特許第6985809号(P6985809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985809
(24)【登録日】2021年11月30日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   D06F58/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-88369(P2017-88369)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-183510(P2018-183510A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 至功
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−079391(JP,A)
【文献】 特開2016−097249(JP,A)
【文献】 特開2007−135958(JP,A)
【文献】 特開2016−209332(JP,A)
【文献】 特開2005−021362(JP,A)
【文献】 特開平09−099196(JP,A)
【文献】 特開2014−048009(JP,A)
【文献】 特開平08−184503(JP,A)
【文献】 特開2016−123770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される乾燥室を有する本体と、
圧縮機、熱交換器、減圧装置を、冷媒配管により閉ループ状に接続して構成され、前記乾燥室内に供給する低湿度、高温度の乾燥風を生成するためのヒートポンプと、
前記ヒートポンプを駆動制御するために前記冷媒配管の温度を検出する温度センサとを備え、
前記ヒートポンプを構成する前記圧縮機を含む各部品は、メインダクトを兼ねるケース内の共通ベース上に組付けられてユニット化されており、
記冷媒配管のうち、前記圧縮機の出口と前記熱交換器としての凝縮器の入口とをつなぐ部分には、該凝縮器の入口の端部から外に出た直後に直線部分を有すると共に、途中に複数の湾曲部位を有し、前記温度センサは、前記直線部分に取付けられている衣類乾燥機。
【請求項2】
前記温度センサのリード線は、前記本体内の第1固定位置及び第2固定位置の少なくとも2箇所で固定されている請求項1記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記温度センサのリード線は、前記第1固定位置及び第2固定位置にて、夫々結束バンドにより固定されていると共に、それら第1固定位置と第2固定位置との間で、前記結束バンドの最大たわみ量以上の長さのたるみを有している請求項2記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類乾燥機として、ヒートポンプを採用したドラム式洗濯乾燥機が知られている。ヒートポンプは、圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を、冷媒配管により順に閉ループに接続して構成され、そのうち、熱交換器としての蒸発器及び凝縮器が、循環風路を構成するダクト内に配置される。これにより、衣類の乾燥に供する空気において、蒸発器での除湿、及び、凝縮器での加熱が行われる。
【0003】
前記ヒートポンプ(圧縮機)は、コンピュータを含む制御装置により制御される。この場合、前記圧縮機の制御を行うために、ヒートポンプを構成する冷媒配管のうち、圧縮機の出口部と凝縮器の入口部とをつなぐ部分等の所定位置に、冷媒温度を検出するための温度センサ(サーミスタ)が設けられ、その温度検出信号が制御装置に入力されるようになっている。またこのとき、温度センサを冷媒配管に取付けるために、配管に嵌め込まれる取付筒部と、温度センサを嵌め込む保持筒部との、円筒を二つつなげたような形態の保持具を用いることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−60997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、温度センサを配管の所定位置に取付けるにあたっては、温度センサから延びるリード線を、所定の固定部に結束固定したり、制御装置基板に接続したりすることが併せて行われる。リード線の固定や接続の際に、リード線が引張られる(或いは圧縮される)ことがあると、温度センサを介して配管に力が作用する。温度センサの取付位置が、例えば熱交換器の出口或いは入口の接続部分(根元部)から比較的離れた位置である場合は、配管の根元部に対する曲げモーメントが大きくなって、曲げ方向或いは捻り方向の比較的大きなストレスが掛かることがある。
