部100aの境界でなだらかに湾曲している。したがって、車両の後方から車両用灯具101を観察するとき、側部100aの近傍でアウターレンズ2を通過する際に光が屈折して、光の視認が困難になり易い。本実施形態によれば、車両100の側部100a近傍に位置する出射領域を明るくすることで車両用灯具101から出射される光の視認性を高めることができる。
また、本実施形態の車両用灯具101において、出射面129の明るさは面内で徐々に変わるため、隣り合うLED光源15を点灯させた場合に、隣り合う出射領域の境界を認識されにくくすることができる。
【0065】
なお、本実施形態の基準線P126は、後方側に凸となるように湾曲するが、前方側に凸となるように湾曲してもよい。すなわち、反射部が全体として凹状に湾曲していてもよい。この場合の車両用灯具は、車両の中央側から側部100aに向かって流れる速さが、徐々に遅くなるように視認される。
【0066】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態の車両用灯具201の平面図である。なお、
図7において分かり易さのため、導光体220を断面表示した。
第3実施形態の車両用灯具201は、第1実施形態比較して、主に導光体220にスリットが設けられている点が異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
車両用灯具201は、4つのLED光源15が実装された光源ユニット10と、LED光源15から照射された光を前方(又は後方)に出射する導光体220と、を備える。導光体220は、入射部21と、反射部26と、出射面29と、を有する。
【0068】
導光体220には、導光体220の厚さ方向(すなわち上下方向)に貫通し一次平行光L1と並行して延びる複数のスリットSが形成されている。導光体220は、4つのLED光源15にそれぞれ対応する一次平行光L1の光路を区画する。すなわち、スリットSは、1つのLED光源15(例えば第1のLED光源15A)から出射した一次平行光L1の光路と、隣り合う他のLED光源15(例えば第2のLED光源15B)から出射した一次平行光L1の光路の間に形成されている。
【0069】
スリットSは一次平行光L1の平行成分に対して傾いた光を全反射させるため、4つのLED光源15から出射した一次平行光L1が混ざり合うことを抑制できる。本実施形態によれば、1つのLED光源15から出射された光により対応する出射領域以外の領域が発光することを抑制できる。
【0070】
反射部26で反射された光は、二次平行光L2として導光体220の内部を通過する。二次平行光L2は、スリットSを通過する為に、一部が反射することで弱くなる。第1のLED光源15Aから照射された二次平行光L2は3つのスリットSを通過する。第2のLED光源15Bから照射された二次平行光L2は2つのスリットSを通過する。第3のLED光源15Cから照射された二次平行光L2は1つのスリットSを通過する。第4のLED光源15Dから照射された二次平行光L2はスリットSを通過しない。このため、第1〜第4のLED光源15A〜15Dから照射され出射面29に達する光のスリットSによるロスは、第1、第2、第3、第4のLED光源15A〜15Dの順に小さくなる。
【0071】
一方で、4つのLED光源15の光路長は、第1、第2、第3、第4のLED光源15A〜15Dの順に長くなる。このため、光路長に起因する光のロスは、第1、第2、第3、第4のLED光源15A〜15Dの順に大きくなる。
【0072】
出射面29には、第1〜第4のLED光源215A〜215Dに対応する4つの出射領域(第1〜第4の出射領域29a、29b、29c、29d)が形成される。第1〜第4の出射領域29a〜29dの明るさは、通過するスリットSの数に起因するロスと経路長に起因するロスとが、重なり合うことで略均一となる。このように、本実施形態によれば、4つのLED光源15から出射される光の導光体220内を通過する光路長に起因して生じる明るさの不均一さを、スリットSにより軽減できる。
【0073】
なお、
図7に示すように、スリットSの途中には、導光体220の強度を十分に確保する為に途切れた接続部Saが設けられている。上述したように、スリットSは、二次平行光L2を通過する光を弱める作用がある。これに対して、接続部Saは、光を弱めることがないため、接続部Saの位置を調整することで、出射面29から出射される光量の分布を調整できる。すなわち、接続部Saの位置を適宜設定することで出射面29の発光の均一性を高める、又は局所的に明るくすることができる。
【0074】
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態の車両用灯具301の平面図である。
図9は、車両100の前方からみた車両用灯具301の正面図である。
図10は、
図8のX−X線に沿う断面図である。なお、
図8において分かり易さのため、導光体320を部分的に断面表示した。
第4実施形態の車両用灯具301は、第1実施形態比較して、4つのLED光源315の配置およびそれに伴う導光体320の構成が異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
車両用灯具301は、4つのLED光源315が実装された光源ユニット310と、LED光源315から照射された光を前方(又は後方)に出射する導光体320と、を備える。導光体320は、入射部321と、反射部326と、出射面329と、を有する。
【0076】
図10に示すように、導光体320は、LED光源315に対向する入射部321が階段状に形成されている。入射部321に設けられた4つの入射素子322は、車両前方から後方に向かうに従って徐々に高い位置に形成されている。4つの入射素子322は、それぞれLED光源315と対向している。すなわち、LED光源315は、車両前方から後方に向かうに従って徐々に高い位置に設けられている。したがって、4つのLED光源315のうち、最も後方に位置する第1のLED光源315Aは、最も高い位置に配置され、前方に向かって並ぶ第2〜第4のLED光源315B〜315Dは、徐々に低く配置される。
【0077】
図9に示すように、出射面329には、第1〜第4のLED光源315A〜315Dに対応する4つの出射領域(第1〜第4の出射領域329a、329b、329c、329d)が形成される。第1〜第4のLED光源315A〜315Dの高さが異なることで、第1〜第4の出射領域329a、329b、329c、329dは、異なる高さに配置される。したがって、第1〜第4のLEd光源315A〜315Dをシーケンシャル制御することで、斜め方向に光が流れるシーケンシャル表示を実現できる。なお、本実施形態において、4つのLED光源315は、車両前後方向および上下方向に沿って斜めに配置されている。しかしながら、4つのLED光源315のうち、少なくとも1つは他と比較して上下方向の異なる位置に配置されていれば、ジグザグ模様を描くなど、多様なシーケンシャル表示を可能した車両用灯具を実現できる。
