(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。尚、図面において、横方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。図面では、構成の一部が省略されて描かれていることがあり、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。また、以下の説明では、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を、X方向、Y方向、及びZ方向と称することがある。
【0012】
(1)第1実施形態
先ず、本開示を具体化した第1実施形態について説明する。
【0013】
(1−1)部品実装機の構成
図1及び
図2に表されたように、第1実施形態の部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、及び制御装置(
図3参照)34を備えている。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。尚、回路基材12には、例えば、回路基板又は三次元構造の基材等が挙げられる。更に、回路基板には、例えば、プリント配線板又はプリント回路板等が挙げられる。
【0014】
装置本体20は、フレーム部40及びビーム部42によって構成されている。ビーム部42は、フレーム部40に上架されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50及びクランプ装置52を備えている。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置である。クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これらの装置によって、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送すると共に、回路基材12を所定位置で固定的に保持する。尚、以下の説明では、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、そのX方向に直角な水平の方向をY方向と称し、そのX方向に直角で鉛直な方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向である。部品実装機10の前後方向は、Y方向である。
【0015】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62及び作業ヘッド移動装置64を備えている。各作業ヘッド60,62の下端面には、ノズル保持部65を介して複数の吸着ノズル66が設けられている。各吸着ノズル66は、部品を1個ずつ吸着保持する。尚、第1実施形態では、生産タクト向上のため、4個の吸着ノズル66がノズル保持部65に保持されるが、これに限るものではない。例えば、24個の吸着ノズル66がノズル保持部65に保持されても良いし、又は、1個の吸着ノズル66がノズル保持部65に保持されても良い。
【0016】
作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68、Y方向移動装置70、及びZ方向移動装置72を備えている。2台の作業ヘッド60,62は、X方向移動装置68及びY方向移動装置70によって、一体的に水平方向へ移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ74,76に着脱可能に装着されている。スライダ74,76は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向へ移動させられる。つまり、各作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向へ移動させられる。これらの移動によって、2台の作業ヘッド60,62は、フレーム部40上の任意の位置に移動することが可能である。尚、各作業ヘッド60,62は、ノズル保持部65を回動させるQ方向移動装置(
図3参照)77を内蔵している。
【0017】
マークカメラ26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60と共に、X方向、Y方向、及びZ方向に移動させられる。この移動によって、マークカメラ26は、フレーム部40上の任意の位置で撮像することが可能である。パーツカメラ28は、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上方を向いた状態で配設されている。この配設によって、パーツカメラ28は、各作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に吸着保持された部品を撮像することが可能である。
【0018】
部品供給装置30は、フレーム部40の前側端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78及びフィーダ型部品供給装置(