【0006】
そのため、冷媒配管の変形を招いてしまう虞がある。また、冷媒配管の根元部に残留応力が残ることによる疲労破壊等を招くことも考えられる。特に、配管のうち応力が残る部分に対し、乾燥運転時における圧縮機の振動や、洗濯運転時特に脱水時における脱水槽の振動、更にはトラック輸送時等における振動が作用すると、共振を起こす等して、配管が損傷してしまう虞もある。
【0007】
そこで、ヒートポンプを備えるものにあって、冷媒配管に対し温度センサを取付ける際の取付構造を適切にすることができ、配管のストレスを抑制することが可能な衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の衣類乾燥機は、衣類が収容される乾燥室を有する本体と、圧縮機、熱交換器、減圧装置を、冷媒配管により閉ループ状に接続して構成され、前記乾燥室内に供給する低湿度、高温度の乾燥風を生成するためのヒートポンプと、前記ヒートポンプを駆動制御するために前記冷媒配管の温度を検出する温度センサとを備えると共に、前記ヒートポンプを構成する前記圧縮機を含む各部品は、メインダクトを兼ねるケース内の共通ベース上に組付けられてユニット化されており、記冷媒配管のうち、前記圧縮機の出口と前記熱交換器としての凝縮器の入口とをつなぐ部分には、該凝縮器の入口の端部から外に出た直後に直線部分を有すると共に、途中に複数の湾曲部位を有し、前記温度センサは、前記直線部分に取付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態を示すもので、洗濯乾燥機の概略構成を一部破断して示す右側面図
図2】循環風路部分の概略構成を示す縦断背面図
図3】循環風路及びヒートポンプの構成を模式的に示す図
図4図2のX−X線に沿うヒートポンプユニットの横断上面図
図5】温度センサ及びそのリード線の固定の様子を概略的に示す図
図6】結束バンドのたわみの様子を概略的に示す図
図7】第2の実施形態を示すもので、温度センサの取付の様子を概略的に示す斜視図
図8】第3の実施形態を示すもので、温度センサ及びそのリード線の固定の様子を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、洗濯機能及び乾燥機能の双方を備えたドラム式(横軸形)の洗濯乾燥機に適用したいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下に述べる複数の実施形態において、共通する部分については、同一符号を付して、新たな図示や繰り返しの説明を省略することとする。
【0011】
(1)第1の実施形態
図1から図6を参照して、第1の実施形態について述べる。図1及び図2に示すように、衣類乾燥機たる洗濯乾燥機1は、ほぼ矩形箱状の外箱からなる本体2を有している。本体2内には、円筒状の水槽3が後下がりに傾斜した状態で、図示しない弾性支持機構を介して支持されている。前記水槽3内には、衣類(洗濯物)が収容される円筒状のドラム4が回転可能に支持されている。乾燥運転時には、このドラム4内が乾燥室として機能する。このドラム4は、前後方向に延び且つ後下がりに傾斜した傾斜軸を中心に回転するように構成されている。
【0012】
図1に示すように、このドラム4の周壁部及び後壁部には通水、通気用の多数の孔4aが形成され、また、ドラム4の周壁部の内面には、洗濯物撹拌用の図示しない複数個のバッフルが設けられている。このドラム4の前面部には、衣類が出し入れされる開口部4bが設けられている。前記水槽3の前面部には、前記開口部4bに連なる投入口5が形成されており、本体2の前面には、その投入口5を開閉する扉6が設けられている。
【0013】
前記水槽3の後部には、例えばアウタロータ形のブラシレスモータからなるモータ7が配置されている。図1に示すように、このモータ7の回転軸7aの先端は、水槽3の背面を貫通して水槽3内に突出し、ドラム4の後部中心に連結固定されている。このような構成により、ドラム4はモータ7により直接的に回転駆動される。図示はしないが、前記本体2内の天井部には、給水源(この場合水道)からの水を前記水槽3内に給水するための、電磁式切替弁からなる給水弁等が設けられている。また、水槽3の下部には、排水管路8が接続され、この排水管路8の途中部には排水弁9設けられている。排水管路8は本体2の外部まで延びており、水槽3内の水が洗面所などの所定の排水場所に排水されるようになっている。