【0078】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態の車両用灯具401の斜視図である。
図12は、車両用灯具401の部分断面図であり、入射素子422を示す図である。
第5実施形態の車両用灯具401は、第1実施形態と比較して、主にLED光源15の配置および導光体420の入射素子の構成が異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
車両用灯具401は、7のLED光源(光源)15を順次点灯又は順次消灯させることでシーケンシャル表示するターンランプである。車両用灯具401は、7つのLED光源15が実装された光源ユニット410と、LED光源15から照射された光を前方(又は後方)に出射する導光体420と、を備える。導光体420は、入射部421と、反射部26と、出射面429と、を有する。
【0080】
図11に示すように、光源ユニット410は、回路基板411と、回路基板411上に実装された7つのLED光源15および制御チップ(制御部)13と、を有する。本実施形態において、回路基板411の板面が延びる方向は、水平面方向と略一致する。7つのLED光源15は、左右方向に若干ずれて、前後方向に沿って配列されている。
【0081】
LED光源15から出射する光は、入射部421において導光体420の内部に入射し配列方向と直交する方向に平行な一次平行光L1とされる。一次平行光L1は、反射部26において内面反射されて二次平行光L2とされ、出射面429から出射される。
【0082】
入射部421には、車両の前後方向に沿って配列された7つの入射素子422が形成されている。7つの入射素子422は、7つのLED光源15にそれぞれ対向して配置されている。7つの入射素子422は、対向するLED光源から出射された光をLED光源の配列方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に平行な一次平行光L1とする。
【0083】
図12に示すように、入射素子422は、入射面23と、外周反射面24と、内面反射部425と、を有する。
【0084】
入射面23および外周反射面24は、LED光源15の中心を通過する光軸J15を中心とする回転対称形状を有する。入射面23は、LED光源15から出射する光を導光体420の内部に入射させる。また、入射面23は、LED光源15から出射する光のうち比較的出射角の小さい光を略平行光となるように屈折させる。また、入射面23は、LED光源15から出射する光のうち比較的出射角の大きな光を屈折させて外周反射面24に入射させる。外周反射面24は、入射した光を略平行光となるように内面反射させる。すなわち、入射面23および外周反射面24は、LED光源15から出射した光を導光体420の内部に入射させて平行光とする。
【0085】
内面反射部425は、LED光源15の光軸J15に対して傾斜する平面である。内面反射部425には、LED光源15の光軸J15が通過する。内面反射部425は、入射面23および外周反射面24において平行光とされた光を内面反射させて、左右方向に平行な一次平行光L1とする。したがって、本実施形態において、LED光源15の光軸J15と、一次平行光L1とは、互いに異なる方向を向く。
【0086】
図11に示すように、本実施形態の出射面429は、車両の左右方向に沿って延び出射方向に凸となる湾曲面である。出射面429は、反射部26で反射され一次平行光L1から二次平行光L2とされた光を、車両の前方(又は後方)に向けて出射する。
【0087】
本実施形態の導光体420は、車両の前後方向に沿って並ぶ複数(本実施形態では7つ)の分割体430を有する。それぞれの分割体430には、1つの入射素子422が設けられている。それぞれの分割体430には、それぞれ反射部26の一部が設けられており、複数の分割体430が組み合わされることで、車両幅方向に延びる1つの反射部26が構成される。また、複数の分割体430のうち、最も車両前方側(すなわち光の出射側)に配置される分割体430には、出射面429が設けられている。
【0088】
それぞれの分割体430は、境界面435において接触する。それぞれの分割体430は、車両の幅方向に沿って延びる。複数の分割体430同士の境界面435は、一次平行光L1と平行に延びる第1の境界面431と、一次平行光L1と直交する第2の境界面432と、に分類される。
【0089】
第1の境界面431は、複数のLED光源15に対応する一次平行光L1の光路を区画するスリット(第3実施形態のスリットSに対応)として機能する。第1の境界面431は、一次平行光L1の平行成分に対して傾いた光を全反射させるため、それぞれのLED光源15から出射した一次平行光L1が混ざり合うことを抑制する。また、第1の境界面431には、二次平行光L2が通過する。第1の境界面431は、二次平行光L2と直交するため、第1の境界面431における二次平行光L2の反射は抑制される。
【0090】
第2の境界面432には、一次平行光L1が通過する。第2の境界面432は、一次平行光L1と直交するため、第2の境界面432における一次平行光L1の反射は抑制される。
【0091】
本実施形態によれば、入射素子422に内面反射部425が設けられているため、LED光源15の光軸J15を一次平行光L1と異なる方向とすることができ、LED光源15の光軸J15の方向を自由に設定できる。したがって、本実施形態に示すように導光体420が車両幅方向に延びる場合においては、LED光源15を導光体420の下側(又は上側)に配置するなどして、車両用灯具401の車両幅方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0092】
以上に、本発明の様々な実施形態およびその変形例を説明したが、それぞれの実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、上述の各実施形態では、光源の数が4つ又は7つの場合を例示したが、3以上であればよい。
また、上述の実施形態の車両用灯具では、導光体に対して光源が車両の中央側に配置された例を示したが、これらの位置関係は反対であってもよい。この場合、3以上の光源の点灯又は消灯の順序を反対側から行うことで、車両の中央側から側部側に光が流れるシーケンシャル表示を行うことができる。