図3参照)80を備えている。トレイ型部品供給装置78は、トレイ(図示省略)上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置80は、テープフィーダ又はスティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0019】
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の後側端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態にある複数の部品を整列させると共に、整列させた状態の部品を供給する装置である。つまり、ばら部品供給装置32は、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。尚、部品供給装置30又はばら部品供給装置32によって供給される部品には、例えば、電子回路部品、太陽電池の構成部品、又はパワーモジュールの構成部品等が挙げられる。更に、電子回路部品には、例えば、リードを有する部品、リードを有さない部品等が有る。
【0020】
図3に表されたように、制御装置34は、コントローラ82、複数の駆動回路86、及び複数の撮像制御回路88を備えている。複数の駆動回路86は、上記搬送装置50、クランプ装置52、各作業ヘッド60,62、作業ヘッド移動装置64、Q方向移動装置77、トレイ型部品供給装置78、フィーダ型部品供給装置80、及びばら部品供給装置32に接続されている。複数の撮像制御回路88は、上記マークカメラ26及びパーツカメラ28に接続されている。
【0021】
コントローラ82は、コンピュータを主体とするものであり、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、HDD(Hard Disc Drive)94、RAM(Random Access Memory)96、及び画像処理部98等を備えている。
【0022】
CPU90は、部品実装機10の全体制御を司る中央演算処理装置である。ROM92は、読み出し専用のメモリであって、後述する
図6、
図13、及び
図15の各フローチャートを実現するための処理プログラム等が記憶されたものである。HDD94は、読み書き共用のメモリであって、各種データ及び生産プログラム等が記憶されるものである。RAM96は、読み書き共用のメモリであって、作業領域として使用されるものである。画像処理部98は、マークカメラ26又はパーツカメラ28によって得られた画像データを電子工学的に処理するものである。この電子工学的な処理によって、コントローラ82は、画像データから各種情報(例えば、マークの認識及びマークの位置に関する情報等)を取得する。
【0023】
コントローラ82は、複数の駆動回路86に接続されている。これらの接続によって、コントローラ82は、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、部品供給装置30、及びばら部品供給装置32の作動等を制御する。更に、コントローラ82は、複数の撮像制御回路88に接続されている。これらの接続によって、コントローラ82は、マークカメラ26及びパーツカメラ28の作動等を制御する。
【0024】
作業ヘッド移動装置64は、上述したように、X方向移動装置68、Y方向移動装置70、及びZ方向移動装置72を備えている。
図4に表されたように、X方向移動装置68は、X方向駆動モータ100及びX方向エンコーダ102を備えている。X方向駆動モータ100は、2台の作業ヘッド60,62をX方向に一体的に移動させるためのサーボモータである。X方向エンコーダ102は、X方向駆動モータ100の1回転内の位置を検出するものであって、補助記憶装置104を備えている。補助記憶装置104には、X方向駆動モータ100の回転データ(つまり、回転数)が記憶される。このような構成を有するX方向エンコーダ102の検出データは、制御装置34のCPU90によって、2台の作業ヘッド60,62のX方向の位置データに変換される。
【0025】
Y方向移動装置70は、Y方向駆動モータ106及びY方向エンコーダ108を備えている。Y方向駆動モータ106は、2台の作業ヘッド60,62をY方向に一体的に移動させるためのサーボモータである。Y方向エンコーダ108は、Y方向駆動モータ106の1回転内の位置を検出するものであって、補助記憶装置110を備えている。補助記憶装置110には、Y方向駆動モータ106の回転データ(つまり、回転数)が記憶される。このような構成を有するY方向エンコーダ108の検出データは、制御装置34のCPU90によって、2台の作業ヘッド60,62のY方向の位置データに変換される。尚、Z方向移動装置72は、X方向移動装置68及びY方向移動装置70と同様にして、Z方向駆動モータ及びZ方向エンコーダ(不図示)を備えている。
【0026】
(1−2)部品実装機の作動