【0014】
図2にも示すように、前記水槽3には、後面上部に給気口10が設けられている。また、図1に示すように、水槽3の上面前部に位置して排気口11が設けられている。図3にも示すように、前記給気口10及び排気口11には、水槽3の外側において、循環風路12の両端部が接続されている。循環風路12内には、排気口11から排出された空気を、矢印A方向に循環させながら前記給気口10から水槽3ひいてはドラム4内に供給する送風装置13が設けられる。また、後述するように、本体2内には、乾燥風を生成するためのヒートポンプ(冷凍サイクル)22が設けられる。
【0015】
前記循環風路12は、図3にも示すように、排気ダクト14、メインダクト15、給気ダクト16を有している。図1に示すように、前記水槽3の排気口11の上部には、蛇腹状の接続ダクト17を介して、内部にリントフィルタ(図示せず)を収容するフィルタ装置18が接続されている。図2にも示すように、フィルタ装置18の出口部に前記排気ダクト14の上端部が接続されている。排気ダクト14の下端部は、メインダクト15の入り口側(右側、図2では左側)の端部に接続されている。
【0016】
メインダクト15は、本体2内の底部後部側を左右方向に延びて配置され、その出口側(左側、図2では右側)の端部が、前記送風装置13のファンケーシング19の前部の吸込口に接続されている。前記送風装置13は、図4にも示すように、ファンケーシング19に、遠心ファン20及びそれを駆動するモータ21を備えて構成されている。ファンケーシング19の上端の出口部は、前記給気ダクト16の下端部に接続され、給気ダクト16の上端部が前記水槽3の給気口10に接続されている。
【0017】
図2図4に示すように、前記メインダクト15内には、ヒートポンプ(冷凍サイクル)22を構成する、熱交換器としての蒸発器23及び凝縮器24が、メインダクト15内の循環風路を塞ぐようにして、図で左右に順に位置して配設されている。本実施形態では、蒸発器23及び凝縮器24としては、例えば周知構成のフィンチューブ型の熱交換器が採用されている。図4に示すように、フィンチューブ型の熱交換器(蒸発器23、凝縮器24)は、2枚の端板36、36間において例えばアルミ製のパイプ37を蛇行状に配置すると共に、そのパイプ37に多数枚の熱交換フィン38を添着してなり、全体としてやや横長な直方体形状に構成されている。
【0018】
図3に示すように、前記ヒートポンプ22は、圧縮機25と、前記凝縮器24と、減圧装置たるキャピラリチューブ26と、前記蒸発器23とを、冷媒配管27により閉ループ状に接続して構成されている。ヒートポンプ22の内部には、所要量の冷媒が封入され、冷媒配管27を循環する。このとき、詳しく図示はしないが、前記圧縮機25を含むヒートポンプ22を構成する各部品は、メインダクト15を兼ねるケース22a(図6参照)内の共通ベース上に組付けられて全体が一体となってユニット化されている。このヒートポンプユニットは、本体2内の底部の図示しない台板上に組付けられる。
【0019】
そして、図3に模式的に示すように、前記ヒートポンプ22においては、圧縮機25の出口と熱交換器としての凝縮器24とをつなぐ冷媒配管27部分に、該冷媒配管27(冷媒)の温度を検出するための温度センサ28が設けられる。この温度センサ28の取付構造については、後述する。また、凝縮器24の温度を検出する温度センサ29、蒸発器23の温度を検出する温度センサ30、圧縮機25の入口側の冷媒配管27の温度を検出する温度センサ31も設けられている。更に、循環風路12において、給気口10付近、排気口11付近にもそれぞれ温度センサ32、33が設けられている。これら温度センサ28〜33としては、例えばサーミスタが採用される。これら温度センサの検出信号は、制御装置34(図1参照)に入力されるようになっている。
【0020】
上記のように構成されたヒートポンプ22は、乾燥運転時において、圧縮機25が駆動されることにより、冷媒が図3に矢印Bで示す方向に循環する。即ち、圧縮機25から吐出された気体冷媒は、凝縮器24に流入し、該凝縮器24における熱交換により凝縮されて液体冷媒とされる。凝縮器24から流出した液体冷媒がキャピラリチューブ26によって膨張させて霧状とされ、その霧状の冷媒が、蒸発器23に流入される。そして、蒸発器23において、外気との熱交換により冷媒が気化され、その気体冷媒が圧縮機25に戻される。圧縮機25にて冷媒が圧縮されて高温、高圧とされて吐出されるという循環が行われる。