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して、部品の装着作業(以下、対基板作業と記載する場合がある。)が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、マークカメラ26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。この撮像によって、回路基材12の保持位置等に関する情報が得られる。また、部品供給装置30又はばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。そして、2台の作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって部品を吸着保持する。続いて、部品を吸着保持した作業ヘッド60,62が、パーツカメラ28の上方に移動する。パーツカメラ28は、吸着ノズル66に吸着保持された部品を撮像する。この撮像によって、部品の保持位置等に関する情報が得られる。続いて、部品を吸着保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動する。更に、回路基材12の保持位置の誤差、部品の保持位置の誤差等が補正される。そして、吸着ノズル66が部品を離脱することによって、回路基材12に部品が装着される。
【0027】
(1−3)初期化マークと基準マーク
次に、部品実装機10が備える初期化マーク及び基準マークについて説明する。
図5に表されたように、初期化マークM1及び基準マークM2は、領域A1内に設けられている。領域A1は、マークカメラ26によって撮像可能なフレーム部40上の領域であって、X軸及びY軸の直交座標系の座標によって任意の位置を示すことが可能な領域である。領域A1は、所定領域A2の全体を含んでいる。所定領域A2の何処かには、初期化マークM1が設けられている。
【0028】
所定領域A2は、初期化マークM1が存在すると想定される範囲が指定された領域である。マークカメラ26は、所定領域A2内を所定距離ずつ移動して初期化マークM1を探す。撮像範囲を所定領域A2内に限定することによって、初期化マークM1の探索時間を短くすることができる。所定領域A2内に初期化マークM1が見つからなかった場合は、作業ヘッド移動装置64が異常であるとして、制御装置34はエラー通知を出力する。
【0029】
所定領域A2は、領域A1の四隅のうち、
図5視の左下隅に設けられている。更に、所定領域A2の四隅のうち、
図5視の左下隅には、2台の作業ヘッド60,62が特定状態にあるときの、マークカメラ26の撮像視野Vが位置している。その特定状態では、2台の作業ヘッド60,62が、X方向駆動モータ100及びY方向駆動モータ106によって、各駆動モータ100,106のトルクが制限値に達するまで移動させられている。つまり、2台の作業ヘッド60,62がX方向駆動モータ100及びY方向駆動モータ106のトルク制限まで移動すると、マークカメラ26の撮像視野Vには、所定領域A2の一部が収まる。
【0030】
所定領域A2外では、基準マークM2が設けられている。基準マークM2は、上記対基板作業の基準位置を示すものであって、初期化マークM1に対して所定間隔L1を空けた状態で設けられている。つまり、所定間隔L1は、初期化マークM1の中心C1と基準マークM2の中心C2との距離を示している。所定間隔L1は、初期化マークM1の中心C1の位置と基準マークM2の中心C2の位置と(の差)がX軸及びY軸の直交座標系の座標で示されることによって、HDD94に予め記憶されている。基準マークM2は、上記対基板作業の基準位置を示すものであるため、作業位置である基板に近いことが望ましい。そのため、基準マークM2は、具体的には、搬送装置50に設けられている。尚、基準マークM2は、所定領域A2内に設けられてもよい。
【0031】
初期化マークM1は、円形状である。これに対して、基準マークM2は、三角形状である。尚、初期化マークM1と基準マークM2は、同一の形状であってもよい。
【0032】
(1−4)初期化処理
次に、部品実装機10の初期化処理について説明する。部品実装機10の初期化処理では、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の原点設定、並びにX方向エンコーダ102の補助記憶装置104及びY方向エンコーダ108の補助記憶装置110のリセット(つまり、各補助記憶装置104,110に記憶されている回転データのリセット)が行われる。
【0033】
更に、部品実装機10の初期化処理は、X方向エンコーダ102又はY方向エンコーダ108の交換時において実行され、若しくはX方向エンコーダ102の補助記憶装置104又はY方向エンコーダ108の補助記憶装置110に記憶されている回転データが破損した時において実行される。
【0034】
第1実施形態において、部品実装機10の初期化処理が実行される際は、
図6のフローチャートを実現するための第1処理プログラムが、制御装置34のCPU90によって実行される。以下、
図6乃至
図9を参照しながら、第1処理プログラムを具体的に説明する。第1処理プログラムが実行されると、
図6に表されたように、制御装置34のCPU90は、トルク制限移動処理を行う(ステップS10)。
【0035】
この処理では、2台の作業ヘッド60,62が、X方向駆動モータ100及びY方向駆動モータ106によって、各駆動モータ100,106のトルクが制限値に達するまで移動させられる。各駆動モータ100,106のトルクが制限値に達したか否かは、例えば、各駆動モータ100,106に供給されている電流の値に基づいて判定される。尚、例えば、2台の作業ヘッド60,62が移動終端位置に到達したことをリミットスイッチによって検出する場合には、制御装置34のCPU90は、そのリミットスイッチの検出信号に基づいて、各駆動モータ100,106のトルクが制限値に達したか否かを判定してもよい。
【0036】
このようにして、トルク制限移動が行われると、制御装置34のCPU90は、画像取得処理を行う(ステップS12)。この処理では、マークカメラ26の撮像が行われることによって、例えば、
図7に表された画像Iが取得される。この処理で取得される画像Iは、所定領域A2の一部を背景とするものである。
【0037】
このようにして、画像取得が行われると、制御装置34のCPU90は、マーク認識処理を行う(ステップS14)。この処理では、上記ステップS12で取得された画像Iの画像データが、画像処理部98で電子工学的に処理されることによって、初期化マークM1の認識が行われる。
【0038】
このようにして、マーク認識が行われると、制御装置34のCPU90は、上記ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれているか否かを判定する(ステップS16)。この判定は、上記ステップS14の認識結果に基づいて行われる。
【0039】
ここで、上記ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれていない場合には(ステップS16:NO)、制御装置34のCPU90は、所定距離移動処理を行う(ステップS18)。この処理では、2台の作業ヘッド60,62が、X方向駆動モータ100及びY方向駆動モータ106によって、所定距離を移動させられる。その移動は、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の各検出データを介して制御され、所定領域A2内で行われる。また、その移動の方向及び所定距離は、この処理の繰り返し実行回数が所定回数になると、マークカメラ26の撮像視野Vが所定領域A2を網羅できるように、第1処理プログラムに予め設定されている。
【0040】
このようにして、所定距離の移動が行われると、制御装置34のCPU90は、上記ステップS12に戻って、上記ステップS12以降の処理を繰り返し実行する。
【0041】
これに対して、
図7に表されたように、上記ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれている場合には(ステップS16:YES)、制御装置34のCPU90は、初期化処理を行う(ステップS20)。この処理では、上述したように、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の原点設定、並びにX方向エンコーダ102の補助記憶装置104及びY方向エンコーダ108の補助記憶装置110のリセット(つまり、各補助記憶装置104,110に記憶されている回転データのリセット)が行われる。
【0042】
このようにして、初期化が行われると、制御装置34のCPU90は、オフセット処理を行う(ステップS22)。この処理では、上記ステップS12で取得された画像Iの画像データが、画像処理部98で電子工学的に処理されることによって、
図8に表されたオフセット値L2が算出される。オフセット値L2とは、上記ステップS12で取得された画像Iの中心C3から、その画像Iに含まれている初期化マークM1の中心C1までの距離である。オフセット値L2の算出は、具体的には、初期化マークM1の中心C1の位置と画像Iの中心C3の位置と(の差)がX軸及びY軸の直交座標系の座標で示されることによって行われる。オフセット値L2に関するデータは、HDD94に記憶される。尚、初期化マークM1の中心C1の位置は、X軸及びY軸の直交座標系の座標によってHDD94に予め記憶されている。
【0043】
このようにして、オフセット値L2が算出されると、制御装置34のCPU90は、算出処理を行う(ステップS24)。この処理では、
図9に表されたように、上記所定間隔L1及びオフセット値L2を使用して、つまり、基準マークM2の中心C2の位置、初期化マークM1の中心C1の位置、及び上記ステップS12で取得された画像Iの中心C3の位置の各座標を使用して、その画像Iの中心C3から基準マークM2の中心C2までの距離L3が算出される。従って、距離L3の算出は、具体的には、基準マークM2の中心C2の位置と画像Iの中心C3の位置と(の差)がX軸及びY軸の直交座標系の座標で示されることによって行われる。距離L3に関するデータは、HDD94に記憶される。尚、距離L3は、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の原点と基準マークM2の中心C2との相対位置を示す値であって、上記対基板作業における作業ヘッド60,62の移動制御等で使用される。
【0044】
このようにして、距離L3が算出されると、制御装置34のCPU90は、第1処理プログラムを終了する。尚、第1処理プログラムの各処理のうち、ステップS12の画像取得処理、ステップS14のマーク認識処理、及びステップS16の判定処理は、画像処理(ステップS100)を構成する。