【0021】
乾燥運転時には、ヒートポンプ22の駆動と共に、送風装置13が駆動されることにより、図1図3に矢印Aで示すように、水槽3(ドラム4)内の空気が、排気口11からフィルタ装置18や排気ダクト14を通ってメインダクト15に至り、メインダクト15内を流れて蒸発器23及び凝縮器24を順に通った後、給気ダクト16に流れ、給気口10及び孔4aを通ってドラム4内に供給されるという循環が行われる。この空気の循環により、水槽3(ドラム4)内の衣類から湿気を奪って多量の蒸気を含んだ空気が、メインダクト15内の蒸発器23部分を通って冷却されることにより、蒸気が凝縮(あるいは昇華)されて除湿され、その除湿空気が凝縮器24部分を通ることにより加熱されて乾いた温風となり、再びドラム4内に供給され、衣類の乾燥に供されるようになる。
【0022】
尚、図1に示すように、本体2内には、洗濯乾燥機1の動作全般を制御するための制御装置34が設けられている。この制御装置34は、コンピュータなどから構成されている。乾燥運転時には、制御装置34は、前記温度センサ28〜33の検出温度等に基づき圧縮機25の運転を制御するようになっている。また、本体2の前面上部には、ユーザが洗濯・乾燥運転に関する設定、操作を行うための操作パネル35が設けられている。
【0023】
さて、本実施形態のヒートポンプ22における、圧縮機25の出口部と凝縮器24との間の冷媒配管27に対する、温度センサ28の取付構造について、図4図6を参照して述べる。図4に示すように、本実施形態では、温度センサ28は、冷媒配管27のうち、凝縮器24の端部である端板36から外に出た直後の直線部分に位置して、取付けられている。この場合、詳しく図示はしないが、凝縮器24においては、パイプ37の両端部である入口管及び出口管が一方(前側)の端板36を貫通して該端板36の外側に突出するように配置されている。入口管、出口管の端板36からの突出寸法は、例えば5〜10mm程度である。
【0024】
それら入口管及び出口管に対し、外部から冷媒配管27の端部が接続される。具体的には、冷媒配管27のうち、圧縮機25の出口部と凝縮器24とをつなぐ部分が、一端部が入口管に外側から嵌合されて溶接等により接続される。冷媒配管27は、入口管との接続部(根元部)から連続して直線的に延びる部分があり、その後湾曲するように延びて圧縮機25の出口部につながっている。具体的には、温度センサ28の大きさ(長さ寸法)は25mm程度であるのに対し、直線部分の長さ寸法は、例えば50mm程度である。
【0025】
このとき、本実施形態では、図5に示すように、温度センサ28を冷媒配管27に取付けるにあたって、例えば金属製のパイプ状のホルダ39が用いられる。このホルダ39は、温度センサ28とほぼ同等の長さの円筒パイプ状をなすと共に、両端部が拡開した形状を備えている。このホルダ39は、冷媒配管27の直線部分に例えばロウ付け(ロウを符号40で示す)により固定され、温度センサ28がそのホルダ39内に圧入されて固定される。
【0026】
そして、温度センサ28から導出されるリード線41は、前記制御装置34の基板に接続されるのであるが、図5に示すように、リード線41の途中部は、本体1内の第1固定位置F1及び第2固定位置F2の少なくとも2箇所で、結束バンド42により固定される。第1固定位置F1及び第2固定位置F2としては、例えばヒートポンプユニットのケース22aや、本体1の底部の台板等に設定される。温度センサ28に近い位置が第1固定位置F1とされ、それより離れた(制御装置34により近い)位置が第2固定位置F2とされる。
【0027】
また本実施形態では、前記結束バンド42として、例えば、タイロン株式会社製の「インシュロックタイ(登録商標)」が採用される。図6に示すように、この結束バンド42は、ベース部42aと、そのベース部42aに基端部が固定されたバンド部42bと、ベース部42aから図で下方に延びる矢じり状の突起部42cとを一体に有している。そして、バンド部42bをリード線41の外周に輪状に巻付けるように結束し、結束したバンド部42bの先端側をベース部42aに保持させ、突起部42cを、固定部(第1固定位置F1)例えばケース22aの穴22bに差し込むことにより固定される。
【0028】