【0045】
(2)第2実施形態
次に、本開示を具体化した第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第2実施形態の部品実装機10は、
図10に表された初期化テーブル112を備えている。初期化テーブル112は、ROM92に記憶されているものであって、初期化マークM1の各形状F1,F2,…と初期化処理の各ルーチンR1,R2…との対応関係が示されたデータテーブルである。
【0046】
初期化マークM1の各形状F1,F2,…は、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の種類に対応した固有の形状である。初期化処理の各ルーチンR1,R2…は、ステップS20の初期化処理のルーチンであって、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の種類に対応した固有のルーチンである。初期化処理の各ルーチンR1,R2…は、ROM92に記憶されている。
【0047】
第2実施形態では、制御装置34のCPU90は、初期化テーブル112に基づいて、ステップS20の初期化処理を実行する。具体的には、初期化マークM1が円形状F1である場合には、ステップS20の初期化処理として、ルーチンR1が実行される。初期化マークM1が正四角形状F2である場合には、ステップS20の初期化処理として、ルーチンR2が実行される。尚、初期化マークM1の形状は、ステップS14のマーク認識処理で認識される。
【0048】
(3)第3実施形態
次に、本開示を具体化した第3実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第3実施形態では、ステップS16の判定処理が実行される際に、
図11及び
図12に表された画像Iの中心部領域114が用いられる。
【0049】
画像Iの中心部領域114とは、その画像Iの中心C3から一定距離を半径とする円形領域をいう。従って、画像Iの中心部領域114は、その半径がより短いほど、その画像Iを取得したマークカメラ26のレンズ歪みの影響をより受けない領域である。
【0050】
第3実施形態では、
図11に表されたように、ステップS12で取得された画像Iの初期化マークM1が、その画像Iの中心部領域114の外側に位置するときは、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれていないと判定される(ステップS16:NO)。つまり、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれている場合であっても、その画像Iの中心部領域114の外側に初期化マークM1が位置するときは、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれていないと判定される(ステップS16:NO)。
【0051】
これに対して、
図12に表されたように、ステップS12で取得された画像Iの初期化マークM1が、その画像Iの中心部領域114の内側に位置するときは、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれていると判定される(ステップS16:YES)。つまり、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれている場合であっても、その画像Iの中心部領域114の内側に初期化マークM1が位置するときに限って、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれていると判定される(ステップS16:YES)。
【0052】
(4)第4実施形態
次に、本開示を具体化した第4実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第4実施形態では、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれていると判定されると(ステップS16:YES)、上記第1処理プログラムに代えて、
図13のフローチャートを実現するための第2処理プログラムが、制御装置34のCPU90によって実行される。
【0053】
以下、
図13及び
図14を参照しながら、第2処理プログラムを具体的に説明する。第2処理プログラムが実行されると、
図13に表されたように、制御装置34のCPU90は、オフセット処理を行う(ステップS22)。続いて、制御装置34のCPU90は、中心一致移動処理を行う(ステップS32)。
【0054】
この処理では、2台の作業ヘッド60,62が、X方向駆動モータ100及びY方向駆動モータ106によって、オフセット値L2の距離を移動させられる。この移動によって、マークカメラ26は、
図14に表されたように、その撮像視野Vの中心C4が初期化マークM1の中心C1に一致するように移動する。尚、オフセット値L2がゼロの場合には、この処理は実行されなくてもよい。
【0055】
このようにして、中心一致移動が行われると、制御装置34のCPU90は、画像処理を行う(ステップS100)。この処理では、画像取得処理(ステップS12)、マーク認識処理(ステップS14)、及び判定処理(ステップS16)が行われる。尚、この処理における判定処理(ステップS16)では、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれていると常に判定される(ステップS16:YES)。
【0056】
その後、制御装置34のCPU90は、初期化処理(ステップS20)等を実行して、第2処理プログラムを終了する。
【0057】
(5)第5実施形態
次に、本開示を具体化した第5実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。第5実施形態では、上記第1処理プログラムに代えて、
図15のフローチャートを実現するための第3処理プログラムが、制御装置34のCPU90によって実行される。
【0058】
第3処理プログラムが実行されると、
図15に表されたように、移動処理が行われる(ステップS40)。この処理では、2台の作業ヘッド60,62が、作業者によって、一体的に水平方向へ移動させられる。
【0059】
このようにして、一体的な水平移動が行われている際には、制御装置34のCPU90は、2台の作業ヘッド60,62が所定距離を移動した否かを判定する。この判定は、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の各検出データに基づいて行われる。ここで、2台の作業ヘッド60,62が所定距離を移動していない場合には(ステップS42:NO)、制御装置34のCPU90は、この処理に戻って、2台の作業ヘッド60,62が所定距離を移動した否かを再び判定する。
【0060】
これに対して、2台の作業ヘッド60,62が所定距離を移動している場合には(ステップS42:YES)、制御装置34のCPU90は、上記画像処理を行う(ステップS100)。この処理では、画像取得処理(ステップS12)、マーク認識処理(ステップS14)、及び判定処理(ステップS16)が行われる。
【0061】
ここで、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれていない場合には(ステップS16:NO)、制御装置34のCPU90は、上記ステップS42に戻って、上記ステップS42以降の処理を繰り返し実行する。
【0062】
これに対して、ステップS12で取得された画像Iに、初期化マークM1が含まれている場合には(ステップS16:YES)、制御装置34のCPU90は、初期化処理(ステップS20)を実行して、第3処理プログラムを終了する。
【0063】
(6)まとめ
以上詳細に説明した通り、各実施形態の部品実装機10では、X方向エンコーダ102又はY方向エンコーダ108の交換時において、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の原点設定、並びにX方向エンコーダ102の補助記憶装置104及びY方向エンコーダ108の補助記憶装置110のリセット(つまり、各補助記憶装置104,110に記憶されている回転データのリセット)を行うことが可能である。X方向エンコーダ102の補助記憶装置104又はY方向エンコーダ108の補助記憶装置110に記憶されている回転データが破損した時においても、同様である。
【0064】
ちなみに、各実施形態において、部品実装機10は、基板作業機の一例である。回路基材12は、基板の一例である。マークカメラ26は、撮像装置の一例である。X方向駆動モータ100及びY方向駆動モータ106は、駆動源の一例である。X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108は、エンコーダの一例である。領域A1は、撮像装置によって画像の取得が可能な領域の一例である。初期化マークの各形状F1,F2,…は、エンコーダの種類毎に定められた固有の形状の一例である。初期化処理の各ルーチンR1,R2,…は、初期化マークの形状に対応したルーチンの一例である。
【0065】
(7)変更例
尚、本開示は上記各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、2台の作業ヘッド60,62が特定状態にあるときの、マークカメラ26の撮像視野Vに、所定領域A2の全部が収まってもよい。このような場合には、2台の作業ヘッド60,62が、X方向駆動モータ100及びY方向駆動モータ106のトルク制限まで移動したときに、所定領域A2の全部がマークカメラ26の撮像視野Vに収まる。
【0066】
初期化処理(ステップS20)では、X方向エンコーダ102及びY方向エンコーダ108の原点設定のみが行われてもよいし、X方向エンコーダ102の補助記憶装置104及びY方向エンコーダ108の補助記憶装置110のリセット(つまり、各補助記憶装置104,110に記憶されている回転データのリセット)のみを行ってもよい。
【0067】
本開示は、例えば、リニアエンコーダの交換時における原点設定に対しても適用することが可能である。
【0068】
本開示は、例えば、各実施形態の部品実装機10で使用された吸着ノズル66に対して、洗浄、乾燥、及び検査等を行うノズル管理装置に対しても適用することが可能である。