ここで、結束バンド42は、固定部において、図6に想像線で示すように、図で左右方向の僅かなたわみ、例えば最大で3mm程度のたわみ変位が許容されている。本実施形態では、図5に示すように、リード線41の第1固定位置F1及び第2固定位置F2での固定状態で、リード線41のうち、温度センサ28と第1固定位置F1までの間で、僅かなたるみが設けられている。これと共に、第1固定位置F1と第2固定位置F2との間で、リード線41には、結束バンド41のバンド部42bの最大たわみ量(3mm)以上の長さのたるみ、例えば5mm程度のたるみが設けられている。尚、図5では、温度センサ28と第1固定位置F1とを直線で結んだ線、及び、第1固定位置F1と第2固定位置F2とを直線で結んだ線を、想像線で示している。また、図示はしないが、リード線41は、第2固定位置F2以降の部分で制御装置34に接続される。
【0029】
次に、上記構成の洗濯乾燥機1の作用・効果について述べる。洗濯乾燥機1において、例えばドラム4内の衣類を洗濯する洗濯行程が終了すると、引続き乾燥行程が開始される。この乾燥行程では、モータ7の駆動によりドラム4が低速で正逆両方向に回転され、圧縮機25が起動されてヒートポンプ22が運転される。これと共に、送風装置13が駆動される。これにより、図1図3に矢印Aで示すように、水槽3(ドラム4)内の空気が、排気口11から循環風路12を通って給気口10を通ってドラム4内に供給される循環が行われる。
【0030】
このとき、循環風路12のメインダクト15内において、湿気を含んだ空気が、蒸発器23部分で冷却されて除湿され、その除湿空気が凝縮器24部分を通り加熱されて乾いた比較的低温の温風となることにより、ドラム4内の衣類は、しわや縮みが少なく、効率的に乾燥されるのである。そして、制御装置34によるヒートポンプ22の圧縮機25の制御等のために、圧縮機25の出口部と凝縮器24の入口との間の冷媒配管27に、温度センサ28が添設されるが、温度センサ28のリード線41の固定や接続の際に、リード線41が引張られる(或いは圧縮される)ことに伴い、温度センサ28を介して冷媒配管27に力が作用する。
【0031】
ところが本実施形態では、温度センサ28は、冷媒配管27のうち、凝縮器24の入口部つまり根元部から近い位置である、端部(端板36)から外に出た直後の直線部分に取付けられる。そのため、温度センサ28が引張力(又は圧縮力)を受けるようなことがあっても、冷媒配管27の温度センサ28取付部分から根元部までの距離が短いので、根元部に作用する曲げモーメントが小さく済む。従って、冷媒配管27に対する応力を少なく済ませることができ、乾燥運転時における圧縮機25の振動や、洗濯運転時特に脱水時における脱水槽ドラム4の振動、更にはトラック輸送時等における振動が作用しても、冷媒配管27の変形や疲労破壊の発生を未然に防止することができる。特に本実施形態のような洗濯乾燥機1では、その組立性や防水の必要性などからヒートポンプ22はケース22a内にユニットとして一体化されているため、圧縮機25の振動は各部に伝達され易い構造となっているだけに、本発明のセンサ28の取付構造とすることで前記した不具合の発生を未然に回避する意義は大である。
【0032】
このように本実施形態によれば、ヒートポンプ22を備えるものにあって、冷媒配管27に対し温度センサ28を取付ける際の取付構造を適切にすることができ、冷媒配管27のストレスを抑制することが可能になるという優れた効果を奏する。特に、冷媒配管27の温度センサ28取付部分を、根元部から50mmまでの部分としたことにより、優れた効果を得ることができた。また、温度センサ28を冷媒配管27の直線部分にホルダ39を用いて取付ける構成としたことにより、取付構造が比較的簡単に済み、取付作業が容易となるといった利点も得ることができる。
【0033】
このとき、本実施形態では、温度センサ28のリード線41を、本体2内の第1固定位置F1及び第2固定位置F2の少なくとも2箇所で結束バンド42により固定するようにした。このように、リード線41を複数個所で固定することにより、全体としてリード線41のたるみをさほど大きくすることなく済み、リード線41の他の部分との擦れ等の不具合を抑制しながら、リード線41の引張力を温度センサ28ひいては冷媒配管27に作用させることを防止することができる。
【0034】
特に本実施形態では、温度セン28サのリード線41は、結束バンド42のたわみ量を考慮し、第1固定位置F1と第2固定位置F2との間で、結束バンド42の最大たわみ量(例えば3mm)以上の長さ(例えば5mm)のたるみを設けるようにした。これにより、リード線41が引張られることを確実に防止しつつ、リード線41の擦れ等の不具合を効果的に抑制することができる。結束バンド42を採用したことにより、リード線41の固定作業も容易となる。
【0035】
(2)第2、第3の実施形態、その他の実施形態
図7は、第2の実施形態を示すものである。この第2の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、冷媒配管27に対する温度センサ28の取付構造にある。即ち、この第2の実施形態においては、パイプ状のホルダ39に代えて、クリップ状のホルダ51を用いて温度センサ28を冷媒配管27に取付ける構成を採用している。このホルダ51は、金属板ばね材から、2つの円筒を並べて一体化した如き、断面だるま形状(8の字形状)に構成されている。一方の円筒の側部には開口部51aが形成され、その開口部51aが弾性的に拡がることが可能に構成されている。
【0036】
温度センサ28を取付けるにあたっては、ホルダ51の例えば奥側の円筒部に温度センサ28を差し込んで圧入固定し、その上で開口部51aを一時的に拡げるようにしながら冷媒配管27に側方から嵌め込むようにする。この場合も、温度センサ28を、冷媒配管27のうち、凝縮器24の端部である端板36から外に出た直後の直線部分に位置して取付けることにより、冷媒配管27に対する応力を少なく済ませることができる。従って、上記第1の実施形態と同様に、ヒートポンプ22を備えるものにあって、冷媒配管27に対し温度センサ28を取付ける際の取付構造を適切にすることができ、冷媒配管27のストレスを抑制することが可能になるという優れた効果を奏する。特にこの第2の実施形態では温度センサ28の冷媒配管27への取付けを、その開口部51aが弾性的に拡がることが可能なクリップ状のホルダ51としたことにより、リード線41が引張られたり振動が伝達されることがあっても、ホルダ51が適度に変形することで配管に対する力の伝達を軽減することができ、一層、冷媒配管27へのストレス抑制が可能である。
【0037】
図8は、第3の実施形態を示すものである。この第3の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、温度センサ28のリード線41の途中部における固定位置F3を、1箇所とした点にある。この場合、リード線41の途中部の固定には、やはり結束バンド42が用いられる。リード線41のうち、温度センサ28と固定位置F3までの間で、ある程度のたるみが設けられ、固定位置F3の下流部(制御装置34との接続部までの間)においても、僅かなたるみを有した形態とされる。
【0038】
かかる構成であっても、温度センサ28を、冷媒配管27のうち、凝縮器24の端部である端板36から外に出た直後の直線部分に位置して取付ける構成により、冷媒配管27に対する応力を少なく済ませることができる。従って、上記第1の実施形態等と同様に、ヒートポンプ22を備えるものにあって、冷媒配管27に対し温度センサ28を取付ける際の取付構造を適切にすることができ、冷媒配管27のストレスを抑制することが可能になるという優れた効果を得ることができる。
【0039】
尚、上記した各実施形態では、ドラム式(横軸形)の洗濯乾燥機に適用するようにしたが、水槽及び回転槽の軸方向が上下方向に指向する、いわゆる縦型の洗濯乾燥機に適用することも可能である。また、洗濯機能のない乾燥専用の衣類乾燥機にも適用できる。そして、ヒートポンプの構成例えば循環風路の構成についても、本体内の上部にメインダクトを配置するような構成としても良い。減圧装置としては絞り弁なども採用することができる。リード線の固定方法や固定位置についても様々な変更が可能であり、リード線の固定箇所を3箇所以上としても良い。
【0040】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
図面中、1は洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、4はドラム(乾燥室)、12は循環風路、13は送風装置、15はメインダクト(ダクト)、22はヒートポンプ、23は蒸発器(熱交換器)、24は凝縮器(熱交換器)、25は圧縮機、26はキャピラリチューブ(減圧装置)、28は温度センサ、34は制御装置、36は端版、37はパイプ、38は熱交換フィン、39、51はホルダ、41はリード線、42は結束バンド、F1は第1固定位置、F2は第2固定位置、F3は固定位置を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8